もし、あなたが幻想郷に入ることができたら何をしたいですか?
この答えは人によって違います。
では逆に、幻想郷の人たちがあなたの世界にやってきたらどうしますか?
魔理沙は一人悩んでいた。
もし、この世界から出てみるとどんな光景が広がっているだろうか。と
「霊夢、もしここから出られるとしたら何がしたい?」
「何言ってんのよ。ここから出るなんてことは不可能よ。それに、もし出られるとしても結界が乱れてこの世界が滅びるって言われてるんだから結局は無理なの。今日の魔理沙、ちょっとおかしいわよ。」
「そうか、そうだよな。こんな質問するなんて私らしくないもんな。」
「もしかして・・・、ニセモノとか?」
「な・・・、何言ってんだよ!」
「ハハハハハハハ!!」
だが、魔理沙はこの事は忘れようとしても忘れられなかった・・・。
その夜、
星を見つめながら魔理沙は、ぼーっとしていた。
すると突然、
『この世界から出たいか?』
誰かの声がしたのだ。
「だ、誰だ? どこにいる?」
『私は誰だか教えることはできないが、お前は今日この世界から出たいと言っていただろう?』
「そ、そうだが・・・それが?」
『お前をこの世界から出してあげようと言ったんだ。』
「ほ、本当か!?」
魔理沙は耳を疑った。
『ああ、心の準備はいいか?』
「いつでもいいぜ。」
『ではいくぞ・・・。』
そう言って、魔理沙を外の世界へ転送させた。
すると、魔理沙の体がだんだんと透けていった。
「な、何だ!? どうなってる!?」
『お前を外の世界へ転送させるのだ。 それぐらい我慢しろ。』
「くっ・・・、私の体が・・・。」
『あと少しの辛抱だ。』
「・・・・・・!!」
そして・・・
『魔理沙・・・、起きろ。』
「・・・はっ!! ここは!?」
『お前が望んでいた幻想郷の結界を超えて、現実の世界へ来たのだ。』
「ここが・・・、外の世界・・・。」
『お前が向いている先に崖がある。そこから現実の世界を観ることができるぞ。』
魔理沙は、誰かの声に導かれるままに歩き続けた。
そして崖についた魔理沙の目にとんでもない光景が広がっていた。
「わぁ・・・、建物ばっかり・・・。」
『そう思えるだろう。この世界は幻想郷よりも開発技術が進んでいるのだ。だから、お前たちの現実の世界よりも便利な暮らしをしているのだ。』
「そうなのか・・・。」
『しかもここは世界の一片にすぎない。この世界はお前たちの幻想郷よりもずっと広いのだ。』
「・・・・・・。」
『お前も一回ここを探索してみないか?』
「そうしたいが・・・、偏見されることはないか?」
『目立ったことをしない限り偏見はされない。お前は幻想郷の魔法少女であるが、この世界に魔法使いは存在しない事だけ入っておく。』
「魔法を使わなければいいということだな?」
『そうだ。早く行った方がいいぞ。』
「分かった。じゃあ歩きで行くしかないな。」
そう言って、魔理沙は山を歩きで下りていった。
そして、その町の都会に着いた。
「結構にぎやかだな。というより私は幻想郷の都会でさえ見たことがないんだ。」
『・・・そうか。お前は確か山に住んでいたか。』
「そうだぜ。あんたも私に話しかけたとき私の家にいたんだぜ。」
『まあいい。お前はこういうところは苦手か?』
「・・・いや、そうでもないな。私は一人も好きだが、こういうにぎやかなところも好きだぜ。」
『なるほど・・・。』
すると突然、魔理沙が咳をし始めた。
「ゴホッ! ゲホゲホッ!!」
『どうした? まだこの環境に慣れないのか?』
「ここ、煙がひどいぜ。何なんだ?」
『・・・私は前、この世界は幻想郷より開発技術が進んでいると言ったはずだ。』
「それがどうしたんだ? ゲホッ!」
『それによって、この世界の環境のバランスが崩れてしまったのだ。お前がさっき咳をしたのも同じだ。』
「そ、それなのに・・・、どうしてここの世界の人たちは咳をしないんだ?」
『この環境に慣れてしまっているからだ。お前もいずれここに住み始めればそうなる。』
「そうか・・・、便利ではないが緑の多い環境か、便利だが緑のあまり無い環境があってそのどちらかを取らなければならないということだな。」
『そうだ。どちらにしてもリスクを抱えなければ生きていけないと言うからな。』
そして魔理沙は最初に来た山へ戻った。
「・・・なるほど。外の世界のことがよく分かったぜ。ところであんた、また幻想郷に帰ることはできるのか。」
魔理沙は誰かの声の答えを聞いて愕然とした。
『・・・残念ながら・・・、ここから出ることはできない。』
「!! ど、どうしてだよ!!」
『私は幻想郷からこの世界へ転送することはできるが、その逆のことをすることはできないのだ。』
「あ、あんた! 最初から私をこの世界へ送り込むための罠だったんだな!!」
『違う。わざとお前をこの世界に送り込むために私は存在しているのではない。そもそもお前が私に誘われて行きたいと答えたはずだ。』
「どっちにしても同じだ!! 私はこれからどうすればいい!!」
『・・・幻想郷にいる友達を捨ててここで生きるしかない。』
「ふ、ふざけるな! みんなを見捨てられるか!」
『・・・・・・。』
「おい! 聞こえてるのか!」
やがて、魔理沙一人になってしまった。
魔理沙は一人泣き崩れてしまった。
「みんな・・・。助けてくれ・・・。」
すると
「・・・理沙! 魔理沙!!」
「わ! 何だ!? ・・・アリスか。」
「何だじゃないでしょ。その顔の表情じゃ悪夢を見ていたようね。」
「(さっきのは夢だったのか・・・。びっくりしたぜ。)」
「魔理沙、そこに寝てて寒くなかった?」
「いや、平気だぜ。」
「体、丈夫でいいわね。もう朝の10時になってるんだけど・・・。」
「10時!? ヤベッ! 博麗神社に行くところだったのに。」
魔理沙は本当に夢で良かったと思っていた。
もし、これが現実であったとしたら魔理沙はこの幻想郷にはいなかったと思うからだ。
「霊夢、おはよー。」
「あ、魔理沙。今日は遅いじゃない。」
「すっかり寝過ごしたんだよ。」
すると霊夢が突然、
「魔理沙・・・、昨日はひどく言ってごめんね。」
「霊夢・・・、どうしたんだ。急に優しくなってごめんなさいだなんて。」
「あんたの気持ち、分かるような気がしてさ・・・。」
「霊夢・・・。」
まだ、ここから出られる日は分からないが、いつかこの目で現実の世界を本当に見てみたい。
今は早すぎると思うけど、
いつか。絶対に。
終わり
まあ今更コメしても誰も見ないだろうけど…。