不老不死
人間でありながら、妖怪を凌駕する力を得た藤原妹紅は、過ぎたるその時の流れの中
同じく止まった存在である蓬莱山輝夜を見つめ続ける。
彼女が嫌いだから、彼女が自分の人生を狂わしたから……。
友達
アイツとの出会いは、私が竹林で自警団と称して、子供の急病を輝夜の屋敷に送ったところから始まる。あいつは妖怪の癖に、子供に勉強を教えてやっていた。私は、変な奴だなと思い、問いかけたことがある。
アイツは、そんな私の問いかけに、笑顔で答えた。
「……子供が好きだから」
簡単な、短絡的な答えた。
自分に素直なのだろう。
私は、アイツほど素直にはなれない。
不老不死という毒は、私を好きなものから遠ざける。
いつまでたっても変わらない容姿は、周りのものを気味悪くして遠ざける。
だが、慧音は、そんな私に接してくれた。
「妹紅は、子供のような目をしているな?」
その言葉に私は慧音を見つめる。
慧音は、私を見つめたままにっこり笑顔で言葉を続ける。
「どこか甘えたい、それでいてどこか不安な感じだな」
慧音は、私の心を読み当てる事が上手だ。
もしかしたらあいつの能力は本当は読心なのかもしれない…なんておもったことがあるぐらいだ。今まで私の気持ちを理解してくれる奴なんていなかった。
だけれど、慧音は、そんな私を理解しようとしてくれた。
それが嬉しくて、私はいつしか彼女と一緒に行動するようになっていた。
アイツのつくってもらった料理を食べて、子供達にいろいろと長年の用いた歴史で、様々な話をしたり、いろいろな遊びを教えてやったりもした。
正直、楽しかった。
今まで人と接することを恐れていた私が久々に感じたものだった。
「後悔するわよ?」
月の輝夜の従者である永琳が、私に告げる。
永琳は、私に忠告を与えに来たのである。
「貴方が、彼女と一緒にいるは勝手だけれど、いつか必ず彼女は死ぬ。たとえ獣人であろうとも、その寿命は人間より少し長い程度…」
そうだろう。
私は、彼女と触れ合うことで、彼女に今までの寂しさを埋め合わせるようにとしていたことに気がついた。永琳のいうとおり、このままでは、やがて必ず訪れるであろう、苦しみを私は受けるのだ。
私は、慧音と別れることにした。
永琳にいわれるがままに動くのは癪だが、それでも……慧音とこれ以上仲良くなって深く傷つくのは、辛い。かつて父親を失い、それから出会った様々なものたちと別れたこと。それを繰り返すのは…イヤなのだ。
不老不死という監獄の中で、私は…辛さや苦しみから逃れたいという思いは増幅していた。
暫く連絡をとらずに、竹林の中で、倒れながら、空を見上げていた私の視界の中に、見慣れた顔が入ってくる。それは、慧音だった。
「なにしてるの?」
「…なんで、私の居場所がわかったんだ?」
「この竹林の歴史を垣間見てね…」
「無駄な能力だな。私のことなんか放っておけばいいだろう?」
「そうはいかない。大切な友達が、悩んでいるのを黙って見過ごすほど私は冷たくない」
友達…。
私の耳にそのフレーズはとても久し振りのものであった。
だが、それは自分にとっては辛いものでしかない。
自分にとっては傷つくものでしかない。
あってもなんの価値もない。
「や、やめてくれ…そんなの、私には必要のないものだ」
そういって私は慧音の隣を通り過ぎる。
そんな私の手を掴む慧音。
「何をそんなに恐れている?」
慧音の言葉に、妹紅は唇をかむ。
「私はお前となんか友達になりたくないんだ!!」
私は、そういって慧音の手を振り払う。
「一人のほうが、私には合っている」
そう、そうだ。
私はどうせ、誰とも一緒になれることはない。
なぜなら、私と一緒に歩ける奴はいないからだ。
不老不死の前では、限られた命の中で、私の隣を歩き、そして倒れ、やがていなくなる。そんな中で毎回涙を浮かべるのはとても辛いことだから。
「私は、妹紅と友達になりたい」
アイツは、一言そう告げる。
「妹紅が、どんな過去があるか、私は知らない。ただ、妹紅と一緒に歩む時間が、私は欲しい……」
「…その時間は、僅かであってもか?私は、不老不死の存在だ、お前が年をとって老いていっても、私は変わらない…バケモノなんだ!!」
そう大声で怒鳴る私……を包み込む慧音
私は目を見開いたまま、黙ってしまう。
「寂しかったんだ。ずっと…」
「……」
「誰とも一緒に歩むことの出来ない時間を、妹紅は苦しんでいた」
「……」
「少しでもいい、妹紅の苦しみを分けて欲しい。永遠に生きていて1人だなんて、寂しいだろう?妹紅にとっては一瞬なのかもしれない。だけど、その一瞬でもいい、私は妹紅と歩んで、妹紅に覚えていてもらいたい。そうすれば……肉体はなくなっても、ずっと一緒だから」
私は、久し振りに……泣いた。
以前泣いたのはいつだろうか。輝夜にボロ負けして以来かもしれない。
温もりを味わいながら…目からは大粒の涙を溢れさせて……。
私は久し振りの友達が出来た。
たぶん、これからの生涯でも2人とはいない大切な親友が…。
人間でありながら、妖怪を凌駕する力を得た藤原妹紅は、過ぎたるその時の流れの中
同じく止まった存在である蓬莱山輝夜を見つめ続ける。
彼女が嫌いだから、彼女が自分の人生を狂わしたから……。
友達
アイツとの出会いは、私が竹林で自警団と称して、子供の急病を輝夜の屋敷に送ったところから始まる。あいつは妖怪の癖に、子供に勉強を教えてやっていた。私は、変な奴だなと思い、問いかけたことがある。
アイツは、そんな私の問いかけに、笑顔で答えた。
「……子供が好きだから」
簡単な、短絡的な答えた。
自分に素直なのだろう。
私は、アイツほど素直にはなれない。
不老不死という毒は、私を好きなものから遠ざける。
いつまでたっても変わらない容姿は、周りのものを気味悪くして遠ざける。
だが、慧音は、そんな私に接してくれた。
「妹紅は、子供のような目をしているな?」
その言葉に私は慧音を見つめる。
慧音は、私を見つめたままにっこり笑顔で言葉を続ける。
「どこか甘えたい、それでいてどこか不安な感じだな」
慧音は、私の心を読み当てる事が上手だ。
もしかしたらあいつの能力は本当は読心なのかもしれない…なんておもったことがあるぐらいだ。今まで私の気持ちを理解してくれる奴なんていなかった。
だけれど、慧音は、そんな私を理解しようとしてくれた。
それが嬉しくて、私はいつしか彼女と一緒に行動するようになっていた。
アイツのつくってもらった料理を食べて、子供達にいろいろと長年の用いた歴史で、様々な話をしたり、いろいろな遊びを教えてやったりもした。
正直、楽しかった。
今まで人と接することを恐れていた私が久々に感じたものだった。
「後悔するわよ?」
月の輝夜の従者である永琳が、私に告げる。
永琳は、私に忠告を与えに来たのである。
「貴方が、彼女と一緒にいるは勝手だけれど、いつか必ず彼女は死ぬ。たとえ獣人であろうとも、その寿命は人間より少し長い程度…」
そうだろう。
私は、彼女と触れ合うことで、彼女に今までの寂しさを埋め合わせるようにとしていたことに気がついた。永琳のいうとおり、このままでは、やがて必ず訪れるであろう、苦しみを私は受けるのだ。
私は、慧音と別れることにした。
永琳にいわれるがままに動くのは癪だが、それでも……慧音とこれ以上仲良くなって深く傷つくのは、辛い。かつて父親を失い、それから出会った様々なものたちと別れたこと。それを繰り返すのは…イヤなのだ。
不老不死という監獄の中で、私は…辛さや苦しみから逃れたいという思いは増幅していた。
暫く連絡をとらずに、竹林の中で、倒れながら、空を見上げていた私の視界の中に、見慣れた顔が入ってくる。それは、慧音だった。
「なにしてるの?」
「…なんで、私の居場所がわかったんだ?」
「この竹林の歴史を垣間見てね…」
「無駄な能力だな。私のことなんか放っておけばいいだろう?」
「そうはいかない。大切な友達が、悩んでいるのを黙って見過ごすほど私は冷たくない」
友達…。
私の耳にそのフレーズはとても久し振りのものであった。
だが、それは自分にとっては辛いものでしかない。
自分にとっては傷つくものでしかない。
あってもなんの価値もない。
「や、やめてくれ…そんなの、私には必要のないものだ」
そういって私は慧音の隣を通り過ぎる。
そんな私の手を掴む慧音。
「何をそんなに恐れている?」
慧音の言葉に、妹紅は唇をかむ。
「私はお前となんか友達になりたくないんだ!!」
私は、そういって慧音の手を振り払う。
「一人のほうが、私には合っている」
そう、そうだ。
私はどうせ、誰とも一緒になれることはない。
なぜなら、私と一緒に歩ける奴はいないからだ。
不老不死の前では、限られた命の中で、私の隣を歩き、そして倒れ、やがていなくなる。そんな中で毎回涙を浮かべるのはとても辛いことだから。
「私は、妹紅と友達になりたい」
アイツは、一言そう告げる。
「妹紅が、どんな過去があるか、私は知らない。ただ、妹紅と一緒に歩む時間が、私は欲しい……」
「…その時間は、僅かであってもか?私は、不老不死の存在だ、お前が年をとって老いていっても、私は変わらない…バケモノなんだ!!」
そう大声で怒鳴る私……を包み込む慧音
私は目を見開いたまま、黙ってしまう。
「寂しかったんだ。ずっと…」
「……」
「誰とも一緒に歩むことの出来ない時間を、妹紅は苦しんでいた」
「……」
「少しでもいい、妹紅の苦しみを分けて欲しい。永遠に生きていて1人だなんて、寂しいだろう?妹紅にとっては一瞬なのかもしれない。だけど、その一瞬でもいい、私は妹紅と歩んで、妹紅に覚えていてもらいたい。そうすれば……肉体はなくなっても、ずっと一緒だから」
私は、久し振りに……泣いた。
以前泣いたのはいつだろうか。輝夜にボロ負けして以来かもしれない。
温もりを味わいながら…目からは大粒の涙を溢れさせて……。
私は久し振りの友達が出来た。
たぶん、これからの生涯でも2人とはいない大切な親友が…。
ただ、ちと読みにくかったです
ちょっと気になったところ。
「子供の急病を輝夜の屋敷~」
「【急病の子供を】輝夜の屋敷」じゃないですかね?違和感感じたので