吾輩は化け猫である。名前は橙。そして式神でもある。
ご主人様は最強の妖獣こと八雲藍さま。
妖怪の賢者こと、八雲紫さまの式神にして九尾の妖狐。
その実力もさることながら、幻想郷随一のないすばでーに加えて、金色に輝く九つの尻尾を兼ね備えたぱーへくと妖獣なのだ。
その尻尾は毛並みふさふさ肌触りもふもふ。両腕で抱き抱えればもふもふとした柔らかい触感と一緒に石鹸のいいにおいがほのかに香ってそれはもう至高のひと時なのだ。
もふもふだけではないぞ。性格だってすっごくやさしんだぞ。
心の広さは幻想郷の5歩指には入るだろうし、炊事洗濯家事もぱーへくとだし、才色兼備酒池肉林だし。そういえば才色兼備酒池肉林ってどういう意味なんだろ。あとで藍様に聞いてみよう。藍様は博学だから何でも知ってるんだ。だって藍様だもん。
でだ。そんな私が敬愛してやまない藍様。凛々しくうつく、こういう場合はふつくしいって言うんだってチルノちゃんがいってたっけ。とりあえずそのふつくしい藍様とは今離れて暮らしているわけだよ。
私も早く一人前の式神となりたいし、藍様の役にも立ちたい。というか早く藍様に背が追いついて
「藍様!」
「ん?なんだい、ちぇ、ん!」
「―――えへへ、キスしちゃいました」
「こ、こら!不意打ちで接吻はやめなさいと言ってるでしょう」
「だって目の前に藍様の顔があったんですもん!」
「まったく、橙は。次からは控えなさい」
「控えるってことは、止めなくてもいいんですよね」
「ん、人前では、控えなさい、それに、不意打ちでは、私の心の準備というものも――」
「藍様―――えい!」
「ちょ、橙!やめ――――」
みたいな!みたいな!みたいな展開あったりして!
この背だと藍様にキスできないし、例え出来たとしても笑顔で「まだまだ子供だなぁ」って言われるし。でもその時の顔もメガッサかわいいし、あの時は顔を藍様のもふもふで顔隠さないと大変だったなぁ。
と、そんなことは今はどうでもいいんです!重要なことは今、この状況です!
久しぶりに藍様の住む家に遊びに来た私を笑顔で迎えてくれたのは藍様ではなく、藍様の主である紫様だった。意外な人物の登場に驚きつつ、礼儀正しくお辞儀をする。初めのころはこんなことしていなかったけど、藍様に教えられた礼儀作法の一つだからしっかり守っている。
私を見ておはよう、と軽く挨拶をした紫さまはその場に立ったままの私にとりあえず上がるように言った。その時に口元に人差し指を当てて、静かにね、と念を押した。どういう意味なのかわからなかったが、とりあえず言われたように静かに上がった。
紫さまの後ろに付いて行って気づいたことは、いつもの居間に向う道とは違って、縁側に向っていた。
「どうして縁側に向っているんですか?」
「あら、気づいちゃった?」
てへ、と舌をペロッと出してウィンクを投げかける紫さま。紫さま、そんなことしているから周りにいろいろ言われるんですって藍様が言ってたっけ。藍様がしてたら鼻血ものなんだけどなぁ。
と、縁側に到着。この曲がり角を曲がれば縁側があって庭が広がっているわけ。
紫さまは曲がり角の前に立ち止まって頭半分をこっそりと縁側に向けた。どうやら縁側に何かあるようだ。いったいなんなんだろ。
と、今度は手招きしている。なんともにんまりとした笑みを浮かべている紫さま。眼が蒲鉾みたく垂れ下がってて、そんなに面白いものがあるのかなって期待してしまう。
まぁ、ものすごくいいものがあったんだけど。
そこには
藍様がいました
普段は見れない寝顔姿の
ぶはっ
しまった。藍様の寝顔なんて本当にめったに見れるのではないからその分破壊力がすごいんだよ。例えるならば、博麗の巫女がご馳走をおごってくれる時の笑顔みたいな。そんなこと、あるのかな。
おっと、例えなんて考えていたら押さえていた手から鼻血があふれてしまったじゃないか。いけない、いけない。ポケットに入ってあるハンカチで拭かないと。
これも藍様の教えの一つで、橙も女の子なんだからいつも持っているんだよ、と渡してくれたハンカチ、と同じ柄のものだ。本当のハンカチはマヨイガに大切に保管してある。何十も鍵を付けて見張りも立たせているから盗まれる心配はないと思うし。
「紫さま! 」
「どうしたの、橙」
「最高です! 天使ですか! 天女ですか! 女神さまですか! 女神さまでいいですよね! むしろ女神さまも藍様でいいですよね!」
「とりあえず落ち着きなさい。鼻血ダダ漏れよ」
「紫さまは出ないんですか!」
「出ないわよ。 すでに写真で保管してるから見慣れているわ」
「ずるいです! 今度分けてください!」
「なら今度交換ね」
「はい!」
これで私の宝物も増えるわけだよ。あぁ、これで今夜はいい夢見れそうだよ。
と、それはこの後にってことで。
「藍様が昼寝って珍しいですね。私たぶん初めて見ましたよ」
「そりゃそうよ。私だって久しぶりに見たんだから。」
うたた寝をする藍様を遠目で眺めながら紫様はさっきの蒲鉾目から半開きの、少し困ったような目に変わっていた。そうして藍様への不満が出てきた。
「あの子、基本的には頼んないタイプの子だから。ほら、藍って頼れるお姉さんって感じでしょ。前は前で、紅魔館の瀟洒なメイド長みたいな完璧主義者だったし」
黙って聞いていた私は、よくわからなかった。藍様は藍様だし、それは変わんないだろし。ともかく私は紫さまの話よりも藍様に寝顔を目に焼き付けることに一生懸命だった。
紫さまの話も聞いていたよ。
「こうやってたまに命令しないと休もうとしないし。日向ぼっこしていたら寝ちゃうくらい疲れてたのかしら」
「紫さまのおかげで私は藍様の貴重な寝顔を見れたわけですね」
「貴重よ貴重。もう二度と拝めないかもね」
「心と頭と体に永久保存しましたから大丈夫です!」
「心と頭と体にって、まぁ細かいところは気にしないから。さて、私は霊夢のとこに行ってくるから」
「わかりました! キラッ!」
「―――くれぐれも自重の二文字は忘れないでね」
「心にしまっておきますね」
「それはだめなんじゃないかしら」
苦笑しながら紫さまはスキマの中に消えていった。写真は後日にとなった。ちょっとしょんぼり。
さて、私はというと藍様の隣にちょこんと腰を下ろした。
縁側は確かに日当たりも良く日向ぼっこには最適だった。
これからどうしようか。
そう考えていたら、コトンと肩に何かがのっかった。
横を見れば、何のことはない、藍様が私の肩によりかかっただけだった。
そして、今に至るわけだよ。
どうしよう、藍様の寝顔がこんな近くにあるよ。
私、もう死んじゃってもいいかも! これってゆめじゃにゃいですよね!
あぁ、藍様のいいにおいがするぅ~はぁはぁ。
私は背筋をピンとした状態から固まって、文字通り固まって動けないです。
でも、藍様が私の気配に気がつかないなんて、よっぽど疲れていたのかな。
いつもは近くに行けばすぐに気がついてしまうから、後ろから思いっきり抱き着いて驚いた藍様の顔を凝視しようとしても失敗するし、お風呂に入っている時にちょっと下着を回収しようとしても気づかれるし、藍様の枕でスーハースーハーしようと忍び込んでもばれちゃうし。
こんなに無防備な藍様、初めてだなぁ。
最近は、博麗の巫女とか妖夢さんとか、なんでか紅魔館の悪魔の妹とかも藍様狙ってそうだし。
こういうのを激戦区っていうのかな。
と、藍様に動きがあった。
今まで私の肩に寄りかかっていた藍様。いい香りだなぁ。その藍様が少し首をもぞもぞ沿い始めた。口元からもれる喉のかすれる音が「―――ン」と聞こえてる。
あぁ背筋に今ブルッと電流が流れたよ。
たぶん耳はピンと立っているんだろうな。
そして、藍様は
肩から私の太ももに移動した。
俗にいう、膝枕ってやつですね
俗にいうってのは最近チルノちゃんのマイブームらしくよく使っているから私も覚えちゃった。
そして私は
庭に向かって血のシャワーをふりかけ、意識を投げ捨てた。
その後、血まみれで仰向けに倒れているところを目の覚めた藍が発見、即永遠亭に連れて行かれた。倒れていた橙はそれはもうすばらしく幸せな、ヘブン状態の笑みを浮かべていたそうな。
ご主人様は最強の妖獣こと八雲藍さま。
妖怪の賢者こと、八雲紫さまの式神にして九尾の妖狐。
その実力もさることながら、幻想郷随一のないすばでーに加えて、金色に輝く九つの尻尾を兼ね備えたぱーへくと妖獣なのだ。
その尻尾は毛並みふさふさ肌触りもふもふ。両腕で抱き抱えればもふもふとした柔らかい触感と一緒に石鹸のいいにおいがほのかに香ってそれはもう至高のひと時なのだ。
もふもふだけではないぞ。性格だってすっごくやさしんだぞ。
心の広さは幻想郷の5歩指には入るだろうし、炊事洗濯家事もぱーへくとだし、才色兼備酒池肉林だし。そういえば才色兼備酒池肉林ってどういう意味なんだろ。あとで藍様に聞いてみよう。藍様は博学だから何でも知ってるんだ。だって藍様だもん。
でだ。そんな私が敬愛してやまない藍様。凛々しくうつく、こういう場合はふつくしいって言うんだってチルノちゃんがいってたっけ。とりあえずそのふつくしい藍様とは今離れて暮らしているわけだよ。
私も早く一人前の式神となりたいし、藍様の役にも立ちたい。というか早く藍様に背が追いついて
「藍様!」
「ん?なんだい、ちぇ、ん!」
「―――えへへ、キスしちゃいました」
「こ、こら!不意打ちで接吻はやめなさいと言ってるでしょう」
「だって目の前に藍様の顔があったんですもん!」
「まったく、橙は。次からは控えなさい」
「控えるってことは、止めなくてもいいんですよね」
「ん、人前では、控えなさい、それに、不意打ちでは、私の心の準備というものも――」
「藍様―――えい!」
「ちょ、橙!やめ――――」
みたいな!みたいな!みたいな展開あったりして!
この背だと藍様にキスできないし、例え出来たとしても笑顔で「まだまだ子供だなぁ」って言われるし。でもその時の顔もメガッサかわいいし、あの時は顔を藍様のもふもふで顔隠さないと大変だったなぁ。
と、そんなことは今はどうでもいいんです!重要なことは今、この状況です!
久しぶりに藍様の住む家に遊びに来た私を笑顔で迎えてくれたのは藍様ではなく、藍様の主である紫様だった。意外な人物の登場に驚きつつ、礼儀正しくお辞儀をする。初めのころはこんなことしていなかったけど、藍様に教えられた礼儀作法の一つだからしっかり守っている。
私を見ておはよう、と軽く挨拶をした紫さまはその場に立ったままの私にとりあえず上がるように言った。その時に口元に人差し指を当てて、静かにね、と念を押した。どういう意味なのかわからなかったが、とりあえず言われたように静かに上がった。
紫さまの後ろに付いて行って気づいたことは、いつもの居間に向う道とは違って、縁側に向っていた。
「どうして縁側に向っているんですか?」
「あら、気づいちゃった?」
てへ、と舌をペロッと出してウィンクを投げかける紫さま。紫さま、そんなことしているから周りにいろいろ言われるんですって藍様が言ってたっけ。藍様がしてたら鼻血ものなんだけどなぁ。
と、縁側に到着。この曲がり角を曲がれば縁側があって庭が広がっているわけ。
紫さまは曲がり角の前に立ち止まって頭半分をこっそりと縁側に向けた。どうやら縁側に何かあるようだ。いったいなんなんだろ。
と、今度は手招きしている。なんともにんまりとした笑みを浮かべている紫さま。眼が蒲鉾みたく垂れ下がってて、そんなに面白いものがあるのかなって期待してしまう。
まぁ、ものすごくいいものがあったんだけど。
そこには
藍様がいました
普段は見れない寝顔姿の
ぶはっ
しまった。藍様の寝顔なんて本当にめったに見れるのではないからその分破壊力がすごいんだよ。例えるならば、博麗の巫女がご馳走をおごってくれる時の笑顔みたいな。そんなこと、あるのかな。
おっと、例えなんて考えていたら押さえていた手から鼻血があふれてしまったじゃないか。いけない、いけない。ポケットに入ってあるハンカチで拭かないと。
これも藍様の教えの一つで、橙も女の子なんだからいつも持っているんだよ、と渡してくれたハンカチ、と同じ柄のものだ。本当のハンカチはマヨイガに大切に保管してある。何十も鍵を付けて見張りも立たせているから盗まれる心配はないと思うし。
「紫さま! 」
「どうしたの、橙」
「最高です! 天使ですか! 天女ですか! 女神さまですか! 女神さまでいいですよね! むしろ女神さまも藍様でいいですよね!」
「とりあえず落ち着きなさい。鼻血ダダ漏れよ」
「紫さまは出ないんですか!」
「出ないわよ。 すでに写真で保管してるから見慣れているわ」
「ずるいです! 今度分けてください!」
「なら今度交換ね」
「はい!」
これで私の宝物も増えるわけだよ。あぁ、これで今夜はいい夢見れそうだよ。
と、それはこの後にってことで。
「藍様が昼寝って珍しいですね。私たぶん初めて見ましたよ」
「そりゃそうよ。私だって久しぶりに見たんだから。」
うたた寝をする藍様を遠目で眺めながら紫様はさっきの蒲鉾目から半開きの、少し困ったような目に変わっていた。そうして藍様への不満が出てきた。
「あの子、基本的には頼んないタイプの子だから。ほら、藍って頼れるお姉さんって感じでしょ。前は前で、紅魔館の瀟洒なメイド長みたいな完璧主義者だったし」
黙って聞いていた私は、よくわからなかった。藍様は藍様だし、それは変わんないだろし。ともかく私は紫さまの話よりも藍様に寝顔を目に焼き付けることに一生懸命だった。
紫さまの話も聞いていたよ。
「こうやってたまに命令しないと休もうとしないし。日向ぼっこしていたら寝ちゃうくらい疲れてたのかしら」
「紫さまのおかげで私は藍様の貴重な寝顔を見れたわけですね」
「貴重よ貴重。もう二度と拝めないかもね」
「心と頭と体に永久保存しましたから大丈夫です!」
「心と頭と体にって、まぁ細かいところは気にしないから。さて、私は霊夢のとこに行ってくるから」
「わかりました! キラッ!」
「―――くれぐれも自重の二文字は忘れないでね」
「心にしまっておきますね」
「それはだめなんじゃないかしら」
苦笑しながら紫さまはスキマの中に消えていった。写真は後日にとなった。ちょっとしょんぼり。
さて、私はというと藍様の隣にちょこんと腰を下ろした。
縁側は確かに日当たりも良く日向ぼっこには最適だった。
これからどうしようか。
そう考えていたら、コトンと肩に何かがのっかった。
横を見れば、何のことはない、藍様が私の肩によりかかっただけだった。
そして、今に至るわけだよ。
どうしよう、藍様の寝顔がこんな近くにあるよ。
私、もう死んじゃってもいいかも! これってゆめじゃにゃいですよね!
あぁ、藍様のいいにおいがするぅ~はぁはぁ。
私は背筋をピンとした状態から固まって、文字通り固まって動けないです。
でも、藍様が私の気配に気がつかないなんて、よっぽど疲れていたのかな。
いつもは近くに行けばすぐに気がついてしまうから、後ろから思いっきり抱き着いて驚いた藍様の顔を凝視しようとしても失敗するし、お風呂に入っている時にちょっと下着を回収しようとしても気づかれるし、藍様の枕でスーハースーハーしようと忍び込んでもばれちゃうし。
こんなに無防備な藍様、初めてだなぁ。
最近は、博麗の巫女とか妖夢さんとか、なんでか紅魔館の悪魔の妹とかも藍様狙ってそうだし。
こういうのを激戦区っていうのかな。
と、藍様に動きがあった。
今まで私の肩に寄りかかっていた藍様。いい香りだなぁ。その藍様が少し首をもぞもぞ沿い始めた。口元からもれる喉のかすれる音が「―――ン」と聞こえてる。
あぁ背筋に今ブルッと電流が流れたよ。
たぶん耳はピンと立っているんだろうな。
そして、藍様は
肩から私の太ももに移動した。
俗にいう、膝枕ってやつですね
俗にいうってのは最近チルノちゃんのマイブームらしくよく使っているから私も覚えちゃった。
そして私は
庭に向かって血のシャワーをふりかけ、意識を投げ捨てた。
その後、血まみれで仰向けに倒れているところを目の覚めた藍が発見、即永遠亭に連れて行かれた。倒れていた橙はそれはもうすばらしく幸せな、ヘブン状態の笑みを浮かべていたそうな。
>藍様に教えられた礼儀作法お一つだからしっかり守っている。
礼儀作法の
>「心ろ頭と体にって、まぁ細かいところは気にしないから。
「心と
>藍様の枕でスーハースーハー使用と忍び込んでもばれちゃうし。
スーハースーハーしようと
でも藍様ならきっと大きな愛でみんなを受け入れてくれるはず!!
鼻血ですかね
なんというダメな橙
おばか!
どういうことなの・・・
やっぱり誤字はありましたかぁ……
注意してたのに、無念です。
指摘していただいた方々本当にありがとうございます。
橙が鼻血キャラということで少し不安だったんですが、楽しんでいただけて光栄でした。
中には作者に萌えてもらえたら方もいて
この場合は、どう反応したらいいのかなぁ
嬉しいんですが、反面すこし複雑です(笑)