[本日開店レストラン霧雨亭♪厳選されたキノコをふんだんに使いひとつひとつ丁寧に心を込めて料理を作ります]
冬から春に変わりゆく境目のある日の朝
朝食を優雅に食べているところにこの様なチラシを咲夜が持ってきたのである。
「何かしら咲夜このチラシは?朝から目にしたくない名前が出てるのだけれど」
「朝、郵便箱を開けたらそのチラシが入っていまして切り刻もうかと思いましたが一応お嬢様にお見せ致した方がいいかと思いまして」
ふむ、今日は昼食に食べたいものも特には無かったし、たまには咲夜が作る料理以外のものを食べるのもいいかもしれない...が、あの白黒の事だロクな料理は出てこないと思うのだが、まあ屋敷に居てもすることは無いし丁度いいかもしれない
「咲夜、今日はそこで昼食を食べることにするわよ異論は認めるわ」
咲夜はどう見ても嫌そうな顔をして
「え~、あそこで食べるのはちょっと」
「却下」
「......切り刻んでおけばよかったわ」
とても近くでしか聞こえないような声で咲夜はつぶやいたのだが
「そういう運命だもの仕方ないわ」
「聞こえたんですか!?」
「デビルイヤーは地獄耳よ若い子にはわからないかもしれないけれどね」
意味がわからないというかのように頭を傾ける咲夜であった
所変わってある神社
「...へ、..へ、へくち! うー風邪ひいたかな」
「風邪でも引いたの早苗、やっぱ腋を出してるからじゃない?」
「霊夢さんは風邪引いてないじゃないですか子供は風の子元気な子ですよ、そういえば何用事でもあったんじゃないですか諏訪子様」
口ではこう言ったが体に鳥肌が立っている出来るだけ早めに境内を掃除して炬燵でぬくぬくと過ごしたいものだ、もう大人は火の子と云う位になったかと思う
「ああ、そうだ忘れるところだった神社の中を掃除してたらこんなものが」
と言って帽子から取り出したのは、白黒のボディに印象的な頭そして極めつけは胸に赤く光る「V」の文字
「す、諏訪子様これはまさか!?グレートマジンガーリニューアルverフィギュアじゃないですか!」
まさか、この目で実物を見る日が来るとは、というか神社の中にあったとは日頃からきっちり掃除をしていれば、申し訳ないですグレイトマジンガー
「....詳しいね早苗」
少し引いてるように見えるが
「当然です、1970年代のアニメ・マンガはきっちり見ていますから!デビルマン、ガッチャマン、宇宙戦艦ヤマト,キューティハニー等代表的な作品は.....あれ諏訪子様?諏訪子さまー」
いつの間にか、どこかへ行かれたようで辺りを見渡しても影すらも見つからない...!あの御柱は
「神奈子様!」
「どうかしたのかい早苗」
「神奈子様見てください、このグレートマジンガーリニューアルverフィギュアを!この赤くきらめく胸部放熱板からブレストバーンを出して敵を粉砕するんです、ここで間違えやすいのがマジンガーZのブレストファイヤーなんですがブレストファイヤーの方が3万度の熱線なんですがブレストバーンは何と4万度の高熱線なんですよ!」
どこぞの文屋も顔負けのマシンガントークをとても嬉しそうに眼を光らせながら話してくるのだが
「え~と早苗、マジンガーZって...」
「む、知らないんですね!わかりました今日は撮りだめしたビデオを見ましょうそうすれば、このマジンガーZの良さが分かるはずです!さあ部屋に行きましょう!」
あ~れ~と言いながら早苗に引きずられて行く神奈子を見ながら
「ありゃりゃ、運がないな~あれは朝まで一緒にアニメを見る羽目になるだろうね、まあいいか」
………
……
.
「.....案外若い子も知っているのね」
「どうかしましたかお嬢様?」
「いえ、なんでもないわ、そういえば、パチュリーは如何したの?白黒の事だから、てっきり本返せーってついてくると思ったのだけれど、朝食にも来なかったし」
「貧血です」
さも当然のようにきっぱりと従者は言った
「..まあいいわ、それより用意はできたかしら?」
「はい、用意できましたいつでも出撃できます」
まるで敵を倒しに行くかの如くいつも以上に真剣な様子だ
「いや、昼食を食べに行くだけだから、さて行くわよ」
紅魔館の扉を開けると同時に傘の開く音が聞こえ優雅に歩き出した
じゅうぅぅぅぅっ
「今日もいい天気ね咲夜」
じゅうぅぅぅっ
「ええ、でもお嬢様からしたらいい天気では無いのではないでしょうか?」
じゅうぅっ
「晴れでも雨が降ってもどちらにしても傘無しでは外を歩けないなら足に水が掛からない晴れの日の方がいいわ」
じゅうぅぅっ
「そういうものですかね?」
じゅうぅぅぅ
「そういうものよ、....さっきから「じゅうぅぅぅぅっ」って五月蠅くないかしらなんか背中が熱いような」
じゅうぅぅぅぅっ
「気のせいじゃないですか?」
じゅうぅぅっ
「そうかしら」
......
...
.
魔法の森 この森は絶えず瘴気に溢れており、普通の人間は森の瘴気に長時間耐えられないのだが霧雨 魔理沙 彼女はここに家を置いている
「咲夜、ここまで歩いて来て聞くのもあれだけどそれは何かしら?」
「外の世界で流行のビニール傘というものですよ値段も手軽で様々な人が使っているらしいですよ」
傘を揺らしながら嬉しそうに言っているのだが
「道理で熱かったわけね、一時間以上歩いてから気づく私も私だけれど」
「案外平気なものなんですね」
羽が灰になってるのを見て言ってるのかこいつは
「で、どこにあるのかしら」
「え~とチラシの地図?によればここら辺だと思いますが」
何故か自信なさげな上に疑問形だったので
「ちょっとその地図を見せなさい.....咲夜よくここまでわかったわね、ここまで来たからには意地でも食べてから帰るわよ」
見てからわかったがこれは地図と言うよりも暗号といった方が正しいのかもしれないこれを地図と認めたら子供がおねしょをした布団も地図と言えるほどだ
「あ、あれじゃないですか」
指をさした方を見ると「霧雨亭」という大きな看板の家が見えた外観は素朴ながらも温かみのある家に見える扉には開店中と書かれていた
扉を開けると
「いらっしゃいませー」
元気のいい声を上げながら見慣れた白黒が出てきた
「ええ、いらっしゃったわよ」
「お二人様でしょうか?」
「二人よパチュリーは貧血で倒れているわ」
「タバスコはお吸いになられますか?」
「ええ....って吸わないわよ!タバスコなんてものは料理にちょこっちょこっと掛けるだけでいいのよ」
「チョコにタバスコ?」
「「やめてー」」
「まあ、いいや、そこの窓側の席にお座り致してくださいませ、注文を決められたらお呼びください」
他に客はいないようだがそれもそうか普通はこの森に来ないしね
席に座ってからまず一言
「....咲夜、あれが仕事モードってやつかしら別人みたいね」
実際ここに来るまではいつもの様に気楽に話しかけられると思っていたのだが口調が全く違うので驚いた
「はい、私も驚きましたがそういうものなんでしょうこの分なら料理の方も期待できるのではないでしょうか、失礼ながら変なものを出されたら時間を止めてお嬢様の皿に移すつもりでしたが」
.....従者か本当にこの子
一先ずメニューを見てみることにする....へえ、なかなか種類が多いいわね値段は....時価...やな予感がするわね、まあいいわ、ここまで来るのに時間がかかっておなかが減ったし、これにしましょうか
「お嬢様決まりましたか?」
「ええ、彩キノコのスパゲッティにするわ咲夜は?」
「同じもので」
...移す気ね
「かしこまりました」
「!?いつ横に来てたのよ気配すらも感じないから驚いたわ」
テーブルの横にいつの間にか白黒が立っていたがまったく気がつかなかったのだが
しばらく待っていると
「ご注文の彩キノコのスパゲッティ2つお持ちしました」
「え、ええありがとう」
やはりいつもと違う言葉使いだと慣れないわね
出てきた料理を見ると名前のように色とりどりのキノコが乗っており食欲を誘うバターと醤油の香りが鼻をくすぐる
「いただきます」
一口食べてみると麺とソースがマッチしており正直な話咲夜と比べても劣らないほどの味である
「お嬢様、おいしいですか?」
「ええ...ん?」
...手をまだつけてないようだがもしかして
「いえいえ、決して毒が入ってないか確認をしたわけでは」
美鈴を連れて来た方がよかったと思う一瞬である
「しかし、料理をできるようにあまり見えませんでしたがなかなか美味ですねこれは」
「ええ、これならまた食べに来てもいいくらいだわ」
実際あながちウソではない、たしかにここまで来るのは遠いが、たまには食べに行ってもいいくらいだ、さすがにキノコの事を知りつくしてるわけだわ、ここまでキノコの魅力をふんだんに出しているものを初めて食べたと思う。
「いや~おいしかったわお勘定よろしく」
さて、時価と書いてあったがいくらになる事だろうか味には満足したがさてはていくらか
「2つで9600円になります。」
....なんとも言えない値段である1つ4800円と云う事か高いわけでは無いと思う今の時期にキノコはそう生えてないだろうしあそこまで美味しいキノコ料理は今まででもあまり食べたことはない...だが何故か腑に落ちない..もしかしたら詐欺ではないだろうか..まあそれでもいいか
「はい、なかなか美味しかったわ気が向いたらまた来るわ」
「はい、ありがとうございますまたのご来店を~」
.......
....
.
「いや~まさかうまく行くとは思ってなかったぜ」
「いやいや、私にかかればこんなものよ、これでも月の賢者様に仕えてるんだから」
白黒の少女は帽子を外すと頭から兎の様な...いや兎の耳が見えた。
「しかしはらはらしたぜ、言葉づかいも全然違ったし」
「まあ、そうだろうね、でもああいうときはあえていつもと違う言葉づかいの方がいいんだよ」
「そういうものか?」
「そういうものだね」
「そういえば、なんでうちでレストランなんかを開こうと?自家用キノコがあるからかうちには?」
「ん~たしかに魔理沙の家の自家製キノコもいいけれど、好条件なんだよここは普通の人間は入ってこれないし、逆に言うとこんなところまで来たからには意地でも食べてから帰ろうと思うでしょ、多少値段が高くてもねそれに」
「それに?」
「空腹は最高の調味料と言うしね」
笑いながら白い兎は言ったのであった
魔法の森へ来た時は御贔屓に「霧雨亭」またの名を「霧雨てゐ」
腹黒かったけどな。
でもいくら、デビルイヤーとて地獄耳すぎるだろwwww
そして、マジンガーネタが全部分かる私(中1)
(平成ゆとりだから)
けど面白かったです。
まぁそう言いながら最後まで読んでしまったわけですが。
それにしてもデビルイヤーにも程があるww