藍霖です。どうぞ。
「ひょっとしてそれはギャグで言ってるのか?」
「ギャグ?・・・ああ、洒落の同類語か。いやいやいや!こちらももうこれ以上の譲歩は・・・」
魔法の森の入り口に佇む店、香霖堂から二つの声が聞える。一つはこの店の店主、森近霖之助。半妖であるがロクに鍛えていない為、人間と同程度の身体能力しかない。もう一つは最強の式神、八雲藍である。こちらは式神としては最強クラスの力を誇り、頭脳もそれに比例して最早天才という領域を完全に凌駕している。今、彼らはある商品の売買について言い争いをしている。そして誰が予想できたか、何の力も持たない店主が優位にいる。
「大方、あの魔法使いがガラクタの山を持ってきた時にたまたま混ざっていた代物だろう。それをわざわざ買い取ってやろうと言ってるんだから多少サービスしてくれても罰は当たらないと思うぞ!」
「君は魔理沙が持ってくるガラクタの量を知らないからそんな事が言えるんだろう!むしろあの量の中からたまにはレアの物も出てこないとこっちはただのゴミ処理屋じゃないか!」
「ぬ・・・だが、いくらなんでも『草薙の剣』は高価すぎるだろう。この店と商品全部合わせても足りないくらいの値打ちがあるんだぞ!!」
そう、先程から騒いでる原因は『草薙の剣』である。元々は魔理沙が持ってきた鉄屑から拾い上げた物だ。草薙の剣には謎が多く、様々な説がある。草を斬って火事の進行を防いだというどこにでもありそうなものもあれば、草薙の剣を斬りつけた神剣が逆に砕けたというとんでもない説まである。しかし、どれだけの説があれど、霖之助の能力に『天下を取る程度の能力』と映ったのなら確実に幻想郷のバランスを崩すくらいの力があるのだろう。今回はその力を危惧した八雲紫が自分の式神である藍に店まで行って買ってくるように指示したのである。
「ほう・・・それは良いことを聞いたな。それならこの店と全ての商品以上の金額を提示してもらわないとな」
大声で言い争っていたと思ったら急に冷めた口調に変わる霖之助。商売人は商売において理念は貫けど私情は挟むことはない。
「ぬおぉぉ!!しまったあああぁぁ!!!」
頭を抱えて自分の発言に後悔する藍。それに合わせて尻尾がグネグネと暴れ回っているので非常に読みやすい。
---しかし、この店主・・・紫様の言っていた通りの曲者だな。
実は藍が最初に提示した金額から今はもう3倍以上に膨れ上がっている。藍は頭は良いが話術にかけては霖之助の方が上だった。先程から霖之助の演技に騙されては額が上がっていく。しかもその演技が「草薙の剣の価値を知っていながらその程度しか出せないとは八雲の名も落ちたんだな」と、こっちのプライドを刺激して興奮させて正常な判断を鈍らせたり、先程のように「アレよりもコレの方が価値が高い」など、誘導尋問のようにどんどんとインフレーションしていく。
嘆きながら昨日の紫とのやり取りを思い出す。
「そんなに危険なら紫様が行った方がよろしいのでは?」
「あんたの方が仲良いし成功率高いわよ。私が行っても絶対警戒して交渉すら出来ないし。まあ、無理矢理奪い取ってもいいんだけど嫌われるのは嫌だし・・・」
「・・・紫様は店主殿が好きなんですか?」
「は、はあ!?何言ってんの!?そんなわけないでしょうが!!また傘叩きにされたいの!?」
「す、すいません・・・」
「・・・まあ、交渉になったらくれぐれも油断しないことね。お勉強の方はあんたの足元にも及ばないけど処世術も交渉術も間違いなくあの人の方が上だから」
---油断した。昨日ちゃんと紫様の注意を聞いたはずなのに・・・!!普段の店主殿から想像も出来ない巧みな話術でどんどんこっちが劣勢になっているじゃないか!
藍が焦りながら次の手を試行錯誤していると霖之助の方から切り出してきた。
「・・・もういいだろ?言っておくがどれだけ積まれようが僕はコイツを手放すつもりはないぞ」
それは演技などではなく本当に冷めた口調だった。
「・・な、なに!?」
今までの1時間に渡る交渉はなんだったのか。
「いや、コイツに匹敵する道具との交換条件とかなら良かったんだが・・・正直金の方はいらないんだよなぁ・・・」
「くっ・・・!ぬう・・・・!!」
薄々感づいていた。普通あれだけの大金を積まれて動じない筈がない。そもそも本当に儲ける気があるならもっと人里に近い場所に建てるはずだ。こんな辺鄙な所では限られた者しか来ない。
が、それはそれで問題が出る。等価交換でも物々交換でも大抵の物は出来るが、神器クラスになると交換出来る物も限られてくる。その上、金で解決するという手段がたった今消えた。
・・・しかし、ここで退いては紫の信頼を裏切る形になってしまう。よく、信頼は築くのは時間が掛かるが砕けるのは一瞬、と言われるが一度の失敗であの図太い神経の紫が怒るとも思えない。
これが藍なりの誠意の証なのだろう。式神は主人の期待に答える事でしかその存在を誇ることは出来ない。
「・・・なら店主殿。この八雲藍の頭脳と力、欲しくはないか?」
長い思考のたどり着いた答え。その声は珍しく歯切れが悪い。
「・・・それは僕の式神になるということか?」
「そういう事だ。正式な契約は出来ずとも私が出来る範囲でなら貴方に仕えよう。もちろんそれなりの金も払うぞ」
苦肉の策だった。道具も金も無理だというならもう渡せられるのは自分しかない。これでも最強の妖獣という二つ名もある。実際、藍を式神にしたい者もされたい者も数多くいた。これならば流石の店主も考えるだろう・・・そう思っていた。
「却下だ。絶対。」
「なっ!!」
即答だった。その迷いのない言葉に困惑と驚愕が隠せない。紫に仕えてから後にも先にも藍と主従の関係を手に入れたい者は絶えなかった。だから・・・彼のその言葉を理解するの一瞬の間が必要だった。
「・・わ、私では不服と申されるか!?これでも「違う!!」
困惑が混じり、震えた声をした藍の遮り霖之助が怒鳴る。それは今日、初めて彼が見せた本当の怒気だった。その威圧感にビクッ!と一瞬怯える藍。
そして彼は続ける。
「生き物は道具じゃない!ちゃんとした意志と命がある生物を売買や取引に使っていい権利なんて誰にもないんだ!!」
それは霖之助と知り合ってから藍が初めて見た彼の純粋な怒りだった。その言葉は藍に向けて言ってるのかすら分からない。まるでトラウマでもあるかのような、自分に言い聞かせているかのように藍には聞えた。
「・・・て、店主殿」「・・・!」
藍の怯えた表情に気付き、ハッ!と我に返る。呼吸を落ち着かせ、いつの間に立ち上がっていたのか、椅子に座りなおす。
「・・・悪かったな、取り乱して」
自分勝手な事を言っているのは理解している。同じ生物を犠牲にして生きている自分達がこんな事を言っているなどおかしいと分かっている。それでもせめて、自分の出来る範囲では・・・・この主義を貫こうとあの時決めたのだ。
「いえ、店主殿の言っていることは何一つ間違っていない。ずっと式神として生きていたからかな・・・そんな当たり前な事も忘れていたよ」
ずっと紫に元で式神として生きてきた為か自分を主人の道具だと自分で自分を決め付けていたのかもしれない。そんな自分に思わず苦笑する。
「店主、一つ聞いていいか?」
「・・・ああ」
「もし、人里のある子供が、死にそうになっている家族を助けるために自分の身体を売ろうとしている現場に目撃したら貴方はどうする?」
「そんな事まずないと思うが・・・まずは思いっきり引っ叩いて、24時間説教してやるさ。家族を助けるために自分を道具にするくらいなら家族と共に死ね!・・・ってね」
「そうか・・・」
霖之助の言葉に迷いは微塵もなかった。口では言わなかったが面倒見の良い彼の事だ。きっと自分が全負担してでもその家族を助けるのだろう。・・・そして確信する。どうして大妖怪であり最強の妖怪と名高い主人が、ただの半妖である彼に魅かれたのか。
普段は飄々として何を考えているか分からずどんな事でも流れに任せているようだが、その奥には絶対に折れない芯のようなものがあるのだ。それは絶対に折れず曲げず、揺らぐことさえない。その強さに魅かれたのだろう。そういった者の元には自然と誰かが集まってくる。
---そして自分もまた、その一人だと気付く。
「店主殿」「なんだ?」
「この八雲藍。これまで気も遠くなるような時間を生きてきましたが、貴方のような男性は久しく見ました。今回は失敗になりましたが次は必ず頂いていきますので」
長い時間の中でこんな男が今まで何人いただろうか。片手で数えられる程度かもしれない。
朴念仁で有名な彼が、先程の言葉の真意を理解できたとも思えないがまあ、いい。
「そうか・・・じゃあまた来るといい。いつでも相手をしてやるさ」
「ええ・・・よろしくお願いしますよ・・・・霖之助さん」
主人がいつまでもウジウジしているというなら自分が先に頂いてしまおう。
~帰宅後~
「痛ッ!!」
「らぁ~ん?いいご身分ね?草薙の剣の回収に失敗した挙句、立ててくるなんて」
「た、たて?何をいってr・・痛!!痛いです!!紫様!!!」
疲れたので寝ようかと思っていたのが帰ってきた直後、突然目の前に現れた紫に押し倒され、背中を踏まれて押さえつけられて上からいつも持っている傘で殴られた。
「痛い?それは私の心の痛みよ?立てては折られるの繰り返しだった私の心の痛み」
ベシ!ベシ!ベシ!と手持ちの傘で藍を叩き続ける。
「さ、さっきから何を言って・・いたたたぁぁ!!」
「しかも最後には名前呼びまでするなんて・・・えぇ!弁明はあるの!?・・・・ってあれ?」
強く叩きすぎたためか藍は気絶していた。傘の方も変な方向に曲がっており持ち手の部分にはクッキリと手形が残っていた。そんな今の状況を確認して紫は一つの結論を出した。
「・・・寝よ。死んでないし大丈夫でしょ」
一人呟いてさっさと寝室に行ってしまった。それと入れ違いになる形で橙が入ってきた。
「ら、らんしゃまあああああああああああ!!」
こうして騒がしい1日が終わった。
「ひょっとしてそれはギャグで言ってるのか?」
「ギャグ?・・・ああ、洒落の同類語か。いやいやいや!こちらももうこれ以上の譲歩は・・・」
魔法の森の入り口に佇む店、香霖堂から二つの声が聞える。一つはこの店の店主、森近霖之助。半妖であるがロクに鍛えていない為、人間と同程度の身体能力しかない。もう一つは最強の式神、八雲藍である。こちらは式神としては最強クラスの力を誇り、頭脳もそれに比例して最早天才という領域を完全に凌駕している。今、彼らはある商品の売買について言い争いをしている。そして誰が予想できたか、何の力も持たない店主が優位にいる。
「大方、あの魔法使いがガラクタの山を持ってきた時にたまたま混ざっていた代物だろう。それをわざわざ買い取ってやろうと言ってるんだから多少サービスしてくれても罰は当たらないと思うぞ!」
「君は魔理沙が持ってくるガラクタの量を知らないからそんな事が言えるんだろう!むしろあの量の中からたまにはレアの物も出てこないとこっちはただのゴミ処理屋じゃないか!」
「ぬ・・・だが、いくらなんでも『草薙の剣』は高価すぎるだろう。この店と商品全部合わせても足りないくらいの値打ちがあるんだぞ!!」
そう、先程から騒いでる原因は『草薙の剣』である。元々は魔理沙が持ってきた鉄屑から拾い上げた物だ。草薙の剣には謎が多く、様々な説がある。草を斬って火事の進行を防いだというどこにでもありそうなものもあれば、草薙の剣を斬りつけた神剣が逆に砕けたというとんでもない説まである。しかし、どれだけの説があれど、霖之助の能力に『天下を取る程度の能力』と映ったのなら確実に幻想郷のバランスを崩すくらいの力があるのだろう。今回はその力を危惧した八雲紫が自分の式神である藍に店まで行って買ってくるように指示したのである。
「ほう・・・それは良いことを聞いたな。それならこの店と全ての商品以上の金額を提示してもらわないとな」
大声で言い争っていたと思ったら急に冷めた口調に変わる霖之助。商売人は商売において理念は貫けど私情は挟むことはない。
「ぬおぉぉ!!しまったあああぁぁ!!!」
頭を抱えて自分の発言に後悔する藍。それに合わせて尻尾がグネグネと暴れ回っているので非常に読みやすい。
---しかし、この店主・・・紫様の言っていた通りの曲者だな。
実は藍が最初に提示した金額から今はもう3倍以上に膨れ上がっている。藍は頭は良いが話術にかけては霖之助の方が上だった。先程から霖之助の演技に騙されては額が上がっていく。しかもその演技が「草薙の剣の価値を知っていながらその程度しか出せないとは八雲の名も落ちたんだな」と、こっちのプライドを刺激して興奮させて正常な判断を鈍らせたり、先程のように「アレよりもコレの方が価値が高い」など、誘導尋問のようにどんどんとインフレーションしていく。
嘆きながら昨日の紫とのやり取りを思い出す。
「そんなに危険なら紫様が行った方がよろしいのでは?」
「あんたの方が仲良いし成功率高いわよ。私が行っても絶対警戒して交渉すら出来ないし。まあ、無理矢理奪い取ってもいいんだけど嫌われるのは嫌だし・・・」
「・・・紫様は店主殿が好きなんですか?」
「は、はあ!?何言ってんの!?そんなわけないでしょうが!!また傘叩きにされたいの!?」
「す、すいません・・・」
「・・・まあ、交渉になったらくれぐれも油断しないことね。お勉強の方はあんたの足元にも及ばないけど処世術も交渉術も間違いなくあの人の方が上だから」
---油断した。昨日ちゃんと紫様の注意を聞いたはずなのに・・・!!普段の店主殿から想像も出来ない巧みな話術でどんどんこっちが劣勢になっているじゃないか!
藍が焦りながら次の手を試行錯誤していると霖之助の方から切り出してきた。
「・・・もういいだろ?言っておくがどれだけ積まれようが僕はコイツを手放すつもりはないぞ」
それは演技などではなく本当に冷めた口調だった。
「・・な、なに!?」
今までの1時間に渡る交渉はなんだったのか。
「いや、コイツに匹敵する道具との交換条件とかなら良かったんだが・・・正直金の方はいらないんだよなぁ・・・」
「くっ・・・!ぬう・・・・!!」
薄々感づいていた。普通あれだけの大金を積まれて動じない筈がない。そもそも本当に儲ける気があるならもっと人里に近い場所に建てるはずだ。こんな辺鄙な所では限られた者しか来ない。
が、それはそれで問題が出る。等価交換でも物々交換でも大抵の物は出来るが、神器クラスになると交換出来る物も限られてくる。その上、金で解決するという手段がたった今消えた。
・・・しかし、ここで退いては紫の信頼を裏切る形になってしまう。よく、信頼は築くのは時間が掛かるが砕けるのは一瞬、と言われるが一度の失敗であの図太い神経の紫が怒るとも思えない。
これが藍なりの誠意の証なのだろう。式神は主人の期待に答える事でしかその存在を誇ることは出来ない。
「・・・なら店主殿。この八雲藍の頭脳と力、欲しくはないか?」
長い思考のたどり着いた答え。その声は珍しく歯切れが悪い。
「・・・それは僕の式神になるということか?」
「そういう事だ。正式な契約は出来ずとも私が出来る範囲でなら貴方に仕えよう。もちろんそれなりの金も払うぞ」
苦肉の策だった。道具も金も無理だというならもう渡せられるのは自分しかない。これでも最強の妖獣という二つ名もある。実際、藍を式神にしたい者もされたい者も数多くいた。これならば流石の店主も考えるだろう・・・そう思っていた。
「却下だ。絶対。」
「なっ!!」
即答だった。その迷いのない言葉に困惑と驚愕が隠せない。紫に仕えてから後にも先にも藍と主従の関係を手に入れたい者は絶えなかった。だから・・・彼のその言葉を理解するの一瞬の間が必要だった。
「・・わ、私では不服と申されるか!?これでも「違う!!」
困惑が混じり、震えた声をした藍の遮り霖之助が怒鳴る。それは今日、初めて彼が見せた本当の怒気だった。その威圧感にビクッ!と一瞬怯える藍。
そして彼は続ける。
「生き物は道具じゃない!ちゃんとした意志と命がある生物を売買や取引に使っていい権利なんて誰にもないんだ!!」
それは霖之助と知り合ってから藍が初めて見た彼の純粋な怒りだった。その言葉は藍に向けて言ってるのかすら分からない。まるでトラウマでもあるかのような、自分に言い聞かせているかのように藍には聞えた。
「・・・て、店主殿」「・・・!」
藍の怯えた表情に気付き、ハッ!と我に返る。呼吸を落ち着かせ、いつの間に立ち上がっていたのか、椅子に座りなおす。
「・・・悪かったな、取り乱して」
自分勝手な事を言っているのは理解している。同じ生物を犠牲にして生きている自分達がこんな事を言っているなどおかしいと分かっている。それでもせめて、自分の出来る範囲では・・・・この主義を貫こうとあの時決めたのだ。
「いえ、店主殿の言っていることは何一つ間違っていない。ずっと式神として生きていたからかな・・・そんな当たり前な事も忘れていたよ」
ずっと紫に元で式神として生きてきた為か自分を主人の道具だと自分で自分を決め付けていたのかもしれない。そんな自分に思わず苦笑する。
「店主、一つ聞いていいか?」
「・・・ああ」
「もし、人里のある子供が、死にそうになっている家族を助けるために自分の身体を売ろうとしている現場に目撃したら貴方はどうする?」
「そんな事まずないと思うが・・・まずは思いっきり引っ叩いて、24時間説教してやるさ。家族を助けるために自分を道具にするくらいなら家族と共に死ね!・・・ってね」
「そうか・・・」
霖之助の言葉に迷いは微塵もなかった。口では言わなかったが面倒見の良い彼の事だ。きっと自分が全負担してでもその家族を助けるのだろう。・・・そして確信する。どうして大妖怪であり最強の妖怪と名高い主人が、ただの半妖である彼に魅かれたのか。
普段は飄々として何を考えているか分からずどんな事でも流れに任せているようだが、その奥には絶対に折れない芯のようなものがあるのだ。それは絶対に折れず曲げず、揺らぐことさえない。その強さに魅かれたのだろう。そういった者の元には自然と誰かが集まってくる。
---そして自分もまた、その一人だと気付く。
「店主殿」「なんだ?」
「この八雲藍。これまで気も遠くなるような時間を生きてきましたが、貴方のような男性は久しく見ました。今回は失敗になりましたが次は必ず頂いていきますので」
長い時間の中でこんな男が今まで何人いただろうか。片手で数えられる程度かもしれない。
朴念仁で有名な彼が、先程の言葉の真意を理解できたとも思えないがまあ、いい。
「そうか・・・じゃあまた来るといい。いつでも相手をしてやるさ」
「ええ・・・よろしくお願いしますよ・・・・霖之助さん」
主人がいつまでもウジウジしているというなら自分が先に頂いてしまおう。
~帰宅後~
「痛ッ!!」
「らぁ~ん?いいご身分ね?草薙の剣の回収に失敗した挙句、立ててくるなんて」
「た、たて?何をいってr・・痛!!痛いです!!紫様!!!」
疲れたので寝ようかと思っていたのが帰ってきた直後、突然目の前に現れた紫に押し倒され、背中を踏まれて押さえつけられて上からいつも持っている傘で殴られた。
「痛い?それは私の心の痛みよ?立てては折られるの繰り返しだった私の心の痛み」
ベシ!ベシ!ベシ!と手持ちの傘で藍を叩き続ける。
「さ、さっきから何を言って・・いたたたぁぁ!!」
「しかも最後には名前呼びまでするなんて・・・えぇ!弁明はあるの!?・・・・ってあれ?」
強く叩きすぎたためか藍は気絶していた。傘の方も変な方向に曲がっており持ち手の部分にはクッキリと手形が残っていた。そんな今の状況を確認して紫は一つの結論を出した。
「・・・寝よ。死んでないし大丈夫でしょ」
一人呟いてさっさと寝室に行ってしまった。それと入れ違いになる形で橙が入ってきた。
「ら、らんしゃまあああああああああああ!!」
こうして騒がしい1日が終わった。
後半はこういう怒り方するタイプじゃないよなー
と思ったのでこの点数
ただ、労働力の提供という意味ならば普通に売買しそうなイメージなのでちょいと辛めに。
道具として扱われてでも家族を助けたい心を嫌悪感で斬って捨てるってのもトラウマからくる激情って感じで人間っぽいし。
藍は紫の式である事を誇りに思ってそうだけど、ちょっとアホの子っぽい藍も可愛くていいよね!
商談なんだから理性的であることを第一にしないと霖之助の交渉術に長ける、って設定もぶれてくると思います。
後、紫に虐められる藍って構図は大好きです。
霖之助が熱血キャラ。まあそれは作者の考えですが、そもそも幻想郷にも間引きが普通に会ったわけで。
金が無いから無名の丘で子供を安楽死させるって習慣が。
紫も藍も霖之助もだからといって別にそれを無くそうとはしてなかったはずですよね。全員を養うなんて不可能ですし、公式設定でも結界で完全に分離されるまで間引きはあったわけですから。
別にそれを説明しろとか、そこまで書けとは言いませんけど、その辺の設定を把握せずに書いてるんだなってことはよくわかります。
後は、この程度のことで傘が曲がって、妖怪が気を失うまで殴るって酷い理不尽さですね。キャラ崩壊のギャグならまだわかりますが。まあそれが好きな人もいるのでしょうが、私は嫌悪感を感じました。
唐突なトラウマ設定を用いて、「弱い所を見せて惚れられる」をやっているように見えるのが、少しひっかかりましたが。
詳細は分からないからサイトの方を覗きに行かせていただきます。
藍霖は好物なので美味しく頂きました。
誤字報告です
>「店主、一つ聞いていいか?」
呼び方が変わり、その後また「店主殿」に戻ってます
>『天下を取る程度の能力』
無理矢理な能力ですね。
幻想郷で天下を取る必要があるのですか?
それに幻想郷のバランスが崩れると紫が危惧したのなら、暢気に買うなんてことはせず、直ぐに処分や破壊などの対応をするのではないでしょうか?
ただやはり、霖之助の描写に違和感を拭えませんでした。
もう一点、オチが雑すぎる様にも思いました。
無理にオチをつける必要はないのではないでしょうか。
いいぞもっとやれ