花見の季節は終わったのに、永遠亭の姫様が催す珍品披露会だの、白玉楼での音楽会だの、結局は季節に関係なく様々な名目で宴会ばかり開かれていた。
まぁ、だからと言って、面倒なことだとは思っていない。いや、むしろ大歓迎なんだけど。うちの神社、博麗神社以外でおこなわれる宴会は、ね。
そんな宴会続きの中、今日は紅魔館のパーティーだった。
いつものレミリアの退屈しのぎパーティーかと思いきや、今回は美鈴が主役。なんでも美鈴に祝い事があったらしい。
らしいというのは、レミリアが何やら説明していたけれど、私は飲み食いに忙しくてその話をほとんど聞いてなかったからだ。あるいは、聞いていたのかもしれないけれど、覚えていなかった。
ただ、美鈴が本当に嬉しそうにしていた、ということだけが印象に残っている。
そんな紅魔館のパーティーも結局いつもと同じ酒盛りとなって明け方に終わった。
吸血鬼共は夜型だからいいかもしれないけれど、巫女は朝が早いのよ。勘弁して欲しいわ。
そういいつつ、最後まで付き合ってしまった私も大概だとは思うけれど、幻想郷の住人である以上仕方がないのではないかしら?
幻想郷の住人といえば、早苗も随分馴染んできたわね。今日もレミリアと丁々発止でやりあっていたわ。
弾幕ごっこをはじめるのか、飲み比べをはじめるのかと様子を見ていたら、幻想郷の宴会では珍しく論戦になっているようだった。
やっぱりロリで巨乳ですよ、とか、無口な文学少女こそ至高、とか、意味不明。
そのパーティーの帰り道、一人でふらふら飛んでいると、急に雨が降ってきた。
小雨なら無視できるけど、大粒の雨だ。この雨だと急いで帰っても巫女服をずぶ濡れにし、体を冷やすに十分だろう。
ずぶぬれいむになるのは出来れば避けたいのだけど……。
でも、雨に降られるとは思っていなかったから、傘なんか当然用意していない。
かといって、紅魔館に引き返して傘を借りるにも、霧の湖も越えてきてしまったし。
今さら戻るのなら、このまま濡れて帰っちゃったほうがいいわよね。まぁ、酔い覚ましには丁度いい、ということにしておこうかしら。
そのまま雨に濡れ暫く飛んでいると、森に救世主が佇んでいるのを見つけた。
グッタイミンって奴ね。さすが私。幸運の巫女、本領発揮だわ。
「そこのボケ道具、神社までお願いね?」
「え?」
「だから、神社までその傘に入れて頂戴って言ってるのよ」
「私の傘に?」
だから、そう言ってるじゃない。頭悪いのかしら?
「そうよ。濡れたくないじゃない。それとも入れたくないの?」
今ならまだ巫女服の中にまでは染みてきていない。
だから、早く入れなさいよ! いちいち弾幕ごっこなんてしてられないわ。
「ううん。入って、入って」
そういうとボケ道具、小傘は私に傘を差し出してきた。満面の笑顔で。
なんか凄く嬉しそう。どうしたのかしら?
まぁ、いいわ。とりあえず、入れてくれるって言ってるし、いちいち退治せずにすんだし、気にしないでおくわ。
その小傘の傘は意外にちゃんと傘の役目を果たしていた。ただ、でろ~んと垂れた舌が、鬱陶しい。あぁ、もう、さっきからお尻にペタペタしてんのよ! おかげで雨粒が流れ込んできて、ボトボトじゃない。
そんな私のちょっとした不愉快には気付かず、小傘は始終ご機嫌に、ひとりでしゃべり続けている。
最近、誰を驚かしたとか、今度、こうやって驚かしてやるんだ、とか、そんな事をとめどなく。
はっきり言って興味なかったけど、楽しそうにしてるから邪魔はせずに聞き流していた。
そうこうしているうちに、神社に着いた。
一応お礼ぐらいはしておこうかしらと、私は朝食に小傘を誘う。小傘も暇なのか、素直に応じてくれた。付喪神風情が忙しいなんてこと、あるはずもないんだけど。
その小傘に部屋へ上がるよう促すと、こともあろうに傘をそのまま持ち込んでくる。何考えてんのよ、この、ボケ道具。
「ちょっと、傘は置いてきなさいよ」
私は当然注意した。家主としてあたりまえ。
もう、畳にしずくがぼたぼた落ちてるじゃない。腐ったらどうしてくれるのよ。
うちの財務状況はどっかのあほな天人のせいで、今はちょっと苦しい。だから、畳一枚といえど無駄な出費は控えたい。
「ごめんなさい。でも、嫌。傘を放したくない」
そんな頑なに拒否されても、困るじゃない。
でも、涙目でみられていると、なんとかしてあげたくなってきた。なんだろうなぁ、この守ってあげたい感は。
「ごめんなさい」
俯きながらそう言って帰ろうとする小傘を、私は咄嗟に引き止めた。小傘をこのまま帰しちゃいけない、そう思ったから。
これは巫女の勘ってやつかしら? いつもの勘とは違うような気がするけれど。
「いいわ。持って入ってきなさい。そのかわり、ちょっと待ってて」
そういって小傘を一旦土間に下げて、私は奥に手ぬぐいを取りにいった。そして、その手ぬぐいを土間にいる小傘に投げてやる。
小傘がその手ぬぐいで傘を拭き、私たちは一緒に朝食をとった。
三日後。
私はいつものように縁側で魔理沙とおしゃべりしていた。特になんてこともない日常ね。
すると、また、雨が降り出した。魔理沙は、「洗濯物干したままだぜ」と家に帰っていく。そして、私も奥に引っ込もうとしたとき、あいつがやってきた。
何かを期待するように、私の顔をじっとみながら近づいてくるそいつは、小傘だった。
「あの、霊夢。傘の御用はない?」
そんなに目を輝かせながら言われても困る。
「ん? 別に出かける用事もないわよ」
といった私に小傘が悲しそうな目を向ける。
「そ、そうね、でもちょっと散歩したい、かな」
負けた。子犬オーラに負けた。
また無邪気に喜んじゃって。まぁ、いいわ。暇なのには違いないし。
こうして、雨が降ると小傘が神社に来るようになった。
いや、神社だけではない。私が何処にいたって、雨が降れば小傘は来る。この子、四六時中私に張り付いているのかな。早苗が言っていた、ストーカーという奴かしら?
その小傘との雨の散歩はやがて日常へとなっていった。小傘はいつも楽しそうだから、私も一緒にいるとそれなりに楽しい。小傘はただ単に傘として使ってもらえる事が嬉しいのだろう。
そして、小傘の相手をすることは巫女としても正しいことだから、私も特に違和感はなかった。
それから二ヶ月ほどたち、いつもなら不快指数マックスとなる梅雨を迎えた。
今年は小傘がいるおかげでそうでもない。
春に始まった小傘との雨の散歩もいまや日課。むしろ、雨が降るのを心待ちにするようにすらなっていた。
今日も朝から雨が降っており、巫女の仕事を片付けた私は、小傘と散歩している。
小傘は独りで傘をさすときは舌を横に向けているくせに、私と二人で入るときには相変わらず舌を後に回す。しかも、傘を私のほうに少し傾けて持つ。よって、今も傘の舌が私のお尻をぺんぺん叩くことになっている。
まぁ、私が指摘しないのがいけないのだけれど……。
でも、そんな小さな不愉快は最近ではさほど気にならなくなってもいた。
小傘との時間は私にとっても楽しい時間だったから。
そんな雨の中で交わされる二人の会話はたわいのないもので、幻想郷の日常をただ並べただけのものばかり。
最近は誰それは何をしているだの、誰と誰が仲がいいだの、そんな話が多い。
「ねぇ、知ってる? 最近、早苗が紅魔館によく出入りしてるんだって」
「ふーん、そうなの? あんまり付き合いありそうな感じじゃないけどね」
「だよねぇ。でも、よく早苗が紅魔館に入っていくのを霧の湖の妖精が見かけるって言ってたよ」
そういえば、春に行った紅魔館のパーティーでも早苗とレミリアがずっと一緒にいたっけ。
「神と吸血鬼が仲良くするってのも変な話よね」
「うん、でも、私達も十分変だけどね」
「言えてるわ」
妖怪退治をすべき巫女である私と、退治されるべき妖怪。確かに変といえば変かもしれない。
といっても、小傘は付喪神だから、厳密には神なんだけど、本人にもその自覚がないみたい。
「でね、その早苗と弾幕ごっこしたんだけど、また退治されちゃった」
小傘は、てへっ、と舌を出して、こっちを見てくる。もちろん、出しているのは傘の方でない舌。
こういうどこか子供っぽいしぐさが、小傘の場合は似合っているのよね。
「それじゃ、晴れたら弾幕ごっこの特訓しなきゃね」
「えぇ、いいよぅ」
「あら、研究しないと上手くならないわよ? 私はしたことないけど」
そう、私は本源的な意味での妖怪退治を物心付く前から叩きこまれている。小傘くらいの子だったら、いつでも封印できる。
そして、私のスペルカードはその技術を応用しているにすぎない。まぁ、応用というよりは、劣化だけどね。
「霊夢はすごいよねぇ。私はなかなか上達しない」
「あんたのは割と素直な弾幕が多いからね。慣れれば避けやすいのよ」
「そうなの? うーん、また考えてみようかな? 新しいスペルカード」
「考えておきなさいよ。早苗や魔理沙にいつも退治ばっかりされてちゃつまらないでしょ?」
「うん、そうなのよねぇ」
「それに、新しいスペルカードじゃないと、驚いてくれないわよ」
「あ、そうよね。うん、うん、やっぱり作らなきゃ、ひもじくなっちゃうね」
小傘は顎に手を当てて、何度も頷く。可愛い。
「そうよ。練習相手ぐらいしてあげるわよ」
「霊夢のお墨付きがもらえたら、早苗ぐらいはいちころね!」
「当たり前よ。私が認めたカードで早苗なんかに遅れをとったら許さないわよ」
といって、私は笑ってみせた。つられて、小傘も笑い出した。
小傘といると、いつもこんな感じで笑っていられるのが、うれしい。
魔理沙と一緒にいるのも気が置けなくて楽しいけれど、それでもいくらかの緊張感がお互いのなかにある。同業だからというわけではないけれど、やっぱり、お互いに刺激し合って成長してきたから。
小傘とはそういう緊張感は一切ない。まぁ、それは巫女と妖怪の関係としてどうなのか? とは思うけれど、今の私にはそんな小傘との関係が心地よい。
そんな小傘との楽しいひと時を過ごしていた梅雨も終わりに近づいていた頃、神社に早苗がきた。
うちの神社には守矢の分社もあるから早苗も時々様子を見にくるのだけれど、今日は私に用事があるみたいね。
「こんにちは」
「何の用?」
早苗に顔を向けずに、煎餅を齧りながら答えてやった。
「あら、つれないですね」
というと早苗は私の前に立ち、
「明日の夜あいてますか?」
と言った。デートのお誘いなら間に合ってますけど。
「別にあいてるけど」
「そうですか、よかった。それではうちの神社に来て下さい」
「なんで?」
「七夕パーティーですよ」
宴会のお誘いなら大歓迎。
「七夕?」
もちろん私も七夕は知ってる。でも、七夕とパーティーが結びつかなかった。いや、願掛けをするのだろうけど。
「守矢では七夕の神事があるの?」
うちの文献にものってた気がするけど、やったことないなぁ、そういえば。これ、やらないといけないものなのかしら?
「ええ、神事もあります。でも、これは神事としてやるのではなくて、もっとお気楽なものです。皆でお願いごとを書いてお酒を飲みましょう、と」
「ふーん」
「なので、霊夢さんも良かったらお誘いあわせの上、是非来て下さい」
「わかったわ」
「それでは」
と言うと、早苗は自分の分社を掃除しに向かった。
私はお茶を飲み干すと、奥に引っ込むことにした。
翌日、私は魔理沙とアリス、そして、小傘と一緒に守矢神社に向かう。妖怪の山の夕日が眩しい。
例年、七夕の日には雨がふることが多いと言われるけれど、今日はいい天気。天の川も綺麗に見ることができそうで、魔理沙が上機嫌になっている。
その私達が守矢神社に到着すると、すでに宴会が始まっていた。
そして、人数が大方そろった頃合をみて、早苗が挨拶を始める。
そう、宴会を始めるのに幹事の挨拶なんぞ待たないのが、幻想郷流なのよ。もちろん、私も着くなり大きな盃で酒を流し込んでいた。
「みなさん、本日は守矢神社主催七夕パーティーにお集まりくださり、誠にありがとうございます」
お堅い挨拶はどうでもいい私は、目の前の食物群との戦いを続けながら聞く。
守矢神社で宴会が開かれることは稀だけど、馬鈴薯を揚げた奴とか、麺を鉄の板で炒めた奴とか、なじみのない料理が並ぶから楽しみにしてる。
宴会の料理は早苗の作ったものらしいけど、どれもおいしい。
早苗の料理の腕は咲夜と比べられるほどではないかもしれないけど、十分に上手な部類に入ると思う。
そもそも咲夜は特殊な生き物だから比較すべきではないわね。あれは種族メイドという妖怪に違いない。退治しなきゃ。
そんなことばかり考えている私にお構いなく、早苗の挨拶は続いていた。長い。
「なお、七夕においては、お願いごとをする風習があります。そこで、この短冊用意しました。短冊は各自二枚ありますので、その二枚に願い事を書いてください。ただし! ――――書くのは今かなえて欲しい願いではありません。願いをかなえてくれるのは、ベガとアルタイルです。そして、この幻想郷からベガとアルタイルまでの距離は25光年と16光年です。ちなみに、1光年というのは光の速さで1年かかる距離ということです。また、特殊相対性理論によると、光の速さを越えて移動することは不可能です。まぁ、幻想郷ではそんな理論は通用しないと思いますが、一応そういうことになっています。つまり、書いてもらう願いは、16年後にかなえたい願いと25年後にかなえたい願いでないとかなわない、ということなのです」
そんな早苗の薀蓄に小傘が「おお~、なるほど!」って顔してるわね。単純な子。でも、それがいい。
大体、神様なんていつでも降ろせる。早苗だってわかってるくせに何の冗談かしら?
「それでは、みなさん。お手許の短冊に願い事を二つ書いて、そちらに立ててある笹にくくりつけてください。なお、この願い事に守矢の祭神は関わっておりませんので、結果かなわなかったとしても守矢神社にはなんの責任もないことを申し上げておきます」
ま、いちいち全部の願掛けを神様に伝えてられないしね。それは当然のことだわ。
そんなことを考えている私のとなりでは、小傘がうんうん唸りながら願い事を考えている。
私は正直願い事なんてなかったけど、一応、「妖怪退治繁盛(ほどほどに)」「賽銭もってこい」と書いておいた。
「見せて!」
私の書いた奴を小傘が覗き込み、「うん、霊夢らしいね」などど言っている。
「小傘は何て書いたの?」
と聞くと、小傘はえへへ、と笑いながら見せてくれた。
「霊夢が傘に入ってくれていますように」と両方とも書いてあった。
「ちょっと、なんか恥ずかしいわね」
と私がいうと、
「いいじゃない。本当のことだもん」
と何故か胸を張って小傘が答える。そうなったらいいな、とは私も思った。
「霊夢のも一緒に吊るしておいてあげる」
といって、小傘は私の短冊を掴むと、笹に括り付けにいく。
私は静かに酒を飲み、その様子を見ていた。
一通り、短冊書きも終わり、パーティーも本格的に飲みモードに突入。
あちこちで、歌いだすものや、踊りだすものがでてきた。
笹の近くでは、やっぱり、早苗とレミリアが話込んでいるようだ。
「巨乳こそ究極の存在です。ほれ、見てください! 揺れるんですよ?」
自分の胸をたぷんたぷん揺らしながら早苗が言う。あぁ、忌々しいったらありゃしない。
「早苗は分かっていない。余分な脂肪は不要だと、情報統合思念体は考えている」
「そんなこと言ってるから、急進派の暴走を許すのです!」
「…………それは、禁則事項」
また意味不明な会話を二人が交わしている。一体なんなのよ、本当に。
そして、美鈴は美鈴でメイド服、それもピンクでスカート丈の異様に短いのを着てる。
紅魔館に一体何が起こってるの? 異変? やっぱり異変? 退治するわよ、ったく。
そこへ、
「あら、霊夢」
と、咲夜が話しかけてきた。
咲夜はいつもの服装。ちょっと安心した。さすが、紅魔館最後の良心。
「ねぇ、あの服はなんなの?」
「ああ、美鈴のですか。お嬢様のご趣味です」
「へんなの」
「まぁ、いつもと随分違ってみえますね」
といって、絵に描いた様な微笑みをみせる。ん?
「で、なんでああなってるの?」
「早苗に借りた外の本にお嬢様が嵌っちゃいまして、その本の影響でロリで巨乳のドジッ娘メイドになれと美鈴にご命令がくだったのですよ」
「ふ~ん、あんたらも苦労が耐えないわね」
「そんなこともないですよ。お嬢様のおかげで、毎日が退屈せずに済んでいるのですから」
「そういうものなの?」
咲夜の言わんとすることはわからないでもない。私も最近は小傘のおかげで退屈せずに済んでいるのだからなおさらだ。
「はい、そういうものです。ちなみに、私はいつもさわやかな好青年という役どころだそうです」
そういうと、あごに手をやり、またお手本のような笑顔をつくる。
前言撤回。紅魔館に良心は存在しなかった。
「あんたもなのね。じゃぁ、パチュリーは?」
「パチュリー様は、めがっさ元気な少女です。小悪魔はいけすかない生徒会長で、妹様は容姿端麗な委員長ですよ」
えーと、よくわからないけど、パチュリーの配役は間違っているんじゃないかしら?
「なんというか、うん、とにかく当分の間私に近づけないでね」
「あら、割と楽しいですよ? 霊夢はそうですね、僕っこの優等生とかどうですか?」
「断る」
「ちなみに、主人公とヒロインがまだ余ってるのですよ。お嬢様は誰を考えているのでしょうね」
「いやな予感しかしないわ」
しばらくは紅魔館にはいかないほうが良さそうね。魔理沙にも言っておこう。
咲夜とそんな話をしている隣では、小傘が目の前のご馳走に舌つづみをうっている。いちいち、おぉ~、これはうまい! などと感想をいいながら。
誰も聞いてないんだけど。
夜遅くまで続いた宴会も次第に人妖が減っていき、私も未明には小傘と魔理沙と三人で帰ることにした。
巫女の朝は早いから。それに、早苗だって朝早いんだし、ね。
なお、アリスはレミリアに捉まり、部長と呼ばれ、人形ともども紅魔館へと連行されていった。
咲夜がぼそっと、いい役をとられたわ、って言っていた。
夏は過ぎ風あざみ誰の黄昏にさまよう、なんて歌が脳裏に浮かんだけど、何だったかしら?
ああ、確か、夏の七夕パーティーで早苗が歌ってたやつね。歌詞は違ったような気もするけれど。
早苗は私達の知らない歌を宴会ではよく歌う。中には、歌と呼べるものなのかよくわからないものもあるけど、そういうのはラップというものらしい。
よう、とか、ちぇけら、とか意味不明な単語が並ぶ不可解な歌。音楽というよりは、ノリのいい詩吟かしら。吟じます、って感じの。
そんなことを涼しくなってきた境内で思い出しながら、増えてきた落ち葉を掃いていると、
「霊夢、あなたわかっているの?」
いきなり現れた紫が聞いてきた。こいつが、いきなりでなく現れることなんてないけれど。
「なんの話よ。それと、饅頭盗るな」
いつの間に盗ったのか、紫の手には饅頭があった。私が小傘と食べようと思ってとっておいたやつ。
紫は渋々隙間に饅頭を戻す。その隙間の先はうちの戸棚なんでしょうね?
「決まっているじゃない、小傘のことよ」
何が決まっているのかしら?
「小傘がどうしたのよ」
「あなた、何故小傘が付喪神になったのかわかってるの?」
そんなことは知ってる。
「ええ、忘れられたからでしょ」
「そうよ。なら、わかるでしょう?」
紫が言いたいことは分かる。付喪神には二種類いる。
一つは大切に長い時間使われた結果、神霊を宿すに至ったもの。
もう一つは、長い間大切にされなかったが為に禍を為す存在となったもの。
小傘は後者。長い間忘れられ、使われなかったが為に付喪神となった。
紫はその小傘に対して、巫女の役割を果たせといっているのだろう。私だってそのつもり。巫女の役割は果たす。
「わかってるわよ。ちゃんとするわ」
「わかってるようには見えないけどね。まぁ、いいわ。後は貴方が良く考えなさい」
そう言う紫の目には悲しみと優しさが浮かんでいた。
紫は息を吐き、しょうがない子ね、とつぶやくと、それ以上は何も言わずに隙間の中へと帰っていった。
そんな紫の様子を見て、どうやら紫が言いたいことと私が考えている事は違うらしい、と気付いた。
でも、私には紫の真意がわからない。
だったら私は巫女としてやるべきことをやっていればいいと思った。
それだけのこと。悩むことなんか私にはない。
そして、ふと思い立ち、部屋に入ると戸棚を開けてみる。
饅頭が二つ減っていた。あの、クソババァ。
私が饅頭の恨みを境内にいた毛玉にぶつけていると、レミリアが咲夜を連れてやってきた。
来なくていい奴ばかり今日は来る。厄日ね。
レミリアは私を見つけると、笑顔で、ほんとうにいい笑顔で挨拶をする。
「ごきげんよう」
機嫌がいいように見えるのかしら?
「はいはい、ごきげんさん」
「最近、遊びに来てくれないから、来ちゃったわよ」
「ん? あぁ、そりゃ、つき合わされたくないからね」
「何の話?」
そう聞き返すレミリアに咲夜が説明する。
「夏にやっていたごっこ遊びのことですよ。未来人、宇宙人、超能力者で遊んでいた」
「あぁ、あれのこと。そんなのもうとっくに飽きてるわよ」
よかった。こころの底から私はそう思った。
「でも、霊夢がやりたいって言うのなら、やってもいいわよ。そうね、霊夢にはツッコミが合いそうだから、主人公をさせてあげるわ」
「やらない」
「そう、残念ね」
「それで、何の用?」
「ん? 別に用はないわよ。最近、顔を見てないと思ったから、来てみたの。今日は天気もいいからね」
今日は朝からずっと空一面に雲が広がっている。吸血鬼にはいい天気かもしれない。
ついでに今日は雨も降りそうにないしね。私的には寂しい天気なんだけど……。
「そう。まぁ、あんたらはいつも咲夜がお賽銭いれてくれるから、お茶ぐらい出すわよ」
そういって、私は奥に客用の湯のみを取りにいくことにした。
「あ、霊夢、小皿もよろしくね。ケーキを焼いてきたから」
奥に入ろうとした私に咲夜が声をかけてきた。咲夜のお菓子つきなら、上等なほうのお茶でも淹れなおしてこようかしら?
「あ、霊夢、湯のみと小皿もう一つ追加ね」
二人分の湯のみと三人分の小皿を用意して戻ろうとしたとき、咲夜から再び声がかかった。
「早苗が来たよ」
咲夜の後に続いてレミリアの声。
今日は客が多いわね。まぁ、ちょっと寂しい気持ちもあったから別にいいけど。
なんせ今日は朝から一度も小傘の顔を見ていない。
「何かの用?」
今日は私のほうから声をかけた。
「いつもの分社めぐりです。でも、レミリアさんも来てるようなので、ちょっとおしゃべりしていこうかなと思ってるのですけど」
「別にいいわよ。今日は私も退屈してたしね」
「小傘がいないからですね」
早苗がにやにやしながら言う。たしかにその通りなんだけど、なんかむかつく。
「違うわよ」
「いいんですよ、霊夢さん。別に隠さなくっても。そういう性癖をお持ちの方も少なからずいます。私はそんなことでは差別はしません」
え、と、何か盛大に勘違いされてるような気もするけれど……。
「あんたね、私にそんな趣味はないわよ。第一、私は男前しか相手にしないの」
これは、本当。男前にあらずんば男にあらず、よ。まぁ、男前なら性別が女であっても私は一向に構わないけど。明羅さんどうしてるかしら?
「そうなんですか? 結構、デレデレしてるように見えるんですけどね。小傘といるときの霊夢さんは」
「ん、あの子は可愛いからね、なごんじゃうのよ」
「まぁ、いいでしょう。そういうことにしておきます」
早苗が勝手に納得していると、レミリアが口を挟んできた。
「ところで、早苗。あれの続きはまだ?」
「はい、まだです。外の世界で発売されたら、紫さんに買って来てもらう手はずになっているのですが、発売延期のままだそうです」
紫、いいの? そんなに外の世界の物、入れちゃって。
「そう、早く読みたいんだけどね。私の嫁がマンションで倒れたまんまなのよ」
嫁? 嫁って何よ?
「そうですよね。あれってやっぱり、天蓋領域の仕業でしょうか?」
だめだ、こいつら。また意味不明な議論を始めやがったわ。
「私はそう思う」
「でも、急進派の仕業というのも捨て切れません。委員長が姿を変えて復活するとか」
「それもありかな?」
「でもあの話、最後はどうなるんでしょうね」
「最後は二人がくっついて終わりじゃないの?」
「まぁ、それは間違いないのでしょうけど、問題はそのあと。団員達がどうなるのか? です」
「多分、皆いなくなるんじゃないの? 役目を終えたんだから」
「やっぱり、そうでしょうか? それだとなんか寂しい気がするのですよね」
早苗がそう言うと、饅頭泥棒が再び現れた。
「あら、随分ディープな話をしているわね。私も混ぜてもらおうかしら」
紫、あんたも同類なの。これからはあんたとの付き合いも考え直すことにするわ。
「役目を終えた役者は去るのみ。そう、役目を終えたら消えるのよ」
そう言いながら紫が意味深に私のほうを見る。何をいいたいのかよくわからないけど、私は巫女としてやるべきことをやるだけよ。
「さて、早苗さん。うちに来ないかしら? 二期を録画しておいたのよ」
「え? アニメ二期って制作されたのですか?」
「ええ。それどころか、今度は消失が映画化されるわ」
「うわ! ん~、見たいなぁ」
「ふふ、あなただけなら、一緒に観にいってもいいですよ」
「本当ですか!」
「ええ。でもその前に、まずは二期を見ましょう」
「はい!」
まぁ、つい最近まで外の世界にいた早苗だから問題ないのか。紫も外の世界の話ができる相手ができて嬉しいのかもしれない。
そんななか、仲間はずれにされたレミリアが不機嫌になっているけど、私は知らない。咲夜、任せた。
秋も終わり、境内に雪が積もって早くも一週間がたった。
そろそろ年越しの準備をはじめないとね。正月は小傘と二人で炬燵に入って過ごそう。
まぁ、魔理沙だの、レミリアだの、入れ替わり立ち替わり新年の挨拶に来るのだろうけど、すぐに全員追い返してやるんだから。あぁ、でも、賽銭入れた奴には雑煮くらいは出してあげる。もちろん、神事はちゃんとする。当然。
そういえば、今日は朝から小傘を見ないわね。どうしてるのかしら?
まぁ、そのうち顔を出しにくるでしょう。
「霊夢~」
ほら、きた。って、何それ?
「あ、これ? モミの木だって。紅魔館で貰ってきちゃった」
「ふーん、で、そのモミの木がどうしたの?」
「飾るの! お星様とか一杯!」
何のこっちゃ、だわ。?マークが浮かび上がっているであろう私の表情を見て、小傘が説明をしてくれる。
「えとね、咲夜が言ってたんだけどね、そうやって神様のお誕生日をお祝いするんだって」
ちょっと待って、それはどこの神様よ。少なくとも、うちの神様じゃないわよ?
第一、吸血鬼どもが何で神の誕生日とか祝ってるわけ?
「ねぇ、霊夢、いいでしょ?」
「だめよ、それ、うちの神様じゃないから」
「でも、その日は一番大切な人と過ごすんだって咲夜が言ってたよ?」
あぁ、そういうことなの。うん、それだったら私もやぶさかではない。でも、だからと言って他所の神様祀るわけにいかないわね、さすがに。
どうしたものかしら?
「ねぇ、霊夢ぅ、ねぇ」
もう、そんな涙目でおねだりしないでよ! 私の理性が吹っ飛んじゃうじゃない。
「わかったわよ。でも、飾りつけはだめ。うちの神様が怒っちゃうから。その日に一緒に過ごすのはいいわよ」
「ほんと?」
小傘がにへら~、と笑う。あぁ、ほんと可愛いなぁ。
そうね、モミの木は後でアリスにでもあげましょう。なんとなく、こういうの好きそうだし。
「それで、小傘。当日はどうやって過ごすの?」
「えとね、ケーキ食べたり、チキン食べたりするんだって」
ケーキはわかる。作り方は知らないけど、人里でも売ってるから問題ない。チキンは鳥肉のことだったかしら?
まぁ、あとで料理法を咲夜に聞いておこう。ひょっとしたら、うちの分も一緒に作ってくれるかもしれないし。
ってか、作らせるか。ついでに、ケーキも。咲夜のが一番おいしいからね。
「それぐらいなら、うちの神様も怒らないと思うわ」
小傘がモミの木を境内の隅に置いて帰っていくと、私は部屋のカレンダーにおっきな丸を一つけた。
そのクリスマスは小傘と二人で過ごす予定だったけど、結局、魔理沙とアリスが合流して賑やかに過ごすことになった。
そして、新年を迎えるための儀式も今年は無事成功し、ごきげんで正月を迎える事ができた。新年を迎えても、私と小傘の関係は変らず、雨が降れば雨の散歩を楽しんでいた。傘の舌にお尻を叩かれながら。
また、雨の気配がなくてもなにかと小傘が神社にきて、魔理沙などと一緒におしゃべりしていくことも多い。
そんな新年を迎えてから一ヵ月余りがたった或る日、にたにたしながら小傘がやってきた。
「はい、霊夢」
そういって小傘が小さな包みを私にくれた。
「何?」
そういう私に、
「チョコレート」
と、小傘が答える。
チョコレート。人里でも売ってるちょっとお高めのお菓子だけど、幻想郷に材料はない。材料のないものが幻想郷に存在するという謎の真相を探ってみると、大抵は紫が好きだから、とか、永琳が別の材料から作る方法を編み出した、とか、そんな理由。考えるだけ無駄。
「たかがお菓子ひとつにたいそうな包みね」
「うん。でも、今日は大好きな人にチョコレートを贈る日なんだって」
「ふーん、そんなの初めて聞くわ」
「早苗が言ってたよ。外の世界ではポピュラーなイベントだって」
だから、外の世界のイベントをそんな簡単に持ち込んいいの?
そんなことは私が気にしても仕方ないから、早速、包みを開けてみる。
出てきたのはハート型のチョコレートで、白い文字が書かれていた。「霊夢大好き」と。
恥ずかしいじゃない、バカ。
「へへ、どう? 霊夢。手作りだよ」
「器用なもん作るのね」
「でしょ? 早苗に教えてもらいながら一緒に作ったの。でね、早苗はね、神奈子様と諏訪子様に毎年手作りチョコを贈っているんだって」
「そうなんだ」
「だから、私は霊夢に毎年あげるね」
「そう、期待しておくわ」
と言ってはみたけど、果たしてどうなるのかしら。
そんな私の想いなど知らずに、小傘は無邪気に来年はどんなチョコレートを作ろうかと、思案にいそがしそう。
小傘は自分の存在というものをちゃんと理解しているのかな?
うん、でも、これでいいのよ。私は巫女だし、小傘は付喪神。それ以上でもそれ以下でもないわ。
私は改めて自分の心を確認した。
そして、神社の境内にも少しづつ春の気配が近づいていた。
今日も小傘が神社にきている。もう、外は暗く、雨が降っていた。そんなわけで、今晩は小傘も神社に泊まっていくことになった。
小傘が神社に泊まることはさほど珍しくない。雨の夜に驚かせにいっても人間に出会わないからと、そういう日には神社にいることが多かったから。
「小傘、お布団ひいといて」
夕食の後片付けを始めた私は、小傘に布団を用意させる。今日も疲れたから、さっさと寝てしまうつもりだ。
片付けも終わり、雨戸を閉めて寝間に行くと、小傘が布団を二組隣同士にひいていた。何もそんなにくっつけなくてもいいのに、と思うけど悪い気はしない。
その小傘は先に布団に入っている。いつものように傘を抱きかかえて。
私は巫女服から寝巻きに着替えると小傘の隣の布団に入った。
布団に入って、静かに目をつぶると、小傘が話しかけてくる。
「ねぇ、霊夢」
「何?」
「あったかいね」
「そうね」
春が近づいてきたとはいえ、まだ冷える。布団のぬくもりが心地いい。
「ねぇ、霊夢」
「何?」
「ありがとう」
「そう」
何をいまさら。でも、改めて言われると嬉しいものね。
「ねぇ、霊夢」
「何?」
「私ね、もう寂しくないよ」
「……そう」
そして、小傘は静かになった。もう眠ったのだろう。
そう思って、私も眠りについた。
翌朝。雨はすでに止んでいた。
まだ、外も暗いうちに布団から出て、朝食の準備を始める。いつもなら夕べの冷や飯を朝には食べる。ゆっくりと寝たいから。でも、今朝は小傘がいるからご飯を炊く。水は冷たく米を研ぐ手がかじかむけど、気にならない。おかずは小傘の好きな赤だしと海苔を一緒に巻き込んだ卵焼きにした。
明るくなってきた頃には、ご飯が炊け、卵焼きも味噌汁も出来た。せっかくだから熱々のうちに食べてもらいたい。
だから、まだお寝坊さんしてる小傘を起しに行く。
「小傘、朝よ。起きなさい」
私は布団を勢い良くめくった。
…………しかし、そこには小傘の姿はなかった。
布団に一本の傘だけを残して、小傘はいなくなっていた。
そして、私は小傘が消滅したということを知った。
――――存在のよりしろをなくしちゃったのね。
小傘は傘として使われずに忘れられていった。そして、その寂しさが募って、付喪神になった。その忘れられた事への寂しさが消えれば、もう存在する意味がない。
だから、いずれこうなる、とは思っていた。また、そうするのが巫女の役割だとも思っていた。ただ、こんなに早くくるとは思わなかったけど……。
私はのっそりと腰を下ろすと、その古ぼけた傘を手にとってみる。小傘がいつも持っていた傘。……思っていたよりも、軽い。強く握ると崩れてしまいそう。
――――お祓いしてあげなきゃね。
そう思って、私はお祓いの準備をする。小傘の為に。そして、お祓いを済ませると境内で、焼いた。
燃え尽きた傘の灰を掃き集めていると、ふと、妖気を感じた。
「供養したのね」
現れたのは紫だった。もう冬眠から覚めていたのか。あぁ、そういえば、早苗と映画とかいうのを観にいくって言ってたっけ?
「供養したわ」
当然のことながら、付喪神を供養するのは巫女の役割。人形供養なんかと同じようなもの。
それに、巫女の役割にもかなっているからこそ、私は小傘との付き合いを深める事ができたのだから。
「ほんと、霊夢もまだまだね。もちろん、あなたの判断は間違ってはいない。でも、正しいことが必ず正しいわけではないのよ」
「どういうことよ」
意味わかんない。
「それは貴方が答えを出す事。私はしらないわ」
それだけ言うと、紫は大きく欠伸をひとつして、眠たそうに隙間を閉じる。
その隙間が閉じた先に見えたのは、私の気持ちとは裏腹な雲ひとつない空だった。
それからしばらくすると、博麗神社にも春告精が出現し、境内の桜もつぼみを膨らませ、気が早いものはすでに開花し始めていた。
そろそろ、花見の準備もしておかなきゃね。
そんな事を考えながら、ふと、部屋のカレンダーに目をやる。そういえば、今日は人里に呼ばれてるのだったわ。何の会合って言ってたかしら? まぁ、私はただ黙って座ってるだけなんだけど。
それでも、少しばかりの奉納金と御神酒をいただけるのだから、巫女としてはありがたい話。
そして、お茶を一杯飲むと、会合に行くために身支度を整える。
すると、外では雨が降り出した。
――――まだ、時間あるわね。小傘が来るのを待とうかしら?
と思ってから、ハッとする。
――――そうだった。
どうしようもない喪失感が襲ってくる。
――――暗くなってちゃだめね、これから人に会うのだから。
そう気を取り直し、久々に、本当に久々に、自分の傘を取り出し、人里へと向かった。
一人での雨中飛行は、お尻が寂しかった。
だって、あの子が、ずっと望んでて、
そのことが、かなって、だから、
きっと、あの子は幸せだから。
だけど、
だけど、なんで、涙が止まらないんでしょうね。
…いえ、とても面白かったのでお気になさらず。
寂しくなんかな
小傘……
シリアスとネタが良い感じにバランス取れてるのかな。
良い雰囲気でした
グッドジョブ
レミリアが電波キャラは無理が有るwww
あれだとちょっと読み始め難いです
内容はすごい良いんですが……
幻想郷での意味とは違うが,「成仏」したんだな,と感じた.
>主人公とヒロインがまだ余ってるのですよ
肝心な所が!というかヒロインはレミリアじゃなかったのか.
妖怪は不憫だ、って聖さんが言ってたのが良くわかります。
小傘→口調から人称まで違って誰コレ状態
この両方がきちんと処理されていれば良作だった。
タイトルはこれで良いと自分は思いました。
小傘がずいぶんかわいい子になっちゃってまぁ
あと少年時代は「誰の憧れにさまよう」です。
偉そうにいいましたが、いい話でした。面白かったです。
ありがとうございました。
切ない・・・が元の存在から考えるとハッピーエンドなのかもしれないね
儚さがあるあたりがやっぱりかわいいなぁもう
ギャグだと……思ったんだよ……
霊夢さん、お尻が寂しいのでしたら、その役目、不肖ながら私めが(ry
この淡々とした描写がまた余計に切なさを助長するんですよねえ。
結局全部泣くんですけどね。