Coolier - 新生・東方創想話

子供ができましたわっ -紅魔館編-

2009/11/25 22:15:31
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※このお話は前話『子供ができたんだぜっ -魔理沙編-』の続編となります。








霖之助が幼児化して早3日。

その間に色々起きた。

例えば、出歯亀天狗の写真の強奪。

話を聞いてみると、個人用だとか。

だが、それで許す魔理沙ではない。

その他にも、人里の守護者が世話を焼きにきたり、

天才薬剤師が見舞いに来たりもした。

そして、今日は雨が強い日であった。

いつものように、霖之助に本を読ませ

いざ、晩御飯を作ろうとしたその時。





「魔理沙!」

突然と入ってきたのは、傘を持ってるにも関わらず

所々が雨で濡れた咲夜だった。

いつものような瀟洒な姿は見られない。

「おや、お前が焦るなんて珍しいな。何かあったのか?」

「何かあったから焦ってるんでしょうが」

次の瞬間には、元通りの咲夜が佇んでいた。

「それで?何かあったのか?」

咲夜が焦る程の出来事があったのだ。

心配と好奇心で自然と顔が前にでる。

「大雨で土砂崩れがあって、あなたの家の辺りが被害にあったそうよ」

落ち着いて喋ってるのは、他人事だからか。

「何だって!?やばい!すぐ行かない・・・と・・・あー・・・」

飛び出す準備をして、急に止まる。

「どうしたの?」

「いや、香霖がな・・・」

と、言って彼を咲夜の目の前に出す。

「店主さんが・・・」

と、言って固まってしまった。

「咲夜?」

心配そうに彼女の顔を見ると、

なんとも幸せそうな顔で、

うっすら鼻血を垂らしながら、

気を失っていた。

「おい!寝たら死ぬぞ!」

「はっ、ここはどこ?私は・・・ってボケてる暇はないのよ。

 どうして小さくなってるの?」

普通人が幼児化してたらボケてもおかしくはないと思うが。

「えーと・・・かくかくしかじかだぜ」

「成る程。じゃあ、私が面倒見ておくからあなたは家に帰りなさい。

 心配でしょう?」

魔理沙も最初は怨み篭った眼差しだったが、

自分の家の事を考えるとそうもいかず、

「そ、そうだな・・・でも、いいか?戻ってきたらすぐ返してもらうからな!」

と、言い飛んでいってしまった。






「しかし・・・不思議な事もあるものね」

まじまじと見てみると、確かに霖之助に間違いない。

ただ違うのは子供になってることだ。

咲夜にとってはそれが一番重要なのだが。

「ここにいても仕方ないからお家変えようね」

といって、霖之助を抱きかかえる。

普通なら怖くて泣き声の1つぐらい挙げるものだが、

霖之助は、特に泣きもせず不思議な顔をしていた。







「ほら、つきましたよー」

時を止めて移動した為、霖之助からしてみれば

テレポートをしたようなものだ。

「すごい、すごい!」

と、笑顔ではしゃぐ彼に咲夜は、

(お嬢様・・・ごめんなさい。浮気ではありません)

と笑顔で涙を流してたそうな。






「咲夜さん、おかえりなさ・・・」

と、挨拶の途中で固まった美鈴に、

「言いたいことは分かってる。でも私の子ではないわ」

というと、ホッとする美鈴。

「もう驚かさないでくださいよ~。その子は誰なんですか?」

「実は魔理沙が(以下略)なのよ」

そんな事実に驚く美鈴だが、雨の事もあり

「とにかくここに居たら風邪を引きますので中へ」

「あなたも一区切りしたら中へ入りなさい」

門番の仕事が24時体勢ではないのは、

ここ幻想郷ならではだからだろう。

「咲夜おかえり・・・って、えっと・・・おめでた?」

「これは私の子ではなくて、魔理沙が(略)でして。

 お嬢様の能力で分かりませんでしたか?」

少し呆れ気味な視線を送ると、レミリアは赤くし

「ちゃ、ちゃんと分かってたわよ?敢えて聞いたんだから」

と、意味の無い意地を張る。

「それでいいです。それよりどうしましょう?」

と、いつになく心配そうな顔をする彼女にレミリアは、

「咲夜が連れてきたんだから、咲夜が面倒を見るべきね」

と、他人事のように話すレミリアに咲夜は、

「私まだ母乳とかは・・・」

咲夜の少し違った意見に呆れながら、

「さすがにもうそんな歳でもないでしょ。軽いものだったら食べれるはずよ」

と言って自分の部屋へ戻るレミリアは、興味無さげだった。








「「「「「いただきます」」」」」

豪勢な夕食が並ぶテーブルの上で、食事の合図が部屋に響く。

もちろんこの質問も忘れずに。

「「その子は誰?」なの?」

と、パチュリーとフランドールの目線は、

咲夜の上で目を丸くしてる霖之助に集まった。

「えっとこれは魔理沙が(ry)です」

と簡単に説明する。

「あー・・・確かにそんな風にも見えるわねぇ」

と、関心するのはパチュリーだ。

背が低い為、よく見えずわざわざ回り込んできた。

「初めまして。パチュリーよ」

フルネームで言わないのは、覚えられないことを分かってるからである。

「ぱつりー?」

その瞬間密かにどこかで笑い声が漏れる。

「パチュリーよ。ちゅ、ちゅ」

「おお、ぱちゅりー、ぱちゅりー」

歌うように名前を繰り返す霖之助に、

呆れながらも、どこか嬉しそうな感じだった。

「私はフランドールよ。フランドール・スカーレット。よろしくね」

「ぬ?ふら・・・すか?」

パチュリーの心配りも、フランドールには分からなかったらしい。

「フランでいいわよ。ね、後で一緒に遊びましょ?」

もちろん、フランドールの言う遊びとは弾幕ごっこである。

「妹様。この子は弾幕はできないかと・・・」

慌てて仲裁に入る咲夜。

「そうなの?あ、でもお人形ごっこはできるわよね?」

霖之助にお人形ごっこの経験があるかは定かではない。

「それくらいにしないと、ご飯が冷めちゃうわよ」

今まで空気だったレミリアは、構ってほしいのと

ご飯が食べたいのとで、言葉的にはしっかりしていても、

膨れた顔を見るに、駄々をこねてるようだった。

「それもそうですね。頂きましょうか」

といって、スプーンでオカズを少し掬い、彼の口へ運ぶ。

「ほら、霖之助。あーん」

「あーん」

食べる方も食べさせる方もとても幸せそうだった。

面白くないのはレミリアの方で、

「私だって咲夜にされたことないのに・・・」

と、怨みの念を霖之助へ向ける。

もちろん気づけるはずがない。

「美味しい?」

「おいしい!」

と、満足なご様子。

(ああ・・・かわいい・・・これはお嬢様いじょ・・・はっ)

と、忠誠を無くしかけた自分に渇を入れる。

(ダメよ、咲夜。私にはお嬢様1人だけ。他の子になんて・・・)

と、心を入れ替えようとするが、

「お姉ちゃん、もっと頂戴?」

上目で見てくる霖之助に、彼女の忠誠は決壊寸前だった。

(別にかわいがるぐらい・・・いいわよね?別にこの子に忠誠を誓うわけでもなし)

と、自分に言い訳をすると

「はいはい。ほら、あーん」

「あーん」

自分に言い訳を入れた為か、霖之助よりも

彼女の方が格段と幸せな顔をしていた。

「咲夜さん。私にもさせてもらっていいですか?」

と、お願いしてくるは隣に座っていた美鈴。

「結構よ」

自分の子供が盗られるかのように目をきつくする咲夜に、

「いやだって、咲夜さんこのままだと食べれないじゃないですか」

確かにそうだ。霖之助がお腹いっぱいになればいいのだが、

その間にみんなが食べ終わったら寂しい夕食となる。

「じゃ、じゃあ少しだけね・・・」

と、名残惜しそうに霖之助を手渡す咲夜。

「はい、美鈴ちゃんですよ~」

どうも、彼女のほうが慣れてるようだ。

(なんか・・・女として悔しい)

そして、霖之助も男。

母性本能からか、ある物に手を出した。

それは美鈴にあって、咲夜にないもの。

二つの大きな山である。

「え?これがほしいの?」

と、嬉しそうにする美鈴。

(悔しい!)

「美鈴・・・。もういいわ、ありがとう」

謝礼の言葉と一緒に怨みの視線を送る。

「あ、私まだ何も――」

「何か文句でも?」

彼女の視線に怖気づいたのか、

「ナンデモナイデス」

「ほら、霖之助。こっちよ」

と、自分の方へ寄せようするが、

美鈴の服を掴んで離さない。

「え?私がいいの?まいったなぁー」

嬉しそうにする美鈴に、

(減給3ヶ月・・・)

と、八つ当たりしてしまう咲夜であった。

「会話ないね。お姉さま」

と、あちらで2人が盛り上がってる所とは別に、

レミリアや、フランドールが食べている場所では、

一切の言葉が出ない。

「いいのよ。食事は静かにするものなの。うるさくしてはいけないわ」

と、不貞腐れてるレミリアがいたとか、いなかったとか。







さて、食事も終わり皆が部屋に戻る頃。

「霖ちゃーん。あーそーぼ」

と、呼んでるのは2つの人形を持ったフランドールだった。

「うん、あそぼ、あそぼ!」

と、元気一杯な霖之助に、

「じゃあ、霖ちゃんの人形はこれね!」

と、手渡したのは兵隊のような人形の頭がない物だった。

「ごめんねー。首どっかいっちゃってー」

にははと笑うフランドールは当然悪気はない。

「う、うん・・・。じゃああそぼ」

途端に元気を無くした霖之助に咲夜が、

「妹様。その人形はあまりにも・・・。これを使ったら如何でしょうか」

と、出したのは可愛い熊の人形だった。

「うん、私これにするー!」

熊の人形を取ったのはフランドールで、霖之助の人形はそのままである。

「いえ、この人形は――」

「じゃあ、二人が出会うところからね!」

熊と兵隊の出会いってどこかの戦場ドラマだろうか。

「がおー!食べちゃうぞー!」

と、いきなり熊とは似ても似つかないマネをしだした。

「ご、ごめんなさーい」

この歳のためか、芝居を演じることもできず、

素で謝ったようである。

「だめー、許さなーい」

と、言って人形を殴った。

素手で。

案の定人形は飛んでいき、ばらばらになった。

「ダメですよ。乱暴に扱っちゃ」

「つまんなーい」

と、咲夜がフランドールを宥めていると、

「ふ、ふえぇぇぇん」

と、今まで一度も泣かなかった霖之助が、突如泣き出した。

「はいはい、よしよし。怖くないからねー」

泣きじゃくる霖之助を抱きしめ、泣き止ませる。

フランドールも、いきなり泣かれたことで、

小さな罪悪感を抱き、

「ご、ごめんね?」

と、謝ってきた。

「ほら、謝ってるから許してあげて、ね?」

「う、うん・・・」

「良い子、良い子」

と、とても良い保護者なのだが、内心では

(かわいいー!もうダメ。ずっと抱きしめてたいわ)

と、不埒な事を考えていた。










人形騒動も何とか片付き、お風呂の時間。

「さ、お風呂に入りましょうねー」

と、霖之助を浴場へ連れて行く咲夜。

もちろん、下心があるのもお忘れなく。

「お風呂ー、お風呂ー」

楽しそうに服を脱ぐ彼を他所に、

咲夜はじいっと彼の脱ぐシーンを見ていた。

「どうしたの?お姉ちゃん」

視線に気づき、疑問の声をあげる。

自分も1枚、また1枚と脱いでいく。

子供と分かってるのに、いつもの霖之助に見られてるようで、

恥ずかしかった。

「余りこっち見ないでくれる?」

「どうして?」

「恥ずかしいじゃない」

「分かったー・・・」

少し寂しそうにする彼に、罪悪感を抱いたのか

「あ、後で見ていいからね?」

これだけ聞くと、とんでもない想像をされることだろう。

「うん、分かった!じゃあ、先に入ってるね!」

と、いい先に浴場のドアを開ける。

「滑らないようにね」

紅魔館の浴場は、2人でいっぱいっぱいの広さだった。

だから、どうしても肌が触れ合ってしまう。

「ごめんね、狭かったでしょ」

「ううん?それよりお姉ちゃんの肌綺麗だね」

急に自分のことを褒められ、少し焦る咲夜。

「そ、そう?」

「うん!とってもきれい!」

その笑顔たるや・・・まるで太陽の様だと彼女は後に語る。

(もう・・・一緒に住みたくなるじゃない・・・)

そこで、霖之助は魔理沙から借りてることに気づく。

あと数日もすれば、彼女に返す日が来るだろう。

それに、いつまでも彼が子供なわけがない。

いつかは戻る日が来る。

だから咲夜は残りの時間を堪能して生きると決めた。

鼻血を垂らして。






皆が順に入り、最後に美鈴が出てきた時。

「さて、霖之助君。お姉さんと一緒に体操でもしようか」

と、言ってきた。

「体操?」

「そう、体操。体を強くしなきゃね」

「僕、がんばる!」

(本当に良い子だなぁ・・・。どうしてこんな子があんな風になるんだろうか)

あんな―とは普段の霖之助の事である。

彼女は霖之助の生い立ちを知らない為、分かるはずがない。






「じゃあ最後に牛乳を飲みましょー!」

「飲みましょー!」

すっかり美鈴に懐いたようである。

そして、美鈴が取り出したのは牛乳瓶が2つ。

「まず腰に手をあてて」

「腰・・・」

美鈴と同じような姿勢になると、

「一気に飲み干す!」

「ふぬっ!」

美鈴は余裕なものの、霖之助は・・・、

「ご、ごめんなさい・・・」

パジャマの前の部分が真っ白になっていた。

「あー・・・待ってて。着替え持ってくるから」

と、言ったものの、ここに男は存在しない。

つまり下着やパジャマの替えもない。

「どうしようかな・・・」

自分がやらせた事だし、いっちょやるかー。

と、張り切る美鈴。

「・・・は?下着とパジャマ?」

「ええ、霖之助が汚してしまって・・・」

もちろん、霖之助に嫉妬するレミリアである。

「そんなの、そのままでいいじゃない。なんで私が・・・」

どうやら貸せないらしい。




「うーん、どうしましょうか・・・」

本気で悩む美鈴。

さすがに、そのままで寝させるなんてできない。

「はぁ・・・。とりあえずお嬢様の所から抜き取ってきたわ」

と、いきなり後ろで声がすると、

1組の下着とパジャマを持った咲夜が立っていた。

「さすがに、牛乳まみれで寝させるわけにもいかないからね」

そして、嫌がる霖之助に無理矢理着せること数分。





(男の子・・・よね)

と、驚くは咲夜。

(女の子にもなれるんですねー)

と納得するのは美鈴だった。

二人の目の前にいたのは、

女の子顔負けの可愛さをもった霖之助だった。

「うー・・・」

と、目に涙を浮かべるその姿は、

一部の者から見て、とても美しく見えた。

「ごめん、美鈴。ティッシュとって・・・」

今度の鼻血の量は風呂のそれより多かった。

「は、はい。・・・じゃあ霖之助君は私と寝ようねー」

と、笑顔を向けるがそこに霖之助の姿はなし。

ついでに咲夜の姿も無く、彼女がいたところには、

数滴の血痕だけが残っていた。

「いいですよー。一人で寝ますから」

と、美鈴まで不貞腐れる始末。





「さ、邪魔者は消えたし、寝るわよー」

「これ、読んでー」

と、持ってきたのはパチュリーから借りたであろう。

一冊の・・・漫画。

やはりこの歳ではいつもの難しそうな本には興味はないようだ。

ちなみに霖之助が持ってきた漫画とは、

「死神の漫画?へぇー、変身するの・・・おもしろそうね…」

と、一人で読み耽る咲夜。

「よ、読んでー…」

と、涙目になってきたので焦り、

「あ、ごめん、ごめん。読みましょうね」

さすがに彼女には効果音を読むことはできなかったようだ。





「…ア!今助けるぞ!」

「おー」

「な、なんだアレ!」

と、熱が入ってきた頃には、霖之助は眠っており

咲夜1人だけが、漫画を音読してるという

奇妙な絵となった。






ちなみに魔理沙の家だが。

「うぉっ!何だ、何だ!家が埋まってるじゃないか!」

と、数日は帰ってこれなかったそうな。
はい、二作目です。

咲夜さんは私の中でロリコン決定となってます。

キャラ的にそっちのほうが扱いやすいので、

パチュリー好きさん、空気でごめんなさい。
白黒林檎
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コメント



0.3460簡易評価
2.70名前が無い程度の能力削除
咲夜さんの忠誠心(血液)その内枯渇するんじゃないか?ww
8.80名前が無い程度の能力削除
ダメだ、このメイド…早く何とかしないと…
12.90名前が無い程度の能力削除
咲夜さん…小さければ何でもいいというのか…ww
20.90名前が無い程度の能力削除
こーりんは男の娘!
21.90名前が無い程度の能力削除
こーりんはおとこの娘!
23.100名前が無い程度の能力削除
二作目だが、斬新過ぎるwww
銀髪だから違和感無いっすね、母子でも。
次は、慧音で……け・い・ねでお願いします!!
30.90名前が無い程度の能力削除
駄目だこのさくやさん・・・
さくやさんはロリショタペドどれでもいけそうだな
34.70名前が無い程度の能力削除
ありそうでなかったジャンルですね。そういう意味で結構楽しかったです。
ただ話が少しなにかの台本チックで、キャラが無理に動かされているような印象を受けました。
そこら辺を改善すれば読み物としてもっと素晴らしいものになるのではないでしょうか。
35.100名前が無い程度の能力削除
保護者にまともな奴がいないぞw