Coolier - 新生・東方創想話

and then there was one ...

2010/01/30 02:44:21
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――――――――― Two little nigger boys sitting in the sun ―――――――――――――


――――――― One got frizzled up,


―――――――――――――――――― and then there was one ...










――――――――――― そう  私は一人ぼっちだった………

























  私は何百年もの間、地下室に閉じ込められていた
  それは、お姉様が私の『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』を恐れたからだ
  それ以来、ずっと一人で地下室に住むようになった
  ずっと というのは嘘かも知れない
  迷い込んできた玩具で遊んでいたから常に一人というわけではなかった
  だから寂しくなんてなかった
  寂しくなんて……………




  ある日 お姉様が赤い霧の異変を起こしてから私は閉じ込められなくなった
  地下室から出れるようになった
  お姉様も私が出ている事に関して何も言わなくて晴れて自由の身になった
  自由といっても館からは決して出さしてはくれないけれど
  以前の窮屈感に比べれば大したことはなかった
  これで私はもう一人じゃないんだ
  そう思っていた


****************************************************************************************

  
  あれから何日か経って
  ふと館が騒がしい事に気が付いた

 「ねえ、なにかあったの?」

  私は原因を知るべくして、すぐ近くの妖精メイドに話しかけた

妖精A「い、妹様!? そ、その、えと、な、なんでもありませんよ! なんでも!」

  そう言うとメイドは走り去ってしまった

 「? 変なの」

 

  しばらく歩きまわっていると別のメイドたちがなにやら忙しそうにしているのを見かけた
  メイドが忙しいのはいつもの事だが、この忙しさっぷりは何かが違っていた

 「ねえ、なにしてるの?」

妖精B「妹様?! べ、別に何もしてないですよ?! ねえ?」

妖精C「そ、そうです! 大したことしてないです!」


  明らかに怪しかった
  メイドたちは絶対に何か隠している事なんてすぐに分かった
  けど、この子たちに聞いたところで答えてくれそうにはなかった

 「ふぅ~ん そっか」


  私は興味なさそうな素振りを見せてその場を立ち去った


  ・
  ・
  ・


  立ち去った後私は閉じ込められていたときの感覚を思い出していた
  私がいると皆が怯えたような目を向けている時の感覚だ
  私はその目が嫌いだった
  私はただ皆と仲良くしたかっただけだったのに―――――――
  皆と遊びたかっただけなのに―――――――――
  

  だからあの異変のときに来た人間と弾幕ごっこしたときは楽しかった
  今までで一番楽しかった
  地下室から出れた時はあんな楽しいことが毎日できるんだと思った


  でも実際はひとりぼっちだった
  館を歩いてるだけでも誰も近寄ってこない
  皆私を避けているんだ




  そう思いながら歩いていると見覚えのある姿を見つけた


 「お姉様!」


  そう言いながらお姉様の方に向かって走った

レミリア「フラン………」

 「お姉様、今日は何かあるの? メイドたちが忙しそうにしてるけど 」

レミリア「別に、今日は何もないわ。 メイドが忙しいのはいつものことでしょ?」

 「そうだけど……何かいつもと様子が違うような気がして………。 メイドたちも何か隠し事してるみたいで……」

?「お嬢様」


  そこに人間のメイドが出てきた
  確か十六夜 咲夜とかいうんだったけ?

咲夜「お嬢様、そろそろ…………」

レミリア「そう、じゃあ…………」


  二人だけで何か話している
  また私に何か隠しているのね……


レミリア「フラン、あなたは部屋に戻ってなさい」


 「どうして? なんで戻らなくちゃいけないの?」


レミリア「いいから。 これは命令よ。 いいわね?」



 「お姉様?! どうして私にだけ隠し事してるの!?」


レミリア「そんな、隠し事なんて――――――」


 「嘘言わないでよ! 何か隠してるんでしょ?! ねえお姉さ――――――――」


レミリア「馬鹿なこと言わないの! 咲夜! フランを部屋に連れていきなさい!」


咲夜「妹様。 部屋に戻りましょう」


 「っ―――――――― わかったわ…………」



――――――――― Two little nigger boys sitting in the sun ―――――――――――――


――――――― One got frizzled up,


―――――――――――――――――― and then there was one


  この時 ふとある歌のフレーズを思い出した

















  ―――――――――― そっか ――――――――――――

























  ――――――――― やっぱり私は ――――――――――

















  ――――――― ひとりぼっちだったんだ ―――――――


















  咲夜に部屋まで送られるため、私は図書館まで戻ってきた


小悪魔「あら、妹様じゃないですか。 どうされましたか?」
  

 「別に――「別になんでもありませんわ」」


  何度もないと言おうとする前に咲夜が言ってしまった
  
  
咲夜「では私はここで失礼します」


  そう言うと咲夜は消えた
  おそらく時間を止めたのだろう


小悪魔「? 本当に何もなかったんですか?」


 「何も………何もなかったわ」


小悪魔「あ、そっか。 そう言えば今日は――――――」


パチュリー「小悪魔、ちょっと来て頂戴」


  小悪魔が何か言おうとするとき、図書館の奥からパチュリーが彼女を呼んだ
  一体小悪魔は何を言おうとしたんだろうか


 「ねえ、今何て「小悪魔 早く来なさい」」


小悪魔「は~い。 すみません。 では失礼します」


  そう言って声のする方へ飛んで行ってしまった

  また一人になってしまった……


 「………ははは」


  何が可笑しくて笑ったのだろうか
  自分でもわからなかった
  だけど、とっても悲しかった
  一生の中でこんなに悲しかったことがあったかというくらい悲しかった


  その後私は部屋に戻ってきた
  そしてベットに入って泣いていた
  ひたすら泣いた
  今までで一番泣いたかもしれない
  最後に泣いた日なんて覚えていないが
  もう涙は流れないんじゃないかと思うくらい泣いた

************************************************************************************

  

  それからしばらくしてようやく泣きやんだ
  涙ってこんなに流せるものだと思い知った


 「………ハハハ」


  そしてまた笑った

  私は何しているんだろうか

  私がいるせいでお姉様やメイドたちが苦労している


     ワタシナンテ―――――――――


  そんなことを考えていると―――


?「なんだ、こんなところにいたのか。 館のあちこち探しちまったじゃねえか」


  誰かが私の部屋に入ってきた
  一体誰なんだろうと顔を向けてみると―――


 「………魔理沙、どうしたの?」

魔理沙「『どうしたの?』じゃないだろ。 フランを探してたんだぞ?」


 「私を? どうして?」

      ――― ナンデワタシナンカヲ ―――

魔理沙「どうしてって、そりゃレミリア達が呼んでたからだよ」

 「お姉様が、私を…?」


      ――― ナンデオネエサマガワタシヲ? ―――

魔理沙「さあ、行こうぜ!フラン。 みんなが待ってるぜ!」


 「………………」

      ――― ミンナガマッテル? ―――


魔理沙「どうしたフラン?」


 「………嘘」


魔理沙「ん? 何か言ったか?」


 「皆が…皆が私を待ってるなんて、嘘だよ」


魔理沙「何言ってるんだ? 今日はお前の―――」


 「嘘だよ! だって皆私だけを除け者にしているよ!? そんな奴らが私なんかを待ってるわけなんてないよ!」


魔理沙「おいフラン、誰もお前を除け者になんてしてないだろ」


 「だって今日の皆、なにか変だよ?! みんな何か隠してる! 私だけ何も知らない! 私だけひとりぼっち!!」


魔理沙「フラン……」


 「アハハハハ、………地下室から出ても私はやっぱりヒトリボッチナンダネ?」


魔理沙「そんなことはない! みんなお前のことを―――」


 「ソウナンダ ワタシハイツデモヒトリボッチダッタンダ


  モウワタシトイッショニアソンデクレルコモトモダチニナッテクレルコモイナイ…


  オネエサマダッテキットワタシノコトナンカ――――――」



魔理沙「フラン!」


 「!」


  何が起こったかわからなかった
  わかったのは左の頬が痛いことだけだった


魔理沙「そんなこと言ってんだったら、上に確かめに行こうぜ」


 「デモ――」


魔理沙「言い訳はいいから、早く行くぞ」


  魔理沙はそう言うと私の手を引っ張っていった


  ・
  ・
  ・


魔理沙「着いたぜ」


 「ここは? 食堂じゃない? なんでこんなところに…」


魔理沙「いいから、入った入った」


 「あ、ちょ、ちょっと待って―――」


  魔理沙派私に一切の猶予も与えられずに食堂の中へと押して行った

  そして―――






  パーン


     「お誕生日おめでとうございます! フランドール様!」



 「え? え? なに、これ?」

 
 魔理沙「な、言ったろ? 誰もお前の事を除け者になんてしてないって」


  食堂には紅魔館の住人全員がいた
  いつもの食堂が何かのパーティみたいに飾り付けられていた
  そしてさっき皆が言ってた事は―――


魔理沙「フラン、誕生日おめでとうだぜ!」


 「私の……誕生日?」


魔理沙「お前、自分の誕生日忘れてたのかよ。 おいおい…」


咲夜「妹様」


  そこに咲夜が現れた


咲夜「今日は妹様に内緒で誕生日パーティを開こうという事になっておりまして…。
   内緒にしていて申し訳ありませんでした。」


  ――――――そっか、隠し事はこれだったのね


 「あはは……」


  またふいに笑いが出てしまった

  同時に涙も出た

  でも今度の涙はさっきのとは意味が違っていた

  嬉しかったのだ




  私は馬鹿だった

  こんなにも皆に愛されていたんだ




レミリア「フラン」


 「グス……お、お姉、様………グス」


レミリア「お誕生日、おめでとう。フラン」


  それを聞いた時、またあの歌のフレーズが流れてきた


  でもそれは正しい歌のフレーズではなかったけど


  私が一番好きな言葉だった――――――














  ―――――――――――――――― She got married, and there were none ―――――――――――――――


                彼女は結婚しました。そして次になにもありませんでした―――
どうも、二作目です
実はこれは初投稿のものより先に書いたものです
だからちょっと変な感じになってるかも知れません・・・

さて、またまた感想お願いします!
未熟者なので至らない点が多くあると思いますが、これからもがんばっていく所存です!
少しでもいいので温かい目で見守っててください。
小さな豆
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コメント



0.700簡易評価
3.80名前が無い程度の能力削除
物語の空気感が随所に出ていて、作品に描かれている世界観がビジュアルとなって浮かんでくるようでした。
こういう作品好きだなあ。
今後の作品にも期待させていただきますよ!
18.80名前が無い程度の能力削除
そして誰もいなくなったーー
一人残されてしまった者なんて、もう居ないんです。
シンプルであるが故に王道と呼ばれるのですね。
19.無評価小さな豆削除
コメントしてくれた方、ありがとうございます!
正直、いい評価をもらえるとは思いませんでした・・・
匿名の方々も点数入れてくださり、ありがとうございます!
20.80名前が無い程度の能力削除
うーんと…掲示板とかで
名前「」
の形式が多用されるのは、匿名不特定多数な環境での清濁入り混じった葛藤やなんかの末の一つの落とし所として、という理由がない訳でもないのです

ですが、SSでは最初から最後まで己の世界を展開できるから、あまりその形式に拘らない方が良いんじゃないかなと
22.80ずわいがに削除
ですよね、やっぱり誕生日ですよねv
そっけない態度でドッキリ、これ、ハッピーエンドの素ね