Coolier - 新生・東方創想話

はだかのチルノ

2009/11/28 01:54:32
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「チルノちゃん、これプレゼントなんだけど、馬鹿には見えない洋服なんだ」

 大妖精、渾身のいたずらであった。

 
 大妖精は悩んでいた。妖精といえば「いたずら好き」がステータスであるのに、自分といえば
「いたずら」も「嘘」もうまく出来ない。他の人妖からは「大妖精は真面目で大人しい」という
評価を頂いている。

 確かに「真面目で大人しい」は悪い評価ではない。むしろ皆好意を持っているとさえ思える。

 ……しかしである。それは一個人としてはともかく、妖精としては如何な物であろうか。

 妖精とはもっと明るく破天荒であるべきではないのか?

 サニー・ルナ・スターの三月精などは、この前紅魔館の美鈴さんが昼寝をしている隙に
美鈴さんの鼻にバナナをねじ込みに行ったらしい。……気が付かれて未遂で終わったらしいが。

 美鈴さんならともかく、メイド長の咲夜さんに見つかったら殺されるとは考えなかったのだろうか?

 ……それはともかく、三月精程の豪気ないたずらは無理にしても、簡単ないたずら位は出来る様に
なっておかないと「妖精」としてのアイデンティティが失われるのではないか?

 密かにそう悩んでいた大妖精は、とりあえず親友のチルノに「嘘」をついてみた。


「むむぅぅ……」

 チルノは大妖精が差し出した「服」を前に唸っている。「馬鹿には見えない服」が見えない所為だろう。
 見えなくて当たり前である。そもそもそんな物は無いのだから。
 大妖精の計画通りである。チルノはこう見えて純真であり、実は他人に騙され易い。
 しかも相手は普段嘘などつかない大妖精である。服が見えない事に、大いに悩むだろう。
 大妖精はチルノがひとしきり悩んだ後に「ゴメンね、実は嘘なんだ」と明かすつもりである。
 多少は怒るだろうが、事情を説明すればチルノも解ってくれると思う。

 こうして少しづつ「嘘をつく事」に慣れていけば、自分も三月精のような「いたずら妖精」
になれるに違いない。大妖精はそんな風に考えていた。

「ぬぬぬぬぬ……」

 見るとチルノは顔を真っ赤にして大妖精の差し出した「馬鹿には見えない服」を見つめている。
 このままだと頭から湯気が噴き出すかもしれない。……比喩ではなく。

「ごめんねチル……」

 そろそろ頃合かと大妖精が口を開きかけた時、チルノがカッと目を見開いた。

「見えた!!」
「え?」

 チルノの叫びに思わずフリーズしてしまう大妖精。

「見える!見えるよ、大ちゃん!!アタイにも見える!!」

 チルノの額にピキーンと稲妻が走ったように見えた。
 大妖精にはチルノが何を言っているのか判らない。
 見えるも何も、そもそも存在しないのだ。

「チ、チルノちゃん?何を言って……」
「うわー、凄い!こんな綺麗な服、アタイ初めて見たよ!」

 無邪気にはしゃぐチルノ。大妖精にはチルノが嘘を言っている様には見えない。

「ねぇねぇ、アタイこの服を着てみてもいいかな?」

 そう言うなり、服を脱ぎだすチルノ。その様子を見て大妖精は真っ赤になる。

「ちょっと、チルノちゃん!いきなり何を……」

 そう言い掛けた所で大妖精は以前美鈴の所で読んだ本(漫画)を思い出す。
 それは少年が主人公の格闘漫画で、たしか少年の父親が「地上最強の生物」と呼ばれていた。
 その漫画の中で主人公が確か「人は強烈に思い描いた事は実現する」と言っていた。

 「りある・しゃどー」とか言うらしい。何でも強烈に、しかも正確にイメージする事で
さも、その人物が目の前に居るかの様に想像するらしい。しかも触れるくらいに。

 人間は皆、こういう事が出来るのかと美鈴さんに尋ねたところ

「まぁ、漫画だしね。こんな事私にも出来ないよ」

 と笑っていた。

 しかし、どうやらチルノは極限状態で「りある・しゃどー」を会得してしまったらしい。
 思い込みってすげぇ。

 さすが自称「幻想郷最強の生物」。チルノちゃんのフルネームは「チルノ・範馬」に
違いない。もしくは「チルノ・ハンマー」。アタイったらサイキョーね!

「大ちゃん、下着も用意してくれていたんだ!」

 冷静なんだか、パニックなんだか判らない思考の海に沈んでいた大妖精は、チルノの声で
我に返る。振り返った先にはドロワーズはおろか、パンツまで脱いだチルノが立っていた。

「えへへ、大ちゃん似合う?」

 はにかみながら大妖精に声をかけるチルノ(全裸)。

 だが大妖精はそれどころではない。頭の中を駆け巡るのは

「何故自分には時を止める程度の能力がないのか?時間を止められれば、この光景を網膜が
焼ききれる程に焼き付けるのに!咲夜さんズルイです!」

 と言う、もはや八つ当たりも甚だしい思いであった。

「どうしたの?大ちゃん」
「チルノちゃん、キレイ……」

 チルノの問いかけに、まるで夢遊病者の様に答える大妖精。

 大妖精の答えに、チルノは「にぱっ」と太陽のような笑顔を浮かべると、そのまま大妖精に
抱きついた。

「わーい、大ちゃんありがとー!」
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 その、あまりの出来事に意識がブラックアウトしていく大妖精。
 倒れる寸前、大妖精が最後に紡いだ言葉は「時間よとまれ」であった。



「あれぇ?大ちゃん寝ちゃった。どうしたんだろ?……ま、いっか。遊びに行こー!」

 そう言うとチルノ(全裸)は幻想郷の空に飛び立って行った。



―――



 魔理沙はぼんやりと空を飛んでいた。抜ける様な青空、神社に行ってお茶でもご馳走に
なろうか?それとも紅魔館で紅茶の方が良いか?

 そんな事を考えながら、ただなんとなく空を飛ぶ。
 その時だった。

「魔理沙!アタイとしょーぶしろ!」

 そんな声が聞こえてきたのは。
 やれやれ、チルノか。まぁ、チルノと弾幕ごっこってのも良い暇つぶしにはなるだろう。
 そう思って振り返った魔理沙は思わずフリーズしてしまう。
 そこにいたのは腰に手をやり、無い胸を張り、やたら自信満々な全裸のチルノだった。

「ちょっ!お前なんて格好してんだ?!」
「へへ~ん、うらやましいでしょ?」
「うらやましくねぇ!さっさと服を着ろ!」
「着てるじゃん」
「靴下と靴は服とは言わん!」
「え?魔理沙見えないの?はは~ん、アンタ馬鹿なのね」

 がーん。まさかチルノに「馬鹿」と言われる日が来るとは。
 あまりの出来事に思わずふらつく魔理沙。

「とにかく、「ぼんのーむよー」よ!行くよ!!」
「煩悩じゃねぇ!問答だも・ん・ど・う!」
「うるさ~い!いけぇ!凍符「パーフェクトフリーズ」!!」

 チルノから放たれた弾幕が徐々に凍り付く様に停止していく。

「うわっ!」

 慌てて弾を回避する魔理沙。安全地帯を探すようにするすると回避していく。
 普段ならなんてことは無い弾幕なのだが、今日は勝手が違う。
 チルノの裸が気になって弾幕に集中出来ない。

「ああ~っ!もうメンドーだぜ!」

 そう叫ぶと魔理沙は八卦炉を取り出しチルノに向かって構える。

「容赦しないぜ!恋符「マスタース……」」

 マスタースパークを撃とうとした魔理沙が止まる。
 全裸のチルノに「恋符」はマズくね?恋とか言っちゃうと幼女趣味とか言われね?
 魔理沙の脳裏によぎる考え。

「くっ!ならコッチだ!恋心「ダブルスパ……」」

 もっとヤバイっつーの。
 もはや魔理沙は正常な思考を奪われつつあった。とりあえず別のスペルカードが無いかと懐を探す。

「これだぜ!!彗星「ブレイジング……」」

 再び停止する魔理沙。
 全裸の幼女に突っ込むってどうよ?

「なんか知らんが非常にまずい気がする……」

 焦りながら他のスペルカードを探す。
 他に見つかったのは「マスタースパーク」が4枚。私はどんだけマスパが好きなんだ!
 今朝、適当にスペルカードを選んだ自分が憎い。

 今まで弾幕はパワーだと思っていた。どんな敵が来てもマスパ撃ってりゃどうにかなると思っていた。
 でも違った、弾幕は名前でした。

 生まれて初めて魔理沙は神に祈った。

 神様、今度からはいろんな状況に対応出来る様に多様なスペカを持ち歩きます。だから……

 魔理沙が見上げた青空には大きく秋姉妹の笑顔。

 ……てめぇらじゃねぇ。


 一方、チルノも中々被弾しない魔理沙に苛立っていた。

「ああっ!もうっ!こうなったらアタイの新スペルカードを見せてやるわ!!」

 そう叫ぶとチルノは少し身をかがめると、勢い良く魔理沙に突進した。

「いっけぇ!冷体……」

 その叫びを聞いて魔理沙はニヤリと笑う。スーパーアイスキックならば防御さえすれば
反撃は容易い。とりあえず蹴りでも入れて、この心臓に悪い弾幕ごっこを終わらせてしまおう。

 魔理沙は箒をホバリングさせ防御にはいる。

 しかし魔理沙は聞き逃していたのだ。チルノが「新スペルカード」と言ったのを。

 きりもみ状態で突っ込んできたチルノは、思いっきり足を振り上げる。

「「スーパーアイス・ヒップアターック」!!」
「なまっ!!」

 一瞬の油断が命取りであった。チルノ(全裸)の尻が、魔理沙の顔面に突き刺さった。

 ミシリ、魔理沙の首から嫌な音が聞こえた。

 まるで一瞬時間が静止したかの様な静寂。

 直後、魔理沙は盛大な鼻血と共に落下していった。

 なお、魔理沙の「なま」という言葉が何を意味していたのかは詮索してはいけない。
 って、けーねが言ってた。

 落下していく魔理沙を見てチルノは大きく笑う。

「あーはは!やっぱりアタイったらサイキョーね!今なら霊夢にも勝てそうだわ!
そうだ!霊夢の所に行こう!」

 そう言うと、チルノは博麗神社に向け飛び立って行った。



 ちなみに後日、首にギブスをはめた魔理沙に、アリスが「どうしたの?」と尋ねた所、

「冷えたピーチは破壊力」

 とだけ言って、魔理沙は黙ってしまったという。



―――



 霊夢は何時もの様に縁側でのんびりお茶を飲んでいた。

 秋も深まってきたのか、空が高く感じられる。そろそろ鍋が恋しい季節になるだろう。
 いや、鍋も良いけど秋の味覚も捨てがたい。栗に芋、柿や梨なんか素敵ではないか。
 今度、秋姉妹にでも頼んでみるか。

 ぼんやりとしながら、そんな事を考えていると、けたたましい声が響いた。

「霊夢!アタイとショーブしろぉ!!」

 また五月蝿いのが来たわねぇ。
 霊夢は溜息をつきながら上空を見上げ、

「ぶっほぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 盛大にお茶を噴き出した。

 上空にはやたら威圧的な態度の全裸のチルノがいた。
 特に下から見上げた霊夢には、とんでもない光景が見えた。詳しくは描写出来ないが。

「ちょっと!何してるのよ!!」
「ほえ?」
「何で裸なのよ!幻想郷にはペド……もとい、ロリ……じゃなくて、幼女性愛好……
げふんげふん、とにかく危ないヤツが多いのよ!!」

 どんな言われ様だ幻想郷。

「霊夢も見えないの?はは~ん、霊夢も馬鹿だったんだ」

 カチーン

 チルノに「馬鹿」と言われた。これほどの屈辱があっただろうか?いや無い(反語)。

 拳を握り締め、ぶるぶると震える霊夢。

 そんな霊夢を気にする事無く、チルノはスペルカードを宣言する。

「くらえ!冷体「スーパーアイス・ヒップアターック」!!」

 尻を突き出し、きりもみ状態で突進してくるチルノ(全裸)。

 だが、霊夢は半歩身をそらすとチルノを両手で受け止める。そして力任せにチルノを上空に
放り投げた。

「そぉおい!」
「あわわわわわ……」

 そして霊夢は上空に飛び上がると、バランスを崩し逆さまになったチルノの両足首を
両手で掴む。そのまま自身の肩でチルノの首を極めると、自由落下にまかせ一気に降下した。

「博麗バスター!!!!!!」
「べげらっ!」

 チルノの首と股関節辺りから嫌な音が聞こえた。
 ちなみに二人の状況(特にチルノ)を詳しく描写する事は出来ない。作者の描写力の無さを
痛感している所存であります。他意はありません、決して。

 チルノが完全に気絶したのを確認すると、霊夢はチルノを地面に下ろした。

 さて、どうしたものかと霊夢は思案する。このまま放っておく訳にはいかないだろう。
 全裸の幼女が倒れている境内など、人に見せられるわけが無い。

「とりあえず部屋に運ぼうかしら」

 そう呟いてチルノを抱え上げようとした時、

 どさっ

 霊夢の背後で音がした。

 霊夢が振り返ってみると、そこには荷物を取り落とし呆然と佇む早苗がいた。

「れ、霊夢さん……何を……」

「あら、早苗じゃない」

 そう言いかけて霊夢は自分の体勢を思い返す。

 客観的に見れば、今まさに気絶した全裸の幼女に襲い掛かろうとしている決定的瞬間です。
本当にありがとうございました。

「か、勘違いしないで!さな……」
「まさか霊夢さんがそんな人だったなんて!!」
「ち、違うわ!早苗、落ち着いて」
「私がこんなにもアプローチしているのに、まさかチルノちゃんに手を出すなんて!」
「……はぁ?」
「言ってくれれば私が一肌も二肌も、いえ、むしろ全部脱いだのに!」
「何を言ってるのよ!」
「『ナニをしましょう』って言っているんです!」

 早苗の目が狂気に染まっていく。
 瞬間、早苗は霊夢に飛び掛った。

「さぁ!霊夢さん!私と愛の暴走妄想超特急に乗ってガンダーラへと旅立ちましょう!!」
「ひいっ!」

 慌てて霊夢は早苗を回避する。

「何故かわすんです!早くしないと「999」が出発してしまいますよ!!」
「そんな銀河鉄道には乗りたくない!!」

 大声で叫ぶ霊夢に、早苗は俯いてしまう。

「判りました……」

 早苗の言葉に霊夢は安堵する。早苗はちょっと取り乱しただけだったのだ。

「全裸ですね?」
「は?」
「愛を語るに服など不要!めんどくせぇ、めんどくせぇ!服を脱がすのもめんどくせぇ!!
私に抱かれたくば全裸で来い!!そう言う事ですね!!さすがは霊夢さん!!そこに痺れる!
憧れるぅぅぅぅ!!!!!」
「判ってねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 絶叫する霊夢を尻目に、おもむろに服を脱ぎだす早苗。
 ものの数秒で全裸になる早苗(袖のみ)。

「さあ、霊夢さん!私とめくるめくエリシュオンへ旅立ちましょう!いや、むしろアビスへ!」
「そんな物騒な所へは一人で行きなさいよ!」
「大丈夫です!堕ちてしまえば体はもう痛くありませんから!!」
「堕ちる前は痛いんじゃない!!」
「そのうち気持ち良くなります!!」
「意味判んないわよ!」
「この守矢神社の『ジョイント・フェチ』と呼ばれた私が、優しく手ほどきしますから!」
「『ジョイント(関節)フェチ』!?」
「むしろ『ジョイント(合体)フェチ』」
「が、合体は嫌ぁ!」

 ひるむ霊夢に早苗(全裸)は高速タックルを敢行する。
 早苗のタックルを喰らい、崩れ落ちそうになるのを霊夢は腰を落として耐える。
 そして勢いに任せそのまま押し倒そうとする早苗を霊夢は力任せに上空へと放り投げた。
 そしてそのまま霊夢自身も上空へと飛び上がる。そして空中で早苗の関節を極めると、
 一気に降下した。

「仕方ないわね!必殺「博麗バスタァァァー」!!」
「めげらっ!!」

 体中から異音を鳴らして気絶する早苗。先程のチルノ以上に詳しく描写することが出来ない。

「はぁはぁ……」

 気絶した早苗を地面に下ろすと霊夢は肩で息をしながら周りを見渡す。

 神社の境内には、気絶して倒れている全裸の幼女と少女。
 幻想郷は地獄だぜ!ヒャッハー!

「今日は厄日かしら?」

 今度、雛に来てもらって厄を回収してもらおう。
 だが、まずはチルノと早苗を部屋に運ばなければ。こんな時に限って誰かがやって来る物だ。
 巫女の勘がそう告げている。
 霊夢が疲れた体でチルノを抱え挙げようとした時

「れ、霊夢さん……」

 巫女の勘が的中した。

 霊夢が振り返った先にいたのは、呆然と佇む大妖精だった。
 この先の展開は大体読めた。大妖精には悪いが、さっさと博麗バスターで沈んでもらおう。
 そう思い大妖精に向かって駆け出す霊夢。

「早苗さんだけならともかく!チルノちゃんにまで手を出すなんて!!」

 ズシャァァァァァ!!
 盛大にスッ転ぶ霊夢。

「早苗ならともかくって何よ!!」

 大妖精に突っ込みをいれる霊夢。しかし大妖精は構わずに叫んだ。

「許せない!チルノちゃんの(ピー)に(ピー)しようだなんて!!それは私の役目なのに!」
「何を言っているのよ!!」
「『チルノちゃんとナニがしたい』って言ってるんです!!」

 先程と同じ様な展開に溜息を吐く霊夢。もういい、さっさと終わらせてしまおう。
 霊夢は大妖精に高速タックルをかますと、そのまま大妖精を上空に放り投げる。

「そぉぉぉいっ!!」
「きゃあああああ!!」

 そして一気に飛び上がると大妖精の関節を極める。

「必殺!博麗バスタ……ああ?!」

 しかし、決まったと思った瞬間大妖精は消えてしまった。
 大妖精の瞬間移動で霊夢は大きくバランスを崩してしまう。
 空中でバランスを崩した霊夢を、再び現れた大妖精が逆に極める。

「これぞ『順逆自在の術』!!」
「アンタ、それ悪魔超じ……」
「問答無用!いけぇ!『大妖精バスター』!!!!!」
「げばらっ!!」

 霊夢の関節から異音が鳴り響く。大妖精の肩の上で逆大の字の体勢で気絶する霊夢。
 大妖精が手を離すと、まるでスローモーションの様にゆっくりと倒れこんだ。

「大妖精ストンピング!大妖精ストンピング!大妖精ストンピング!……」

 しかし、気がすまないのか霊夢に追撃を加える大妖精。

 その時チルノの意識が戻る。

「あれ?大ちゃん?」

 チルノの声に大妖精は慌てて振り返った。

「チルノちゃん!大丈夫?!」
「あれ?なんでアタイ裸なんだろ?」
「はい、チルノちゃん。これ……」

 そう言ってチルノに服を渡す大妖精。

「ありがと、大ちゃん。でも、大ちゃんに貰った服は……?」
「いいのよ。また今度、もっと素敵な服をチルノちゃんにプレゼントするね」
「ホント?!大ちゃん!」
「うん!」

 大妖精の言葉に無邪気にはしゃぐチルノ。
 その様子を見て大妖精は「やっぱり私には『いたずら』は似合わないかも」と思う。

「さ、大ちゃん、どっか遊びに行こう!!」

 そう言って笑顔で手を差し出すチルノ。

「うん!!」

 大妖精は、その小さな手を笑顔で握り返す。
 秋晴れの空を二人は飛び立って行った。



 境内に取り残されたのは、全裸(袖のみ)の早苗と早苗に覆い被さる様にして
気絶した霊夢の二人の巫女。

 後日、この様子が「文々。新聞」に載った事により、紅魔館・マヨヒガ・妖怪の山
をも巻き込んだ異変が起こるのだが、それは別の話。




追記:幻想郷最新ランキング

 魔理沙<チルノ・早苗<霊夢<大妖精
 
オヤツは300円まで、袖と靴下は衣服に含まれません。

むしろ脱ぐな。


少しでも楽しんでいて頂ければ嬉しいです。

11/29 一部訂正いたしました。
>37様 有難う御座いました。
ぐれ
簡易評価

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コメント



0.2280簡易評価
2.90名前が無い程度の能力削除
走り抜けたな……。
そんな言葉が頭に浮かんだ。
4.90名前が無い程度の能力削除
理想のテンポだ
5.100不履行削除
ぐれ様の作品全部読んで来た!
やべえ!!

袖のみの早苗さん、もらってもいいですかw
6.100名前が無い程度の能力削除
なんだこれはwww
8.100名前が無い程度の能力削除
どうしてこうなったw
12.100名前が無い程度の能力削除
どうしてこうなったw
早苗さんが駄目すぎるwww

とりあえず、このまま早苗さんと霊夢が階段落ちしないことだけを祈っておきますw
13.100火忍削除
>大妖精バスター
6をひっくり返すと9になるんですね、わかります。
しかしこれは順逆自在の術……そしてストンピング攻撃、こいつは「ザ・大妖精」か!?

大好物なネタを前に思わず食いついてしまった。
チルノちゃんお洋服はたくましい妄想力のおかげですね。
いやはや、楽しませていただきました。ありがとうございました。
14.80名前が無い程度の能力削除
霊夢も移動できるんだから、この流れだと∞なバスターで霊夢の勝ちな気が
16.100名前が無い程度の能力削除
ジョイントフェチ…それは死亡フラグだ!!
17.100ぺ・四潤削除
袖だけ早苗さん。あなたよくわかっていらっしゃる。
18.100名前が無い程度の能力削除
大妖精ストンピングw
19.100奇声を発する程度の能力削除
腹筋崩壊wwwwwwwwwww
27.90名前が無い程度の能力削除
待て、大妖精の一言で結果的に幻想郷が大混乱に陥ったとしたら、ある意味悪戯大成功なんじゃなかろうか
28.100みずあめ。削除
大ちゃん、なんて悪戯を……!幸せ兎もびっくりの
まったくけしからんですね。
御馳走さまでした!
32.100名前が無い程度の能力削除
大ちゃん、なんてことをしたんだけしからん
と書いて
いいぞもっとやれ
と読む今日この頃

こんどはおじさんがイタズラをしてあげよう
34.100名前が無い程度の能力削除
妖精超人www
てかチルノは見栄なのかガチで具現化させたのか、それが知りたいwww
37.無評価名前が無い程度の能力削除
コメント2回目なのでフリーレスで

> ルナ・スター・サファイア
大変です、サニーがいません
39.無評価名前が無い程度の能力削除
どうしてこうなった
40.80名前が無い程度の能力削除
点数入れ忘れ。
43.100名前が無い程度の能力削除
いいぞもっとやれwww


ところで袖だけの早苗さんにはどこであえますか?
44.100名前が無い程度の能力削除
ガンダーラで999とか見事なゴダイゴっぷり!
バキネタ盛り合わせもグッド!
46.100名前が無い程度の能力削除
なにはともあれ、魔理沙wwwwwwwwwwwww
50.100名前が無い程度の能力削除
あなたはもっと描写力を高めるべきだ
53.80名前が無い程度の能力削除
博麗バスターww
54.100名前が無い程度の能力削除
大ちゃん最高や!やる大矢なんて最初っからいらんかったんや!
56.90名前が無い程度の能力削除
やりきった感があるなw
59.100名前が無い程度の能力削除
無茶しやがって・・・!
60.100名前が無い程度の能力削除
>弾幕は名前でした。
至言だとおもったぜ!ヒャッハー!
ピーチ うま
62.80名前が無い程度の能力削除
大ちゃん……無茶しやがって
70.80名前が無い程度の能力削除
すさまじいテンポだ。最初から終わりまで引きずられた。
71.90名前が無い程度の能力削除
イイネ