「霊夢さーん、おはようございますー」
現在午前七時半。
季節柄少し肌寒いものの、人里からやや離れ森に囲まれたこの博霊神社は朝特有の清々しい空気に満ちていた。
「霊夢さーん、もう朝ご飯食べましたかー?作るんでよかったら一緒に――あれ?」
なんかへんだな。首を傾げながら賽銭箱の前に立つ。
いつもなら気怠げな紅白が一人、やっぱり気怠げな声で出迎えてくれるのだけど。
「霊夢さんいませんね…」
霊夢の姿が見当たらなかった。それどころか人の気配もしない。何かあったのだろうか。
でも異変にしては動きが早すぎる気がする。昨日はいつも通りまったりしてたのに。
途端に勤労意欲が満ちあふれたとか?
「霊夢さんに限ってそんな…とりあえずお邪魔しちゃいましょうか。
不法侵入?幻想郷で常識にとらわれるとは感心しませんねぇ」
勝手知ったる霊夢さんの家、ですかね。独り言をぶつぶつと呟きながら神社にお邪魔した
◆ ◆ ◆
外に開けた客間から玄関に出て廊下を渡り台所と風呂場を過ぎたところで、ひとつの部屋を見つけた。
この部屋入ったことないな。そう思って少し緊張しながら襖をそっと開けるとそこは殺風景な部屋だった。広すぎず狭すぎず、家具といえば箪笥くらいしか見当たらない。霊夢らしいといえばたしかにらしいその部屋の中心に彼女はいた。暖かそうなお布団にくるまりながら。
「なぁんだ、まだおやすみ中でしたか…」
とりあえず朝ご飯はご一緒できそうですね。少し安心して側に寄る。
寝相はあまりよくないらしくうつぶせ気味で顔はよく見えないが、やっぱり寒いのか肩だけじゃなくて顔の辺りまでしっかり布団をかぶってるのが何だか妙に可愛らしかった。
「霊夢さん霊夢さん起きてください、朝ですよー」
そう声をかけながら体を揺すると、彼女は鬱陶しそうに身をよじらせ寝返りをうった。
そして、彼女の無防備であどけない寝顔を正面から見据えた瞬間
―――どくん、と心臓が高鳴った
いつもと、違う。他愛ない話をするときの気怠そうな態度も、真面目な空気でのどこか達観したような様子も、弾幕ごっこをしているときの凛々しい姿も、どんなときでも全てのモノに一線を画するような雰囲気もそこにはなくて、ただありのままの少女である彼女のことを、ただ純粋に綺麗だと思って手を伸ばしてみたくなった。ここには私と彼女しかいない。今この瞬間目の前の少女を知るのは、自分しかいない。今なら、今ならきっと彼女に触れることが―――
「……さなえ?」
「えっ…あ、えっと!すいません起こしちゃいましたか!?」
起こすために側に寄ったのに、なに言ってるんだろう私は。それに今何をしようとしてたんだろうか。霊夢さんの頬に触れて、触れて…なんだろう?自分の行動に混乱するなんて、どうかしてる。そんな私の混乱なんてお構いなしに霊夢さんは尋ねてきた。まだずいぶん眠そうではあるけれど。
「いま、なんじ?」
「えっと、七時半過ぎですよ」
「…あといちじかんいじょう」
長くないですか!? そう言ってる間にも彼女の瞼はどんどん閉じていってしまう。あぁダメですよ霊夢さん、寝過ぎは身体によくないんですよ。でもそれで彼女が起きるわけもなく、しょうがないから私は実力行使に出た。彼女の肩に手を置いて強く揺する。すると少しは目が覚めたか、それでもやっぱり眠そうに彼女は声をもらした
「…うー」
「目が覚めましたか?」
「…まだねむい」
「寝起きはみんなそうです」
「…じゃああんたもねればいいのよ」
「はい?――きゃっ!」
いやいや寝起きなのは霊夢さんだけで私は違いますよ。なんて言う間もなく、そんなこと予想もしてなかった私はあっけなく布団に引きずり込まれてしまった。抱きかかえられるというおまけ付で。
「んぅー…」
ええ!?れれれ霊夢さん!?そそんないきなりだだだ大胆な!待ってくださいそもそも私たち女同士だし私も霊夢さんもまだ子供なんだからこういうことするのはちょっと早すぎるんじゃあれでも私ぐらいだったら日本の法律的には大丈夫だっけいやまてそもそもここ幻想郷だから法律関係ないじゃんあぁそれにしても霊夢さんのここ暖かくて柔らかくていい香りでふわふわしててすごく気持ちいいかもってうわぁぁぁどさくさに紛れていきなり何考えてるんだ私は――
「すーすー」
そんな中、何事もなかったかのように彼女の寝息が聞こえた。
あ、あれ?霊夢さん?何も気にせずおやすみですか?声をかけてもまるで反応がない。
つまり、熟睡中であると。…なんだろうか、ホッとしたというかちょっと拍子抜けというか。
「…んと、霊夢さんが悪いんですよ? 引きずり込んだのは霊夢さんですからね?」
小声で彼女と自分にそう言い訳をして、私は偶然やってきた特等席での二度寝を楽しんだのだった
早苗の反応とかに自然と頬が緩みますねぇ。
和みました。
照れて慌てふためく霊夢が用意に浮かぶのはなぜだろう。
起きて慌てふためく霊夢を想像するだけで2828できるぜ
続きを所望する!断食後に差し出される乳粥と同じくらい体がそれを求める!
くそぉ……2828がとれねぇ……
レイサナばっちこーい
あと、ニヤニヤが止まらなくなりました…。
慌てる霊夢が容易に想像できるwww
2828が止まらんぞおいどうしてくれる