紅い悪魔と謳われしレミリア・スカーレット。
かつて幻想郷が赤い霧で覆われた時、紅白の巫女、そして黒き魔法使いの両名によってその霧は止められることとなった。
それから僅かな時は流れ。
とある日の事。
博麗神社の巫女、博麗霊夢はいつものように境内の掃除をとっとと済ませ、のんびりと夕暮れのお茶をすすっていた。
「今日は風がすずしくていい気持ちね」
この上なくのんきである。
一応、霊夢はここ数日の不吉な空気……紅魔館のあたりでよくないことが起こっていることは知っていた。
だが霊夢にとっては、そんなことよりお茶受けが不足していることの方がはるかに重要であった。
最近の博麗神社は千客万来。
なにしろ、亡霊の団体さんや月のお姫様まで来ている始末である。
「まったく、お賽銭のいくらかでも放り込んでいけっていうのよ」
もっとも、この幻想郷において神仏を信仰するものなどいない。
信じるもなにも、そこらじゅうに妖怪だの亡霊だの魔法使いだのが飛びまわっているのだから、わざわざ崇め奉ることもない、ということなのだが。
そんな幻想郷の端っこにある神社に、当の魔法使いがふよふよ飛んできたのはその時である。
「よ、霊夢。お邪魔するぜ」
「お茶菓子持ってきた?」
「それはもてなす側が用意するものだぜ」
用意してきていないようだった。
ちなみにいつものことなので霊夢はそんなことで腹を立てたりしない。というか当たり前である。
そんな巫女と魔法使いがいる神社に、当の亡霊がふわふわ飛んできたのはその時である。
「おじゃまするわよ、霊夢、いる?」
「お嬢さまぁー、待ってくださいよーっ!」
「お、亡霊に半人前、珍しいな」
「お茶菓子持ってきた?」
「ああ、あなたもいたのね。ちょうどよかったわ、気づいてると思うけど、例の赤い屋敷のことで話があるのよ」
「ふうん? 確かにおかしいとは思ってたけどな。血を吸うわけでもないのに何人もやられてるんだろ?」
「お茶菓子持ってきた?」
「別にかまわないと思っていたのだけれど。どうも意味なく死ぬと、成仏できなくてうちにくるらしいのよ」
「へえ、白玉楼にか?」
「ええ、仲間が増えるのはいいけれど、このままじゃ庭がいっぱいになっちゃうから困るのよ。って妖夢が言うのよ」
「ええっ!? 私ですか!?」
「お茶菓子持ってきた?」
黒の魔法使いは散歩にでも行くかのように立ち上がる。
「ちょっと様子見に行ってくるぜ。……ついでにパチュのところからまた何冊かいただいてくるか」
「ちょっとまって、霊夢も行ってくれない?」
「お茶菓子」
「…………」
妖夢が無言でお土産の桜餅の包みを手渡した。
「あ、ほんとに持ってきてたのね」
「お嬢様の頼みだ。博麗も行ってみてはくれないか?」
「何言ってるのよ、妖夢。貴方も行くのよ」
「ええ!? 私も行きますの!?」
「わたしはこれから友人に会いに行くのよ」
「い、いや。しかし……」
「行くの」
「…………はい」
「?」
珍しく幽々子の命令に躊躇う妖夢に首を傾けた。
「というわけだから、行ってらっしゃい」
「はいはい、じゃあちょっと行ってレミリアをこらしめてくるわ」
ぱたぱたと手を振る霊夢。決して桜餅につられたわけではないことを、彼女の名誉のために明言しておく。
かくして紅魔館に二人と半分、幽霊半分が飛んでいく運びとなった。
ある半月の夜のことである。
霊夢たちは紅魔館の入り口、美鈴により事態の深刻さを悟る。
紅魔館は変わり果てていた。
日中たちこめていた赤い霧は壁をドス黒く染め、以前あった絢爛さは不気味さにすりかわっていた。
館の中では容赦ない攻撃が霊夢たちを襲った。
レミリアに会うまでに、紅魔館にいた彼女たちは、敵として立つのだろうか。
「……先に行きなさい」
「あの人は、私が止めておくから」
「……いや、あの人はきっと立ちはだかる」
「私にはわかる」
「十六夜咲夜は、私が止める」
…………以上、前回までのあらすじ。
(注意) 前回まで、とか書いてありますが「前回」は(12月23日現在)web上に存在しません。以上のお話はあくまで本編を楽しむためのオマケだったとお考えください。
では本編をどうぞー。
今夜は、きっと永い夜になる。
蝋燭の灯りが照らす部屋の中で、ひとり佇む彼女はふとそう想った。
周りには無数の柱時計。カチコチと。どれ一つ同じリズムを刻まない時計達。
それは本来正しくはない。
絶対のモノである時を刻むのであれば、それは全てが一定でなくてはならない。
振り子が揺れるリズムも、針が指す時点も、全て同じであるのが道理だ。
しかし彼女はそれが間違いであることを知っている。
彼女が為しえる事が、あまりにあっけなく、その道理を破綻させるゆえに。
彼女の名は十六夜咲夜。
ただひとり静止する時をゆける、完全にして瀟洒なる従者―――。
紅い館をひとつの影が疾駆する。
阻むモノ達を前に一時とて止まらず、きらめく二本の銀線が道を開いていく。
たなびく髪もまた、操る二つの武具に似て
―――キン! キキッ……リィンッ!
円月をなぞり、向かい来る火を切り裂いた長刀。入れ違いに一閃した短剣が最後の障害を斬り捨てた。
長刀の名は楼観剣、短剣を白楼剣と呼び、この二本こそ、疾走する彼女の最も信頼する愛刀である。
地面に足平をこすり、彼女は身を停止させる。
邪魔はそのほとんどを片付けた。既に別れた赤の巫女と黒の魔法使いは、先に決着を着けに向かっている。
だから彼女がするべきことはあとひとつ。戦うべきあの人のもとへ向かうだけだった。
「行きますよ……咲夜さん」
愛刀を鞘に納め、彼女―――魂魄妖夢は再び床を蹴った。
淡い炎が部屋を照らす。
咲夜はその中央に立ってナイフをもてあそんでいた。
これからこの場所に誰が来るかは分かっている。あの子と戦わなくてはならないことも。そして、それを忌避する自分がいることも。
「…………」
だからといって躊躇いなど無い。彼女はそれほど弱くも甘くもなかった。恐らくはあの子も同じ。主に仕える、同じ従者として当たり前のことなのだから。
「……っ」
ひゅ、と。スナップだけで手のナイフを飛ばす。そのナイフは正確に壁にかかった時計の中心に突き刺さり……
―――寸前で消失した。
いや、そのナイフは今再び咲夜の手元に戻っていた。一瞬すら長すぎる時の間、咲夜は確かにナイフを戻したのだ。
これが彼女の能力。『時間操作』そして『不可視の糸』。
彼女が一瞬の間になしたことは二つ。まずは時間の停止、そして止まった時間の中で彼女は『糸』を使ってナイフを戻した。
この『糸』は咲夜がタネ無し手品をする時によく使うもので、一種のテレキネシスだと考えてもいい。ただしその力はそれほど強くはなく、精々ナイフの起動を変えたり戻したりする程度の能力である。
その程度の能力が彼女にとっては大きな武器になる。いや、正確に言うなればこの二つは彼女の真の武器たりえない。矛盾した言い方だが。即ち、彼女の持つ最高の武器は彼女自身である。
瀟洒という形容詞で呼ばれる咲夜には、それにふさわしい機転がある。冷静な観察眼がある。判断する思考回転がある。なにより行動に移すための、すっぱりと切れ味のいい性格を持っている。
彼女の持つ能力は全てが付属品だ。例え凡人の能力しか持っていなかったとしても、彼女の手はそれを数段上の領域にまで昇華できる。それが完全にして瀟洒と評される所以、彼女の持ちうる最高の武器だった。
館の周りに太陽は無い。大掛かりな霧が辺り一帯を覆っていた。だから妖夢の走っている広い廊下にも太陽の光は届かない。……それは今が昼ならばの話だ。
もともとこの館は吸血鬼を主とし、そも太陽など差し込まないようにできている。霧という霧、窓という窓、カーテンというカーテンが開かれるのは、正に今この刻限、真円を描く月の時間にこそである。
いっそ眩しいほどの月光の下、妖夢は外に開かれた廊下を疾走する。西行寺が二百由旬の庭を手入れする妖夢の脚力は尋常ではない。瞬きの間に間合いを詰めるその瞬力は、剣士としての彼女がもつ大きな武器である。
……やがて、妖夢はその場所に辿りついた。長い廊下の突き当たり、豪奢な扉の前に。
咲夜はその方向に目だけを向けて応えた。ドアの開く音。馬鹿正直にも自分の名前まで名乗って入ってきた彼女に。
いつもと同じ、その性格を表すかのようにまっすぐの、銀白の髪。私の数倍は生きているだろう彼女の顔立ちはしかし幼さを残し、だからこそこちらを見すえる瞳はどこまでも澄んでいた。
咲夜はそれを羨ましいとは思わない。だけれど、その純粋さを好んでいたのは確かだった。もしかすると憧れてさえいたかもしれない。
「こんばんは妖夢。今夜はいい月ね」
「咲夜さん。どうしても退けませんか」
……冗談のひとつでも言ってやろうと思ったのに、全く無視してくれた。もっとも、この子にそんなのは似合わないのだろう、と気を取りなおす。
「ええ。私はお嬢様にお仕えする者。お嬢様と共にあり、お嬢様の命令に従う。それが私なのだもの」
妖夢は、苦しそうな表情を隠しもしない。
それでもまっすぐに私を見つめなおして。
―――愛刀の鯉口を切った。
二刀を抜き、腰を落として疾する瞬間を探る。
目の前には、はっきりと道を違えた十六夜咲夜。
部屋は広く、その距離は遠い。目測で十五米(メートル)は離れているか。
一足ではあまりに遠い間合い。しかし咲夜の間合いはこれを容易く超えてくるだろう。
優雅に立っているだけの咲夜は無手。しかし不用意に動けば、たちまちその手からナイフが放たれることを妖夢は良く知っている。
咲夜に武道の心得は無い。彼女が成し得るのはあくまで奇術師の芸だけ。しかし彼女にはそれだけで幻想郷の妖怪達と渡り合える何かが備わっている。
例えばただ立っているだけの姿に、一つたりとも踏み込める隙が見出せない矛盾。
例えばただ闇雲に投げているようなナイフが、その全てが直線に的へ中るという相違。
何者をも超越したような、泰然とした彼女を。……妖夢は憧れ慕っていた。
自分とはあまりにかけ離れた在り方。その主も、仕え方も、お互いの性質そのものまでも。されど主へ仕える者として、大切なものをしっかりと持っている彼女。
自分とは異なる従者として。自分と同じ従者として。咲夜は妖夢にとって大切な“仲間”だったのだ。
「…………」
未熟、と妖夢は自らを戒める。
尊敬すべき“仲間”。だからこそ、咲夜さんが折れるはずが無いと分かっていたはずなのに。
それで迷いは消えた。
私の主に害を及ぼすものならば……倒すのみ。
旋風が巻き起こる錯覚。
同時に、妖夢は掻き消えるようにして自らの身体を発射させた。
「(……来るわね)」
瞬時に変わった妖夢の気配を察し、咲夜はそれに構える。足先と指の位置を微妙に変えるだけのわずかな動作。
―――長すぎる一瞬、錯覚として時間が止まる。
「…………っ!」
見極めた刹那に隠したナイフをたぐり寄せ、そのまま一気に放った。
左手一振りで放たれた数は五。その全てを、爆発する速度で走り出していた妖夢は斬り落とす。
「―――くっ!」
悔やむようなその声は妖夢のものだ。
ナイフはこれ以上ないタイミングで放たれた。お互いの距離は十五米(メートル)、いくら飛び道具が相手と言えど、妖夢の足ならば相手が反応する前に詰められる間合いだった。
だからこのタイミングは絶妙なのだ。妖夢が走り出してからでは遅すぎる、妖夢に気づかれては意味が無い。走り出してはいない、しかし走り出すのを止められない時点で放たれたからこそ。
だからこそ、止まるはずのない疾走がここに停止している!
「(――まずい!)」
離脱しようとする試みは遅い。足を止めた瞬間には、すでに次弾は雨の如く妖夢に降り注いできていた。
「くっ……ぅぅうっ!」
離脱を諦め、その場での迎撃を決意する。両膝を沈め、両手の刀で向かい来るナイフを一本一本薙ぎ払う。
―――キン! カッ、カカッ! ギィ、リィン! カン、ギ、キキキィン!
弾丸の速度で迫るナイフの弾幕を正確に打ち落としていく。
二つの剣閃は交差することなく、それぞれが個別に、互いを妨げることなく複雑な軌跡を描き、妖夢の身体を捉える数十数百ものナイフを斬り落とす。
それは修羅か、剣聖の技だ。ただでさえ難易度の極端に高い二刀流を、この高速、この精密さで振るうことが出来る者など果たして何人いることか。
だが、それほどの技を振るっていてなお、妖夢は既に追い詰められている自らを自覚していた。
「(さあ、詰んだわよ妖夢……どうする?)」
咲夜は次から次へとナイフを取り出し、手の一振りで10近い数を容赦なく放ち続ける。攻撃範囲は妖夢自身はもとよりその周辺にも及び、妖夢に離脱する隙を与えない。
咲夜のナイフに弾切れはない。この状態での『時間操作』による停止は一瞬だが、『糸』を使えばナイフを全て回収しながら放ち続けることも可能だからだ。
嵐のようなナイフの襲撃を受け続けている妖夢には、もう左、右、背後のどこへも逃げる余裕はないだろう。
だからこれで詰み。あとは妖夢の集中が切れ、その身体にナイフが刺さるのを待つだけで終わる。
勝負は最初の一交差、妖夢の疾走を止めた5本の段階でついていたのだ。
降り注ぐナイフはもはや豪雨の様だった。いつまでも防ぎきれるものではない事は容易に理解できる。そして自分が逃げ場を失ったことも。
未熟、と妖夢は再度自らを戒める。
最初の一歩を止められればこうなる事は必至と、対峙する前から分かっていたというのに。不用意に飛び出した
短慮をこれ以上無いほど悔いる。
―――あなたは真面目すぎるのよ、妖夢。
過去に聞いた、ある少女の声が蘇る。
日がな一日中ぼんやりとしていて、笑い顔しか見たことの無い彼女。
私は彼女との遊びに勝ったことがない。それは彼女の提案する遊びの悉くが身体能力と無関係なものだった、それだけではなかった。
―――そんなことではいずれ壁に突き当たろう。妖夢、敗北を許されぬ戦い、敗北も構わぬ戦い、そのどちらも今のお前では勝つことは出来ぬ。
過去に聞いた、師と呼んだひとの言葉を思い出す。
……二人が云わんとしていた事が、今は分かる。
私は物事を一方向でしか見ることが出来ていないのだ。だからこうして今も窮地に立たされている。
ナイフを弾き続けた四肢が悲鳴を上げる。神速で振るい続けた両腕は殊に痺れ、もはや動かしている感覚も皆無。限界が、妖夢に迫っていた。
―――あなたと遊ぶのは退屈よ、妖夢。
主の声が聞こえる。
そうですね、幽々子さま。私は未熟者です。幽々子さまを守ると誓ったけれど、私は咲夜さんに勝つことが出来ない。こんな体たらくで、幽々子さまを守るなどと。
右腕が落ちる、息切れした身体がくらり、と揺らいだ。
それは、眼前に迫る雨を弾くには、取り返しのつかない隙だった。
―――……でも、わたしは
瞬間。
苦しげに細められていた妖夢の目が。
渇、と開いた。
違和感を感じる。
咲夜は相変わらずナイフを回転させながら、妖夢が力尽きるのを待っていた。
実際、つい先程妖夢は大きな隙を見せた。なんとか立て直したとはいえ、崩れたという事実は妖夢の限界がすぐそこにまで来ていることを指す。
指す、はずだった。
「(―――まさか!)」
咲夜は驚愕する。感じていた違和感の正体に行き当たったゆえだった。
高速で二刀を振るい続ける妖夢の足が、
「(まずったわね……これじゃあ詰んでるのはむしろ……)」
自分ではないか、と咲夜は歯噛みする。
防御に徹さざるをえない妖夢に比べればまだ楽とはいえ、咲夜もまた自身の限界ギリギリでナイフを投擲し続けていた。
正確には咲夜が一手で投げられるナイフの数、その限界はまだ先にある。限界に来ているのはその速度と密度だった。
これ以上投げたところでナイフ同士が衝突するだけ。いや、それどころか神速の踏み込みを持つ妖夢相手にそれだけのスキを見せることは、直接咲夜の負けにつながるだろう。
「(一度離脱する……?)」
それは危険な賭けだった。離脱しようとすれば必ず一瞬、ナイフの密度と威力が落ちるだろう。ごまかすための策などいくらでも用意できるが、それでも足捌きを背後に向けた瞬間に妖夢が目の前にいる可能性は否定できない。
―――では『時間操作』による停止ならば。
論外だ。咲夜の『時間操作』は何も無制限に時間を操れるわけではない。
その能力には操作できる時間量に制限がかかるのだ。止めていられる時間量は、能力を使うための集中時間に極端に影響される。
例えば1秒の集中ができれば1秒の時間を止められる。5秒の猶予があれば1分は十分に止められるだろう。5分もあれば熟睡することだってできる。
だがこの状況でどれだけの集中ができる? 出来て0.2秒、それで止められる時間では背後に飛ぶことも出来るかどうか。しかも失敗すれば致命的なスキを生むことは言うまでもない。
妖夢は神速を持っている。それは咲夜には無い、常にある絶対の能力。
端的に言って、真正面からのぶつかり合いなら咲夜は確実に敗北する。
どんなに優位に立とうとも次の瞬間には地に伏しているかもしれない。咲夜はそんな綱渡りじみた戦いを続けざるをえないのだ。それだけの力の差が、実は両者の間には存在する。
だから咲夜は安易に危険な賭けにはのらない。必要があるならば躊躇いはしないが、今はまだ他に手段が無いわけではない。
咲夜はナイフを投げながら、その一つひとつに『糸』をはっていく。
ただ投げるだけの作業よりも精神的な疲労は数段上がるが、もはや待っていられる状況ではないと咲夜は判断した。
ここからは本気。これをしのげるものなら……
「しのいでみなさい……妖夢!」
直線が曲線に変化する。
今までただ投げられるのみだったナイフの雨が、強い旋風に吹かれたようにその向きを変えて襲ってくる。威力はそのままに、生き物のように行き先を変化させるナイフの群れ。その光景は奇術師の見せる夢そのものだった。
前のみを守っていてはやられる、と妖夢は意識を周囲に飛ばし襲い来る嵐を感知する。
―――右に十七、左に八、正面に二十五……!
進めていた足を止め、やや大きく左右に広げる。地に張る根さながらに下半身を固定し、腰より上のみで二本の愛刀を烈火の如く回転させる。
鋼の弾ける音が響く。火花の散る光が照らす。弧を描くナイフの全てを、妖夢は完璧に弾き落としていく。
その一瞬、妖夢は確かに見た。咲夜が狼狽し、そして生じた、針先のような僅かな嵐の切れ目を。
迷いは無い。妖夢は一条の光の軌跡を辿るように自身の身体を弾き導いた。
―――咲夜の うでが くん と しなった
―――ドスッ
「ぁ…………」
背後から襲った衝撃に体勢を崩し、倒れこみそうになる妖夢。それを支えようとして左足を踏み出し、力が入らず片膝をついた。
身体に鮮烈な痛みが走る。背中のあたりが奇妙に痺れていて何の感覚も無い。素足に何か温度を感じない粘りけのある液体がぴちゃりと垂れた。
「あ……ぁあ……あ?」
身体が、まるで性質の悪い熱病にかかったように震えて止まらない。そう言えば背中がすうすうとして寒気がする。
「―――ぁ」
視界の端に、赤いあかい液体に濡れた床と身体がうつった。
血、だった。
かくして咲夜のナイフは計算どおり妖夢の背をつらぬいた。
たかだかナイフの軌道を曲げただけではあの剣舞のすきまを抜くことはできなかっただろう。それは咲夜とて承知のことだった。
だから彼女は布石に隠した一本のナイフに託したのだ。
―――メイド秘技 「殺人ドール」
それは何百というナイフをかわし弾いてきた妖夢には決して気づけない一本。まして初めて動揺を顔にした咲夜の姿に絶好の好機を見出した一瞬ならばなおさらのこと。
急所は外れているとはいえ、もはや決着はついたと言っていい。限界まで均衡していた両者、その一方が傷を負えば天秤は一気に傾くのは必然だった。
「……私の勝ちよ、妖夢」
宣言するその声に誇るものはない。長い張りつめた空気は想像以上に両者の心身を削っていたようだった。
「動揺している
だが、それは妖夢だからこそ犯せた過ちだ。あれほどの瞬間のスキを確実に見出し、そこに全てをかけられる潔さは、勝負においてむしろプラスになる場合の方が多い。
卓越した剣士だからこそ可能な、生死を越える踏み込み。……相手が悪すぎたとしか言えまい。それを見越した上で罠にかけられる者など、咲夜をおいて誰がいよう。
「……悪く思わないで。私はお嬢様に仕える従者。私は……お嬢様をお守りするのよ。だから負けるわけには、いかない」
妖夢はうつむいて答えない。その表情を伺うことも出来ない。だがその放心した様子と、もはや戦う意思が無いことは見て取れた。
「…………」
咲夜は無言でナイフを取り出す。とどめまで差す気はないが、妖夢にはしばらくここで倒れていてもらう必要があった。
「悪く……思わないで」
声には沈んだ想いがあり。放たれたナイフは迷いなく正確に妖夢の四肢へと飛んで行った。
「あ……あぁ……ぁ……ァ」
体温があり得ない速度で下がっていく。背中だけだった痺れが全身に及び、かろうじて刀を握る手ももはや固まっているだけに過ぎない。
動くな、と。身体中が妖夢に訴えていた。
動けば気を失う程の痛みが走ると、心が弱音を吐いていた。
ただ寒く。身体から抜け切った熱を取り戻す術もなく、妖夢はただ真っ白になった視界を受け入れていた。
「……悪く思わないで」
誰かの声が聞こえる。それが誰であるか、名前を、顔を、人となりを妖夢は思い出せる。思い出せただけで、それを実感することが出来ないでいた。
「(誰ですか? あなたは?)」
「私はお嬢様に仕える従者」
「(ああ、あなたには仕えるひとがいるのですね)」
―――待って。
「私は……お嬢様をお守りするのよ」
「(立派です。わたしもあなたのように誇り高く生きていたいと思います。主の傍らで主を守り、その命に従い、その命と共に生きる。そういうものですよね、従者の生き方というものは)」
―――待って。どうして私はそんな事を知っているの?
―――それは、それは、誰の話?
―――私は、
―――私は、誰?
「だから……」
灰色の声が言う。
その先を、私は知っている。何故なら私は彼女と同じ―――
「「負けるわけには、いかない」」
彼女と、同じ従者だから。
誰の? 誰が? 私は。お嬢様の。誰? お嬢様の。だから、それは
―――あなたと遊ぶのは退屈よ、妖夢。
―――……でも、わたしは
―――わたしは、そんな真っ直ぐなあなたが好きよ。
まだ幼かったある春の日。桜の下で告げられた、彼女の真摯な言葉。
私はそれに応えようと、小さい手に剣を握ったのだ。
誓いを、いつまでも共にあるという約束を。
彼女を、守り通すために。
「幽々子……お嬢様……!」
刀を握る手が力をこめる。それだけで全身が悲鳴をあげたが、そんなことは気にすべきことでは無い。傷ついた身体と心に、あの一言だけが染み渡っていく。
私は負けるわけにはいかない。
先代がいつか言っていた。お嬢様をまだ未熟な私に任された時、全てを忘れてもこれだけは覚えておけと。
―――妖夢、肝に銘じておけ。我らが負けた時、主の盾となる者は存在しないことを。
「……心せよ。我ら仕える者が膝を屈する時、うち倒されしは己ではない」
身体を起こす。気配がナイフの接近を伝えてくる。その勢いに迷いは無い。弾かなければ本当に戦うことが出来なくなる傷を負う。
立ち上がろうとして、身体と心が最期の弱音を吐いた。
瞬間、心に刀を刺す。刀の名は白楼剣。人の迷いを断つ、私の愛刀。
「―――ッ!」
顔を上げ、迫る鋼を睨む。
―――ギッ……キキキィィン!
立ち上がりざまに振るった楼観剣で、妖夢は四本のナイフを叩き落した。
満身創痍。妖夢の受けた傷は決して浅いものではない。息は切れ、血は流れ。無理矢理身体を動かした反動は軋みとなって妖夢を苛んでいた。
それでも妖夢は二刀を上げる。幽々子に仕える従者としての誓い。父の教えを深く思い出して。
「膝を屈する時、打ち倒されしは、我らが主。……故に、我らに決して敗北は無い」
そして。
妖夢は自身が成し得る、最大の賭けに出た。
信じられない、と咲夜は呆然とつぶやく。
あれだけの傷を負って立ち上がってくるなど。……いや、想像していなかったといえば嘘になる。確かにその可能性はあった。だが確認したはずなのだ、妖夢には戦う意思は残っていないと。
……いや、今は状況の何故を問う時ではない。今は、初めて見る妖夢のあの構えの意味を探らなくては。
立ち上がった妖夢が取った構え。
楼観剣を鞘に収め、右手に握り、腰構えに。十字を組むように、白楼剣を左手に、肩に乗せて。
その意味するところを咲夜は瞬時に読み取る。即ち
「(居合……あの短剣は追撃、ね)」
恐らく妖夢は神速の踏み込みをもって居合い抜きに繋げ、さらに白楼剣で追撃するつもりなのだ。片手での長刀抜刀、疾走からの連携、その難易度は妖夢をして容易に極められるものではないはず。
咲夜はナイフを握りなおす。
「(それでもあの子は成すでしょうね)」
それ以上は動けない。動けば両断される予感が嫌というほどした。居合いは後の先を取るための技術……こちらから仕掛けることは相手に機会を与えるだけ。
…………空気が張りつめる。
『時間操作』のための集中すらできない。反応を遅らせる可能性になるだけだ、と咲夜は自らの能力を放棄する。咲夜は、自らの反応と技術だけで妖夢に対そうとしていた。
言うまでもなく彼女が得意とするのは遠距離戦である。『時間操作』と『糸』、そのどちらも投擲攻撃者には大きく有利に働くからだ。
言い換えれば咲夜は
先に述べたはずである。咲夜の武器は彼女自身。
近接戦闘だろうと、その能力を封じられようと、彼女の武器は損なわれてはいない。
既に身に染み付いた構えを取る。
それは幾度も繰り返しながら、一度も相手に放ったことのない技でもあった。
咲夜と戦いたくはないという妖夢がいる。
振るわなければ敗北するという妖夢がいる。
そして、何をおいても主を守ると誓った妖夢が、最も確固として存在した。
だから彼女は放つ。
―――奥義
その身に宿る最大を超えた技量を以って。
―――「桜花狂咲斬」
反応したというより、予感がしたといった方がいいだろうか。それとも時を操る彼女は、この一瞬未来を垣間視たのかもしれない。
まだ妖夢が一歩を踏む前に、咲夜は全力で上体を反らし。
刹那、その残像を銀の一閃が両断していた。
はらり、と咲夜の前髪が一本、宙に舞う。断じて触れてはいない。咲夜は生まれて初めて、真空刃による切断……俗に『飯綱』と呼ばれる現象を体感した。
その速度は咲夜の想像を二つ超越したもの。かわせたことは偶然以上の何ものでもない。
心に走る動揺を噛み殺す。次が来ることは予測済み。そして、それをかわすことがこの勝負の決着となることを咲夜は知っている。
伸びきった右手に追従するよう、妖夢の身体が四半回転する。遠心と体重を見事に左手に乗せ、迷断の白楼剣が振り下ろされる。
上体を反らした咲夜の体勢は不利。一瞬でもタイミングを外せば即座に短剣を浴びるというその状況でなお、咲夜は息ひとつ乱さない。
―――キィン!
その音は咲夜にとって勝利を決定する音色。
振り下ろされる白光の線を、横合いからの一突きで折り曲げた。
妖夢は全力の二撃をしのがれ、もはや咲夜のナイフをかわせるはずもない。
後はただ突き出すだけ、とナイフを持ち直して……
咲夜は、その光景に、一瞬、本当に、我を忘れた。
鞘から抜き放たれた楼観剣が残す軌跡を。
辿るように戻って行ったその奇跡を。
―――キンッ!
その音が響くと同時に、まるで時を戻したかのように、白楼剣は放たれる以前と全く変わらない位置に戻っていた。
そう、同じ、
―――もう一度、居合い抜きを放てるということ。
「―――ッ!」
ぎりぎりで咲夜は正常な意識を取り戻す。
次の瞬間に放たれるだろう長刀をかわそうとして、咲夜は躊躇した。
この技の正体がどういうものかを見破ってしまったがため。
そしてその躊躇が、この勝負の行方を決定した。
―――バギィンっ!
鈍い音。咲夜がとっさに盾にしたナイフがへし折れる音だった。
妖夢の楼観剣はナイフを叩き折り、そのまま咲夜の銅に直撃した。懐に仕込まれたナイフのおかげか惨事にはなっていないが、それでも骨の四、五本は折れているだろう。もっとも、盾が無かったとすればそれでは済まなかっただろうが。
七米(メートル)弾き飛ばした咲夜の姿を視界におさめ、妖夢は脱力して腕を下げる。
妖夢が使った奥義の正体は、居合い抜き、追撃、高速納刀を繰り返す神速の連携技だ。中でも最難関とされるのは片手で、しかも抜きと変わらない速度で鞘に戻すという高速納刀。
針に糸を通すどころか、糸に針を通す位の技量と集中が必要なのは言うまでも無い。
実際、妖夢ですら成功したのは先刻の一回が初めてだった。はっきり言ってしまえば連続抜刀術は出来て二回が限度だったのだ。
これは妖夢にとって最大の賭けだった。
そしてその賭けに彼女は勝ったのだ。
「…………咲夜、さん」
息を切らしながら倒れたままの咲夜に近づき、楼観剣を突きつけた。
「私の、勝ちです」
咲夜は答えない。どこかぼんやりとした気勢で天井を眺めているだけだ。
「負けるわけにはいかない、のは、私も同じです。……でも、私は、咲夜さんを」
そこで妖夢は言葉を切る。
「……降参してください、咲夜さん。勝負はつきました。もう、ここで大人しくしていて下さい」
それはどこか懇願するような響きでもあった。
そんな妖夢に初めて目をむけて、咲夜は眩しそうに目を細めた。
「そう、……でもね、最初に言ったはずよ。お嬢様と共にいるのが私って」
「さく……!」
涙すら零れそうな妖夢の目の前で、咲夜の身体が煙のようにかき消えた。
「なっ……!」
目など一瞬たりともそらしていない。まばたきすらしなかった視界から、彼女は奇術師の芸のように消え去ってしまった。
「―――私はお嬢様の下へ行かせてもらうわ。あなたの足止めはこれで十分だから」
その声は妖夢の背後から、この部屋の扉にもたれている咲夜自身から発せられた。
そのまま咲夜はゆっくりと扉を閉めていく。
彼女に手を伸ばそうとして、思うように動かない手足が空回る。もはや妖夢の身体は限界を過ぎていた。
「さく……や……さん」
バタン、と音を立てて。
その重々しい扉は、二度と開かない封印のように閉じてしまった。
「はぁ…………」
廊下にへたり込んで、咲夜は疲れ果てたようにため息をつく。その姿は彼女を知る者なら全員が疑うほど、今の咲夜には余裕というものが無くなっていた。
妖夢が放った技。最後に躊躇
逆なのだ。
咲夜は最後の長刀をかわすことが出来た。しかしそれをしていたなら、追撃の白楼剣が確実に咲夜を捉えていただろう。もしそれを防げたとしても、その次が、そしてその次が……。
だから躊躇った。そしてあえて居合いを受けることを選択したのだ。
「正確には、かわせるほど余裕が無くなっただけなんだけれどね……」
しかしそれが正解だった。結果として最小の被害で
咲夜が欲していたのはその時間。戦いが始まってから一度も使えなかった『時間操作』を使うだけの、集中時間が欲しかった。時間を止めている間に逃げられるだけの集中時間が。
咲夜の目的は最初から妖夢を倒すことではない。レミリアの下へ向かう敵の数を減らすこと。要は足止めで十分だったのだ。
目的はある意味で達成され、ある意味で失敗している。妖夢と相打ちでは意味が無い。かろうじて動ける今の自分が向かったところで、果たして助けになるものか。
正直、甘く見ていたと言わざるを得ない。……いや、もしかすると自分が手を抜いていたのか。時間を止めたあの時、どうして自分は妖夢にナイフを突き出さずに逃げたのか。
「……ふっ!」
振り払うように、息を吐いて立ち上がる。胸の横が痛い。
この種の骨折は応急処置が出来ない。動けば悪化するだけと理解しながら、咲夜は歩き出す。
「お嬢様……いま、参ります、からね……」
そこにいるのは、傷を負いながら咲夜に打ち勝った妖夢と同じ、一人の従者。
足を引きずり、装飾は外れ、ぼろぼろになった無様な姿だとしても。
妖夢が憧れ、完全で瀟洒と呼称されるにふさわしい、十六夜咲夜という一人の従者の姿だった。
どさり、と床に倒れこむ。
もはや出血で頭まで真っ白になりつつある妖夢は、高い天井をただ眺めていた。
その天井が霞んできた気がして、右腕をまぶたの上に乗せる。
「…………ぅ」
隠れた顔の端から、水滴が垂れていく。
そこに込められた感情が何なのか、彼女にもよくは分からない。
咲夜にまともに相手にされていなかったことを悔しがっているのか。その意味で負けたことを悲しんでいるのか。単に緊張から解き放たれて気がゆるんだだけか。身体を苛む痛みに耐えかねたのか。
分からなくとも、妖夢が自身に呟く言葉はすぐに出てきた。
「私は……未熟です」
それは、幾度も繰り返してきた自分への戒め。妖夢が妖夢たる、その真面目さの象徴だった。
その時だった。妖夢以外誰もいない部屋に、懐かしい声が響いたのは。
―――そんなことはない。此度のお前はよくやった。
ただ一言。
それきり何の気配も無く、部屋には蝋燭のちろちろと燃える音だけが静寂に響いているだけ。
その声を妖夢は知っている。懐かしい声。ずっと前に彼女の前から姿を消した、あの人の声を。
「し……しょ……う?」
掠れた妖夢の声に答えるものは無い。
きっと幻聴だろう、と彼女は思う。誉めて欲しいと願う己が作り出した、つまらない幻だと。
それでも。
「私は……ほんとうに、未熟です……」
その声を最後に、妖夢の意識はゆっくりと落ちていった。
床に寝転ぶ姿は、まるで染井吉野。
腕には、鞘に納めた彼女の愛刀が二本。
すうすうと寝息を立てだした幼い顔には涙の跡。
そして、いつかの修練の日々、師と呼んだひとに頭を撫でられたあの時のような。
幸せそうな微笑みを、ほんの僅か、香らせて。
この部分だけを上手い具合に抽出しても一つの作品になりますね。
ただ初投稿の作品であらすじと言われてしまうと、読み手としては混乱する事この上ない事です。
練習と言われるので、アドバイスを一つ。 次回の改善点として、もう少し物語の設定をごく自然に読み取らせる事を心がけてみては如何でしょうか?
なんでレミ様がもう一度グレちゃったのか? 霊夢と魔理沙と、そして肝心要のゆゆ様は何のために出てきたのか? これらの設定や伏線を、あらすじだけで片付けてしまうにはちょいと難がありましたね。
あと文中の改行は必要ないですよ。 一文纏めてつなげてた方がいいです。
でないと画面設定によっては変なところで改行になりますから。
できれば上記伏線背景を保管する作品が見たい所です。 頑張って下さい。
ルビタグ入ってるところが勿体無い(^^;
いきなり「前回のあらすじ~」と来たところは、あれ、と違和感が。
入れなくてもよかったのではないでしょうか。
趣味かもしれませんが、その場その場で理由を出すよりも、もうちょっとまとめて展開させてから、理由を付けて行ったほうが良いと思います。
がっくんがっくん左右(妖夢視点、咲夜視点)に振られて、酔いそうでした。
<s>……なんか、昔の自分の作品を見ている気分でした。</s>(まて)
にすっかり騙されました(;´Д`)
作品集その9からその3まで探した所でおかしいと思って後書き見たら「ハジメマシテ」と。
まぁ、瑣末な事ですが。
何か全体的に不完全燃焼な気がします。
紅魔館の異変とは? レミリアの目的は何か? 霊夢と魔理沙はどうなった?
(この作品が続き物なのだったら、この辺の突っ込みは慧音さんに無かった事にしてもらいますが^^;)
あと個人的に既存キャラへのオリ設定ってあまり好きじゃないです。
咲夜さんの空間操作を『不可視の糸』に置き換えるって発想は、ある意味いいものなのかもしれませんが、ね。
あとついでに、妖夢の師匠は妖夢の祖父の妖忌ですよ?
ところでやたらしつこくお茶菓子を要求する霊夢萌え(*´Д`)
それらを受けていろいろとお返しを。
>…………以上、前回までのあらすじ。
イキナリ今回一番の問題児から(笑)
まず言わなくてはならなかったことは、この作品があくまで「咲夜と妖夢の真剣なバトル」を描くことだけが目的だったこと、です。
最初のあらすじは書き終わったあとでデッチアゲたものなんです。
そこを説明なしで「前回まで」とか書かれたら、混乱してしまうのは当然のことでした。
この説明不足のために不要な手間をかけさせてしまった、無為さまをはじめとする読者様がた、本当に申し訳ありませんでした。
>咲夜の能力について
これについてはmichisato自身、いいのかなぁとか思いながら書いてました。(おいおい)
ただ、今回のコンセプトが「まじバトル」だったので、できるだけ能力に制限と理屈をつけないと勝負にならなかったのです。
『糸』は空間操作、というより単にナイフの操りにしか使用できない程度の能力として描いたつもりです。
攻撃中のナイフ回収、掃除や休憩に時間を止める、などといった設定から、michisatoが導き出したひとつの解釈とご理解下さい。
>お話の前後
前述したとおり「東方狂魔館」はひとつのお話として作られたものではありません。
が、このまま放っておくのも無責任かと思いますので、最初からちゃんと完結するお話をひとつ、書、け・・・たらいいなと。
構想だけなら纏まりつつあります。
公開する機会があれば、その時はまたよろしくお願いします。
続き物と言う意味では成立していないのでマイナスなのでしょうが、純粋に咲夜さんVS妖夢ものとして見るとすげー面白いです。
続き物じゃねぇのかよ、こんにゃろめ!とよい意味で思わせてくれます。
いいものを書ける実力はあるんだから、次はちゃんと書きやがれ、でございます。