?月?日
普通ならここは□月○日と書くべきなのだけどわからないから?としておこうと思う。
そもそもここに季節はあるのかしら?今度聞いておくとしよう。
願わくばこの日記が遺書とかになったりしないことを祈りたい。
「うーん・・・この量はもう少し抑えて、そしてこれを少し、と。
後は淹れてみるだけね、悪いわね、付き合わせて」
「いいのよ、美味しい物が飲めるわけだし」
まだそうとは決まってないわよ、と返しておく。
本日の掃除は終了し、もう夕方に差し掛かろうとしている頃。
私とレティは調理場にてハーブティの用意をしていた。
新たなブレンドの試作と試飲をしているとレティが私も頂戴と来たのだ。
この前作ったラズベリーリーフとマロウブルーとアップルチップの合わせはいまいちだった。
今日はレモンピールとローズヒップとハイビスカスにしてみよう。
「よしっ、できた。
それにしても調理場であなたとこうしているのも違和感なくなってきたわね」
バイトに来てもう一か月、人間それだけあれば慣れるというものかしら。
今じゃもっと前からいたような感じすらするわ、風見幽香の時もそんな感じだったけど。
「つまり私もここに馴染んだってことね。
いいことなのか悪いことなのかはわからないけど」
あら、美味しいと言ってもらえた。
飲んでみたがなるほど、中々上手くできたようね。
「咲夜さぁ~ん、ちょっと助け、あ、いい匂い。ハーブティですか? 」
そんな折、小悪魔が困った声を上げながら入ってきた。
しかし直ぐにハーブティの匂いにまったりしてるのは欲望に素直というか何というか。
「はいどうぞ、それでどうかしたの? 」
「んー美味しいぃ・・・あぁそうだ、またパチュリー様が妙な実験を・・・今回は異界へのゲートを開くんだーとか何とか」
またあの人はもう。
何度やられても同じ事をするんだから。
懲りないという点ではどっかの黒白と同じねまったく。
「レティ、お願いが「片付けでしょ?全部頂かせてもらっておくわ」・・・抜け目ないわね」
さすが風見幽香の友人。
とりあえずまったりし始めている小悪魔を掴みながら図書館へ。
また変なものが召喚されたり図書館が爆発したりしないといいのだけど。
「えーと、これがこうなってあぁなって・・・議会可決・・・?これは別の話ね。
うん、後はこの力を主軸にすれば問題は・・・」
「パチュリー様ぁ!いい加減妙な実験をするのはお止めください! 」
何やら図書館中央で本を相手にブツブツと言いながら何かを組み立てているパチュリー様の下へ行く。
いかにも完成間近っていう雰囲気に頭の中は地下、並びに地上の図書館崩壊、そして直す経費までの事でいっぱいになる。
今月こそは赤字だけはなんとかしたい、紅魔館経費問題は切実なのよ。
「あら咲夜・・・でももう手遅れよ、既にこのゲートは起動一歩手前よ。
それじゃ・・・ポチっと・・・」
「させま・・・!? 」
確かに私は見た、パチュリー様が押す前に門のような物が起動するのを。
やっぱり暴走!?
「あら?勝手に起動するなんておかしいわね・・・うーん、この辺が間違えたのかしら」
「ちょっパチュリー様?なんでそんなに平然としてるんですかぁ~」
「それはね小悪魔、こんな事もあろうかと私と本には結界が張ってあるから何があっても大丈夫だからよ」
「あ、なんだーさすがパチュリー様、失敗は生かしてるんですね。
咲夜さんが止めても全く聞かないからその辺の事は頭悪いのかと思ってました」
「はいボッシュート」
パチュリー様が紐を引くと小悪魔のいた床が消えて、小悪魔があぁぁぁぁぁぁとか言いながら落ちて行った。
だから妙な改造は、ですね・・・
あれ?ちょっと待って?ていうことは・・・
「私と図書館だけが吹っ飛ぶんじゃ・・・あ」
私が記憶できたのは凄い光とともにゲートが爆発して光に包まれたところまでだった・・・
も、もういや・・・
「・・・・・・うぅーん・・・・・・はっ!?ゆ、夢か」
嫌な夢だったわ・・・赤いランプがついたヘルメットを被ったサルが襲ってくるなんてどんなホラーか喜劇か・・・
えーと確かパチュリー様の実験に巻き込まれて!?
「ここ、どこよ? 」
起き上がってみればそこは今まで見た事もない草原だった、少し先に何やら門のような物が見える。
何か微妙に暗いわね・・・日は出ているのに。
まるで何か薄いカーテンで敷かれているかのような感じかしら、日の光が少し暗い。
とにかくここは幻想郷なのかしら、それとも・・・
「まさか」
あのゲートとやらの実験の失敗に巻き込まれたせいで別世界に、なんてね。
いや、まさかそんな、ねぇ?
とりあえず門のところに向かってみますか、誰かいれば話くらいは聞かせてもらわないと。
「むっ、そこにいるのは誰!? 」
門に行ってみれば赤い髪をしたのがいた、おまけに言葉を喋れる奴で安心したわ。
「誰って言われても通りすがりのメイドといったところかしら」
知らない奴にいきなり名前言ってもしょうがないしね。
「メイド?夢子さん以外いたんだ・・・っていけないいけない。
ここは魔界への入り口、何人たりとも通すわけにはいかないのよ! 」
は?魔界?と・・・いうことは・・・
「本当に別世界に来ちゃったのね私・・・」
がっくりと膝をついてしまった。
あぁもう、今日は厄日だったのかしら・・・こっちに日にちがあるか知らないけど。
「あ、あれ?え、えーと・・・大丈夫? 」
「大丈夫、といえば大丈夫だけど・・・いや大丈夫じゃないかもしれないわね」
「と、とりあえず何か事情あるみたいだし神綺様に相談してみたほうがいいのかなぁ。
あ、ちょ、ちょっと待ってね」
何やらカードを取り出し、一心に念じ始めた。
何かしら、神綺様とやらに連絡でもしてるのかしら・・・
それにしてもうーんうーんと一生懸命念じる姿はちょっと可愛い。
「よしっと、えーと今から迎えが来るからそれまで待ってて。
何か魔界に攻め入ろうとわけじゃなさそうだし」
「どこだか分からない場所で戦う気もないわよ。
とりあえず少しその魔界っていう場所の事教えてくれないかしら」
「なるほど、とりあえず妙なしきたりがあったりするわけじゃないのね。
魔界っていうからてっきり戦国乱世みたいな世界かと思ってたわ」
魔王の座を争ってるみたいな。
魔界とか聞いても平和な世界とは思えないわよねぇ。
聞いてみると平和ーな世界のようだけど。
「この前変な巫女とか変な魔法使いとか変な霊とか変な妖怪が来たけどね」
どこの世界の巫女も喧嘩っぱやいのかしらね・・・
何か私の中で巫女の存在が塗り変わっていく気がするわ。
「ちなみに結果は? 」
「ひとしきり暴れて行って神綺様も負けちゃったわ。
まぁ侵略目的で来たわけじゃなかったみたいだけど」
この世界の巫女も強いのね。
まぁ退魔といえば巫女、この手の事は本業とも言えるものかしらね。
「お待たせーと。案内役ですよー」
ふわりと空から降りて来たのは白い帽子と服を着た金髪の子だった。
どうやらこの子が魔界の案内役らしい。
「あぁそうだ、メイドさん、名前は? 」
「十六夜咲夜よ、あなたは? 」
「サラ、魔界の門番やってるわ」
門番・・・か、美鈴はちゃんとやってるかしら。
私が見てないといつ寝出すかわからないけど・・・
でも、私がいないってわかれば少しはまじめにやっててくれるかもしれないわね。
紅魔館は大丈夫かしらねぇ・・・
「zzz・・・はっくしゅんっ!あ、あれ・・・なんだろう、何か噂されてる感じが・・・」
「しかし妙な話もあったものねぇメイドさんが別の世界から来るなんて。
あぁでもあれか、巫女とか来たりしたし、そういうのも普通なのかしら」
「そんな普通は嫌だわ」
魔界という世界の街並みを案内役と一緒に通り抜けていく。
幻想郷の外と幻想郷の中間といった具合の文明かしら。
しかし外よりは幻想郷に常識は近いかもしれない、何かしらゾンビの縄投げって。
「でも別世界からなんてちょっと羨ましいわ。
私、そういうのに憧れるのよ、こことは違う世界なんてロマンスに溢れてそうじゃない」
どんなロマンスだろうか・・・
幻想郷にロマンス?ないないありえない。
「実際にはこことは違う場所にいけるはずだったんだけどこの前の騒動でその手のツアーが延期になっちゃってね。
この魔界もいいところだけどやっぱり旅はしてみたいなぁ、出会いと発見が私を待っている、みたいな」
しかしよく喋る子ね、こちらが何も言わなくてもぺらぺらと喋る。
うちの妖精メイドにいるわね、こういうの。
あいつ今頃喜んでるんじゃないかしら、やっと鬼メイド長がいなくなったとかなんとか。
「怒ーると、こわーいぞー、十六夜咲夜ー
ルナークロォック!(クロック)
クロックーコォプス!(コープス)
今日の相手はー何妖怪ー(何妖怪だー)
十六夜ー咲夜ー」
「嬉しそうね」
「あら黒龍(以下略)。あの忌々しいメイド長がいない間は私がメイドのトップであることは間違いない!
帰ってくるまで私の天下よ・・・おほほほほほほ!!! 」
「メイド長の代わりなら私が務めるわよ? 」
「げぇっレティ・ホワイトロックゥ!? 」
「ほい、ここがこの世界の創造主、神綺様のお家よ」
「・・・・・・言っていい? 」
「なんとなく言いたい事はわかるけど言わないほうがいいかなぁ」
意外と普通の家だった、とか神という割には庶民的ねとか言おうかと思ったけど止められたならしょうがないわね。
ほら、神とかいうから・・・そりゃあ大きな城とかそういうのを思うわよね普通。
それが案内された場所が普通よりちょっと大きい家だと・・・・・・ねぇ?
「酷いわ、神様だからって豪邸とかに住んでるわけじゃないのよ? 」
「っ!? 」
いきなり後ろから声が。
驚いて振り向けばそこにはサイドテールをした女性がいた・・・まさかこいつが・・・
「あ、神綺様! 」
やはりこの人がこの魔界の神。
ぱっと見だと人のいい大人びた女性には見える。
しかしそれだけに全てを統べるに足る何かを感じさせる気もする。
あの笑みの裏には何が潜んでいるのかしらね。
「ルイズちゃん御苦労様。後でお礼にパンプキンパイを持って行くわね」
「作るのはもちろん・・・? 」
「夢子ちゃん」
「ですよねー、ってすいません」
「いいのよお菓子だけは夢子ちゃんに負けちゃうもの・・・」
悔しそうな顔で言う魔界神の姿に偽りは見えなそうではある。
今のこの人が本心からこんな会話をしているのなら悪い奴ではないと可能性の方が高いかしらね。
まぁまだどうなるかはわからないけど・・・
「とりあえずご不満かもしれないけれど家で話を聞かせてもらえないかしら。
何が原因でこうなったとか、これからどうしたいか、その辺もろもろ」
「えぇ、それと失礼な事考えて御免なさいね。
神とか言われちゃうとイメージがどうしても先行しちゃうのよ」
寺とか城とかそんな感じの。
そういう意味じゃこの神は親しみやすいのかもしれない。
「ありがと、その辺も説明してくれると嬉しいかなぁ~
時折威厳ってやっぱり必要なのかなぁなんて思ったりもするのよ、神的に」
そりゃ威厳もないでしょうねこんなに親しみやすくちゃ。
そういえばお嬢様も前に威厳が欲しいとかどうとか言ってたわねぇ。
上に立つ者ってやっぱり威厳は必要なのかしら?よくわからないわ。
「いらっしゃいませ、神綺様のメイド、夢子です」
家に案内されると玄関に赤いメイド服を着たメイドがいた。
この感じ、普通のメイドではないわね。
「十六夜咲夜ですわ」
握手を求める。
夢子と言ったメイドは一瞬手を凝視したが直ぐに握手をしてくれた。
同業者である、そして互いに実力は高いと自負しているところがあるようにみえる。
ならば好敵手と思っても問題はない。
「どうやら私としては少しの間居てくださるとありがたいお客様のようですね」
「私としても帰る前にやる事ができてよかったわ」
互いに不敵に笑みを浮かべる。
何か隣でびくびくしてる神がいるけど気のせいにしておこう。
「とりあえずこちらの世界に来た状況はわかったわ。
無茶な事する魔法使いもいたものねぇ」
リビングに案内され紅茶を頂きながら話を進める事に。
先程のメイドは魔界神の後ろで話を聞いている。
「毎度妙な実験ばかりして困ってるわ・・・
魔法使いって皆そうなのかしら? 」
「そういうわけじゃないと思うわよ?
私も魔法使いでもあるわけだし、夢子ちゃんもそうだし」
この世界は魔法が当たり前の世界とは聞いている。
その辺はさすが魔界って感じかしら。
「私は主に身体強化系の魔法くらいしかできませんが」
なるほど、人それぞれ得意な魔法がやっぱりあるわけね。
「とりあえず送り返すまでの間は家に泊まっていって。
あんまりこういうケースがないから期間は少しかかるかもしれないけれど・・・」
「こちらが原因なのだからそんなに申し訳なさそうにしないで。
手伝える事があったら言ってちょうだい、出来うる限り協力するわ」
「えぇ、それでは短い間かもしれないけれどよろしくね十六夜咲夜さん」
「よろしく、神綺さん」
握手を交わす。
まったく、まさかパチュリー様の魔法が原因でこんな事になるなんて。
今頃あの方はどうしているのかしら。
希望的観測でいえば私を幻想郷に戻す魔法や術式でも探してくれていればいいのだけど・・・
「十六夜咲夜、いいメイドだったわね・・・
あなたの今までの功績は紅魔館の歴史に名を残すわ」
「・・・・・・パチュリー様、さすがにこれはちょっと」
「大丈夫よレミィ達もこの墓なら納得するはずよ」
「納得する前に殺されると思いますが・・・」
「パチェ、真面目にやらないとどうなるかわかってるわよね?」
「パチュリー、あまりふざけてると、やっちゃうよ?」
「・・・・・・小悪魔ぁ!次はそこの棚!」
「は、はいぃ!!!」
まさか墓なんて作ってたりは・・・・・・しないわよね?
というかパチュリーの議会可決とかって、もしかして某魔界戦記ですか?
そして咲夜さんが魔界で神綺様たちのお世話になることに……。
次回、姉妹の状況とか魔界での咲夜さんとか楽しみですねぇ。
パチュリーは何処へ跳ばしたか大体判ってるのか・・
どうやって戻るのか楽しみ
とりあえず咲夜さんの今後に期待。
ご報告ありがとうございます。修正しました。
次回、爪を長くしてお待ちしております。
共同戦線張って神綺様涙目になるのか分かりませんが
とにかく次回を楽しみにしてます。
18話が今年中に終われば、私も本気出す!
後編楽しみに待ってます!
こっそり楽しませてもらってます
続き楽しみにしてます
あなたの紅姉妹がだいすきです
後編を楽しみにしてますよ
気長に待ってますね。
しかし・・・なんと言うか胃薬メイド咲夜さん。
この咲夜さんにはぜひ頭痛や胃薬のCMに出ていただきたいものだw