Coolier - 新生・東方創想話

船の上の宴会

2009/09/29 18:04:20
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この話はキャラ崩壊、ナズ霖要素を含みます。
もしもそういったのが嫌いな方、苦手な方はご注意ください。

問題なければどぞ↓へ

















木の葉が紅色に色付き始めた頃あの時の紅白巫女が船を訪れた。

彼女への応答は星が行った。

顔見知り程度の仲にはなったが、船にいる全員が彼女をまだ聖には直接は会わせたくはなかった。
自分達はまだ彼女の事を深く知らないし、何よりも彼女の強さは人間のソレを軽く超えている。
そう、再び聖を封印する事も、もしかしたら不可能じゃないくらいには強かった。
だから、そんな相手に聖を会わせるわけにはいかないと全員が思っていた。

そんな私たちに聖は不満げだった。
『千年以上封印されて一人ぼっちだったのだからお話がしたい!』と一人拗ねていた。
どこまで他人にフレンドリーなんだあの方は、その辺に危機感を持って自重してほしい。

『私達はまた聖がいなくなってしまいそうで不安なんです』

そう言って聖には何とか我慢してもらったのだが……

「ふむ……」

私の首から下げているペンデュラムが反応している。
確実にこの近くに聖が隠れているに違いない。

まったく、子供のような方だ。

まぁ、ソレはさて置き一体何の話をしに来たのだろう?
わざわざ世間話をしにきたという訳でもあるまい?

あの緑巫女の様に物騒な話ではない事を祈ろう。



――



「宴会、ですか?」

「そ、アンタ等の歓迎会をしようって魔理沙がね、ま、本人はただ宴会がしたいだけだろうけどね」

「ふーん?」

「で?どうする?アンタ等いなくても多分勝手に宴会は始まると思うけど……」

「……、一応聖に確認をとってきますから少し待っていてくれますか?」

「ええ、いいわよなるべく早くね?」

さて、と星は考える。
彼女の言葉をホイホイ信じていいものだろうか?
人間達が聖を封印した時もこんな感じに油断させる様にして騙した。

しかし、彼女からは悪意は感じられないし、何よりそんな事をする相手とは思えない。
それに

「宴会か……」

聖は何と言うだろうか?

人妖混じりの大宴会

「十中八九喜ぶだろうな……」

時は流れ時代は変わった。
まさか人間と妖怪が一緒に酒を楽しむ時代がくるとは誰が考えるだろうか?

「もしも、あの時からそういう関係だったのなら聖は封印なんてされずに済んだのだろうな」

そうすれば自分はきっとあのような孤独を味わう事などなかったことだろう。
聖を中心にずっと皆で楽しく過してきただろう。

しかし、過ぎ去った過去を直す事など誰にも出来ない。
ならば今を楽しむべきだ。

聖が断るとは思えないが、もし渋い顔をしたら説得して出来るだけ参加出来る様にしよう。
星はそう決めた。

「どうしたんだい星?嬉しそうな顔して」

ナズーリンの声だ。
しかし、彼女は私の部下のはずなのに何故か私の名を呼び捨てにする。
彼女らしいと言えば彼女らしいけど、こちらとしても主の威厳とか何かが在るわけで
せめて『さん』くらいは付けてもいいのではないだろうか、と常々考える。

例えば、『お星さん』とか?
……寺っぽいけど、やっぱり呼び捨てでいいか

「星?」

「ん、ああごめんボーっとしてた、ええっとね、あの巫女達が私達のために
歓迎会を開いてくれるそうですよ」

「あの人間達が?私達のために?」

彼女の驚く声、驚くなという方が無理な話だ。

「ええ、どうやら幻想郷においては、聖の願いは叶っているのかもしれませんね」

人間、妖怪共に対等な関係を聖は望んでいた。
それはもしかしたらもうとっくに叶っている願いなのかもしれない。

「一応確認を取らなくてはだけど、きっと聖は喜ぶでしょうね?」

「あー……」

「どうしたんです?変な顔して」

「後ろ」

言われてナズーリンが指指す方を見るとソコには聖がいた。

巫女と話をしていて物凄くハシャイでいる姿が見て取れる。

……何で彼女があそこにいるのだろう?
『もしかしたら』と言って部屋で待機してもらっていたはずなんだけどな?

恐らくポカンと間抜けに口を開けているだろう私にナズーリンが言う。

「多分待ってるの、我慢できなかったんじゃないかな?」

「子供か!?」



――



「じゃ、後でね?」

言って巫女は帰っていった。
聖と私はソレを手を振り見送る。

さて、尋問タイムだ。

「聖、あれほど部屋で待っていてくださいと言ったのに、何で此処にいるんですか?」

いや本当に、何でこんなに警戒心がないのだろうかこの方は?

「だってやっぱりお話ししたいじゃない?」

「だってもかってもありませんよ!今回は何もなく無事でしたが、もしも万が一があったら
どうしたんですか?」

「大丈夫よ、あの子達は皆良い子達ばっかりだったもの」

「理由になってませんよ!本当に万が一聖がまた封印されてしまったら私達はどうすれば
いいんですか?私達の気持ちも考えてくださいよ」

もしもまた聖がいなくなってしまったら……
そんな事は考えたくもない。

聖が封印されたと知った時も毘沙門天として振舞った。
でも、本当は誰よりも取り乱していた、本当はすぐにその場に駆けつけたかった。

しかし、そうすれば自分の正体がバレてしまう。
神の使い等ではない、妖怪だとバレてしまう。
そうすればより一層聖の立場を危ういモノにしてしまう。
妖怪を崇める魔女として聖が貶められてしまう。

それだけは我慢できなかった。
だから、堪えた、堪えて、堪え続けて、そして全てをなくした。

もう、あの時の気持ちなんて味わいたくはないのに、それなのに聖は頬を膨らませて

「むー」

何だ『むー』って、こっちの気も知らないで!

「『むー』じゃないですよ!何カワイ子ぶってんですか!?年を考えなさい!!」

頭に血が上っていて口が滑った。

「あ?」

一瞬にして穏やかだった顔が大昔に紹介された不動明王の様な顔になった。
血の気が一瞬にして下がりました、はい。

「あ、す、すいません、ホントすいません調子コキました」

蛇に睨まれた蛙よろしくで怯える星を見かねてナズーリンが助け船を出す。

「まぁまぁ、それで聖、宴会はどこでやるんだい?」

「え?此処よ?」

ナズーリンの言葉にサラリと聖は言う。

「「は?」」

彼女の言葉に二人の声が重なる。

「は?じゃなくてね、ほら、この船ずっと幻想郷の上を飛んでいたんでしょ?
だから皆この船がどうなっているか気になっていたんですって、だからね
せっかくだから、紹介も兼ねてこの船の上でやる事にしたんです」

「ちょ、ちょっと待ってください聖、宴会は何時からですか?」

「今日の夕方からだって」

「「え?」」

彼女言葉に二人の言葉が再び重なった。

※現在午後の三時過ぎ



――



「ようこそいらっしゃい、今日は楽しんでいってくださいね」

日が傾き始めた頃、船の上にゾロゾロと人妖が集まり始めた。
それらに対して聖は雲山と一緒にニコニコと対応していた。

ちなみに、ナズーリン、一輪、村紗、星、ぬえの五人は疲れきっていた。
食材や酒等は全て持ち込みとの事だったのでそれらは特に問題はなかったのだが、
『じゃあ、これから船のお掃除と宴会の準備をしましょう』
と言う聖の提案により、船の掃除、宴会用のテーブルの用意、照明の取り付け等を七人で
行う事になった(途中でその辺を漂っていた小傘を掴まえて八人にはなった)。

「ねぇ、聖のどこにあんなスタミナあるかしら?」

一輪の問いに村紗が答える。

「聖の魔法は身体強化がメインだからじゃない?それよりさっきまでいた小傘は
どこにいったのかな?ぬえ知ってる?」

「さっき傘持った二人組に連れてかれてたよ、『礼儀を教えてやる』って、どこかは解らない」

「ああ、小傘なら向こうだよ」

ナズーリンの指指す方を全員が見る。
緑の髪にチェックのガラの服を着た女性と金髪に何だか胡散臭い雰囲気を持つ女性の二人
に挟まれていた。

「あの子もタフですね、さっそく宴会を楽しんでいるみたい」

星のその言葉にナズーリンは思った事を口にする。

「いや、何か怯えていないか?アレ」

美女二人に挟まれている構図なのだか、彼女の耳元でどちらかが何かを囁く度に
小傘は顔を青くしてビクッと身体を震わせていた。
いったい何を言われているんだろうか?
少し興味があったが

(……関わらない方が身の為だな)

ナズーリンはそう結論した。

「それじゃあ、私達もそろそろ宴会に混ざろっか?」

気が付けば船は人(妖怪)でいっぱいになっていた。

「そうね、ってかもう始まってるのね、一応私達の歓迎会じゃなかったの?」

「私達がいなくても勝手に始めるとあの巫女は言ってましたからね、
ただ騒ぎたいだけなのかもしれませんよ?」

「何ソレ?」

「まぁ、いいんじゃないかな?聖は楽しそうだし、私達も加わろう」

こうして彼女達も宴会の輪に加わった。



――



人と妖怪の混ざった宴会。

そこには聖の望む理想が詰まっていたのかもしれない。
だからきっとそれが嬉しくて酒もどんどん飲んだのだろう。

顔を真っ赤にしてイロイロな妖怪と話をしていた。

そんな彼女の様子をナズーリンと星は少し離れた場所からみていた。



――



「混ざってなくていいのかい?星」

変わらずの態度にそろそろ苦笑の一つでも出てきそうになる。

「貴女こそ、もう飲まないんですか?」

輪から逃れる様に彼女はこの場所に来た。
その動きが何だか不自然に見えたから星も此処に来てみたのだが、

「私は少し飲みすぎたから酔いを醒ましているんだよ」

「そうですか」

絶対嘘だ、とても酔っている様には見えない。
彼女なりに何か思う事があったのだろう。

自分達の視線の先では千年以上会えなかった聖が楽しそうに笑っている。
千年以上見る事の出来なかった光景に嬉しさが込み上げてくる。

「……あんな嬉しそうな聖を見るのは本当に久しぶりですね」

「……そうだね」

「宴会を予定してくれた巫女達に感謝しなければいけませんね」

「……ああ」

「そういえば、さっきの村紗は笑えましたね?」

「……ああ」

「いきなり芸をしますと言って『キャプテン・ムラサ、錨は友達、怖くない!バイタルシュート』
とか言って錨に蹴りいれて一人で悶絶してましたからね、アレは何の真似だったのでしょうね?」

「……さぁ?」

素っ気無い返事しか返ってこない。

「……あのナズーリン?」

「……なんだい?」

「いえ、何でもないです……」

先程からナズーリンの返事は生返事ばかりだ。
何だろう考え事だろうか?
それとも自分はうっとおしいのだろうか?
彼女はもしかしたら一人になりたくて此処に来たのかもしれない。
それならもしかしたら自分は彼女の邪魔をしているのではないだろうか?
それとも別な理由があるのだろうか?

星は少し不安になってくる。

もしかしたら彼女の態度は、自分を主人として認めていないからではないだろうか?
確かに失くし物が多くてここ最近彼女には迷惑をかけているし主らしい事をしていない。

ここらで一つ何かカッコいい事でもやったほうがいいのだろうか?

悩む星は、ふと、ナズーリンの視線を追ってみた。
彼女の視線が先程から全く動いていない事が気になったからだ。

彼女の視線は聖を越えて眼鏡をかけた一人の男性を見ていた。

「?、ナズーリンはあの男性が気になるのですか?」

何となく言ってみた。
実際船に集まっているのは女性ばかりで男性は雲山と彼しかいない
だから目立っていると言えば目立っている。

しかし、不思議な雰囲気を持った男性だ。
何と言うか達観としていると言うか、凄く疲れている?落ち着いている?と言うか
なんとも近寄りがたい物静かな雰囲気を漂わせているのに、彼の周りには子供大人関係なく
様々な妖怪がいた。
自分だったら気にならないか?と問われれば気になると答えると思う。

それに対して

「な!?な、何を馬鹿な事を、そんな事在るわけがないろう!」

クールな彼女らしくない狼狽した声、
わぉ、何だか解りやすい返答が帰ってきた。

「はー、なるほど、そういう事でしたか」

そう言えばナズーリンが此処に来たのは確か彼が自分達の近くに来た時だった。

「な、何を変な納得をしているんだキミは!?キミが想像している様な事なんてないからな!」

「おや、いったいどんな事でしょうか?私は別に彼だけ男性だからソレが気になっているのかと
思っただけだったのですが?」

「う、く」

ナズーリンは言葉に詰まる。
そんな彼女を星はニヤニヤと眺める。

「性格の悪い奴だなキミは、いいかあの男は酷い奴なんだ、宝塔を何故か持っていて
譲ってもらうのに大分吹っ掛けてきたんだ」

「ほうほう、最初は悪い印象だったのに、それがキッカケでだんだん彼の事を思う様になり
そこから恋が始まった、と?」

「違う!何を聞いていたんだキミは!どこをどう聞いたらそんな答えが出て」
「あ、聖が彼に抱きついていますよ?」

「え!?」

その言葉に慌てて視線を戻すとそこに聖の姿はなかった。
そして騙された事にナズーリンは気付く。

顔を真っ赤にして俯くナズーリンを可愛いなと思いながら星は言葉を続ける。

「なるほど、ナズーリンはあの様な大人の雰囲気の男性がタイプなんですね?
確かに顔立ちも整っていてカッコいいですね、あ、大丈夫ですよ?取ったりしませんから
それに、聖にはもちろん皆にも内緒にしといてあげますからね?」

プルプル震えながらと顔を真っ赤にして俯くナズーリン
いつもクールな彼女の意外な一面が見れただけでもこの宴会には価値があったのだろう。

さて、意外な相手から意外な弱みを手に入れる事ができた。
趣味ではないが、もう少しからかってみようか?
酒が入っているせいかそんな事を思っていると

「星、それ以上変な詮索はするな……」

なかなか反抗的な態度だ。
ふむ、何かコレを打開する切り札でも持っているのだろうか?

「おや、私にそんな事言ってもいいんですか?なんだったら貴女の恋が叶う様に
影からお手伝いしてさしあげますけど?」

ニヤニヤと笑う星の顔は次のナズーリンの言葉により一変する。

「……『うわーん、ナズーリンどうしましょう?聖の封印を解く大切な毘沙門天の宝塔を
何処かに失くしちゃいました!村紗や一輪が頑張ってくれてるのにどうしましょう~?』
いやー、あの時は傑作だったね、涙と鼻水でグシャグシャにした顔はとても印象的だったよ
しかもよっぽど慌てていたんだろうね?顔も拭かずに私に縋り付いてきたせいで私の服まで
汚すし、毘沙門天の使いとは思えない姿はとても笑えたね?」

その言葉に星の顔は真っ赤になった。

「そ、それは秘密にしておいてくださいと言ったじゃないですかー!!」

「はっはっは、いやー本当に面白かったなアレは、なんだか今は酔った勢いで誰かに話してしまいそうだ」

「いや、止めてください、それだけは止めてください!」

星はナズーリンにしがみ付いて首を必死に左右に振る。
彼女はとんだワイルドカードを持っていた。

「ああ、そうそうこんな話もあったかな?もう随分前だけど聖に構ってもらえなくて
拗ねて、気を引こうとして寺にあった聖の…」
「それは駄目です!それはさっきのよりも駄目ですよ!!」

星はさっきよりも必死になっている。
その姿を見てナズーリンは満足する。

「これで理解したかい?私をからかうなんて百年早い」

勝ち誇るナズーリンに星は思う。
こんな事ばっかりだから自分は彼女に主として認めてもらえていないのだろうか?、と

悩む彼女にナズーリンは声をかける。

「さて、酔いも醒めて来たし、そろそろ宴会に戻ろうか?」

「はい、そうしましょう……」

声に酷く落ち込んだ星が立ち上げる。
少しからかい過ぎたかもしれない。

多少の反省を持って、まぁ、酒を飲めば忘れるだろうとナズーリンが前を向いた瞬間
何か柔らかな壁に当たった。

「んむ?、聖?」

壁の正体は聖(胸)だった。
先程まで楽しそうにしていた彼女が何故此処にいるのだろうか?

もしかしたらいなくなった自分達を捜しに来たのかもしれない。

「聖どうしたんだい?私達はまた宴会に戻るけど?」

「……どうして星は落ち込んでいるのですか?」

「ああ、それは……」

「自分の不甲斐無さに打ちのめされてまして……」

その言葉に聖は彼女に近づき彼女を抱きしめる。

「不甲斐無いだなんて、星、そんな事ありませんよ貴女はとても頼りなっているんですよ?
だから笑いましょう?そうすると元気が出ますよ?」

優しい聖の言葉に星は顔を上げる。

何とも芝居がかって見えるのは酒が入っているせいだろうか?
そう思いながら微笑ましい光景にナズーリンは頬を緩める。

さて、せっかく久しぶりに会えたのだからしばらく二人きりで慰めてもらうといい。
そう思いそそくさと宴会に戻ろうとしたナズーリンだったが、

「じゃあ、私が貴女を元気にしてあげます!」

「え?ひ、じり!?あ、ちょ、どこを触って!!」

突如後ろから聞こえてきた声に思わず振り向いてしまった。

彼女はこの行動を後悔する事になる。
振り向かずに宴会に戻っていれば巻き込まれずにすんだかもしれなかったから

「んー、貴女のココはあまり成長していないですね?」

「あ、ちょ、っと、ひじり止めてください……」

難しい顔をしながら聖が星の服の裾から手を突っ込み胸を捏ね繰り回していた。

「……」

何をしているんだあの方は?
思わずナズーリンは立ち止まって聖の行動をジッと見ていてしまった。
星も抵抗しているのだが、聖に気にする様子は見られない。
恐らく魔法を使って身体強化しているに違いない。
悪酔いしているからだろうが、それにしても何て無駄な使い方をするのだろうか?

「ん?ナズーリンも仲間に入りたいの?」

胸を揉み続ける聖と目があった。
星はもう顔を赤くしてクテッとしてる。

「いや、私は遠慮しておく、よ!?」

貞操の危機を感じて、言葉と共に宴会が行われている方へ走り出そうとしたのだが、いつの間にか尻尾が
聖にがっしりと捕まれていた。

「遠慮する事ないじゃない、の!」

言葉と共にいっきに引き寄せられた。
あの細腕からは考えられない力だ。
流石はスペルに『超人』何て入れるだけはある、魔法って怖い。

「いやいや、落ち着こう聖、私達は女同士じゃないか?」

「女の子同士だしいいんじゃない?スキンシップ、スキンシップ」

話をまったく聞かず、器用に星をナズーリンを片手で抱き寄せて、空いた片方の手を
ワキワキと動かす彼女にナズーリンは純粋に危機感を強める。

「いやいや、聖本当に落ち着こう、キミがしようとしている事はおかしい」

「大丈夫、大丈夫、ほら星だってこんなに気持ち良さそうにしてるじゃない?」

言葉に星を見れば、マタタビを嗅いだ猫の様になっていた。

あの短時間で何をした!?

「ひ、聖、落ち着いてくれ、実は私には密かに心に決めた方がいてだね?」

「むー、それは本当ですか?」

話を聞いた!?
逃げ出すチャンスを見つけたと思いナズーリンは一瞬安堵した。

が、

「それは、何だか悔しいですね……、じゃあ、今のうちに沢山遊んじゃいましょう!」

「え!?だから聖、私には……あーーーーーー!!?」



――



暴走する聖を止める者はいなかった。
と、言うよりも彼女達に気が付く者がいなかった。

何故なら聖が二人に悪戯する所をいち早く気が付いた雲山が身体をはって隠してしまったからだ。
彼なりの優しさが吉と出たか凶と出たかは定かではないが、そのおかげで聖の奇行が誰かに見られる事はなかった。

ただ、宴会が終った後発見された二人は妙に肌蹴た格好で遠い目をしながら泣いていて

「ああ、もう駄目だ、もうお嫁にいけない……」

「うう、聖の馬鹿……」

一言そう呟いた。

船の住人は件の聖に二人に何をしたのかその時の事を聞いたのだが、彼女はその時の事をまったく覚えておらず。
暫くの間、星とナズーリンが自分にまったく近づいてくれなくて寂しい思いをしたとかなんとか
雲山だけは全てを知っている、でも誰にも何も言わない、彼はきっと紳士だから……

18度目となりました。

今回書きたかったモノ
キャプテン・ムラサの件、きっと誰もが一度は考えているに違いない。
連行される小傘、とある絵を見てどうしても書いておきたくなった。
何かもう解りやすいくらいのナズーリン、誤爆さんの作品を読みナズ霖に目覚めつつあります。
きっと今回一番のキャラ崩壊を起こしている星、については持病が出ました。
聖さんはきっと誰にでもフレンドリー……、今回最初のタイトルは『暴走聖』でした(ぉ

とりあえず、星蓮船の中でも気に入りの二人を中心に書いて見ました。
反省はしていますがやりたかったので後悔はしていません。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

4様
キャプテン・ムラサ、誰か書いてくれませんかね?(ぉ
聖はきっとあんな感じのお姉さんです。決して、ババ……お姉さんです!

5様
霖之助はただ姿だけで名前も出ていなかったのでいいかと思ってタグに入れていませんでした。
途中放棄と言う事は嫌なカップリングだったのでしょうか?注意が足りていませんでした。
なので『若干のナズ霖要素を含む』と追加しました。

9様
星蓮船であの二人を気に入っています、五面はパラダイスです。
その内ナズ星話も書けたらいいなと思っています。

10様
読んでいただきお粗末様です。
やった同士に会えた。ナズーリンの話し方は全キャラの中で一番好きです。
星はきっと有能なのでしょうが、何かもう失くし物の多い奴というイメージが構築され始めています。

13様
ありがとうございます。
ナズ霖、そういえば昔のラブコメは印象最悪から発展していったなぁとか考えながら書いていました。
誤字の報告感謝します。修正しました。

26様
脱字の報告に感謝します、修正しました。
相手は(多分)究極の朴念仁、そして何気にライバルは多い。
と言うところまで考えてみましたが、まとまってはいません(ぉ
でも機会があればまた書いてみたいカップリングです。

28様
実はこの間会社の飲み会がありまして、普段大人しい人がガンガン飲まされてコレに似た状況に
なっていました。本人曰く『いや、全然覚えてないんだけど……』
お酒の失敗は怖い。悪酔いも怖い。

32様
雲山、私の中で幻想郷でも屈指のいい人(?)に位置づけられています。
そんな彼はきっと疲れ知らずで皆に優しいお父さんのはず、という感じです。

37様
読んでいただきありがとうございます。
では期待にこたえられるようにがんばりたいです。

ぺ・四潤様
概ね間違っていないです、多分そんな感じです
クールもかっこいいけど、たまには乙女な感じもいいと思うんです

コメントありがとうございました。
H2O
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コメント



0.1450簡易評価
4.100名前が無い程度の能力削除
キャプテン・ムラサwwwその発想は無かったwww
やはりひじりんは天然ですね。善きかな善きかな。
5.無評価名前が無い程度の能力削除
とりあえず、霖之助のタグは入れといてくれ。

途中で読むことを放棄したのでフリーレスで。
9.100名前が無い程度の能力削除
>>5 君はずいぶん神経質だな

やっぱりナズーリンと星の絡みはいいね
10.80名前が無い程度の能力削除
星……彼女はもうドジっ娘で定着してしまったなぁ。
ナズーリンと星はこんな感じな関係が自分の中でもベストです。
互いに一番信頼し合っているからこそ主従の関係なのに遠慮がないのが好きです。
あとナズ霖ご馳走様です。
13.80名前が無い程度の能力削除
んーむ、これはいい星蓮船。
ほんのりナズ霖もあって良かったです。

>しかし、そうすれば自分の招待がバレてしまう。
誤字報告。正体、かと。
26.90名前が無い程度の能力削除
彼女達に気が付者がいなかった→彼女達に気が付く者がいなかった

ナズの恋の行方が気になるぜぃ
28.100名前が無い程度の能力削除
普段大人しい人が悪酔いした時の厄介さですね
32.100名前が無い程度の能力削除
星やナズりんにセクハラする白蓮を見て、
外見は志摩子さんだけど名前は聖なんだなあと思う自分は少し古いんですかね。
雲山wwwwwww便利すぎるwwwwwww
何気に掃除の後も疲れてないし、頼りになりますね。
37.100名前が無い程度の能力削除
次回作にも期待!
39.100ぺ・四潤削除
>>32さん あなた天才。

ところで「気を引こうとして寺にあった聖の…」
 干してあったパンツを取り
星の妄想(あら?私の下着どこに行ったのかしら?ほら、これですか聖、あっちに落ちていましたよ。ありがとう星。やっぱりあなたは頼りになるわね。よかったらお礼に……)
ナズーリン:聖のパンツ広げて何だらしない顔してるんだいご主人?それに妄想が口から駄々漏れだったぞ。
こういうことですか?

乙女なナズーリン可愛すぎ