Coolier - 新生・東方創想話

ウルトララン 第四話

2004/12/19 00:02:07
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ここ、博麗神社は、由緒正しいと思われる神社である。
だが、その由緒正しいと思われる神社は、巨大な何かに蹂躙され、ぶっ壊れていた。
とても、人が冬を越せる場所では無い。
よって、そこに居るはずの巫女は、

     霊夢「はぁ~・・・。何でよりによって、兎小屋なのよ・・・。」

兎小屋に、住んでいた。

     鈴仙「ほらほら、ぼさっとしてないで働く!」
     霊夢「ちゃんと、庭掃除くらいやってるわよ。」
     
どうやら、少し違うらしい。
鈴仙・U・イナバが居るということは、どうやら永遠亭に、ご厄介になっているようだ。
庭の掃除をやらされてるあたり、いつもの生活と大差は無いように見えるが。

     鈴仙「働かざる者食うべからず。師匠もそう、仰っていたわ。」
     霊夢「輝夜は働いてないじゃない。」
     鈴仙「姫はいいのよ。やんごとなき御人だから。」

偉い人の特権である。

     鈴仙「まぁとにかく、路頭に迷いたくなかったら、しっかり働きなさい、食客。」
     霊夢「む~・・・・・。」

紅魔館はアレだし、魔理沙の家は散らかっている。
人間の里は面倒そうだし、アリスの家も、魔理沙と似たようなものだろうと思う。
冥界は辛気臭いし、香霖堂は誰かさんが口煩いし・・・・。

     霊夢「結局、居心地とかその辺じゃ、この兎小屋が一番マシだと思うのよねぇ・・・。」
     鈴仙「兎小屋言うな。」
     霊夢「じゃ、兎屋敷。」
     鈴仙「そういう問題じゃなくてね。」

別にここは、兎以外が住んでいないわけではない。

     永琳「掃除はそこまでよ、食客。」

こんな住人も、居たりする。     

     永琳「みんな、集まってるわ。」
     霊夢「みんなって・・・。ああ、あいつらね。こっちに集めたのか。」
     永琳「そういうこと。ウドンゲ、おもてなしの準備。」
     鈴仙「かしこまりました。」

さっきも言ったが、博麗神社は殆ど廃墟と化している。    
とても皆で集まって、お茶でも飲みながらのんびり会議、という雰囲気では無い。
そんなわけで、みんなこっちに集まってきているらしい。

     永琳「広間に集合よ。」
     霊夢「わかったわ。・・・自分ちのお茶を消費しないでいい分、気は楽かもね。」

二人は、広間に向かう。

    魔理沙「お~、来た来た。宿無し坊主が。」
     霊夢「坊主じゃなくて巫女。」
    アリス「兎小屋に居候なんて、堕ちたものね。」
     霊夢「小屋の掃除が日課よ。少しくらい楽させてくれてもいいのに。」
     咲夜「働かざる者食うべからずよ。」
     霊夢「さっきも聞いたわよ、それ。」
     慧音「労働の喜びを、少しは味わったか?」
     霊夢「不味い、とだけ言っておくわ。」

広間に集まっていた一同は、それぞれ霊夢に言葉をかける。
労いや慰めの言葉などは、一つも無い。
が、それを気にしていても仕方ないので、さっさと話を進めることにする。
   
     咲夜「え~、これより、新本部における、定例会議を行います。」
     永琳「こらこら。勝手に本部にしない。」

何時の間にか、永遠亭は新本部となったようだ。

     永琳「あくまで、『仮』の本部だからね。そこを間違えないの。」
    魔理沙「本部、であることに変わりは無いぜ。」
     慧音「しかし、落ち着かんな・・・。」
     咲夜「遠慮しないでいいわよ。自分の家だと思って、くつろぎなさい。」
     永琳「私の家だってば。」

正確に言えば、輝夜の家だろう。
仕切ってるのは、永琳だと思うが。

     霊夢「あ~・・・・・。早く帰りたい。」

前本部、博麗神社の再建は、未定である。
ひょっとすると、ずっと再建されないかもしれない。

     霊夢「冗談じゃないわ!」
     咲夜「誰に怒鳴ってるのよ?」
    魔理沙「おい、霊夢がおかしくなったぜ。」
     永琳「薬飲む?」
    アリス「何とかは、死ぬまで直らないとか言うわ。」
     慧音「重症だな。冥界逝きか?」

一斉に、霊夢にツッコミが入る。
まぁ、それは置いといて、会議である。

     咲夜「こほん、この間の戦いで、気になることが幾つかあるわ。」
    アリス「何?」
     咲夜「まず、リグモン。あれは、巨大化せず、ただの妖怪のまま、その一生を終えたわ。」
     慧音「死んだのか?」
     咲夜「そして、霊夢が巨大化したこと。」
    魔理沙「つまりこのことから、アリスのネーミングと巨大化の関連性は、殆ど無いと言うことがわかる。」
     霊夢「そうなの?」
    アリス「あるわけ無いわ。」
     永琳「変な名前付けられて、不思議な力が作用して巨大化・・・。有り得るかもね。」
    アリス「無いってば。」

とにかく、アリスが原因では無い。

     咲夜「私が言いたいのは、巨大化は妖怪だけのものではない、という事よ。」
    魔理沙「霊夢なら、何が起こっても不思議じゃあないが。」
     霊夢「巨大化は日常茶飯事じゃあないわ。」
     咲夜「脱線する前に話を戻すけど、私は、ある仮説を立てたわ。」
     慧音「仮説・・・?」

一同が、咲夜に注目する。

     咲夜「霊夢、そして、この間捕まえたルーミア。この二人には、ある共通点があるわ。何だと思う?」
    魔理沙「目からビーム。」
     霊夢「出さない。」
     永琳「そーなのかー。」
     霊夢「言わない。」
    アリス「黒い。」
     霊夢「それは魔理沙。」
     永琳「周りが暗い。」
     霊夢「暗くないし。」
    魔理沙「大食。」
     霊夢「そんなに食べない。」
    アリス「頭が春。・・・あっちが当てはまらないわね。」
     霊夢「今は冬の真っ只中よ、私は。」

ボケなのか本気なのか、次々に意見を出す暇得隊。
霊夢はそれに対し、ひたすらツッコミを入れる。

     霊夢「で、結局何なのよ、咲夜。」
     咲夜「霊夢は、神社を壊されて、堪忍袋の尾が切れた。そして、ルーミアは・・・?」
    アリス「・・・確か、食いしん坊キャラを、何処かの誰かさんに取られて、考えてるうちに
        無性に腹が立ってきた・・・・。こんなんだったかしら?」
     咲夜「そうね。」
    魔理沙「して、そのこころは・・・・?」
     咲夜「二人に共通する点。それはズバリ、『怒り』。」
     慧音「怒り?」

全員が、咲夜に注目する。

     咲夜「『怒り』の感情に何かの力が干渉し、巨大化の現象が起こる・・・・。」
     慧音「ふむ・・・。」
     永琳「見事な仮説、と言いたいところだけど、穴もあるわね。」
     咲夜「対象が二人じゃ、結論なんて出せない。そう言いたいのね?」
     永琳「そう。対象はまだ、巨大雀に、あと・・・・、何だったかしら?」
    アリス「メルラン躁人。」
     永琳「ああ、そうそう。それに関しての情報が無いわ。」
     咲夜「あいつらに関しては、まだ調査中よ。一応、捕獲済みだから。」
    魔理沙「まだ穴はあるぜ。リグモンだ。」

未だにリグモンと言われ続けるリグルが哀れだ。

    魔理沙「あいつは、怒っていたような素振りを見せたが、巨大化はしてないぜ。」
     咲夜「そう。だから私は、これを結論ではなく、仮説とした。」
     永琳「詭弁に聴こえるけど、間違ってはいないわね。」

 
 ガラ!


会議の途中ではあるが、突如、ふすまが開いた。

     霊夢「ん?」
     永琳「あら、てゐじゃない。」

現れたのは、因幡てゐ。
この兎屋敷の、影のボスと専ら噂されている妖怪兎だ。

     永琳「どうしたの?」


 しゅたたたた!


てゐは、素早く永琳に駆け寄り、


 ぼそぼそ・・・・


何事か、耳打ちした。

     永琳「・・・・・何ですって!」

永琳が、驚きの声を発する。

     咲夜「どうしたの?」
     永琳「姫が、逃げた。」
     霊夢「何よ、それくらいで。この間、うちに不法侵入したばっかりじゃん。」
     永琳「そりゃそうだけど、あれとこれとは話が別だし、今は事情が違うわ。」
    アリス「それって、どういう意味よ?」
     慧音「何かやらかすつもりなのか?お前のところの姫君は。」
     霊夢「いつも何かやらかしそうじゃない、あいつは。」

    
 どす~ん・・・・・


 どす~ん・・・・・


外から、何やら音が聴こえてきた。
恐らく、怪獣の足音だろう。
揺れも感じる。

     永琳「まさか・・・・・。」
     霊夢「今度は輝夜が巨大化?こりゃ骨が折れそうね。」
     咲夜「暇得隊、出動!」

咲夜の声とともに、全員が外へ出る。
そこで、見たモノは・・・・。
     
     輝夜「えいり~ん!これこれ~!」
     鈴仙「ウゥドォォンゲェェ~~~~!!!」


 どす~~ん!


 どす~~ん!!


唐突に、何時の間にやら巨大化した鈴仙・U・イナバであった。

     永琳「ウドンゲが・・・・。って姫!何してるんですか!」
     輝夜「いや、あんまり面白いから。」

巨大鈴仙の頭に乗っかってるのは、輝夜。
鈴仙をコントロールしているのか、それとも、ただ乗ってるだけなのか、よくわからない。

    魔理沙「早速だがアリス、あれの名前は?」
    アリス「『月兎怪獣ウドンゴ』。そして上のは、『ジミナ人間』ね。」
     永琳「『地味な人間』って・・・、姫まで怪獣扱いするな。」
     
巨大鈴仙ことウドンゴはともかく、普通の輝夜まで怪獣扱いされて
挙句に地味と言われれば、仕える方はたまったもんじゃない。

     永琳「姫!とにかくそれ・・・、ウドンゴから降りてください!」
  ジミナ人間「あはははは。行け行けイナバ~!」
   ウドンゴ「ウドンゲェェエエエ~~~~!!」


 どす~ん!!


 どす~ん!!


永琳の声など聞こえていないのか。
ジミナ人間はウドンゴに命令を発し、どこかに行こうとする。
妹紅でもびっくりさせに行くのだろうか?

     永琳「駄目だ・・・。最早、身も心も『ジミナ人間』なのね・・・。」
    アリス「だから、ジミナ人間だって言ってるでしょ。表記も代えられてるし。」

そんなんに乗ってるから、地味だって言われるのに・・・。
永琳は、そう思う。

   ウドンゴ「シィ~~~ショ~~!!!」
     永琳「仕方ない・・・。みんな、アレをやっつけちゃって頂戴。」
     霊夢「まぁ、宿泊代として、退治してあげるわ。」
     慧音「結局、こういう展開か。」
     咲夜「攻撃目標は、ウドンゴ!!ジミナ人間は放っておいて、攻撃開始!」


 どど~ん!!


 どか~ん!!


   ウドンゴ「グエェェェエエエエ!!」

各自が、思い思いの攻撃で、ウドンゴに攻撃を仕掛ける。
が、例によって、その攻撃が効いているようには見えなかった。

  ジミナ人間「むっ!永琳ってば、私を無視して攻撃してくるつもりね。」

輝夜こと、ジミナ人間は、放っておかれてることにご立腹だ。

   ウドンゴ「ヒィイ~~~~メェエエエ~~~~~~!!」
  ジミナ人間「やっておしまい、イナバ。」
   ウドンゴ「ギエエエェェェエエ!!」


 ズドン!!


 ズドン!!


ウドンゴが、名物『座薬弾』を発射した。
もちろん、ウドンゴ対応のサイズで。


 ドド~~ン!!!


     慧音「おお!?」

巨大な座薬っぽいものが、地面にめり込んだ。

     霊夢「・・・こんなん喰らったら、死ぬわよ。」
     永琳「これじゃ、銃弾どころか、大砲の弾ね。」
    魔理沙「だがな。こんな大きな弾、避けてくれと言ってるようなもんだぜ!」


 シュン!


魔理沙が、例によって自慢のスピードで、正面からウドンゴに突撃した!

     永琳「ちょっと!月の兎の力を忘れたの!?」

永琳が、魔理沙に向かって叫んだ瞬間、

   ウドンゴ「シャァァアアアア!!」


 <○> <○>


    魔理沙「!?」

月の兎の、狂気の瞳が発動した。
巨大化によって、その力も数倍。
一応、普通の人間である魔理沙が、それを喰らって無事で済むはずもなく、

    魔理沙「うおおおおおおお!?」


 ど~~~~~ん!!!


     永琳「ああ!何てこと・・・・。」
     霊夢「屋根に突貫したわね。」

魔理沙は方向感覚を失い、そのまま永遠亭の屋根に突貫し、大きな穴を開けてしまった。

     慧音「このままでは、神社の二の舞だな。」
     永琳「姫!家が壊れますから、それから降りなさい!」

無駄と思いつつ、永琳はジミナ人間を諌めるが、

  ジミナ人間「よくやったわ、イナバ。」
   ウドンゲ「ウゥゥドンゲェェェ!!」

やっぱり聞いていない。
もう、ノリノリである。

     永琳「く・・・。私の教育が至らないばかりに、こんな・・・・。」

嘆く永琳。
が、その嘆きに、さらなる悲劇が重ねられようとしていた。


 ぴか~~~~~!!!


突如、竹林の一角から、光が放たれた。

    アリス「!これは・・・・。」
     永琳「まさか・・・・!」

そう、そのまさかである。

 ウルトララン「ヘア!」

ウルトラランの登場だ!

     永琳「こ、こんなときに出てくるなんて・・・・!」
     咲夜「あ~あ、これじゃ、神社の二の舞ね。」

前科があるので、誰も歓迎してくれない。

    魔理沙(今回はまぁ、兎小屋だ。遠慮なくやってしまえ。)
 ウルトララン「(うう・・・。もう変身したくなかったのに・・・・。)」

前回、R&Wキングに成す術なくやられてしまったときの心の傷が、まだ癒えてはいないウルトララン。
しかし正義のヒーローは、それを克服してこそ強くなるのだ!
がんばれ、ウルトララン!

 ウルトララン「(・・・くそ!こうなったら、こいつで憂さ晴らししてやる!)」

とりあえず、ある程度前向きに思考を持ってきたウルトララン。

 ウルトララン「ヘア!!」


 ゴウ!


ウルトラランのパンチ!


 ドカ!


   ウドンゴ「ゲェエエエエ~~~~!!!」


パンチが、ウドンゴに命中!
効果も絶大だ!

 ウルトララン「(いける!こいつなら倒せる!)」

まぁ、R&Wキングに比べたら酷ではあろうが。
とにかく調子に乗ったウルトラランは、このまま一気に倒してしまおうと、今一度パンチを繰り出す!
が・・・。

   ウドンゴ「シャアアアアア!!」 
     永琳「ウドンゲ!そいつにその技を使っちゃ・・・・!」


 <○> <○>


 ウルトララン「!!」

ウドンゴの、狂気の瞳!

 ウルトララン「ヘ・・・ヘア・・・!」

方向感覚を狂わされ、真っ直ぐにパンチを繰り出せなくなったウルトラランは、

 ウルトララン「ヘハ~!」


 ど~ん!!!


永遠亭に向かってパンチするという、暴挙に走った。
お約束だ。

     永琳「・・・・やってしまった・・・・。」

屋根に開いたもう一つの穴を見つつ、永琳が呟く。
ウルトラランは、
      
 ウルトララン「ウェア~・・・!!」


 どど~ん!!


もう一発パンチを放ち、また穴を開けた。

 ウルトララン「ジュワップ・・・・。」

ウルトラランは、気持ち悪そうに口を押さえている。
ここで何か吐いたら、放送禁止だ。
耐えろ、ウルトララン!

 ウルトララン「ウエ・・・・・。」


 ふら~・・・・・


たまらずウルトラランは、後ろに倒れこんだ。
当然そこには、


 バキバキバキバキバキ!!


永遠亭があるわけで、


 ド~ン!!!!


豪快に倒れこんだウルトラランの下敷きになり、永遠亭の一部は潰れてしまった・・・・。

 ウルトララン「(ダメ・・・、気持ち悪い・・・。)」

ウルトラランは戦闘不能だ。

  ジミナ人間「イナバ、よくやったわ。」
   ウドンゴ「ドンゲェェェェ~!!!」

ウルトラランをやっつけたものと、勝手に解釈したジミナ人間は、ご満悦だ。
ウドンゴも、何となく嬉しそうだ。

  ジミナ人間「よし。それじゃあついでに、あそこに居る有象無象も。」
   ウドンゴ「ゲェェェ!!」

調子に乗った二人は暇得隊に、再び攻撃を仕掛けようとする。

     霊夢「魔理沙にしろウルトラランにしろ、役に立たないわねぇ。」
     慧音「おい、何か、私たちの方、見てないか?」
    アリス「こっちに来るわよ!」
     永琳「いけない!こっちは・・・。」


 バキバキバキバキバキ!!


     永琳「ああ!」

ウドンゴは、永遠亭を壊しながら、暇得隊の方へ向かってくる。
 
     永琳「こらぁ!やめなさいウドンゲ!!」
   ウドンゴ「ドンゲェェェ~~~~~!!」
  ジミナ人間「あははははは!」
     永琳「姫!笑ってないで止めてください!」


 バキバキバキバキバキ!!


  ジミナ人間「あ~ははははははは!!」
     永琳「姫!いい加減にしなさい!」
   ウドンゴ「ドンゲェェェ~~~~~!!!」


 バキバキバキバキバキ!!


永遠亭がウドンゴと、それを操っている(かどうかわからない)ジミナ人間によって蹂躙されて行く。
完全に、博麗神社の二の舞だ。


 ひゅん!


と、そのとき、永遠亭の残骸が、音を立てて飛んだ。


 ガン!


     永琳「ぶっ!」    

残骸は、永琳の頭に見事命中!


 ぶち・・・・


     咲夜「ち。ここも時間の問題ね・・・。」
     慧音「一か八か、撃って出るか・・・?」
     永琳「・・・・・下がって。」
     霊夢「あ~?」


 ゴゴゴゴゴ!!


     慧音「!」
     永琳「私がまだ、冷静なうちに、早く!」
     咲夜「な、何・・・?」
    
皆の質問が出る前に、永琳は飛び立つ。
そして、ジミナ人間とウドンゴの前に、仁王立ちする。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!


     永琳「ウドンゲ!!」

ウドンゴに一喝喰らわす永琳。

   ウドンゴ「ウ・・・・・。」

尻込みするウドンゴ。

     永琳「まさか、私に楯突こうなんて、いわないわよねェ・・・・?」
   ウドンゴ「オ・・・・オ・・・・!」

永琳の凄味に、ウドンゴは少しずつ後退する。
その凄味はオーラとなり、少しずつ、何かの形に変化してゆく!

     咲夜「すごい・・・・。」
    アリス「何・・・?あの、魔力の形・・・・。」
     咲夜「・・・・虎よ。」
     慧音「虎だと?」
     霊夢「一方は、虎・・・。一方は、兎・・・。」
     慧音「虎に睨まれる兎か・・・。」

虎と兎の戦い。
しかも、師匠と弟子の戦いである。
勝負は見えていた、はずだった。

  ジミナ人間「む・・・、イナバが負けてるわね。」

ここで、傍観してるだけと思われたジミナ人間が、動いた。

  ジミナ人間「はぁあああああ!」


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!


ジミナ人間は、永琳に負けじと気を放つ。
その気は、龍を描いた!

     慧音「兎の後ろに、龍が!!」
    アリス「龍虎に、兎が加わった争い・・・・。これは、読めないわ。」

ジミナ人間の参加に、びっくりしたのは永琳だ。

     永琳「く!?・・・姫!?」
  ジミナ人間「永琳!楽しいところに水を差さないで!」
     永琳「何を・・・・・!」
  ジミナ人間「永琳・・・。私に、歯向かうつもり・・・・?」
 
ジミナ人間こと蓬莱山輝夜は、永琳の主人。
恐らく、逆らうことはできまい。
ジミナ人間は、そう読んでいた。
が、

     永琳「姫と言えど・・・・。此度の行い、許し難し!!」


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!


永琳が、さらに気を発する。

   ウドンゴ「ヒェ!!」
  ジミナ人間「あ・・・、え、永琳・・・・?」

予想外の永琳の反撃に、戸惑うジミナ人間とウドンゴ。
ジミナ人間の描いたシナリオは、『ゴ』の数の増加とともに、崩れ去った。

  ジミナ人間「ひょっとして・・・・、怒ってる?」
     永琳「おおおおおおおおおおお!!私は怒りましたよ!ひめぇえええ!!!」


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!


かつて、ここまで怒った永琳を見た者があろうか。
怒りのスーパー蓬莱人となった永琳は、ジミナ人間とウドンゴを圧倒する!

   ウドンゴ「アアアアア・・・・・・。」
  ジミナ人間「くぅ・・・・・!なら、こっちも奥の手を使うわ!」

すっかり怯えてしまったウドンゴ。
ジミナ人間は、ウドンゴのおっきなウサ耳に囁いた。
 
  ジミナ人間「・・・イナバ、お前に変な、『優曇華院』って名前付けて勝手にウドンゲって言ってるのは、アレよ。」
   ウドンゴ「・・・・・・!!」
  ジミナ人間「その腹いせをするなら、巨大化している、今がチャンスよ・・・。」
   ウドンゴ「ウウウウウ・・・・・!」
  ジミナ人間「お前は今!究極の力を手に入れた!さぁ、永琳を倒しなさい!!」
   ウドンゴ「シィィイイイイ!!ショォォオオオオ!!!!!」


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!


     永琳「く・・・・?!」

兎のオーラが大きくなり、虎を押し始める。
そう、兎はただの兎ではなく、月の兎である。
虎にも、そう簡単に負けることは無い、はずである。

  ジミナ人間「月の兎は戦闘種族だ!!舐めるなよ~~!!!」
     永琳「あなたは月の人だぁあああああ!!!」
   ウドンゴ「ウドンゲェェェエエエエエ!!!」
     永琳「ウドンゲ五月蝿い!!」


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!! 


『ゴ』の数が、益々増えてくる。
凄い戦いだ。

  ジミナ人間「お前も、あのイナバのように、尻尾を巻いて逃げればいいのよ!」
     永琳「・・・・てゐの事か。てゐの事かぁーー!」

そんな戦いを、暇得隊の他のメンバーは、ただ見ているしかなかった。

     慧音「地上が揺れている・・・。何なんだこいつらは。」
     霊夢「とんだ、内輪喧嘩に巻き込まれちゃったわね。」
     咲夜「こりゃ、私たちの出る幕なんて無いわね。」
    アリス「出たくも無いわ、こんな舞台。」
     霊夢「同感ね。」
     
互角の戦いを繰り広げる、スーパー蓬莱人八意永琳と、ジミナ人間、ウドンゴのタッグ。
しかし、永琳は一人、タッグは当然二人。
永琳の疲れが、徐々に蓄積されてきた。

     永琳「こ、このままでは・・・・!」

永琳のオーラが押され始めた。
が、そのとき!


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!


   ウドンゴ「グ・・・・・!」
  ジミナ人間「何!?この大きな気は・・・・!」
     永琳「力が・・・?一体何?」

大きな力が、ジミナ人間とウドンゴにぶつけられた。

 ウルトララン「オオオオオオ!!」

ウルトラランだ!
どうやら、酔いから復活したようだ。
虎の横に、狐のオーラが並ぶ!

     永琳「ウルトララン!このまま一気に押すわよ!」
 ウルトララン「ヘアァァアアアアアア!!!!」

永琳とウルトラランのタッグに、ジミナ人間とウドンゴもこれまでだ。
誰もが、そう思った、そのとき!


 テンコー! テンコー!


テンコー音が鳴った。


 ズル!


 ドンガラガッシャ~ン!!


方々で、滑ったりずっこけたりする音が聞こえた。
     
     永琳「せ、折角、かっこいい場面だったのに・・・。」
 ウルトララン「シュワ・・・・。」

先ほどの凄味も何処へやら。
永琳はすっかり脱力してしまった。
鳴らした本人であるウルトラランも脱力してしまい、少し申し訳なさそうな表情をする。
    
  ジミナ人間「あ~・・・。」
     永琳「?」

ジミナ人間の声が聞こえてきた。
どうもさっきの拍子に、ウドンゴの頭から滑って落ちたようだ。
ジミナ人間はそのまま地上に落下し、


 グチャ


  ジミナ人間「・・・・・・・・・・・・・。」

死んだ。

     永琳「まぁ、死にながらでも生き返るし。よいしょ。」

永琳は、ジミナ人間こと輝夜を担ぎ上げた。

     永琳「ジミナ人間は確保、と。ウルトララン!」
 ウルトララン「デュワ!」

ジミナ人間は始末した。
あとはウドンゴだけだ!
ウルトラランは、残り少ない時間でウドンゴを始末しなければいけないが、
それくらい、ウルトラランにとっては簡単なことだ、と思う。


 シュウシュウシュウシュウ・・・・


が、そんな気分に水を差すように、何やら変な、しかも不吉な音が聞こえてきた。

     永琳「何・・・・?」
 ウルトララン「ヘ・・・・、ヘア・・・?」
   ウドンゴ「ウ・・・・?」

先ほど、永琳、ウルトララン、ジミナ人間、ウドンゴから放たれた気が、一箇所に集まっている。
テンコー音で脱力し、一気に気が抜けた四人。
その気は、外に放出され、暴走している。

     慧音「何だ・・・?」
    アリス「強大な魔力が、一気に解き放たれたのよ。そして、一つの場所に集う。
        そして、その力がある点、臨界点を越えたとき・・・・・。」
     霊夢「・・・風船に、限界以上まで空気を入れたらどうなるか、想像はつくわ。」
     咲夜「つまり・・・・。」


 シュウシュウシュウシュウシュウシュウ!!


音が大きくなってきた。

     咲夜「爆発する!」
     慧音「に、逃げ・・・・・!」

    
 ぴか!!


     霊夢「あ・・・・・・。」




 ずどばぁぁぁぁぁぁああああああああああああ~~~~~~~~~~~~ん!!!!!!



     
永遠亭と、その周辺は、跡形も無く消し飛んだ・・・・・・。







 ウルトララン「・・・・・・・・・・ケホ。」

いや、巨大な九尾の狐の影は、残っていた。
ウルトラランは生きていた!
全身真っ黒こげだが。


 テンコー! テンコー! テンコー!


 ウルトララン「シュワッチ!!」

誰も居ないなら、テンコーしてもいいよね。
そんな邪念と戦いつつ、ウルトラランは、どっかに飛び去っていった。






さて、その他の面々は、どうしたのかと言うと・・・。

     永琳「ガミガミガミガミガミガミガミ・・・・・・・・。」
     鈴仙「ううう・・・・・・。」
     永琳「ガミガミガミガミガミガミガミガミガミ・・・・・・。」
     輝夜「う~ん・・・・・・・・。」

元に戻った鈴仙と、表記が戻った輝夜は、永琳にこっ酷く説教されていた。
二人は正座し、顔を下に向けつつ、永琳の説教を聞いている。

     永琳「二人には、何らかの形でお仕置きしないとね・・・・。」
     鈴仙「ひええ・・・・・。」
     輝夜「お、お手柔らかにね・・・、永琳?」
     永琳「お手柔らかに、ねぇ・・・・。ふふふふふ・・・・。」

何か、色々意味有り気な笑顔を見せる永琳。
怪獣になった、彼女らの運命は・・・・・?
で、一方、新本部、永遠亭を失った暇得隊と、

     霊夢「・・・また、宿無し坊主だわ・・・・・。」
    魔理沙「巫女だろ?」

居候先を早々に出て行くことになってしまった、霊夢である。
魔理沙は何時の間にか帰ってきていた。

    魔理沙「掃除してくれるなら、うちに来ても構わんぜ?」
    アリス「うちは駄目よ。厄介ごとには巻き込まれたくないから。」
     慧音「同じく。人間の里に、厄介ごとを持ってこられても困る。」
     咲夜「うちなら、まぁ、お嬢様が暇してるから、少々厄介ごと持ってきてもいいわよ。」
    魔理沙「すっかり厄病神扱いだな。」
     霊夢「冤罪だわ。はぁ・・・、どうしよう・・・。」

紅魔館は主人がアレだし、魔理沙の家は掃除したくもない。
人間の里は、この堅物が面倒そうだし、アリスの家も、行ったら掃除させられると思うし。
冥界は辛気臭いし死にたくないし、香霖堂は誰かさんが口煩いし儲かってないし・・・・。

     霊夢「もっと、まともな選択肢は無いのかしら・・・。」

巫女の憂鬱は、続く。
ちなみに、

    魔理沙「おい、さっきの爆発で、私の身体に何かあったか?
      藍(・・・爆発の衝撃で、髪がアフロ。)
    魔理沙「・・・・重症だな。」
      藍(あと、全身大火傷な。)
    魔理沙「もっと重症な方を、さらりと言うな。」

黒い魔法使いの、変身生活も、暫く続くことになりそうだ・・・。 
今度は、ややマイナー(?)な話を持ってきました。やっぱり、怪獣のネーミングの語呂の良さで選んで。
何と言うか、もう、原作破壊もへったくれも無く、何か違うものまで混ざってしまって、申し訳ないと思う一方、壊れ加減にちょっと満足してしまってどうにも言いようが無い気持ちに・・・。ウルトララン活躍してないなぁ・・・。何処かできちんと活躍させなきゃ。
あと、次回はきっと、慧音さんが活躍します。今まで目立った活躍が無かったので。
Piko
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コメント



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30.30nanasi削除
>怪獣のネーミングの語呂の良さで
…ジミナ人間(ボソ
32.無評価Mr.モル削除
まさか違うものまで混じってくるとは!
(そう言えば『西遊記』でもジョジョネタが…)

永琳師匠の髪が逆立って金髪に!(爆)
てゐの事かーーーーーっ!!
46.80名前が無い程度の能力削除
マタンゴか?
47.40レスキューライナー削除
↑ドドンゴとミイラ人間だと思います。
ってかギャグ化するな!