空から雪が降ってくる。
たった一片の微かな純白の結晶。
けれどもそれは冬の訪れを告げる小さな小さなメッセージ。
小さな小さな一片の冬のかけら。
それは一人の少女の鼻先へ、誘われるかのように舞い降りた。
舞い降りる雪を見て、少女は元気いっぱい飛び出した。
湖の真ん中にある大きな館の門番の証言。
ああ、いつも湖で遊んでる少女のことですね。ええ、時々ここまで遊びにくるんですよ。私もずっと突っ立ってばかりで退屈なのでよく一緒に遊んでます。あっ、このことは内緒ですよ。私の上司、いつもは優しいのですが怒るととっても恐くて……、この前も不審者の侵入を許した所為でどれだけ怒られたことか。ああ、すみません話がそれました、彼女に関しては今日は見ていません。力になれなくてごめんなさい。
空が曇っているのにもかかわらず日傘を手にしている少女の証言
ああもう!いったい何だったんだあいつは!!全く後ろからぶつかって来ておいて謝りもしない。これが晴れの日だったら溶けてしまうじゃない。曇っていても用心のために日傘を持ってきていると言うのに。今度会ったらギタギタに……え、あなたは誰?いきなりなにを謝っているの?……ああ、なるほど、あいつの保護者というわけね。そんなに謝らなくてもいいわよ。私は心が広いからね、勘弁してあげるわ。……え、そいつがどこへ行ったかって?この道の先を走ってったわよ。この先になにがあるのかって、私が知る限りでは博麗神社しかないわね。
博麗神社に住む赤と白の服を着た少女の証言
え?羽の生えた少女が来たかって?来たわよ。一番寒い場所はどこか聞いて来たから適当に向こうって答えておいたけど……しかし今日は千客万来ね。私はゆっくり日向ぼっこでもして休んでたいんだけど。これであの紅い悪魔までやってきたらたまったものじゃないわ。……な、なによ、その乾いた笑いは~!
箒に乗った魔法少女の証言
お~い、そんなに急いでどこに行くんだ?そっちには冥界しかないぜ。はあ?冥界は寒いのかって?まあ亡霊ばっかだし、寒いんじゃないか?
二本の剣で庭の手入れをしている少女の証言
生者がこんなところまでなにをしに来た。しかもそんなに息を切らせて。亡霊たちに追いかけ回された?まあ、ここに生者が来ることなんて滅多にないからね。珍しさに構いたくなるのよ。ああ、今日どころかここ一カ月ぐらいは生者は来ていないけど、それがどうかした?
箒に乗った魔法少女の証言
おお、帰ってきた帰ってきた。いったい冥界なんかになんの用だったんだ?……ん?ああ、妖怪探しか。探してるのはあいつだろう?あのちょっと頭の弱い……いや、冗談だって!そんなじと~っとした目で見ないでくれ。あいつなら向こうの竹林の方に飛んでったぜ。……だから、そんな「なんでさっき教えてくれなかったの」って目で見ないでくれ。さっきはあいつを探しているなんて知らなかったんだからしょうがないじゃないか。
竹林で出会った可愛い可愛いうさぎさんの証言
……え、えと、だ、誰、ですか?……こ、こんなところに、な、なにか用ですか?……え?妖怪を探しに来たのですか?……良かった。……最近ここに来る方、みんな暴れたり、いじめに来る方ばかりで、まともな方と話すの、久しぶりです。すっごく元気な少女、ですか?……はい、会いました。……ちょっと恐かったです。乱暴されるかと思いました。……えっと、なにか探しているようで、あちらに見える家の中に入って行きましたけど。……嘘じゃないです。信用、してくれないんですね。いえ、いいんです。どうせ私の話なんか誰も聞いてくれないんですから。……え?信じてくれるんですか?ありがとうございます。
長い通路を抜けるとそこには月があった。
弓を携えた凛々しい女性の証言
ようこそ客人よ、といってあげたいところだけどこんな所にいったいなんの用かしら?妖怪探し?ここに来たって?ふふ、大方だまされでもしたんじゃない。さすがにこんな所までやって来る奴はいないよ。まあ、あなたが月の民で姫を探しに来たのなら別だけど。そんな訳ないわよね。
全ッ然可愛くない兎の証言
あはははは、まさか本当に家の中まで探しに行くとは思わなかった~。常識で考えれば嘘だってすぐに気付くに……むぎゅ。
可愛くない兎を後ろから殴り倒して現れた少女の証言
あ~、ごめんなさい。どうやらこいつが迷惑かけたみたいで。あんたが探しているのって、水色の髪をした妖怪でしょ?やっぱり。確かにここに来たよ。あんたと同じように人探しだって言ってたわ。もしかしてお互いがお互いを探していたりするの?あははっ、良いコンビだね。いや、悪い意味で言ったんじゃないよ。そういうのっていいなって思う。私の相方はこんなんだし……。早く会いに行ってあげるといい。居場所がわからない?居場所なら私が知ってるわ、それは……
「あ~~~~~、やっと見つけた!」
広大な湖、湖の中心部に見える大きな館。そう、ここは最初の場所。幻想郷中どころか冥界やら月の近くやらまで探しに行った結果、結局はここに戻って来た。
「も~、いろんな所を探しに行ったんだからね。そうそう、酷いんだよみんな。レティを探している時、いろんな奴に聞いてまわったんだけど、嘘をつかれたり、適当なこと言われたりしたんだよ。冥界に向かわされたり、家の中にいるとかいわれたんだよ。そんな所にレティがいるはずないのにねっ。あっ!でもね、ここで待ってたほうが良いって教えてくれた人もいたんだよ~」
そう?私が知っているチルノなら冥界まで探しに行ったり、家の中まで押し入ったりしそうなんだけど。そう思ったから、私は冥界やら月まで探しに行ってしまったわ。ほんと、最後に会ったあの娘にはいくら感謝してもしたりないわ。
あれ?チルノを見ていると少し違和感が……
「ねえチルノ、もしかして少し背が伸びた?」
うん、確かに少しだけだけど背が伸びてる。
「ん?えへへ、そりゃあ少しは伸びてるよ。だってこの前会ったのは八ヶ月以上も前のことだよ。成長するのは当たり前じゃないか。来年にはきっとレティだって追い越しちゃうんだから!」
そんなにすぐには無理だと思うけど。そうだね、私がいない間にもチルノは成長しているんだね。それで冥界にも行かなかったし、兎に騙されもしなかったんだね。もしかしたら、誰かに言われなくても自分で気付いてここに戻ってきたかもしれないね。これじゃあ、魔理沙に対してとやかく言える立場じゃないね。そうだ、チルノが成長しているというのならあのことをしっかりと伝えないと。
「あっ、そういえば今日誰かにぶつかったまま謝りもしなかったんじゃない?ちゃんと後で謝りに行かなきゃだめだよ」
「えっ?そういえばレティを探している最中に誰かにぶつかったような気が……。う~ん、わざわざ謝りに行くの?面倒……」
「だめよ、ちゃんと謝らないと。とっても怒ってたんだから」
「う~、しょうがないな~、わかったよ。謝りに行くよ」
良かった。昔はなんだかんだで絶対に謝りに行ったりしなかったのに。これならもう、私がいないときでも大丈夫だね。いつも春になった時に不安に思ってたけど、もうこれからは大丈夫そうだね。
「よし!それじゃあ、今回の冬もよろしくね!」
たった一片の微かな純白の結晶。
けれどもそれは冬の訪れを告げる小さな小さなメッセージ。
小さな小さな一片の冬のかけら。
それは一人の少女の鼻先へ、誘われるかのように舞い降りた。
舞い降りる雪を見て、少女は元気いっぱい飛び出した。
湖の真ん中にある大きな館の門番の証言。
ああ、いつも湖で遊んでる少女のことですね。ええ、時々ここまで遊びにくるんですよ。私もずっと突っ立ってばかりで退屈なのでよく一緒に遊んでます。あっ、このことは内緒ですよ。私の上司、いつもは優しいのですが怒るととっても恐くて……、この前も不審者の侵入を許した所為でどれだけ怒られたことか。ああ、すみません話がそれました、彼女に関しては今日は見ていません。力になれなくてごめんなさい。
空が曇っているのにもかかわらず日傘を手にしている少女の証言
ああもう!いったい何だったんだあいつは!!全く後ろからぶつかって来ておいて謝りもしない。これが晴れの日だったら溶けてしまうじゃない。曇っていても用心のために日傘を持ってきていると言うのに。今度会ったらギタギタに……え、あなたは誰?いきなりなにを謝っているの?……ああ、なるほど、あいつの保護者というわけね。そんなに謝らなくてもいいわよ。私は心が広いからね、勘弁してあげるわ。……え、そいつがどこへ行ったかって?この道の先を走ってったわよ。この先になにがあるのかって、私が知る限りでは博麗神社しかないわね。
博麗神社に住む赤と白の服を着た少女の証言
え?羽の生えた少女が来たかって?来たわよ。一番寒い場所はどこか聞いて来たから適当に向こうって答えておいたけど……しかし今日は千客万来ね。私はゆっくり日向ぼっこでもして休んでたいんだけど。これであの紅い悪魔までやってきたらたまったものじゃないわ。……な、なによ、その乾いた笑いは~!
箒に乗った魔法少女の証言
お~い、そんなに急いでどこに行くんだ?そっちには冥界しかないぜ。はあ?冥界は寒いのかって?まあ亡霊ばっかだし、寒いんじゃないか?
二本の剣で庭の手入れをしている少女の証言
生者がこんなところまでなにをしに来た。しかもそんなに息を切らせて。亡霊たちに追いかけ回された?まあ、ここに生者が来ることなんて滅多にないからね。珍しさに構いたくなるのよ。ああ、今日どころかここ一カ月ぐらいは生者は来ていないけど、それがどうかした?
箒に乗った魔法少女の証言
おお、帰ってきた帰ってきた。いったい冥界なんかになんの用だったんだ?……ん?ああ、妖怪探しか。探してるのはあいつだろう?あのちょっと頭の弱い……いや、冗談だって!そんなじと~っとした目で見ないでくれ。あいつなら向こうの竹林の方に飛んでったぜ。……だから、そんな「なんでさっき教えてくれなかったの」って目で見ないでくれ。さっきはあいつを探しているなんて知らなかったんだからしょうがないじゃないか。
竹林で出会った可愛い可愛いうさぎさんの証言
……え、えと、だ、誰、ですか?……こ、こんなところに、な、なにか用ですか?……え?妖怪を探しに来たのですか?……良かった。……最近ここに来る方、みんな暴れたり、いじめに来る方ばかりで、まともな方と話すの、久しぶりです。すっごく元気な少女、ですか?……はい、会いました。……ちょっと恐かったです。乱暴されるかと思いました。……えっと、なにか探しているようで、あちらに見える家の中に入って行きましたけど。……嘘じゃないです。信用、してくれないんですね。いえ、いいんです。どうせ私の話なんか誰も聞いてくれないんですから。……え?信じてくれるんですか?ありがとうございます。
長い通路を抜けるとそこには月があった。
弓を携えた凛々しい女性の証言
ようこそ客人よ、といってあげたいところだけどこんな所にいったいなんの用かしら?妖怪探し?ここに来たって?ふふ、大方だまされでもしたんじゃない。さすがにこんな所までやって来る奴はいないよ。まあ、あなたが月の民で姫を探しに来たのなら別だけど。そんな訳ないわよね。
全ッ然可愛くない兎の証言
あはははは、まさか本当に家の中まで探しに行くとは思わなかった~。常識で考えれば嘘だってすぐに気付くに……むぎゅ。
可愛くない兎を後ろから殴り倒して現れた少女の証言
あ~、ごめんなさい。どうやらこいつが迷惑かけたみたいで。あんたが探しているのって、水色の髪をした妖怪でしょ?やっぱり。確かにここに来たよ。あんたと同じように人探しだって言ってたわ。もしかしてお互いがお互いを探していたりするの?あははっ、良いコンビだね。いや、悪い意味で言ったんじゃないよ。そういうのっていいなって思う。私の相方はこんなんだし……。早く会いに行ってあげるといい。居場所がわからない?居場所なら私が知ってるわ、それは……
「あ~~~~~、やっと見つけた!」
広大な湖、湖の中心部に見える大きな館。そう、ここは最初の場所。幻想郷中どころか冥界やら月の近くやらまで探しに行った結果、結局はここに戻って来た。
「も~、いろんな所を探しに行ったんだからね。そうそう、酷いんだよみんな。レティを探している時、いろんな奴に聞いてまわったんだけど、嘘をつかれたり、適当なこと言われたりしたんだよ。冥界に向かわされたり、家の中にいるとかいわれたんだよ。そんな所にレティがいるはずないのにねっ。あっ!でもね、ここで待ってたほうが良いって教えてくれた人もいたんだよ~」
そう?私が知っているチルノなら冥界まで探しに行ったり、家の中まで押し入ったりしそうなんだけど。そう思ったから、私は冥界やら月まで探しに行ってしまったわ。ほんと、最後に会ったあの娘にはいくら感謝してもしたりないわ。
あれ?チルノを見ていると少し違和感が……
「ねえチルノ、もしかして少し背が伸びた?」
うん、確かに少しだけだけど背が伸びてる。
「ん?えへへ、そりゃあ少しは伸びてるよ。だってこの前会ったのは八ヶ月以上も前のことだよ。成長するのは当たり前じゃないか。来年にはきっとレティだって追い越しちゃうんだから!」
そんなにすぐには無理だと思うけど。そうだね、私がいない間にもチルノは成長しているんだね。それで冥界にも行かなかったし、兎に騙されもしなかったんだね。もしかしたら、誰かに言われなくても自分で気付いてここに戻ってきたかもしれないね。これじゃあ、魔理沙に対してとやかく言える立場じゃないね。そうだ、チルノが成長しているというのならあのことをしっかりと伝えないと。
「あっ、そういえば今日誰かにぶつかったまま謝りもしなかったんじゃない?ちゃんと後で謝りに行かなきゃだめだよ」
「えっ?そういえばレティを探している最中に誰かにぶつかったような気が……。う~ん、わざわざ謝りに行くの?面倒……」
「だめよ、ちゃんと謝らないと。とっても怒ってたんだから」
「う~、しょうがないな~、わかったよ。謝りに行くよ」
良かった。昔はなんだかんだで絶対に謝りに行ったりしなかったのに。これならもう、私がいないときでも大丈夫だね。いつも春になった時に不安に思ってたけど、もうこれからは大丈夫そうだね。
「よし!それじゃあ、今回の冬もよろしくね!」
このレティさんはいい保護者さんしてますね。
少々過保護な印象も受けましたが、おてんば恋娘なチルノが相手なら、そうなってしまうのかも知れませんね。