Coolier - 新生・東方創想話

完全なる夜雀の月歌

2004/12/16 02:23:36
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 樹木の暗渠、昏き細道。旅人は息を潜め先を急ぐ。
この樹林は既に―――妖の領域。姿の見えぬ鳥の啼き声、暗がりに潜む  見えざるモノたち。
聞く所によると、ここら一帯を縄張りとする妖怪は “夜雀” 。
 人を鳥目にする程度の能力を持つというその妖は、脅威ではあるものの・・・・どこか抜けており、
逃走できる可能性は、極めて高いともっぱらの噂だ。

 この旅人には、どうしても先を急がねばならない理由が有った。
彼の里には このところ毎夜 蟲を操る妖怪が出没しており、その妖が戯れに呼び寄せた―――
――大量の蟲どもによる、畑の被害が・・・もはや黙視できぬ程に高まりつつある。
 そこで、これ以上の被害を防ぐため 里より一両日程離れたところ―――博麗神社に住むという巫女に
妖怪退治を依頼すべく、里を代表して派遣されたのが彼であり、最短で辿り着ける道が・・・この樹林である。
 妖の領域ではあるが、噂どおりならば・・・なんとかやり過ごせるだろう。
楽天的に過ぎるかもしれない。だが、他の道を行くよりはまだ安全だ。

 それに、今夜は満月。こんな明るい夜に・・・まさか、光を嫌う夜雀が出てくることも無いだろうに。

旅人は自らに言い聞かせるように呟きながら歩を早めながら・・・ふと 枝葉のスキマから覗く月を仰ぐ。
∵∴  ∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴ ∵∴
∵∴∵∴∵∴∵∴ ∵∴∵∴∵∴∵∴ ∵∴
∵∴∵∴     ∵∴∵∴∵∴  ∵∴   ∵∴
∵∴∵∴∵∴  ○ ∵∴∵∴ ∵∴    ∵∴∵
∵∴∵∴∵∴∵∴  ∵∴ ∵∴

 心なしか、今夜の満月は今までとは―――――なにかが違う気がする。


・・・・・・・・気のせいだろう。

 旅人は己の直感を信じる事無く――――先を急ぐ。





              ・

              ・

              ・

              ・

              ・



――――るーるるらら るりるら・・・・・・




ん?なにか・・・




―――るーるるらら るららら・・・・



・・・・・・まさか、




――るーるるらら・・


これは




―るりるら。

・・・。


    急速に 暗くなる視界

 忍び寄る 鳥の羽ばたき

やがて、羽音は ぴたりと  止まり
  

何処からとも無く・・・・・

      ・・・・少女の声が。











“ こんばんは、旅人さん ”



“ ねぇ・・・  わたしの歌を  ―――――聴いてみませんか? ”


“ 欠けない 満月    あやしの夜   ほんとうのわたしの 目覚めの刻 ”  


“ 普段と ちょっとだけ違う    この歌を “





――今宵限りの 幻想を――


















~完全なる月歌 月下の夜雀~







輝く夜空 月は満ち

深々と降り注ぐ  月の雫  狂気の涙

昏い枝葉を貫く  ぎんいろのあめ

闇に潜む私には  ―――眩しすぎた


ふくろうの鳴き声    いざなう眠りは どこまでもやさしく

みみずくの泣き声    かなしい夢を よみがえらせる



天蛾は みずから 死へと羽ばたき      輝くひかりは 奇跡の軌跡を描き出す

毒蛾は 死へと誘う燐粉を撒き散らし      燃え盛るほのおに その身を焦がす


うつくしきものも みにくきものも みんな一緒。 幾多のいのちを飲み込んでなお・・・・・贄の儀式は止まらない。



熾天の光輝   堕天の暗炎    紅い炎 蒼い炎       ほのおは全てを―――――天に還す。






ひるの王者は 力強く羽ばたき        我が世の春を 謳歌する

よるの王者は 闇にとらわれ         黒き大地へと 失墜する



・・・くすくす くす    

       うふふふふ  


           あはははははははは―――






――――よるのソラは わたしの舞台。








いかなるひかりも わたしには届かない 

いかなるすくいも  わたしは欲しない。




望みはひとつ 願いはひとつ  ・・・・・ただひとつ。
  
そう わたしは歌が    ―――唄いたい





聴いて欲しい。       夜へと誘う  夜雀のうたを

聴かせて欲しい      暗闇に閉ざされた あなたの叫びを。










        ○





今宵は満月  狂気の真月







――――さぁ  歌いましょう?お客さんたちが 待ちくたびれてるわ――――


歌姫は わたし
貴方は 盲目の詩人
姿の見えぬ俳優たちは―――ほら、貴方のすぐ傍に。

・・・・。    ・・・・。  ・・・。  ・・・・・。      ・・・・・。
      ・・・・。  ・・・・。    ・・・・・。  ・・・。
・・・・。   ・・・・・・。            ・・・。     ・・・・。
 ・・・。    ・・・・・。           ・・・。 ・・・・・。
・・・・。  ・・・。                 ・・・・。  ・・・。
 ・・・。   ・・・・。               ・・・・。   ・・・・。
・・・・。 ・・・。  ・・・・。     ・・・。   ・・・・。  ・・・・。
    ・・・・。  ・・・・。   ・・・・・・。  ・・・・・。    ・・・・。




さぁ さぁ  怯えないの。  怖がらないの。


・・・・たのしく たのしく歌いましょう?





   ” うふふふふふ・・・・・ ”




 あなたとわたし、 果て無き 幻想狂騒曲の――――








          はじまり     

          

            はじまり




  もう 歌しか――――聴こえない。

沈む歌姫を聴きながら、執筆。

曲を聴いてるとミスティア(EX)をイメージ。口調等、2面の彼女とは別物ですがご容赦を。意見、感想、苦情などありましたらなんでもどうぞ。

コメント頂き またもや自分の力不足を確認。
また自爆しました⊂⌒~⊃。Д。)⊃
けれど、往生際が悪いので 妄想を幻想に近づける目的のため
何度でもリザレクションし その度に変わって行ければ、などと分不相応なことを。
次こそは・・・。
しん
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コメント



0.480簡易評価
6.30七死削除
>>前向きに善処します。
と、いう事なので毎度お邪魔します。

ばっさりと行くと、読者の視点が話の序盤を旅人に置きながら後半さっぱりと言う構成が煮え切らない感を残しますね。

>>人を鳥目にする程度の能力を持つというその妖は、脅威ではあるものの・・・・どこか抜けており、逃走できる可能性は、極めて高いともっぱら の噂だ。

とここまで書くなら、旅人がその噂を信じて猿知恵出して逃げようとする。 最初はころっと騙せて、本当に簡単に逃げられそうだったのだが、最後の最後でいやいやそりゃあ甘いですよ・・・って感じに落としたらホラー度は上がったかも。 
と、自分で言ってて何ですが、これを納得の行く文章にするのは相当難しそうです。 リグルに田畑を荒らされてるとは言え、夜中に出かける理由にするには弱いですし・・・。

後半のミスティアメインの狂宴を主題にするなら、旅人のバックストーリーをもっと単純にして、最初から獲物を待ち構えて邪悪な願望にワクワクするミスティアを主人公にしてしまっても良かったかと思います。

もしくは本当に脳ミソ足りなさげのミスティアをメインにしたギャグとして落とす方を狙っていったほうが良かったかもw。

長々と失礼しましたが、とりあえず今回は次回作への成長を期待して点数はこんな物で・・・。
10.-20空白削除
絵本に付ける文章としてなら良かったかも知れません。
正直、この文章だけで見せられるときつい物があります。
11.-30しん削除
>七死さん
確かに。もっとよく推敲したほうがよかったですねー。
構成がどうもうまくない。なんの前触れも無く視点が旅人→ミスティアに変わっており、前振りも説得力弱すぎ_| ̄|○
言われてから見直すと文章部分の表現にも・・・恥ずかしくなるほど不備がw
今回、あまり時間なかったので・・・練りこみが足りてない感バリバリ。
焦ると碌なことが無いですね。コメント頂き有難うございますorz
アドバイス拝見し、新しい展開が浮かんだので感謝。(もしかして、他の話になるかもしれませんが)
今度はじっくり見直して、自分でも納得いくような文章を上げることにします。
・・・言われないと気づかないことが多いのは未熟な証拠。精進します。
16.無評価渡夢削除
読んでコメントを、ということなので早速ここに/(..)カキカキ
全体的に雰囲気出てて凄いと思うんですが、やっぱり前半・後半の流れが変わりすぎてちょっと戸惑いますね。夜空イメージ画像(^^;)にも驚いてみたり。
いや、普通の文章ってあーゆーのはあんまり書かないので。少し前のコメントにある「絵本につける文章としてなら」という意見には賛成します。はっきり言って自由型の散文詩と思った方が読みやすいかもです。
私はどちらかというと、しっかり小説型なので(T-T)スミマセンorz
でも、次回がとても期待できる良い作品だと思います。あとは、転送時に変な改行など起きないように再チェックした方が良いかと…。冒頭部の「博麗神社に住むという巫女に退治依頼を」頼んだ所は改行する所じゃなかったと思うんですが、どうでしょう。違ったら、申し訳ない。
とと、偉そうな事を言える立場でもないんですが(;;)せめて、何かの参考になればと思います。長レス失礼しました~。