Coolier - 新生・東方創想話

妖怪的アフェクション

2010/01/01 14:08:36
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「お腹すいてないよ!」
「そう、じゃあ帰れ」
「ふぎゃっ!」

晴れた日の昼下り、掃除も終わり縁側でお茶を楽しんでいた霊夢はふよふよ飛んできた目の前の黒い球にとりあえずお札を投げた
可愛らしくはない悲鳴とともに球が消えると、中から少女が落ちてきた
宵闇の妖怪―ルーミアである

「あう…痛いなぁもう」
「よく分かんないこと言うからよ」
「だってすいてないもん」
「どんな挨拶よ」
「いいじゃん別に…あーここまぶしーちからがぬけるー」

文句を言ったかと思えばルーミアは途端にしおらしくなった、日光にさらされて疲れたのだろうか

「まぁ日なたね、そこ」
「おねがいーじんじゃにいれてー」
「いれてあげる利点は?」
「日光が防げる!」
「私の利点を聞いてるの!」

あんたじゃない!霊夢は叫んだ。そこでルーミアは腕をくんで少し考える。
軽くうなったあと、上目遣いで呟いた

「可愛い私がそばにいること?」
「はっ倒すわよ」
「え~ダメ?」
「神社の境内に妖怪、この上ない営業妨害ね」
「えーでも参拝客なんて全然いないよ?」
「…むそーふーい」
「うわぁーっ!!ごめんなさいごめんなさい!」

いきなり夢想封印はつらいものがある、スペカとはいえ痛くないわけではない。ルーミアは割と必死に謝る。そんなルーミアを見て霊夢は取り出しかけたそれをしまった

「まったく…人が気にしてることを。というか、あんた日光余裕じゃない」
「うに?…まぁいいじゃん!」
「よくないでしょうが」
「あう、どうしてもダメ?」
「…」
「(うるうる)」
「……」
「(うるうるうる)」
「……はいはい、わかったわよ。良いわよ、あがっても」
「ホント!?やった!」
「こら靴脱ぎなさい!」

了承されるやいなや、元気よく神社に飛び込むルーミア。さっきの目に溜めた涙もどこへやら、現金なものである
ルーミアは客間の日の当たらないところに行くと大の字に寝転がった

「ん~~…ふうっ。やっぱり畳は気持ちいいなぁ。原っぱもいいけど、この香りがたまらない…」
「その気持ちは分からないでもないわね…それにしても珍しいわね」
「なにが?」
「あんたがお腹空いてないなんて」
「あぁうん、昨日はみすちーのお店でたくさん食べたからね」
「何食べたの?」
「うなぎだよ。名前なんだっけ…なんとか目うなぎ」
「あら、人じゃないのね」
「なんで?」
「里の人間だったら調伏しようかと」

霊夢はお札を取り出しながらにこやかに言った。目は笑ってない。全く冗談には聞こえなかったのでルーミアは震え上がった

「…うぅ、怖いなぁもう。食べるとしたら外の人間だけだよ。それに最近はほとんど人は食べないし」
「あんた妖怪じゃないの?」
「妖怪だけど…外の人間は何でか不味いんだ。それに冬は見つからないし」
「冬は、って季節によって違うものなの?」
「ほら、賢者さま寝てるじゃん」
「…あぁなるほど」

神隠しってそんなにテキトーでいいのかしら。霊夢は少し気になったが、そんなものかとすぐに忘れた
そうこうしている内にお茶が無くなったので、霊夢は台所へ向かい、ルーミアは畳でごろごろしていた

「はぁー…なごむ」
「あんまり動くと汚れるわよ…はいお茶」
「え、ありがとう」
「こぼさないでよ」
「うん。珍しいね、お茶くれるなんて」
「私も欲しかったからついでよついで」
「…えへへ」
「なによ」
「霊夢がやさしい」
「…ついでだって言ったでしょ。次は自分でいれなさいよ」
「はーい」

ルーミアは起き上がり、淹れたてほやほやのお茶を飲もうとして

「あづっ!」

盛大にこぼした、主にルーミアの服を中心に

「あぁもう何やってんのよあんた…」

霊夢は台所から布巾を持ってきて辺りとルーミアを素早く拭いた

「あぅー…ごめんね霊夢」
「なにが」
「お茶こぼしちゃった…」
「あぁもういいわよそんなの。というかあんた、服びたびたじゃない…」

ほとんどのお茶がかかったルーミアの服は見事に濡れまくっていた。お茶の匂いもバッチリついてしまっている

「う、うん」
「こぼしたのはもういいから、それ脱ぎなさい」
「えぇ!?は、はずかしいよ…」
「女同士でしょうが…バカなこと言ってないでさっさと脱いでよこす!」
「うぅ、わかったよ…はい」
「ん。…うーん、まぁこれなら夕方までには乾くかな」
「…ごめん霊夢、ちょっとさむい…あとはずかしい」

ルーミアは自分を抱くようにして少し震えていた。いくら妖怪といえどこの季節に薄着では流石に寒いらしい

「あぁはいはい。服貸したげるから、ついてきなさい」

ルーミアが霊夢に案内された部屋は霊夢の寝室だった。霊夢は部屋の箪笥の一番下を開けると、無造作に服をあさり出した

「えーと、確かこの辺に…これ、はちょっと大きいか。うーんこれ以下となると…お、あったあった。はいルーミア」
「…え、これ?」
「そう、これ」

これ、といって霊夢が取り出したのは今霊夢が着てるものをそのまま小さくしたようなもの。つまり、博麗式の巫女服だった

「これ、昔私が着てた服なんだけど。まぁあんたには多分合うと思うわ」
「…私がこれ着ていいの?」
「嫌ならいいわよ、そのままで」
「嫌じゃないけど…まぁいっか」

そうしてルーミアは巫女服に着替えた。博麗ルーミア爆誕の瞬間である。
博麗ルーミアとは、霊夢の道具が使えるようになったルーミアのことであり、闇を展開しながらそこら中にホーミング札をばらまき様々な角度から攻撃することで相手がどこから攻撃されているのか全く分からないようにするという弾幕ごっこにあるまじき性能をもつ妖怪のことであるが、本編には関係ないのでここでは割愛させていただく
ともかくルーミアは巫女服に着替え、事なきを得たのだった

「へぇ意外と似合うじゃない」
「…そうかな、えへへ。」
「よし、じゃあ後は服が乾くのを待つだけね。それまでそれで我慢しなさい」
「あ、うん。ありがと霊夢」
「いいのよ。さて、バタバタして疲れたわね…お茶飲みましょうか」
「うん!」

そしてお茶を持って客間に戻ってきた二人は縁側でのんびりとお茶を楽しんだ、もちろん今度はこぼさないようにして。
一口飲み、息をつく

「ふぅー」
「ふぅ~」

至福の時であった
その後特にやることのない霊夢とルーミアは二人してだらだらしながら過ごしていた。お茶を飲んでだらだら、お菓子を食べてだらだら。お互いに何か話をするわけではないがそれで構わない。決して居心地の悪くない空気のなかで二人がのんびりしていると、そこに一人の魔法使いがやってきた

   ◆ ◆ ◆

「よー霊夢、お茶くれお茶…あ?」

魔理沙が博麗神社にやってきたとき、霊夢の姿はなかった。ちょうどお茶かなにかを取りにいっているのだろう。霊夢はいなかったが、かわりに霊夢らしきものがいた

「あ、魔理沙だ」
「…ルーミアか?なんで霊夢の格好なんだ?」
「霊夢ー、魔理沙がきたよー」

ルーミアの呼び掛けにこたえて霊夢が姿を現した。手にはお茶の乗ったお盆をもっている。魔理沙は霊夢を見つけると、ルーミアを指差して尋ねた

「よー霊夢、お茶くれ。あとこれは何だ?」
「お茶か質問かどっちかにしなさい」
「んじゃまずお茶だな」
「はいはい、出涸しでいいわね」
「おいおい、私はお客様だぜ?」
「客になりたいならお賽銭いれなさい」

そう言って賽銭箱を指す霊夢。魔理沙は見なかったことにした

「お邪魔するぜ…よいしょっと」
「ねー魔理沙、その荷物なに?」

魔理沙はやたらと大きくずいぶん重そうな袋を抱えていた。ルーミアが聞くと魔理沙は満足そうな顔で答えた

「ん?あぁ、ちょっと借りてきたんだ」
「うわすごい本だ」
「またパチュリーのところ?程々にしときなさいよ」
「私は借りてるだけだぜ」
「こんなにたくさん何に使うの?」
「そりゃ調べたい事が山ほどあるからな。あとちょっと待て、お茶が飲みたい」

魔理沙は畳に腰をおろすとさっき出されたお茶を飲み、ふぅと息をついた

「相変わらず霊夢のお茶は渋いな…で、ルーミアだよ」
「?」
「なんで霊夢の格好なんだ?」
「あ、これはね。さっき服にお茶こぼしちゃって…霊夢が貸してくれたんだ」
「ほー霊夢がねぇ…」

事の真相を聞きながらニヤニヤと霊夢を見る魔理沙。
霊夢はニヤつかれたのが気に入らないのか、少しムッとした様子で見返す

「なによ」
「いやぁずいぶんと優しいんだなと思ってな」
「失礼ね、私はいつでも優しいわよ。遠慮がないだけで」
「ははっそれもそうか…っくしゅん!」
「ちょっ…人の顔に向けてくしゃみするな!」
「あーいやすまんすまん、急にきたもんで」
「魔理沙、風邪?大丈夫?」
「あぁ、ちょっとムズムズしただけだぜ…霊夢」
「なに」
「ここちょっと寒いんだが」
「そりゃ外と繋がってるからね」
「火鉢とかないのか?」
「あるわけないでしょ」
「じゃあしょうがないな、私の秘密兵器を出そう」

そう言うと、魔理沙は懐から手にすっぽりと入るくらいの小さな八角形の箱を取り出した

「なにそれ?」
「『八卦炉』さ」
「はっけろ…?」
「簡単にいえば、魔術的な力で超高温の火を閉じ込めてる箱のことだぜ。本物はもっとデカいから、私のは『ミニ八卦炉』ってとこだな」

魔理沙は得意気な顔で説明すると、ミニ八卦炉に魔力をこめ畳の上に置いた。
すると八卦炉の中が赤く灯り、その周りがぽかぽかと暖かくなった

「これで、お手軽囲炉裏の完成だぜっ」
「うわ~あったかい」
「…ちょっと魔理沙」
「ん、何だ?」
「これ、畳焦げたりしないでしょうね」
「おいおい八卦をなめるなよ?熱なんか逃すわけないぜ」
「ならいいけど」

三人は八卦炉を囲むようにして暖をとる。八卦炉の熱は熱すぎずぬるすぎず、ちょうどいい温度で三人の体を暖めた。

「しかし最近ホントに寒いよな、今日は風も強かったし」
「こういうのなんて言うんだっけ…しばれる?」
「何よその言葉」
「寒いって意味の言葉だよ。まえに賢者さまが言ってた」
「あいつが言う事はなんでもうさんくさいわね…」

霊夢が呆れた声を出した横で、突然魔理沙は割と深刻な顔をして考えこんでいた

「どうしたの魔理沙、急に真面目な顔して」
「……賢者さまって誰だ?」
「え?」
「誰って、紫よ」
「…マジか」
「嘘ついてどうするのよ」
「…なんかこう違和感大爆発だな」
「まぁ否定はしないけどね」
「二人とも容赦ないね…」
「む…じゃあルーミアに聞くけど、あいつの第一印象っていったら何?」
「それは………『うさんくさい』かな」
「ほらあんたも同類じゃない」
「…あぅ」
「あっはっはっは!」

   ◆ ◆ ◆

結局そのあとも三人は取留めの話を続けた。気がつくと日はすっかりと傾いていて空は煌々と輝く夕日を映し綺麗な紅に染まっていた

「おっと、もうこんな時間か…そろそろ私は帰るかな」
「帰る?」
「ああ、またなルーミア。今日は楽しかったぜ」
「うん、またね!」
「こら、家主には挨拶なしなの?」
「おぉ霊夢、じゃあな。今度はぜひ客用の茶を用意してくれ」
「はいはい善処するわ。じゃあね魔理沙」
「またなー!」

魔理沙が袋を背負って飛んでいくと、ルーミアは少し力が抜けたのか気の抜けた声で息をついた

「…ふぅ」
「さて、あんたはどうする?もう服は乾いたと思うけど」
「あ、そうだね…じゃあ私も行こうかな」
「そう。じゃあ服持ってくるからちょっと待ってなさい」

そのまま一人客間に取り残されたルーミア。周りに何もいないのを確認すると、ルーミアは自身の体を抱くようにして着ている服の匂いをかいでみた
今日着た自分の匂いもするが、その中には別の香りが確かにあった
それはほのかに甘くふわりとしたような霊夢の香り

「いいにおい…えへへっ。霊夢のにおいだぁ…」

霊夢がルーミアの服を持ってくるまでの数十秒間、ルーミアはそのままもうないであろう貴重な出来事を楽しんだ
楽しむ余りバレそうにもなったが。

「お待たせルーミア…あんた何やってるの?」
「えっ!?あ、いや…な、なんでもないよ!」
「…まぁいいわ。ほら、あんたの服」
「あ、あのっ…霊夢!」
「ん、何?」
「今日はありがとうございましたっ!」
「…え?」

突然の感謝に呆然とする霊夢、反応がないことに動揺したルーミアは真っ赤な顔で慌てて言葉を続けた

「いやっだからその、服貸してくれたりして…」
「…ぷっ、あははは!」
「わ、わらわないでよ…」
「いや…ごめんごめん。あんたがあんまり真面目に言うもんだから、ついね…ふふっ」
「…あぅぅ」
「…どう致しまして」
「え?」
「『ありがとう』でしょ?だから『どう致しまして』」
「…うん!」
「ほら、さっさと着替えちゃいなさい」
「うん!」

そうしていつもの服に着替えたルーミアは、夕日に頬を染めながら嬉しそうな笑顔で神社を後にしたのだった

   ◆ ◆ ◆

「うーなぎー♪うーなぎー♪」
「たーっぷり♪うーなぎー♪」
「うーなぎー♪うなーぎたーっぷり♪うーなぎーがやーってきーた♪」

刻はもう少しだけ進み日も完全に落ちた夜、ミスティアの屋台は今日も森の中でひっそりと開かれていた。この屋台、店主に儲けるつもりがあまりなくほとんど趣味に近い。だからそこらの店より値段が安くしかも美味しくさらには店主が可愛らしいと、三拍子そろった知る者ぞ知る名店となっている。もっとも、辿りつくのはなかなか難しいが。
仕込みも完了し酒も用意してある。あとは客を待つばかりとミスティアが新作の歌を歌っていると、そこにルーミアがやってきた

「やっほーみすちー」
「あぁルーミア、いらっしゃい」
「うぅ、最近寒いねぇ」
「じゃあこっちきて店の手伝いする?火があるからあったかいよ」
「エンリョしとくよ。店の評判おとしちゃ悪いからね」

ミスティアが手伝いを薦めて、ルーミアがやんわり断る。これは二人の定番のやり取りとなっていた

「ちっ残念。じゃあルーミアはお客?それとも冷やかしかな?」
「そうだねぇ…親友としてきたよ」
「むっ、そうきたか。ならサービスね、二本オマケだよ」
「えへへっありがと」

ミスティアが差し出したうなぎを受け取ると、ルーミアは美味しそうにそれを頬張った。一度にたくさん食べたので、口の端にタレが付いてしまっている。

「あぁほら、ついてるよルーミア。ほらこっち向いて…んしょ」
「んんっ…ありがとみすちー」
「ルーミアは相変わらずだね。で、どう?美味しい?」
「すっごく美味しい!」
「ふふっ、よかった」

みすちーのはいつも美味しいよ、ルーミアはそう言いながら嬉しそうに食べていった。早くも二本めがルーミアの口に収まっていく
お酒を出したミスティアは、そんなルーミアを見て一つ気付いた

「ねぇルーミア、もしかして今日は紅白のところに行ってた?」
「んっ…そうだよ」
「お、当たり?」
「うん、なんで分かったの?」
「へへーだてに客商売やってないわ。ルーミアの顔みたらいっぱつよ」

そうなの!?と、ルーミアは本気で驚いた。驚かれて嬉しかったのか、ミスティアは得意げな顔で言った

「だってルーミア、紅白のところに行ったあとはいっつも嬉しそうだもん。なんかこう、幸せそうというか。ご飯たべてるときは特に分かりやすいのよ」

ルーミアって変わってるよねぇ、いつものことだけど。ミスティアにそう付け加えられてルーミアは驚いたようにしていたが、すぐに嬉しそうな顔ではにかんだ

「そっかぁ、そんなに分かっちゃうんだぁ…えへへ」
「もしかしなくてもルーミアってさ、紅白のこと好き?」
「うん、大好き♪」
「あーやっぱりそうなんだ」
「だって霊夢は優しいもん」
「あれ優しいの…?」

優しいという言葉がどうにもしっくりこないのか怪訝そうに見てくるミスティアを尻目に、差し出されたお酒の気も混じって少し顔の赤いルーミアは得意気な顔で語り出した

「そうだよ?霊夢はときどき怖いけど、すごく優しいんだ。いつも何だかんだで神社に入れてくれるし、霊夢が出してくれるお茶は美味しいし、たまにご飯にも誘ってくれるし、掃除の手伝いをすると優しくあたまを撫でてくれるし、今日だって…」
「あー分かったから、止まって止まって。ほらお酒冷めちゃうよ?」
「あう、ありがとみすちー」
「いやいやなんのなんの」

さらに惚気そうになったルーミアを何とか止めて、ミスティアは内心ホッとしていた

「それにしても、ホントに好きなんだね。変わってるというか、ルーミアらしいというか」
「あはは…それにね、みすちー。もう一つあるんだ」
「もう一つ?」
「うん。霊夢ってやっぱり―」


「―とっても美味しそうなんだ♪」


「…はい?」

ルーミアの突然の『巫女美味しそう』発言に思わず固まってしまうミスティア。ルーミアは心底楽しそうに続けた

「今日ね、霊夢に『人間は食べないのか』って聞かれたんだ。そのとき私、うそついちゃった。『冬はあまり人間をみかけない』って。でもそんなわけないよね、いくら賢者さまが寝てても、それであの人の作った仕組みが弱くなるはずないもの。…ホントはね?外の人間なんかけっこうみかけるんだ。でも食べたくないの、霊夢と比べたらすごく変なにおいで不味そうだから」
「…」
「霊夢はそんなのとは違う。とてもいい香りがするし綺麗だもの。だから、あたまを撫でてくれるときはその手をとって指を優しくかじりとってみたくなるし、抱き付いて顔をうずめるときは霊夢のお腹を舌を這わせて味見したくなっちゃう、霊夢が眠っていたら覆いかぶさって思わずあの細い首筋に歯を突き立てたくなるの。あぁきっとすごく柔らかくてとろけるほどに美味しいんだろうなぁ…」

恍惚とした表情でそう語るルーミアを見ながら、ミスティアは呆れた様子で応えた

「…紅白を食べたら、賢者さまに殺されるわよ?」
「大丈夫だよ、食べないから。食べたら霊夢がいなくなっちゃうし。それに霊夢は強いから、食べる前にきっと私が殺されちゃうね」
「そこまで分かってても食べたいと思うの?」
「うん!だって霊夢は強くて優しくて暖かくて美味しそうで、私は霊夢が大好きだから!」
「…ルーミアは相変わらずだね。もうルーミアが死ななきゃなんでもいいよ私は」

やっぱり変な子だ、この子は。ただただ嬉しそうな顔でそう宣言するルーミアにつっこむのが面倒になったミスティアは、ちびちびと店の酒を飲みながら空を見上げた
空には、友人のおかしな話を軽く聞き流す程度には絶好の満月が綺麗に浮かんでいたのだった
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コメント



0.1960簡易評価
12.100名前が無い程度の能力削除
貴方が神か

るみゃれいむは俺の桃源郷
20.90名前が無い程度の能力削除
まぁ、ルーミアだし、なぁ?
しかたないか、な?
21.100名前が無くてもあたいさいきょーだもん!削除
ルーミアにも『うさんくさい』って言われる紫…(ノ∀`)


×超高音の火
○超高温の火
23.90名前が無い程度の能力削除
油断してるとパクりといっちゃうあたりがちょうどいい
甘噛みじゃなく
25.100名前が無い程度の能力削除
和むな~
最後にルーミアの妖怪らしさも出ていて良かったです
27.無評価桔禰削除
>12様
神だなんてとんでもない、ただの霊ルミ霊好きですよw
楽しんでいただけて何よりです

>20様
実は「霊夢美味しそう」は最後まで書くかどうか迷っていたんですが、自分の中のルーミア像を忠実に出そうと思ったのでこうなりました
読んでくださってありがとうございました

>名前が無くてもあたいさいきょーだもん!様
紫さまから「うさんくさい」をとったら何も残らないじゃないですか!(((
ありゃ誤字ってましたか。修正しました、ご指摘ありがとうございました

>23様
ルーミアは可愛くても「妖怪」ですからねぇ
ただ甘噛みでもそれはそれでおいしいのではないかt(ry

>25様
和んでいただけましたか、それはよかったです
暖かい感想ありがとうございました
42.60名前が無い程度の能力削除
最後はきちんと妖怪の価値観でオチをつけているのがいいね。
最近あんまり見なくなったぁこの組み合わせ(´・ω・`)

ついで誤字報告をば
>博霊式の巫女服
→博麗式の巫女服
43.無評価桔禰削除
>42様
あう、この間違いは危ないですね…ずっと勘違いしてました
御報告ありがとうございます、修正しました

霊夢とルーミア、可愛いんですけどね…
もっと流行ることを願っています
44.80ずわいがに削除
何て言えば良いんだこの感情は……そう、うん、“ほっこり”だ!