Coolier - 新生・東方創想話

おでこ。

2010/01/26 22:36:51
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「これと、これと…これください。」
「はいよ、お代は…」
夕食の材料の買い出しの途中の出来事である。いつも通り大量の食材を買い集めていた。
「まいどあり。妖夢ちゃんいつも大変ねぇ。」
「いえいえ、慣れてますから。」
お店のおばちゃんが気遣ってくれる。こういうちょっとした気遣いが私はうれしかった。
「それじゃ、私はこれで。」
「はいよ、いつもありがとうね。」
おばちゃんに一言挨拶をしてその場を離れる。
「さて、次は…」
次の食材を買いに行こうとしたら、とある人物に出会った。
「「あ」」
紅魔館のメイド、十六夜咲夜である。
「こんにちは、いや、こんばんは、かしらね?」
咲夜さんがにっこりと挨拶してくる、いつみてもこの人はきれいだ。さすが瀟洒なメイドと言われるだけはある。
「こ、こんばんは。偶然ですね。こんなところで会うなんて。」
少し声がうわずってしまうのは緊張のせいだろう。この人の前だと何故か少し緊張してしまう。
「偶然ね、あなたは…見たところ夕食の買い出しといったところかしらね。」
「そうなんですよ、ゆゆこ様が大食らいなんでいつも食材の量がですね…」
「大変ねー、うちもお嬢様がわがままだから食材集めるのにいつも苦労するのよ…」
ふぅ、と二人してため息をつく。
「…ねぇ、少し寄り道していかない?」
「え?時間、大丈夫なんですか?」
「私は平気よ、あなたは?」
「私も平気ですけど。」
本当はそんなに時間はなかったけど、咲夜さんが誘ってくれたのでついついOKしてしまった。
「それじゃ決まりね、少しお茶でもしていきましょう。」
咲夜さんがにっこりと微笑む。私はその笑顔に見とれながらも首を縦に振った。

******

「それでねー、最近お嬢様が「小悪魔的なんたら」とかにはまっちゃってねー。」
「あーそれは…」
他愛ない話をして時間を過ごす。
咲夜さんとの会話のタネはいつも自分たちのご主人様についての話だった。
「そういえば、ゆゆこさまがー」
「ふふっ、なによそれ。」
楽しい時間が流れていく、でもそれもすぐに終わりを迎えてしまう。
「あ、そろそろ時間ね、誘っておいて悪いけど、この辺で。」
咲夜さんが席を立つ。つられて私も立つ。
「お代は私が持つわ、私が誘ったんだし。」
「いや、そんな悪いですよ、私も半分出しますよ。」
「いやいいっていいって。」
「いやそんなわけには…」
私も咲夜さんもお互いに譲らない。おごってもらうなんて咲夜さんに悪い。でもこのままじゃ埒があかない。
そこで私はこう提案した。
「じゃあ、今回は咲夜さんにお願いします。でも今度は私におごらせてくださいね?」
「あら、じゃあそうしましょう。また次の機会の時はお願いするわ。」
話がまとまったので支払いにいく。
「支払いは私に任せて!」
バリバリ
「やめて!」

******

「随分と長い間話し込んじゃってたみたいね。ごめんなさいね、付き合わせちゃって。」
「いえ、そんなことないです、私も楽しかったですし。」
帰り道、途中まで道が一緒なので二人並んで帰る。
しばらくの間無言が続く。でも私は不思議と嫌な感じがしなかった。
「ね、手、つなぎましょうか。」
咲夜さんが唐突に提案し、手を差し出す。驚いて咲夜さんの顔をみると、やはりにっこりと微笑んでいた。
断る理由はない、むしろうれしい提案だった。私は二つ返事で咲夜さんの手を握った。
咲夜さんの手は冷たかったが、ずっと握っているうちに暖かくなっていった。
「妖夢の手、暖かいわね。」
「咲夜さんの手が冷たすぎるんですよ。こんなに冷えてて寒くないんですか?
「うーん、長いことこのままだからかしらね、もう慣れちゃったのかもしれないわね。」
不意に、あの話を思い出した。手が冷たい人は心が、という話。
「咲夜さんは手が冷たいから、心が優しいんですね。」
「あら、その話?そんなの迷信よ。」
そっぽを向きながら言う。しまった、気分を悪くさせてしまっただろうか、と考えていると。
「だって、それじゃ妖夢の心が冷たいみたいになっちゃうじゃない。」
咲夜さんがぎゅっと私の手を強く握る。
「私は、妖夢の暖かい手が好き。妖夢の暖かい心も好きよ。」
突然の告白に私は言葉を失った。
返答に困り、咲夜さんを見上げると、耳まで真っ赤になっていた。
「咲夜さん、慣れないことは言うものじゃありませんよ。」
「う、うるさいわね。仕方ないじゃないの。こんなこと言うのは初めてなんだから…ってなに言わせるのよ。」
振り向いた咲夜さんは苦笑をしていた。
「やっぱり咲夜さんは可愛いな…」
「え?」
しまった、あまりに可愛かったから考えが声にでてしまったようだ。
「あ、いえ、なんでも…ないです…」
こんどは私が耳まで真っ赤になる番だった。

「妖夢。」
「は、はいっ、なんですか。」
「ちょっとこっちむいて。」

言われて、咲夜さんの方を向く。
おでこにキスをされた。
「ふふ、お返しよ。ありがとう、妖夢。」
私はなにも言うことが出来ず、ただおでこに残った柔らかい感触を思い出すことしかできなかった。


おわり。
初投稿です、金属片と申します。よろしくお願いします。
友人にリクエストされて書いた物です。
アドバイスなどがあれば教えてくれると嬉しいです。
それでは。
金属片
[email protected]
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コメント



0.910簡易評価
2.60名前が無い程度の能力削除
この組み合わせはなかなかいいと思うよ
ただ、色々ぬけ落ちすぎて何がなんだか分からないよ
きちんと補完して、もう一度投稿してほしいです。
13.70名前が無い程度の能力削除
面白いけど……
咲夜の『バリバリッ』は許せねえww
19.70ずわいがに削除
たまに見るこのカップリング、悪くないな。
これは友達以上恋人未満、ってやつですかな?
25.70名無しさん削除
さくみょん良いですね!
探してました!