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ミスティアの屋台に、今日もまたお客様がぽつりぽつり。
「はい、蒲焼きだよ」
今日のお客はいつもの顔なじみ、チルノとルーミアの二人だった。
「私さ……いつまで、馬鹿で通せばいいのかな?」
チルノはコップ一杯のお酒を飲み干すと、深い溜息をついた。
「これでもさ、相当長く生きてるんだよね」
指先で木目をなぞり、うつむきながらぽつりぽつり。
「知識だってさ、人並み以上にあるよ、なのにさ、弾幕を少しミスっただけでさ、
延々と馬鹿馬鹿って言われるんだよね……もうあたい疲れたよ」
「……そうなのか」
ルーミアが相槌を打ち、チルノのコップに酒を注ぐ、
ふとチルノは、その手が震えている事に気づいた。
「それ、どうしたの?」
「何でもない、ただの五十肩」
「ああ……」
ルーミアは肩に手を当てて、ぐりぐりと動かす、
やはり痛みが走るのか、少し顔をゆがめていた。
「最近は十字架のポーズをとるのも辛いわ」
「人肉ばかり食べてるからじゃないの? 栄養偏るよ」
「……そうなのか」
ルーミアも溜息をつく、チルノはそっとルーミアのコップに酒を注いだ、
ふとその時、暖簾をくぐって新しいお客さんが訪れる。
「やぁ、飲んでるかい?」
「あ、リグルだ……って、どうしたのその大怪我」
「これ? ははっ、また幽香さんにアタックしたんだけど、このざまだよ」
遅れて現れたリグルは、全身が痛々しい包帯姿だった。
「まだ諦めてなかったんだ」
「うん、今日は腐葉土をプレゼントにもっていったんだけど、気に入らなかったみたい」
「……馬鹿なのか」
「だって何を送ればいいのかわからないし……あ、お酒と蒲焼一つ」
「あいよ」
ひとまず差し出された酒瓶をコップに注ぎ、かけ付け一杯。
「はぁ~、染み渡るなぁ」
「もう諦めたらどう?」
「それも考えたんだけどねぇ……やっぱり好きなんだよ、あの人のこと」
「……そうなのか」
「どんなに殴られてもさ、蹴られてもさ、引き寄せられちゃうんだよ」
「虫だからじゃない?」
「……否定はしない」
ことり、と蒲焼きが二つのった皿がリグルの前に置かれる。
「あれ、一つしか頼んでないけど」
「サービスよ、これで精力つけて、また頑張って」
「……ありがとう」
箸で蒲焼きをほぐし、一口、二口と口へ運ぶ、
リグルにつられてチルノも、ルーミアも共に。
「んー……やっぱりここの蒲焼きは幻想郷一だね」
「褒めても何もでないよ」
「ういー、お酒もう一本頂戴」
「チルノちゃん、飲みすぎは体に悪いよ」
「いいの、あたいは最強なんだから……」
チルノはいい感じに酔いが回り、リグルはよしよしとたしなめる、
その中でルーミアだけが蒲焼きを食べながら顔を捻っていた。
「ミスチーこれ、タレ変えた?」
「……ああ、気づいちゃったのね」
ルーミアの問いに、ミスティアは少し顔を背けて、申し訳なさそうに答えた。
「私で……三代目なのよ」
「……先代は?」
「食べられちゃった」
「そうなのか……」
少し悲しげな表情を浮かべ、誤魔化すように蒲焼きを焼き続けるミスティア、
ルーミアは棚からコップを取り出し酒を注ぐと、それをミスティアの前に置いた。
「私の奢り」
「……ありがとう」
悲しみを飲み干すように、コップを傾けるミスティア、
飲んで、飲んで、飲み干して、コップを置いて笑顔を一つ。
「よし、湿っぽいのもなんだし、そろそろ歌うよ! リクエストはある?」
「ういー、まずは天城越えでしょー」
「あ、じゃあ僕も天城越えで」
「……天城越え」
ミスティアの屋台から、今日もよく響く声が、遠くまで。
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ミスティアの屋台に、今日もまたお客様がぽつりぽつり。
「はい、蒲焼きだよ」
今日のお客はいつもの顔なじみ、チルノとルーミアの二人だった。
「私さ……いつまで、馬鹿で通せばいいのかな?」
チルノはコップ一杯のお酒を飲み干すと、深い溜息をついた。
「これでもさ、相当長く生きてるんだよね」
指先で木目をなぞり、うつむきながらぽつりぽつり。
「知識だってさ、人並み以上にあるよ、なのにさ、弾幕を少しミスっただけでさ、
延々と馬鹿馬鹿って言われるんだよね……もうあたい疲れたよ」
「……そうなのか」
ルーミアが相槌を打ち、チルノのコップに酒を注ぐ、
ふとチルノは、その手が震えている事に気づいた。
「それ、どうしたの?」
「何でもない、ただの五十肩」
「ああ……」
ルーミアは肩に手を当てて、ぐりぐりと動かす、
やはり痛みが走るのか、少し顔をゆがめていた。
「最近は十字架のポーズをとるのも辛いわ」
「人肉ばかり食べてるからじゃないの? 栄養偏るよ」
「……そうなのか」
ルーミアも溜息をつく、チルノはそっとルーミアのコップに酒を注いだ、
ふとその時、暖簾をくぐって新しいお客さんが訪れる。
「やぁ、飲んでるかい?」
「あ、リグルだ……って、どうしたのその大怪我」
「これ? ははっ、また幽香さんにアタックしたんだけど、このざまだよ」
遅れて現れたリグルは、全身が痛々しい包帯姿だった。
「まだ諦めてなかったんだ」
「うん、今日は腐葉土をプレゼントにもっていったんだけど、気に入らなかったみたい」
「……馬鹿なのか」
「だって何を送ればいいのかわからないし……あ、お酒と蒲焼一つ」
「あいよ」
ひとまず差し出された酒瓶をコップに注ぎ、かけ付け一杯。
「はぁ~、染み渡るなぁ」
「もう諦めたらどう?」
「それも考えたんだけどねぇ……やっぱり好きなんだよ、あの人のこと」
「……そうなのか」
「どんなに殴られてもさ、蹴られてもさ、引き寄せられちゃうんだよ」
「虫だからじゃない?」
「……否定はしない」
ことり、と蒲焼きが二つのった皿がリグルの前に置かれる。
「あれ、一つしか頼んでないけど」
「サービスよ、これで精力つけて、また頑張って」
「……ありがとう」
箸で蒲焼きをほぐし、一口、二口と口へ運ぶ、
リグルにつられてチルノも、ルーミアも共に。
「んー……やっぱりここの蒲焼きは幻想郷一だね」
「褒めても何もでないよ」
「ういー、お酒もう一本頂戴」
「チルノちゃん、飲みすぎは体に悪いよ」
「いいの、あたいは最強なんだから……」
チルノはいい感じに酔いが回り、リグルはよしよしとたしなめる、
その中でルーミアだけが蒲焼きを食べながら顔を捻っていた。
「ミスチーこれ、タレ変えた?」
「……ああ、気づいちゃったのね」
ルーミアの問いに、ミスティアは少し顔を背けて、申し訳なさそうに答えた。
「私で……三代目なのよ」
「……先代は?」
「食べられちゃった」
「そうなのか……」
少し悲しげな表情を浮かべ、誤魔化すように蒲焼きを焼き続けるミスティア、
ルーミアは棚からコップを取り出し酒を注ぐと、それをミスティアの前に置いた。
「私の奢り」
「……ありがとう」
悲しみを飲み干すように、コップを傾けるミスティア、
飲んで、飲んで、飲み干して、コップを置いて笑顔を一つ。
「よし、湿っぽいのもなんだし、そろそろ歌うよ! リクエストはある?」
「ういー、まずは天城越えでしょー」
「あ、じゃあ僕も天城越えで」
「……天城越え」
ミスティアの屋台から、今日もよく響く声が、遠くまで。
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おっさんくさいよぉぉ
だがそれもいいかもしれない(開拓精神
みすちーの扱いが切なすぎて泣ける
なんという悲哀。湿っぽく笑わせていただきました。
無理だろうなあwww
そういったものを抜きにしてもよくあるネタをよくあるように、と感じました
過剰に期待しすぎていると言われればなにも言えませんが……
この設定でガチガチにシリアスな長編読みたくなった。
しかしルーミアは相変わらずのつかめないキャラで素敵。
世の無常を感じる……
バカルテットたちにもいろいろと事情があるんですねw
しんみりな雰囲気最高でしたw