ある冬の暖かくなり雪ではなく雨が降るようになった頃
「ん~、今日は外出は控えようかしら」
朝起きて自室の窓を見て、まず思ったことである。
雨が降り注ぎ風が吹いている、出ようと思えば出れるほどではあるが、好き好んで出るような天候では決してないだろう。何より雨は吸血鬼の私からしたら「痛い」のだから
「そうですね、こんな雨の日は家でゴロゴロしてた方がいいと思いますよ」
「....いつの間に自室に入ってきたのよ、それとどこにいるのかしら?」
何故か自室の中から声が聞こえて来たのだ、たしか寝る前に鍵は閉めたはずだが
「ガチャ..ガチャガチャ」
と、ふむたしかにチェインは確りと扉とつながっており扉は閉まっているようだが
「おはようございます、今日も一段と可愛らしいですね。お嬢様」
「あなたどこに入ってるのよ!」
それもそのはず、何故か私のベットに包まっているではないか、一応聞いてみるが
「咲夜何時からそこにいたのかしら?」
「?お嬢様が寝静まってからですが」
さも当然の如く私の従者は言い放った。むしろ何でそんな質問を?と言ってるかのようだが私はたぶん間違ったことは言ってないと思うのだが
「....何故かしら?」
やな予感しかしないが一応聞いてみるが、うわ、なんかやな運命が見えるわ
「お嬢様が眠っている間に外敵がお嬢様を狙ってきたらどうするんですか!?お嬢様は自覚が無いかも知れませんが幻想郷トップと言っても...いいえ、全世界ナイトメア級の可愛さを....失礼しました、カリスマを持っているお嬢様は何時何処で敵に狙われてもおかしくないんですよ!」
うわ、運命通りだ、布団に入りながら言ってもあまりすごみはないが、反論を許さないかの如くの熱弁をされたが、一つ思ったことは.....あなたが敵なんじゃないかしら と、とてもじゃないが、主人が従者に対して思わぬだろうことを思った。まあ、人間の考えることなんてわからないわね。
「それよりも朝食が出来ましたので、食べに行きましょうか」
笑顔で言っているが、もう一つ聞くことがある。
「あなたどうやってこの部..」
言いかけた時には既に咲夜の姿はなくトランプだけが残っていた。
扉にはチェインが開いていた。......番号私しか知らないはずなんだけれど
「....一先ず、今日は鍵付きの棺桶で寝ることにするわ」誰に言うわけでもなく一人つぶやいた
朝食を食べ終わり、廊下をさて今日はどう暇を潰すか、屋敷の中ではできる事は限られるが、と考えながら歩いていると向こうから愛しの妹が走って来たではないか、色とりどりの宝石のような羽を左右にと金糸のような金髪振りながら走ってくる様子を見て、
やばい可愛過ぎる幻想郷で一番かわいい娘ねいつ襲われてもおかしくないわね、やっぱり護衛をつけた方がいいかしら、いや駄目ね護衛なんて付けたらその護衛がフランを襲っちゃうわよね、やっぱり私が四六時中一緒にいた方が..いやいやあの子が育たなくなってしまう、しかし一人でいさせるのも、う~んと悩んでいる合間に
「お姉様ー!」と私に抱きついてきた
「何かしらフラン?」
「雨が降って外に出られないから、かくれんぼしょーー♪」
なんと、愛しの妹が弾幕ごっこ以外の遊びを自分からしようと言い出してきたのだ。断れるはずがないじゃない
「ええ、いいわ、こんなにも雨が降っているから本気で遊ぶわよ」
ふふふ、どうフランこのカリスマ紅魔郷以来よあの時は霊夢にしか見せてなかったけど、これがあなたの姉のカリスマよ!
「....お姉様雨好きだったっけ?」
...まだ「カリスマ」って物を知らなかったようだ、決して私にカリスマが無いということではないわよ
「じゃあルールは私を見つけたらお姉様の勝ち、夜までに見つけられなかったら私の勝ちだよー範囲は紅魔館の中だけだよ」
「夜まで?ずいぶんと長いわねまだ昼にもなっていないというのに」
「じゃあ、5時間数えてね~」
「話をきいてー!しかも長いわよ!」
と言ってるうちにフランの姿は見えなくなってしまった、今10時ということは15時スタートね、それでも暗くなり夜の世界になるまでは3時間はある。逆に考えればその3時間の間フランは逃げきる自信があるという事だ。とてもじゃないが3時間もあれば見つかると思うが一先ず
「い~ち、にー、さ~ん、しー」カウントする事にした
それから17994秒後
「いちまんななせんきゅうひゃくきゅうじゅうきゅ~、いちまんはっせん!」
長かった今になって分かったが午後の三時スタートという事は昼食が食べれないじゃないと思いながら
まずは隠れやすそうな図書館へとレミリアは向った
「妹様?たぶん来てないと思うけど」と、親友から想定外の事を言われた。
「たしかに妹様はよくここには来るけど今日は食堂でしか見てないわね小悪魔はどうかしら?」
「私も食堂でしか見てませんねパチュリー様と一緒に図書館に戻ってきましたが図書館にもいませんでしたしほかの場所ではないでしょうか」
とても二人が嘘を言っているようには見えないし何より利点がないわね、となると困ったわねてっきりここだと決めつけてただけにあてが無くなったわ
「さすがに食堂にはもういないと思いますがいた人にどこに行ったか聞いてみたらどうですか?」
...とても有能な従者だと思った、もちろん決してどこかの従者がひどいわけじゃないが
「ありがとう、フランを見かけたら言ってね」
と言うと図書館を後にした、そういえば朝見てから咲夜も見てないわね。変な事をしてなければいいけど
「へ、妹様?ん~食堂に来てましたがいつの間にかいなくなっていましたね」
と言うのは美鈴、彼女がいる場所は大体門か庭なのだが今日は雨が降っているため室内にいるようだ
「何時頃に来たか知らないかしら?」
「ん~12時位ですかねなんか 隠れる場所を探してるの~と言ってましたが、あとハンバーグとカレーとオムライスを食べてましたね」
「?フランってそんな大食いだったかしらそれほど食べないと思ってたのだけれど」
今までフランがそれほど食べているところを見たことないが
「そういえばそうでしたね、でもいい食べっぷりでしたよ」
「まあいいわ、要するにあなたは行き先を知らないって事でしょ?」
「あはは、そう言われるとそうですね」
「ふむ....あなたは何を食べたのかしら?」
いきなり何を言い出すのであろうこの主は質問の意味に気になったが
「ええっとラーメンですね」
「そう」
と、言ってレミリアはこの場を後にした
あとに残された美鈴は「なんだったんだろう」と考えていた
その後2時間ほど紅魔館の中を探したが一向に見つからないどころか情報がまったく手に入らないくて結局「食堂にいたがそのあとを見たものはいない」という事だけしかわからなかったのである。
何故かしら?外に出てることはないだろうルールでも言っていたし、それならば室内にいることは確かなのだが仕方なく頼りになる親友の元にまた行くことにした
「妹様?あれから見てないわよ」「私も見てませんね~」
と二人同時に言われた。
....ん?
「そういえば、2人は昼ごはんに何を食べたのかしら?」
二人は質問の意味が全くわからないというかの如く頭を傾けたが
「私はキノコのリゾットよ」 「私はフォアグラのキャビア添えと松茸のバター醤油焼きです」
さりげなくとんでもない物を言ったような気がするが、まあいいだろうそれよりも
「じゃあパチュリースカートの「それ」は何かしら?」
と人さし指をさした所にはケチャップが付いていた
「キノコのリゾットでそんなもの着くかしらね?それともフォアグラのキャビア添えと松茸のバター醤油焼きでも着くかしら?」
「え、何これ食事中に食べ物を落とした記憶はないんだけれど」
少し赤くなりながら言ったが意味がわかったらしい
「木を隠すなら森の中人を隠すならば人混みの中よ!私の勝ちね!さあフラン出てきなさい!」
と、パチュリーのスカートをめくり上げたそこには私の愛しいの妹がいたが
「やっと見つけたのねお姉様でもね、確かに「私」は見つけたけどあなたの探してる「私」じゃないわ」と言うと蝙蝠になりどこかへ飛んで行ってしまった。
「レミリア今の意味はわかったわよね?」
「ええ、つまりさっきのはフランじゃなかったってことね」
....あれパチュなんでそんな絶対わかってないだろこいつ的な顔を
「めんどくさいから言うとフォーオブアカインドの分身ね本体を見つけないといけないわ」
「え、ええわかっていたわ、何その眼「嘘コケ」って言ってそうな眼は!」
「なんでもないわ、それよりも」
「それよりも?」
「スカートを降ろしてくれないかしら」
白だったと言っておこう
「で、これからどうするのよ?行くあては」
「いや、動く必要はないわなぜなら!犯人はこの中にいるからよ!」
「「な、なんだってー!」」
「ありがとう、小悪魔、パチュリー乗ってくれて」
「いえいえ、でだれが犯人なんですか?」
「...あなたもスカートを見なさい」
呆れたようにパチュリーは小悪魔のスカートを指差して言った、そこには到底食べたものではつかないような茶色の染みがあった
「あの?逃げていいですか」
答えはわかっていながらも小悪魔は聞いた
「だ~め」
天使のような顔で悪魔は答えたのだ、それと同時に
「フラン!今度こそ「あなた」なのかしら」と言いスカートをめくり上げたそこには
「ふふふ、よく私を見つけたわねさすがだわお姉様、でも第二第三の私がー」
「はいはい、次行きましょうか」と言って図書館を後にしたのであった ちなみに黒だった
「....パチュリー」
「なんですか妹様?」
「5時間もスカートに隠れてたのに報われないよね私」
「やっぱり、昼食を食べに行った時にスカートに入られたのですね、というかここまでよく気がつかなかったわね私たち」
「ん~仕方ないと思うよ蝙蝠の状態でスカートの中に入ったし入ってる最中は足とかに当たんないように飛んでたんだよ~」と胸を張って自慢するが、自慢できることなのだろうか
所変わって食堂
「美鈴ちょっといいかしら?」
「は、はい、あのやっぱり塩ラーメンを食べたことでしょうか、いやいやもちろん一番は醤油ですよ、決して浮気したとかそんなわけでは」
美鈴は考えていた、なぜ何を食べたか主人が聞いて来たのかと、あれから食堂で2時間ほど考えて出た結果がいつも食べてた醤油ラーメンではなくたまにはと思って塩ラーメンを食べたせいだろうと、だが
主人は
「食べたラーメンなんてどうでもいいわ、それよりスカートをめくりなさい」
....?何を言っているのだろうスカートをめくれとは 聞き間違えだろうか スカットをみくじの間違いだろうか、大吉と大凶の二つしか入ってなく大吉が出たらスカッ!と気持ちよくなり大凶が出ると すかっ と何も能力を持ってない敵を吸い込んだ時のような感じになるおみくじの事かと考えていると
「めくらせてもらうわよ」
「あっやっぱそっちですか」
「だってデミグラスソースが付いているんだもの」
「ああ、なるほど」
ん?つい反射的に言ってしまったが何がなるほどだ私よ、理由がまたデミグラスソースが付いてるからって言うのも...あれ何でデミグラスソースが?私がハンバーグを最後に食べたのはたしか半年前だったはずだが、まさか!あの時食べきれなくてほんの少し残してしまったハンバーグの呪いがスカートに染みとなって出てきたのか!?
「フラン、今度こそ私の勝ちよ」
うん?何を言ってるのだろうか私の下半身に対して言っているようだが
「あら、いないわね、ああ、なるほど激しい動きをしていても道理で見えないはずだわ」
「そりゃそうでしょ、スカートの中にフラン様がいるはずないじゃないですかー」
笑って言うが、ああなるほどスカートの中にフラン様がいるとお嬢様は思っていたのか...何で?というかありえん
「いやまあ、そうよね普通は、う~んどうしようかしら」
ふと上を見上げるとメロンが3つあった...まさかね
「美鈴脱ぎなさい」
「....あのお嬢様こんなことを言うのもあれですが、フラン様を隠したりしてませんよ」
「そう、わかったわ脱ぎなさい」
「いやだからですね私は...」
「脱ぎなさい」
「はい...」
脱ぐまでずっと言いそうだ、何よりも目つきが怖いですお嬢様
「あ、こんにちわ美鈴」
「え~とこんにちわフラン様」
こんな時どんな顔をすればいいんだろう
「笑えばいいと思うよ~」
メロンの間に挟まりながら嬉しそうな顔でフランは言う。
「で、あなたは「あなた」かしらね」
「いいえ私は「私」よ、お姉様」
「そう残念ね」
と言うとフランは蝙蝠になってどこかへ消えた
「あ、もういいわよ美鈴」
と言うとレミリアはどこかへ飛んで行った。
「....何時からいたんだろう服がきつくなったかな~とは思ったけど」
.....
...
.
美鈴と別れてから30分ほどだが空もすっかり暗くなりわずかに赤みを残しているだけである。なぜ見つからないのか...ふと思い出した。
パチュリーとの会話であったこの言葉を「木を隠すなら森の中人を隠すなら人混みの中」なら、吸血鬼を隠すなら?
「ふふ、私としたことがまさに灯台下暗しね、さあ出てきなさい愛しき..」
自分のスカートをめくり上げいたのは
「愛しきだなんてお嬢様光栄です」
心底嬉しそうに笑みを浮かべた咲夜がスカートの中にいた
「いや、咲夜にじゃないから、と言うかなぜスカートの中に?」
「お嬢様はよくお茶会をする時に私を呼びますよね?」
当たり前だとばかりに
「咲夜がお茶を用意してくれなくちゃ始まらないじゃない」
「では、場所はどこで」
続けて質問が飛んで来る
「ベランダだけれどそれがどうしたのかしら?」
「では、もし私が図書館にいる時にお茶会がしたくなったらお嬢様はどうしますか?」
.....なるほど、そういうことだったのか人間の聴力で「咲夜」と呼んでもベランダから図書館など聞こえないだろう...だが
「なぜ、スカートに?私の横に立っていれば問題ないと思うけど」
「護衛が人を守ってるときとその人が一人でふらふらと歩いてるときでしたら普通は一人の時を狙うでしょうそれと同じで私がお嬢様の横に立っていては敵も襲ってこないでしょう」
「襲ってこないでいいじゃないの?」
当然そう思うだろう、襲ってこないならばそれが一番楽にすむし
「いいえ、お嬢様、一人でいる時に襲って来た者を滅したいのです、火事も火元がなければ起こらないですしね」
....なんだろう間違ってるはずなのに会ってるように思えてきた
「まあいいわ、咲夜、スカートの中を見せなさい」
顔を赤く染めながらこう言った
「お嬢様、あのこんな廊下ではちょっと、どうせなら夜の方が..いえ決してこの時間帯が悪いというわけではなくあのいきなりで心の準備が..」
めんどくさくなってきたのでスカートを捲ったら水色の背景に映える紅色の蝙蝠姿の妹を見つけた
「チェックメイトよ」
「お嬢様私符の弐は「チェックメイド」ですよ、しかしよく覚えてましたね萃夢想以来使ってなかったのですが」
「ややこしくなるから少し静かにしてもらえないかしら」
蝙蝠はの咲夜スカートから飛び出していつもの姿になった
「私の勝ちねフラン」
「あ~負けちゃったか~前々から考えてたんだけどな~」と言っている割には嬉しそうな顔をしている
「今になってから聞くのもあれだけど、どうしてかくれんぼを?ただ暇だからってわけではないんでしょ何だかんだ長い時をともにしてきた姉ですものそれくらいはわかるわよ」
そう言ったレミリアの顔はフランにしか見せないであろうとても優しい顔をしていた。
「...びし...もの」
ところどころしか聞こえぬような声だった
「寂しかったんだものお姉様はいつも霊夢のところに行っちゃうし咲夜も行っちゃうし美鈴は忙しそうだしパチュリーは相手にしてくれないし」
「....わかったわフラン、私と一緒のときは外に一緒にいってもいいわ」
たしかに外の世界には危険が多いが過保護すぎたのではないだろうか私は外の世界を知り、大きくなった方がフランにもいいだろう、確かにフランが暴れたとしても私が止めれば問題ないでしょう見守ってあげるのが姉としての使命ではなかろうか
「え、いいの?」
震えるような声でフランは言った
「ええ」
今思えば、このかくれんぼもフランからのメッセージだったのではないのだろうか、人肌が恋しくて人のすぐ近くにいたのではないのか、それを今の今まで気がつかなかった私はなんて愚かだったのだろうか
「やったー!咲夜の言った通りだねーありがとーお姉様そして咲夜」
さっきまでの様子はどこへやらとても元気に跳ね回ってるフランがそこに
.....?私の聞き間違いだろうか
「妹様、結構前から外に出てましたがわざわざ許可をもらいに行かなくてもよかったのでは?」
「いやいや、これで堂々と外に出れるじゃない」とても嬉しそうに話すが
「え~と咲夜知っていたのかしらこの事を?」
「いえ、今日の昼頃にお嬢様のスカートの中に妹様が入って来られて、この話を聞いたのですが別にいいじゃないですかーって感じでしたので協力いたしました」
....今一度確認したわ、やっぱり人間って役に立たないわねあと、人のスカートの中で話をしてたのかあなた達は
.....
...
.
夜の世界になり本来なら夜の生き物たちが活発になる時間であるが
「あ~今日は疲れたわ、もう寝ましょうか」と言ってから一応スカートの中を確認する...いないわよね
いつも使ってるベットの横には赤い棺桶が置かれていた。
「久しぶりの棺桶ね、しかも最新式の内側からカギが掛けられるという画期的なものよ」
「...でもなぜか販売されなくなったのよね」それもそうだろう棺桶に入って寝るのは吸血鬼ぐらいなものだ
棺桶の中に入り鍵をかけるとすぐに深い眠りへと落ちて行った。
次の日
「お姉様おはよ~」
....まだ冴えない頭でなぜか自分の上に乗っている妹を見る..うんかわいい.......いやいやそうじゃなくてここは棺桶の中よね、たしかに広めにできてるけど
「おはようフランそしてどうしてここに?」
「挨拶をしに来ちゃいけないの?」
「いや、そうじゃなくて」
ここで考えて鍵を見たが壊れてないし外れてもいない
「何で上に乗っているかってことよ」
「だって横には
「おはようございますお嬢様、妹様」
....人間って怖い
やっぱり紅魔館はこうでないと!!!