『スープカレー』
家庭で作られる洋式のカレーや、日本のインド料理店でよくみられる乳製品と油を多用した北インド風のカレーとは異なる、とろみの少ないスープ状のカレーである。どちらかというと南インドや東南アジア諸国のカレーに近い。北海道の代表的な農作物であるジャガイモ・ニンジンなどの根菜を大ぶりに切って具とするのが特徴のひとつである。
現在北海道には、札幌市を中心に200店以上のスープカレー店が存在すると言われている。ブームの始まりは、若年層の口コミによるところが大きい。基本的にご飯とカレーは別の器で供される。
スープカレーがブームとなって以降、欧風カレーを薄めてスープ状にしたものや、従来からある東南アジアのカレーを「スープカレー」と称する例もあらわれ、ブームを促進した。
……ふむふむ
「────ちゃん」
多くのスープカレー店の店主が「大きな影響を受けた店」として挙げるのが、「薬膳カリィ本舗アジャンタ」である。1971年に開店し、漢方の薬膳スープとインドのスパイス料理を融合した「薬膳カリィ」を開発し、一日20食限定で出したところ口コミで評判となった。はじめは具無しだったが、1975年に「もったいないから出汁に使った鶏肉も出して」という客のリクエストにより具入りになったという。1984年には「スリランカ狂我国」が開店。スリランカ料理をベースにした「スリランカカレー」を出して人気となった。1985年には初めて素揚げ野菜を使った店として、またトマト系スープカレーの先駆として知られる「木多郎」が開店。1993年には初めて「スープカレー」という名前を考案した「マジックスパイス」が開店。インドネシアの「ソトアヤム」をヒントに開発した独特のカレーが評判となり、その後のスープカレーブームを牽引する役割を果たした。
……ほほぅ
「──ぉねえちゃん」
1990年代中ごろから札幌・道央圏を中心にスープカレー店が続々と開店し、いわゆる「ルーカレー」とは異なる「スープカレー」という新しい料理が認識され始めた。はじめはマニアに注目されるにとどまっていたが、徐々に一般人にも評判が広がり、2002年から2006年ごろにかけて大ブームとなった。マスメディアによって北海道の新名物料理として「スープカレー」が盛んに取り上げられたが、広大な北海道では、札幌・道央圏、道南圏、道北圏、道東圏の各地域で食慣習が異なり、「スープカレー」は札幌・道央圏の新名物料理という傾向が強い。 ~ウィキペディアより~
……ははぁ~ん
「……もう、お姉ちゃんってば!」
ゴツン。
鈍い衝撃と共に視界が下がった。
私の意識は強制的に現実に引き戻される。
「あら、こいし」
「あらこいし、じゃないよまったく……また朝まで本読んでたの?」
机の上の時計を見ると短針が7時に迫ろうとしていた。
厳密に言えば地底に『朝』という概念はないけれど、地上(うえ)では日が昇っている頃だろう。
「そうみたいね」
「こんなことばっかりしてると身体壊すよ?」
「もう壊れてるわ」
いろいろと。
とにかく、世間全般でいえば朝なようだ。
目を覚まして活動を始める時間。
こんな時間まで本を読み漁っている私は不健康のレッテルを貼られても仕方が無い。
しかし、今日はこれまた世間でいえば日曜日。
灼熱地獄の管理を止めるわけにはいかないけれど、一応公務員みたいなものである私にとって今日はお休み。
休日、ホリデー、スーパーダラダラタイム。
「あら、もう出かけるの?」
「うん、今日はどこ行こうかな~」
しかしながら、妹の格好を見てみれば既にお出かけ準備万端である。
まったく、日曜の朝から元気なことだ。
どこへ行こうか、なんて言っている妹だけれど、この子に行き先なんてものはない。
地底を出たならあっちへフラフラこっちへフラフラ。
そういえば最近フランなんとかって友達が出来たと言っていた。
やっぱりフランフランだ。
「あ~……」
「ん、どうしたの、お姉ちゃん?」
「なんでもないわ」
フラフラでフランフラン。
自分で考えておいて意味が分からない。
疲れてるのかしら。
「やっぱり眠そうだね」
「ええ、悪いけれどコーヒーでも入れてきてくれるかしら」
「やだ」
「そう……」
さっさと寝ろよ駄目姉貴。
妹の心は読めないけれど、なぜだかそう考えている気がした。
「じゃ、わたし出かけてくるね」
「あ、ちょっと待ちなさい」
部屋から出ようとした妹を呼び止める。
「ごはんは食べたの? まだなら炊いておいたのが……」
「食べたよ、しっかり二杯」
そう言って妹はブイサインをだす。
どんなことになっても朝ごはんは大切だ。
妖怪にはそんなもの必要ないという者も多いが、食べないと一日は始まらない。
スープカレー食べたい。
「ハンカチ持った? ティッシュは?」
「大丈夫だよ~、もう、いちいち言わなくっても大丈夫だって」
「用心に越したことは無いわ。……あら」
座っていた椅子から立ち上がり、扉の前のこいしに歩み寄る。
ずっと動かなかったからか、一歩進むごとに立ちくらみに似た感覚が私を襲った。
「靴紐、ほどけてる」
「ありゃ」
「転んだら大変よ? 気を付けなさい」
「はーい」
靴紐を固く結び直してやると、こいしの正面で向かいあう。
相変わらずの、私に似ているけれど私と全然違う顔。
その頭に載った帽子ををポンポンと叩いて、
「じゃ、いってらっしゃい」
寝不足のひどい顔で見送った。
「……さて」
なんだか、何をするにも面倒。
……昼過ぎまで、寝ましょうか。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「きのう飲み過ぎであったま痛って~♪」
なんだか良く分からない歌を口ずさみながらガシガシと歯ブラシを動かす。
鏡に映った自分の顔はまだほんのり赤らんでいる。
昨日、いや、日付の変わってたと思うから今日か。
旧都の大通りでかなり遅くまで宴会が続いていた。
それの最期まで生きてたはずだから眠ったのも結構遅かったと思うけど。
「いやぁ、クラクラする」
そう言ってても、飲んだ次の日は早くに目が覚めてしまうのはなんでだろうね。
「きっと宴会のワクワクしたのが残ってるんだよ」
「お、日曜だってのにずいぶん早いじゃないか」
「そうかな? 普通だと思うけど」
井戸の影からいつの間にかこいしが顔を出していた。
いや、こいつがいきなりじゃない時なんて無いか。
「まぁ、いいか。おはよ、こいし」
「おはよう、勇儀お姉ちゃん」
ちょいと心にグッとくる。
私のことを『お姉ちゃん』なんて呼んでくれるのはこの子だけだ。
普段は『姐さん』とか『姐さん』とか呼ばれてるものだから『お姉ちゃん』なんて可愛らしい呼び方されたら恥ずかしいやらこそばゆいやら嬉しいやら。
「いやはや……」
「なにニヤニヤしてるの?」
「いやぁ、そのお姉ちゃんってのに弱くてねぇ」
おに、うそつかない。
おに、うそつけない。
「お姉ちゃん」
「はぅん」
「勇儀お姉ちゃん」
「ゃん」
「勇儀おねえさん」
「なんだい?」
「姉御」
「おう」
やっぱり『姉御』の方が自分でもしっくりきてしまうのが寂しい。
やっぱり私はどこまでいっても『姐さん』気質なんだな。
ハァ。
「すごい状況だね」
「ああ、だらしない奴らだよ。まったく」
大通りには脱落した奴らの屍が転がっている。
うんうん唸ってるのが大半だけれど、それがかえって悲壮感を煽る。
「大丈夫なの?」
「水でもぶっかければ目を覚ますさ。こんなになってもこいつらは鬼だ」
「こんな人たちに水をかけるのが一番の鬼だね」
「そりゃあそうさ、だって私はみんなの『姐さん』だからね」
「お姉ちゃん」
「くぅん」
……勘弁しておくれ。私が壊れる。
なにか突破口をと辺りを見回したが、見事に酒しかなかった。
もう酒でいいか。いや、『で』ってのは酒に失礼だな。
酒さいこー
「ほれ」
「これは?」
「土産。地上の奴に飲ませてやっとくれ」
「……蓋、空いてるんだけど」
「おっと、開けてないやつは……」
ガラガラとビンの山を崩す。
皆好き放題開けるもんだから中途半端なビンばっかりだ。
それでも一本くらいは……
「お、あったあった。ほれ」
「一升瓶まるごと!?」
「あぁ、みんなで飲むといいさ」
「……うん」
流石に一升瓶は小さな身体のこいしには辛かったか。
それだけで背中のリュックがパンパンになってしまった。
それでもこいしはこっちへ笑いかけてくれる。
「じゃっ」
「……あぁ、いっといで。上の奴らによろしくね」
のっそりのっそりとこいしは歩いていった。
それを見送ってから、一度息をつく。
──さて、『お姉ちゃん』の時間は終わりだ。
日曜だろうと月曜だろうと皆の前では私は『姐さん』だ。
頼りになる存在じゃないといけない。
「さぁ、みんな起きな! 片付けするよ!」
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日曜だってのに朝から私はお仕事。
日曜だから朝から私は大忙し。
アイドルのお仕事、大仕事は日曜にやってくるのさ。
「さらさら~」
と、言うわけで今日は旧都でサイン会。
元々サインなんて書くこともそんなに無いから練習中。
でも、どうせそんなに大勢来ないから会場は茶屋の店先。
「ヤーマーメ……っと」
お、良い感じに書けた。
『ヤ』から『マ』に繋げるこの曲線がポイントだね。
はい、あげる。
「わーい、ありがとー」
「はい、次の人ー」
「『こいしちゃんへ』って入れてもらってもいい?」
「おーけーおーけー、どれ、”こいしちゃんへ”っと。これでいい?」
「わーい、ありがとー」
「はい、次の人ー」
「『こいしちゃんへ』って入れてもらってもいい?」
「おーけーおーけー、どれ、”こいしちゃんへ”っと。これでいい?」
「わーい、ありがとー」
「はい、次の人ー」
「『こいしちゃんへ』って入れてもらってもいい?」
「おーけーおーけー、どれ、”こいしちゃんへ”っと。これでいい?」
「わーい、ありがとー」
「はい、次の人ー」
「『こいしちゃんへ』って入れてもらってもいい?」
「おーけーおーけー、どれ、”こいしちゃんへ”っと。これでいい?」
「やっぱり、こんなにいっぱいいらないや」
私の前に色紙の山が出現した。
書いた覚えも渡した覚えもないけれど、犯人に憶えはある。
というか目の前だ。
「ちょっとこいし、用意した色紙の半分に”こいしちゃんへ”って入ってるんだけど?」
「なんでだろう? 不思議だね、ヤマメお姉ちゃん」
「不思議だねぇ、こいし?」
ふたりで「ふっしぎ~」と笑いあう。
まったく、無意識って怖い。
まぁ、これはこれで悪くないかもしれないから、いいや。
「朝、早いんだね」
「仕事だしね。それに、アンタほどじゃない」
「起きちゃうんだもん。それに、お姉ちゃんほどじゃない」
「さとりのやつ早起きなんだ、意外だよ」
「寝ないのが一番の早起きだよね?」
「ハハ、ちがいない」
相変わらずだ、アイツ。
「ねえ、アイドルって楽しいの?」
色紙に自分のサイン(?)を書きながらこいしが聞いてきた。
芸術的なまでにイラストなサインだ。
「楽しいよ、アンタもやってみる?」
私は即答する。
「えー、私も?」
「やってみるとわかるから」
「なにが?」
「やってみないとわからないかな」
「そんなー」
「ずるーい」とこいしは駄々をこねる。
でも、こればっかりは伝えられるものじゃない。
他人に楽しんでもらう楽しさも。
喜んでもらう嬉しさも。
別に独り占めしようってのじゃないし、こいしにも一度は味わってもらいたい。
……さとりには悪いけど、妹さんの目、開いちゃうかもしれないよ?
「うーん、そのうち」
でも、どうやらそれはまたの機会になったようだ。
ま、いいや。
まだライバルの出現には早すぎるから。
「じゃあ、そろそろ行くよ」
「ほら、忘れ物だよ」
立ち去ろうとするこいしにさっきまで書いていたサインを投げ渡す。
それを受け取るとこいしは不思議そうに首をかしげた。
「私のサインを私が持ってても仕方ないよ?」
「記念だよ。未来のアイドルが生まれた瞬間の」
「デビューなんて、私聞いてない」
「いいから持ってなって。いつか大切なものになるから」
最初の一歩はずっと残しておくものだ。
迷ったとき、そこに戻れるように。
「わかった、もらっておくよ」
そう言って、こいしは去っていった。
「おっと」
まるでそれを待っていたかの様に、お腹の虫が鳴き声をあげた。
こいしには偉そうなこと言ったけれど、最近収入は減少傾向だ。
出費は出来るだけ抑えたかったけれど、仕方ない。
「おばちゃーん! お団子みっつー!」
腹が減っては何とやら、だ。
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風には『色』があると、そう思う。
月火水木金土日、七曜がそれぞれ違う名前を持つように。
良いことも悪いことも、風が一日を運んでくる。
そして、今日は日曜日。
一週間で一番気持ちの良い『色』の風が吹く日。
太陽の届かない地底もどこか暖かくて、旧都の鬼達の顔色も心なしか明るい。
まぁ、そんな奴らを妬むのが私の仕事のようなものだけれど、こんな朝っぱらからそんなことしていたら参ってしまうから「この時間だけは」なんて思う。
寝巻き代わりの浴衣姿のまま、コーヒーの入ったカップを片手に家を出る。
すぐに目に入るのは地上とを繋ぐ橋、反対を向けば息を吹き返し始める旧都。
今日はどんな日になるんだろう。
そんなことを考えながらカップに口付けてひとり、呟く。
「……気だるい昼下がりだわ」
「まだ朝だよ?」
「こういうのは気分の問題なのよ、こいし」
「そうなの? パルお姉ちゃん」
残念、ふたりだ。
まるで私の出てくるのを待っていたかのような登場タイミングだった。
こいし。
あいつの──さとりの妹。
姉と違って目はパッチリと開いていて、目はバッチリと閉じていて。
引きこもりのあいつとは正反対に放浪癖。
ほんとに姉妹なのかしら。
「そのパルお姉ちゃんっての止めなさい、なんか変な感じだわ」
「なんで? パルスィお姉ちゃんって言いにくいだもん」
「呼び捨てでいいじゃないの」
「パルっち」
「誰だ」
「パルスィ、って名前自体が言いにくいわ。改名したら?」
あぁ、あいつの妹だ。
間違いない。
「ところで何? その酒瓶」
背負ったリュックから太い酒瓶が頭を出している。
朝っぱらから一升瓶を背負って歩いている姿はかなり怪しい。
「勇儀お姉ちゃんに貰ったの。お土産に持って行けって」
「まったくあいつは……重くないの?」
「え、あげないよ?」
「いや、いらないし」
「どうしてさ、妬ましいって言ってよ」
「いやよ」
私を妬む機械、ネタマシーンとでも思ってるんだろうかこいつは。
私だって日曜の朝の空気を味わう余裕くらいあるのだ。
別に年中ずっと嫉妬してる訳じゃない。
「ねたましー」
「あんたが言うな」
「え? 私なんか言った?」
便利な言葉よね、無意識って。
ねたまs……なんでもない。
「ところでパルお姉ちゃん、時間大丈夫なの?」
時計を見ながらこいしが言った。
はて、時間?
ほら、とこいしが時間を見せてくる。
えっと、現在時刻は……やば、のんびりしすぎた。
「早く言いなさいよ!」
慌てて家に戻る。
こんなことしてる場合じゃない。
「──っと、ちょっと待ちなさい」
……だけどその前に。ずっと気になってたことを片付けよう。
もう一度こいしへ向き直って、少しだけずれていた帽子を直してやる。ついでに襟元も。
どうせ地上に行くのだろう、それなら身だしなみくらいキチンとしていかないと。
「……ほら、これでいいわ」
「もう、そんな細かいところいいのに」
「駄目よ、キチンとして行って……」
最後に、頭を軽く撫でてやる。
「いっぱい、妬まれてきなさい。こいしは可愛いんだから」
くすぐったそうに頷くと、こいしは歩いて行く。
そんな様子を見送っていると、風が吹いた。
こいしにとっては追い風で、私にとっては向かい風。
スッと、それを胸いっぱいに取り込んで、吐き出す。
この風は何色だろう?
私を邪魔するこの風は
こいしを助けるこの風は
日曜の街に吹くこの風の色は──
「あ~、妬ましい風」
家の中に戻って、急いで電源を入れる。
最近地底に流通し始めた『テレビジョン』
時間を確認。
よかった、まだ大丈夫だ。
「だーびーえー♪」
気持ちの良い日曜日
そんな朝の風は、嫉妬の緑色。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「んん~っ」
地上の光に目をくらませて、重たい荷物を置いて大きく深呼吸。
いつも通りの日曜日のはずが、なんだかいっぱい背負っちゃった。
とりあえず、このお酒はどうしよう、フランのところに持っていけば飲みきれるかな。
あそこ大勢居るし、むしろ足りないくらいかも。
「……ん?」
ふと辺りを見ると、見慣れた人影が居た気がした。
『人影』だよね?
「えっと、キスメお姉ちゃん?」
いつも桶に入ってるキスメお姉ちゃん。
実は下半身を見たことが無いキスメお姉ちゃん。
本当に『お姉ちゃん』でいいのかな。
さて、近づいてみるとやっぱりキスメ『お姉ちゃん』だった。
なんでお姉ちゃんかわかったかっていうと、初めて身体全体を見たから。
あれで男の人だったら性別の境界を疑うよ?
「なにやってるの?」
キスメお姉ちゃんは無口だ。
これまた話しているところを見たことがないかもしれない。
しばらくその声が聞けるんじゃないかと期待していたんだけど、キスメお姉ちゃんは手にしたものをこっちに向けてくれただけで、喋ってくれない。ざんねん。
でも、何をしていたかは大体分かる。
私に手渡そうとしているのは、どこにでもあるタオル。
そしてキスメお姉ちゃんは上半身裸だった。
「乾布摩擦?」
キスメお姉ちゃんはこくりと頷いた。
もう一度タオルを向けられる。
「一緒にやる?」クリンとした丸くて大きな目がそう言っていた。
「ごめん、また今度にするよ」
今、服脱いだら風邪引きそうだし。
キスメお姉ちゃんは一瞬残念そうな顔になったけど、やがてカバンから違うタオルを取り出すと、三度目の正直とばかりに私に差し出す。
「あげる」今度はきっと、そう言っていた。
「うん、ありがと」
今度は素直に受け取って、地面に置いてあったリュックに引っ掛ける。
「じゃ、またね」
キスメお姉ちゃんは薄っすらと笑うと、ひらひらと手を振った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「おも……」
お弁当にサイン色紙、タオルに……一升瓶。
その他にもいろんなものが詰まったリュック。
ほんと、背負うのも一苦労だ。
でも、もって行かなくちゃ。
せっかくお姉ちゃん達が私に託してくれたものだ。
しっかり届けなくちゃ。
ふいに、背中が軽くなった。
振り向くとキスメお姉ちゃんがリュックを支えてくれていた。
「……よいしょ、っと!」
一気に背負って、しっかりと身体に固定するといくらか負担は軽くなる。
「ありがとう」
キスメお姉ちゃんはもう一度笑って手を離すとそのまま地下に戻っていった。
「さて、と」
どうしよう。
私は行き先を決められない。
お姉ちゃんはそう思ってるみたいだけど、それは昔の話。
最近は結構融通きくようになったんだよ?
もう子供じゃないんだから。
フランのとこへ行こうかな。
知らない場所へ行ってみようかな。
誰かと会えるのかな。
楽しいことはあるのかな。
怪我したら怒られちゃうのかな。
いっぱい考えてもしょうがない。
結局出来ることは一つなんだから。
でも、時間はまだあるよ。
あと、どれくらいかは分からないけど。
とにかく歩いてみよう。
狭い幻想郷、行けば何かが見つかるさ。
「じゃ、いってきます」
──さぁ、私達の日曜日はこれからだ。
ははぁ~んとネタマシーンで不覚にもニヤっときた
普通に面白かったです さぁー今日も頑張りまっしょい
お空寝すぎww
ヤマメたちのとの会話なども面白かったです。
アイドルなはずのヤマメ以上に人気があるんじゃないだろうか。
しかし個人的にはキスメのが幼い気もする
もっとやれもっとやれもっと下さい
面白かったです
横にいた上司に変な目で見られました。謝罪と賠償を(ry
土日も祝日もない仕事ですが、烏丸さんの地霊組が素敵な清涼剤になりました。
日曜出勤残り数時間、頑張れそうです。
そしてまた、月曜が始まる…
少し切なくなりました・・・。
でも明日から頑張れる気がします。GJ。
日曜日にもっとも遠い日に読んだけど和みました。
これは和むなあ
特にネタマシーン、もといパルパルがライダーのファンとか、なかなか新鮮かと・・・(にまにま
あと、姐さんはやっぱかっけーです!!
「さあ!あんたの罪(妬ましさ)を・・・数えなさい!!」
・・・なんか読み返していくうちに、某ハードならぬ「ハーフボイルド」探偵なコスをしたパルパルが、Wなドライバーのベルトつけながらこういう台詞を決めちゃってる光景が思い浮かびました・・・(苦笑)。
勝った!俺の土日はこれからだ!
パルスィお姉ちゃーん!僕ネクタイ結べないよ!
木曜日に読みまして、気が早いですが日曜日が恋しくなりました
(どうせおくうみたいに半分以上寝てるのにねぇ……)
そんな詩的なこと考えてるのさとりにさとられて真っ赤になるパルスィかわいい
あとヤマメさん、その子は既にライバルです