Coolier - 新生・東方創想話

ようかいのけんじゃ

2009/10/03 02:35:45
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おや、誰かと思えば魔理沙じゃないか。どうしたんだ急に。
うん?何?何故八雲紫が妖怪の賢者と呼ばれているかって?
ほう、それはいいところに目をつけたな。紅魔館の本読み、古道具屋の店主、里だったら私か。まぁ、このように幻想郷には何人か知識人がいる。あまり多いとは言えないがな。
だがこれらの知識人は決して賢者と呼ばれることはない。あぁそうだ。八雲紫だけが賢者なんだ。確かに不思議と言えるな。
回復魔法と攻撃魔法が両方使える?いやいやそんな話じゃない。ベホマとメラゾーマが撃てるから賢者だというわけではないぞ。八雲紫はそんなもの使えないし、それが使えるアリスだって賢者とは呼ばれていないだろう。
八雲紫が妖怪の賢者と呼ばれるのには、昔々のある噂が原因になっている。
噂というものは―――そう、その通りだ。鋭いじゃないか魔理沙。噂というものはある程度の頭数を有する一群の中で生まれるものだ。
一人で生きる者は噂を耳にすることはないし、噂を広めることもない。そう。つまり、八雲紫が賢者と呼ばれているのは人間の里で生まれた噂が原因ということだ。
私も直接見たわけでなく、この噂を伝え聞いた程度でしかないが、一つだけはっきりと言えることがある。それは、この先を聞くのは正直あまりお勧めはしない、ということだ。
おそらく、いや間違いなく聞かなければよかったと後悔するだろう。それでも聞くと言うのなら―――そうか、わかった。では話そう。
そうだな……あれはもう千年近くも前のことだったか。藤吉という村人の一人が、里の程近くで幼い化け狐とその母親らしき妖怪を見つけたそうだ。
子の方は化け狐としては初期の初期たる二本の尾しか生えておらず、また藤吉の半分ほどしかない体躯からしても幼生であるのは明らかだった。
母親の方は上手く人間に化けているのか、尻尾は見あたらなかった。うん、そうだ。八雲紫と幼い頃の八雲藍だ。
当時はまだまだ妖怪と人間との間で緊張状態が保たれていた。藤吉はその親子が一体何をするつもりなのか、何らかの思惑があるのか確かめるため、そっと足音を殺して近づいた。
下手をすれば殺されるとは藤吉もわかっていた。だが里の皆のため、そして結婚を約束したばかりの恋人―――田舎で自分を待つ茶々のためを思えば、藤吉の己のうちには自然と勇気が湧いてきた。
茂みの向こうでは親子が仲睦まじく遊んでいる。一見そこに敵意は見られない。だがそういう振りをして里の地形を探っているやもしれぬと、藤吉は枝葉が顔を傷つけるのも厭わず茂みに顔を突き込み、二人の会話に耳を澄ました。
子狐は尻から生えた尻尾を左右に大きく振りながら、四つんばいになって地面を漁っている。
親狐は地面に座り込み、落ち着いた様子で子狐を見ている。

「あっ、紫様!見てください四葉です!」
「んっ……ふふ、そうね藍。きっとあなたは……今日一日は幸運のはずよ、っはぁ……」
「はい!」

幼狐が手にしているのは葉が四枚の三つ葉、まれにそういった妙なものが生まれることがあるとは藤吉も知っていた。
しかし、そんなことよりも重要なのは親妖怪の様子だった。苦しそうに息をついては額に浮かんだ汗をぬぐっている。

「藍、くぅっ……」
「紫様、大丈夫ですか?」
「えぇ、大丈夫よ……大丈夫だから、あなたはもっと遊んでいていいのよ」
「わかりましたっ!もっと探しますっ!」

そうして子狐は再び野原へと向かった。親狐はその様子をじっと見ている。

「うくっ、藍……」

親狐は傷ついているのやもしれぬ、村人総出ならば調伏できるか。そう思う藤吉だったが、しばらく様子を見ているうちにそうではないと彼は気付いた。

「藍……ッハァ、藍……」

何故なら小刻みに震えながら小さく息を吐くその様子は、自分とてよく知るものだったからだ。

「……藍、あぁ藍……!」

藤吉は予測する。あれは傷を負っているのではない。自分の予想が確かなら、この後あの親妖怪に訪れるものは。

「あっ、ん、うぁっ!藍、藍、らぁぁぁぁぁんッ!」
「ゆ、紫さま!」

駆け寄る子狐。対する親妖怪は。

「…………ふぅ」

いわゆる一つの―――賢者モードであった。

「……何をしてるの藍、さっさと修行に行くわよ。今日は厳しいから」
「え、えっ!?あ、はい……」

そうして彼女達は藤吉の前から去っていった。
藤吉は急ぎ家に帰るとパンツを履き替えた。尻尾を振り乱していたあの子狐がスカート姿だった故に、藤吉もまた賢者モードへと至ったのは必然だった。
そうしてその話が里に伝わって以来、八雲紫は幼飼いの賢者と名付けられ、藤吉は婚約を解消されてだな―――ん?どうした魔理沙。
ん?何?聞かなきゃよかったって?
ハハハ。

だろぉ?
「霊夢ー」
「あぁ魔理沙。どしたのよ?」
「いや実は……かくかくしかじか……」

「……聞かなきゃよかったわよ!」
「だろぉ?」
「あ、いいところにアリス。ちょっとアリス聞きなさいよ、いや実は……」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
使い終わった直後に捨てたエロ本、何故捨てたのかと三日後に苦悩し転げまわるその姿こそが青春なのではないかと思います。
デンでした。お読みいただきありがとうございました。遠慮なく脳内のゴミ箱にお捨て下さい。
デン
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コメント



0.2050簡易評価
4.90名前が無い程度の能力削除
賢者モードの起源はあんたじゃ無いだろうなwww
8.100名前が無い程度の能力削除
俺が賢者だ!
11.100名前が無い程度の能力削除
俺達が賢者だ!
12.80煉獄削除
『妖怪』ではなく『幼飼い』なんですねぇ……。
幼い頃の藍がとても可愛かったです。
13.100名前が無い程度の能力削除
当然俺も賢者だ!
15.90名前が無い程度の能力削除
あたいはさいきょーだ!
20.80名前が無い程度の能力削除
実に良かったw
21.100名前が無い程度の能力削除
…………ふぅ
23.100名前が無い程度の能力削除
俺も賢者だ!
26.80名前が無い程度の能力削除
敢えて言うぞ

>それが使えるアリスだって賢者とは呼ばれていないだろう

使えんのかよww
27.70名前が無い程度の能力削除
…事が終わって、即、賢者モードに切り替わるのは、男性だけのはずなんだが…
ひょっとして、幼女藍を究極に愛でる為、体のあちこちの男女の境界を操作してるんでしょうか?
28.100名前が無い程度の能力削除
一瞬で二十回くらい達したせいで賢者モード突入と思えば問題ない
34.100名前が無い程度の能力削除
これはヒドイwwww
36.90名前が無い程度の能力削除
あぁ・・・みんな賢者だ・・・
38.80てるる削除
・・・・・皆が賢者か・・・

・・・私?もちろん賢者です
45.100名前が無い程度の能力削除
こんな変態思考が賢者であるのならば、俺は一生愚者で結構だ。
47.100名前が無い程度の能力削除
ヒド過ぎて吹いたわww
しかしゆからんは最高ね。
53.100名前が無い程度の能力削除
だろぉ?じゃねえ!ww
これでいいのか幻想郷。
54.90名前が無い程度の能力削除
スカートの藍様だと・・・