「秋だわー! 秋よ! 秋! 秋! 秋!! 秋なのよぉーーー!! ヒャッホゥーー!!」
秋穣子はすっかり秋の色に染まった山の中を、今までの鬱憤を晴らすかのごとく、嬉しそうに裸足で駆け巡っている。
その様子は、まるで野生の山猿のような何かを彷彿すらさせた。
「まったく。穣子ったら子供じゃないんだから……」
連れの姉の秋静葉は、妹のそんな姿を見て思わずつぶやく。しかし、つぶやきとは裏腹にその表情には笑みがあった。
「まぁ、秋が嬉しいのは私も同じだけどもね」
そう言ってふと立ち止まって、すぐそばの大木を見上げる。
その木は樹齢が軽く百年は超えていそうな立派なイチョウの木だった。
そのイチョウの木は目が覚めるような金色の葉によって幹をすっぽり被い尽くされていた。
彼女はその葉を一枚取ると、手のひらに乗せて眺める。
「……いい、色付きね。今年の秋は紅葉がいつもより美しいわ」
彼女はうっとりとした表情でつぶやく。
そのときだ。
「姉さーん! これ見て! これ見て!」
静葉が声の方に振り返ると、木の実を手のひらいっぱいに持った穣子の姿があった。
「あら、それは何?」
「これはトチノキの実よ!」
穣子は機嫌よさそうな様子で答える。
「トチノキ……ああ、モチモチの木の事ね」
「そうそう! あっちにいっぱいあるの! だから姉さんも取るの手伝ってよ!」
そう言いながら穣子はトチノキの実を指に挟めたりして弄んでいる。見たところかなり上機嫌らしかった。きっと秋のせいだろう。
「……そんなの取ってどうするの?」
「決まってるじゃない! 食べるの! 結構美味しいのよ?」
「そうなの? こんなのが?」
「……あれ? 姉さん食べたことなかったっけ?」
「そういえば……遥か昔にあるようなないような……でも木の実なんて皆一緒なんじゃないの?」
「もう、わかってないなぁ姉さんは。トチノキの実は栃餅して食べるとおいしいのよ?」
「ふぅん、そうなの? 悪いけど私は興味ないわ」
「あっそ じゃあいいわ! 私一人で集めてくるから! 言っておくけどお姉さんには食べさせないわよっ!」
そう言って穣子は、不満そうにぷうっと頬を膨らませると、そのまま走り出していってしまった。
「まったく……穣子ったら、もう少し落ち着けないものかしらね」
静葉は、やれやれといった様子で妹が行った方を眺めていた。
「モチモチの木ねぇ。……あれって確か渋抜きが大変なのよね……あの子、自分で仕込むつもりなのかしら……?」
などとつぶやきながら彼女は、散策を続けることにした。一人山の中をのんびりと歩く。時折吹く乾いた秋風が心地よかった。
この秋風も間もなく冷たさが増して、冬の寒風となってしまうのだろう。そうなると今年の秋も終わりなのだ。
そんな事を考えていると、ふと、木々の向こうに人影があるのを見つけた。彼女はそれの正体が妖怪であることにすぐ気づく。
山に妖怪がいるのは珍しくないが、あまり馴染みのない気配だったので彼女は近づいてみることにした。
静葉はその妖怪の姿に見覚えがあった。鉄の棒を持った妖怪ネズミ。彼女は最近幻想郷に現れたという聖白蓮という尼僧の一味だったはずだ。
なにやら探し物をしてるようにも見えたので、気になった静葉は彼女に話しかけてみた。
「こんにちは、ネズミさん。貴女はここで何をしているの?」
静葉の声を聞いた妖怪ネズミは、驚いたように全身をびくりとさせた。どうやら探し物没頭していたようで、こちらにまったく気づいていなかったのだろう。
「……驚かしてごめんなさい。確か貴女は妖怪ネズミの……ネズーリンだったわね?」
「ナズーリンだ!」
静葉の言葉にナズーリンは即座に言葉を返す。どうやら警戒しているようだ。初対面で名前を間違えられては無理もない。
しかしそんな事はお構いなしに静葉は話を続ける。
「そう。で、そのナズーリンさんはここで何をしているのかしら?」
「……なんだい。もしかしてここは入山許可が必要だったりするのか? もし、そうなら謝るよ。任務に夢中で気が付かなかったんだ」
そう言ってナズーリンは、すまなそうな顔を静葉に見せる。表情と言葉から察するに、どうやら彼女は騒ぎを起こしに来たわけではないようだ。
「いえ、そうじゃないわ。私は貴女が何をしてるのか、ただ単に気になったから話しかけてみただけよ」
「……ああ、ちょっと探し物をしてるんだ。ご主人様から命を受けてね」
「探し物って……こんな山の中で何を探してるって言うの?」
「これだよ」
そう言ってナズーリンは懐から紙の切れ端を取り出す。その紙には墨で、垂れ下がった毛の塊のようなものが描かれていた。それを見た静葉が思わずたずねる。
「なにこれ? 毛玉?」
「いや、私にもよく分からないが、くさびらの一種らしい」
「くさびら……って、これキノコ? どう見ても毛玉じゃない」
「私にもそうとしか思えない」
「うーん。これじゃ、何だかわからないわね。どう見ても毛玉だわ」
「まったくだよ、私もそれで困っていたのさ。いくら私が探し物を探すのが得意とは言っても、肝心な手がかりがこれだけじゃどうにも」
「ねえ、依頼主さんは他に特徴は言わなかったのかしら? 例えば地面に生えてるのか、木に生えてるのか、はたまた宙に浮いているのか、実は肉食なのか……」
「それが困った事に『こういうのが山にあるらしいから探してきてください』としか……」
ナズーリンは思わずため息をつく。そして、しばしの沈黙の後に彼女はポツリとつぶやいた。
「御主人曰く、とても体にいいものだそうなのだそうだが……」
「あら、ということは食べられるの? この毛玉」
「私も詳しいことは分からないが、御主人様は、白蓮に食べさせるつもりだそうなので、おそらくは食用なのだろう」
「それなら私より穣子の方が詳しいかもしれないわね。私の妹なんだけど、あの子は食べられる物には、やたら詳しいはずだから」
静葉は彼女を連れて穣子の元へと向かうことにした。
辺りはとても静かで二人が、地面の落ち葉を踏み歩く音だけが響いていた。
二人はしばらく無言で歩いていたが、不意にナズーリンが口を開いた。
「そういえば……」
「何かしら?」
「君は確か秋の神様だったね?」
「ええ、そうよ。正確には紅葉を司る神様ね」
「紅葉か。それはまた優雅だね。私も紅葉はどちらかと言うと好きだよ。綺麗だしね」
「あら、ネズミの貴女でも紅葉の良さが分かる感性を持ち合わせているのね? 意外だわ」
「……それはネズミに対して失礼だと思わないか? たとえ神様であろうとネズミを馬鹿にする奴は許さないよ?」
静葉が少し意地悪そうに言ってみると、ナズーリンはあからさまに敵対意識を持ち出してきたので、彼女は思わず苦笑した。
「もう、冗談よ。私だってネズミの恐ろしさくらい知ってるわよ。……貴女、結構プライドが高いのね?」
「プライドというか……私はネズミを馬鹿にされるのが凄く不愉快なんだ。……ただでさえネズミは嫌われてるからね」
「確かにそうね。ネズミを例えた諺とかでも、いい意味のは少ないものね」
「フン。いいさ。皆そうやってネズミを馬鹿にしてるといい! そのうち手痛い反撃を食らうことになるだろうからな!」
「あら、じゃあ次にペスト菌ばら撒くのはいつ頃?」
「……いや、流石にその予定はないよ。というか今までばら撒いた事もないし」
彼女が小声で、出来ないことはないけど。と、最後に付け加えたので、静葉は再び苦笑する。
その後しばらく二人は無言で進んだが、今度は静葉が不意に口を開いた。
「馬鹿にされてくらいがちょうどいいのよ?」
彼女の言葉を聞いたナズーリンは、一瞬、あっけにとられたような顔をしていたが、すぐに元の表情に戻す。
「……なるほど。……確かにそれも一理ある。油断されてる方が、こっちとしては動きやすいところがあるからね」
「あら、察しがいいわね。穣子とは大違いだわ。かく言う私達も侮られてる方だもの。でもそれでいいと思わない? 下手に出て目立つより、その方がよっぽど賢いと思うわ」
「能ある鷹はなんとやら……という事か。というと君も爪を隠してるということかい?」
「勿論よ。こう見えても神様ですもの。そろそろ異変の一つでも起こしてやろうかって思ってるわ」
そう言って静葉は不敵な笑みを浮かべる。
「なるほどね。じゃあ、そのときは私も便乗させてもらうとするかな」
そう言ってナズーリンも似たような笑みを浮かべた。
そのときだ。向こうの方で誰かの悲鳴が聞こえた。
「今のは?」
「穣子の声だわ。何かあったのかしら?」
二人が急いで彼女の元へ駆けつけると、ネズミと木の実を取り合って格闘している穣子の姿があった。
「もー! 何よこのネズミたち、私の獲物を横取りしないでよ!!」
穣子は木の実を取られまいと懐の中にしまいこむが、小さいネズミは普通に懐へと入り込んでくる。彼女はそれを掴み取ってぶん投げるが、ネズミはまた寄ってくる。そんな状態を繰り返していた。その様子を見たナズーリンは、すぐさまそのネズミたちに駆け寄る。
「こら! ピエール! カトリーヌ! ダメじゃないか! もういいから篭に戻りなさい」
ナズーリンがそう言うと、ネズミ達は彼女が持ってた手下げ篭の中に、そそくさと潜りこんでしまった。
「あらあら、貴女のネズミだったの?」
「ああ、物を探すときは、いつもこの子達にも手伝ってもらってるんだが、どうやらその大量の木の実に目がいってしまったらしいな。すまない」
ナズーリンはきまりが悪そうに頬を指でかく。
「……もう。ちゃんと管理しておきなさいよね!」
そう言いながら穣子はスカートのほこりを払いながら立ち上がる。
「……ところで姉さん。この人は誰……?」
「彼女は最近引っ越してきたお寺に住んでる妖怪ネズミさんよ」
「ああー、ええと……キャサーリンだっけ?」
「ナズーリンだ!」
ナズーリンは即座に言い返す。
「もう、穣子ったら人の名前を間違えるなんて失礼よ」
静葉のその言葉を聴いたナズーリンは、そういう君もさっき間違えただろうといった感じで半眼を向けるが、彼女はまるで意に介さない様子だった。
「……ところで姉さん。そのネズミさんがどうしてここにいるのよ?」
「ああ、そうそう、実は穣子に聞きたいことがあってね」
二人は穣子に今までのいきさつを説明して、例の絵を見せる。すると彼女は開口一番こう答えた。
「これ毛玉じゃないの?」
「ですよねー」
思わず二人は声がハモった。そんな二人の様子を見て穣子は首をかしげる。
「……え、違うの?」
「ええ、違うらしいわよ」
「ああ、これでも一応、くさびらの一種だと言うんだが……」
「くさびらねぇ……」
穣子は、ふーむと腕を組んで何かを思い出すようなしぐさをしていたが、やがて手をぽんと叩いて言い放った。
「あ、わかったわ! じゃあ、きっとこれ鹿の玉よ!」
「鹿の玉……?」
聞きなれない言葉に静葉は、思わずナズーリンの方を見やるが彼女も、わからないといった様子で首を横に振り返す。
「そう。きっとそうよ! 間違いないわ!」
「で、それはどこに生えるキノコで何色なの? そもそもキノコなの?」
「待って待って。今説明するから……」
彼女曰く、鹿の玉は木に生える白い房が垂れ下がったような丸いキノコで、なかなかお目にかかれない珍しいものなのだと言う。そして、説明を受けたナズーリンは、助かった。それでは早速探してみるよ。と言って、その場を立ち去ろうとしたので、静葉は彼女を呼び止めた。
「待って。ネズミさん。私達も手伝うわ」
「え?」
「大丈夫よ。いい暇つぶしになりそうだもの。ね? 穣子」
「そうね。それに……この辺の事なら私達の方が詳しいもんね!」
「そうか。では、すまないがお願いしてもいいかな?」
三人は早速、手分けして探す事にした。木に白いキノコが生えてれば遠くからでも目立つはずだし、いくら珍しいといっても三人で探せばすぐ見つかるはずと思ったのだ。
しかし、予想に反して、探せど探せど鹿の玉と思しきものは見つからなかった。
「……ねえ穣子。いつになったら見つかるのかしら? 鹿の玉ころってのは」
そろそろ痺れを切らしかけてる静葉が、思わず穣子に問いかけると、彼女は困惑した様子で答えた。
「う~ん、この時期なら毎年一つ二つは見つかるんだけどなぁ……今年は輪をかけて見つからないわね……こうなったらあまり気は進まないけど、もっと奥の方に行ってみましょうか」
「え? 奥って、もしかしてあそこ?」
「そう、あそこ」
「あそこは、あまり気が進まないわね」
「でも、あそこならきっとあると思うんだけど……」
「そう、じゃあ仕方ないわね。あそこに行ってみましょ」
二人は更に山の奥へと入ることにした。そこは普段は二人でさえも立ち入らないという場所だった。上は原生林の分厚い枝で覆われ日の光がほとんど遮られ、地面は泥水が湧き出ているかのようにぬかるんでいる。うっかり地に足をつければ、たちまち泥に沈んでしまうだろう。そのせいもあってか辺りは獣どころか、妖怪すらも立ち入った形跡はなかった。二人はそんな秘境を地を這うような低空飛行で進みはじめる。
「それにしても不気味ね。何か出るんじゃないかしら?」
静葉がぽつりと漏らすと、穣子はすぐ反応する。
「何かって何よ?」
「そうね……妖怪ナニカとか妖怪ダレカとか……」
「聞いたことないわよそんなの!」
「当たり前よ。今私が考えたんだもの」
姉の言葉に穣子は思わず額を抑える。と、そのときだ。
「あ! 姉さんあれ見て!」
「どうしたの? 妖怪ダレカでも出たの?」
「違うわよ! ほら、あれ! 鹿の玉じゃないかしら!?」
そう叫んだ穣子が指差した先には、大きな立ち枯れ木があった。そして、その枯れ木の中ほどに兎が丸まったような白くてふさふさしたものがぶら下がっていた。
「やった! 見つけたわ! これよ間違いない!」
穣子は、それを手で毟り取ると手のひらに乗せて静葉に見せる。
「ほら。これが鹿の玉よ」
「へえ、これがそうなの? 思ったより小さいわね」
静葉は大して興味もなさそうにそれを眺めている。
「そ、小さいから見つけづらいのよ」
「ふーん。それにしても……あの絵とはやっぱり少し違うわね」
「そうね。あの絵はどう見ても毛玉だったよね」
「そうね。毛玉ね」
「……さてと、とりあえず、ここから出ましょ。じめじめしてる所は苦手だわ」
二人は山の奥地から抜けると元の場所へと向かった。
その途中で穣子はふと足を止める。
「どうしたの? 急に立ち止まって」
「姉さん。あれ見て!」
「何も見えないわよ?」
「ほら。あそこの尾根のとこ!」
静葉が妹が言った場所の方を見ると、そこには人影があった。
「あら、あれは……人間?」
「姉さん。あれ、里の硯屋の息子よ!」
「まあ、こんな時期に山に入るなんて自殺行為もいいとこだわね」
「って大変よ! あのまま進んだら谷に落ちちゃうわ!」
そう言うや否や穣子はその男の方へと向かって行ってしまった。
「……もう、仕方ないわね」
静葉も穣子のあとを追いかける。追いついた先では、既に穣子が硯屋の息子と何やら話をしていた。
どうやら彼は、病気で倒れた親のために薬草を取りに山に訪れていたらしい。その話を聞いた穣子は困った様子で静葉へ聞く。
「ねえ、静葉姉さん。今の時期に薬草なんて生えてないわよね?」
「そうね……もう少し早ければ甘茶蔓や肉従蓉なんか摘めたはずだけど、流石にもう時期が過ぎて……」
その時、静葉はナズーリンの言葉を思い出す。
「あ、そうだわ。 穣子、この鹿の玉あげましょう。これも薬になるはずよ。あのネズミさんが、そう言っていたもの」
「え。でもいいの?」
「いいわよ。だって私達は神様よ。神様が人間の味方しなくてどうするの?」
「……わ、わかったわ」
穣子は、なにやら少し腑に落ちない様子だったが、懐にしまっていた例の白いふさふさを男に渡して説明する。
「いい? これは薬になるわ。これを薬屋さんに持っていって、薬にして貰ってお父さんに飲ませなさい。きっといいことが起こるわ」
穣子の言葉を聞いた男は何度も「ありがとうございます」と礼を繰り返すと急ぎ足で里へと帰っていった。
「……で、これで良かったの? 姉さん」
「ええ、いい事した後は気持ちがいいわね」
「それはまぁ、そうなんだけど……あのネズミの分はどうすんのよ?」
「そうね。……大丈夫。私に考えがあるわ」
・
・
・
・
「お二方とも、こんな日が暮れるまで手数をかけてすまない。本当助かったよ」
「探すの結構大変だったのよ? はい、これ落とさないようにね」
そう言って静葉はナズーリンに、白いふさふさした物を手渡す。
「しかしなんだ。見れば見るほど毛玉そっくりだね」
そう言ってナズーリンは興味深そうに手渡されたものを見つめる。
「ええ、そうね。これならあの絵も納得行くわよね」
「うむ、確かにね。なるほど、これが鹿の玉というものなのか。早速御主人様に渡してくるとしよう。それじゃ!」
彼女はそう言い、貰った物をふぉさふぉさとなでながら、寺の方へと姿を消した。
「……ねえ、姉さん。本当にあれ大丈夫なの?」
彼女を見送り終わった後、穣子がぽつりとつぶやく。
「ええ、大丈夫よ」
「だって、あれ、……本物の毛玉でしょ?」
「ええ、そうよ」
「あれ、食べるつもりなんでしょ? バレたらやばいんじゃない?」
「大丈夫。だってあの絵はどう見ても毛玉にしか見えなかったでしょ? だから彼女が毛玉を持って帰っても何もおかしい事はないのよ。悪いのはあの絵を描いた人よ」
「……そういうものなのかしら……」
などと言いながら彼女達は帰路へとついた。辺りはもうすっかり日が暮れて夜風が吹き始めていた。
ちなみにその日の夜、命蓮寺では鹿の玉(という名の毛玉)の煮物が白蓮に出されたが、彼女が料理の味を忘れていたため、意外に好評だったという。
「ああ、お口の中に煮汁が満ちる……私が寺にいた頃と、この味は変わってないな。誠に美味で、美味佳肴であるッ! いざ、南無三──!」
秋穣子はすっかり秋の色に染まった山の中を、今までの鬱憤を晴らすかのごとく、嬉しそうに裸足で駆け巡っている。
その様子は、まるで野生の山猿のような何かを彷彿すらさせた。
「まったく。穣子ったら子供じゃないんだから……」
連れの姉の秋静葉は、妹のそんな姿を見て思わずつぶやく。しかし、つぶやきとは裏腹にその表情には笑みがあった。
「まぁ、秋が嬉しいのは私も同じだけどもね」
そう言ってふと立ち止まって、すぐそばの大木を見上げる。
その木は樹齢が軽く百年は超えていそうな立派なイチョウの木だった。
そのイチョウの木は目が覚めるような金色の葉によって幹をすっぽり被い尽くされていた。
彼女はその葉を一枚取ると、手のひらに乗せて眺める。
「……いい、色付きね。今年の秋は紅葉がいつもより美しいわ」
彼女はうっとりとした表情でつぶやく。
そのときだ。
「姉さーん! これ見て! これ見て!」
静葉が声の方に振り返ると、木の実を手のひらいっぱいに持った穣子の姿があった。
「あら、それは何?」
「これはトチノキの実よ!」
穣子は機嫌よさそうな様子で答える。
「トチノキ……ああ、モチモチの木の事ね」
「そうそう! あっちにいっぱいあるの! だから姉さんも取るの手伝ってよ!」
そう言いながら穣子はトチノキの実を指に挟めたりして弄んでいる。見たところかなり上機嫌らしかった。きっと秋のせいだろう。
「……そんなの取ってどうするの?」
「決まってるじゃない! 食べるの! 結構美味しいのよ?」
「そうなの? こんなのが?」
「……あれ? 姉さん食べたことなかったっけ?」
「そういえば……遥か昔にあるようなないような……でも木の実なんて皆一緒なんじゃないの?」
「もう、わかってないなぁ姉さんは。トチノキの実は栃餅して食べるとおいしいのよ?」
「ふぅん、そうなの? 悪いけど私は興味ないわ」
「あっそ じゃあいいわ! 私一人で集めてくるから! 言っておくけどお姉さんには食べさせないわよっ!」
そう言って穣子は、不満そうにぷうっと頬を膨らませると、そのまま走り出していってしまった。
「まったく……穣子ったら、もう少し落ち着けないものかしらね」
静葉は、やれやれといった様子で妹が行った方を眺めていた。
「モチモチの木ねぇ。……あれって確か渋抜きが大変なのよね……あの子、自分で仕込むつもりなのかしら……?」
などとつぶやきながら彼女は、散策を続けることにした。一人山の中をのんびりと歩く。時折吹く乾いた秋風が心地よかった。
この秋風も間もなく冷たさが増して、冬の寒風となってしまうのだろう。そうなると今年の秋も終わりなのだ。
そんな事を考えていると、ふと、木々の向こうに人影があるのを見つけた。彼女はそれの正体が妖怪であることにすぐ気づく。
山に妖怪がいるのは珍しくないが、あまり馴染みのない気配だったので彼女は近づいてみることにした。
静葉はその妖怪の姿に見覚えがあった。鉄の棒を持った妖怪ネズミ。彼女は最近幻想郷に現れたという聖白蓮という尼僧の一味だったはずだ。
なにやら探し物をしてるようにも見えたので、気になった静葉は彼女に話しかけてみた。
「こんにちは、ネズミさん。貴女はここで何をしているの?」
静葉の声を聞いた妖怪ネズミは、驚いたように全身をびくりとさせた。どうやら探し物没頭していたようで、こちらにまったく気づいていなかったのだろう。
「……驚かしてごめんなさい。確か貴女は妖怪ネズミの……ネズーリンだったわね?」
「ナズーリンだ!」
静葉の言葉にナズーリンは即座に言葉を返す。どうやら警戒しているようだ。初対面で名前を間違えられては無理もない。
しかしそんな事はお構いなしに静葉は話を続ける。
「そう。で、そのナズーリンさんはここで何をしているのかしら?」
「……なんだい。もしかしてここは入山許可が必要だったりするのか? もし、そうなら謝るよ。任務に夢中で気が付かなかったんだ」
そう言ってナズーリンは、すまなそうな顔を静葉に見せる。表情と言葉から察するに、どうやら彼女は騒ぎを起こしに来たわけではないようだ。
「いえ、そうじゃないわ。私は貴女が何をしてるのか、ただ単に気になったから話しかけてみただけよ」
「……ああ、ちょっと探し物をしてるんだ。ご主人様から命を受けてね」
「探し物って……こんな山の中で何を探してるって言うの?」
「これだよ」
そう言ってナズーリンは懐から紙の切れ端を取り出す。その紙には墨で、垂れ下がった毛の塊のようなものが描かれていた。それを見た静葉が思わずたずねる。
「なにこれ? 毛玉?」
「いや、私にもよく分からないが、くさびらの一種らしい」
「くさびら……って、これキノコ? どう見ても毛玉じゃない」
「私にもそうとしか思えない」
「うーん。これじゃ、何だかわからないわね。どう見ても毛玉だわ」
「まったくだよ、私もそれで困っていたのさ。いくら私が探し物を探すのが得意とは言っても、肝心な手がかりがこれだけじゃどうにも」
「ねえ、依頼主さんは他に特徴は言わなかったのかしら? 例えば地面に生えてるのか、木に生えてるのか、はたまた宙に浮いているのか、実は肉食なのか……」
「それが困った事に『こういうのが山にあるらしいから探してきてください』としか……」
ナズーリンは思わずため息をつく。そして、しばしの沈黙の後に彼女はポツリとつぶやいた。
「御主人曰く、とても体にいいものだそうなのだそうだが……」
「あら、ということは食べられるの? この毛玉」
「私も詳しいことは分からないが、御主人様は、白蓮に食べさせるつもりだそうなので、おそらくは食用なのだろう」
「それなら私より穣子の方が詳しいかもしれないわね。私の妹なんだけど、あの子は食べられる物には、やたら詳しいはずだから」
静葉は彼女を連れて穣子の元へと向かうことにした。
辺りはとても静かで二人が、地面の落ち葉を踏み歩く音だけが響いていた。
二人はしばらく無言で歩いていたが、不意にナズーリンが口を開いた。
「そういえば……」
「何かしら?」
「君は確か秋の神様だったね?」
「ええ、そうよ。正確には紅葉を司る神様ね」
「紅葉か。それはまた優雅だね。私も紅葉はどちらかと言うと好きだよ。綺麗だしね」
「あら、ネズミの貴女でも紅葉の良さが分かる感性を持ち合わせているのね? 意外だわ」
「……それはネズミに対して失礼だと思わないか? たとえ神様であろうとネズミを馬鹿にする奴は許さないよ?」
静葉が少し意地悪そうに言ってみると、ナズーリンはあからさまに敵対意識を持ち出してきたので、彼女は思わず苦笑した。
「もう、冗談よ。私だってネズミの恐ろしさくらい知ってるわよ。……貴女、結構プライドが高いのね?」
「プライドというか……私はネズミを馬鹿にされるのが凄く不愉快なんだ。……ただでさえネズミは嫌われてるからね」
「確かにそうね。ネズミを例えた諺とかでも、いい意味のは少ないものね」
「フン。いいさ。皆そうやってネズミを馬鹿にしてるといい! そのうち手痛い反撃を食らうことになるだろうからな!」
「あら、じゃあ次にペスト菌ばら撒くのはいつ頃?」
「……いや、流石にその予定はないよ。というか今までばら撒いた事もないし」
彼女が小声で、出来ないことはないけど。と、最後に付け加えたので、静葉は再び苦笑する。
その後しばらく二人は無言で進んだが、今度は静葉が不意に口を開いた。
「馬鹿にされてくらいがちょうどいいのよ?」
彼女の言葉を聞いたナズーリンは、一瞬、あっけにとられたような顔をしていたが、すぐに元の表情に戻す。
「……なるほど。……確かにそれも一理ある。油断されてる方が、こっちとしては動きやすいところがあるからね」
「あら、察しがいいわね。穣子とは大違いだわ。かく言う私達も侮られてる方だもの。でもそれでいいと思わない? 下手に出て目立つより、その方がよっぽど賢いと思うわ」
「能ある鷹はなんとやら……という事か。というと君も爪を隠してるということかい?」
「勿論よ。こう見えても神様ですもの。そろそろ異変の一つでも起こしてやろうかって思ってるわ」
そう言って静葉は不敵な笑みを浮かべる。
「なるほどね。じゃあ、そのときは私も便乗させてもらうとするかな」
そう言ってナズーリンも似たような笑みを浮かべた。
そのときだ。向こうの方で誰かの悲鳴が聞こえた。
「今のは?」
「穣子の声だわ。何かあったのかしら?」
二人が急いで彼女の元へ駆けつけると、ネズミと木の実を取り合って格闘している穣子の姿があった。
「もー! 何よこのネズミたち、私の獲物を横取りしないでよ!!」
穣子は木の実を取られまいと懐の中にしまいこむが、小さいネズミは普通に懐へと入り込んでくる。彼女はそれを掴み取ってぶん投げるが、ネズミはまた寄ってくる。そんな状態を繰り返していた。その様子を見たナズーリンは、すぐさまそのネズミたちに駆け寄る。
「こら! ピエール! カトリーヌ! ダメじゃないか! もういいから篭に戻りなさい」
ナズーリンがそう言うと、ネズミ達は彼女が持ってた手下げ篭の中に、そそくさと潜りこんでしまった。
「あらあら、貴女のネズミだったの?」
「ああ、物を探すときは、いつもこの子達にも手伝ってもらってるんだが、どうやらその大量の木の実に目がいってしまったらしいな。すまない」
ナズーリンはきまりが悪そうに頬を指でかく。
「……もう。ちゃんと管理しておきなさいよね!」
そう言いながら穣子はスカートのほこりを払いながら立ち上がる。
「……ところで姉さん。この人は誰……?」
「彼女は最近引っ越してきたお寺に住んでる妖怪ネズミさんよ」
「ああー、ええと……キャサーリンだっけ?」
「ナズーリンだ!」
ナズーリンは即座に言い返す。
「もう、穣子ったら人の名前を間違えるなんて失礼よ」
静葉のその言葉を聴いたナズーリンは、そういう君もさっき間違えただろうといった感じで半眼を向けるが、彼女はまるで意に介さない様子だった。
「……ところで姉さん。そのネズミさんがどうしてここにいるのよ?」
「ああ、そうそう、実は穣子に聞きたいことがあってね」
二人は穣子に今までのいきさつを説明して、例の絵を見せる。すると彼女は開口一番こう答えた。
「これ毛玉じゃないの?」
「ですよねー」
思わず二人は声がハモった。そんな二人の様子を見て穣子は首をかしげる。
「……え、違うの?」
「ええ、違うらしいわよ」
「ああ、これでも一応、くさびらの一種だと言うんだが……」
「くさびらねぇ……」
穣子は、ふーむと腕を組んで何かを思い出すようなしぐさをしていたが、やがて手をぽんと叩いて言い放った。
「あ、わかったわ! じゃあ、きっとこれ鹿の玉よ!」
「鹿の玉……?」
聞きなれない言葉に静葉は、思わずナズーリンの方を見やるが彼女も、わからないといった様子で首を横に振り返す。
「そう。きっとそうよ! 間違いないわ!」
「で、それはどこに生えるキノコで何色なの? そもそもキノコなの?」
「待って待って。今説明するから……」
彼女曰く、鹿の玉は木に生える白い房が垂れ下がったような丸いキノコで、なかなかお目にかかれない珍しいものなのだと言う。そして、説明を受けたナズーリンは、助かった。それでは早速探してみるよ。と言って、その場を立ち去ろうとしたので、静葉は彼女を呼び止めた。
「待って。ネズミさん。私達も手伝うわ」
「え?」
「大丈夫よ。いい暇つぶしになりそうだもの。ね? 穣子」
「そうね。それに……この辺の事なら私達の方が詳しいもんね!」
「そうか。では、すまないがお願いしてもいいかな?」
三人は早速、手分けして探す事にした。木に白いキノコが生えてれば遠くからでも目立つはずだし、いくら珍しいといっても三人で探せばすぐ見つかるはずと思ったのだ。
しかし、予想に反して、探せど探せど鹿の玉と思しきものは見つからなかった。
「……ねえ穣子。いつになったら見つかるのかしら? 鹿の玉ころってのは」
そろそろ痺れを切らしかけてる静葉が、思わず穣子に問いかけると、彼女は困惑した様子で答えた。
「う~ん、この時期なら毎年一つ二つは見つかるんだけどなぁ……今年は輪をかけて見つからないわね……こうなったらあまり気は進まないけど、もっと奥の方に行ってみましょうか」
「え? 奥って、もしかしてあそこ?」
「そう、あそこ」
「あそこは、あまり気が進まないわね」
「でも、あそこならきっとあると思うんだけど……」
「そう、じゃあ仕方ないわね。あそこに行ってみましょ」
二人は更に山の奥へと入ることにした。そこは普段は二人でさえも立ち入らないという場所だった。上は原生林の分厚い枝で覆われ日の光がほとんど遮られ、地面は泥水が湧き出ているかのようにぬかるんでいる。うっかり地に足をつければ、たちまち泥に沈んでしまうだろう。そのせいもあってか辺りは獣どころか、妖怪すらも立ち入った形跡はなかった。二人はそんな秘境を地を這うような低空飛行で進みはじめる。
「それにしても不気味ね。何か出るんじゃないかしら?」
静葉がぽつりと漏らすと、穣子はすぐ反応する。
「何かって何よ?」
「そうね……妖怪ナニカとか妖怪ダレカとか……」
「聞いたことないわよそんなの!」
「当たり前よ。今私が考えたんだもの」
姉の言葉に穣子は思わず額を抑える。と、そのときだ。
「あ! 姉さんあれ見て!」
「どうしたの? 妖怪ダレカでも出たの?」
「違うわよ! ほら、あれ! 鹿の玉じゃないかしら!?」
そう叫んだ穣子が指差した先には、大きな立ち枯れ木があった。そして、その枯れ木の中ほどに兎が丸まったような白くてふさふさしたものがぶら下がっていた。
「やった! 見つけたわ! これよ間違いない!」
穣子は、それを手で毟り取ると手のひらに乗せて静葉に見せる。
「ほら。これが鹿の玉よ」
「へえ、これがそうなの? 思ったより小さいわね」
静葉は大して興味もなさそうにそれを眺めている。
「そ、小さいから見つけづらいのよ」
「ふーん。それにしても……あの絵とはやっぱり少し違うわね」
「そうね。あの絵はどう見ても毛玉だったよね」
「そうね。毛玉ね」
「……さてと、とりあえず、ここから出ましょ。じめじめしてる所は苦手だわ」
二人は山の奥地から抜けると元の場所へと向かった。
その途中で穣子はふと足を止める。
「どうしたの? 急に立ち止まって」
「姉さん。あれ見て!」
「何も見えないわよ?」
「ほら。あそこの尾根のとこ!」
静葉が妹が言った場所の方を見ると、そこには人影があった。
「あら、あれは……人間?」
「姉さん。あれ、里の硯屋の息子よ!」
「まあ、こんな時期に山に入るなんて自殺行為もいいとこだわね」
「って大変よ! あのまま進んだら谷に落ちちゃうわ!」
そう言うや否や穣子はその男の方へと向かって行ってしまった。
「……もう、仕方ないわね」
静葉も穣子のあとを追いかける。追いついた先では、既に穣子が硯屋の息子と何やら話をしていた。
どうやら彼は、病気で倒れた親のために薬草を取りに山に訪れていたらしい。その話を聞いた穣子は困った様子で静葉へ聞く。
「ねえ、静葉姉さん。今の時期に薬草なんて生えてないわよね?」
「そうね……もう少し早ければ甘茶蔓や肉従蓉なんか摘めたはずだけど、流石にもう時期が過ぎて……」
その時、静葉はナズーリンの言葉を思い出す。
「あ、そうだわ。 穣子、この鹿の玉あげましょう。これも薬になるはずよ。あのネズミさんが、そう言っていたもの」
「え。でもいいの?」
「いいわよ。だって私達は神様よ。神様が人間の味方しなくてどうするの?」
「……わ、わかったわ」
穣子は、なにやら少し腑に落ちない様子だったが、懐にしまっていた例の白いふさふさを男に渡して説明する。
「いい? これは薬になるわ。これを薬屋さんに持っていって、薬にして貰ってお父さんに飲ませなさい。きっといいことが起こるわ」
穣子の言葉を聞いた男は何度も「ありがとうございます」と礼を繰り返すと急ぎ足で里へと帰っていった。
「……で、これで良かったの? 姉さん」
「ええ、いい事した後は気持ちがいいわね」
「それはまぁ、そうなんだけど……あのネズミの分はどうすんのよ?」
「そうね。……大丈夫。私に考えがあるわ」
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「お二方とも、こんな日が暮れるまで手数をかけてすまない。本当助かったよ」
「探すの結構大変だったのよ? はい、これ落とさないようにね」
そう言って静葉はナズーリンに、白いふさふさした物を手渡す。
「しかしなんだ。見れば見るほど毛玉そっくりだね」
そう言ってナズーリンは興味深そうに手渡されたものを見つめる。
「ええ、そうね。これならあの絵も納得行くわよね」
「うむ、確かにね。なるほど、これが鹿の玉というものなのか。早速御主人様に渡してくるとしよう。それじゃ!」
彼女はそう言い、貰った物をふぉさふぉさとなでながら、寺の方へと姿を消した。
「……ねえ、姉さん。本当にあれ大丈夫なの?」
彼女を見送り終わった後、穣子がぽつりとつぶやく。
「ええ、大丈夫よ」
「だって、あれ、……本物の毛玉でしょ?」
「ええ、そうよ」
「あれ、食べるつもりなんでしょ? バレたらやばいんじゃない?」
「大丈夫。だってあの絵はどう見ても毛玉にしか見えなかったでしょ? だから彼女が毛玉を持って帰っても何もおかしい事はないのよ。悪いのはあの絵を描いた人よ」
「……そういうものなのかしら……」
などと言いながら彼女達は帰路へとついた。辺りはもうすっかり日が暮れて夜風が吹き始めていた。
ちなみにその日の夜、命蓮寺では鹿の玉(という名の毛玉)の煮物が白蓮に出されたが、彼女が料理の味を忘れていたため、意外に好評だったという。
「ああ、お口の中に煮汁が満ちる……私が寺にいた頃と、この味は変わってないな。誠に美味で、美味佳肴であるッ! いざ、南無三──!」
おもしろかたーよー
それはそうと聖はもう少し落ち着けwww
こんな静葉様も素敵です!
最初から最後まで面白かったです。
ナズーリンはヤマメと組んだらどんな妖怪よりも怖いかもしれない。本人もタダではすまないのがネック。
ああ、やっぱり秋はいいなぁ。秋姉妹のSS、私も書いて見たいなと思わせてくれるお話でした。