Coolier - 新生・東方創想話

『頭に何かしらが生えてるひと』の集い

2010/02/05 12:07:22
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※このSSは作品集91に投稿した「第1回虎○☆解明作戦(仮)」の続編となります。また、星に虎耳と虎尻尾が生えています。ご注意ください。



~前回のまとめと補足~
 虎耳虎尻尾姿の寅丸星の写真と「ただし弾幕は尻から出る」の一文が一面を飾った文々。新聞は、その強烈なインパクトと星の愛らしい姿が話題となり、新聞としては異例の大ヒットとなったが、「子供達への教育上よろしくない」という理由で上白沢慧音により無かった事にされた。



 作戦決行から数日後、この日、再び行われる会議の為に命蓮寺の会議室に獣の少女達
が集まっていた。前回と比べ人数が増加し、総勢10名がこの会議室に集結した。
 会議は例の如く、代表の挨拶から始まる。

「諸君、今日はこの命蓮寺によく集まってくれた。感謝する。当同盟代表のナズーリンだ。それではこれより、第34回ケモッ娘同盟定期会議を行う」

 次の瞬間、これもまた例の如く、設置されたホワイトボードに突如として「第34回ケモッ娘同盟定期会議にイラッシャーイ!」という文字が現れた。34と某有名落語家を掛けているのだろうか。

「本題に入る前に、三点ほど報告したいことがある。どれも素晴らしい事でね、よく聞いていてほしい。まず一点。前回の作戦で我がご主人、寅丸星にケモノ属性があることが判明したわけだが、その後の交渉の末、ご主人は本日を持って、正式に我が同盟のメンバーとして加入することが決定した。ご主人」

ナズーリンの呼びかけに応じて部屋の扉が開き、そこから寅丸星が現れた。その姿、頭部には虎の耳、そして腰には尾と、正しくこの同盟のメンバーに相応しい出で立ちだった。
そしてナズーリンの隣に立つと、開口一番、

「寅丸星です!精一杯頑張りますので、よろしくお願いしますがおぅ!」

 パチパチ、パチパチ……

 一風変わった元気の良い転校生の挨拶のような挨拶の後に、当たり障りのない程度の拍手が周りから起こった。…そしてほんの少しの沈黙の後、

「……あの、ナズーリン」
「なんだいご主人?」
「耳と尾を曝すのは慣れました。しかし、語尾にがおぅを付けるのはさすがに勘弁願いたいのですが…」

 おずおずと言う星に対し、ナズーリンは不敵に笑みを浮かべた。
「フフッ、ご主人」
「はい?」
「宝塔、聖、極楽の紫の雲路」
「すみませんでしたがおーーーー!!!」

 星さんは聖さんのトラウマスペルの名にひれ伏し、盛大に土下座をしました。しかしその華麗な土下座は、正義の威光に溢れていて、それはそれはとても美しいものでした。(妖怪の山在住:犬走椛・談)



「…さて、続いて二点目だ。前回取材という形で作戦に参加した射命丸文君が、本日より我が同盟の正式なメンバーとして加入することになった。文君、何か挨拶をお願いしたいんだが…」

 ナズーリンに名前を呼ばれた文はスッと椅子から立ち上がった。
 文の格好は前回の会議の時と同様、幽霊屋敷で獲得したという猫耳と浴衣を着用している。
 そして、記念すべき最初の一言は……

「ワタシハ、カミシラサワケイネヲ、ゼッタイニ、ユルシマセン」

「…………」
「す、すみませんっ!文様、慧音さんに新聞の事無かったことにされてからずっとこんな感じなんです!あまり刺激しないようにお願いしますっ!!」

 文の隣に座る椛は必死でぺこぺこと頭を下げた。一方の文は全くの無表情で、口を縦長の長方形に開けて発声している。まるで絵に描いたようなロボットだ。これが頭に猫耳を付け浴衣を着ているのだから、奇妙なことこの上ない。

「うむ、実にストレートで力強い言葉を有り難う、文君。さて、次に三点目だ。皆も気づいているとは思うが、本日、この同盟発足以来初めて、会議にメンバー全員が出席するという偉業を成し遂げた!」

 おお、という感嘆の声が所々で上がった。が、別に偉業というほど大したことではない。

「という訳で、前回出席出来なかった藍君、鈴仙君、燐君に一言お願いしたいんだが、いいかね?」

 どういう訳かはさておき、先に名を呼ばれた藍はスッと立ち上がった。

「副代表の八雲藍です。副代表でありながら会議への出席が少ないことを大変申し訳なく思っております。それもこれも全て紫様のせいです。全てです。大事なことなのでもう一度言います。全てです。あの方は私が厄介事を一つ解決するとまた新しい厄介事を一つ以上作るのです。エンドレスです。無限ループです。さすがに私も怒り疲れたので、四季映姫様にお願いして地獄に送ってもらいました。勿論説教付きで。これでしばらくは会議により参加できるようになると思います」

 この式、主人に対してなかなか酷なことをする。式の式に至っては、「藍様と二人きりの時間が増えるので私としてはなんら問題無いです!」と、笑顔でガッツポーズ。
恐らく紫は今頃正座しながら泣いている。もれなく小町のオマケ付きで。


「ふむ。それはなによりだ。次に鈴仙君」
「はい!しんぱいかけてすみませんでしたぴょん!これからがんばりますうさ!」
「………」

「……ああ、ごめん。鈴仙、師匠の実験の時の後遺症でずっとこんな感じでね。師匠に早く治せって言っても、『面白いからしばらくこのまま』としか言わないし。…ごめんね?騒がしくて」

 そう言っててゐは、ハァ…っと深い溜め息を吐いた。その間にも鈴仙は、「ぴょん」だの「うさ」だの「わん」だの「にゃー」だの「けろけろ」だの「だべ」だの「でげす」だの「ずら」だのと、確かに騒がしい。言葉だけならハキハキとしているが、目が死んでいて、気味が悪いことこの上ない。
これは後日談だが、このことについて永琳女医は「ていうか語尾統一しろよ」とだけ語ったという。

「なんか星さんとキャラが被ってて、アイデンティティが薄いですね」
「橙、それは言っちゃダメ」
 今回の会議で唯一の救いは、爆弾発言娘に保護者がついていることだった。


「最後に、燐君。あの会議の後すぐにさとり君とこいし君の二名とも無事発見されたと聞いたよ。良かったじゃないか」

 ナズーリンの言葉に燐は「ええ、まあ…」と小さく反応した。その目は生気が失われているわけではなかったが、どこか遠くを見ているかのようだった。

「代表に連絡した後、すぐにさとり様の後を追ったんですけどね、すぐ見つかったんですよ。ホントにすぐ。地上への入り口付近で、顔を覆いながら転げ回ってましたよ。『目がああああああっ!!目がああああああっ!!』って叫びながら。どうやら久々に浴びた太陽光に目をやられたみたいで…」
「お前の主人はムス………モグラか」

 てゐは何故か某大佐の名を口走ってしまいそうになった。そのてゐの視線の先には、星相手に自分のペンデュラムを飛行石に見立てて大佐ごっこをするナズーリンの姿が有った。何やらラピュタ王がどうとか熱弁している。お前らちゃんと話聞いてろよ。

「それだけならまだいいんですよ。悶えるさとり様を乗せて帰ったら、家ではこいし様とお空が優雅にティータイムでして。こいし様にいつお帰りになられたのか聞いても、『無意識から醒めたらいた』と言われ、お空に聞いても『気づいたらいた』と言われ……どちらも答えになってなくて。あたいもう疲れましたよ……」

 ひきこ……もといモグラ、放浪人、鳥頭。燐の家族は色々と問題を抱えている様だった。

「でも、あたいがしっかりしなくちゃ。あたいが……」

 目に涙を浮かべ、握り拳を作る燐の姿は、思わずもらい泣きしてしまいそうになるほど哀しいものがあった。

「ふむ、皆ろくでもない主人を持って、苦労しているようだね。いやはや、かく言う私もそうだから、同情するよ」

 ナズーリンがそう言った直後、皆の目線が星に集中した。星は相も変わらず華麗なる土下座のポーズのままで、皆の視線に気づいていなかった。大佐ごっこの時もそのままのポーズでひれ伏していた。相変わらず後光が射していた。


誰もが、納得した。



「さて、いよいよ本題に入る。今日の議題は他でもない、いよいよ明日に迫った、角ッ娘協商との会合、『頭に何かしらが生えてるひと』の集い、についてだ」

 会合、とナズーリンは言ったが、相手が鬼二人を軸とする実力者集団であること。また、ナズーリン自身が相手側を強く敵対視していることから、皆、話し合いだけに留まらない、同盟の威信を賭けた世紀の戦いになることを予想していた。
 ゴクリ…と、椛は唾を飲み下した。

「明日の会合は予定通り、この命蓮寺の講堂で夜行われる。必ず全員主席するように!特にご主人!今回は君の活躍に大いに期待しているから、そのつもりで」
「は、はい!頑張りますがおぅ!」

 ようやく星が華麗なる(中略)から復帰した。おかえり。

「よし!それではこれにて、第34回ケモッ娘同盟定期会議を閉会とする。解散!」



 後にナズーリンは語った。
「今回の会議、書記の犬咲夜君の存在があまりに瀟洒過ぎてすっかりミスディレクションしてた。ごめん。うん、まぁ……明日頑張って」
 要約すれば、『影が薄かった』



 翌日。
 命蓮寺の講堂は異様な空気に包まれていた。
 そこにいるのは勿論、ケモッ娘同盟のメンバーの他に、鬼の伊吹萃香、同じく鬼の星熊勇儀、ハクタク化した上白沢慧音、そして、



 般若面を被った博麗霊夢。



「どういうことなの……」
椛は額に汗を垂らしながら呟いた。
「え?なに、なに?これ、前回のなまはげのくだり?」
てゐは混乱していた。
「鬼巫女ですね。わかります」
橙は何故か余裕そうだ。

「………ヲ」
「…?何か言っているようですよ?」
この星の一言で、皆が霊夢の呟きに耳をかたむけた。



「…スベテノ妖怪ニ死ヲ。ソシテワタシニオ賽銭ヲ、与エン」
「やだ何これ怖いこわいこわいむりむりむりムリ」

皆、子兎のようにふるふると震えだした。今の霊夢を相手にすると、多分、八つ裂きでは済まない。金銭をごっそりお賽銭に変えられた上で八つ裂きにされる。
怯えるメンバーの姿を見て、ナズーリンは、やれやれと言わんばかりに肩をすくめた。

「まったく、臆病だな君たちは。こんな時のために、私たちには強力な味方がいるんじゃないか」
 ナズーリンはそう言って、未だに震え続けている星に目線を向けた。
「今こそ、その正義の威光とやらをあいつらに見せつける時だよ。ご主人?」
「ええぇっ!!?私ですか!!?嫌です嫌です絶対ヤです勘弁してくだ」
「宝塔、雲山、キングクラーケン殴り」
「わたしにまかせてくださいがおーー!」

 そう叫んで立ち上がった星の背中からは前日と同様の後光が射していたが、顔面は蒼白で、乾いた笑いを浮かべ、眼は光を失っており、ただただ、虚ろだった。

 その時、ナズーリンの肩にそっと手を置く人物がいた。犬咲夜だった。
 犬咲夜はどこからともなく小型のホワイトボードを取り出した。そこに書かれていたのは、

『私に霊夢の相手をやらせてください。』

 犬咲夜は多くを語ろうとしないその寡黙さ故に、会話はすべて筆談なのだ。逐一時を止めて記入しているため大変だが、そのおかげで会話がスムーズに進む。

「まさか、君…私が昨日頑張れって言ったから……」
『お願いします。やらせてください。』
「……分かった。ただしご主人も同伴してもらう」
「そんなあっ!!?」

 完全に逃げ道を絶たれた星、マジで、大泣き、五秒前。



「で、早速始めるわけだけどー」

皆が一応に静まったところで、角ッ娘協商の代表、伊吹萃香が口を開いた。

「この後、潰すか潰されるかの地獄の宴が始まるわけだけど、みんな覚悟はできてる?」

 萃香が何やら物騒なことを口にしたために、皆、顔を強張らせてゴクリと唾を飲み下した。一同が緊張した面持ちの中、ナズーリンだけが、清々しい表情を浮かべていた。

「ふふっそれはこちらの台詞だよ、伊吹君。私たちは勿論、そちら側を潰すつもりで御相手をするから、ね」
「お?大きく出たねぇ。嬉しい限りだよ」

 両者とも、口元は笑っていたが眼は互いに激しく睨み合っていた。正に一触即発の状況。




「それじゃ、音頭をとりまーす」


 ……音頭?



「酒が呑めるぞぉぉーーーー!!!」イエェーーーーーイッ!!!
「……え?えっ?」

 萃香の雄叫びとともに、皆が懐から一升瓶を取り出した。
 状況が飲み込めない椛はただただ混乱していた。

「だっ代表!これは、一体……?」
「…?これは『頭に何かしらが生えてるひと』の集い、という名の宴会…もとい会合だが?」
「え…宴会…?」
「おや?要項を見ていないのかい?要項にはちゃんと『参加の際は必ず一人一本、酒を用意するように』って書いたはずだが」

 その言葉に、椛はハッとした。それは正しく、要項を読んだ時に意味不明過ぎてスルーしていた注意事項だった。

「ま、何はともあれ、君はほとんどの会議に出席していたからね。今日は存分に楽しむといい」

 そう言って、ナズーリンは賑わいの中へと歩み出した。後に残された椛はただただ呆然と立ち尽くしていた。


「おーい犬走!手が空いてるなら付き合ってくれないか?」
「え、あ、はっはい!ただい、ま?」

 星熊勇儀に呼ばれた椛は急いで勇儀のもとへと向かった。

「なんだ酒忘れたのか?ま、私の酒があるから、今日は楽しくやろうじゃないの」
「あっはい!よろしくお願い…しま…す……」

 椛は勇儀の杯に酒を注いでから、辺りを見回した。
 橙と藍は萃香とともに呑んでいた。
 犬咲夜は霊夢を相手に酒を楽しんでいた。霊夢は注がれた酒を般若面を被ったまま呑み干す(どういう原理なのかは解らない)。
 星はその横で涙目になりながら小さくなっていた。後光も弱々しい。
 燐は早くも潰れてしまった鈴仙を嬉々として運んでいた。
 文はあれだけ敵対視していた慧音と肩を組み合いながら酒を交えていた。酒が入るとどうでもよくなってしまうタイプであるようだ。
 てゐの姿は無かった。恐らくこっそり帰ったのだろう。

 皆、この『頭に何かしらが生えてるひと』の集いを、心の底から楽しんでいるようだった。

「……偶にはこういうのも、いい…かな」

 椛は不思議な安堵感を感じると、再び勇儀の杯に酒を注いだ。



「レディーース、エン、ジェ……レディィィィィィスッ!!!」
 突然、壇上の上でマイクを持ったナズーリンが叫んだ。皆の視線が集中する。
「今日はこの『頭に何かしらが生えてるひと』の集いに集まってくれてサンキュゥッ!幹事を務めるナズーリンだ!ヨソシクゥ!それではこれよりメインイベントを開始する!第一回……」



「『頭に何かしらが生えてるひと』の集い、お触り交流会ィィィィィッ!!!(ポロリもあるよ)」
「このセクハラネズミがーーーーー!!」




 …うん、やっぱり明日にでも脱退しよう。
 椛はそう心に強く誓った。
星の後光の正体は、尻(の上の辺り)から出る弾幕です。



久しぶりの投稿となってしまいました。あれなです。前々回のSSで続編を希望してくださった方々、有難うございました。なんとか書くことが出来ましたが、如何だったでしょうか?少しでも笑って頂けたら幸いです。今回はパロディネタもメジャーなものにしたつもり……あれ?時計塔日本編は知名度低い?

最後に一言、「星ちゃんはかわいい。異論は認めない」
あれな
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コメント



0.690簡易評価
8.90名前が無い程度の能力削除
いや別に異論はないが
お触り交流会は参加させてください
12.80名前が無い程度の能力削除
異論はない

そしてセクハラネズミは俺に任せて先へ行くんだ!!
15.無評価名前がない程度の能力削除
異論はなかった

お燐は俺にまかせてお前らは先に行け!
19.80名前が無い程度の能力削除
異論はなかった

藍は俺の元に来るんだ
20.90ぺ・四潤削除
異論はなかった

だから星ちゃんのお尻は俺が守る。

「『頭に何か白髪生えてるひとの集い』とてゐに聞いて来てみたのだけれど、ずいぶんと楽しそうねウドンゲ?」
「ひィッ し、シショー!!」
21.90名前が無い程度の能力削除
異論はない                              ただし酔い潰れた鈴仙はもらってく
23.80名前が無い程度の能力削除
撮影係りは任せろ!
そしてエルフ耳はどちらにも入りませんね
26.90ずわいがに削除
結局皆まとめて宴会かよwwwしかも下衆いwwww
まぁ、もちろん私も参加させて頂きますがね(キリッ
それにしても星は可愛いなぁ。最近の星株の上がり具合がやヴぇえですたい。