幽霊と亡霊。
たった一文字の違いだが、両者の間にはとてつもない開きが存在する。
幻想郷において「幽霊」と言えば、あらゆる物に宿っている気質の塊である。
ここで「あらゆる者」ではなく、「あらゆる物」と表記される事からも分かる様に、幻想郷の幽霊とは、生物の成れの果てとは限らない。
例えばだが、無生物の石や水にも気質は宿っているのだ。
それらが死ぬか、あるいは姿を保てなくなったのならば、幽霊が発生するのである。
人や動物と言った特定の形を持っている訳でもなければ、何かを喋ったり触ったりする事も出来ない。
幽霊とは、ふよふよと漂うだけの空気の様な存在なのである。
一方、幻想郷における「亡霊」とは人が死んで幽霊になったものの内、未練が強い者が変化した存在である。
人間以外の生物は未練を抱えて死ぬ様な事が無い為、亡霊とは即ち、人間の成れの果てなのである。
執着の強さ故に生前の姿を保ち続け、他の物に触ることすら可能であり、その存在は幽霊よりもむしろ人間に近いと言うべきであろう。
その未練故に、亡霊は人に憑依したり、あるいはそのまま殺してしまったりと言った悪事を働く事が多い。
この話の主人公である聖輦船の船長、村紗水蜜は「舟幽霊」と言う名前の妖怪である。
正確に言うならば、亡霊から妖怪へと変質している。
遥か昔、船が転覆して死んだ者達の無念や未練が村紗の本質にして正体そのもの。
幾つもの船を沈め、幾人もの船乗り達を海底に引きずり下ろして殺すのが村紗の過去の悪行だった。
尼僧、聖白蓮に諭されて改心し、聖輦船の船長と言う役割を貰った日まで村紗は孤独だった。
白蓮を慕い、何人もの妖怪が聖輦船の住人となり、そこで様々な出会いを経験した。
やがて、村紗は一人の妖怪の少女と出会い、その少女に心惹かれる様になる。
この話は、舟幽霊の少女と毘沙門天の弟子の少女が織り成した恋の物語。
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春先の幻想郷の空を、一隻の船が遊弋していた。
その船の名は、聖輦船。
数週間前に封印より解放された尼僧、聖白蓮を筆頭に集った妖怪達の住処にして、その白蓮の帰依する命蓮寺をも兼ねた巨大な船でもある。
うららかな幻想郷の午後の空は、至って平和である。
妖精達は花畑で遊び、人間達は田畑を耕し、妖怪達は桜の下で酒を飲み交わしている。
巫女は境内を掃除し、魔法使いは今日も今日とて魔法の研究に余念が無く、吸血鬼は日没時刻が遅れる事に愚痴を漏らしている。
雲を突き抜け、風を切りながら聖輦船はそんな幻想郷の空を行く。
春先の幻想郷は、至って平和である。
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「…………んんーっ…………ふぁっ…………んっ、んん――っ!!!
ふぅっ……良く眠れた」
つい先程まで聖輦船の甲板の上で昼寝をしていた私、村紗水蜜は眠気を覚ます為に大きく伸びをしていた。
本日の天気は晴れ。聖輦船の飛行高度はおよそ地上から百メートル。周囲の風速は微風――総合するならば、聖輦船の航海には影響無し。
それなりの高速で進む聖輦船の甲板には冷たい風が吹き抜けていて、寝ぼけている私の頭を徐々に覚醒させてくれる。
「えーっと、今日は確か……」
未だもやが薄くかかった様な思考を徐々に鮮明にしながら、私は今日の予定を思い出す。
今日は――そうだ、命蓮寺の新入り妖怪、封獣ぬえの歓迎会をしていたのだった。
自己紹介やら食事会やらが終わり、二次会の呑みになった所で私は一度甲板へ移動して、昼寝をしていたのだ。
食事会で軽くお酒を飲んだから、二次会は遠慮する事にした。
この船の実質リーダーの尼僧、聖白蓮や入道使いの雲居一輪はかなりのうわばみなのだが……私はあまりお酒を飲めないタイプなので、こうして甲板へ失礼していたのだ。
本来なら、聖輦船の船長である私は聖輦船の航海に随時気を遣らねばならないのかもしれない。
けれども、聖輦船は自動操縦機能を搭載しているのでいちいち船長である私の操舵を必要とはしないのだ。
だから、私はこうして甲板でお昼寝をする事が出来たのだった。
以上、おさらいを終了。
「んーと、他の皆はまだ二次会かなぁ?」
甲板をぐるりと見渡すと――数メートル遠くに、もう一人の妖怪の姿が見えた。
金と黒の混じった髪に蓮の華にも似た髪飾り。
鎧を連想させる茶色の服に、虎柄の腰巻姿。
背中には一本の長槍を携えたその姿は、凛々しい武将の様にも見えるかもしれない。
寅丸星――私の、大切な人だ。
「しょうがないなぁ。せっかくの宴会だってのに、毘沙門天のお弟子さんが二次会を欠席だなんて。
……まあ、私も抜け出して昼寝タイムだっかんだけど」
寝ぼけ眼を擦りながら、私はそっと足音を殺しながら星の近くへ歩み寄る。
星はと言うと――どうやら、寝ているらしい。
ごろりと甲板に仰向けになって、気持ち良さそうに眠っている。
さんさんと降り注ぐ太陽の光を受けたその髪が金色に煌めいていて、思わず見惚れてしまいそうになる。
足音で起こしてしまわない様に気を付けながら、小さな声で星に呼びかけてみた。
「おーい?」
「…………ふにゅ……………………えへへっ………………らめですよー…………そんなにいっぱいぃ……たべれな…………うみゅ…………」
「全く……どんな夢を見ているんだか。夢の中で二次会でもしているのかしら?」
どうやら、かなり深く眠っているらしい。
私はそっと、星を起こさない様に気を付けながら、その傍らに腰を下ろした。
軽く聖輦船の床板が軋んで音を立てたけれど、星にはなんら影響無し。
「はぁっ。どうして私……こんなのを、好きになっちゃったんだろうなぁ……」
誰かに言い聞かせる訳でもなく、何となく私はそう呟いていた。
寅丸星――毘沙門天の代役として、命蓮寺で人間の信仰を一身に受ける妖怪の少女。
コイツと最初に出会ったのは……聖が、毘沙門天の代理としてお寺のある山の妖怪を選出した日の事。
最初は、生真面目で融通の利かない頑固者だと思っていた。
仏法における十二天の一角、毘沙門天の代理として厳格な正義を貫く、実直な妖怪。
それが、私にとって最初の星に対する印象だった。
妖怪と言う身分を偽り、人間に崇められ、お寺の近くの妖怪にも配慮をしなければならないと言う役目。
そんなお役目をこなせるのだから、きっと星はとんでもないエリート妖怪で、とんでもない堅物なのだろうと思っていた。
けれども、一緒に寝泊りをして、ご飯を食べて、他にも色々な事があって――私は、そんな星に対する印象が誤りであった事を知った。
お寺の備品をうっかり壊してしまう。
人間に正体を怪しまれて、危うい所で聖のフォローに助けられる。
部下である鼠の妖怪、ナズーリンには頭が上がらない。
けれども、自分のお役目をこなそうと日々努力していて、鍛錬には絶対に手を抜こうとしない。
星は私が思っていたよりもずっとずっと弱くて、おっちょこちょいで……けれども、一生懸命な妖怪だったのだ。
毘沙門天の代理と言う重圧に耐え切れず、部屋に閉じこもって泣き言を言う日もあった。
大切な宝物を無くしてしまい、涙目でナズーリンに探索を命じる時もあった。
書置きを残して寺を抜け出した日は、私と聖とナズーリンで必死に山を探したりもした。
命蓮寺の表向き代表の癖に、大切な時に頼りにならない。
けれども、周囲は星が受けている重圧を知っているからこそ、支えになってあげようとする――そんな、平和な日々が本当に懐かしいと思う。
そして何時しか、「堅物な妖怪」と言う私の星に対する認識は「支えてあげたい存在」に摩り替わっていた。
やがて私は、聖やナズーリン、一輪や雲山と言ったお寺の仲間――その誰よりも、星の支えになってあげたいと願う様になっていた。
聖の様に、妖怪を救う強力な法力は無い。
ナズーリンの様に、二本のロッドで無くした物を探す力も無い。
一輪と雲山の様に、巨大化して縦横無尽に戦うだけの力も無い。
海難事故を起こす事くらいしか、私には出来ないけれど――それでも、他の誰よりも星を支えてあげたいと思ってしまったのだ。
恋心、だったと思う。
最初は自覚なんて無かったけれど、確かに私は星に恋をしていた。
けれども、私は妖怪で舟幽霊。過去には幾つもの悪事を働いた亡霊。
こんな私には、星に恋をする資格なんて無い――ずっと、そう思っていた。
そもそも、私も星も女の子なのだ。
どんなに星が毘沙門天を模した格好をしていたからと言って、女の子同士では恋なんて適う筈が無い。
星にはもっとお似合いの相手が居て、やがてはその相手と結ばれて、私の恋は適わないまま。
ずーっと、そう思っていた。
星に想いを伝えようともせずに、私は最初っから勝負の土俵にすら上がろうとしていなかった。
けれども、忘れもしない。
全てが変わったのは、毘沙門天の代理の重圧に耐えられなくなってか、あるいは何かを無くしてか――寺を逃げ出した星を必死に探していたあの日の事だ。
瞼をそっと閉じれば、今から何百年も前の事だと言うのに、その光景が昨日の事の様に思い出される。
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『たたたたたっ、大変!!!! 皆!! 早く起きて!!!!』
寝耳に水とでも言うのだろうか?
何時もの起床時刻よりも早く、私の意識は聖の大声で無理やり覚醒させられていた。
説明によると、聖が目を覚ました時には既にお寺に星の姿が無く、座間に「もう疲れました。寅丸星」とだけ書かれた書置きが残されていたのだ。
書置きを見るなり聖はナズーリンに星の捜索命令を出し、一輪と雲山もお寺を飛び出して星の探索に加わる事となった。
探し物を探す能力に長けたナズーリンは、ロッドと振り子で星の居場所を探す。
巨大化して広範囲を探す術に長けた雲山とその相棒の一輪は、山のあちこちを探す。
三人の能力は、星を探すのにうってつけの能力。
一方の私には、海難事故を起こす程度しか出来ない。
だから、私はお寺でお留守番のお役目なのだ。
そう、確信していた。
『どうしたのですか? ムラサ……貴女は星を探しに行かないの?』
不意に、聖にそう尋ねられていた。
一瞬、聖の言う事が理解出来なかった。
私なんかがどうこうしたとしても、星の探索にはこれっぽちも影響しない――そう、思っていたから。
『星の事を大切に想うのならば、探しに行ってあげなさい。
貴女と星との間に縁があるのなら、きっと見つけられます』
続いて投げ掛けられた聖の言葉には、思わずドキリとしてしまった。
聖の目は真剣そのもの。
感付かれていたのだ。私の、星に対する想いを。
そして、私は一言だけ『ありがとうございます!』と叫ぶと、星を探しにお寺を飛び出した。
お山を登るべきか、下るべきか――登るならば一輪と雲山の探索範囲、下ればナズーリンの探索範囲だ。
二人がお寺を出てから既に数十分が経過しているけれども、まだ二人は星を発見していない。
つまり、星が居るのは上でも下でも無い場所だ。
けれども、そんな場所は何処にあるのだろうか?
私は、星の立場になって考えてみた。
私の知っている、星に対するありとあらゆる知識を頭の中で思い描く。
真面目だけれども重圧には弱くて、一人で引きこもって泣き言を言ったりする。
うっかり物を壊したり、無くしたり……おっちょこちょいな所もある。
けれども、自分の責任の重さは理解していて、それに負けない様に日々頑張ろうともしている。
部下には頭が上がらなくて、何時も泣きそうな顔になっている。
そんな、意気地無しだけど頑張り屋さん、気の弱い星が居る場所と言えば――
『……まさか!』
私は、その場でUターンをするとある場所向けて走り出した。
『あらっ? む、ムラサ? 星を探しに行ったのでは』
庭を逆走して来た私を見て、驚いた聖が素っ頓狂な声を上げていた。
そんな聖の傍を通り抜けて、私は庭を一直線に走る。走る。走る!
やがて、私の目の前に目的地が見えて来た。
冷静になって考えても見れば、意気地なしの星が聖に迷惑を掛ける事なんて出来る訳が無い。
お寺を抜け出すなんて大それた事が、意気地無しの星に出来る訳が無い。
星は気を利かせて書置きを残したつもりなのだろうけど、それが逆に聖を心配させてしまった。
その結果、お寺を巻き込んでの大騒ぎになってしまい、出るに出られなくなってしまったのだ。
と、なれば星の居場所はお寺の中。
それも、用途故に他の空間から隔離された場所に絞られる。
お寺の中で他の空間から隔離された場所と言えば――
「厠」と一文字だけ書かれた札の掲げられた部屋。
要するに、トイレだ。
トイレに閉じこもって、他の皆を心配させていたんだ!!!
『こんのっ――』
私は、背中に背負っていた碇を右腕に掴むと、大きく弧を描くように振り回し――
『バカ虎ァァァァァ!!!!!!!!』
厠の扉に向けて、全力で叩き付けた。
碇の突撃を受けて、木の板で作られた厠の扉は見事に粉砕。
これで中に星が居なかったら、聖にお説教をされてしまうのだろうけど……
『ひ、ひっ!? い、碇っ!?』
ガラガラと音を立てて崩壊する厠の破片の奥からは、私の待ち望んでいた声が聞こえて来た。
『星……アンタねぇ……!!』
『ひ、ひっぃぃ!? お、落ち着いて下さいムラサ!
話せば! 話せばきっと分かります!』
泣きそうな顔になっている星の首根っこをむんずと掴んで引き寄せ、私は次の言葉を考える。
「心配させやがって、このバカ!!!」と言うべきだろうか?
それとも、「アンタが居なくなったら、私がどれだけ悲しむか――!!!」だろうか?
あるいは、「聖達がどれだけ心配したと思ってるの!?」にするべきか、「毘沙門天様に言いつけてやるから!!!」だろうか……?
『………………っ!!!!!』
『……? む、むら……さ……?』
気の利いた言葉が浮かばない。
片思いをしていた星と、息がかかりそうな距離になったと言うのに、何を言うべきなのかが分からない。
むしろ、星とこんなにも近付いたせいで、頭の中がグツグツと煮えたぎってしまいそうになる。
何か、こんな時に気の利いた言葉でも――
『あ、あの、星っ!!!』
『は、はいっ!!!』
とりあえず、深呼吸をして時間稼ぎ。仕切り直しだ。
目の前には、片思いをしていた相手。首根っこを掴んでいるのがやや異常だけれども、一言をぶつけるには最適な状況。
周囲は破壊された厠。私の怒りを乗せた碇で破壊された厠。
星は、厠に引きこもっていた。
どうして?
周囲に弱い自分を見せたくなかったから、クヨクヨする時には一人になりたかったからだ。
それなら――
『私が――』
これだ! とばかりに頭の中に浮かんだ言葉を反復する。
この状況で、星に自分の想いを伝えるのならば、きっと最適な言葉を!
頭の中が熱で焼けそうになって、胸のドキドキは限界まで加速していて、もうここで決めるしか無い! って状況で――
私は、腹を括った。
これがきっと、私に出来る、最初で最後の告白チャンスだから!!
当たって砕けろ! もう、言うしかない!
『――私が、アンタの厠になってあげるから!!!!』
『…………へっ?』
瞬間、さぁっと血の気が引くのが感じられた。舟幽霊なのに血の気って引くんだ……あははっ…………
星は訳が分からないとでも言いたそうな顔をしているし、何だかもう……消えてしまいたい。
こうして私の最初で最後の告白チャンスは、何とも酷いセリフになってしまったのだった…………
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……あの後は、どうなったんだっけ……ジタバタ両手を振り回しながら、恥かしい事を色々と言った気がするのだけれど。
その場の勢いで、ついつい『私は星の事が好きだから! だから、私が星の弱い部分を守ってあげるの!』なんて事を口走った気もする。
その後の聖のフォローもあって、上手に想いを伝える事が出来たのだけれど……改めて思い出すと、酷い告白だ……
けれども、私と星にはこれくらいが丁度良いのかもしれない。
私が星に抱いていた想いは、綺麗な言葉で着飾る様な高尚な気持ちじゃあなくて、ただ「守ってあげたい」と言う願いだったのだから。
そんな星は、今日も今日とて絶好調でボケボケ気味。
寝言は暢気だし、未だに物を無くす癖は治らないし、何かあればナズーリンを頼るし、たまに寺を逃げるし……
でも、あの日からほんの少しだけ、星は強くなった気がする。
……ううん。単純に、星が強くなったんじゃない。
星の中に私と言う逃げ場が出来たから、ほんの少しだけ気持ちが楽になったんだ。
勢いで告白なんかしちゃったけど……結果としては、私と星との距離は一気に接近した。
……でも、もうちょっとだけ告白のセリフは考えるべきだったかなぁー…………
その後、星は私の想いを受け止めてくれて、聖やナズーリンの冷やかしもあったけど、仲睦まじく一緒に生活をして――
そして、聖が封印されて、私と星も引き離されてしまった。
それでも、星は数百年間、ずーっと私の事を覚えていてくれたんだ。
星は、私達が帰るべき場所をずーっと守っていてくれた。
そんな星の気持ちが、堪らなく嬉しい。
聖復活のドタバタで最近は忙しかったけれど、そろそろ平穏な日常になりつつあるのだから……
そろそろ、復活後一回目のデートなんかをしても、良いんじゃないかと思う。
真面目な星の事だから、聖にきちんと連絡をして、お小遣いを貰って、門限も守るんだろうなあ……何とも星らしい。
バカ正直で一途で、おっちょこちょいで気が弱くて、それでも頑張り屋さん。
私は、そんな星が大好きだ。
「ダメな奴が好き、って事なのかなぁー。そんな自覚はあまり無いんだけど」
光を反射する髪が風に撫でられる度に、星はくすぐったそうで――けれども心地良さそうな笑顔を浮かべるのだ。
こんな姿を見ていると、案外、星は虎と言うよりも猫なのかもしれない――なんて事を考えてしまう。
「さてとっ……私ももうちょっとだけ、休ませてもらおうかな」
どうせ、聖輦船は自動航行なのだ。船長が起きていようが寝ていようが関係ない。
聖はぬえと宴会中。一輪達もきっと、お酌に付き合わされているのだろう。
聖は呑むからなあ……今日の主役はぬえだから、きっと三次会や四次会まで付き合わされるぞー……
頑張れよ、ぬえ。
聖輦船の新入りの身を少しだけ案じつつ、私は大好きな人の隣に横になる。
軽く手を繋いで、星のぬくもりを感じながら。
「それじゃあお休み、星。私はずーっと、傍に居るからね――
…………えへっ……大好きだよ、星」
私は大好きな星の隣に横たわると、静かに囁いた。
もうちょっとだけ、大好きな人と二人きりで居たいと思うから。
よかったですが、厠になってあげるは危険すぎるw
ただ少し星さんがへタレすぎかも
う
ふ
ふ
恋する水蜜が可愛すぎるww
水星同志が増えるといいな!
あとがきナズーリンのイケメンっぷりが凄いですw
だが・・・水星わっほい!!!
こっちでも頑張って下さい!
俺、撃沈。
いいぞもっとやれ。
↓少し気になった所。
>吸血鬼は日没時刻が早まる事に愚痴を漏らしている。
春先(冬至過ぎから夏至まで)だと日没は遅まっていくのでは? 違ったらスマソ。
でも、星ちゃんの(検閲済み)になる村紗は見てみたいかも
この村紗みたいな自己否定入った子が幸せを受け入れる話は好きです
二人とも末永くお幸せに
厠の扉が壊れるガラガラという擬態語の響きが木の扉にしては少し重すぎるようにみえましたが、読み返してみるとそうでもない気も
うぅむ……