博麗神社こと暇得隊本部。
毎度恒例になってきたかは知らないが、定例会議が行われようとしていた。
咲夜「さて、恒例の会議ですが・・・・・。」
霊夢「恒例になってるのも、問題よね。」
アリス「そろそろ、ここに通うのも面倒になってきたわ。」
慧音「何か打開策は無いのか?これじゃあ無駄に時が過ぎるだけだぞ。」
みんな、やる気は薄い。
咲夜「そう言わない。今日は、助っ人を呼んだわ。」
魔理沙「助っ人だと?」
ぱんぱん、と、咲夜が手を叩く。
すると、障子が開き、
永琳「こんばんわ。」
永遠亭の薬師、八意永琳が現れた。
宇宙人、月人だ。
霊夢「輝夜のとこの・・・・。あんたが助っ人?」
永琳「そうよ。姫が、じっくり観察してきなさいって。」
霊夢「何を?」
慧音「怪しいな。また、何か企んでるんじゃないか?」
アリス「むしろ、今回の怪獣ってところかしら?」
魔理沙「アリス、『今回の』ってフレーズは不味いぜ。」
咲夜「怪しいって言うのには、否定しないわ。」
永琳「酷い言われ様だわ。」
折角来たというのに、散々な言われ様。
しかし、天才永琳は、そんなことを気にすることは無かった。
咲夜「でも、天才って呼ばれるだけの頭脳があれば、事件解決に近づく。そう思わない?」
慧音「む・・・・。」
永琳「そうそう。私の頭脳を貸してあげようって言うのよ。貸し賃は、普通のお茶と普通のお茶菓子で。」
霊夢「安いのか高いのか、微妙なところねぇ・・・。」
永琳「高級なのは、出さないでよ?」
霊夢「誰も出さないわ。」
魔理沙「高級な奴なんか、霊夢にゃ買えん。」
霊夢「失礼ね!」
永琳「いや、そっちの意味じゃなくてね。」
霊夢にしてみれば、お茶とお茶菓子の消費量だけが、問題らしい。
咲夜「と、言うわけで、彼女に協力して貰おうと思うけど?」
アリス「私に異存は無いわ。お手並み、拝見させてもらおうかしらね。」
魔理沙「異存だらけだが、許す。」
慧音「仕方ないな・・・・。」
永琳「決定のようね。よろしく。」
霊夢「あ~あ・・・・。また、お茶の消費が・・・・・・。」
いろんな反応をされつつ、永琳は暇得隊入りをした。
秋も終わりかけの、やや寒い夜のことである。
そんな夜なので、
りんりんりん・・・・
自然一杯の神社には、虫の鳴き声が響くものである。
霊夢「あら、スズムシかしら?」
魔理沙「もう、そんな季節も終わりだな。」
ちんちろりんちんちろりん・・・
慧音「おや。今度はマツムシか。」
霊夢「風流ね。」
『いとをかし』、霊夢が思った、そんなとき、
み~んみんみんみ~~ん!!
霊夢「(がくっ!)」
魔理沙「蝉の何処が、風流なんだ?」
セミの鳴き声、風情を壊す。
みょ~んみょんみょんみょ~~ん!!
魔理沙「これは虫か?」
咲夜「いや、みょんって鳴く虫は、存在しないはずよ。」
霊夢「・・・・・そこ!」
シュッ!
霊夢はアミュレットを、外に向かって投げた。
?「わあっ!・・・・危ないわね!」
茂みから、声が聞こえた。
リグル「いきなり何するのよ!」
霊夢「蝉なんか引き連れて、何してんのよ!季節外れも甚だしいわ!」
出てきたのは、妖怪蛍、リグル・ナイトバグであった。
どうやら先ほどから鳴いていた虫は、全部リグルの眷属らしい。
リグル「仕方ないじゃない。たまに、季節外れに羽化しちゃうのが居るんだから。」
霊夢「だからって、うちに連れてこないでよ!」
魔理沙「さっきまで、風流だ何だって、言ってたのにな。」
霊夢「セミが居なけりゃよかったのよ。」
リグル「それ、蟲に対する差別?」
不機嫌になるリグル。
アリス「・・・・リグモンね。」
魔理沙「あ~?」
不意に、アリスが口を開いた。
魔理沙「何だよ、リグモンって。」
アリス「どうせ怪獣になるんでしょ、展開的に。それなら、予めつけておいたほうが・・・。」
そういえば、いつも怪獣に名前を付けているのは彼女だ。
リグルは、まだ怪獣ではないが。
慧音「なるほど、合理的だな。」
リグモン「勝手に変な名前つけるな~!!」
永琳「そういえば、何か用なの?リグモン。」
霊夢「どうでもいいけど、早く蟲を連れて帰ってよ、リグモン。」
リグモン「リグモン言うな~!」
リグルこと、リグモンはご立腹のようだ。
よく見たら、既に表記も変えられていた。
リグモン「大体、怪獣怪獣って言ってるけど、怪獣になったのはあいつなんだからね!」
咲夜「あいつ?」
ばさ!ばさ!
外からなにやら、音が聴こえてきた・・・・。
霊夢「・・・・・嫌な気配ね・・・・。」
永琳「羽音・・・・。外ね。」
嫌な羽音の原因を見るため、外に出る暇得隊。
そしてそれは、すぐに姿を現した。
ミスティア「コケコッコ~~!!!」
お馴染みとなった、巨大化した妖怪。
今回現れたのは、夜雀、ミスティア・ローレライ。
雀なのに鳴き声が鶏であるのは、きっと理性を失っているからであろう。
三分経つとスッパテンコー、それと同じことだ・・・・・・と思う。
魔理沙「何時ぞやの雀か。」
アリス「これは、予想外の展開ね・・・・。」
アリスは、珍しく困った顔をしている。
ネーミング係として、コレのネーミングに困っているのだろうか?
リグル「こいつが追いかけてくるから、他の蟲たちも連れて、ここに避難してきたの。」
霊夢「こいつまで連れてこないでよ!!」
ばさ!ばさ!
ぶおおおおおおお!!
巨大ミスティアの羽ばたきが、突風となって神社を襲う。
霊夢「あ~!!また掃除したところが~!」
ミスティア「コケ~!!」
咲夜「ふん。どうあっても、フライドチキンになりたいようね。」
慧音「大きい骨が、無駄に多いフライドチキンになりそうだな。」
永琳「フライにする前に、こっちの骨が折れそうだけどね・・・・。」
暇得隊は、ミスティアを料理することを決めた。
このサイズならば、小骨と言えどもさぞかし大きいことだろう。
魔理沙「いくぜ!」
咲夜「あ、こら。抜け駆けなんてすると・・・。」
ぎゅん!
早速魔理沙が、自慢のスピードで突撃して行った。
ミスティア「コッケコッコ~!!」
ミスティアが咆哮する。
今は、秋の『夜』長のいいところではあるが。
魔理沙「おお!?急に目の前が真っ暗に・・・・・。」
ど~~~~ん!!
魔理沙「うわぁ~・・・・・。」
鳥目にされた魔理沙は、そのまま巨大ミスティアに突っ込み、墜落してしまった。
霊夢「ああもう!最近の魔理沙は頼りないわね!」
アリス「まぁもともと、頼りにはならないけど。」
永琳「・・・・あれは?」
ぴか~~~~!!!
ウルトララン「ジュワ!」
色々短縮して、ウルトラランが姿を現した。
霊夢「だから~!何で神社に出てくるのよ!!」
咲夜「それは仕方ないと思うわ。体質だし。」
霊夢「体質?」
アリス「変なこと巻き込まれ体質。」
よく言われていることだ。
霊夢「・・・・嫌な病気にかかったものね・・・。」
永琳「残念ながら、それに対する薬は作れないわ。」
慧音「まぁ、精々被害が出ないことを、祈ることだな。」
暇得隊の話は置いといて、ウルトラランである。
八雲藍は、そんじょそこらの妖怪より強い。
よって、そんじょそこらの妖怪が巨大化した怪獣よりも、ウルトラランは強いのである。
霊夢が文句たれている間にも、ウルトラランはミスティア相手に、戦いを有利に進めていた。
ウルトララン「シュワ!」
ブン!
ウルトラランが、パンチを繰り出した。
ミスティア「コケ~!!」
ウルトララン「!?」
それに対し、ミスティアが咆哮!
ウルトララン「ジェア!?」
ウルトラランが、顔を抑えた。
夜雀は、人を鳥目にする。
が、妖怪も、幽霊も式神も、ウルトラランをも鳥目にしてしまう。
ウルトララン「(目が・・・・!)」
魔理沙(気をつけろ、そいつは敵を鳥目にする。)
ウルトララン「(もうなってる。・・・・くそ!)」
暗いところが見えにくくなり、イライラしてくるウルトララン。
ウルトララン「ジュワ!」
ブン!
ヤケクソで、パンチを繰り出した!
魔理沙(馬鹿!辺り構わず攻撃するな!)
スカ!
普段、辺り構わず撃っている魔理沙の説得など、耳に届くはずも無い。
パンチは、ターゲットを大きく外して、空振りした。
しかし、その余勢は・・・・・・・。
ど~~~ん!!
何かに、当たった。
ウルトラランのパンチは、きっとマスタースパーク5.4発分くらい。
空振りした後の余勢でも、多分3発分近くはあるだろう。
まぁつまり、余勢とは言えウルトラランのパンチは、凄い威力である。
そんなパンチを喰らったら、
ガラガラガラ・・・・
霊夢「あ~~~~~~!!!!」
オンボロと呼ばれている博麗神社などは、たまったものではない。
鳥目にされたウルトラランは、何と神社にパンチを当ててしまった!
霊夢「こら~~~~!!!なんてことしてくれるのよ!!」
巨大生物が発する音にも負けない、霊夢の大音声。
ウルトララン「(ふ~、ようやく見えてきた・・・・・。げっ!)」
ウルトラランが、自分のやらかした事に気付いた。
魔理沙(だから馬鹿って言ったんだ。)
ウルトララン「(ど、どうしよう・・・・?)」
魔理沙(私は、正体がばれなきゃいいんだが。まぁ、この場は、一刻も早く・・・・。)
ウルトララン「(こいつを始末するんだな!)」
とにかく急いで、目の前の敵を片付けることにしたウルトララン。
さっさと逃げろよと、魔理沙は思った。
ウルトララン「ヘア!」
ミスティア「コッコッコ・・・。」
バサ!
ウルトララン「へア!?」
スカ!
ミスティアが、パンチを避けた。
上に飛んだのだ。
ど~~~ん!!
その余勢は再び、博麗神社にぶつけられた。
霊夢「わ~~~~~!!またやった~!!」
悲痛な霊夢の叫び。
ミスティア「コケー!」
ぶおおおおおお!!
ウルトララン「グ・・・!!」
ミスティアは、上空から、羽で突風を起こす。
その風は強く、ウルトラランは、動けない。
バキバキバキ!!
崩れた神社に、ミスティアの突風が追い討ちをかける。
霊夢「神社壊すな~~~!!」
ゴン!
霊夢「ぶっ!!」
神社の破片が、霊夢を直撃した。
まぁ霊夢は巫女だから、それくらいで死んだりはしない。
しないが、
霊夢「(ぶち!)」
永琳「!」
何かが、切れた音がした。
足音に羽音に咆哮にと、辺りは騒然としているが、その音を、永琳は聞き逃さなかった。
霊夢「あんたらいい加減にしろ~~~!!!」
霊夢が叫んだ!
その瞬間!
ずもももももももも!!!
アリス「何・・・・?」
ぴか~~~~!!
霊夢「 ウ オ オ オ オ オ オ オ ~ ~ ~ !!」
ぶち切れた霊夢は突然、巨大化した。
慧音「何事だぁ~~!?」
アリス「霊夢が怪獣になった!?」
咲夜「巨大化するのは、妖怪だけじゃなかったってことね・・・・・。」
永琳「あ~あ・・・・・・。」
驚きを隠せない、暇得隊の面々。
霊夢「シネ~!!」
ポイ!
巨大霊夢は、何かを投げた。
ウルトララン「ジュワ!?」
巨大な陰陽玉だ。
さっ!
ウルトラランは、それを回避した。
が、陰陽玉は、そのまま暇得隊の方へと向かってくる!
慧音「こっちにく・・・・。」
咲夜「よいしょ。」
それに対し、咲夜は時を止め、
咲夜「さっさっさ・・・と。・・・・はい。」
作業をした後、時を戻した。
慧音「るぞ!・・・・って、おや?」
慧音が見た景色は、先ほどとは微妙に違っていた。
永琳「ふうん。時を止めて、脱出させてくれたわけね。」
アリス「手際がいいわね。」
慧音「そういうことか。助かったぞ。」
咲夜「お褒めに預かり、光栄ですわ。」
咲夜の働きで、危機を脱した暇得隊。
しかし、
リグモン「わ~~~!!」
グシャ
リグモンは、巨大陰陽玉に潰されてしまった。
咲夜「あら、忘れてたわ。」
アリス「いいんじゃないの?リグモンだし。」
慧音「ああ、リグモンだしな。」
永琳「所詮、リグモンね。」
勝手に怪獣扱いされ、挙句に見捨てられる。
哀れリグモン。
バキバキバキバキ・・・・・
リグモンを潰した陰陽玉は、その余勢で神社をさらに破壊する。
咲夜「あ、神社が。」
アリス「また、壊れてるわね。」
慧音「自業自得と言うか、怒りや憎しみは、何も生み出さないということか。」
咲夜「また、霊夢が五月蝿いでしょうね。」
神社の破壊は進んでいるが、霊夢以外にとっては他人事である。
咲夜「あれはもう、霊夢じゃないわね。立派な怪獣ね。」
アリス「あいつの名前は、『二色蓮華獣 Red & White キング』よ。」
慧音「レッドアンドホワイトキング?」
咲夜「確かに、紅白だけど、キングって何よ。」
巨大化した博麗霊夢は、『二色蓮華獣 Red & White キング』と、勝手に命名されてしまった。
レッドアンドホワイトキングでは、少しばかり長いので、R&Wキングと表記しよう。
R&Wキング「ウガ~~~~~!!」
でも、正気を失った霊夢、R&Wキングは、そんなことお構いなしに、
ガシ!
ミスティア「コケ~~!!」
ミスティアを捕まえて、
R&Wキング「キエエエエエ!!」
ばっち~~~~ん!!!
ミスティア「ケ~・・・・・・・。」
巨大なお払い棒でぶっ叩いた。
ミスティアは、ゆっくり前に倒れ・・・・。
ずずずず~~~~~ん・・・・・
地響きを起こし、気絶した。
ぐらぐら・・・・
慧音「とと・・・・。震度はどれくらいだ?」
永琳「5~6くらいじゃないかしら?」
そんな局地地震。
だが、起こった場所の状況を考えると、
がらがらがらがらがら・・・・・・・
神社が崩壊すると言うことは、容易に考えられる。
咲夜「あ~あ・・・。霊夢が何と言う事やら。」
アリス「いいんじゃないの?霊夢がやったって言えば、それで済むでしょ。」
慧音「後々、面倒そうだけどな。」
神社は、完膚なきまでに壊れてしまった。
R&Wキング「ケヒャ~ヒャヒャヒャヒャ!!!」
完全に壊れてしまった神社などお構いなしに、R&Wキングは高々と笑う。
はっきり言って、怖い。
R&Wキング「ケヒ、ケヒ、ケヒケヒケヒ・・・・・。」
ギロ!
ウルトララン「!!」
R&Wキングは、ウルトラランを睨んだ。
そう、そもそも神社を最初に壊したのは、ウルトラランだ。
巨大化の原因は、ウルトラランにあると言ってもいい、と思う。
魔理沙(・・・・・おい、さっきから放って置かれてたが。)
ウルトララン「(そ、そんなことより、こんな話聞いてない・・・。)
魔理沙(うるさい、自業自得だ。何とかしろ。)
ウルトララン「(こ、こうなったら破れかぶれだ!)」
R&Wキングが、自分を敵視していることは、判りきっている。
ウルトラランはヤケクソで、パンチを繰り出した!
ウルトララン「ヂュワ!」
ドカ!
ウルトララン「!?」
R&Wキング「ケヒ?」
R&Wキングが、嫌な笑みを浮かべる。
『何よ、そのヘボい攻撃は?』とでも言いたいのだろうか?
ウルトララン「ヘア!」
バキ!
再度、パンチを繰り出すウルトララン。
ウルトララン「・・・・・・!!」
R&Wキング「ケヒケヒケヒ・・・・。」
やはり、効いている様子は無い。
R&Wキング「ケ~ヒ~!!」
R&Wキングが攻勢に転じた!
ドカ!
ウルトララン「グハッ!」
R&Wキング「ケヒ~!」
ウルトラランは、仰け反った!
バキ!
ウルトララン「ゲハッ!」
R&Wキングの攻撃は、きっと東方紅魔郷のマスタースパーク7発分に匹敵するだろう。
重すぎる一撃だ。
ガッ!
ガッ!
ガッ!
ガッ!
ガッ!
ウルトララン「アアアアアアア・・・・・・・。」
R&Wキング「ケヒケヒケヒ♪」
R&Wキングの強さの前に、ウルトラランは成す術なく、苛められるしかなかった。
R&Wキングは、実に楽しそうである。
テンコー! テンコー!
ウルトララン「!!」
ウルトラランの、活動限界が近づいている。
早く何とかしなければ、その場でテンコーだ。
ていうか、三分過ぎてるんじゃ、という気もするが、その辺はお約束だ。
ウルトララン「(こ、こんなの勝てるか~!!)」
魔理沙(逃げろ!このままじゃスッパテンコーだ!)
テンコー! テンコー!
ウルトララン「シュワッチ!!」
ウルトラランは、敵前逃亡に踏み切った。
何処かへ飛んでゆく。
R&Wキング「ケ~ヒ~!!」
巨大化し、理性を失っても怨みと必殺技は覚えているらしい。
R&Wキングは、印を結ぶと、
ぎゅおおおおおおおお!!
夢想妙珠を放った!
どどどど~~~~~~ん!!!
ウルトララン「ギャアアアア・・・・・・。」
ウルトラランは、空の彼方で撃墜されてしまった・・・・。
R&Wキング「ケヒ、ケヒ、ケヒケヒケヒ。」
R&Wキングは、大変満足気だ。
素敵な笑顔を、辺りに振り撒いている。
咲夜「ウルトラランが倒された・・・・・。」
慧音「流石に、相手が悪かったか。」
永琳「南無・・・・。」
アリス「あ、見て。」
アリスが、R&Wキングの方を指した。
しゅるるるるるる・・・・・・・・・
見る見るうちに、R&Wキングが、小さくなってゆく。
永琳「きっと、満足したのね。」
咲夜「行くわよ。霊夢の回収。」
慧音「ああ。」
暇得隊は、R&Wキングが居た場所へ向かう。
きっとそこには、元のサイズに戻ったそれ、つまり霊夢が居るだろう。
霊夢「う~ん・・・・・。」
居た。
どうやら、気を失っているようだ。
アリス「ちょっと。しっかりしなさいよ。」
霊夢「・・・・あ~?」
割とあっさり、目を覚ました。
何処かのスキマ妖怪とは違い、目覚めの良いことだ。
咲夜「お目覚めかしら?」
霊夢「私は・・・、何を・・・・?」
永琳「ちょっと巨大化して、暴れてただけよ。」
霊夢「巨大化してって・・・・・。あ~~~~~!!!」
慧音「寝覚めがよくて何よりだ。どうした?」
霊夢「神社!私ん家はどうなったの!?」
咲夜「心配しなくても、ぶっ壊れてるわ。盛大にね。」
霊夢「あああ・・・。まだ先は長そうなのに、何てことなの・・・・。」
僅か三話で住まいを破壊され、霊夢はショックを隠せない。
仕方ないので、廃墟になった神社へ向かう。
咲夜「あれは、まぁ7割くらい、霊夢が原因ね。」
霊夢「私が何をしたのよ!?」
永琳「一緒に大きくなった陰陽玉、思いっきり投げつけてたじゃない。」
咲夜「で、倒した妖怪が倒れた際、大地震が起きてね。」
慧音「あれがトドメになったのは、まぁ間違いないな。」
アリス「それにしても、これは、酷いわねぇ・・・・。」
永琳「ただでさえ、風通しがいいのに。これじゃあ冬は越せないわね。」
霊夢「うう・・・・・。この先どうしろって言うのよ・・・・?」
咲夜「うちに来る?お嬢様が暇しなさそうで、助かるんだけど。」
永琳「うちでもいいわよ。」
慧音「里は、う~ん・・・・、どうだろう?」
アリス「うちには来ないでよ?」
霊夢「何処もロクなもんじゃなさそうね・・・。はぁ~・・・・・。」
移住先を考えつつも、霊夢は今後の自分の扱いに対し、不安を抱いた。
と、同時に、巨大妖怪(ウルトララン含む)に対する憎しみを、一層抱いたのであった。
さて、一方落とされてしまった、ウルトラランであるが・・。
魔理沙「・・・・・・・痛い。」
元の、魔理沙の姿に戻っていた。
やられた分、本体である魔理沙にも、ダメージがいってしまったようだ。
藍(ありゃ反則よ・・・・。)
魔理沙「だから言ったぜ。霊夢を怒らすなって。」
藍(し、仕方ないじゃない・・・。事故なんだから・・・・。)
魔理沙「それにしても、私の身体は大丈夫なのか?」
藍(・・・・内臓破裂の追加・・・・・。)
魔理沙「大丈夫じゃないってことか。」
藍(もうやだ・・・。出て行きたい・・・。)
魔理沙「死ぬからやめろ。・・・・いたた。」
秋の夜長、迫り来る冬の足音。
されど、藍の心には、一足先に冬が到来してしまった。
だが、正義のヒーローは、決して挫けてはいけない。
正義のヒロインも、同様だ!
がんばれ、ウルトララン!負けるな、ウルトララン!!
毎度恒例になってきたかは知らないが、定例会議が行われようとしていた。
咲夜「さて、恒例の会議ですが・・・・・。」
霊夢「恒例になってるのも、問題よね。」
アリス「そろそろ、ここに通うのも面倒になってきたわ。」
慧音「何か打開策は無いのか?これじゃあ無駄に時が過ぎるだけだぞ。」
みんな、やる気は薄い。
咲夜「そう言わない。今日は、助っ人を呼んだわ。」
魔理沙「助っ人だと?」
ぱんぱん、と、咲夜が手を叩く。
すると、障子が開き、
永琳「こんばんわ。」
永遠亭の薬師、八意永琳が現れた。
宇宙人、月人だ。
霊夢「輝夜のとこの・・・・。あんたが助っ人?」
永琳「そうよ。姫が、じっくり観察してきなさいって。」
霊夢「何を?」
慧音「怪しいな。また、何か企んでるんじゃないか?」
アリス「むしろ、今回の怪獣ってところかしら?」
魔理沙「アリス、『今回の』ってフレーズは不味いぜ。」
咲夜「怪しいって言うのには、否定しないわ。」
永琳「酷い言われ様だわ。」
折角来たというのに、散々な言われ様。
しかし、天才永琳は、そんなことを気にすることは無かった。
咲夜「でも、天才って呼ばれるだけの頭脳があれば、事件解決に近づく。そう思わない?」
慧音「む・・・・。」
永琳「そうそう。私の頭脳を貸してあげようって言うのよ。貸し賃は、普通のお茶と普通のお茶菓子で。」
霊夢「安いのか高いのか、微妙なところねぇ・・・。」
永琳「高級なのは、出さないでよ?」
霊夢「誰も出さないわ。」
魔理沙「高級な奴なんか、霊夢にゃ買えん。」
霊夢「失礼ね!」
永琳「いや、そっちの意味じゃなくてね。」
霊夢にしてみれば、お茶とお茶菓子の消費量だけが、問題らしい。
咲夜「と、言うわけで、彼女に協力して貰おうと思うけど?」
アリス「私に異存は無いわ。お手並み、拝見させてもらおうかしらね。」
魔理沙「異存だらけだが、許す。」
慧音「仕方ないな・・・・。」
永琳「決定のようね。よろしく。」
霊夢「あ~あ・・・・。また、お茶の消費が・・・・・・。」
いろんな反応をされつつ、永琳は暇得隊入りをした。
秋も終わりかけの、やや寒い夜のことである。
そんな夜なので、
りんりんりん・・・・
自然一杯の神社には、虫の鳴き声が響くものである。
霊夢「あら、スズムシかしら?」
魔理沙「もう、そんな季節も終わりだな。」
ちんちろりんちんちろりん・・・
慧音「おや。今度はマツムシか。」
霊夢「風流ね。」
『いとをかし』、霊夢が思った、そんなとき、
み~んみんみんみ~~ん!!
霊夢「(がくっ!)」
魔理沙「蝉の何処が、風流なんだ?」
セミの鳴き声、風情を壊す。
みょ~んみょんみょんみょ~~ん!!
魔理沙「これは虫か?」
咲夜「いや、みょんって鳴く虫は、存在しないはずよ。」
霊夢「・・・・・そこ!」
シュッ!
霊夢はアミュレットを、外に向かって投げた。
?「わあっ!・・・・危ないわね!」
茂みから、声が聞こえた。
リグル「いきなり何するのよ!」
霊夢「蝉なんか引き連れて、何してんのよ!季節外れも甚だしいわ!」
出てきたのは、妖怪蛍、リグル・ナイトバグであった。
どうやら先ほどから鳴いていた虫は、全部リグルの眷属らしい。
リグル「仕方ないじゃない。たまに、季節外れに羽化しちゃうのが居るんだから。」
霊夢「だからって、うちに連れてこないでよ!」
魔理沙「さっきまで、風流だ何だって、言ってたのにな。」
霊夢「セミが居なけりゃよかったのよ。」
リグル「それ、蟲に対する差別?」
不機嫌になるリグル。
アリス「・・・・リグモンね。」
魔理沙「あ~?」
不意に、アリスが口を開いた。
魔理沙「何だよ、リグモンって。」
アリス「どうせ怪獣になるんでしょ、展開的に。それなら、予めつけておいたほうが・・・。」
そういえば、いつも怪獣に名前を付けているのは彼女だ。
リグルは、まだ怪獣ではないが。
慧音「なるほど、合理的だな。」
リグモン「勝手に変な名前つけるな~!!」
永琳「そういえば、何か用なの?リグモン。」
霊夢「どうでもいいけど、早く蟲を連れて帰ってよ、リグモン。」
リグモン「リグモン言うな~!」
リグルこと、リグモンはご立腹のようだ。
よく見たら、既に表記も変えられていた。
リグモン「大体、怪獣怪獣って言ってるけど、怪獣になったのはあいつなんだからね!」
咲夜「あいつ?」
ばさ!ばさ!
外からなにやら、音が聴こえてきた・・・・。
霊夢「・・・・・嫌な気配ね・・・・。」
永琳「羽音・・・・。外ね。」
嫌な羽音の原因を見るため、外に出る暇得隊。
そしてそれは、すぐに姿を現した。
ミスティア「コケコッコ~~!!!」
お馴染みとなった、巨大化した妖怪。
今回現れたのは、夜雀、ミスティア・ローレライ。
雀なのに鳴き声が鶏であるのは、きっと理性を失っているからであろう。
三分経つとスッパテンコー、それと同じことだ・・・・・・と思う。
魔理沙「何時ぞやの雀か。」
アリス「これは、予想外の展開ね・・・・。」
アリスは、珍しく困った顔をしている。
ネーミング係として、コレのネーミングに困っているのだろうか?
リグル「こいつが追いかけてくるから、他の蟲たちも連れて、ここに避難してきたの。」
霊夢「こいつまで連れてこないでよ!!」
ばさ!ばさ!
ぶおおおおおおお!!
巨大ミスティアの羽ばたきが、突風となって神社を襲う。
霊夢「あ~!!また掃除したところが~!」
ミスティア「コケ~!!」
咲夜「ふん。どうあっても、フライドチキンになりたいようね。」
慧音「大きい骨が、無駄に多いフライドチキンになりそうだな。」
永琳「フライにする前に、こっちの骨が折れそうだけどね・・・・。」
暇得隊は、ミスティアを料理することを決めた。
このサイズならば、小骨と言えどもさぞかし大きいことだろう。
魔理沙「いくぜ!」
咲夜「あ、こら。抜け駆けなんてすると・・・。」
ぎゅん!
早速魔理沙が、自慢のスピードで突撃して行った。
ミスティア「コッケコッコ~!!」
ミスティアが咆哮する。
今は、秋の『夜』長のいいところではあるが。
魔理沙「おお!?急に目の前が真っ暗に・・・・・。」
ど~~~~ん!!
魔理沙「うわぁ~・・・・・。」
鳥目にされた魔理沙は、そのまま巨大ミスティアに突っ込み、墜落してしまった。
霊夢「ああもう!最近の魔理沙は頼りないわね!」
アリス「まぁもともと、頼りにはならないけど。」
永琳「・・・・あれは?」
ぴか~~~~!!!
ウルトララン「ジュワ!」
色々短縮して、ウルトラランが姿を現した。
霊夢「だから~!何で神社に出てくるのよ!!」
咲夜「それは仕方ないと思うわ。体質だし。」
霊夢「体質?」
アリス「変なこと巻き込まれ体質。」
よく言われていることだ。
霊夢「・・・・嫌な病気にかかったものね・・・。」
永琳「残念ながら、それに対する薬は作れないわ。」
慧音「まぁ、精々被害が出ないことを、祈ることだな。」
暇得隊の話は置いといて、ウルトラランである。
八雲藍は、そんじょそこらの妖怪より強い。
よって、そんじょそこらの妖怪が巨大化した怪獣よりも、ウルトラランは強いのである。
霊夢が文句たれている間にも、ウルトラランはミスティア相手に、戦いを有利に進めていた。
ウルトララン「シュワ!」
ブン!
ウルトラランが、パンチを繰り出した。
ミスティア「コケ~!!」
ウルトララン「!?」
それに対し、ミスティアが咆哮!
ウルトララン「ジェア!?」
ウルトラランが、顔を抑えた。
夜雀は、人を鳥目にする。
が、妖怪も、幽霊も式神も、ウルトラランをも鳥目にしてしまう。
ウルトララン「(目が・・・・!)」
魔理沙(気をつけろ、そいつは敵を鳥目にする。)
ウルトララン「(もうなってる。・・・・くそ!)」
暗いところが見えにくくなり、イライラしてくるウルトララン。
ウルトララン「ジュワ!」
ブン!
ヤケクソで、パンチを繰り出した!
魔理沙(馬鹿!辺り構わず攻撃するな!)
スカ!
普段、辺り構わず撃っている魔理沙の説得など、耳に届くはずも無い。
パンチは、ターゲットを大きく外して、空振りした。
しかし、その余勢は・・・・・・・。
ど~~~ん!!
何かに、当たった。
ウルトラランのパンチは、きっとマスタースパーク5.4発分くらい。
空振りした後の余勢でも、多分3発分近くはあるだろう。
まぁつまり、余勢とは言えウルトラランのパンチは、凄い威力である。
そんなパンチを喰らったら、
ガラガラガラ・・・・
霊夢「あ~~~~~~!!!!」
オンボロと呼ばれている博麗神社などは、たまったものではない。
鳥目にされたウルトラランは、何と神社にパンチを当ててしまった!
霊夢「こら~~~~!!!なんてことしてくれるのよ!!」
巨大生物が発する音にも負けない、霊夢の大音声。
ウルトララン「(ふ~、ようやく見えてきた・・・・・。げっ!)」
ウルトラランが、自分のやらかした事に気付いた。
魔理沙(だから馬鹿って言ったんだ。)
ウルトララン「(ど、どうしよう・・・・?)」
魔理沙(私は、正体がばれなきゃいいんだが。まぁ、この場は、一刻も早く・・・・。)
ウルトララン「(こいつを始末するんだな!)」
とにかく急いで、目の前の敵を片付けることにしたウルトララン。
さっさと逃げろよと、魔理沙は思った。
ウルトララン「ヘア!」
ミスティア「コッコッコ・・・。」
バサ!
ウルトララン「へア!?」
スカ!
ミスティアが、パンチを避けた。
上に飛んだのだ。
ど~~~ん!!
その余勢は再び、博麗神社にぶつけられた。
霊夢「わ~~~~~!!またやった~!!」
悲痛な霊夢の叫び。
ミスティア「コケー!」
ぶおおおおおお!!
ウルトララン「グ・・・!!」
ミスティアは、上空から、羽で突風を起こす。
その風は強く、ウルトラランは、動けない。
バキバキバキ!!
崩れた神社に、ミスティアの突風が追い討ちをかける。
霊夢「神社壊すな~~~!!」
ゴン!
霊夢「ぶっ!!」
神社の破片が、霊夢を直撃した。
まぁ霊夢は巫女だから、それくらいで死んだりはしない。
しないが、
霊夢「(ぶち!)」
永琳「!」
何かが、切れた音がした。
足音に羽音に咆哮にと、辺りは騒然としているが、その音を、永琳は聞き逃さなかった。
霊夢「あんたらいい加減にしろ~~~!!!」
霊夢が叫んだ!
その瞬間!
ずもももももももも!!!
アリス「何・・・・?」
ぴか~~~~!!
霊夢「 ウ オ オ オ オ オ オ オ ~ ~ ~ !!」
ぶち切れた霊夢は突然、巨大化した。
慧音「何事だぁ~~!?」
アリス「霊夢が怪獣になった!?」
咲夜「巨大化するのは、妖怪だけじゃなかったってことね・・・・・。」
永琳「あ~あ・・・・・・。」
驚きを隠せない、暇得隊の面々。
霊夢「シネ~!!」
ポイ!
巨大霊夢は、何かを投げた。
ウルトララン「ジュワ!?」
巨大な陰陽玉だ。
さっ!
ウルトラランは、それを回避した。
が、陰陽玉は、そのまま暇得隊の方へと向かってくる!
慧音「こっちにく・・・・。」
咲夜「よいしょ。」
それに対し、咲夜は時を止め、
咲夜「さっさっさ・・・と。・・・・はい。」
作業をした後、時を戻した。
慧音「るぞ!・・・・って、おや?」
慧音が見た景色は、先ほどとは微妙に違っていた。
永琳「ふうん。時を止めて、脱出させてくれたわけね。」
アリス「手際がいいわね。」
慧音「そういうことか。助かったぞ。」
咲夜「お褒めに預かり、光栄ですわ。」
咲夜の働きで、危機を脱した暇得隊。
しかし、
リグモン「わ~~~!!」
グシャ
リグモンは、巨大陰陽玉に潰されてしまった。
咲夜「あら、忘れてたわ。」
アリス「いいんじゃないの?リグモンだし。」
慧音「ああ、リグモンだしな。」
永琳「所詮、リグモンね。」
勝手に怪獣扱いされ、挙句に見捨てられる。
哀れリグモン。
バキバキバキバキ・・・・・
リグモンを潰した陰陽玉は、その余勢で神社をさらに破壊する。
咲夜「あ、神社が。」
アリス「また、壊れてるわね。」
慧音「自業自得と言うか、怒りや憎しみは、何も生み出さないということか。」
咲夜「また、霊夢が五月蝿いでしょうね。」
神社の破壊は進んでいるが、霊夢以外にとっては他人事である。
咲夜「あれはもう、霊夢じゃないわね。立派な怪獣ね。」
アリス「あいつの名前は、『二色蓮華獣 Red & White キング』よ。」
慧音「レッドアンドホワイトキング?」
咲夜「確かに、紅白だけど、キングって何よ。」
巨大化した博麗霊夢は、『二色蓮華獣 Red & White キング』と、勝手に命名されてしまった。
レッドアンドホワイトキングでは、少しばかり長いので、R&Wキングと表記しよう。
R&Wキング「ウガ~~~~~!!」
でも、正気を失った霊夢、R&Wキングは、そんなことお構いなしに、
ガシ!
ミスティア「コケ~~!!」
ミスティアを捕まえて、
R&Wキング「キエエエエエ!!」
ばっち~~~~ん!!!
ミスティア「ケ~・・・・・・・。」
巨大なお払い棒でぶっ叩いた。
ミスティアは、ゆっくり前に倒れ・・・・。
ずずずず~~~~~ん・・・・・
地響きを起こし、気絶した。
ぐらぐら・・・・
慧音「とと・・・・。震度はどれくらいだ?」
永琳「5~6くらいじゃないかしら?」
そんな局地地震。
だが、起こった場所の状況を考えると、
がらがらがらがらがら・・・・・・・
神社が崩壊すると言うことは、容易に考えられる。
咲夜「あ~あ・・・。霊夢が何と言う事やら。」
アリス「いいんじゃないの?霊夢がやったって言えば、それで済むでしょ。」
慧音「後々、面倒そうだけどな。」
神社は、完膚なきまでに壊れてしまった。
R&Wキング「ケヒャ~ヒャヒャヒャヒャ!!!」
完全に壊れてしまった神社などお構いなしに、R&Wキングは高々と笑う。
はっきり言って、怖い。
R&Wキング「ケヒ、ケヒ、ケヒケヒケヒ・・・・・。」
ギロ!
ウルトララン「!!」
R&Wキングは、ウルトラランを睨んだ。
そう、そもそも神社を最初に壊したのは、ウルトラランだ。
巨大化の原因は、ウルトラランにあると言ってもいい、と思う。
魔理沙(・・・・・おい、さっきから放って置かれてたが。)
ウルトララン「(そ、そんなことより、こんな話聞いてない・・・。)
魔理沙(うるさい、自業自得だ。何とかしろ。)
ウルトララン「(こ、こうなったら破れかぶれだ!)」
R&Wキングが、自分を敵視していることは、判りきっている。
ウルトラランはヤケクソで、パンチを繰り出した!
ウルトララン「ヂュワ!」
ドカ!
ウルトララン「!?」
R&Wキング「ケヒ?」
R&Wキングが、嫌な笑みを浮かべる。
『何よ、そのヘボい攻撃は?』とでも言いたいのだろうか?
ウルトララン「ヘア!」
バキ!
再度、パンチを繰り出すウルトララン。
ウルトララン「・・・・・・!!」
R&Wキング「ケヒケヒケヒ・・・・。」
やはり、効いている様子は無い。
R&Wキング「ケ~ヒ~!!」
R&Wキングが攻勢に転じた!
ドカ!
ウルトララン「グハッ!」
R&Wキング「ケヒ~!」
ウルトラランは、仰け反った!
バキ!
ウルトララン「ゲハッ!」
R&Wキングの攻撃は、きっと東方紅魔郷のマスタースパーク7発分に匹敵するだろう。
重すぎる一撃だ。
ガッ!
ガッ!
ガッ!
ガッ!
ガッ!
ウルトララン「アアアアアアア・・・・・・・。」
R&Wキング「ケヒケヒケヒ♪」
R&Wキングの強さの前に、ウルトラランは成す術なく、苛められるしかなかった。
R&Wキングは、実に楽しそうである。
テンコー! テンコー!
ウルトララン「!!」
ウルトラランの、活動限界が近づいている。
早く何とかしなければ、その場でテンコーだ。
ていうか、三分過ぎてるんじゃ、という気もするが、その辺はお約束だ。
ウルトララン「(こ、こんなの勝てるか~!!)」
魔理沙(逃げろ!このままじゃスッパテンコーだ!)
テンコー! テンコー!
ウルトララン「シュワッチ!!」
ウルトラランは、敵前逃亡に踏み切った。
何処かへ飛んでゆく。
R&Wキング「ケ~ヒ~!!」
巨大化し、理性を失っても怨みと必殺技は覚えているらしい。
R&Wキングは、印を結ぶと、
ぎゅおおおおおおおお!!
夢想妙珠を放った!
どどどど~~~~~~ん!!!
ウルトララン「ギャアアアア・・・・・・。」
ウルトラランは、空の彼方で撃墜されてしまった・・・・。
R&Wキング「ケヒ、ケヒ、ケヒケヒケヒ。」
R&Wキングは、大変満足気だ。
素敵な笑顔を、辺りに振り撒いている。
咲夜「ウルトラランが倒された・・・・・。」
慧音「流石に、相手が悪かったか。」
永琳「南無・・・・。」
アリス「あ、見て。」
アリスが、R&Wキングの方を指した。
しゅるるるるるる・・・・・・・・・
見る見るうちに、R&Wキングが、小さくなってゆく。
永琳「きっと、満足したのね。」
咲夜「行くわよ。霊夢の回収。」
慧音「ああ。」
暇得隊は、R&Wキングが居た場所へ向かう。
きっとそこには、元のサイズに戻ったそれ、つまり霊夢が居るだろう。
霊夢「う~ん・・・・・。」
居た。
どうやら、気を失っているようだ。
アリス「ちょっと。しっかりしなさいよ。」
霊夢「・・・・あ~?」
割とあっさり、目を覚ました。
何処かのスキマ妖怪とは違い、目覚めの良いことだ。
咲夜「お目覚めかしら?」
霊夢「私は・・・、何を・・・・?」
永琳「ちょっと巨大化して、暴れてただけよ。」
霊夢「巨大化してって・・・・・。あ~~~~~!!!」
慧音「寝覚めがよくて何よりだ。どうした?」
霊夢「神社!私ん家はどうなったの!?」
咲夜「心配しなくても、ぶっ壊れてるわ。盛大にね。」
霊夢「あああ・・・。まだ先は長そうなのに、何てことなの・・・・。」
僅か三話で住まいを破壊され、霊夢はショックを隠せない。
仕方ないので、廃墟になった神社へ向かう。
咲夜「あれは、まぁ7割くらい、霊夢が原因ね。」
霊夢「私が何をしたのよ!?」
永琳「一緒に大きくなった陰陽玉、思いっきり投げつけてたじゃない。」
咲夜「で、倒した妖怪が倒れた際、大地震が起きてね。」
慧音「あれがトドメになったのは、まぁ間違いないな。」
アリス「それにしても、これは、酷いわねぇ・・・・。」
永琳「ただでさえ、風通しがいいのに。これじゃあ冬は越せないわね。」
霊夢「うう・・・・・。この先どうしろって言うのよ・・・・?」
咲夜「うちに来る?お嬢様が暇しなさそうで、助かるんだけど。」
永琳「うちでもいいわよ。」
慧音「里は、う~ん・・・・、どうだろう?」
アリス「うちには来ないでよ?」
霊夢「何処もロクなもんじゃなさそうね・・・。はぁ~・・・・・。」
移住先を考えつつも、霊夢は今後の自分の扱いに対し、不安を抱いた。
と、同時に、巨大妖怪(ウルトララン含む)に対する憎しみを、一層抱いたのであった。
さて、一方落とされてしまった、ウルトラランであるが・・。
魔理沙「・・・・・・・痛い。」
元の、魔理沙の姿に戻っていた。
やられた分、本体である魔理沙にも、ダメージがいってしまったようだ。
藍(ありゃ反則よ・・・・。)
魔理沙「だから言ったぜ。霊夢を怒らすなって。」
藍(し、仕方ないじゃない・・・。事故なんだから・・・・。)
魔理沙「それにしても、私の身体は大丈夫なのか?」
藍(・・・・内臓破裂の追加・・・・・。)
魔理沙「大丈夫じゃないってことか。」
藍(もうやだ・・・。出て行きたい・・・。)
魔理沙「死ぬからやめろ。・・・・いたた。」
秋の夜長、迫り来る冬の足音。
されど、藍の心には、一足先に冬が到来してしまった。
だが、正義のヒーローは、決して挫けてはいけない。
正義のヒロインも、同様だ!
がんばれ、ウルトララン!負けるな、ウルトララン!!
巫女としてはアレでも、神社壊されたらさすがに怒りますよね。
でも、博麗神社=暇得隊本部が壊れてしまって、これから彼女達どうするんだろう。
まさか霊夢が巨大化するとは!!(爆)
しかし、やはりpikochuさんの霊夢だと鳴き声は「ケヒヒ」になるんですねぇ。
いつも不遇な目に合っているpiko霊夢(勝手に命名)な分、今回は有る意味いい役かも。(笑)