閑古鳥が鳴く。
とまでは言わないが、そんな僕の店に新しい常連が誕生したのはある冬の早朝の事だった。
常連客と、言わないことから分かるかもしれないが霊夢や魔理沙と同じように客としては殆ど来ない。
いや、たまにはとはいえ来る事を考えれば彼女達とは違って、客として扱っても良いような気もするのだが、彼女自身が客扱いするのを嫌っている節があるのだから仕方がない事だろう。
さて、前置きはこんなものでいいだろうか?
コンコン。コンコン。
その日は、控えめなノックから始まった。
「ごめんください。霖之助さんはいらっしゃいますか?」
「ああ、いるがどちら様かな?」
「犬走椛です」
犬走椛と言えば、確か射命丸文の部下の白狼天狗だったはずだ。前に一度射命丸と共にこの店に来た事があるから覚えている。
あの時は終始無口だったが、それは上司の会話を邪魔しないための配慮だったのだろう。興味深げにしながら眼をキョロキョロさせて尻尾を振っていたのを商品が倒されては堪らないとハラハラしながら見ていた記憶がある。
彼女がこの香霖堂に一体何の用だろうか?
「……………」
しかし、その本人は名乗たきり店の中に入る様子が無かった。
「………? ああ、どうぞあがって」
「失礼します」
ガラリと戸を開けて腋を出した露出度の高い服装をした彼女は大きな鞄を下げて中に入ってきた。
どうやら、僕が入店を許可するのを待っていたようだ。
僕が居ようが居まいが関係なしに入ってくる人達ばかりしか来ないので一瞬分からなかった。
大抵の場合僕はいるのだが、それでも確認ぐらいしてほしいと思っていた僕からすれば少し嬉しかったりする。
まあ、客としては間違っているのかもしれないが、僕にとって好意的に思える行動だったことは変わりはない。
「わふぅ………」
中に入った彼女は幸せそうに眼を細めて気の抜けた声を出した。
冷え切っていた身体が一気に温まったのだろう。
やはり、こうゆう反応をされるとこのストーブという物の素晴らしさを改めて実感する。
この時期に来る人たちの多くが彼女と同じような反応をするのだが、その中でも彼女は僕が見てきた中で一番良い反応をした。
こんな反応をしてもらえれば紫に持って行かれた道具達も喜んでくれるだろう。
僕がそんな幸せそうな顔をじっと見てると。
「……………! お、おはようございます霖之助さん」
「ああ、おはよう」
僕の目線に気付いたのだろう。顔を真っ赤に染めてうろたえて始めた。
「それで、一体何の用だい?」
助け船がてら、僕はそう聞いた。
彼女が何の目的でここにきたのかで僕の対応も変わってくるのだから、当然の配慮とも言えるけれど。
「あ、はい。文々。新聞を配達しに来ました」
そう言って、彼女は鞄から新聞を取りだして差し出してきたので僕は「どうも」と言って受け取る。
なるほど、中身が入ってなさそうな割に大きな鞄を下げていると思ったが新聞が入っていたのか。と、一つ疑問が解消されたが。
「いつもは、射命丸が持ってきてくれるはずだが、何かあったのかい?」
それによって、また新たな疑問が生まれた。
「何でも霊夢さんが異変解決に動いているというタレこみが入ったそうで、その取材に行った文さんのかわりに私が持ってきた。という訳です」
「なるほど、そういう事か」
要するに、使いっ走りにされた。という事か。
この寒い中大変だろうに。
射命丸ならば、風を操って寒気から身体を守ることができるが彼女にはそんな事は出来ないだろうし、僕が作った霊夢の服のように彼女の服には温度調整機能も付いていない事は僕の能力で分かっている。
そうだというのに、腋を露出するような服を着ているのは多分寝起きを叩き起こされ防寒着を着る時間も無く行かされたからだろう。その証拠に寝癖らしき跳ねた髪が何本かある。
まったく、防寒着を着る時間ぐらい許してあげてもいいだろうにいくら天狗が丈夫で病気になりにくいとはいえこれではあまりにもかわいそうではないか。さすがに防寒具をタダであげるようなお人好しではないが、ストーブに当たる事くらい許してあげてもいいだろう。
というか、あんな幸せそうな顔でストーブの前から動こうとしない彼女をあそこから引きはがそうとは僕には思えない。
それと、異変に関してだが、多分嘘だろう。昨日、呑気にここで僕のお茶を飲み、茶菓子を食い荒らし、残りを勝手に持って行ったばかりだというのに異変解決に乗り出すとは考えにくい。
まあ、本当だったとしても霊夢ならば大丈夫だろう。僕が心配するようなことではないはずだ。それに、彼女も行ってしまった上司が偽のネタを掴まされたといっても、今更どうしようもない事だ。
彼女の鞄中にはもう一部も入ってはいない事は先ほど確認している。
つまり、僕が最後の配達だという事。もう真実だとしても嘘だとしても射命丸のスピードならもう分かっているはずだ。今更僕の忠告は無意味というわけだ。
まあ、鞄の中を覗かなくても彼女が射命丸の配達の通りに回っていれば最後に僕に配達に来る事は分かっている。
そこで射命丸が僕に前の新聞の出来を聞いてきたり、霊夢や魔理沙などのネタを聞き出そうとしてくる。僕は話せる範囲の事しか話す事はしないが、それでも射命丸はいつも「貴重な情報ありがとうございます」と言って帰って行くのだから。
そこまで考えて、僕は一つ思いついた。
「それで、配達の方は終わったのかい?」
「………はい。霖之助さんで最後です」
平静を装っているのだろうが、声も表情も尻尾や耳にいたってまで分かりやすくしょんぼりとしていた。
さっきの言葉は親しい関係の人物からならば、誘いの言葉だが。逆に親しくない人物からならば、それは『帰れ』という意味にも取れる言葉だ。彼女はそういう意味として取ったようだ。確かに、この寒い中一度ストーブのありがたさを知ってから外に追い出されたては堪ったものではないだろう。
まったく、射命丸が彼女の事を可愛がるのも頷けるというものだ。これだけ良い子だと僕だってお節介をかけたくなってしまうというものだ。
まあ、そうは言っても僕がこれからやろうとしている事は、それとは正反対の事なのだけれど。商人なのだから仕方がないだろう。
「そうかい、だったら」
とはいえ、別に僕は彼女にここから出て行けとは言うつもりはない。
「店(うち)の商品を見ていかないかい」
ただ金を置いて行けというだけだ。
ちなみに、彼女の尻尾が千切れんばかりに振られていたかどうかは言うまでも無い事だろう。
「それにしても、本当に色々ありますね」
僕が一度あるものを取りに倉庫に行っている間、一通り店内を物色した彼女はそう言った。
その台詞は褒めているのか、ただ感想を言っただけなのか微妙な所だが、尻尾の方はワサワサと面白いように振られている所を見ると前者と考えていいだろう。
つまり、何か興味を持った物があるといことだ。
だけれど、ここで焦っても意味がない。まずは様子見だ、彼女が何に興味を持ったのか分かるまで待つべきだろう。
まあ、当たりは付いているのだが念の為だ。
「そう言ってもらえると、古道具屋の冥利に尽きるというものだね」
僕はそう言って、彼女の尻尾を眺める。
商品を倒してしまわないか心配したがどうやらあの尻尾、大きさの割には当たり判定が小さいようで、仮に商品に接触しても何事もなかったように通り抜けている。
それどころか、ハタキと同じ効果をもたらしているようで、そろそろ取ろうと思っていた埃が落ちてさえいる。
これは予想外の利点だ。
一体どんな触り心地なのだろうと、触ってみたい欲求にかられたが種族によっては尻尾を触られる事をを禁忌としている者だっている事を考えれば、それはやるべき事ではない。
好奇心は身を滅ぼすということだ。
そんな事を考えている僕に気付いているのか気づいていないのかは知らないが、彼女は僕の方を様子をうかがいながらある商品をチラチラと見ていた。
やはり、彼女が興味を持ったのはアレのようだ。
「ふむ」
さて、ここからが問題だ。
僕の見る限り彼女の性格はあまり押しに強いとは思えないので、あの商品をそれとなく会話に入れ後は押し切ってしまえば彼女は簡単に買ってくれるかもしれない。
が、それはできれば避けたい。
やはり、商人として押し売りをするのは避けるべきだろう。
どうにか彼女の方から購入意欲を引き出したいところだ。
そんな、絶妙なタイミングでストーブの上にさっきおいておいたたやかんが沸騰した。
なんて主人思いなやかんのなのだろう。こいつも非売品にしてやろうと僕は心の中で誓った。
まあ、買う人がいるとも思えないが。
「君は緑茶と紅茶どっちが好みなんだい?」
「え? あ、緑茶の方が好きです」
「そうか、それじゃあ緑茶にしようか」
僕は急須と霊夢に持って行かれなかった安いお茶葉を取り出す。茶菓子の方は霊夢がお情けで残していった煎餅があったはずだ。このまま残しておいたら次来た時にすべて持っていかれかねない。とっとと食べてしまおう。
「そんな、悪いです。お気になさらないでください」
「何を言ってるんだ。客に気を使わない店主が一体どこにいるというんだい?」
ここぞとばかりに僕はとどめの言葉を口にする。
これで彼女は自分が客である事を再認識する事になるだろう。まあ、彼女の事だからこんな事をしなくても何かしら買って行ってくれるとは思うが、あの大物を買ってもらうには必要な布石。
こういう小さな積み重ねが大切なのだ。
「それじゃあ、何かお手伝いでも………」
「なに、お茶を注ぐだけだ、そこでおとなしくしてるといい」
「…………わふ」
そうたしなめると、彼女はやはりしょんぼりとしていた。
それを見て、つくづく彼女は、この幻想郷で損な性格をしていると思わなくもなかった。
一服を入れた後、彼女は僕の思い描いた通りの行動をとった。
「あの、店主さん。あそこにあるものなんですけど、見てもいいですか?」
「ええっと、どれの事だい?」
僕は内心しめたと思いながら、何食わぬ顔でそう尋ねる。
「はい、あの隅にあるテーブル代わりにしているものなんですけど………」
「将棋盤の事か。別にかまわないよ………ああ、すまない。上に乗っている物はどかしてしまおう」
「いいです。私がどかします」
言うが早い、彼女は将棋盤の上に乗っていた本を持ち上げた。
「…………あのー」
が、どこに置こうか迷っているようだった。
「預かろう」
「いえ。持っていきます。どこに置けばいいですか?」
「そうかい。それならカウンターの空いているところにでも置いてくれるかな」
「はい、わかりました」
客にこんな事をさせるのは商人として間違っているだろうが、彼女が進んでやってくれると言うのだから断わる事もないだろう。
彼女が運んでくれている間に僕は布巾を用意し、それで将棋盤に付いた汚れを手早く落として居間へと運ぶ。
ここでは見にくいだろうという配慮である。
まあ、下心がないと言えば嘘になるが。
「ああ! 店主さんいいです。そんな事しなくても」
後ろから、パタパタと駆けてくる音と共にそんな声がした。
……………射命丸が彼女をからかう気持ちが少しだけ分かったような気がした。
さて、先ほど大物と表現したが、それは価値が高いという意味合いもあるが、文字通り大きな物という意味でも大物だ。
外の世界では縦横ともに9マスのの本将棋が普通なのだそうだが、この幻想郷では縦横12マスの中将棋、もしくは縦横15マスの大将棋が普通だ。そして、この将棋盤は縦横13マスのものだった。
「13マスの13マス……というと、平安大将棋ですね」
「博学だね、まさしくその通りだ。それじゃあ、並べ方は知っているかい?」
「いえ、お恥ずかしながら名前だけで並べ方は分からないです」
「それじゃあ、試しに並べてみようか。僕の言うように並べていってくれないか」
「はい」
そう言って、僕は箱から駒を取り出してゆっくりと説明しながら並べていく。
「一段目は石将がないだけで殆ど大将棋と変わらないから、説明がいるのは二段目からだな。王将の前に横行、銀将の前に猛虎、桂馬の前に飛龍、香車の前に奔車といった具合だ。………そうだ、次に三段目は全て歩兵で、埋めて………………、四段目の中心、王将がある列に注人を置いて完成だ」
「…………はい! 出来ました」
彼女は手慣れた手つきで並べ、説明している僕よりも早く並べてしまった。
ちなみに、並びはこんな具合だ。
香 桂 鉄 銅 銀 金 玉 金 銀 銅 鉄 桂 香
奔 飛 □ □ 猛 □ 横 □ 猛 □ □ 飛 奔
歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩
注
「なんだ、やけに手慣れているじゃないか。よく将棋はするのかい?」
「ええ、暇な時はいつも河童と大将棋を指して暇を潰しています」
「なるほど、それじゃあ実力の方もあると見て良いわけだね」
そう言うと、彼女は照れたように「そ、そんな事無いですよ」と頬を赤く染めていた。
強く否定してこない所を見ると、それなりに自信があるのだろう。
「そう言う霖之助さんはどうなんですか?」
「僕かい? そうだね………一昔前はよく寝る間も惜しんで指していたものだが、ここに店を立ててからは指していないね」
そこで、僕は勿体ぶるように間を開け、肩をすくめるようにして。
「残念ながら、指したくてもまず指す相手がいない」
そう残念そうに言う。
ここでポイントなのが昔やり込んだことを強調し、それなりに実力がある事をアピールすることだ。
将棋好きなら勝負を挑みたくなるくらいに。
「そ、そうなんですか。…………それじゃあ、私と一局指してみませんか?」
ここで、僕が内心ほくそ笑む。
というか、表情に出さないのに苦労した。
「そうだね。それじゃあこの将棋盤を買ってくれるというなら、受けてあげてもいいよ」
「………商売上手ですね。いいでしょう買いますよ。…………あ、でもお幾らですか?」
「なに、身構えるほど高い値段をつけるつもりはないよ。僕としても大きくてかさばるし、これの扱いに困っていたところがあってね、安くしておくよ。ええっと、これくらいでどうかな?」
僕はそろばんでこれぐらいで売りたいというラインより五割ほど安く見積もった数字を弾いて彼女に見せる。
「お安いですね。これだけ古くて状態が良いものなのにいいんですか?」
彼女は申し訳なさそうにしていたが、尻尾の方はワサワサと大きく振れていた。
きっと、儲けものだ。と、心の中で思っているに違いない。
………さて、ここからが本題だ。
「僕としてもかなり安くしていると思っているからね。そこで、一つ提案があるんだ」
「提案、ですか?」
彼女は訝しげな表情を浮かべ、尻尾の動きもピタリと止まる。
警戒しているのだろう。
まあ、当然だ。
世の中そんなにいい話なんてころがってはいないだから。
「なに、難しい事じゃない。単に勝負に僕が勝ったらさっきの値段の二倍。君が勝ったら半額にしようというだけだ」
「賭けですか」
「ああ、その方がやる気が出るだろう?」
僕がニヤリと笑みを浮かべると彼女は少したじろいで見せたが、すぐに嬉しそうな笑みを浮かべた。
勝負師としての血が騒いだのかもしれない。
いや、そうに違いないだろう。
なぜなら、久しく勝負などやっていない僕でさえ血が騒いでいるのだから。
「分かりました。受けましょう」
こうして、戦いの火蓋は切られた。
僕達の勝負に結着が付いたのは、日が傾き始めた夕方の五時半といったところ。
軽く九時間は経っただろうか?
やはり、ある程度の実力者同士が戦うとこれぐらい経ってしまう。
思考時間に制限を付けなかった事と昼をご馳走した事も考えれば早いくらいかもしれない。
さて、あんまり延ばしてもしょうがないから、ここらで結果を言うと。僕は彼女に二倍の値段で買わさせることに成功した。
とはいっても、元々売りたかった値段なのだが。
「うう、霖之助さん強いんですね。完全に負けました」
「なに、落ち込む事はない。君だってかなり強かった。最後の連続王手には正直冷や汗をかいたよ」
「あれは私が攻め急いだだけです。あの後は防戦一方でそのまま攻めきられてしまいました」
「そうだね、確かにあそこは攻め急いだ感が否めない。ちゃんと詰みを思い浮かべてから攻めるといいだろう」
「………そうですね。次は気をつけます」
「次があるのかい?」
そう言って彼女を見ると。
「だ、駄目ですか?」
と、上目使いで僕の事を見ながら言ってきた。
「いや、駄目じゃないむしろ嬉しいくらいだ。僕は結構な将棋好きだと自分でも自負していてね、相手がいるなら喜んで受けるよ。ただし」
「ただし?」
「気に入った物があった時らでかまわないからたまには店の商品を買って欲しいな、というだけさ」
僕の言葉を聞いて彼女はにっこりと笑って。「それなら、私が好きそうなものを仕入れておいてください」と言った。
「君の好きそうなものか、そいつは中々難しい仕入れだ」
「私可愛い物好きですから、何かそういう小物があると嬉しいです」
「なるほど、小物か」
確かに、店には鑑賞にむいている物はあまりないだろう。
ふむ、今度アリスにでも頼んで何か人形でも作ってもらってもいいかもしれない。
まあ、そんなものを並べるとかなりシュールな光景になりそうな気もするが、買い手がいるなら問題ないだろう。
「あの、それとですね」
「ん? なんだい?」
もじもじと恥ずかしそうにしながら、彼女は、
「で、できれば君じゃなくて、椛って呼んでもらいたいです」
と、言ってきた。
しまった。僕とした事が、彼女の………いや、椛の事をちゃんとした固有名詞で呼んでいなかったとは。
つい、言いやすいように言ってしまっていた。
これは反省だ。
「ああ、そうだね。これは失礼した。これからは椛と呼ぶ事にするよ」
「え? あ、は、はい。ありがとうございます」
椛はそう言うと、頬を真っ赤に染めてうつむいた。
そんなに君と言われるのを気にしていたのか、これは悪い事をしたな。
確かに、君なんて呼ばれると他人行儀な感じで嫌な人は嫌だろう。客に他人行儀で会話してしまうとは商人として失格だ。
次からは気をつけなければ、と僕は心に誓う。
そうして、ふと外を見るともうすっかり日も暮れ、真っ暗になっていた。
結構話し込んだかもしれないと、時計を見れば短針は六時を指していた。
なるほど、日も沈む訳だ。
「もうこんな時間か、ああ、そうだ。よかったら夕飯を食べていくかい?」
「ええ!? わ、悪いです。お昼もご馳走して貰ったのに」
「なに、遠慮することはない。椛が買ってくれたおかげで、幾分お金にも余裕ができた、何なら泊まって行ってくれてもかまわないよ」
「と、と、とま、とまり? …………え、えっと、きょ、今日は、あ、文さんに、は、配達の報告があるので、か、帰ります!」
そう言って、すばやく将棋盤を持ち上げ、その場でくるりと回ろうとした椛は自分のスカートを踏んでバランス崩した。
「ひゃあ?」
それを見た僕は反射的に右手を伸ばし一番掴みやすかった尻尾を掴んだ。
「ひゃん!?」
悲鳴にも喘ぎにも似たその声を聞き一瞬手を離しそうになったが、ここで離したら椛は手に持った将棋盤ごと顔面から床に強打する事になる。
僕は右手に力を入れ直し、引っ張る。
「ひゃああん!」
そうして、空いている左手で素早く椛の服の腰のあたりを掴み、椛が床に叩きつけられる寸前で止めた。
危機一髪。自分でもよく動けたと思う。
「だ、大丈夫かい?」
そのままの体勢でゆっくりと椛を下し、そう聞くと、まるで湯でダコのように真っ赤な顔をしていた。
「も、もしかして、顔をぶつけたのか!? くそ、間に合っていなかったのか! すまない今救急箱を――」
「だ、だだだだだ、大丈夫です。ぶ、ぶつけてないですぅ!」
「やせ我慢なんてしなくてもいい、ああ、そんなに赤くなって、かわいそうに今冷やしたタオルを用意するから――」
「だ、大丈夫ですっ!! …………お、お邪魔しましたーー」
「お、おい」
言うが早い、椛は凄まじい速さで出て行ってしまった為、声をかける暇もなかった。
やれやれ、やせ我慢なんてしなくていいのに。
…………ああ、そうだ。
僕はある事を思い出して、カウンターの内側をのぞき込む。
「せっかく椛に合うようなどてらを在庫から引っ張り出したのに無駄になってしまったな」
苦笑しながら僕はそう一人で呟いたのだった。
「あなたが鈍感だったのは知っていましたが、ここまでだったとは………さすがに驚きましたよ」
僕の話を聞きおわると、カウンター越しに射命丸がそんな事を言った。
「失礼な事を言うね」
「失礼でもなんでもありません。事実ですよ」
そうしれっと言い放つ射命丸にむ、と思い、言い返してやろうと思ったが、僕の事を憎き相手のように睨みつけているのを見て口をつぐむ。
何か怒らせるような事を言ってしまったのだろうか?
しかしながら、僕にはそれが一体何なのか分からなかった。
なるほど。
これは確かに鈍感なのかもしれない。
「………すまないが、僕の言葉のどれが射命丸を怒らせたのか皆目見当がつかない。僕はなにか気に触るような事を言ってしまったか?」
僕がそう言うと、射命丸は拍子ぬけたような顔をして、「はあ」とため息をついた。
「まったく………霖之助さんには毒気を抜かれますよ」
呆れたようにそう言った。
なんだ? 僕は何か変な事でも言ったか?
「これじゃあ、椛が報われないはずですよ」
そして、さらに意味深な事を言う。
「椛が、どうかしたのかい?」
「いえいえ、何でもありませんよ。ただ、椛はあなたに尻尾を鷲掴みにされたの許したというのに、当のあなたはその事を全然気にしちゃいないのがかわいそうになっただけです」
「気にしていない訳ではないが………やはり、白狼天狗も尻尾を触られる事を禁忌としているのか?」
予感はしていたが、そうだとしたら椛に謝罪、そして感謝をするべきだろう。
なにせ、噂によればある人間が妖怪の尻尾を触ったというだけの理由で人間を殺したという話があるのだから。
「 ? 何を勘違いしているのかは知りませんが、禁忌になんてしていませんよ」
「そうなのかい? それじゃあ、人間が妖怪の尻尾を触ったというだけの理由で人間を殺したという話はガセだったのか」
「いえ、その話は本当ですよ。…………ああ、そう言う事ですか。なるほど、人間達にはそういう風に伝えられてるんですね。興味深いですね今度、そういった人間と妖怪の認識の相違について調べてみてもいいかもしれませんね…………」
そう言って、射命丸は一人納得するように考え込む。
完全に置いてきぼりだ。
「すまないが、一人で納得しないで僕にも説明してくれないか?」
「あやや、これは失礼しました」
間を措くように、軽くコホンとしてから射命丸は話し始める。
「さっきも言いましたが、尻尾を触る事に関して妖怪は禁忌になんてしていません。ただ触られるのが嫌なだけです。
これは私の羽なんかにも言える事でして、先ほど霖之助さんが言った話は私達妖怪にも結構有名な話なんですが、人間達が言い伝えているものとは少し違います」
「どう違うんだい?」
「人間側では触ってはいけない。妖怪側は触らせてはいけないと、意味合い的には逆になっているのでいいのですが、妖怪側の触らせてはいけないというのは、人間の脆さを伝えるために言われています」
「人間の脆さ?」
「ええ、人間は私達がちょっと強く叩くと死んでしまうという意味合いで使われるのが、『人間に尻尾を触らせてはいけない』という言葉なんです」
「………その言い方だと尻尾を触ると強く叩かれる。という意味合いに聞こえるんだが」
僕が恐る恐るそう聞くと、射命丸は当然とばかりに「ええ、そうですよ」と、頷き。「そんな事、よく考えれば分かる事なんじゃないですか」と、更にそう続けた。
しかし、僕にはさっぱり分からなかった。
「いや、そう言われても僕にはよく分からないよ。てっきり何か規則かなにかで触られてはいけないという決まりがあるものかと思っていたんだが………」
「だから、規則なんてありません。そうですね………言うなら精神的な問題ですかね」
「精神的? どういうことだ」
「分かりやすく言うなら………そうですねー、霖之助さん、私が今から霖之助さんの股間を触ろうとしたらどうしますか?」
「と、突然何をしようっていうんだい!」
「な、何を赤くなっているんですか! 例え話ですよ!」
真っ赤な顔をして否定された。
な、なんだ例え話か。
一体何をされるのかと驚いてしまった。
まったく、僕らしくも無い。
…………ええっと、話を戻そう。
「そ、そうだな、そんな事をされたら、抵抗するに決まっている。まあ、もし射命丸が本気でしようと言うなら抵抗するだけ無意味だがね」
「だからそんなことしないって言ってるじゃないですか!! 怒りますよ!」
「じょ、冗談だ。怒らないでくれ」
射命丸は二度、三度「はあ、はあ」と荒い息ずかいをしながら僕を睨んで、「次、そんなこと言われたら、冗談でも怒りますからね」と、言った。
今でも十分怒っているじゃないかと思わなくもなかったが、そんな事を言ったら殺されそうな気がしたので止めておいた。
「もお! ………まあいいです。話を戻します。…………先に言っておきますが、これも た と え ば な し ですからね」
「あ、ああ。分かっている」
僕は射命丸を怒らせないように深く深く頷いた。
「………、それじゃあ。もしも、仮に、例えば、私が霖之助さんの股間をあなたが気がつかないようにして触ったとしたら霖之助さんはどうしますか?」
「そんなことされたら飛び退くか、あるいは…………ああ、そう言う事か」
ここまでくればさすがに分かった。
「つまり、椛の尻尾や射命丸の羽はそれと同じように考えればいい、ということだね?」
僕のその言葉に射命丸は頷いた。
「ええ、そう考えてもらって結構です。厳密には違いますけど、人間に例えればそう言う事になる。という事です。
まあ、私の羽はまだましな方なんですけどね。そうですね………人間で言えば首筋と言ったあたりでしょうか? そんな所を急に触られたら私だったら手が出ます。だけど、そんな事普通だと思いませんか?」
確かにその通りだ。
突然首筋を触られて嬉しいだなんて思う奴は普通いまい。
僕だって手こそ出ないだろうが、不快感は否めないだろう。
「ああ。確かに、それは普通だ」
「ええ、そうでしょう。ここで普通じゃないという人がいればそいつは間違いなく変態です。
そして、ここで肝心なのが妖怪の尻尾は人間のどこの感覚に類似しているか、という事ですが………そんなの尻尾がどこから生えているかを考えれば簡単に分かると思いますよ?」
射命丸は僕に期待するような目を向ける。
…………どうやら、僕に言わせたいようだ。
きっと、さっきの嫌がらせだろう。
「………つまり、尻という事か」
「そうですね、それに近いと思います。まあ、敏感と言う意味ならそれ以上ですけど」
満面の笑みを浮かべてそう言う射命丸。
まあ、この程度の事で怒りが収まるなら安い物だ。
「ですから、妖怪の中でも尻尾の生えている者達は触られても大丈夫なように工夫するものがほとんどです。服の中に入れたり、椛や霖之助さんと同じ半妖の慧音さんの場合は毛を伸ばして守っている訳です」
まあ、慧音さんは満月以外は関係ないので気にしていないかもしれませんけど、と射命丸は最後に付け加えた。
「………それを、僕が触ったという訳か」
「触ったというよりは、鷲掴みですね。正直、五体満足で生きていられた事を感謝すべきですよ? 椛の蹴りは私でも堪えますからね」
確かに、女性の尻を無断で触ったとしたら。いや、射命丸に言わせれば鷲掴みか。そうだとしたら、僕が蹴飛ばされても仕方がなかっただろう。
それが例え故意ではなかったとしても、だ。
「そうか………今度椛に謝らなければいけないな」
まるであの事が無かったかのように振舞うので言わずにいたが、知ってしまったからには謝るべきだろう。
僕がそう呟くと。
「それはやめておいた方がいいと思いますよ?」
そう、射命丸は言った。
「どうしてだい?」
「椛は無かった事にしようとしているので、掘り返すのはよくないと思います」
「無かった事に、している…………?」
「ええ、私がここに来たのだってそれがあったからですからね」
「椛と仲良くなった経緯について聞きに来たことがか?」
そう言われてみれば、「上司として部下の交友関係を知っておかねばなりません」というのはいささか無理があるように感じていた。
しかし、どういう事だ?
「霖之助さんと将棋を指している事は椛に聞いてましたけど、経緯について聞くと話を濁されましてね、何か隠しているのは分かってました。でも、それは霖之助さんの話を聞いて分かりました」
「…………それが、僕が尻尾を掴んだ事、と言う事か」
「ええ、そうです。正確には、あなたが不可抗力で尻尾を掴んでしまったこと、です。私が知ったらまず間違いなく、それが故意じゃなかったとしても霖之助さんを問い詰めに行くのは椛にも分かっていたはずですから」
付き合い長いですし、そう最後に付け加えた射命丸の眼は少し寂しげだった。
「多分、あの子はあなたとの関係が壊れるのを嫌ったんだと思います」
「僕との関係………?」
「ええ、私は直情型ですからね。ましてや霖之助さんは自分がした事を自覚していませんでした。もしも椛から話を聞いていたらあなたをぶっ飛ばしていたかも知れません」
そうにっこりと笑顔でそう言った射命丸だが、とても冗談には聞こえなかった。
「…………恐ろしい事を言うね」
「乙女の尻尾を甘く見ちゃいけませんよ? まあ、今はそんな事をするつもりはありませんが、もしそうなれば、さすがにあなたと椛の関係にも影響が出たでしょう。それがあの子は嫌だったんでしょうね」
「例え君との関係に何かあったとしても、僕がその事で椛の事を責めたりはしないが」
「まあ、あなたならそうでしょう。ですが、椛はそうは思わなかったということです。
それに、上司である私とあなたの関係が悪くなったら、もうあの子はあなたと将棋を指そうとはしないでしょう。椛はそういう子です」
確かにそうかもしれない。
椛は僕から見ても人に気を使いすぎるように思えるほどだ。その椛と長く付き合ってきた射命丸がそう言うのだから、きっとその通りなのだろう
「………まったく、難儀な子だ」
「ええ、だからこそ可愛いんですよ」
そう言って、にんまり笑う射命丸。
この上司あって、この部下あり。
なるほど、案外いいコンビなのかもしれない。
「ああ、確かにその通りだ。可愛げがありすぎる」
「その言葉、今度椛に直接言ってあげてください」
「ん? 可愛げがあるって事をか?」
(…………もはやこれを鈍感という言葉で済ませていいのでしょうか?)
「何か言ったか?」
「いえいえ、何でもありません」
ふむ、なんだか失礼なことを言われた気がしたが気のせいだったか。
「誰でもそうですけど、褒めもらえてうれしくない人はそういないでしょう。椛もそうです。
それに、椛は霖之助さんによく懐いていますから特に喜ぶと思いますよ。謝る代わりと言っては何ですが言ってあげてください」
「なるほどそう言う事か、分かった。褒めるのは得手ではないが努力しよう」
「一応言っておきますが将棋の事で褒めないで下さいよ?」
「な、なんでだい?」
そうしようと思っていたところを見透かすように言われて僕はうろたえる。
「なんでだいって、まさかほんとにそうするつもりだったんですか!? まだ椛は一度あなたに勝って無いんですよ! それで褒められても単なる嫌味じゃないですか!」
「ぐっ、確かにその通りだ」
褒めた事なんて両手で数えられるほどしか無い物だから気が付かなかった。確かに、それでは単なる嫌味だ。
馬鹿か僕は。
「普通に褒めてあげてください。普通に!」
「ぬう………」
普通。普通か、しかし普通って一体どうすれば。
そう思い悩む僕を尻目に、射命丸は店の一角を見て「それにしても」と話を切り替え始めた。
気を使われたのかもしれない。
「いつの間にやら、店の雰囲気がファンシーになってますね。なんです? このぬいぐるみのスペースは」
「………ああ、アリスに頼んで入荷してもらったんだが勝手に商品をどかしてスペースを作って行ってしまった。確か、『こんな小汚い場所にこの子たちを置いていけない』なんて言っていたな。まあ、ぬいぐるみのコーナーだと思ってくれ」
「なるほどなるほど、アリスさんの趣味でしたか。そうですね、霖之助さんにこんなかわいらしい装飾をつけるとは思えませんしね。
それで、どうですか売り上げの方は?」
悪戯っ子のような笑顔で僕を見る射命丸。
椛から聞いているだろうに。まったく、いい性格だ。
「悔しい事にこの店一番の売り上げだ。最近じゃあ人里の方から買いに来る者もいるくらいだよ。
もっとも、それでも大した数は来ないけどね」
「まあ、場所が悪いですからね。もう少し人里に近い所に店を構えないと駄目でしょう」
「その通りだが、僕はこの場所を気に入っているんでね」
「そう言うと思いましたよ。おや? これは霖之助さんじゃありませんか?」
そう言って、射命丸が手にしたのは僕の形を模ったぬいぐるみ。
できれば見つけて欲しくなかった物だ。
「ああ、思いの外売り上げが良いのを良い事にアリスが実在する人物をもとに作った物でね、第一弾なんだそうだ。他に霊夢、魔理沙とあったんだが、当然というべきか僕のだけ売れ残ってしまった」
「なるほど、確かに人相が悪いですもんね、霖之助さんもこの霖之助さんも。これじゃあ売れないでしょう」
「ほっといてくれ」
こんなことなら、焼いて捨てるべきだったか。
いや、商品を焼くのは商人としてもはや論外だ。そんな事は出来ない。
しかし、そうなるとあれは一生あそこに置いておかなければならない事に………
「そうですね。それじゃあ私が買いましょう」
そんな事を考えている時、射命丸がそんな事を言うものだから一瞬耳を疑った。
「買う? それをかい?」
「ええ、そうですよ」
「君はさっき自分で何と言ったか覚えてるか?」
「いいじゃないですか、そんなことは。細かい事を気にしすぎると禿げますよ?」
「余計な御世話だ」
何度かそんなやり取りを繰り返したが、射命丸は口を濁すばかりで会計を済ますとぬいぐるみを左手に抱え出て行こうとする。
僕はそれを訝しげに眺めていると、思い出したようにくるりと僕の方に顔を向け、
「そうそう、椛の事は名前で呼ぶのに私に対しては射命丸って名字で呼ぶのは何か不公平ではありませんか?」
そんな事を言った。
「それは君が、『何と呼んでもらっても結構です』と言ったからだったはずだが?」
「普通そう言ったら名前の方を呼ぶでしょう。ましてや文と射命丸でなんで呼びにくい方をチョイスするんですか? これだから鈍感だと言うんですよ。」
「ぬ、」
今日だけで一体何回鈍感と言われたか分からないが、こんな風に何度も言われると本当にそんな気がしてくるから困りものだ。
まあ、今日はそう言う事にしておこう。
「それはすまなかったね、文」
「ぐっ………そんなんだからあなたは鈍感なのですよ!」
そんな台詞を吐いて文はくるりと回った。
そのまま帰るのかと思ったが、そうではないらしい。
しばしその場で立ち止まっているとかと思ったら、もう一度僕の方を振り返ってこんなことを言った。
「ああ、そうそう。椛を褒める、の事ですがいい考えがありますよ。いいですか霖之助さん、椛が来たら笑顔でこう言うんですよ――――――」
翌日、椛ガラのどてらを羽織った少女が将棋盤を持ってこの店に訪れた。
少女は満面の笑みを浮かべ、トレードマークである尻尾を嬉しそうに揺らしている
「おはようございます、霖之助さん」
彼女はいつものように僕に挨拶をした。いつもなら「おはよう」とそっけなく答えるだけなのだけれど、僕はこの時、昨日文に言われた事を思い出して笑顔でこう言った。
「やあ、椛。今日も可愛いね」
その台詞を吐いた途端、「きゃうん!?」といった具合の奇妙な声を上げ、彼女は急に顔を真っ赤にさせて俯いてしまい。それ以降僕と目を合わせようとはしてくれず、せっかく楽しみにしていた将棋もなんだかうやむやな具合でお流れになったのである。
せっかくこの日の為に用意していた茶菓子もこれでは、意味も無い。
これは一体どういう事だ? そう考え、僕はようやく気付いた。
…………どうやら、僕は文に騙されたようだ。
文と椛が対照的でいいですね
さぁ続きを書くんだ、書かなければ幻想郷は崩壊する
さぁ続きを書くんだ、なければ俺の精神も崩壊する
さぁ、ガゼルさんは続きを書く作業に戻ろうか
だが、いくつか理解できない
とくにラストに魔理沙が登場する必要性を感じない。
ラストの魔理沙のマスパで作品の雰囲気が大なしのように感じる。
せっかくの完全版だが、”個人的には”
>そう言って、にんまり笑う射命丸。
>この上司あって、この部下あり。
>なるほど、案外いいコンビなのかもしれない。
までで十分のような気もする
椛を泣かせたら許さんぞ! いいか、絶対に幸せにしてやれよ!!
「 言うが早い、彼女は将棋盤の上に乗っていた本持ち上げる。」脱字かな?
後半のあまあま過ぎる展開にやられた。チクショウモテモテだなぁオイ
ちと最後の魔理沙パートで読後感が損なわれてる気がします
しかし、にやにやするぜ畜生!!
確かに前と比べても読後感のモヤっとが消えません。ここは難しいところだなぁ。
しかしこの霖之助も罪づくりなやつだ。夜道は気をつけn(ファイナルスパーク
きりりと引き締まった雄雄しい椛も捨て難いのですが、この様なコケティッシュな解釈も素晴らしいです。
霖之助、もげろw