ててててーててーててってっ(タイトルBGM)
幻想世紀末戦隊ゴレンジャイ
僕はいつものように椅子に腰掛け本を読みふけっていた。
ただ今日は普段と趣向を変えて、漫画というものを読んでみていた。
その中では様々なキャラクターたちが動き、セリフを発し、物語が展開されていく。
普段小説や参考書しか読んでいない僕にとって、それはかなりの衝撃だった。
しっかりとした人間ドラマも描かれていたし、胸が熱くなる展開もある。
少女漫画というものは妙にどろどろしていて本当に少女漫画と呼んでいいのかわからないが、案外本質を描いているといえるのかもしれない。
僕のお気に入りは少年漫画で、戦隊ものの五人のメンバーが悪を倒すという王道のストーリーだった。
「魔理沙には謝らないといけないな」
子供っぽいものをとからかったらじゃあ読んでみろと投げつけられたのだ。
今度顔を出したらとっておきのお菓子でもあげようか。
カランカラン。
「ん」
来客を示す音が聞こえた。
「魔理沙?」
そこにいるのは魔理沙だったが、何か様子がおかしい。
普段だったら「おっす香霖」とか「邪魔するぜ」なんて言いながら入ってくるはずなのに。
「……」
今日の魔理沙は目が座っていて、何か尋常ではないオーラを発していた。
「どうしたんだい一体」
「ふ、ふふふふふ」
突然笑い出す。
僕は思わず身構えた。
「ふっふっふ。気付いたんだ香霖。お前みたいなの相手にちんたらやってても無意味だってことに」
「なんだって?」
何を言おうとしているんだろう。
「こういうことだっ!」
「うわっ!」
飛び掛ってきた魔理沙に僕は押し倒されてしまった。
僕の上に飛び乗った魔理沙は僕の両腕をがっしりと押さえ、息を荒げている。
「待て、どうしたんだ。子供っぽいとからかったのを怒ったのか」
「子供扱いはもうごめんだ! だから、香霖を頂く事にする」
そう言って手をわきわきさせていた。
「頂くだって?」
おかしい、魔理沙は妖怪ではない。
それが僕を頂くとは一体どういうことなんだ―――
「安心しろ! 優しくしてやるぜ!」
そう言って魔理沙は僕の服を強引に脱がそうとし出した。
「止めろ魔理沙、正気か! 落ち着くんだ!」
「私は正気だ! 香霖を私のスペルカードにしてやる!」
何やら意味のわからない事を叫んでいる。
「だ、誰か!」
僕は叫んだ。
「助けを呼んだって無駄だ! こんなところになんか誰も――」
僕の胸板が魔理沙の手で完全に露にされる。
そこに、声が鳴り響いた。
「待て―――――い!」
何だ?
僕と魔理沙は声のした方向を見た。
そこは押入れで、中に誰かいるはずなんかないのに。
がらっ!
しかしその中から、それは現れた。
「ミコレンジャイッ!」
押入れから現れた、蛇と蛙の髪飾りをつけた緑色の髪の巫女。
「ミコレンジャイッ!」
玄関から現れた、空を飛ぶ紅白の巫女。
「メイドシルバー!」
クローゼットから現れた、完全で瀟洒な従者。
「不夜城レッド!」
隣の部屋から現れた、永遠に幼い吸血鬼。
「ユカリンジャイ!」
窓から現れる、境界を操る妖怪。
彼女らは部屋の中央に並び、全員で手を正面に突き出すポーズを取って叫んだ。
『五人揃って! ゴレンジャイ!』
そして緑色の髪の巫女が一歩前に出て叫んだ。
「さあ逃げてください! 悪者め! 幻想郷の平和を乱すものは私たちが絶対に許しません!」
僕は唖然として目の前の光景を眺めていた。
「な……なんだ、お前ら!」
立ち上がった魔理沙が叫ぶ。
再び彼女らはポーズをとった。
『五人揃って! ゴレンジャイ!』
「…………」
絶句する魔理沙。
僕も何がなにやら状況はさっぱり飲み込めなかったが、取り合えず最初に言う事は決まっていた。
「違う」
「え?」
「違う。君らおかしいだろう」
はだけた衣服を直し、立ち上がる。
「何なんだい? 君ら」
一応リーダーらしい最初に名乗り出た緑髪の巫女の少女に尋ねる。
「ゴレンジャイです!」
「ゴレンジャイじゃないよ。君個人はなんだっけ?」
「ミコレンジャイ!」
びしっと決めポーズをとる。
「君は?」
隣の少女に尋ねる。
君はも何も、どう見てもそれは霊夢なのだが。
「ミコレンジャイ!」
びしっとポーズを決める。
そしてちらりと残りの方々に目配せをした。
『五人揃って! ゴレンジャイ!』
「違う違う違う。おかしいって」
「何が違うんですか?」
ミコレンジャイその1が不満そうな顔で僕を見る。
「あー」
言いたい事は山ほどあるのだが。
「……何でミコレンジャイが二人いるんだい?」
「それはだって、私巫女ですし」
「早苗がミコレンジャイなのに私がミコレンジャイをやらないのはおかしいでしょう?」
その1のほうは早苗という名前らしい。
戦隊ものの正体をそんな簡単にばらしていいんだろうか。
「いやおかしいだろう。なんで全く同じ名前が二人いるんだい。せめてミコレッドとかミコグリーンとかで分けるべきじゃないのかい?」
「……諏訪子様と同じ事言ってる……」
既に誰かに指摘された後のようだった。
「えー、早苗……だっけ」
「ミコレンジャイです!」
「そこだよ。じゃあ仮に僕がミコレンジャイと呼んだとしよう」
「何ですか?」
「何よ?」
二人が同時に反応した。
「ほら、ややこしいじゃないか」
「いや、それは霊夢さんのほうがミコレンジャイを辞めるということで」
「何で私が辞めなきゃいけないのよ! おかしいでしょ!」
霊夢が早苗に向かってうなりを上げる。
「取り合えずおかしいところは他にもあるんだ。聞いてくれ」
ケンカをはじめそうな雰囲気だったので慌てて次の話に移る事にした。
「えー、君」
「何でしょう?」
にこりと僕に向かって笑う。
彼女は紅魔館のメイド、咲夜だ。
彼女はあまりこういうノリには付き合わないかと思っていたのだがそうでもないらしい。
「メイドシルバー?」
「はい。メイドシルバーです」
「なんで前の二人がミコレンジャイなのにメイドシルバーなんだい?」
名前に統一感がまるでないじゃないか。
「だってメイドレンジャイじゃ語呂が悪いでしょう?」
「それはまあそうだけど……メイレンジャイとか」
「それだと何を指しているのかわかりませんわ」
「……まあ、うん、だから何で……」
そもそも君はゴレンジャイに参加しようと思ったのかと聞こうとしたが止めた。
聞いても特に何も解決出来なさそうだからだ。
「次」
咲夜の隣で悠々と紅茶を飲んでいる少女に話しかける。
いつの間にそんなものが用意されたんだろうか。
「不夜城レッド?」
「不夜城レッドよ」
「……確かそれは君のスペルカードの名前だった気がするんだけど」
「だって戦隊ものっていったらレッドでしょう?」
その主張は間違ってはいないが、何かが決定的に間違っている。
「普通レッドはリーダーをやるものなんだけれど」
言い終えてから余計な事を言ってしまったと思ったが、既に遅かった。
「じゃあ私がリーダーをやるべきでしょう! 最初から早苗がリーダーとかおかしいと思ってたのよ!」
そう叫んだのは霊夢である。
「そういう常識に囚われてはいけないんです! 今求められているのは新しい風なんですよ!」
早苗も負けじと言い返していた。
「戦隊物に限って言えば出来る限りお約束は守るべきだと思うんだが」
さっきまで読んでいた漫画でもそうだった。
こういうものに読者はやはり、王道を望むものなのだ。
「ほら! 聞いた!」
「う、ううう」
「でも君らは全員約束のひとつも守ってないよ」
これではゴレンジャイとして認めるわけにはいかないのだ。
「ゴレンジャイのメンバーなら、君はバンパイアレンジャイとでも名乗るべきなんだ」
「語呂悪いわね。それに吸血鬼って別に職業じゃないわよ?」
「……それはまあ、そうなんだけど」
果たしてレミリアの職業とは何なんだろうか。
紅魔館の主。
コウマンジャイなんて言ったら殴られそうである。
「とにかく駄目なものは駄目」
適当に誤魔化す事にした。
「……さて……」
最後の最後に、一番面倒なのを相手にしなくてはならない。
「何だっけ?」
「ユカリンジャイよ」
彼女の正体は八雲紫である。
何故か怪しげなセーラー服風の短い衣類に身を包んで髪を左右に結んだツインテールになっているが、間違いなく八雲紫のはずである。
「まず、その格好なんだけど……」
「外の世界ではセーラームーンという美少女の五人組がいるんですのよ?」
そう言ってびしっと中央で腕を十字に組んだようなポーズをとる。
「幻想郷に変わっておしおきよ!」
「……それはセーラームーンだからであって、ゴレンジャイとしてはおかしい」
戦隊物にも確かにヒロイン的ポジションはいるが、別にセーラー服を着て戦ったりはしないのだ。
「そもそも名前からしておかしい。何で君だけ名前なんだ」
「レミ……不夜城レッドと一緒よ。職業だと私はなんて名前にすればいいのかしら?」
「……むう」
確かにそう言われると思いつかない。
彼女の職業……すきま妖怪。
スキマンジャイ?
何か非常によろしくない感じがする。
「あとその格好は止めたほうがいい」
普段は長いスカートであるだけに、ちらちらと見える彼女の白い太ももは目によろしくなかった。
僕とて一応は男なのである。
「あら残念」
紫はそれをからかうようにくすくす笑っていた。
「とにかく。名前でも格好でもコンセプトでもいいから、統一感を持たせないと駄目なんだ。それは戦隊では絶対のルールなんだよ」
「むう。戦って貰えないんですか?」
「それは僕じゃなくて魔理沙に……」
と周囲を見て魔理沙がいなくなっている事に気がついた。
変わりに見つけたのは「香霖のアホ。帰る」と殴り書きされた紙である。
「なんで僕が怒られてるんだ」
さっぱりわけがわからない。
「やりました! 幻想郷を守る熱い思いが悪を退治したんですね!」
「いやいやいやいや」
一体何をどう解釈したらそうなるのか。
『五人揃って! ゴレンジャイ!』
彼女らは満足げに決めポーズを取っていた。
「僕は認めないよ。戦隊物っていうのはもっとこう……」
「じゃあコンセプトを考え直してもう一度結成しなおせばいいのかしら?」
霊夢がそんな事を言った。
「え? いや、それはその」
「じゃあまた考え直してくるわ! 今度は私がリーダーね!」
しまった。何か止めさせるような方向に持っていくべきだったのだ。
「ちょ、待ってください霊夢さん!」
外へかっ飛んで行った霊夢を追いかける早苗。
「じゃあ私たちも帰ろうかしら、咲夜?」
「かしこまりましたお嬢様」
「紅魔館だけで戦隊物を作っても面白いかもしれないわね……」
不安になるような事を言いながら帰っていく咲夜とレミリア。
「あらあら、次が楽しみねえ」
「……紫、君が一番ノリノリだったけど発端は……」
振り返るとそこに既に紫はいなかった。
「……はぁ」
僕は大きくため息をついた。
「僕の平穏を守ってくれる戦隊はいないものなのかな」
この先現れるだろう新たな戦隊を想像しても、僕には平穏な未来が全く想像出来ないのであった。
ツインテールにセーラームーンコス。見てて目とか心とか色んなとこが痛くなってきますもんねー。
あんた風祝だろw
単語を入れ替えただけの部分が多すぎて、好きになれません
次回はあるのか!?あるなら期待。色々と。
森ビルとノーパンしゃぶしゃぶ、あと放課後電磁波クラブは思い出したら腹がヤバイ
で死んだwww
こーりんの喋り方も浜田氏に引っ張られ過ぎではないかと
間違ってたらごめんなさい
『カキ○レ』は一応アレな感じの隠語なので、本家ネタだとしても別の単語に変えた方が宜しいかと。
SEEDネタだと思ってた人は俺意外にもいるに違いない
魔理沙可愛いよ魔理沙
で猛烈に吹いた
分かります
せめて自分なりに工夫しようと思わなかったのか?
このメンバーが「ゴレンジャイ!」とやってるところを想像するだけで笑える……。
いつでもゴレンジャイは愛されてるなぁ