Coolier - 新生・東方創想話

小さな宴会

2010/01/23 20:14:52
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2作品目です、まだまだいろいろな所が欠けますが、よかったら最後まで読んでやって下さい。




 ふきのとうや春の植物達がが雪の中から顔を出し始めた。それを見ると、春の足音が少しずつ大きくなっていくと感じる。

玄関の扉を開けて一つ、大きく背伸びをする。足元を見れば雪は大分なくなり、緑の森が白い雪の傘を脱ぎ始めていた。そろそろ私の出番が近付いて来たな。
「そろそろ準備を始めないとね」
俄然やる気が出てきた。部屋に戻り着替えを済ましてから散らかった部屋を片付け始めよう。

 一通り終わった夕方過ぎ、サニー達がやってくる。
「リリー、元気にしてた~?そろそろリリーの出番だよ!」
笑顔で私は彼女達を迎え入れる。サニーちゃん、スターちゃん、ルナちゃん達がやってくる。チルノちゃんや大ちゃんも来てくれた。
そう、みんな私「リリーホワイト」を起こしに来てくれて、これからの私の仕事を激励してくれる宴会が始まる。

 「・・・で、みんなで霊夢を脅かそうとしたんだけどねぇ」
「あれはサニーが悪いわ、完全にタイミング違うし」
「まった、ルナだって場所を微妙に間違えてたじゃない!」
「スターは時間を間違えてたしね」
お酒を酌み交わしながら愚痴やお喋りを楽しむ。これが私達の妖精宴会だ。
「チルノちゃんと大ちゃんは冬の間、何をしていたの?」
「あたいは超巨大カマクラを作ったり雪合戦したりした!」
「大ちゃんは?」
「あたしもチルノちゃん達と雪合戦したり、他の妖精達とお茶を飲んだりしてたわ」
みんな元気すぎる・・・私もみんなと遊びたいが、どうしても春以外は苦手。私の性と言えばそうなってしまう。
「次は春ね。暖かくなるし、リリーも外に出られるようになるしね!」
サニーが割り込むようにして喋りだす。
「リリー、あなたがいないと幻想郷の春は始まらないんだからしっかりお願いね」
「もちろんだよ、私の大切な仕事だもの。前は春にしている最中にいろいろあったけどね」
私は苦笑いしてしまう。私を捕まえていち早く春にさせようとした人達や、その前は巫女の人に撃破されるし・・・悲惨な思い出しかない。今年は大丈夫だろうか・・・?
そんなこんなで夜は更けていく。


 深夜、もう起きているのは私だけになった。他のみんなは酔い潰れて寝ていしまってる。
「そろそろ行こう」
戸棚の奥から取っておいたお酒を握り締めて、自分の家を離れる。これからもうひとつ宴会が待っている。私と親友の二人だけの宴会が・・・。


 まだ雪が積もっている森の奥に彼女は座って待っていた。
「レティさん」
親友の名前を呼ぶ。彼女の名前は「レティ・ホワイトロック」冬の季節にしか活動しない妖怪で、私の親友。
「今年も来たのね」
「もちろん、忘れたりなんかしません。お酒もありますよ」
「あら、気が聞くじゃない。早速頂戴するわ」
自分とレティさんの酒月にお酒を注いで、乾杯してからお酒を口に含む。
「あなたが来たって事は、そろそろ冬も終わりなのね。私の力も衰え始めているし」
毎回感傷的な話になってしまうのはしかたない。私とレティさんが会う、それは冬と春の交代を意味する。昔はその事でレティさんと争った事もあった。しかし今はお互いを理解し、こうやって毎年二人でお酒を飲む仲にまでなった。
「今年は暖かかったわ。雪があまり降らないし、雪解けも早い。まったく、こういう冬は私があまり動けないから嫌ね。」
「レティさんの言っている事はわかりますが、これは自然が決めた事。誰のせいでもありません」
「そうなんだけどね・・・」
私達は酒月に残った酒を一気に飲みほす。

 「そうだ、今回はお酒を美味しく飲む為に一つプレゼントがあります」
「あら、楽しみだわ」
近くにある桜の木に向かって、私は自分の能力を使う。その桜は、瞬く間に満開の桜の木となる。
「ちょうど桜の木があったので、一緒にお花見しながら飲みましょう」
私は満面の笑みでレティを見る。
「・・・綺麗だわ。ありがとう、リリー。」
レティさんも笑顔で返してくれた。
「これが、春の代表する桜という木の花です」
「・・・・案外、春もいいわね~。私も無理して外に出てみようかしら」
「本当ですか?そしたら、また二人で飲めますね」
「冗談よ。力はないし、体中が怠くなる季節は嫌。やっぱり冬がいいわ」
レティさんは苦笑いしながら答えた。
私たちは月明かりに照らされた満開の桜の下、取り留めない会話をしながらお酒を飲み続ける。


 お酒が底を尽きてしまった。これは私とレティさんの間では、別れを意味する。宴会の終わりだ。レティさんと会うのは、また来年の同じような時期。
「さて、私はそろそろ帰るわよ、いろいろと春に備えて準備しないとね」
「レティさん」
「なに?」
「冬の間、お疲れ様でした。後は私に任せて下さい」
「・・・そうね、春を頼んだわ。みんなを喜ばせてあげなさい」
レティさんと握手して、振り返らないでお互い自分の場所に戻る。
レティさんと握手した手は、今でも少し冷たいのに、とても柔らかく、暖かかった。


 数日後、私は元気に飛び立つ。幻想郷に春の到来を教える為に。

 楽しそうに空を飛んでいるリリーの様子を、レティは自分の力の限界まで見守っていた。
読んで頂いて、ありがとうございました。
あまり上手くないですが、自分としては頑張って書いたほうかなと思います。
小説はやっぱり書いて覚える物ですよね。
もう一度最後に、読んで頂いて、ありがとうございました。
ねこみこ【Y】
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コメント



0.380簡易評価
4.無評価名前が無い程度の能力削除
ところどころ表現のおかしい部分があるね。
傘を脱ぐとか。
8.90名前が無い程度の能力削除
全体的にいいと思います。こういう落ち着いた雰囲気は好きです。
レティとリリーの関係も落ち着いていて、情景にぴったりあってます。

ですからあえて贅沢をいいますと、引きつけるようなオリジナル性が少ないためか
ほかの作品に比べて見劣りしてしまうんですかね。
期待してます。
12.70ずわいがに削除
可愛い宴会だなぁ。神社の喧騒とはまた違った楽しさがありそうですね。
14.無評価名前が無い程度の能力削除
簑傘だったら"脱ぐ"で良いんじゃね>4

激しく今更だけどさ