これから話すのはどこにでもある噂話。信憑性の欠片もない。出てくる人物が実在しているかどうかも分からない。ソースなんてもっての外。
馬鹿馬鹿しいと鼻で笑うのも良いだろう、不思議な話もあるものだと納得するのもいいだろう。恐がってみるのもありかもしれない。
これは単なる噂話。受け取り方はあなた次第。信じようと、信じまいと─
***
信じようと、信じまいと─
ドイツ、バイエルン地方にはいわゆるお化け屋敷が存在する。
「紅い館」と名付けられたその屋敷は無人になって久しいが、夜中に不気味な声がするなどの噂が絶えなかった。
1952年、区画整理のために撤去される計画が持ち上がり当時祟りが懸念されたが工事は無事終了した。
不可解なことはこれからだ。帳簿に工事が完了したその日づけで館の売買契約がなされたという記録だけが残されていたのである。
***
信じようと、信じまいと─
1978年、大学生の登山サークル7人が福島県の駒ケ岳に向かったのだが
登り始めたその翌日に真っ青な顔をしながら這々の体で下山してきた。
何があったのか聞くと全員が口を揃えて山中でものすごい化け物と出会ったと言うのだ。
しかし状況を詳しく尋ねるとそれは巨大な猿だったとかいや大蛇だなどとてんでバラバラなことを証言し、結局正体は不明のままだった。
***
信じようと、信じまいと─
マヨヒガなどの神隠しの伝説は有名だがS県にある博麗神社は神隠しの出口として有名である。
各地で行方不明になった人が必ずここから出てくるのだ。
時には沖縄で居なくなった女性が博麗神社の境内でボーっと座っていたという話もある。
現在、博麗神社は取り壊され人が出てくることも無くなったという。
***
信じようと、信じまいと─
夏の日のことである。茨城県に住むとある男性がいつものように
夜、犬の散歩に出かけると突然犬が電柱の陰に向かって吠え始めた。
何事かと男性が電柱に近づくと黒い塊が飛び出しそのまま道の向こうに消えてしまった。
電柱の傍には何故か鬼灯の実が落ちていたという。
***
信じようと、信じまいと─
アメリカ、ノースカロライナ州に隙間を異様に恐がる男がいた。
いわゆる強迫観念で男は大枚をはたいて一切隙間の無い部屋を作りそこに住もうとした。
しかし男は三日ももたずその部屋から飛び出してしまった。
それ以来男は医者に「隙間と傘と紫の服が恐い」と言うようになった。
***
信じようと、信じまいと─
中国に住むチャン・メイは第六感に優れていることで有名だ。
ある時日本のTVスタッフがその理由を尋ねると
彼女は「危ない!って思うと耳元でカサカサ音がなるの。まるで虫が知らせるみたいに」と答えた。
ちなみにチャンは生まれつき耳が聞こえない聾唖者である。
***
信じようと、信じまいと─
台風によって空から異質なものが降ってくることをファフロッキーズ現象という。
1922年、フランスのシャロン=シュル=ソーヌにおいてカエルの雨が降った。
カエルが降ってくるだけでも十分不可解だが、さらにそのカエルは一匹残らず氷漬けにされていたのだ。
現在でもファフロッキーズ現象の原因は解明されていない。
***
信じようと、信じまいと─
デンマークの奥地に「おちょうしものの森」と呼ばれる森がある。
誰もいないはずの森に何故か歌声が聞こえるという伝説があるのだがその知名度は低い。
何故ならば聞こえてくる歌がその当時に合わせた流行りの曲ばかりで
「どっかの浮かれた馬鹿が歌っているのだろう」と思う人が多かったからである。
***
信じようと、信じまいと─
梶井基次郎の短編小説の中の一節
「櫻の木の下には屍体が埋まってゐる」はあまりにも有名だが
下書きの段階にてこの部分は
「櫻の木には屍体の実が成る」というものだったことはあまり知られていない。
***
信じようと、信じまいと─
江戸時代の末期から明治の初期にかけて
庶民の間で不気味な物が流行った時期があった。
それは生首が描かれた凧であったり
紫の下地に目玉が描かれた傘であったりしたという。
***
信じようと、信じまいと─
江戸時代の数学者である関孝和の遺品には
未だに解明できていない数式が多数存在する。
その一つが大学ノート50枚分にも及ぶ
「三途の川の幅。その求め方」と題された数式である。
***
信じようと、信じまいと─
バネ式のネズミ捕りに仕掛けるものといえば
チーズの欠片が最もポピュラーだが、イタリアのとある刑務所では
チーズではなく何と囚人が詰めた小指を仕掛けるというのだ。
しかしその捕獲率はチーズの12倍にもなったという報告がなされている。
***
信じようと、信じまいと─
鎌倉時代の末期にはたくさんの落書が立てられるようになった。
不安定な政治に対する不満を庶民が書きつづったのだ。
当時落書は天狗の仕業だと言われていたのだが、中には人間には
読めない言語で書かれていた落書もあったという。本当に天狗が書いていったのだろうか?
***
信じようと、信じまいと─
イギリスの歴史学者であるクリストファー・アーミテイジは
中世ヨーロッパにおいて魔女裁判が行われ続けたのは本物の魔女が紛れ込んでいたからだと唱えている。
ある時、新聞記者が何故そこまで魔女実在説に拘るのかと質問したところ
「簡単なことだ。私も本物の魔女に出会ったことがあるからだ」と答えた。
***
信じようと、信じまいと─
アルゼンチンのとある酒場での出来事だ。常連客の一人が古ぼけた懐中時計を手に立ち上がり
「この時計のボタンを押すと時間が止まる」と自信満々に言った。当然他の客はそれを冗談だと思ったのだが
男がボタンに指をかけると同時に男の姿が忽然と消えてしまったのだ。
残されていたのは壊れて動かなくなった懐中時計だけだったという。
***
信じようと、信じまいと─
アメリカ、ロサンゼルスの郊外に人形に囲まれた家に住んでいる女性がいる。
上海人形から露西亜人形、果ては市松人形まで飾ってあり
コレクターの間では有名なのだが地元の住民は決して近づこうとはしない。
何故なら一人暮らしであるはずの女性の家から毎晩大勢による談笑が聞こえてくるからである。
***
信じようと、信じまいと─
チェルノブイリでのあの悲惨な事故の後、周辺ではたびたび
奇妙な生物の目撃が報告されていた。
何でも30cmをゆうに超えるバッタがいただとか
3本足のカラスが事故現場に向かって飛んで行ったなど目撃例は様々である。
***
信じようと、信じまいと─
福岡県の北野天満宮には「河伯の手」と呼ばれる河童の手のミイラが保存されている。
ある時TV番組のスタッフが収録のためにそのミイラを借りて
飛行機に乗り込もうとしたところ荷物が金属探知器に引っかかってしまった。
反応はミイラの手からだったという。
────────────────────────────────────────────────────────────────
「……で、それが何だっていうの」
「馬鹿だな霊夢。これは外の資料だ!間違いない!」
「そのぼろっちい手帳が?また天狗の落し物じゃないの」
「ここじゃ聞きなれない地名や単語があちこちにあるからそれは無い。仮に天狗のものだとしたらとっくに中身を写して燃やしてるさ」
「写しはするのね」
「まあ見てろ。すぐに解読してだな……ん?」
「どうしたの?」
「まだ読んでないページが……」
「飛ばしてたんじゃない?」
「いやまぁ、うん……つーかここ何も書いてなかった気がするんだがなぁ」
────────────────────────────────────────────────────────────────
信じようと、信じまいと─
1902年、現在でいう岩手県遠野市において村一つ分の人口がごっそりと減った。
これは翌年の調査で初めて判明したことなのだが、不可解なことに
減った人数分の死亡届や転居届などが一切報告されていなかったのである。
いったいどこの誰が消えてしまったのだろうか?
信じようと、信じまいと─
馬鹿馬鹿しいと鼻で笑うのも良いだろう、不思議な話もあるものだと納得するのもいいだろう。恐がってみるのもありかもしれない。
これは単なる噂話。受け取り方はあなた次第。信じようと、信じまいと─
***
信じようと、信じまいと─
ドイツ、バイエルン地方にはいわゆるお化け屋敷が存在する。
「紅い館」と名付けられたその屋敷は無人になって久しいが、夜中に不気味な声がするなどの噂が絶えなかった。
1952年、区画整理のために撤去される計画が持ち上がり当時祟りが懸念されたが工事は無事終了した。
不可解なことはこれからだ。帳簿に工事が完了したその日づけで館の売買契約がなされたという記録だけが残されていたのである。
***
信じようと、信じまいと─
1978年、大学生の登山サークル7人が福島県の駒ケ岳に向かったのだが
登り始めたその翌日に真っ青な顔をしながら這々の体で下山してきた。
何があったのか聞くと全員が口を揃えて山中でものすごい化け物と出会ったと言うのだ。
しかし状況を詳しく尋ねるとそれは巨大な猿だったとかいや大蛇だなどとてんでバラバラなことを証言し、結局正体は不明のままだった。
***
信じようと、信じまいと─
マヨヒガなどの神隠しの伝説は有名だがS県にある博麗神社は神隠しの出口として有名である。
各地で行方不明になった人が必ずここから出てくるのだ。
時には沖縄で居なくなった女性が博麗神社の境内でボーっと座っていたという話もある。
現在、博麗神社は取り壊され人が出てくることも無くなったという。
***
信じようと、信じまいと─
夏の日のことである。茨城県に住むとある男性がいつものように
夜、犬の散歩に出かけると突然犬が電柱の陰に向かって吠え始めた。
何事かと男性が電柱に近づくと黒い塊が飛び出しそのまま道の向こうに消えてしまった。
電柱の傍には何故か鬼灯の実が落ちていたという。
***
信じようと、信じまいと─
アメリカ、ノースカロライナ州に隙間を異様に恐がる男がいた。
いわゆる強迫観念で男は大枚をはたいて一切隙間の無い部屋を作りそこに住もうとした。
しかし男は三日ももたずその部屋から飛び出してしまった。
それ以来男は医者に「隙間と傘と紫の服が恐い」と言うようになった。
***
信じようと、信じまいと─
中国に住むチャン・メイは第六感に優れていることで有名だ。
ある時日本のTVスタッフがその理由を尋ねると
彼女は「危ない!って思うと耳元でカサカサ音がなるの。まるで虫が知らせるみたいに」と答えた。
ちなみにチャンは生まれつき耳が聞こえない聾唖者である。
***
信じようと、信じまいと─
台風によって空から異質なものが降ってくることをファフロッキーズ現象という。
1922年、フランスのシャロン=シュル=ソーヌにおいてカエルの雨が降った。
カエルが降ってくるだけでも十分不可解だが、さらにそのカエルは一匹残らず氷漬けにされていたのだ。
現在でもファフロッキーズ現象の原因は解明されていない。
***
信じようと、信じまいと─
デンマークの奥地に「おちょうしものの森」と呼ばれる森がある。
誰もいないはずの森に何故か歌声が聞こえるという伝説があるのだがその知名度は低い。
何故ならば聞こえてくる歌がその当時に合わせた流行りの曲ばかりで
「どっかの浮かれた馬鹿が歌っているのだろう」と思う人が多かったからである。
***
信じようと、信じまいと─
梶井基次郎の短編小説の中の一節
「櫻の木の下には屍体が埋まってゐる」はあまりにも有名だが
下書きの段階にてこの部分は
「櫻の木には屍体の実が成る」というものだったことはあまり知られていない。
***
信じようと、信じまいと─
江戸時代の末期から明治の初期にかけて
庶民の間で不気味な物が流行った時期があった。
それは生首が描かれた凧であったり
紫の下地に目玉が描かれた傘であったりしたという。
***
信じようと、信じまいと─
江戸時代の数学者である関孝和の遺品には
未だに解明できていない数式が多数存在する。
その一つが大学ノート50枚分にも及ぶ
「三途の川の幅。その求め方」と題された数式である。
***
信じようと、信じまいと─
バネ式のネズミ捕りに仕掛けるものといえば
チーズの欠片が最もポピュラーだが、イタリアのとある刑務所では
チーズではなく何と囚人が詰めた小指を仕掛けるというのだ。
しかしその捕獲率はチーズの12倍にもなったという報告がなされている。
***
信じようと、信じまいと─
鎌倉時代の末期にはたくさんの落書が立てられるようになった。
不安定な政治に対する不満を庶民が書きつづったのだ。
当時落書は天狗の仕業だと言われていたのだが、中には人間には
読めない言語で書かれていた落書もあったという。本当に天狗が書いていったのだろうか?
***
信じようと、信じまいと─
イギリスの歴史学者であるクリストファー・アーミテイジは
中世ヨーロッパにおいて魔女裁判が行われ続けたのは本物の魔女が紛れ込んでいたからだと唱えている。
ある時、新聞記者が何故そこまで魔女実在説に拘るのかと質問したところ
「簡単なことだ。私も本物の魔女に出会ったことがあるからだ」と答えた。
***
信じようと、信じまいと─
アルゼンチンのとある酒場での出来事だ。常連客の一人が古ぼけた懐中時計を手に立ち上がり
「この時計のボタンを押すと時間が止まる」と自信満々に言った。当然他の客はそれを冗談だと思ったのだが
男がボタンに指をかけると同時に男の姿が忽然と消えてしまったのだ。
残されていたのは壊れて動かなくなった懐中時計だけだったという。
***
信じようと、信じまいと─
アメリカ、ロサンゼルスの郊外に人形に囲まれた家に住んでいる女性がいる。
上海人形から露西亜人形、果ては市松人形まで飾ってあり
コレクターの間では有名なのだが地元の住民は決して近づこうとはしない。
何故なら一人暮らしであるはずの女性の家から毎晩大勢による談笑が聞こえてくるからである。
***
信じようと、信じまいと─
チェルノブイリでのあの悲惨な事故の後、周辺ではたびたび
奇妙な生物の目撃が報告されていた。
何でも30cmをゆうに超えるバッタがいただとか
3本足のカラスが事故現場に向かって飛んで行ったなど目撃例は様々である。
***
信じようと、信じまいと─
福岡県の北野天満宮には「河伯の手」と呼ばれる河童の手のミイラが保存されている。
ある時TV番組のスタッフが収録のためにそのミイラを借りて
飛行機に乗り込もうとしたところ荷物が金属探知器に引っかかってしまった。
反応はミイラの手からだったという。
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「……で、それが何だっていうの」
「馬鹿だな霊夢。これは外の資料だ!間違いない!」
「そのぼろっちい手帳が?また天狗の落し物じゃないの」
「ここじゃ聞きなれない地名や単語があちこちにあるからそれは無い。仮に天狗のものだとしたらとっくに中身を写して燃やしてるさ」
「写しはするのね」
「まあ見てろ。すぐに解読してだな……ん?」
「どうしたの?」
「まだ読んでないページが……」
「飛ばしてたんじゃない?」
「いやまぁ、うん……つーかここ何も書いてなかった気がするんだがなぁ」
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信じようと、信じまいと─
1902年、現在でいう岩手県遠野市において村一つ分の人口がごっそりと減った。
これは翌年の調査で初めて判明したことなのだが、不可解なことに
減った人数分の死亡届や転居届などが一切報告されていなかったのである。
いったいどこの誰が消えてしまったのだろうか?
信じようと、信じまいと─
非常におもしろかったです
是非蓮子とメリーに調査していただきたいw
〉〉谷山浩子とか倉橋ヨエコ←貴様見ているなッ!
この独特の雰囲気がたまらん。
こういったネタを捕まえて秘封倶楽部の二人は動くんだろなぁ……
信じたところで意味はないけど。
それっぽい雰囲気が出ててすごく良い
一歩間違えば蘊蓄の羅列になりかねない。逆に一歩踏み出して今作になっている。
なーんて、評論家気取りしたくなるほどインテリな作品でした。 GJ!
ちなみに福岡には大宰府天満宮があります。と、地元民が言ってみる。
隙間の話はティンダロスの猟犬を思い出した.
ファフロツキーズと河伯の手は笑えた.
楽しかったです.
聾唖者は喋れませんよ?
うん、面白かった