この物語は作品集27.30.51にある『博麗霊夢によろしく』シリーズの一つです。
遠い未来の幻想郷を描いたという設定です。
登場オリキャラ一覧
博麗ミカ:この時代の博麗の巫女。霊夢の遠い子孫と思われる。
空を飛ぶ程度の能力を持つが、霊夢に比べて霊力は低い。
しかしツケを払い忘れる(あるいは踏み倒す)癖は霊夢を彷彿とさせるかも知れない。
霧雨真琴:魔理沙の遠い子孫と思われる。
魔法を使う程度の能力を持つが、科学に依存する部分も多く、魔理沙より魔力は低い。
弾幕もあまり得意ではない。しかし時折見せる手癖はやはり魔理沙の血筋とも言える。
お母さん:ミカの母親、昔は弾幕少女だったらしい。今もある程度の実力を持つ。
ユウヤ:永遠亭で飼われている犬の妖怪。猫を拾って来る程度の能力。
朝倉:真琴の友人の魔法使い。やや軽めの性格。かなり科学も信奉しているらしい。
最初注意書きを忘れて投稿してしまい、読者の方々を混乱させてしまったことをお詫び申し上げます。
今日は社務をお休みして、風邪を引いたお母さんを、永遠亭の診療所に一緒に連れて行く事にしました。
お母さんはこれくらい寝ていれば治るから、あなたは社務をしっかりやりなさいといったけれど、もし大事になったらと思うと不安なので強引に説得して、一緒に永遠亭に向かいます。診療代はそんなにかからないはずだけど、念のため虎の子ももって行こう。
「ミカ、私だって元弾幕少女、護衛なんていらないし、一人で飛べるって」
お母さんの背中に反重力装置を貼り付け、私は自力で浮遊して竹林を目指します。
「大丈夫だって、私だってたまには親孝行したいんだから」
「そういえば、真琴君とはうまくやっているの?」
「うん、ちょっと頼りないけれど、妖怪退治のいい競争相手になってる」
「仲良くするのよ」
「うん」
今は昼間だから、妹紅さんの護衛が無くても大丈夫だと思う。程なくして永遠亭に無事到着。
永遠亭、月の姫と従者、無数の兎が暮らす館、のはずなのに、なぜか庭には猫がいっぱいいます。診療所の待合室に、一匹の妖怪化した猫の子がいて、こちらを見て逃げて行きました。
「そういえば、いつも餌をやってるノラちゃん最近見ないけど、まさかね」
「えっ、あの白黒の、いないの?」
「最近猫の鳴き声も聞かなくなったし、ここで飼ってるのかしら?」
八意永琳先生に呼ばれ、診察の結果、お母さんはただの風邪との事、良かった良かった。
「じゃあ、抗菌剤と熱さましを出しておきますね、ユウヤ、いつものお願い」
永琳先生が聞きなれない名前を呼ぶと、月の兎の代わりに、真琴と同い年ぐらいの男の子が薬を持ってきます。診療所なのに執事のような服を着たその男の子は、お盆に持った薬をお母さんに渡し、右手を自分の胸に当ててお辞儀をしました。そんな彼の頭には犬のような耳が生えている、犬の妖怪? 犬、猫、ここは動物病院もしてるのかな?
「あ~っ、ユウヤ、あんた何勝手なことしてるのよ」
診療室億のドアを開け、月兎の鈴仙さんが駆け込んできました。
「いや、八意様に呼ばれたので」
「師匠の助手は私なの、勝手なことをしないで頂戴」
「ウドンゲ、ここは診療所よ」 永琳先生が鈴仙さんをたしなめる。
「すいません師匠。それとユウヤ、姫様が妹紅とケンカしてるから加勢して」
「姫様が、じゃあ勤めを果たさなければ、『完全で瀟洒な執事』として」
「生意気な二つ名なんか良いから来て頂戴」
鈴仙さんはユウヤと呼ばれた犬妖怪の手を引いてどたどたと走っていった。
「ごめんなさいミカちゃん、最近姫様がペットにした犬でね、ウドンゲの元で修行させているんだけど、しょっちゅうケンカしてばかりなのよ」
「ええ、きっと永琳先生を取られたくないんですよ」 私はおどけて言いました。
「かもね、仲良くやってくれないものかしら」
永琳先生は親指と人差し指をあごに当ててため息をつく。程なくして弾幕らしき音が聞こえてきます。
診療室の窓を開けると、二人の弾幕使いが空で向き合っているのが見えました。
「輝夜、遊びに来たぜ」
全身を炎に包まれた妹紅さんがお姫様と対峙しています。どーでもいいけどなんで妹紅さんは火傷しないんだろう。お母さんが洋服の腕をまくり、外へ出て行こうとします。
「ちょっと、お母さん危ないよ」
「昔取った杵柄、ちょっとお姫様に加勢してくるだけよ」
「またお母さんの悪い癖が出た、病人なのに」
お母さんの腕を引っ張り、なんとか思いとどまってもらったけれど、お母さんは不満みたい。
この前は神社を襲った夜雀をボコボコにしてやったと豪語していたけど、あれは私が踏み倒した屋台のツケを取り立てに来ただけだったし……。博麗の血なのかしら? まいっか、今度謝っとこう。
◆
「姫様、危ない!」
窓から外を見ると、さっきの男の子がナイフを手に走ってきます。
「ユウヤ、下がりなさい」 輝夜さんが止めようとするけれど……。
「いや、これぐらいの侵入者、執事である私が」
数本のナイフが彼の手から二人の対峙している空間に向けて飛んで行き……
どすっ。
見事ナイフが命中。全てのナイフが輝夜さんの後頭部に……って、ええっ!
地面に崩れ落ちる輝夜さんは無視して、鈴仙さんが猛ダッシュで男の子の背後に駆け寄り、腰を両手で掴んで持ち上げました。
「こんのおおおおおおおおおおおおおお」
そのままジャーマンスープレックスの体勢に入ります。
「バカ犬がああああああああああああっ」
そのまま身を投げ出し、男の子を地面に叩きつけてしまいました。あっかわいいパンツ。
「きゃいん」
輝夜さんはというと、さすが不死の人、赤い光に包まれて傷が再生し、リザレクションしました。
鈴仙さんは今度は男の子に長渕キックを浴びせています。
「この駄犬! ダメ執事! オラアッ! オラアッ!」
「いてて、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい、あっかわいいパンツ」
妖怪だから体も丈夫なんだろうけれど、何もそこまでしなくても。
「輝夜、謀反でも起きたのか? 大変だな」 喧嘩相手であるはずの妹紅さんも心配してる。
「まあ、拾って鈴仙に次ぐペットにしたんだけどね、ちょっとドジで」
「今日はやる気がうせた、喧嘩はまたにするわ」
妹紅さんはどこかへ飛んでいった。お代を払って私たちも帰ろうっと。
◆
「おいおい、参加者全て女かよ、どういうエ○ゲのシチュエーションだよ」
男性魔法使い仲間の朝倉が僕のわき腹を軽くつつく。この前の魔法講座の話題だ。
「それで、誰かと進展はあったのか」
「いや、普通に魔法を習って晩飯をご馳走になっただけだ」
「本当か、もったいねえな、今度俺も誘えよ」
朝倉はニヤニヤしながら僕の頭を小突いた、いてえよ。
「下心丸出しのヤツなんかパチュリーさんも相手にしねえよ」
「パ、パチュリーさんだって、あの生死不明の大魔法使い、パチュリー様なのか。すごいな、俺も習ってみたい」
朝倉の目からスケベ心が消え、探求者のそれになった、僕は彼への認識を改める必要があるようだ。 やっぱり彼も魔法使いなんだな。
その日は魔力湯沸かし器の調整を頼まれていたので彼と別れ、仕事場所へ急ぐ。
「こんにちは」
「おお、そっち系統の霧雨君だね、早速見てくれ」
依頼してきた人は小さな雑貨店の経営者で、この人も霧雨姓を名乗っている。
霧雨家は商家霧雨と魔法使い霧雨の家系があり、商家霧雨は本店のほかにいくつかの支店をここ幻想郷に構えている。もちろん魔法使い霧雨の始祖はかの魔理沙。彼女が本家から飛び出して魔法使いとなり、ある子孫はそれを受け継ぎ、ある子孫は受け継がなかったりして、そして僕に至るわけだ。
台所に上がらせてもらい、魔力湯沸かし器のカバーを開け、火の精霊を召還する魔方陣が描かれたチップを点検する。台座にいろいろな魔方陣の線が引かれていて、ここに電算機入りの文様が入ったチップをさまざまにはめ込むことで機能を発揮するものだ。その文様チップのひとつが劣化してひびが入っていたので、自分のスペルカードにはまっていたものと交換する。これで元通り使えるようになるだろう。
お礼をもらって家に帰る途中、執事の格好をした見知らぬ妖怪が猫を抱いて歩いているのを見た。その猫は犬妖怪になついているらしく、目をつぶってのどをごろごろ鳴らしていた。新しく村に来た人かなと思う。この辺の里は洋風の家もあるが、犬耳と執事服がやけに浮いて見える。あっ今転んだ。瀟洒な感じを出そうとしているようだけど、無理をしているみたい。神社に立ち寄ると、ミカと猫妖怪の橙さまが深刻そうに話している。何事だろうか?
「ミカ、どうしたの。橙さまも」
「ああ、霧雨真琴といったっけ? この辺の野良猫が姿を消したのよ、私が餌付けしてたのに」
橙さまはぷりぷり怒っているような泣いているような口調で僕に説明した。彼女は幻想郷の賢者である八雲紫と八雲藍も式神で、二人は今、世界中の幻想郷を駆け巡り、その地を守護したり、外界人との折り合いをつけるため働いているという。たとえば北米大陸にもネイティブアメリカンの幻想が生きている領域があり、オーストラリアにもアボリジニの幻想が生きている世界があるらしいのだ。かつて湖周辺を治めていたというレミリア=スカーレットは、たぶんルーマニアあたりの幻想の世界から越してきたのだろう。ちなみに二人の主がいない現在、橙さまが実質ここの守護者である。
「それでね、誰かが猫を攫っているんじゃないかしら。ふええ、どうしてこんな事を」
「おおよしよし、泣かないの」
ミカが泣いている橙さまの頭をなでなでしている、僕には恐れ多くてとても出来ない芸当だ。彼女ならライオンでも虎でもああやって懐かせることが出来るのかも。
「あの、犬の耳をした妖怪が猫を抱いて竹林のほうへ歩いていくのを見ましたよ」
「竹林? そういえば永遠亭、やけに猫がたくさんいたわね。それで犬耳の男の子が永琳先生の助手みたいなことをしていたっけ。それで真琴、その子、執事のような服を着ていたでしょ」
「その通り、なんかいろいろな意味ですごいよこの人って思った」
「すごいのは私たちも似たようなもんだけどね」
「ミカ、きっとそいつだよ、猫たちを攫って動物実験にでも使おうとしてるんだわ、早く取り返しに行こ! 真琴も協力してくれるかな?」
興奮気味の橙さまは尻尾を二倍に膨らませて、僕とミカの顔を交互に見た。
動物実験のためかは分からないが、面白そうだから僕も首を突っ込んでみよう。
「それにしても、オリキャラの分際で、この原作キャラの縄張りを荒らすなんて」
橙さまはブチ切れていた。
◆
私と真琴はまた竹林の永遠亭を目指します。橙は必死の形相で先を飛んでいるわ。
「みんな、無事かな、辛い目にあってなけりゃ良いけど」
「橙さま、犬耳の妖怪ですけど、猫はその人にとても懐いていました、悪い奴ではなさそうでしたが」
「真琴、人も妖怪も見かけによらないの、幻想世界じゃ良さそうな奴ほど大悪党と相場が決まっているのよ」
「そういうものですか」
「そうよ、貴方も気をつけなさい」
あのユウヤと呼ばれていた犬耳の執事さん、結構ドジだったけれど、妖怪だからもし弾幕勝負になったらやばいかも。
私の超振動お払い棒最初の犠牲者が出る、なーんてね。
心の準備をしながら永遠亭に一歩一歩近づいていきます。あっ、一匹のぶち猫がこっちへ走ってくる。
「にゃ~ん」
「こいつ、朝倉んちのタマだ」
「本当だ、やっぱり猫を攫っていたんだ」
その猫を追って、ユウヤと呼ばれた犬妖怪の男の子が走ってきます。
「お~い、そっち行くなー、あれっ、君たちは……」
こっちを見た彼の耳がぴんととがる。警戒しているみたい。橙が私たちを押しのけて、前に進み出て男の子にこう詰問しました。
「おい、そこのコスプレ野郎!」
「あー橙さま、それは僕らも似たようなもんだから」
「黙ってて。動物実験のために猫を攫おうとしたのはあんた達ね」
「違う、私は傷ついた猫を保護していただけだ」
「嘘おっしゃい、お仕置きするわよ」
「残念ですが、降りかかる火の粉は払わなければなりません」
彼はナイフを構え、橙と向き合った。
犬猿の仲という言葉がありますが、犬と猫はどうなのでしょうか?
「橙さま、話を聞きましょうよ」 真琴が橙をなだめようとする。
「やる気ないなら下がってて」 橙はとまりそうも無い。
二人の弾幕が炸裂する、でも男の子のほうが押され気味。
時々飛んでくる流れ弾幕を、私はお札で払い、真琴は太い竹の陰でやり過ごしています。
「仕方ありませんね」
余裕のある表情のようでいて、男の子の額には冷や汗が浮いています。
ピンチを切り開こうとスペルカードを出しました。
~執事秘技『非殺人ドール』~
男の子の放った無数のナイフが橙を襲い、猫のいる場所にも弾幕が!
「しまった」 男の子の顔が青ざめました。
「危ない!」
私より先に真琴が動き、猫をかばいながらスペルカードをかざします!
カードが輝き、魔法陣が浮かび上がる、でも文様が欠けていて、弾幕が出ない。
「マスター……やべえ!」
ああ、ナイフの群れがそのまま彼らへ……。
「真琴!」
私は駆けだした、橙も、男の子も、
お願い、無事でいて。
「真琴、しっかりして!」
彼は猫を抱きかかえたまうずくまってる!
「お願いだから起きてよ」
「大丈夫だよ、ミカ」
真琴が顔をあげ、力なく笑ってサムズアップしました。
とんがり帽子にナイフが刺さっています。
「帽子がなければ即死だった」
でも、でも、明らかに帽子でカバーされていない部分、具体的に言うと真琴の額にナイフが一本、堂々とそびえたってるんだけど…….
「おでこにナイフが……」
言いかけた私の口を橙が塞ぎました。
「おでこに?」
「ううん、ちょっとかすり傷があるようだから診てもらいなさい」
犬耳の男の子も、弾幕勝負そっちのけで心配しています。
(あの、事実を伝えるべきでは……) 小声で私たちに言いました。
(だめよ、本人は重傷だと思っていない、事実を告げたとたんにパニックになってショックで死んでしまうかも)
「そうかい、なんだか頭が重いな」
「血が少し、少~しだけ出ているようです、念のため師匠に消毒してもらいましょう」
男の子が真琴に肩を貸し、永遠亭に向けて歩いて行きました。
◆
「じゃあ本当に傷ついた猫を保護していただけだったのね」
真琴が手当てを受けている間、私と橙は永遠亭の客間で、輝夜さん達から事情を聞いていました。
「そう、この子、病気や怪我の猫を拾ってくる癖があるの、たまに飼い猫や健康な猫も拾ってきたりする事もあるわ、おかげで永遠亭も猫妖怪が増えて増えて」
輝夜さんが左右を振り向くと、ウサギ達と同じ服装の猫妖怪や普通の猫がたくさん歩いたり、寝ていたり、屋根によじ登ったりしています。
「ホント、うちのバカ犬が迷惑かけたわね、ほら、ちゃんと謝るのよ」
鈴仙さんが男の子の頭を畳に押し付けています。彼の背中に子猫が登り、ごろごろと気持ちよさそうな声を出していました。
「ああーっ、なんでここに本場の猫妖怪がいるのに、そんな犬に懐くのよ」
橙は頭を抱えて悔しがっています。
「も、申し訳ありません」
「しかも、人様の猫までさらった癖に」
「それは、あまりに可愛かったもんで、つい」
「それが通れば警察はいらないのよ」
「まあ、この子は人狼のなかでも、特に人懐っこい個体が人里で代を重ねたワーしばわんこの一族でね、基本的に人畜無害よ」
輝夜さんがフォローしますが。鈴仙さんはまだ怒ってます。
「主の頭にナイフを刺しても人畜無害というんならそうね」
障子が開き、頭に包帯を巻いた真琴が来ました。
「みんな、心配掛けてごめん」
「真琴、傷はもういいの? なんであんな無茶をしたの」
私は真琴が自分の能力にコンプレックスを抱いているらしい事に気付いてました。
みんなにいい所を見せようとしてあんな無理をしたのでしょうか。
「永琳先生はこれで大丈夫って言ってた。それに、あの時飛び出していったのは、別に自己犠牲とかじゃなくて、単にあの弾幕なら僕のスペルで跳ね返せると踏んだからさ。もっとも、部品を湯沸かし器の修理に使っていて発動しなかったけどね」
「いい事、勇気と無謀は違うのよ、覚えておきなさい」
橙がたしなめ、真琴はお辞儀して答えました。
「橙さま、肝に銘じます」
「でも、さっきのは少し格好よかったよ」
「ありがとうございます」
「これからお茶にするけど、皆さんもどうかしら」 輝夜さんが言いました。
「いえ、私はお母さんのご飯作らなきゃいけないから」
「僕もパチュリーさんとこへ話し相手になりに行くので」
「私も、紫様と藍様が帰ってくるからお出迎えしなきゃ、外界に妖怪が住んでる場所がまた見つかったそうよ」
「すごいな、さすが八雲家だなあ」
なんでも橙によると、新たに妖怪の生息が確認された場所は、北米合衆国サンアンドレアス州という所だそうです。適度に物騒なので一定以上の力を持つ妖怪に最適だとか。
「あ、そういえば、犬耳執事さん。あなたの名前は?」 まだこの人の事をよく知りません。
「十六夜優夜(いざよい ゆうや)と申します」
「どんな由来ですか?」
彼はここの人たちとの馴れ初めを話しました。執事の服が和室で強い印象を放っています。
「祖先のように、誰かの力になれる男を目指したいと思って、いろいろ修行していたんです。でも野垂れ死にしかけて……、そこで助けてくれた姫様と八意師匠をみて、この人達に仕えようって一発で決めました。気候の穏やかな夜に出会ったのと、伝説のメイドにちなんで姫様が付けてくださったんです」
「こいつ、『完全で瀟洒な執事』を名乗ってるんだけど、まだまだ分不相応でね」
「鈴仙様、では『完全で瀟洒でありたい執事』です」 下方修正したようです。
◆
僕たちはタマを連れて永遠亭を後にする。十六夜優夜さんが見送りに来てくれる。
「真琴君、だったっけ。怪我をさせてしまって済まない、本当に傷はいいのですか」
「いいよ、手当もしてもらったし」
「お詫びに道案内します」
「一人で帰れるよ、それより、タマは飼い主へ返しとくからね」
「かしこまりました」
タマは優夜さんのほうを向いてさびしそうに鳴いた。結構猫からは愛されているようだ。
ミカは僕に無理をしないようにしつこく言い聞かせて、人里へ夕飯の材料を買いに行くらしい。
「ねえあんた、今日は災難だったね」
「そうでもないよ、実は、なかなかのお詫びももらっているしね」
僕は帽子の中に隠した一本のナイフをミカに見せた。
「ああ、こっそり頂戴したのね。以外としたたかなヤツ」
「いや、業界用語で一生借りるって言うんだ」
「そういえば、ミスティアさんへのツケはもういいのかい」
「あっ、いま払ったら夕ご飯作れなくなっちゃうし、また今度」
僕らは別れ、それぞれ勘を頼りに竹林の外を目指した。
後「、」をむやみに入れすぎてる感じがしました。
大まかな人間関係は理解しましたし、想像の及ぶ範囲で補間もしましたが・・・。
けれど、オリキャラの色が強すぎて、東方以外の作品を読んでいる気分でした。
何がしたいのかわからなかったし、もはや別の作品としか思えない
ぱっとみで気付けました
なかなか楽しめました
私は以前の作品も読んでいたので特に違和感はありませんでしたが、いきなりこの作品から読むには厳しいとも感じました。
次回作以降への期待と、これまでの作品をひっくるめてこの点数。
つくりはしっかりしているし、続きがあるなら期待。