星蓮船ネタバレ注意。ぬえ×霖之助です。
先に葉っぱのフレディの大まかな内容を知っておいた方が分かりやすいかも
「「香霖(霖之助さん)こっちに全身黒服の羽のある妖怪こなかったか!!?」」
突然店の扉が開いたかと思ったら霊夢と魔理沙が入ってきた見事にハモった台詞を言ってくれた。普通に店に入ってこれない客が多いから慣れてるが扉は普通に開けてほしいものだ。
「あいつ、確かにこっちの方に飛んでいったのよ!!」
「いや、知らないよ。それより扉はもっと丁寧に開けてくれ。壊れたらどうs「そうか邪魔したぜ!!」
こっちが言い終わる前に出ていった。扉が開けっ放しなので相当慌てていたらしい。面倒だが閉めるために椅子から立ち上がり扉をしめる。
「・・・・で、いつまでそこにいる気だ?」
「・・いつ気付いたの?」
「5分くらい前だ。君が奥の部屋の窓から入ってきたのも知ってる」
「・・凄いわね」
椅子に戻りながら誰もいないはずの店内で会話をする・・・・端から見れば異様な光景だろう。椅子に腰掛けると段ボール箱の中から背中に三対の羽が付いた少女が出てきた。
「今度は何をやらかしたんだ?いくら幻想郷の知り合いが少ないからってあの二人をからかうとそのうち痛い目をみるぞ?」
「その時はここに逃げてくる。流石にこの中じゃ暴れられないでしょ」
立ち上がって埃を払いながらとんでもないことを言ってくれる。
そもそも彼女と出会ったのはたった2週間前だ。その日の夜なんとも表現出来ない声が聞えてきた。最初は気のせいだと思って無視していたが5日間も同じことが起こるので流石におかしいなと思っていたが慣れとは恐ろしいものでその声はもう子守唄のようになっていた。
そして6日目にしてとうとうその正体が分かった。「なんであんた怖がらないのよ!!!」と開いていた窓から何かが飛び込んできたかと思ったら開口一番にいきなり怒鳴られた。その後こっちが何も言ってないので自分はあの伝説の妖怪『封獣ぬえ』だの自分は元は地底にいたなど20分程愚痴と自己紹介をしてくれた。・・・案外丁寧な妖怪なのかもしれない。
それから2日に一回は誰かにイタズラしてはここに逃げ込んでくるようになった。あの時素直に怖がっておけばよかったのかしれないと思う時があるがこの2週間で大体彼女の事は理解できた。
寂しいのだろう。正体不明の妖怪だろうが不老不死の人間だろうが一人は辛い。自分の妖怪としての性もあって極少数の友人や知り合いも作れない。だからその者にちょっかいをかける。かまってもらうために、自分を見てもらうために。もっと良い方法なんかいくらでもあるだろうが不器用な彼女にとってはそれが自分に出来る事の精一杯だったのだろう。・・・しかしそれでは駄目だ。そんな事を続けていればいつか傍に誰もいなくなってしまう。
「なあ、ぬえ」
「なによ?」
「本は好きか?」
「知らない。読んだこともないし字も難しくて読めない」
昔の自分に似ていると思った。親父さんに拾われたばかりの頃は自分もイタズラばかりしていた。そんな時、人間と仲の良い一人の妖怪が本を薦めてくれた。最初の内は嫌だった。文が読めない、書けない、分からない。それでも最初は簡単な絵本から少しずつ読んでいって今では一冊4cmはありそうな本だってスラスラ読めるようになった。別に本でなくてもいい。ただ僕に本が馴染んだというだけ。ただ今がどうあれあの時のあの絵本が無ければ間違いなく今の自分はいない。だから彼女が自分で道を選ぶための補助をしてあげるだけ。そのために・・・
「なら、僕が読んであげよう」
「。。別に、いい」
少々戸惑ったような声だった。実は僕が本を読んでいるとき彼女がチラチラこっちを見ていたのを知っている。難しくてサッパリ分からなかったようだがそれでも興味はあるのだろう。
「まあ、そういうな。5分もかからずに読み終わるものだし」
そう言って棚からある本を取り出す。
「・・・仕方ないわね」
大分前に見つけてきた『葉っぱのフレディ』という本を読んであげた。
内容はフレディという葉っぱの木の上で過ごした一生を記しただけであるが、これはこれで中々考える部分が多い。
「どうして葉っぱが喋ってんの!?葉っぱってこんなに頭良かったの!!?」
案の定、思い切り喰い付いてきた。なんだかんだ言っても本にかなりの興味があったらしい。僕が読んでいる間、一言も話さず、ずっと聞き入っていた。
「もちろん葉っぱは喋らないし考える頭もない。これは作者が頭の中で作り上げた事を書き写したんだ」
「1から10まで作り話ってこと!?」
「そうでもない。木の葉は秋になれば色は変わるし冬になれば木から落ちて消える。これはその中で葉っぱがどういった心境でいたのか、何を考えているのかを想像して作られた本だ」
「へぇ・・・」
「本はただ読むだけじゃない。感情移入して物語の疑問点について自分で考えたり、どんなに下手くそだっていい・・・書くことだって出来る。どっちにしても楽しむ気持ちがないと成り立たないけどね」
「・・・」
ぬえは無言でなにか考えている。ホントに昔の自分にそっくりだ。自分も初めて本を読んでもらった時こんな感じだった。何十年も前なのに鮮明に覚えている。「どうしてこうなったのか」「なぜそうなったのか」考えれば考える程に色々考察が頭を駆け巡る。ぬえのその様子を何も言わず見守っていた。
「・・ねえ」
何分そうしていただろうか。ぬえの方から話しかけてきた。
「字、教えてよ」
「なんで?」
「本を書いてみたい。カッコ悪くても下手でもいいから書いてみたい・・・」
静かに、ハッキリと彼女は言った。彼女なりに真剣に考えた結論なのだろうが正直、驚いた。今回はただ本に対する興味を深めてほしいと思っていただけなのにたった一回読んであげただけで書きたいと言ったのだ。
「僕でいいなら、いつでも教えてあげるよ」
「ホント!!?」
それが答えならば断る理由はない。一時的な好奇心であっても構わない。なにか、のめりこめる事があると理解しただけでも十分なのだ。見る限りしばらく忙しそうだが、不思議と嫌な気分にならなかった。
文字の書き方を教え始めてから一週間。平仮名とカタカナだけならもう完璧にマスターした。1日に何時間も字を書き続けたのだ。中には店に泊まった日もあった。とりあえず文字が書けるようになったので今日から彼女に日記を書くように指示した。日記なら1行でも文として成立させることができるしその日の記録も書けるので得はあっても損はない。
次の日
「ほら、なに書いたんだ?見せてくれよ」
「絶っっっ対やだ!!!」
日記は書いたらしいが何故か僕に見せることを嫌がってずっとノートを抱きしめている。まあ、初めて書いたものだから恥ずかしいのかもしれないので深くは追求しないでおく。慣れてきたらいつか見せてくれるだろう。
「そんな事より次漢字教えてよ!!」
「もうかい?まだ早いと思うけどなあ・・・」
今日も忙しい1日になりそうだ。
~ りんのすけに いろんなじをおしえてもらった。 りんのすけもやさしくおしえてくれたので すごくたのしかった。 こんどはかんじをおぼえて すごいほんをかいて りんのすけがずっとよみたくなるような ものをつくりたいな ~
先に葉っぱのフレディの大まかな内容を知っておいた方が分かりやすいかも
「「香霖(霖之助さん)こっちに全身黒服の羽のある妖怪こなかったか!!?」」
突然店の扉が開いたかと思ったら霊夢と魔理沙が入ってきた見事にハモった台詞を言ってくれた。普通に店に入ってこれない客が多いから慣れてるが扉は普通に開けてほしいものだ。
「あいつ、確かにこっちの方に飛んでいったのよ!!」
「いや、知らないよ。それより扉はもっと丁寧に開けてくれ。壊れたらどうs「そうか邪魔したぜ!!」
こっちが言い終わる前に出ていった。扉が開けっ放しなので相当慌てていたらしい。面倒だが閉めるために椅子から立ち上がり扉をしめる。
「・・・・で、いつまでそこにいる気だ?」
「・・いつ気付いたの?」
「5分くらい前だ。君が奥の部屋の窓から入ってきたのも知ってる」
「・・凄いわね」
椅子に戻りながら誰もいないはずの店内で会話をする・・・・端から見れば異様な光景だろう。椅子に腰掛けると段ボール箱の中から背中に三対の羽が付いた少女が出てきた。
「今度は何をやらかしたんだ?いくら幻想郷の知り合いが少ないからってあの二人をからかうとそのうち痛い目をみるぞ?」
「その時はここに逃げてくる。流石にこの中じゃ暴れられないでしょ」
立ち上がって埃を払いながらとんでもないことを言ってくれる。
そもそも彼女と出会ったのはたった2週間前だ。その日の夜なんとも表現出来ない声が聞えてきた。最初は気のせいだと思って無視していたが5日間も同じことが起こるので流石におかしいなと思っていたが慣れとは恐ろしいものでその声はもう子守唄のようになっていた。
そして6日目にしてとうとうその正体が分かった。「なんであんた怖がらないのよ!!!」と開いていた窓から何かが飛び込んできたかと思ったら開口一番にいきなり怒鳴られた。その後こっちが何も言ってないので自分はあの伝説の妖怪『封獣ぬえ』だの自分は元は地底にいたなど20分程愚痴と自己紹介をしてくれた。・・・案外丁寧な妖怪なのかもしれない。
それから2日に一回は誰かにイタズラしてはここに逃げ込んでくるようになった。あの時素直に怖がっておけばよかったのかしれないと思う時があるがこの2週間で大体彼女の事は理解できた。
寂しいのだろう。正体不明の妖怪だろうが不老不死の人間だろうが一人は辛い。自分の妖怪としての性もあって極少数の友人や知り合いも作れない。だからその者にちょっかいをかける。かまってもらうために、自分を見てもらうために。もっと良い方法なんかいくらでもあるだろうが不器用な彼女にとってはそれが自分に出来る事の精一杯だったのだろう。・・・しかしそれでは駄目だ。そんな事を続けていればいつか傍に誰もいなくなってしまう。
「なあ、ぬえ」
「なによ?」
「本は好きか?」
「知らない。読んだこともないし字も難しくて読めない」
昔の自分に似ていると思った。親父さんに拾われたばかりの頃は自分もイタズラばかりしていた。そんな時、人間と仲の良い一人の妖怪が本を薦めてくれた。最初の内は嫌だった。文が読めない、書けない、分からない。それでも最初は簡単な絵本から少しずつ読んでいって今では一冊4cmはありそうな本だってスラスラ読めるようになった。別に本でなくてもいい。ただ僕に本が馴染んだというだけ。ただ今がどうあれあの時のあの絵本が無ければ間違いなく今の自分はいない。だから彼女が自分で道を選ぶための補助をしてあげるだけ。そのために・・・
「なら、僕が読んであげよう」
「。。別に、いい」
少々戸惑ったような声だった。実は僕が本を読んでいるとき彼女がチラチラこっちを見ていたのを知っている。難しくてサッパリ分からなかったようだがそれでも興味はあるのだろう。
「まあ、そういうな。5分もかからずに読み終わるものだし」
そう言って棚からある本を取り出す。
「・・・仕方ないわね」
大分前に見つけてきた『葉っぱのフレディ』という本を読んであげた。
内容はフレディという葉っぱの木の上で過ごした一生を記しただけであるが、これはこれで中々考える部分が多い。
「どうして葉っぱが喋ってんの!?葉っぱってこんなに頭良かったの!!?」
案の定、思い切り喰い付いてきた。なんだかんだ言っても本にかなりの興味があったらしい。僕が読んでいる間、一言も話さず、ずっと聞き入っていた。
「もちろん葉っぱは喋らないし考える頭もない。これは作者が頭の中で作り上げた事を書き写したんだ」
「1から10まで作り話ってこと!?」
「そうでもない。木の葉は秋になれば色は変わるし冬になれば木から落ちて消える。これはその中で葉っぱがどういった心境でいたのか、何を考えているのかを想像して作られた本だ」
「へぇ・・・」
「本はただ読むだけじゃない。感情移入して物語の疑問点について自分で考えたり、どんなに下手くそだっていい・・・書くことだって出来る。どっちにしても楽しむ気持ちがないと成り立たないけどね」
「・・・」
ぬえは無言でなにか考えている。ホントに昔の自分にそっくりだ。自分も初めて本を読んでもらった時こんな感じだった。何十年も前なのに鮮明に覚えている。「どうしてこうなったのか」「なぜそうなったのか」考えれば考える程に色々考察が頭を駆け巡る。ぬえのその様子を何も言わず見守っていた。
「・・ねえ」
何分そうしていただろうか。ぬえの方から話しかけてきた。
「字、教えてよ」
「なんで?」
「本を書いてみたい。カッコ悪くても下手でもいいから書いてみたい・・・」
静かに、ハッキリと彼女は言った。彼女なりに真剣に考えた結論なのだろうが正直、驚いた。今回はただ本に対する興味を深めてほしいと思っていただけなのにたった一回読んであげただけで書きたいと言ったのだ。
「僕でいいなら、いつでも教えてあげるよ」
「ホント!!?」
それが答えならば断る理由はない。一時的な好奇心であっても構わない。なにか、のめりこめる事があると理解しただけでも十分なのだ。見る限りしばらく忙しそうだが、不思議と嫌な気分にならなかった。
文字の書き方を教え始めてから一週間。平仮名とカタカナだけならもう完璧にマスターした。1日に何時間も字を書き続けたのだ。中には店に泊まった日もあった。とりあえず文字が書けるようになったので今日から彼女に日記を書くように指示した。日記なら1行でも文として成立させることができるしその日の記録も書けるので得はあっても損はない。
次の日
「ほら、なに書いたんだ?見せてくれよ」
「絶っっっ対やだ!!!」
日記は書いたらしいが何故か僕に見せることを嫌がってずっとノートを抱きしめている。まあ、初めて書いたものだから恥ずかしいのかもしれないので深くは追求しないでおく。慣れてきたらいつか見せてくれるだろう。
「そんな事より次漢字教えてよ!!」
「もうかい?まだ早いと思うけどなあ・・・」
今日も忙しい1日になりそうだ。
~ りんのすけに いろんなじをおしえてもらった。 りんのすけもやさしくおしえてくれたので すごくたのしかった。 こんどはかんじをおぼえて すごいほんをかいて りんのすけがずっとよみたくなるような ものをつくりたいな ~
ぬえが将来面白い話が書けるようになることを祈ります
俺も頑張らないと……
時系列については霧雨の親父さん=魔理沙の父親、ではなく魔理沙の祖父なら辻褄が合うと思う
おのれ霖の字、パルパルパルパルパルパルパルパル……!