「珍しい物を食べたいわ」
冬のある日の昼
炬燵と一体化して暮らすようになって、こたつむりに成りかけてるところにいきなり紫が来て何を言い出すかと思えば「珍しいものが食べたい」と
「・・・なんで?」
ひとまず聞くだけ聞いてみる事にろくなことではないことだけはこの時点ですでにわかるが
「・・霊夢、人と話すときは目を合わせ・・とまでは言わないけどせめて顔くらいは見せなさい」
しぶしぶ炬燵から頭を出して話を聞く。
「で、何よ言っておくけど珍しい物どころか今家には食べ物自体あまりないわよ」
「知っているわよ、ここ数日里に買い出しに行ってないんでしょ」
「何で知ってるの?ん、あ、いい言わなくてもやな予感しかしないから」
薄々気づいてはいたがやはりこいつが犯人だったらしい、干したはずのさらしがなぜか無くなってたり夜寝てるとどこかから視線を感じるのは
「で、なんで珍しいものが食べたいなんてうちに?食い物なら里にでもいけばいいじゃない」
人差し指立てを口の前で振りながら
「ノンノン霊夢私が食べたいのは め・ず・ら・し・い・物よ、今まで私が食べたことの無い物を食べたいのよ」
蜜柑の皮を剥きながら霊夢は思った、やはりろくな事ではなかったと。
「?霊夢何を食べ・・・・」
蜜柑を一房口の中に入れながら考えてみたが「今まで食べたことが無い」物を食べてみたいと言うことはつまり遥かな時を過ごしてる紫が食べたことの無い物を探さないといけないのではと言う結論に至った。何か言ってるような気がするがまあ、気にしなくても・・・あれ
ここで一つ思ったが、そういえば今は冬のはずだがなぜここに紫がいるのだろう?と聞こうとしたら
「そのための食べ物探しよ、栄養をつけるためのね」
・・・・・・・さとりかこいつは
「で、何でうちに来たのよさっきも言ったとおりうちには何もないわよ」
「もちろんわかっているわ、何もあなたの家から食べ物を取ろうなんてしないわよ、ここに来たのは他に理由があるわ」
「何よ」
「あなたが好」
何を言おうかわかったのでひと先ず持ってた蜜柑の皮を紫の顔に向かってギュっと押した
「ミャー!目がー!!目がー!」
のたうち回っているが無視することに決めた
・・・
・・
・
目を押さえながらも収まってきた用なので話を戻すと
「で、本当の理由は?」
「躊躇なしに聞くのね本当だったのに」
「もう一回くらう?」
「数々の異変を解決し様々な所に行ってるので食べ物も知ってるのではないかと思いここに来ました」
この間わずか3秒ここまで早口なのは文の新聞勧誘以来じゃなかろうか。
一先ず
ピュッ
「目ガーーー!!何んで!!」
・・・いや、まあ何となく
「まあ、わかったわよ、と言っても食べ物なんてそんなに見てなかったし、あんたが食べたことの無いものなんて知らないわよ」
「ほんとに?」
「ほんとに、って言うか何でメガネ掛けてんのよ」
「目を守るためよ、もちろん伊達メガネよ、金髪にメガネ最高の組み合わせねあなたもそう思わないかしら、いえ金髪とメガネではなく私とメガネの組み合わせかしら最高なのは!」
ビシッ!効果音が出そうな感じで指を隙間に向けてる
「だれに対して言ってるのかしら」
「でぃすぷれいよ」
それから神社を出て一緒に里、紅魔館、妖怪の山、地霊等様々な場所に行ってみたが、やはり食べたことの無いものは見つからなかった。そうこうしてるうちに日が傾いてきた。
「まあ、当然よね何年も生きてるのだからそんなものがなくても、今になってから言うのもあれだけど食べた事のないものなんてあるのかしら?この世界で」
「あるわよ~」
とてものんびりと答えた.
「・・へ!?知ってるなら初めから言ってくれてもいいじゃない!」
「名前を知らない物の名前を言うなんて事はその物を初めに造った人にしかできないわよ」
「ん~名前がわかっていてもどんな物かは私が知ってるはずないものね紫が知らないんじゃ」
「いえ、霊夢なら知っていると思うわ」
「紫が知らなくて私が知っている物なんてあるかしら?」
考えて見たがまずないと思うが
「里になら売ってると思ったけど売ってなかったわね~」
「里で売ってるような物なの?」
「ええ、特徴をいうわね」
「丸くて~」
ふんふん、丸いものなんてたくさんあると思うが
「黄色くて~」
丸くて黄色いずいぶんとしぼまれたと思うが私が知ってて紫が知らない物・・
「すっぱくて~」
・・・ん?
「紫、食べたことが無いってさっき言ってなかったっけ?」
「いえ、今日までは食べたことなかったわね」
「今日まで?」
「今日まで」
もしかしなくてもあれだと思うが
「・・・蜜柑のこと?」
「あれって蜜柑って言うのね炬燵で何食べてるのか聞こうとしたのに聞いてくれないんだもの」
「・・紫って蜜柑食べたことないの?」
「ないわね、今日が初めてよ、食べたというより飲んだと言った方が正しいかもしれないけど、いきなり皮を向けたと思ったら目に染みる液体を飛ばしてくるんだもの」
炬燵に蜜柑の組み合わせはだれでも知っていると思う。理由は?と聞かれるといろいろとあると思うが収穫時期が代替10~12月の物が多いためだと私は思っている。その頃紫は何をしてるかと言うと
..冬眠だ
これでは食べたことが無くても仕方ないのではと今の今になって気づいた・・10月はまだ冬眠してないと思うが
「って!もっと早くに言ってくれればいいじゃない!こんなに時間がかかってまで探したんだから!」
「甘いわね霊夢、コーヒーを飲もうとして砂糖の瓶をコーヒーカップの中に傾けたらダイナミック入店してしまって泣く泣く砂糖まみれのコーヒーを飲むことになったくらい甘いわね、なんで私がこんなに時間をかけたのかわかるかしら?」
これ以上の笑みはないだろうと思うほどの笑みを浮かべ、
「あなたg」
口に蜜柑の皮をぶっこんだ。
「・・まだ言ってないじゃない」
「言わなくてもわかるわよ、あと皮を食べるな」
よく見れば口がもごもごと動いている
「あら、苦味が利いてるけど食べれるわよ、皮を食べるななんていったらパンの耳とかも皮みたいなものじゃない」
「まあ、たまにはこういうのもよかったわよ二度とごめんだけどね」
と言うと神社に飛んで行ってしまった。
後に残ったのは紫だけ
マヨヒガに戻ろうとしてふと口に出した
「・・あ、結局みかんがみっかんなかったわね」
さらっと読める感じで個人的には好きですね。
こういう雰囲気の話におけるキャラの性格もマッチしているように思います。
次回作も期待しています。
レティが噛んでもいないのに
面白くなかったけどつまらないとは真逆でやはり面白かったです
ゆかりんらしいゆかりんで好き