私、アリス・マーガトロイドは、ひょんなことから知り合った、この幻想郷唯一の巫女、博麗霊夢に興味を感じるようになった。あの何事にも縛られず、恐れず、かつ牙を剥き出しにしているのでもない、のんびりした性格はなんとも微笑ましい。ある日、どこかを目指して飛んでいた彼女を見つけ、ちょっとからかってやろうと、軽く魔法弾を放ったらこれがすごく強かった。戦って負けた私を応急手当してくれた後、代価を求めるのでもなく、「じゃあね」と颯爽と飛び去っていく後姿が今も目に焼きついている。私もああいうふうに素直に感情を表に出せたらいいのにと思う。でももし私があの魔法馬鹿の魔理沙みたいに、なんでもずけずけ言う性格だったら、そのときはそのときで別の人を好きになっていたのかも知れない。人間は自分と異なるものに惹かれると言う。確かにすべてが同じ存在ならこの世は何とも味気ない世界だろう。そんな風に考えれば、こんな私の性格も100パーセント否定しなくても良いのかも。
どこかで私の要素が誰かの人生に影響してるのかもしれない。まさかね。
まてよ、訂正する必要がある。私はすでに彼女に好意を抱いているのだ。でなければ「別の人を好きに・・・」などと言うものか。どうしてこんな風に感じるんだろう。思えば、魔法使いの一族としてこの世に生を受け、一通り魔法を操れるようになってから、ずっと一人で暮らしてきた。両親はいたが、その記憶は捕らえどころがなく、なぜ別れて暮らすようになったのかははっきりと覚えていない、そういう家のしきたりだったのか、それともひょっとして、何か悲惨な体験が幼いころにあって、そのあまりのひどさに記憶を封印してしまって感づかないだけなのかも知れない。
そう考えたところで、頭をぶんぶん振る。あ~やだやだ、いつまで考え込んでいても仕方が無い。とにかく、私は彼女と仲良くなりたい。それだけは確実に言える。長い間人形たちを友達として生きてきた私にとって、初めての好意を感じる人なのだから。
朝食のあと、家の掃除、そして何より大事な人形たちの手入れをする。魔法の森は湿気が多く、人形たちがいたみやすい。そのため、とある店で手に入れた除湿剤という外界の道具をガラスケースや引き出しに入れておくことにした。少々高いが意外と便利だ。作業をしながらの人形たちと語らいのひととき。霊夢に出会った後も大切な時間であることには変わりない。彼女のことをうれしそうに話す私を見て、人形たちが不安なまなざしで、
「どちらがアリスにとって大事な存在なの?」 と聞いてくる。私は人形たちを両手で抱きしめながら、
「どちらならなくなってもいいのか、ですって、霊夢と仲良くなりたいのは偽らざる本音よ、でもね、あなたたちだって大切な存在であることに変わりは無いの。両方を天秤にかけて、重いか軽いか計るなんてできないわ。だから安心して。」 と答え、それでも、
「私たちはアリスが大好き。だから私たちを見捨てないで」 と哀願するように言った。
ああ!何と言う事。この人形は私が魔力をこめて、人格をインプットして作ったものだ。だからこの人形たちの言葉も、元はと言えば自分がそう言うようにしただけで、その言葉に一喜一憂するのは愚かな事かもしれない。でも自律して動くように設定してあるのだ。長年愛着を込めて接しているうちに、本物の心が芽生えたのだとしてもおかしくない。少なくとも私には、心があってそれを痛めているようにしか見えない。申し訳ない気持ちになった。ごめんね。さらに強く人形を抱擁する。
人形たちを落ち着かせた後、意を決して霊夢のところへ出かけることにした。蓬莱人形と上海人形に他の人形たちのことを見てくれるように頼んで家を後にした。
「行ってきます」 「早く帰ってきてね」 声はいくらか明るくなったようだ。
しばらく飛んでいくと、小さな神社が見えてきた。霊夢はちょうど掃き掃除をしているところだった。まだこちらに気づいていない、私はちょっと驚かせてやろうと思い、彼女の後方にむけて旋回し、そうっと着地した。まだ彼女は掃除に夢中だった、独り言が聞こえる。
「あーあ、いつものことながら面倒なのよね」
彼女の驚く顔が目に浮かぶ、笑いを抑えながら近づく。
「どんだけ掃いても積もるしさ」
まだ気づいてないようだ。
「でも焼き芋作れるし、これはこれで秋の風物詩ってやつ」
大きく 息を吸い込んで・・・
「掃符、博麗のおまぬけ巫女さん!」
きゃっ、と彼女が叫んで飛び上がる、その勢いのまま10メートルほど浮遊してこっちを振り向き、服の中から片手でスペルカードを取り出して叫ぶ。
「アリス、なな何の用なの、もしかしてこの前のリベンジ?」
「ちがう、ちょっと近くに寄ったからお邪魔してみただけ。でも意外だな、あなたともあろう人がこの程度のいたずらさえ気づけないなんて。」
殺気の無い事を確認し、地上に降りてくる。着地の瞬間浮遊の術を解除し、低い台から飛び降りるようにすたっと地面に脚をつける。巫女服のスカートが少しだけふわりと舞った。かわいい。
「いや、気づいてはいたのよ、でもこんな大声出すなんて思わなかったから」
「負け惜しみはみっともないよ」
「じゃ、いまので五分五分ってことで」
「意外と素直に認めるのね」
「勝ち負けなんて意味ないし、それより今肝心なのは、果たしてお芋が二人分足りるかどうかだけ」
「じゃあ、一緒に食べていいの?」
「いやだめ・・・・・・」
「え」
「なーんてうそ。お茶でも飲みながらどう、って何泣いてんのよ?そんなに傷ついた?」
嬉しかった。霊夢が私を誘ってくれたのだ。この瞬間だけでも今まで生きてきた意味があると言うものだ。
知らぬ間に私の頬が涙で濡れる。そんな私を、霊夢は不思議そうに見ていた。
焼き芋ができて、本殿の縁側に二人座って、お茶を飲みながら午後のひと時を過ごす。最初はたわいも無い世間話をしていたけれど、そのうち話題が尽きて無言になってしまった。なんだか気まずさを感じる。何か言おう、何か言おうとするたびに、考えている事が真っ白になってしまう。その事が焦りを生み、余計考えがまとまらなくなってしまう。こんな悪循環は何度目だろうか。境内に目をやると、すでに役目を終えた焚き火がくすぶっていた。ぽかんとしながら、ただ時間だけが空しく過ぎていく。そうだ、片付けの手伝いをさせてもらわなきゃ、そう言おうと思ったとたん、先に沈黙を破ったのは霊夢だった。
「どうしたの、ひょっとして何か相談したい事があってきたの」 心配そうな瞳で私の顔をのぞきこんで霊夢が言う。
やさしい言葉をかけてくれるのだ。こんな私に対してでさえ。
「ありがとう。でも何でもないよ。わたし今までこうして、ええと、他の人と一緒に過ごしたことが無いから・・・、どんなお話すればいいのかって思って。」
「別に改まって何かして欲しいなんて思ってないわ、あなたが話したい事があればそうすればいいし、したくなければそれで良い。変に取り繕うとするからいけないのよ。」
「ありがとう、今日はすごく楽しかった。また来ていいかな?」
「いつでもいいわよ、といっても真夜中とかはやめてね。」
最後に後片付けをして帰途についた。いつかは同じくかけがえの無い友達である、我が家の人形たちも霊夢と仲良くなって欲しい、てゆーか仲良くさせる。そうなれば、いままで単調だった私の生活も変わるのではないだろうか。きっと、素晴らしい方向に。
しかし、いつの世も誤算はつき物だと言う事を後に思い知る事になる。
「あの子、どっかの誰かさんと違っておとなしい人だと思ってたけど、結構お茶目なところがあってね。」
博麗神社唯一の巫女である私は、アリスがきた次の日、遊びにきた魔理沙ととりとめの無いお話を楽しんでいた。窓から斜めに差し込んでくる朝日が眩しい。聞けば今日は何故か早く目が覚めたので、寝ぼけまなこの私の顔を見るのも一興だと、何の脈絡もなく思いついて来たとの事。はた迷惑な人ね。
「そうか? でも私ほどおしとやかな魔法少女は珍しいぞ。ガンジス川の砂粒の数ぐらい貴重だ。」 あっさり魔理沙が答える。
「ぜんぜん貴重でもないじゃない。しかもあんたぐらいのがそんなにいたらそれこそ幻想郷の危機。こうやって毎度毎度あがりこんできては勝手にお茶飲んでいくし・・・それに今あなたが頬ばってるの私のお菓子なんですけど。」
私は適当にやり返しながら、たくさんの魔理沙がひしめいて、しゃべったり笑ったり怒ったり泣いたり、泣いている魔理沙を別の魔理沙が慰めたり、魔理沙同士で弾幕ごっこをしている光景を想像する、ちょっと可愛いかも。危険と隣り合わせだけどね。
「だから今日は半分までしか食べてないぜ?」
「これから残り半分も食べるんでしょうが。」
「4分の3ぐらいまでしか食べないつもりだ、せっかく太る危険を覚悟の上で、清らかな巫女にしてこの世界の主役たるおまえの体型維持に貢献してやってるんだ、少しはいたわれ。」
「それはどうも。」
「というわけで、玉露おかわり。」
「もう」 といいつつきゅうすにお湯を入れる私。
「食後にすぐ寝ると牛になるぞ。」
「ばか。」
「私はカバよりキリンが好きだが?」
結構熱いはずだったのに、お茶をあっと言うに飲み干した後、改めて魔理沙が言う。
「しっかし意外だね、アリスのやつにしてはやけに積極的じゃないか」
「本当はそういう子なんだと思う・・・きっと・・・。」
魔理沙やレミリアだけでなく、アリスもこの神社にちょくちょく来たっていいではないか、案外うち解ければ
・・・・・・ざわり・・・・・・
「!?」
「私も感じたぜ!」
突然ただならぬ気配を感じ、私は湯飲みを放り出して外に飛び出す。一瞬遅れて魔理沙も後からついてくる。紫がスキマから出てきたのだろうか、にしては彼女の性格を反映した、いつものあのぽわんとした空気ではない。もっと冗談抜きの憎悪の念を感じる。鳥居を見上げると、そこには4体の人形が私たちを見下ろしている。見覚えのある人形たちだ、確か・・・。
「あなたが霊夢ね。」
「おまえが私達のアリスを奪ったのね。」
「我らのアリスを騙したのだ。」
「アリス返して。」
「何なのよ一体? 私が何をしたって言うの。」
「うるさい! 死なす。」
と言うが早いが、無数の魔力弾が二人を襲う。魔理沙がとっさに私の手をつかんで上空に飛び上がる。
人形たちはさらに怒り狂い、息つく暇もなく高速の弾丸を撒き散らす。
「もしかして・・・アリス? どうして。」
いきなり弾幕勝負を挑まれた事にではなく、アリスの愛する人形からこんな言葉が放たれた事が信じられない。これは彼女が息を吹き込んだ人形たち、ということは・・・。
「分からん! とにかく今はこいつらを何とか・・・おおっと。」 落ちかけた帽子を被りなおす。
「あの時、邪気は全然感じなかった・・・。」 呆然と空に浮かんだまま、心も地面を離れてさまよっている。
「何ボケッとしてるんだ! お前らしくないぞ。真相究明は後回しだ。それともこいつらに訳わかんねえまま殺されるか?」
魔理沙の一言で我に帰る。そう、このまま何が起こっているのかも知らずに死ぬのはいやだ。
懐からスペルカードを取り出す。すさまじい殺意は感じるが、弾幕そのものにはそれ程の恐怖は感じない。確かにかなりの殺傷力はあり、速度もある。でも弾幕の展開は幻想郷で中の上といった程度、感情に任せて撃ちまくっているとしか思えない。心の中で突っ込みをいれる余裕がようやく生じる。そんなんじゃチルノにも勝てないわよ、と。
宣言する。
「その負の感情、私が癒してあげる、安息の中で憤怒から開放されん事を、夢想封印・瞬!」
符の中からリング状のエネルギーがいくつも現われ、霊夢の周りを回転しながら人形たちに迫っていく。
人形が逃れようとするが、逃げ切れずにリングの中の空間へ吸い込まれ、いずことも知れぬ次元に消えた。
術式が終わったあと、そこには普段と一切変わらない青空が広がっていた。
「アリス、なぜ? そんなに私のことが嫌い、こんな、こんな憎しみに満ちた人形なんてはじめてよ。」
争いの興奮が一通り収まった後、独り言をつぶやく。もしこれが彼女の意思だとしたら信じられない。あの時のはにかんだかわいらしいアリスの微笑・・・。いつだったか春を取り戻しに冥界へ行ったとき、彼女は私を知っているような事を言っていた。しかし、私は知らないと答えたっけ。それが彼女を深く傷つけたのだろうか。手のひらを突然反されたショックと不可解さがいつまでも私の脳裏に渦巻いて離れない。
「おっ、どうやら張本人が来たようだぜ、まずは話を聞いてやるとするか。事と次第によっちゃお灸が必要かもな。」
言いながらスペルカードを取り出す魔理沙。見ると青と白の服を着た少女が必死の表情で飛んできた。
今朝目を覚ますと、私は妙な感じにとらわれた。なんて事の無いいつもの朝なのに、何かが違うような気がするのだ。しかし特にこれと言った変化は無かったようにみえたので、すぐに忘れてしまった。
コートを羽織り、朝の空中散歩に出かける。寒いながらも凛とした空気がどこか心地よい。すでに氷の張った湖の一角に腰を下ろし、魔理沙がどこかで見つけた、「新聞」というものを袋から取り出してみる。何でも毎朝食事をしながらここに書いてあるスペルを読んだり、詠唱して魔力を練るのが外界の風習だそうだ。とはいえ、本当のことは分からない。この前分けてあげた魔法薬のお礼に、と強引に押し付けられたものだけど、特にそんな効果があるようには思えない。魔法の呪文と言うより、どうやら外界の情報が書かれているようだ。
いくつか声に出して読んでみる。
「一週間前から○○山に登山に出かけて行方不明になっていた男性を保護。へえ、この山は私も知ってるわ。フムフム、男性のコメント、道に迷った先で、偶然たどり着いた一軒家の住人に助けてもらった。住人は、最近の流行なのかネコ耳や狐の尻尾ようなアクセサリーをつけていた、もう一度会ってお礼がしたい、だって。よく喰われなかったわね。」
「今週のミュー○ックス○ーションは、最近話題沸騰の不思議な雰囲気を持つ女性ミュージシャングループ、プリズムリバーがいよいよ登場。ヴォーカルにこれまたこの世ならざる歌声で人気急上昇の期待の新人、ミスティア・ローレライを加えた四人体制でパワーアップ。新曲「もうあなたしか見えない~A Soft Wispers of NightBard~」はすでにCD売上100万枚を突破し・・・。あの子達って外界でもこんなことをやってたんだ。確かに、あの歌声は素敵ね。でも正体ばれないのかしら。」 ちょっと呆れて苦笑する。
別のところを読んでみる。
「えーっと、恋人を奪った女を憎んで口論の末殺害、物騒な話ね。こういうことは平和的に弾幕ごっこで解決するべきだと思うわ。この人間もここで暮らしていればこんな事にはならなかったはずなのにね・・・。」
今にして思えば、この時の自分はなんてのんき過ぎたのだろうか。
人形たちの手入れをしようと家に戻り、ようやく違和感の正体に気づいた。
人形たちが何体か、姿を消していたのだ。
それも、苦労して、何度も投げ出しそうになりながらも、ようやく自律した思考と行動ができるようになった自信作たちばかりだ。
「どちらがアリスにとって大事な存在なの?」
人形たちの言葉がリピートされて止まらない。そしてあの一文。
「恋人を奪った女を憎んで口論の末・・・」
思考が悪い可能性ばかりを紡ぎ出す。
私は数秒前までのお気楽な自分を呪いつつ、お供の上海と蓬莱を抱きかかえて空を舞った。
博麗神社を目指して全力で飛ぶ。ここからだと紅魔館をかすめて飛んでいく方が早いが、あの館の上空を高速で侵犯すれば、何事かと思った門番がちょっかいを出してくるかもしれない。急がば回れ、だから迂回して飛ぶ。
ようやく神社が見えてきた。
その日の夜、わたしは家で人形の手入れもできず落ち込んでいた。あの時、霊夢に、
「どうしてあんな事したの、何か私がいやな事をしたの。」
と言われたときはショックだった。私がけしかけたのだと思われてしまった。必死に弁解したが、誤解が解けたようには思えず、ついには涙を流し、実年齢に相応の傷ついた少女の瞳で
「嘘つき」
と叫び、神社に閉じこもり、どんなに呼んでも中から返事はしない。わたしも空を飛ぶ気力が失せ、歩いて神社を後にするしかなかった。その日は一日中何も手につかないまま終わってしまった。昨日はあれほど楽しかったのに。そう思うたびに涙があふれて止まらない。あるいは本当に私の願望が作り出した妄想だったのかも知れない。でもこの心の痛み、後悔は夢じゃない、今朝に時間を戻してやり直せたらどんなに素晴らしいことか! ああ、何が「都会派魔法使い」だ。全然洗練されてないじゃない。
夜中とんとんとドアをノックする音が聞こえ、誰かと聞けば魔理沙だった。鍵をはずし、上がってもらう。
「ぐすっ 何の用、魔理沙?」 涙を見られてしまった。私がこんな顔をしているのを見たら笑うに違いない。しかしこいつは何も言わない。少しの沈黙の後、目の前の「野魔法使い」は言った。
「えーと、いやまあ、今日は大変だったな。」
「それを言うためだけに来たの。」
「そうかもな。」
「いつものあんたらしくないわよ。」
「それはお互い様だぜ。」
「ごめんね、上がってお茶でも淹れようか。」
「いや、今日はいい。私も疲れたからな。邪魔したぜ。」
魔理沙が箒にまたがり、宙に浮かんだ、帰り際にこう言った。
「私には、お前の気持ちはよくわかる、なんて軽々しくは言えん。ただ、こういう場合は、じっと時が癒してくれるのを待つのもいいんじゃないか。これだって立派な対処法の内に入るはずだ。」
「あなたに癒す、なんて言葉が似合ったかしら。」
また悪態が出てしまう、魔理沙は自分なりに私に気を使ってくれていると言うのに。
「だから今日は疲れたと言ったろ。」
「そうね、ごめんなさい。気が楽になった。ありがとう。」
「それこそお前に似合わない言葉だな。ま、気休めかも知れんが、またのんきにお茶でも飲める時が来るさ。じゃあな。」
あなたがいてくれてよかった、と心の中でつぶやいた。私は思っていたほどには孤独ではないのかもしれない。それを私はなんて失敗をしてしまったのだろう。先程の後悔が蘇る。本当に今日をもう一度やり直せたらいいのに。時間を元に戻す魔法は確かにご都合主義過ぎるだろう。でもたとえ虫が良すぎる話だろうとその可能性を試してみたいのだ。そしてそれには助力が要る。魔理沙にこれ以上迷惑はかけたくない。あのパチュリー=ノウレッジなら何か知っているだろうか。
とりあえずはもう寝よう、明日の事は明日の事だ。わたしはお風呂で汗を流した後、寝巻きに着替えてベッドに潜った。考えるべき事がたくさんあるはずなのに、その日、私は新月の闇にも似た深い眠りに落ちた。
私もアーヴさんの「東方繰人形」でEDを迎えるたびに泣いて泣いて……。
次からも頑張ってくださいませ~。
アリス初登場は怪綺談だったような?
こういう話はツボにきます。