場所、永遠亭。
相手、鈴仙・U・イナバ。
「なに、てゐ? てゐのことだって? そうだな。ああ見えて永遠亭の兎のトップだよ。私は別だけどね。でもここでのキャリアはてゐのほうが長いよ。見た目が幼いから意外かもしれない、見かけには寄らない。というか見かけだって利用する。知ってるだろう、詐欺師なんだ。相当な。うん。詐欺師といっても、ここじゃそんなに酷いことはしないよ。……まあ、悪戯だよね。かなり高レベルな悪戯。……あー、うん、悪戯の域越えてるかな。あれじゃ詐欺師というよりは策士だ。あれには私も手を焼いてるよ。最近じゃストレス解消のためとか広言してるようだし。そのくせ立ち回りが巧いからお咎めなし。流石詐欺師、そのとばっちりが来るのは全部私だけどね。そうなのよ、師匠や姫に怒られるのも全部私。……ありがと」
場所、プリズムリバー邸。
相手、ルナサ・プリズムリバー。
「うちの三女? リリカのことか。どうしたんだ? ああ、割と表立って行動したりしないね。いつも私やメルランをけしかけたり、しむけたり……。いつのまにか踊らされていることがある。次女に至っては確信犯的に踊ってる気もするが……。ああ、それでなんだ? ……え? そういえばそうだな。リリカは結構コレクターだ。大抵は古ぼけた楽器とか楽譜とかなんだが、時々えたいの知れない物を持ってきたりする。何に使うんだと訊いても、『秘密~』の一点張りだし。一度アイツの部屋を覗こうとしたこともあるんだが、……トラップが仕掛けてあった」
場所、迷い家。
相手、八雲 藍。
「式が居ただろうって? 式はたくさん使ってるけど、もしかして橙のこと? 今、橙は居ないし、式もつけてないよ。ついていてもいなくても見た目は変わらないし、言動もあまり変わらないよ。私も似たようなものだし。ああ、それで今居ないんだけど。あの子は落ち着きが無いからねぇ。まあお腹がすいたら戻ってくるわ。……ん、何? 橙のこと? 私自身が式で、力がまだまだということもあるし、あんまり大した能力じゃないけど。妖術を扱う程度の能力よ。まあこの先どれくらい伸びてくれるのか楽しみだわ。……へ? 式をつけなかったら? ……うーん、人を驚かす程度の能力しか持ってないけど?」
「……ところで」
「あの、なんだ、その……」
「訊いてもいいか……?」
「「「その格好、どうしたんだ?」」」
「うふっ、うふっ、うふふふふふふふ――――」
黒白の古典的魔女装束とエプロンドレス、ついでに帽子が、白塗料(ペンキ)で真っ白に染められていた。
この後、三発の魔砲が幻想郷を轟かせたという。
人生カッとなるのも必要かもしれません。そうでもないか。そうなのか。