―――――………
―――……
――…
緑が眩しい。
光が燦燦と降り注ぐ。
気づいたら、私はそこに居た。
最初に感じたのは空腹、そして食欲。
私の頭上を何かが飛んでいる。
あれを食べられないものか、と思った。
するとばちんと何かが弾けてそのまま地へと落ちた。
私は地に落ちたそれを歩み寄り、頬張る。
又、何か飛んできた。
食べたいと思った、するとばちんと何かが弾けて、又地に落ちた。
私はそれを手に取り、がつがつと貪る。
そうする内にお腹がいっぱいになって気持ちよくなってきた。
何時の間にか私は気が遠くなって―――――――――……………
―――――
私の周りには私と同様、沢山動くものがあった。
四本足で地を駆けるもの、これを獣と呼ぼう。
翼を以って空を駆けるもの、これを鳥と呼ぼう。
又、私が光の中から生まれた様に、水や火から生まれるもの達も居た。
獣や鳥の中でも長く生きる内に全く別のものになるもの達も居た。
私を含めたそれらを妖怪と呼ぶ事にする。
ぶらぶらと色々な所を彷徨う内に、
最初に居た目の前に広がる緑の野だけでなく、
遥か彼方まで水が満たされている………これは海と呼ぼう。
常に周囲は灼熱、あるは砂ばかり………これは砂漠と呼ぼう。
そういう場所がある事を知った。
どうやら、私のこうやっている場所…世界と呼ぼう。
これは私の想像がつかないくらい広い所の様だ。
こうして、私は少しずつ周りを識り、知性を獲得していく。
ある時、お腹が減ったので、何時もどおり鳥を打ち落とそうとした。
けれど、鳥は存外に速く、中々打ち落とせない。
そうこうしている内に鳥はどんどん遠く小さくなっていく。
どうにかしてあの鳥の居る所まで追いつけないかと思ったら、
私は次の瞬間鳥の居る場所まで移動していた。
良く分からないけど、そのまま鳥を落として食べた。
暑い、日差しが強くてとても気分が悪い。
どうにかならないかと強く思ったら、瞬く間に周りが夜になった。
私は昼と夜を入れ替えたらしい。
寒い、周りには白銀の世界、これではまともに動く事も出来ない。
どうにかならないかと強く思ったら、雪がみるみる内に溶けていき、暖かくなった。
私は季節を進めたらしい。
こうして、私は自分が様々なものを曖昧にして思い通りに出来ると知った。
これを「境界を操る程度の能力」と名づける。
何回、何十回、何百回、何千回、何万回………多すぎて覚えていない。
兎に角、数え切れないほど、季節が廻るうちにある時二本足の生き物が現れた。
………彼らは他の生き物を比べて、余りに脆弱だった。
けれど、手を使い道具というものを作り出し、言葉というもので意思を伝え、
他の生き物を制圧していった―――――彼等を人と呼ぶ事にする。
そこでようやく気づいた。
私の姿は人とそう変わりが無い事に。
何だかおかしくなってくすっと笑った。
そして、又長い長い時間が流れた。
人はどんどんその数を増やし、その規模を拡大していった。
最初は石の道具しか使えなかった人が金属を使うことを覚え、
村という人の集まる場所を作り始めた。
私もそれを見ているのが楽しくて、陰でこっそりと人を観察し続けた。
すると、興味深い事がいくつか分かった。
人はその1つ1つが全て異なるものである事。
人はその1つ1つに名前をつけてお互いを区別している事。
人は私と同じ姿形を持ちながら個で生きていけず、そして、僅か数十年で生を終える事。
そうね、私も彼等人と妖怪たる私自身を区別をつける為に名乗りましょう。
私は光、紫の光の中から生まれた、ならば、私は―――――
<八雲紫>
と名乗りましょう
こうして、私は名を持つ事によって人と妖たる私の間に境界を引いた。
人はまた進化していった。
村と呼ばれるものが国と呼ばれる大きなものになった。
そして人と妖怪の関係は変わっていく。
妖怪はお腹が減れば近くにあるものを食べる。
これは自然に生きる動物なら誰でも同じ、別に不思議なことではない。
そして人というものが他のものより個として脆弱で手に入りやすい以上、
美味である以上、妖怪は自然と人ばかり食べるようになっていく。
勿論、私も例外ではない。
私はどうやら他の妖怪より格段に力が強い。
だからただほんの少し力を使うだけで人を手に入れる事が出来た。
人を遠目で見て、私の所に来るように念じるだけで人は隙間にぽっかり飲まれて、
私の所にやってくる………人はそれは何時からか神隠しと呼ぶようになった。
人も食われてなるものかと妖怪が跋扈する夜には決して出歩かず、
そして、人は集団で行動し妖怪に対抗し始めた。
ここで初めて、人と妖怪は相反するものになった。
けれど、私は変わらない。
他の妖怪が討たれようと私は気づかれることすらなく人を手に入れる事が出来る。
いざ、人の集団と相対してもほんの少し境界を弄るだけでまとめて消す事も出来た。
そういう訳で私は日々をのんびりと人を観察しながら暮らす。
……人は不思議だった。
共に暮らす者がその生を終えた時、目から涙を流す。
他の動物はそういう事をしないというのに。
私にはそれが不思議だった。
人という種が現われてから、何百年経とうとこれは変わらない。
ある時、私は決心した。
人の中に紛れ込んで、人は何を考えるのか、何を思うのか、突き止めてみよう、と。
人を食べるなんてただの趣味嗜好に過ぎない。
ほんの数年、数十年我慢すれば良いだけ。
……そう、切欠はただの好奇心だったのだ。
ある集落に入り込んで、私は人としての生活を送った。
人の男と交わり、日々、穏やかに過ごす。
最も子は生せないから、隙間を漂流していた赤子を拾ってきた男との娘とした。
そうして、人の言う家庭というものを為し、年月を重ねていった。
男は楽しそうに話す。
今日の仕事は疲れるものであった、と。
けれど、やり甲斐があって楽しい、と。
男は豪快に笑う。
お前の作る飯は格別だ、と。
娘は藍色の髪の毛を翻しながら朗らかな笑顔で話す。
紫母様、隣の娘と今日川に行き遊んできた、と。
紫母様、川の水は冷たくて気持ちよかった、と。
それがとても心地良くて、私は自分が妖怪である事も忘れ、ただ楽しんだ。
終わりは唐突に訪れた。
流行病というもので男も娘もあっさり死んでしまった。
動かなくなった男に声をかける、ねえ、あなた、夕食が出来ましたよ、と。
………返事は無い。
動かなくなった娘に声をかける、ほら、起きなさい、朝になったわよ、と。
………返事は無い。
二人の体はあんなにも暖かかったのに、今はこんなに冷たくて…………
幾ら名前を呼んでも二人は返事してくれなくて、笑ってくれなくて…………
「え………?」
気づけば私は目から涙を流していた。
意図した訳ではないのに涙が―――――止まらない。
胸が痛い、傷を負った訳でもないのにずきずきと痛む。
今までに全く感じたことの無い感覚、痛い、辛い、苦しい…………
そこでようやく理解した。
これが人が泣いていた理由なのか。
これが人が言う悲しいということなのか。
私がそうして集落を去り、数年。
一日が長い――――日が昇り、沈んでいく。
こんなにも時の流れは遅かっただろうか。
今まで生きてきた数千年、八雲紫を名乗ってからの数百年。
思い返せばあっという間だった。
それなのに、今はこんなにも長く遅い。
そして、何時も脳裏に過ぎる、集落での記憶。
男と娘の笑顔が目を閉じる度、思い返される――――ああ、あの時は楽しかった。
………なら、もう一度、同じ事をすれば良い。
そうすれば、又あの楽しい時を過ごせる。
こんなにも胸が痛まずに済む。
全てが無為である事に気づくのはそう時間はかからなかった。
理解するのに要した時間は僅か二百年前後。
形は様々だった。
人としての寿命を迎えた、流行り病、人同士の戦、事故etcetc……
何れにしても結末はただ1つ、一方的な別れ。
その度に胸が痛くなり、涙を私は流した。
……そうして、実感で理解した―――――人は私と同じ時を歩めない。
胸にぽっかりと穴が開いたようだった。
そして、ただ後悔した、何故、私はあの時人を深く識ろうとしたのかを。
けれど、私に刻み付けられた記憶や心はもう消せない。
境界を操る能力を以ってしても、これらの事象は喉に刺さった棘の様に抜けてくれない。
だから、私は………心を閉ざす事にした。
辛いなら何も思わなければ良い。
苦しいなら何も考えなければ良い。
ほら、他の妖怪みたいに振舞えばいけばいいじゃない。
人を食べ、闇に紛れて、己を謳歌すればいいじゃない。
数百年が過ぎた。
私は妖怪「八雲紫」として時を過ごした。
人を攫い、食べ、眠り、日々を送る。
そんな中で私は自分の心が色を失っていくのを感じていた。
雄大な日の出を見ても、天にかかる虹の橋を見ても、何も思わない、何も感じない。
その昔は綺麗とか思う事はあったのに………
代わりにあれだけ鉛の様に鈍重に感じた時の流れが嘗ての様に流れ始めるのを感じていた。
もう数百年こうやって過ごせば、私はもう苦しむ事はなくなるだろうと思った矢先………
――――――――――唐突にその出会いは訪れた…………
―――――………
―――……
――…
轟く雷鳴。
強烈な妖気。
唐突にそれで私は眠りから目が覚めた。
近くに強大な力を持った妖怪がいる。
それだけではない。
他に感じる人の気配がおよそ数百。
そのどれもが殺気に満ち満ちている。
妖怪の方は追われているのか、どんどん力が弱まっているのを感じる。
これでは討たれるのも時間の問題だろう。
私には関係の無い事と首を振り、布団に潜って再び眠りにつこうとした。
………が近くの気配が余りに強烈な為か気になって眠れない。
仕方ないわね、と一人ごちて布団から出る。
煩くて眠れないなら全て殺して静かにしてしまえばいいだけの話。
―――――
一番分かりやすい妖怪の気配を辿り、隙間を潜り、外へと出る。
ざあざあと雨粒が私の肌を叩く中、そこにその九の尾を持つ妖狐は倒れていた。
見れば全身矢が突き刺さり、刀で斬られ、文字通り血に塗れている。
もうこれはほっておいても死ぬであろう致命傷。
近く雷が落ちる。
辺りが一瞬雷光に照らされ、私とその妖狐は目が合った。
その時、
ふと、
思った。
―――――人は私と同じ時を歩めない。
でも、私に近しい妖怪ならばどうだろう―――――
思考が結論を出す前に妖狐に問うていた。
「生きたい? 助かりたい?」
妖狐は焦点の定まらない瞳で確かにこくりと頷き、そして、がくりと気を失った。
………妖狐を両手に抱えて、そのまま隙間を潜り、自分の住処へと戻った。
―――――
妖狐の手当てをし、布団に寝かせる。
けれど、元々致命に域する重傷、こんな手当てではどうしようもない。
しかし、私は境界は操る事は出来ても治癒の術式等は身に着けていない。
仮に妖狐の生と死の境界を操った所で既に死ぬ事が決まっている運命は覆せない。
結局、無駄だったのね………と思った時、ふと閃いた事があった。
少し前、私に挑んできた者達が居た。
彼の者達は陰陽師と呼ばれる妖怪退治の専門家だった。
彼等は式神という自己の霊力を媒介とし、擬似的な神霊、妖を使役、私を討とうとした。
若干梃子摺ったものの、所詮は人、あらゆる境界を操る私に敵うべくもない。
数刻後には彼等は全員物言わぬ骸と化した。
その時、私は彼らが式神を使役するのに使っていた符を興味本位で持ち帰った。
これを使ってこの妖狐を式神にすれば救えるのではないか?
…………駄目で元々、やってみよう。
私は妖狐に符に貼った―――――そこで又難問に直面する。
貼ったは良いもののどうやって使えばいいか分からない。
考えろ、考えろ、考えろ。
思い出せ、思い出せ、思い出せ。
…………その昔、里で暮らしていた際に血は呪術的な効果があるとか聞いた記憶がある。
誓約の際に血で書面を作成するという風習もあった。
自分の小指を噛み千切る、どうせ後で生えてくる、問題ない。
流れる血を妖狐に貼った符に止め処なくたらし続ける。
その後はどうする?
式神を行使するのに必要なのは何?
…………人は霊力を媒介としていた、なら妖怪たる私が媒介とすればいいのは―――――
空いていた手を符にかざし持てる妖力全てを符に送る。
かっと閃光が部屋を覆う。
ぼっと符が炎上して消える。
「……失敗、したのね」
拙い、結局、私は――――――――――
「…………?」
妖狐の傷がみるみる塞がって行く。
そして、妖狐が女性の姿を取り始め、うーんとうなり声。
「成功した、のね、ふ、ふふふふふ」
思わず口から笑い声が漏れる。
嬉しい。
私とともに歩んでくれる者を私は手に入れた。
もう、私は灰色の時間を刻む必要は無い。
………そう、人間達は式神にも名前をつけていた。
なら私も彼女に名前をつけてあげよう、どういう名前が良いかしら……?
そう、最初に里で一緒に暮らしていた娘。
あの娘は藍色の髪がとても綺麗だった…。
そして、私の式神たる彼女は私にとって記念すべき存在、なら…………
と考えている内に彼女が目をぱちくりして跳ね起きた。
「おはよう、気分はどうかしら?
私は八雲紫…………そして今からあなたは、藍、八雲藍よ」
私は満面の笑顔を浮かべて彼女――藍にそう告げた。
こうして、藍と私の生活が始まった。
聞くに藍は印度、中国、日本と三國に渡り、時の権力者の后となって取り入り、
その国を滅亡の危機に追いやってきたらしい。
そして、此処東の果ての国で遂に追い詰められ、殺されかけた所を私に拾われたらしい。
でも、その様な事は瑣末な事。
藍の過去がどうであれ、今は私の式神として共にある。
………それだけで私には十分に過ぎた。
―――――
しかし、事は私の思う通りに運ばなかった。
どういう訳か藍の瞳は常に私への殺気を帯びていた。
食事の時も、湯浴みしている時も、眠っている時も、
私は常に藍の冷たい殺気をひしひしと感じていた。
藍を殺そうと思えば簡単に出来る。
元々、藍より私の方が圧倒的に力が上であり、いざ戦えば数分で決着する。
それ以前に藍は私の式神として契約なされている以上、
私が妖力の供給を断てば、藍はその場で果てる。
けれど、出来なかった。
藍を殺せば、又、私は一人になってしまう。
一人の鈍重で灰色のあの時間は過ごすなんて考えただけでも寒気がする。
だから、私はこう思う事にした。
藍が例え殺意であれ、私を見てくれるというのであれば、それはそれでいい。
八雲紫を見てくれる者はこの世の何処を探しても、八雲藍しかいないのだから。
…………それでも心の中に一抹の寂しさの風が吹き抜けたのは事実だったけれど。
数年経った。
藍は私に殺気を向ける事は少なくなった。
否、機会を虎視眈々と伺っている。
油断させて、藍は私を確実に仕留める気なのだ。
―――数百年前に私が人を演じて過ごした蜜月の時は今はただの妄想に過ぎないのか。
幾ら自分を誤魔化しても、そう思うと涙が出そうになる。
そして、私の心がその度に磨り減っていくのを感じた。
今ではもう忘れられないあの時。
私は何時もどおり、布団に入って眠りにつこうとした。
………数分後うつらうつらと船をこき始めた時にすうっと襖の開く音。
薄目を開けて見ると藍が意を決した表情で足音を忍ばせ、私の元へとやってきた。
そう。
藍、どうしても私を殺したいのね。
そこまでして自由になりたいのね。
………もう、疲れたわ。
思えば、数百年前に好奇心で人の真似事をした事が間違いの元だった。
静と動、光と闇、夢と現、人と妖、生と死etcetc……
様々な境界を自在に操る事が出来ても、私は自分の心はあれから操る事は出来なかった。
そして、今は自分の式神たる藍の心も操ることも出来ない。
もう良いわ。
藍は自由にしてあげましょう。
私も自由になりましょう………藍に殺される事で。
「藍」
最後に別れの挨拶として一言だけ藍の名前を呼んで、私は身体の力を抜いた。
目は開けない、私に見られていては藍もやりにくいだろう。
…………
…………
…………
何時まで経っても衝撃は来ない。
早く早くと思っている内に気づけば、私は自分の意識を手放し……………
『紫様、申し訳ありません………』
何処かで藍の声が聞こえた気がして…………
―――――………
―――……
――…
目が覚めた。
映るは見慣れた自分の部屋。
冥界のあの広大な庭園ではない。
「私は……生きているの?」
藍は何故、私を…………と考えた時にすうっと襖が開いた。
……?
今までとは藍の纏う空気が違う?
「お起きになられましたか、紫様」
藍はかしこまって、私に告げた。
「紫様、今までは申し訳ありませんでした。
馬鹿馬鹿しい話ですが、三國を傾かせた滅ぼそうとした大妖たる私が誰かの下につく、
命を握られる等、誇りが許さなかったのです。
紫様はご存知でしょうが、私は紫様の命を狙っておりました」
藍、何でそんなことを私に………?
「ですが、昨夜、ようやく悟りました。
私が如何に浅慮であったか、そして、紫様には敵わないという事を。
今ここで紫様に殺されても文句はありません、当然とさえ思っています。
ですが……………」
藍はそこで深く私に頭を下げた。
「もしお許しいただけるのであれば、
これから私の生ある限り、紫様の式神としてお仕えさせてもらえないしょうか?」
……………!
「ゆ、紫様!?」
ぎゅっと藍を抱きしめる。
「これが答えよ………藍、これからもよろしくね」
はい、という藍の返事。
涙が出てくる。
悲しくて泣いたのは幾度とあるけど、嬉しくて泣いたのはどれだけ久しぶりの事だろう。
藍、これからはずっと一緒よ。
幾星霜の時が過ぎ、時代が変わり、世界が変われど、あなただけは手放さない。
共に歩んでいきましょう。
更に千年、嘗て地を這い蹲っていた人が遂には月にまで手を伸ばそうかという頃。
人の忘れた幻想の集う場所―幻想郷・冥界・白玉楼にて。
「紫様、私ではもう限界ですぅ………」
藍が紫の所にぼろぼろになりながら駆け込んで来る。
藍が千年の間こういう弱音を吐いた事はあっただろうか。
それ以前に藍がここまでやられた事など見たことも無い。
珍しいものが見れたわと可笑しく思いながら、紫は藍に告げる。
「仕方ないわね、私が行くわ。今回の失態は後でおしおきよ」
しゅーんと項垂れる藍を横目で見ながら笑いを堪えつつ、
紫はやってきた巫女・魔法使い・メイドと対峙する。
「あなたが、私の藍を倒した人間ね 。
あなたみたいな物騒な人間が居たら、おちおち寝ても居られないの」
紫は弾幕を繰り広げながら、思う。
「あなたは、すでに私の結界の内にいる。
ここに居る間は夜も明ける事はない」
今こうやって弾幕を楽しめるのも全て式神の藍のお陰だと。
自分が妄想に堕さずに、幻想として存在出来るのは藍のお陰だと。
「ふふふ。
その道が蜘蛛の糸より細く、蜘蛛の糸より複雑な弾幕の道でも?」
……紫の想像以上に3人は強い。
なるほど、これでは藍がやられるのも仕方が無いと納得する。
しかし―――――――――
「来なさい、藍!」
紫自ら藍を直に使役する。
藍と目が合う、それだけで二人の意思は通じるのだ。
―――――任せたわよ、藍。
―――――お任せ下さい、紫様。
「さあ、今までの藍とは訳が違うわよ。
あなたたちに私と藍を破る事が出来るかしらね」
To be continued.........
東方妖々夢 ~ Perfect Cherry Blossom.
Phantasm 人妖の境界 三國に渡り妖異をなすが
Phantasmagoria.
She was also living on the border of Gensokyo.
うさんくさくて非常識な程強力なバケモノって設定のくせに、
何故か何処か所帯じみた雰囲気を持つ彼女にはそう言う過去
があっても全然不思議ではないですね。
最後、藍が紫に下る節にもう一味欲しかった気もしますが、
八雲一門が一家としての絆を持つ理由が良く書かれていたと
思います。
先こされたああああああああああああああああっ。・゚・(ノД`)・゚・。
でも、人と同じ想いを抱くようになることは十二分にあると思いますよ。
十分楽しませていただきました。GJ( ´∀`)b
自分の中のゆかりん像が、この話でかなりランクUPしました。
ぜひとも橙との話も貴方に書いて欲しいです。
藍と出会い彼女を求めながらも心が通わず、殺意でも自分に向けてくれるのならかまわないとまで思いつめた紫様が切ないです・・・
ひねくれた関係が多いこの幻想郷で自分に心の静養をくれるのは八雲です。
つぼに入りました、素晴らしいSSをありがとうございます。
確かにこんな出会い方をしていそうですね。
楽しく読ませて頂きました。
惹き付けてやまない魅力的な文章、少ないながらもまとまった描写。そして一言一句のかっこよさ。
真似できませんね(褒めてます
かなりいいです。
まあ、俺も紫の出生SSはネタとしてあったんですが……先越されたよorz
紫が人を食べるというのはあまり想像したくなかったが…、実際にはそうかもしれない。
ただし、それらの暗い部分や時の流れで人が失われていく様によって、作品が引き立っているのだと感じられました。
次回作を作られるようなら、是非読みたいですね。
ふむふむ・・・・・・
・・・・・・・・・
寿命が長いというのは寂しいことでもありますよね……
覚えてたフレーズを打ち込んで検索にかけたらまた出会えたぜ。。
本当に名作だと思う。自分の中での『紫』のイメージは、この作品をもとに構築されていることに気づきました。
美しい文章に魅せられました
紫様好きとしても東方世界が好きな身としても
心あるものにとって孤独ほど辛いことは無いですよね