Coolier - 新生・東方創想話

賢将の憂鬱

2009/11/14 18:24:09
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このお話は
作品集88「私のお星さま」
同  「私のお星さま2」
のお話の流れを汲んでおります。
読まれずともあまり問題はありませんが、よろしかったらどうぞ前作もお読みください。


















「ご主人のスリーサイズは上からきゅっぱんっ!」

「もういいから黙れ貴様あっ!!」

 軽快な音が響いた。

 むう、舌を噛むところだ。

「ん……ハリセンとはまた古式ゆかしいというかなんというか」

 打たれた頭をさすりながら振り返れば手製と思しきハリセンを振り切った姿勢のご主人様。

「何時か使うことになるかなと用意しておきました」

 突っ込み役としての心構えが出来てきたねご主人様。まことに重畳。

「で、なんで唐突にそんなこと叫んだのか理由を聞きたいのですが」

「うむ。何かインパクトのあることを叫ばねば影が薄くなるような気がしたのだよ」

「あなたのその濃いキャラが薄れるなど杞憂もいいところだ」

「それはどうかな。生き馬の目を抜く幻想郷において油断は命取りだ」

「何時の間にそんな厳しい世界に……」

「芸人は忘れられたら最後なのだよ!」

「誰が芸人か! そも誰にも見せ取らんわ!」

 またハリセンで叩かれた。

 すっかり芸人の動きになっていると彼女は気付いているのだろうか。

「ったく。私は書き物をするので少し静かにしてください」

「了解」

 茶化すのはここまでとしておこう。あまり迷惑をかけるのは本意ではない。

 机に向かった彼女に背を向け、私は部屋の入口に座り込む。

 思えば、こういうのは久しぶりだ。

 聖白蓮が復活する前、この船を改装した寺に移り住む前。

 私と彼女が二人きりで廃寺に住んでいた頃はよくあった光景。

 ちらりと目を向ける。

 寅丸星。

 虎の姿をした妖怪。毘沙門天の代理。命蓮寺の看板妖怪。美人というよりは、美形。

 が、一皮剥けばヘタレだ。どうしようもないヘタレだ。

 彼女程黙っていればなんとやら、という格言が似合う女性もいまい。

 得意技は失せ物。料理の腕は並以下。顔に似合わず書く字は丸っこい下手なもの。

 美点は真面目一徹なことだがそれも融通が利かないという失点が勝る。

 財布を忘れて買い物に出た時にツケにすればよいものを私が立て替えるまで店で立ちんぼしていた。

 偶然私が通りかからなかったら何時まで帰らなかったつもりなのだ。むしろ営業妨害だろうそれは。

 左様に欠点まみれのヘタレ妖怪である彼女だが、もてる。異常にもてる。同性に。

 事実里の婦女子等は買い物帰りの彼女に微笑まれるだけで腰砕けだと云う。

 彼女はずば抜けて背が高く、姿勢もいい。

 さらに顔立ちはとても整っていて派手な金髪金目もそれを助長する。

 多感な少女らには羨望の的になるだろうことは理解できる。

 寺に通う少女たちの中には彼女目当てが少なからず居るのを私は知っている。

 里どころかあちこちの人間を含む男性が妬みの視線を向けていることも知っている。

 実に気に食わない。実に腹立たしい。

 寅丸星。

 彼女は私のものなのに。

 彼女は私のご主人様なのに。

 彼女と私は、恋人同士なのに。

 そも、失せ物が得意な彼女に失せ物探しが特技の私なんて破れ鍋に綴蓋ではないか。

 うっかりにはうっかりに相応しい相手が居るのだよ。

「なんかとても失礼なことを思われてる気がします」

 などという呟きに振り返れば、どうやら彼女の書きものというのは手紙のようだった。

 内容は知らないが後で私が清書せねばならないと思うと暗澹たる気分になる。

 まず解読が難しいのだよあなたの字は。お願いだから短く纏めてくれたまえよ。

 まあ、いい。これも部下の務め。

 出された手紙を彼女に知られぬように回収して内容を吟味した上で清書することは私の務めだ。

「なんか寒気が」

 ご主人様が浮気などするわけがないことはわかっているが、安心は出来ない。

 私が握り潰して釜戸に放り込んでいるご主人宛ての恋文の数を知れば納得も出来よう。

 なにせご主人はヘタレなのだ。うっかり優しい返事でもしてしまって誤解をされては困る。

 幸いと言うべきか、今のところ書き直すような真似はしたことはないが……

「~です。と……えーと……」

 …………長い手紙だねご主人様。清書がちょっと嫌になりそうだよ。

 解読に半日はかかるかなあの分量だと。ふ、少しばかり気が遠くなった。

 ああ、急ぎの手紙でなければよいのだが。

「こんなものですかね」

 終わったようだが、正直見るのも嫌になる量だ。

「ナズーリン、これを後で聖に渡してくれませんか?」

「白蓮殿に? ……白蓮殿宛てなのかい?」

「星熊宛ての手紙です。聖が地底に布教に行くと言うので紹介状を」

「ほしぐま……ああ、この間の見事な乳の御仁だね」

「その憶え方はどうなんでしょう」

「ご主人様と張る乳の持ち主など紅魔館の門番くらいしか知らなかったもので印象に残ったのだよ」

「彼女の種族は?」

「……鵺?」

「彼女の服装は?」

「…………カクテルドレス?」

「乳しか見えてなかったんじゃないですか」

 否定はすまい。正直顔の方はあまり好みではなかったので憶えていないのだ。

 背が高かったことと、ご主人様とは違うタイプの美形だったことは憶えているのだが。

 ……特徴だけ挙げていけば十二分に私の好みの筈なんだがなあ。

 ううむ。私の好みは間口が狭いな。我がことながら呆れてしまう。

「そうそう。聖に字がきれいになりましたね、と褒められたんですよ」

「ほう。そうなのかい」

 っち。余計なことを言う女だ。私が清書していることがばれたらどうする。

 少なからずご主人様のプライドが傷つくではないか。

「昔と比べて、上手くなっているんでしょうか?」

「なんで私に訊くんだい? 白蓮殿が言っている千年前のあなたを私は知らないよ」

「それでも、私の傍に一番長く居てくれたのはあなたですし。この数百年、ずっと一緒でしたし。

だから私のことを誰より知っているのは、そんなあなたでしょうから」

「――……まあ、そうかもしれないね」

 ああもう可愛いなあ。今すぐ食っちゃいたいなあ。非カニバリズム的な意味で。

 ちなみに字は全然上手くなってないと思う。少なくとも私が来てからの数百年は進歩していない。

 真剣に字の書き方を習わせた方がいいのかもしれない。

 うーん。私が教えられればいいのだがそれでは角が立つ。部下が出しゃばるのにも限度があるのだ。

 ならば白蓮殿か船長――――いや、ダメだ。

 彼女らにご主人様を預けるなど私が許せない。

 大体ご主人様のまわりの女は殆どが信用できないのだ。

 白蓮殿は言うに及ばず船長もご主人を見る眼が怪しい。

 ん。ああ入道娘は別だな。あれはそういう対象じゃない。白蓮殿しか見えてないし。

「――――ふぅ」

 この嫉妬深さはどうにかした方がよいと自覚はしているのだが、なかなか直せない。

 私に――嫉妬する資格など無いのに。

「では行ってくるよ」

 踵を返し部屋を出る。

 その背にご主人様の声が掛かった。

「そうだ、ナズーリン。この後出られますか?」

「いや――ちょっと用事があるけれど。なにかな」

「病院」

 ずしりとくる重み。

「行きましょうね。まだ胃の痛みは取れてないんでしょう?」

「それは……まあ」

 正直言えば今もきりきりと痛んでいるのだが……

 嫌だなぁ、病院は。何が嫌って、何もかもが嫌だ。生理的に受け付けない。

 具体例が咄嗟に出ないのに拒否してしまう。

 断りたいのだが――

「そんな顔してもダメです。引き摺ってでも連れて行きますからね」

 ……心底嫌だが、この真面目一徹のご主人様に逆らうだけ無駄だろう。

 一度決めたことを曲げられた試しがない。

「わかったよ……それじゃ、用事が済んだら声を掛ける。それでいいかな?」

「はい。では待ってますよ」

 これがデートだったら嬉しい台詞なのだが。

 わざと道を間違えて連れ込み宿にでも行っちゃおうかなもう。

 軽く手を振り襖を閉める。

 ――――私には、そんなことをする度胸も、資格も無いのだけれど。








 ロウソクに火を灯し書状の解読を始める。

 うむ、難解。

 解読表とにらめっこして書き写していく。

「これは……の、かな……」

 平仮名すら解読が難しいというのは最早才能の域ではなかろうか。

 これはもう立派な暗号文として成立している気がする。

 いや、百年かけて作った解読表があまり役に立たない時点で実用性は無いか。

 ……なんか鬱々としてくる作業だなぁ。

 割り振られた自室に籠って作業していると色々空しくなってきてしまう。

 私以外には成し得ない作業だと思えば幾分か気が和らぐのだが。

 まあ自業自得か。この――聖輦船の船底に当たる窓のない部屋を所望したのは私だ。

 ネズミの習性か、暗く狭いこの部屋なら落ちつけると思ったのだがとんだ盲点だった。

 日々を過ごすには申し分ないがこういう作業にはえらく向いてない。

 鬱々として――――余計なことばかり考える。

「……このままで、いいのだろうか」

 寅丸星。

 私と彼女は、恋人同士……だ。

 先日告白した。告白してしまった。

 今更ながら――彼女に告白したことを後悔する。

 告白してしまった己の弱さに、呆れかえる。

「いい筈がない」

 この想いは本物で、彼女を求めるこの心は真実だ。

 しかし、告白するまでの経緯、彼女と積み重ねてきた数百年は――

「全て――嘘なのに」

 私は彼女を騙している。

 妖怪ネズミのナズーリンは毘沙門天の弟子である寅丸星を騙し続けている。

 私は彼女の監視役で、彼女の部下のふりをずっとずっと続けて、騙してきた。

 でも。

 今は、上手く回っている。嘘がばれていない今は、平穏に日常を過ごせている。

 このまま、彼女を騙し切っていけば――

「…………っく」

 そんなこと、出来る筈がない。

 いつか破綻するに決まっている。

 永遠に吐き通せる嘘など存在しない。

 いつか、終わる。

 こんな私は相応しくない。

 嘘で始まり、嘘で続けている私などは寅丸星に相応しくない。

 破れ鍋に綴蓋など……自己欺瞞もいいところだ。

 どのような理由を持ち出そうと私と彼女が釣り合うことなどあり得ない。

「――ご主人様に最も相応しいのは、白蓮殿なのだろうな」

 嘘偽りのない善人。

 この世の者とは思えぬ慈愛の塊。

 千年もの間彼女が想い続けた――聖人。

 聖白蓮。

 この手紙を託される女。

 私とは真逆の、聖女。

 くしゃりと、紙の端を握り締めてしまう。

 ご主人様の記した、白蓮殿の為の手紙。

 私に向けられていない、ご主人様の想い。

「――――――――」

 随分と、醜い嫉妬だ。

 何時だか、嫉妬は醜くとも無為ではないと諭されたことを思い出す。

 だが、ダメだよ。私の嫉妬は、醜過ぎる。無為だ。無為にするしかない。

 無為にしなければ、害にしかならないよ。

 いっそ真実をぶちまけてしまえばいいのかもしれない。

 この関係を終わらせてしまえばいいのかもしれない。

 でも、だけど――

 糾弾されることは覚悟している。嫌われることは覚悟している。

 だが、私が裏切っていることを教えたら――あの人が、傷つきはしないかと、不安になる。

 兎角――あの人は己に自信を持っていない。

 私が告白した。私が愛していると伝えてしまった。

 その私が、裏切っていただなんて事実を告げてしまったら――

「――――これも、甘えか」

 彼女を気遣いながら、己の利とする結末を夢想してしまう。

 この偽りの関係を壊せない。

 ぬるま湯から出られない。


 胃がきりきりと痛む。









 清書を終え部屋を出る。

 これを白蓮殿に渡したら病院か……まだ昼、病院に行くにはいい時間だ。

 予想外に早く清書が終わってしまったなぁ。

 できれば心の準備の為に一日くらい間を置きたかったのだが。

 ……用事が済んでないことにしてもう数日時間を稼ごうかな。

「ん?」

 聞こえた声に顔を上げる。

 ぼんやりと結構な距離を歩いていたようだ。

「おや、これからお出かけかしらナズーリン」

「いや白蓮殿に渡す物があってね、船長」

 船長、この聖輦船の主である村紗水蜜。

 彼女は不敵な笑みを湛えたまま私に歩み寄ってきた。

「ああ、寅丸のやつの清書ね。御苦労さま」

「おや――お気付きだったかね」

「ま、長い付き合いだからね。もっとも数百年ほどは離れ離れだったけれど」

 あいつが字が上手くなる筈ないしねえ、と笑う。

 なんと、昔の仲間からも匙を投げられていたかご主人様。

 どの道彼女らに字を習わせるのは無駄だったらしい。

「本当によく働くわね、あなたは」

 帽子を被り直しながら船長は言う。

 ……一瞬、気配が尖った。

「部下だから当然のことだと思うよ」

「殊勝ね。えらいえらい」

「子供扱いはやめ」

「それが本心からだったらね」

 空気が一変する。

 ぴんと張り詰めた空気。ほんの僅かな刺激で――切れる。

「寅丸は強いけど、結構抜けたところが多い奴だから心配なのよ。

あれこれ自分でこなそうと努力してた奴なのに、柄にもなく部下なんか持ってれば余計にね」

 自然体で村紗水蜜は歩み寄ってくる。

 何の気負いもなしに私の間合いを侵していく。

 手を伸ばせば触れる位置で、彼女は止まった。

「あなたが寅丸に扱いきれない奴だったら」

 つい、と柄杓が私の顔に向けられる。

「聖に危害を及ぼすかもしれない。まあ、そうなる前に」

 ぴちゃりと――水が滴る。

「陸で溺死するけどね?」

 村紗水蜜は、笑っていた。

 この滲み出る冷たく重い妖気。流石は伝説に名を残す妖怪、か。

 逆立ちしようと敵わぬと悟る。

 敵対すれば宣言通り、彼女は私を殺すだろう。

 その仮定は無意味であるのだが。

「――私があの人の元を離れることは無いよ。下剋上もあり得ない」

 そっと柄杓を押し戻す。

「寅丸を裏切らないと?」

 ちくりと、腹の奥に痛み。

 即答できない。既に、裏切っているようなものだから。

 それでも。

「……あの人を傷つけることなど、許せるものか」

 己に言い聞かせるかの如く告げる。

 私の言葉をどう受け取ったのか、彼女は強い視線を私に向けた。

 値踏みする眼で私の顔を見る。即答しなかったのを訝しんでいるのか――

「そうかしら。部下が上司を押し倒して下剋上って結構メジャーだと思うけれど」

 理解するのに数瞬を要した。

「…………意外と下世話と云うか……アレだね船長……」

「あれ、ドン引き!?」

 頷く。

 ドン引きもドン引き、距離にして100mは引いたよ。

 そんな慌てた顔されてもこちらが困る。ドシリアスだったじゃないかたった今まで。

「こういうのはあなたの常套手段でしょ!?」

「他人の下ネタには慣れてないんだよ」

「なんという手前勝手な」

「清廉潔白に過ぎるご主人様の影響だね。あの人は生真面目を絵に描いたような性格だ」

「それには納得。――しかし、少々お下劣が過ぎたか……」

「自分が乙女であることを忘れなければ度が過ぎることはないと思うよ」

「っく、船乗りは悪乗りにかけても一流であることが仇となったか」

「…………」

「…………」

 ――突っ込み不在の悲しさ。

 なんともやりきれぬ空気が漂っている。

 思えばここの面子で突っ込み役なのってご主人様だけではないか。

 なんというバランスの悪さ――そしてなんというご主人への依存度。

 もう少しボケの頻度を落とすべきなのかもしれない。

「の、乗るのはナズーリンの方かしら?」

 え。続ける気かい船長。

「えー……えーと。悪乗りに必死になるな貴様ぁっ!」

「あ、寅丸そっくり」

「伊達に突っ込まれ続けていないよ。……しかし突っ込みは疲れるね」

「性格を変えるのなんて無理難題だものね」

「確かに。では私は白蓮殿にこれを渡してくるよ」

 話を切り上げ船長の横を通り白蓮殿の部屋を目指す。

 ああ、これから病院だと思うと気が重い。

「ん。思い詰める前に相談しなさいよ」

 さらりと告げられたその言葉に――足が止まる。

「おや、裏切りを危ぶんでいたのではなかったのかね」

「さっきの表情を見る限り心配は要らないわ。寅丸の部下だし――仲間だからね」

「…………」

 さっぱりとしたものだ。逆に呆れてしまう。

 舟幽霊と聞いていたからもっと執念深い性格と思っていたのだが。

「仲間が辛そうな顔してたら気になるからさ、まー先輩ってことで頼りなさいね」

 妖気の質とは随分違う、からっとした笑顔。

 ご主人様とは違う、しかしよく似た人を惹き付ける明るさ。

「なにせ友達の――いや、そこまで踏み込むのは失礼かな」

「あれこれとお見通しだねあなたは。そんなに私は底が浅いかな?」

「浅くないから理解しようと歩み寄ってんじゃない。あなたから近寄ってくれればいいのに……

ちっとも踏み込んでこないから見通そうにも見通せないわ」

 ぽんと、軽く肩を叩かれる。

「どうせ寅丸にも話せない悩みなんでしょう?」

 ちくりと――痛む。

「そんな辛そうに笑うんだから」

 反射的に浮かぶのは苦笑。船長の言う通りだ。

 本当に、見透かされている。

 本当に……さっぱりした人だ。

「礼を言うべきかな。こんな得体の知れない妖怪にそこまで気をかけて貰って」

「気にしない気にしない。海の女は懐が広いのよ」

「幻想郷に海はないけどね」

 うぐ、と声を詰まらせた横顔に笑みを向ける。

「もしもの時は頼らせてもらうよ、船長」

 その言葉を礼に代えて歩き出す。

 彼女の顔を真っ直ぐに見ることは出来ない。

 あなたの云う悩みを解決したら。私があなたたちを真っ直ぐに見れるようになったら――

 改めて礼を言わせて欲しい。









 用事が済んだことを伝えるとすぐに連れ出された。

 他のことにこそその即断即決は活かして欲しいものだよご主人様。

 ともあれ、黙ってご主人の後を飛ぶ。はてさてどこに連れて行かれるのやら……

 注射は嫌だ。注射だけは嫌だ。もし注射される病院だったら逃げよう。

 などと決意を固めているとご主人様は降下を始めた。

 周囲に建物は見当たらないが……?

「ご主人? もう着いたのかい?」

「いえ、ここからは飛んでいてはわからないので」

 なんかよくわからないな。飛んでいては件の病院は見つけられぬと?

 そんな病院があるのだろうか……

「この先に薬屋があります」

「…………」

 意識して見ないようにしていたところを彼女は指差していた。態々入りたいとは思わぬところだ。

 何某かのテリトリーらしく出来れば避けて通りたいところなのだが。

 ……まぁここでごねても無駄だろうな。

「迷いの竹林だね」

「ええ」

「人妖問わず迷うことで有名だね」

「そうですね」

「妖精も迷ったと聞いたのだが大丈夫なのかいうっかり星ちゃん」

「さらっとうっかり言うな! 割と本気で傷つくから!」

 こりゃ失敬。

 しかしご主人様は言葉とは裏腹にへこんだ様子も見せず歩き出す。

 仕方なくそれに続く。随分と自信ありげに見えるが何やら策でもあるのだろうか。

 どこぞの神話で語られる迷宮からの脱出路を示す糸とか。

「まあ、人間ならいざ知らず妖怪の私たちならなんとかなるでしょう」

 信じられないことを言って鬱蒼とした竹林に踏み入った。

「ご主人様、それは無策と変わらないと思うのだよ。こういうところは準備をして来ねば。

せめて下調べくらいはしてからではないと危険だよ」

「むう、真面目だ。ナズーリンらしくない」

「本当に酷いことを言うねあなたは」

 流石に日頃の行いを反省してしまうよ。私らしくもない。

「そんなことを言うと脱ぐよ?」

「それが脅しになるとわかっているあたりが小癪ですよね」

「ははは」

「否定しましょうよ」

 やれやれと肩を竦められる。肩幅があるから絵になるね。

「なんというか、性格は深い割に浅い発言ばかりですよねあなたは」

「ふむ? そうかな」

「二言目にはエロ関係じゃないですか」

「私がエロスなのではない。エロスが私なのだよ」

「一見深そうに見えて物凄く浅い!」

 突っ込まれた直後深々と溜息を吐かれる。

「なんかもう、動物的に反射だけでボケてませんか」

「やれやれ。酷い言い草だ」

 部下を動物だのエロスだの奴隷だの。よもやそういう趣味があるのだろうか?

 これは困った。私の貞操は風前の灯火というわけか――

「ちょっと待て! なんだその悪意に満ち溢れたモノローグ!」

「どこぞのスキマ妖怪やロリータ管理人のように身内をペットと呼ぶ鬼畜ご主人についてだよ」

「何時呼んだ!? 勝手に過去を捏造しないでくださいよ頼みますから!」

「大丈夫だよ、ご主人様。私はあなたの理解者だ。あなたが倒錯趣味に傾倒した変態でも好きだよ。

恥ずかしいが……あなたがペットと呼びたいのなら、私は」

「やめろ! さも私が強要してるかの如く話を進めるのはやめろ!」

「それはそうと外見ロリータな妖怪が長身美形マントバカな女性をペットと呼ぶのは倒錯的だね」

「わかったぞ! 倒錯という言葉を使いたいだけですね!!」

「ばれたか」

 てへっ。

「うわ殴りたい」

「それは素で酷いよご主人様。一生懸命媚売ったのに」

「自分に合った媚の売り方しましょうよ」

 などと漫才を続けている間にも歩を進めているのだが病院、いや薬屋だったか? は見えてこない。

 三百六十度見回しても竹しかない。

 それがかれこれ小一時間は続いているのだが。

「ご主人様」

「なんでしょう」

「迷ったね?」

 ぴたりと足が止まった。

 後ろを歩く私には背中しか見えないが、顔が引き攣っているのが手に取るようにわかる。

「遭難したね」

「そうなんですよ…………すいません」

 やはりあなたはボケに向いていない。

 いやしかし早かったね迷うの。

 流石は迷いの竹林と言うべきかうっかり星ちゃんと言うべきか。

 ご主人様の特技項目に方向音痴も加えるべきかな。

「うぬぬぬぬ……」

 唸り声から察するに必死に打開策を考えているようだが無駄だろう。

 彼女の能力は融通が利かないし、なによりここは迷いの竹林。

 そう簡単にどうにか出来ればそんな異名は得ていまい。

 近くの岩に腰をおろして一休み。春も終わりだというのに風が冷たい。

「ナズーリンも何か考えてくださいよ」

「道に迷った時は休んで一服と相場が決まっているのだよ。私は煙草は吸わないがね」

「ぬぬう……」

 ま、これは妖精や狐狸の類に化かされた時の対処なのだが。

 人間や私一人だった場合なら兎も角ご主人様が居るこの状況で妖精の悪戯ということもあるまい。

 ご主人の妖気を感じて尚悪戯をするなどどれだけ気合いの入った妖精だというのだ。

 さて……どうしたものかな。

 彼女にはああ言ったものの私とて打開策など講じられない。

 鬱蒼と繁った竹林は飛ぶには適さぬし、ここは帰ることも考えねばならないだろう。

 見上げれば幽かに見える灰色の空。

「一雨来るかな」

 ますます帰った方がよくなってきた。

 このまま進んでも堂々巡りだろうし進言するべきかなぁ。

 だが無駄かな。言って聞いてくれるような主なら苦労はしない。

 懐に入れておいた雑誌を取り出し適当に開く。

 お、今月は河童特集か。一番水着が映えるね……ふむ、なかなか。

「雨となると……先を急がねば。このままでは雨宿りも出来ませんし」

 むう。河童を甘く見ていたかな。いい大きさだ。形もいい。

「ナズーリン、あなたのダウジングで……」

 ううむ。筋肉の目立たぬスリムな肢体というのもかなり……

「……なんですかそれは」

「ん? 大天狗社発行『月刊妖怪百景』という写真誌だよ。愛読書でね。

毎月水着姿の妖怪の写真がたんまり掲載されていると言えばわかりやすいと思う」

「お約束なのでもうそこには突っ込みませんがなんで持ってきてるんですか」

「ご主人様なら遭難くらいやらかすかな、と予測して暇潰しに」

「あははははは。用意がいいなこの野郎」

「ははは。指をポキポキ鳴らさないでくれたまえご主人。こわい」

「じゃあ男性向け写真誌しまって協力してくれませんかねえ」

「ご主人すごくこわい」

 観念して雑誌をしまい立ち上がる。

「兎も角、あなたのダウジングでどうにかなりませんか?」

「探す物が明確なら私の能力も存分に発揮できるのだがね、肝心の病院を私は知らない。

それにここには手下に出来そうなネズミも少ない。何故か兎はそこらに居るのだがね」

 むう、とご主人様は唸る。

 私の能力はご主人様のものと違いこういうことに向いてはいるが、万能ではない。

「時間をかければ竹林から出ることくらいは出来るだろうけど……」

 故に退くことを勧めるのだが、まだ彼女は帰る気はないらしい。

「その前に雨が来そうですね」

「空が見えないから断言は出来ないが、その可能性は高いね。風が水気を帯びている」

 まあ、雨宿りのことを考えれば竹林を抜けて寺まで帰るより竹林の中の病院に向かった方がよい。

 そういう考え方も理解できるが……見つかればの話だ。

 武神の代理なだけあって猪突猛進な人だなぁ……

「……それでは竹林の中の建物を探してみよう。廃屋に行き着いても御愛嬌だよ」

 ダウジングロッドを構えて歩き出す。

「はい。よろしくお願いしますね」

 笑う気配。……ああもう、本当に可愛いなぁ。今この場で食べちゃいたいなぁ。比喩表現で。

 堪えろ私、よだれを隠せ私、後ろに飛びかかる準備をするな私。

ぽつん

「……うん?」

 鼻先に冷たい感触。

「もう降ってきましたね」

 空を見上げれば灰色は黒に近く濁りぱらぱらと笹の葉を通り抜け雨粒が落ちてくる。

 これはまた好都合。雨足が強まればよだれを誤魔化せる。

 ふ、絵にならないな私は。普通こういう場合なら涙を隠すものなのにな。

 ――などと冗談を続けている場合でもないかな。

 ダウジングに本腰を入れる。

 建物、建物……ん、反応あり。

「近くに何かあるよご主人様」

「え、もうですか?」

 心の準備が出来てないのか慌てているようだ。

 それが私ならわかるが何故あなたが慌てるのだ。診察を受けるわけでもないのに。

 呆れながらも先導し歩みを進めると――

「おや? 宿だ」

「は? こんな竹林の中に宿なんてありましたねほんとに」

 同意も得られよう。なにせ「宿」と看板が掛かっているのだ。件の病院でないのは明白。

「……何故こんなところに?」

「さぁ。商売向きの立地じゃないのは確かだけれど」

 薄暗い竹林の中に宿一軒。ちょっとした怪談といった風情だね。

 しかし助かった。泊まれるのならそこらの軒先で雨宿りするよりも体を休められる。

 見た限り然程大きな宿ではないが……こんな辺鄙な場所でやっているのだ。素泊まりも出来るだろう。

「ちょうどいい、泊まっていこうか。このままじゃ野宿になってしまう」

「うーん……そうですね。このまま濡れては毒だ」

「梅雨の雨は冷たいからね」

 事実、既にかなり寒い。

 妖怪である私たちが風邪を引くとは言わないが、あまり好ましくないのは事実。

 酒や風呂で暖を取りたいと思うのも自然だ。

「では早速泊まれるか訊いてみよう」

 戸を開け一歩。

 するとそこにはまるで待ち構えていたかのように店主らしき影があった。

「ようこそいらっしゃいました~」

 歌うような声。ぱっと見たところ……妖怪雀の、女将――かな?

 なるほど、ここは雀のお宿ということか。怪談ではなく童話だったとはね。

「突然で済まないが、二人泊まれるかね」

「あいあい、部屋は空いておりますよ~。寒い中大変でしたね~。

お風呂の支度をさせていただきますね~」

「うん、あと燗をつけてくれるかな」

「承知いたしました~」

 そうして通されたのは「葛籠の間」だった。

 雀の宿で葛籠とはまた……とって食われそうだね。

「はあ、やっと人心地つきました」

「自業自得という言葉を贈らせてもらおう」

「ぬぐぅ」

 唸れ唸れ。忠告を無視した罰だよご主人様。

 ま、私も休むとしようか。酒が届くまで立ちんぼしててもしょうがない。

 ありがたいね、季節外れの火鉢が置かれている。

 ごそごそ、と……

「待ちなさい。乙女が火鉢を股に挟むもんじゃありませんよ」

「私のスカートは風通しがよくて冷えるのだよ」

 うむ。ぬくい。

「だからあなたもズボンを穿けと言っているのに……」

「わかってないね……エロスの探究者たる私がこれ以上露出度を減らしてどうするというのだね」

「あなたが脱ぎたがりということは理解したのでそれは矯正してください」

「調教か。待ちかねたよ!」

「長くなるのでスルーしたいところですがはっきり言ってやる。

まず私は調教なんぞしないしあなたを奴隷にした覚えも無ければペットにした覚えもない。

そこまで体を張ってボケられても突っ込み切れないんですよ。加えて乙女の恥じらいというものを身につけろ!

ついでにいい加減流しの芸人と思われるから隙あらばボケるのはやめろっ!!」

「見事な突込みだと思うのだが」

「もう嫌なんですよ……寺に参拝に来た人に「今日は漫才やらないんですか?」と訊かれるのは……」

「…………訊かれてたのかい」

 ちょっと反省。

「ご主人様、お茶でもどうだい」

「……いただきます」

 うーんいじめすぎたかな。

 どうも二人きりだと調子に乗ってしまう。

 ――はしゃいでしまう。

「それにしても、どういう宿なのでしょうねここは」

「うん?」

 お茶を啜るご主人様に振り返る。

「あまり商売する気が感じられないというか……なんとも不思議な感じでして」

 真面目に商売する妖怪などそうは居なかろうに、また益体も無いことを。

 大方妖怪雀の暇潰しなのだろうが、そうと答えても納得はすまい。

 適当に答えてお茶を濁すことにする。

「ふぅむ。私たちのように竹林で迷った者向けの宿なのかな」

「だとしたら親切ですねえ」

 いやいやご主人様、弱みに付け込むそれなりにあくどい商売だよ。

 まったく、人が好いと言うか、疑うことを知らぬ人だ。

「…………」

 雨足が強くなってきた。

 雨の音に様々な音が掻き消され、また雨の音に慣れていき――無音と錯覚してしまう。

 なんとなしに、ご主人様を見つめ続ける。

 私が大好きな、私の愛するたった一人のご主人様。

 二人きりで、音も動きも無く……ただ静かな空間。

 それがとても居心地がよかった。

 正直に言えば――彼女と話すのは苦痛に近い。必死に戯けねばボロが出てしまう。

 嘘を積み重ねることにどんどん耐えられなくなっていく。

 昔はこうではなかった。

 二人きりで暮らしていたあの頃。

 上司と部下という関係を崩していなかった頃はこの無言が日常だった。

 日に数度言葉を交わすだけの関係。それだけで満たされていた。

 彼女は私の手の届かぬ人で、ただ傍に居られるだけで幸せで――そう信じ込んで。

 ああ、私はなんて支離滅裂になってしまったのだろう。

 苦痛だとわかっているのに、彼女に話し掛けてしまう。より深く関わろうと願ってしまう。

 そんなの、彼女も己も傷つけるだけだと何度も自責しているのに。

 なのに私の眼は彼女を追い、私の腕は――

 伸ばしそうになる腕を押え込む。

 私が彼女を求めるなど……あってはならないのだから。

「ナズーリン?」

 気付けば、いつの間にか彼女の顔はこちらを向いていた。

「なんか恥ずかしいですね――そんなじっと見られると」

 頬に朱を差す彼女とは逆に、私の顔は青くなる。

 しまった、見ていることを覚られてしまった……

「職業病かな」

 動揺してつい、本当のことを言ってしまう。

「しょく……? 職業って、ダウザーのですか?」

「いや、これは」

 言える、わけがない。

 だって私の職業とは、彼女の監視で――私は彼女の部下ではなく監視員で……

 寅丸星を監視する為に毘沙門天に、遣わされて、彼女の部下になる芝居を、して。

「ご主人様――――私は」

 胃が、痛い。

「失礼します~、お風呂の支度出来ました~」

「あ、はい」

 場違いな明るい声に救われた。

 見れば、酒も持ってきてくれたようだ。

「ナズーリン、お風呂に行きましょうか。随分寒がっていましたし」

「私は後でいいよ」

 深く息を吐き酒を受け取りに行く。

 食事はもう少し後でと伝え、窓際に座り込む。

「いいんですか? 寒いんじゃ……」

 雀の仲居が下がったのを確認してご主人様が声をかけてくる。

「これが冷めてしまうからね。下戸のあなたには関わりない話だが」

 徳利を振りながら応える。

「でも……」

 食い下がられる。彼女は私を気遣ってくれている。

 それが、嬉しくて、辛い。

 彼女が私を愛してくれているということが伝わって来れば来るほどに、己の醜さに耐えられなくなる。

 ご主人様。ご主人様――――私は、あなたを騙しているんだ。

 あなたに愛される資格もないのに、それを隠してあなたの愛を得ているんだ。

 それを告白する勇気も……無いんだ。

 あなたに愛されるほどに居た堪れなくなってしまう。

 今は……少しだけ、距離を置かせて欲しい。

「なんだい、随分執拗に誘うね?」

 いつも通りに誤魔化し流す。

「お望みなら応えるのもやぶさかではない」

「下から脱ぐな!」

「おや、一緒にお風呂ということは裸が見たいということではなかったのかい?」

「深読みし過ぎだ! どうしてそうエロ方向に話を持っていこうとするんですか!」

「性分としか言いようがないね……」

「重そうに言わないでくださいよ……じゃ、先にお湯いただきますね」

「ん。ごゆっくり」

 最後まで気遣う視線を私に向けながら、ご主人様は風呂に向かった。

 窓枠に腰掛ける。

 猪口に酒を注ぎ気付けの一杯を呷る。

 じんわりと体が温まっていくのを感じる、が――心の内は冷えていく。

 幻想郷では珍しいガラス窓から雨降る竹林を眺める。

 暗い暗い……先を見通せぬ竹林。

「都合がいい――ね」

 心が冷える。それでいい。もっと、もっと冷やして氷漬けにしてしまえ。

 ご主人様。あなたを想うこの心を凍らせてくれ。

 汚れたこの手があなたに触れることがないようにするために。

 それでも、口を突いて出るのは真逆の言葉。

「……この罪を、打ち明けねば――――きっとあなたは私が触れることを許してくれるんだろうね」

 どこまで私は愚かなのだろう。

 どれだけ自分勝手になれば気が済むのだろう。

 どこまで彼女に縋れば――――

 凍らせろ。

 彼女を求めるこの心が動かぬように。


「……ご主人様」


 私はこの衝動を殺し続ける


 私は絶対にあなたを傷つけない


 私はどれだけぼろぼろになってもあなたを汚さない


 だから――――どうか





「この偽りの関係を……終わらせないで」





 もう少しだけ



 あなたの恋人でいさせてください
三十七度目まして猫井です

ナズ星熱が42度に到達しました

危険域ですデッドゾーンです

それでもナズ星は私のレイディアントトレジャー
猫井はかま
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コメント



0.2930簡易評価
1.100ぺ・四潤削除
開いたとたんに久々のナズ星シリーズが!!今回は切なくいい話なのに、時々かまされるクール変態がたまんねwww
そしてついに星のマジツッコミがwww 本当にこのコンビは最高だ!!!
2.100名前が無い程度の能力削除
猫井殿のssは甘いだけではなく悲しみや心の慟哭等も含んだ複雑な心理描写が魅力的ですなあ
ナズ星は俺のレイディアントトレジャー!
8.100名前が無い程度の能力削除
あぁもう最高。切なさとナズのクール変態に中毒。
というかもう氏の作品中毒。
10.100名前が無い程度の能力削除
深い話ね
なず星の尋常ならざる背徳感と
喉まで出かかって、何処にも吐き出せない葛藤の迷彩色が素敵

あと小癪のくだりがツボった
14.100名前が無い程度の能力削除
このナズーリン解釈は…!
貴方の作品もう一度全部読み直してくる
15.100名前が無い程度の能力削除
ナズ星は俺のレイディアントトレジャー!!
17.80名前が無い程度の能力削除
なんだこりゃー
オチが無いのにちゃんとまとまっている、不思議!
19.100名前が無い程度の能力削除
毎度楽しく見させてもらってますー(´ω`*)

切なくていいですねぇ…
31.無評価名前が無い程度の能力削除
ナズ星は俺のレイディアントトレジャー!!
いつも楽しく見させてもらってますよっ!
39.100名前が無い程度の能力削除
続きが楽しみなんだぜーーー!
ナズ星は俺のレイディアントトレジャー
41.無評価名前が無い程度の能力削除
ナズ星は私のレイディアントトレジャー(挨拶)
ナズーリン切ないよナズーリン
猫井はかまさんの作品は全部読んでますとも!
42.100名前が無い程度の能力削除
やべ点忘れてた