オリキャラがメインです。
卑猥な表現があります。
キャラ崩壊(特に紫)注意です。
気に入らないという方はお引取りを。
ある時、ある場所で、ある人が死んだ。
愛され、憎まれ、その短い人生に幕を下ろした。
俺は、不思議な空間にいた。
太陽が無いのに、真昼の様に明るい。
そして、一面の青空が広がっていた。自分の上だけではない。上下前後左右全てが美しい青空だった。
そして、先も見えないほどの遠くの空から、真っ白な階段が続いている。俺はその階段の上にいた。
そんな不思議な光景を見て俺は、『ああ、死後の世界か』と結論付けた。
しかし、前世や来世などあったら面白いよな、ぐらいにしか考えていなかったが、まさか実在したとは・・・
「…すごいな…」
自然と口から言葉がこぼれた。そしてそれに、誰かが応えた。
「驚いたか?」
全くの不意打ちだったにも関わらず、不思議と驚きは少なかった。むしろ応えてくれる人がいたことへの喜びが強かった。
そこにいたのは、人だった。ただし、背中に白い羽が生えていたが。体は中性的で、顔も中性的だったが、どちらかと言えば女性よりで、そして美人で…うん。まあ要するに天使だった。
「あなたは?」
「私は、人生プランナーだ」
「人生プランナー?」
「うむ。説明させてもらうが…君は既に死んでいる」
「…やっぱり死んでましたか」
「ああ、残念ながら、な」
「残念です。それで?」
「それで、だ。我々人生プランナーは前世で君が積んできた徳に応じて人生設計をして、最高の来世を送る手助けをしているんだ」
「前世で積んだ…徳?」
「ああ。とは言っても別に難しいことではない。ただ良いことをしたらプラス、悪いことしたらマイナス、そんな感じだと思ってくれ」
「そうですか…」
「で、君の徳、つまりトクトク・ポイントだが…」
「はぁ?トクトク・ポイント?」
「う、うむ。トクトク・ポイントというのは…」
「まさか得と徳をかけた駄洒落じゃないですよね?」
「う…」
「まさかそんなくだらないことじゃないですよね?」
「…あまりいじめないでくれ…私も言うのが恥ずかしいんだ…」
…天使ってこんな適当でやってけるんだろうか?
しかし前世で積んだ徳、と言われて俺には思い当たることが無かった。特に悪さはしなかったが、良いこともしてない。そんな人生だった。
「では、君のトクトクポイントだが…324392点だ。なかなかの好成績だぞ。これならいい来世が送れるだろう」
「本当ですか!?」
「…ちっ」
「舌打ちした!?」
「まあいい…来世での希望をお聞きしよう。何かあるか?国籍、年代、性別、名前、顔等大抵の自由があるが。まあ最近は名前の自由利かせすぎて大変なことになっているがな…」
プランナーはメモ帳とペンを取り出した。
最近子供の名前がぶっ飛んでいるのはこいつらのせいか。
…しかし、人生の希望か…いざ自由にできると言われると大した考えが浮かばないものだ。
「うーん、国籍も性別も特に希望は無いですね…あ、童顔ってのは憧れますね。煙草買うときとかに一度も年齢確認求められたことがないんですよ。あとは…友人は量より質を求めますね。信頼できる親友が欲しいです。…それから…」
プランナーは俺の答えをメモ帳に書き込んでいく。
「よし、お疲れ様。とりあえずその条件にあう来世のサンプルをいくつか選んでくるから適当に時間を潰していてくれ」
数分後、とは言っても時計なんか無いから実際にはもっと短かったかもしれない。
「待たせたな」
「…どうも」
「先ほどの条件に合う来世を三つ選んできたからその中から選んでくれ」
そう言ってプランナーが手を空にかざすと、空中に画面のようなものが作り出される。SF映画によくあるテレビのようだった。
「この画面に来世を流すからそれを見て決めてくれ」
先を説明しながらプランナーは手を動かす。それが何をしているのかは俺には理解できないが、きっと映像を再生しようとしているのだろう。
「ではまず最初の来世だ。名前は『チルノ』。人間ではなく、妖精だな。氷の妖精、つまり氷精だ」
「妖精?妖精なんて…」
「存在することが普通の世界があるんだ。名を幻想郷という…っと準備できたぞ」
映像が画面に映し出された。
「これが…幻想郷…」
そこは緑豊かな世界だった。遠くには赤い屋敷が見え、その手前に大きな湖(だと思う)があった。湖の中心には氷の塊が浮かんでおり、その上に少女が眠っていた。それだけなら神秘的な光景と呼べたが、少女があまりにも無防備に寝ているため、神秘性は無かった。なんというか…薄青の髪や透明な羽などを除けば…表情などはまるっきり子供のそれである。
口元からは漫画みたいに涎を垂らしていて、それが可笑しかった。
「では氷精チルノの一日を追うぞ。目を覚ますところまで早送りする」
映像が早回しされ、彼女が目を覚ましたところでもとのスピードに戻った。
目を覚ましたチルノはすぐに飛び立った。飛行をするところを見て初めて彼女が人外だと実感した。彼女が目指したところは森だった。そこで木についていた果実をもぎとり、頬張る。果汁がこぼれることも構わずに食べるその姿は、実に幸せそうだった。
チルノはさらに果実を食べ続け、5個目に手を伸ばしたとき、後ろから声がかかった。
チルノが振り返ると、そこには同年代の少女たちがいた。皆チルノと同様に羽などがあり、人ではないと感じさせた。
「彼女達は?友達ですか?」
「ああ。手前からリグル・ナイトバグ、ルーミア、ミスティア・ローレライ、橙、大妖精だ。大妖精というのは通称だ。本名はない。みんなからはさらに縮めて大ちゃんと呼ばれ親しまれている」
画面を見る。
類は友を呼ぶ、というか…チルノの友人はみな純朴な、…一言で言うなら「いい子」そうに見えた。
画面の中のチルノがポケットから何かを取り出した。
伝家の宝刀のように取り出したそれは、小さなボールだった。
『ね、これ見て、これ!寺子屋に行ったらくれた!あたいのじんぼーのなせるワザね!』
『仇やろ仇!』
『何それ?』
『知らないのー?』
チルノが楽しそうに『仇』の説明を始める。
自分の持つ知識を楽しそうにひけらかす、ボール一つで本当に楽しそうに騒げる…
その様子はまさに子供だった。
『それじゃ行くよー!てー、んー、か!』
掛け声と共にチルノがボールを空へと放り投げる。
それを合図にゲームが始まった。
まず動いたのはリグル、次にチルノ。二人はボールを追いかける。二人はボールが落ちる場所で、手を伸ばせば顔に届く距離で三度目のバウンドを待つ。
ルーミアと橙の二人は大きく距離をとりつつボールへと近付く。だが二人は一定の距離からは近付こうとしない。…なるほど。ボールを投げられても避けやすい位置。そして避けた後にそのボールを相手に取られる事も無い。…この二人、このゲームをやりこんでいるな…!
ミスティア、大妖精はただひたすらに遠くへ逃げた。確かに距離をとればそれだけ避けやすい。だが遠くに全力で逃げる姿というのは意外と目につきやすいもので、チルノもリグルも横目で二人の位置を確認している。
そして二人の姿を確認しながら、ボールが地面に着く音を聞く。一回、二回、そして三回。
同時に二人が動く。相対している状態で同時に右手を突き出す。だが急ぎすぎた二つの手は、ボールを捕らえず、弾く。
ここで行くか退くか。一瞬の思案の後、二人の考えは分かれた。チルノは行くことを選択し、リグルは退くことを選んだ。
戦わぬものに女神は微笑むことなど決してない、などという大したことではない。ただボールが思いのほか近くに落ちた。だからリグルが逃げる時間が無かった。それだけのことである。
『リグル勝負!一歩!二歩!三歩!とぉっ!!』
『わ、ちょ待っ…!』
リグルには運が無かったのかもしれない。あまりにも早く勝負を叫ばれ、振り向こうとしてバランスを崩した。そんな相手に攻撃を待つような騎士道精神を、チルノは持ち合わせてはいなかったらしい。リグルの背中へと容赦なくボールを叩きつける。ボールはそのまま地に転がり、リグルの敗北が決定した。
転がったボールを拾おうとしたチルノは、すぐに足を止めた。さっきまで遠くにいた筈の大妖精が、すぐ傍にいたのだ。
『待って!チルノちゃん!』
『な、何?』
『あの子…』
大妖精が指差した先、木の陰に誰かがいた。
そこには木でできた桶があり、そしてその中に人がいた。…いや、人が桶の中にいるなど普通はない。つまり、それも人外の者。
『あの子、さっきからこっち見てて…一緒に遊びたいんじゃないかなー…って」
『よーしあたい呼んでくる!』
『あんまり無理言っちゃ駄目だよ?』
『分かった!よし!そこのお前こっち来い!』
『…はぁ…分かってないよ…』
突然のチルノの呼びかけに、その少女は完全に怯えてしまったようだ。
大妖精は、チルノに任せることをやめ、その少女に優しく話しかける。
『大丈夫だよ。怖がらないで…ねぇ、あなた、名前は?』
『…キスメ』
『キスメちゃん?ねぇ、一緒に遊ばない?今はボールで遊んでるんだけど、他のでもいいし…』
『いいの…?』
『うん。いいよ』
『…私…も…仇やりたい…』
『うん!じゃあこっち来て!みんなに紹介するから!』
『…うん!』
『みんなー!この子も一緒にやるけどいいよねー?』
『いいよー!』
『リグルー!天下からやり直すよー!』
『あーい!いいよー!』
地面に胡坐をかいていたリグルがチルノの元へ駆け寄る。
だが…また止める声がかかった。
『てーんーか…』
『待ちな!』
声を聞き、振り向くと、チルノの後ろに黒服の少女がいた。頭には大きな帽子、右手には箒を持ち、まるで魔女のようだった。
『楽しそうなことしてるじゃないか!私も混ぜてもらうぜ!』
『よっし、来なよ、魔理沙!てーんー…』
『待ちな!』
『あ!小町!』
『子供たちだけで遊ぶなんて危ないじゃないか!よし、仕事で忙しいけどあたいが一緒にいてやるよ!本当は仕事しなきゃいけないんだけどね!子供の安全のためじゃ仕方ないよ!』
『よーし、てーんー…』
それからも、何人もの人が参加してきたせいで、仇はなかなか始まらなかった。
『あれ、あの子たちがやってるのは早苗が教えたやつじゃない?』
『あ、本当ですねー。楽しそうで何よりです』
『よし、ここは一つ神様の力を示すとしようじゃないか!』
『椛、新聞のネタにするんでちょっと優勝してきてください』
『は、はい!頑張ります!』
『そろそろおやつ時ですがよろしいのですか、幽々子様?』
『あら妖夢。食べ物はお腹を空かせてからの方がおいしいのよ?』
『よっしゃあ輝夜ああ!!今日は仇で勝負だああああ!』
『上等よおおおおおお!』
『小町…これは少し仕置きが必要ですね…」
『ちぇぇぇぇぇぇぇん!!」
『二人とも、準備はいい?』
『体を動かすと次の日…テンションが下がる』
『それだけなら問題ないでしょ?行くよ!』
『全く…何なのよこの騒ぎは…?また私のペットが何かやらかしたのかしら?』
「…まだ増えるんですか…?」
「…少し早送りするか…」
その後。
仇は陽が落ちるまで続いた。
沈む夕日を見て、あれだけいた人の群れは一人、二人と抜けていき、最後にはチルノと友達だけになった。
『じゃあまた明日ねー!』
『バイバーイ!』
残ったメンバーも別れの言葉を残し、帰っていく。チルノは、近くの森に向かい、木に体を預け、目を閉じた。
よほど疲れていたのか、目を閉じると、すぐに寝息が聞こえてきた。夢の中でも遊んでいるのか、口元には笑みがこぼれている。
そこで映像は終わった。
「…これで終わりですか?」
「ああ。これで終わりだ。そして明日もほぼ同じ内容だ。と言うかずっとだ」
「確か俺のトクトクポイントは高いんですよね?その割には何と言うか…」
「ふむ、言いたいことは分かるぞ。高い車乗り回して酒浴びるように飲んで高いご飯食べてイイ女はべらせて焼き土下座したりとかっていう人生が望みだったんだろう?」
「焼き土下座!?」
「だが…見てみろ。このチルノの笑顔…素敵だとは思わないか?」
確かに。彼女はとても幸せそうに笑っていた。心の底から。
きっと俺はこんなに幸せそうに笑ったことなんて無いだろう。
心の底から笑うってのはどんな気持ちなのだろう?俺もあんな風に笑えば幸せになれるんだろうか?
…そう思うと、この笑顔の主になるのも悪くないかな、と思えた。
「確かに…素敵ですね」
「このロリコンめ」
「そういう意味じゃないやい!」
「まあ確かに君が考えるような幸せではないがな?だが彼女は自分が不幸だと一度も思うことなくその生涯を終える。それが不満か?」
「…いえ。とりあえず次の来世を見せてください」
「うむ、分かった。次は『レミリア・スカーレット』。彼女は吸血鬼で、紅魔館という館の主だ」
「吸血鬼ですか…」
「ああ、別にハンターに襲われるとか…そういった命の心配はないぞ?というか殺し合い上等な性格に育つんで問題ない」
それは問題ないと言うのだろうか…?
「ではレミリアの一日を見てみよう。まず起床、着替えは早送りして、朝食からだな」
画面に再び映像が映る。
大きな白いテーブル。中世ヨーロッパが舞台の映画でよく見るような貴族が使っているような、大きく立派なテーブルだった。
それに載る食器にも一つ一つに細かい装飾が施されており、価値のあることを窺わせる。
また、部屋の中には多くの使用人がいた。誰一人として口を開かず、背筋を正したまま微動だにしない。
その富の象徴とも言える豪奢な席に、少女が座って食事をしていた。一見ただの少女であるが、吸血鬼である証か、彼女の背中には蝙蝠の羽があり、時折見せる歯は牙と呼べるほどに鋭かった。
「彼女がレミリア?」
「そうだ。それと今紅茶を運んで来たのは侍女長の十六夜咲夜だ」
咲夜に注がせた紅茶を飲み終え、レミリアはすぐに席を立つ。
部屋を出た彼女は、大きな扉の前で足を止めた。
ドアノブに手を伸ばすが、結局入らずに立ち去った。
「今の部屋は?」
「階段があるだけだ。地下牢への、な」
「地下牢?」
「ああ。そこにはレミリアの妹のフランドール・スカーレットがいるよ。フランは…そうだな、簡単に言えば、強くて狂ってるから閉じ込められてしまった、と言っておこう」
「閉じ込めたのは…レミリアですか?」
「いや、二人の母親だ。レミリアを守るための苦肉の策だったようだ」
「その事を…フランは知っているんですか?」
「その事、とは?」
「母が姉を助けるために妹を犠牲にしていること・・・です」
「ああ…残念ながら、知っている。だがフランは自分がマトモじゃないせいだから仕方ない、と考えている」
「それは…悲しいですね…」
妹の犠牲の上に生きる罪の意識…それを思いながらレミリアの表情を見る。ただ優雅に振舞っているように見えた彼女がの表情が、憂いを帯びているように見えた。
レミリアは館の奥のほうへと進み、大きな扉を開けた。
薄暗くて中の様子は分かりづらいが、目を凝らすと、その部屋の中には数え切れないほどの本棚があることが分かった。その本棚には分厚い本が並んでいた。画面が本に近付き、本の題名が読めるところまで近付いたが、そこに書かれている言葉は、どこの言葉か見当のつかないものばかりだった。
「この場所は?」
「レミリアの友人のパチュリー・ノーレッジがやってる図書館だ。普通の本だけでなく魔術書のような危険なものまで数多く揃えている」
本棚からレミリアが何冊か本を取り出した。かろうじて題名が英語であることは分かるが、内容までは分からない。
『パチェ、また読ませてもらうわ』
『ご自由にどうぞ』
レミリアは本を読んでいたパチュリーに声をかける。何度も繰り返されたやりとりなのだろうか、彼女は読んでいた本から目を離しもせずに応えた。
レミリアは手近な机に本を置き、読み始めた。
ページを一枚一枚、丁寧に読み進めていく。その表情は真剣そのものである。
「何を読んでいるんです?」
「精神分析や心理学関係の書物だ」
「…妹さんのために?」
「…ああ。ここ数十年ずっと調べている。しかも他人には頼らずに、な」
運んだ本を読み終えると、本を元の位置に戻し、また新しい本を抱えて戻ってくる。
そしてそれを何度も繰り返す。
最初は表情一つ変えずに読み進めていたが、段々と表情が暗いものになっていく。
「…少し早送りしよう…」
「…」
いくら早送りしても、レミリアの動きは変わらない。
時計の長針が一回りする。二回りする。三回りする……
短針が一回りする。二回りする。三。四。五。
六回目を迎えようとした時、レミリアの手が止まった。
そして、その姿勢のまま、床へと体を落としそうになり、そこに現れた咲夜に体を支えられた。
『お嬢様、このままお続けになってはお体に障ります』
『ああ…咲夜………珈琲を淹れて頂戴…………』
『お嬢様、ご休憩をお取りください』
『………』
レミリアが意識を失った。だが直後に小さな寝息が聞こえてきた。
咲夜は少し安心した表情になり、小さく、しかしはっきりと「ご自愛を」と囁いた。
レミリアの体を抱き上げ、寝室へと連れていく。
咲夜はレミリアを着替えさせ、ベッドへと寝かせる。
レミリアの表情は安らかで、それは咲夜を安心させた。
咲夜は『お嬢様、お体はいかがですか?』と小さく声をかける。
そして返事が無いことを確認すると、レミリアを起こさないように気をつけながらベッドの傍に跪いた。
『お嬢様。無礼をお許しください・・・』
そう小声で言って、優しくレミリアの頭を撫でる咲夜。白い指が撫でる度に、レミリアの頬がゆるんでいく。
『ではお嬢様、お休みくださいませ。あとでお食事をお持ちいたします』
『…んー…』
咲夜の言葉に応えるように、レミリアが寝言を返した。咲夜はそれに驚いたが、それが寝言であることを確認すると胸をなでおろし、『お休みなさいませ、お嬢様』と挨拶を残し、部屋を後にした。
俺の目には二人が母娘に見えた。
時計の短針が一回りした頃、レミリアは目を覚ました。
目覚めを見守っていたのは、従者ではなく友人だった。
『おはよう、パチェ』
『おそよう、って挨拶がどこかの絵本にあったわね…もう夕方よ?』
『…仕方ないでしょう?ずっと起きていたんだから…』
パチュリーはレミリアの顔を見る。目の下の隅はとれていたが、表情はどこか暗い。
『…レミィ…また、フランのこと…?』
『ええ…やっぱり、あの子は私が…』
『外ではあいつ、なんて言ってるくせに』
『仕方ないでしょう?そうやって恐ろしい吸血鬼を演じないと私は…』
『舐められる、って?』
『人から恐れられて、逃げてもらわないとやっていけないのよ、吸血鬼は…』
『ふふ…』
『何?』
『恐れられないとやってけない、なんて言って、それでも妹のために自分の体を壊すなんて…そんな自己犠牲…人が聞いたら恐れるどころか親近感が沸くんじゃない?』
『まさか。自分の妹を495年閉じ込めるようなヤツに親近感なんて…人どころか妖怪にもいないでしょうよ』
『あら、そんなヤツがいたらどうするの?』
『頭掴んで床に押し倒して耳元でふざけるな、って言ってやるわ』
『あら、床はさすがにいやね。硬くて痛いもの…ベッドの上がいいわ…優しくしてね?』
『…は?』
『…ふふふ』
『……咲夜を呼んできて頂戴。お腹が空いたわ…』
『はいはい…』
パチュリーが部屋を出るとき、ふと思い出したように振り返り、
『レミィ』
『何?』
『明日からは私も手伝うわ』
『…私は良い友達を持ったわ』
レミリアは嬉しそうに笑った。
そこで映像は止まった。
「なんて言うか…吸血鬼も苦労してるんですね…」
「ああ。ちなみにフランはこのあと人間…さっきの魔理沙に、だな。出会って、そこからいろいろと変わっていくんだ。それもレミリアの望んだ通りに、な」
「…それは…」
「哀れむ必要はない。君が同じ立場になったとしたら、たとえあれだけの苦労が無駄になったとしても、誰かに同情されたくなんてないだろう?」
「…そうですね…」
「まあもしもと言っても君がこの来世を選んだらこの立場になるんだがな。では次の来世に行こう」
「さて、お待ちかね、三人目の来世。名前は『八雲紫』だ。彼女は幻想郷最強クラスの妖怪だ。そしてなんと…」
「なんと…?」
「……えろいぞ?」
「…まじっすか…?」
男としてえろいと聞いては黙っておれぬ。
べ、別にそれを基準に決めたりはしないんだからね!
「さてそれでは早速映像を再生しようか」
「是非お願いします」
期待に胸を膨らませ、映像が映るのを待つ。
部屋の中心、炬燵から上半身を出して、女が寝ている。
部屋には他にも本棚、テレビCDラックにコンポがあり、炬燵の上にはノートパソコン、その隣には酒瓶が置いてあった。
着ている服は小豆色のジャージで、所々に穴が開いていた。質素というよりは適当である。…睫毛は意外に長かった。
つい思ったことをそのまま口に出してしまう。
「部屋汚いな!」
そう、床や壁一面に物が敷き詰められ、もはや何がなんだか分からない状態だったのだ。
「何なんですかこの部屋?いくらなんでも足の踏み場もないっていうか…」
「馬鹿者!部屋ではなく本人を見ろ!それにぱっと見ゴミで満たされているように見えてもこれらは全部次の作品のための資料や士気を上げるための道具なのだ!無駄なものは何一つとして無い!全ては溢れ出る創作への情熱がなせるワザなのだ!!」
「なんでそんなに熱心にフォローするんですか!?」
だが言われてみれば、確かに部屋に散らかっているのは本やファイル、写真などで、菓子の袋などのゴミは一つも無かった。酒瓶はあったけど。
「ところで作品って言いましたけど彼女は今何を創ってるんですか?」
「今は三つの作品を同時にこなすという荒業をこなしているよ。寺子屋の…寺子屋は分かるか?」
頷く。
「ふむ。その先生から頼まれた児童向けの物語『きょうりゅうが学校にやってきた』と知り合い達で作る小説集のための作品だ」
「寺子屋の児童向け?意外ですね。子供のために働くようには見えませんけど」
「ああ。いいだろう?一見粗野だけど実は子供想い。いいだろう?フィーバーするだろう?エレクトするだろう?」
「フィーバーとエレクトが何かは分かりませんがたぶんしません」
「そうか…残念だ」
「ちなみに小説の方っていうのは?」
「知りたいかね?」
「はい」
「一つ目は巫女と触手とn」
「児童小説とハード作品を同時進行するなぁっ!」
「そしてもう一つが…」
「いやもういい黙れ」
話を中断させる。これ以上はよくない気がした。
少しでもいいところを見つけようと画面の中の紫を見る。だが見つかるのはいいところではなかった。
「ところで彼女顔色悪くないですか?食べてないんですか?それとも食べるのにも困ってるとか…」
「失礼な!今は締め切り直前で疲れてるだけなんだ!普段はもっと少女臭溢れる麗しい方なんだよ!」
なぜむきになるんだろうか?
と、疑問に思ったその時、画面に変化が起きた。紫が目を覚ましたのだ。
ゆっくりと目を開ける。そして『ぶえっくしょん!!』………でかいくしゃみをした。正直可愛くなかった。
「あの、すいません…もうこれ止めてもらえませんか?チルノとレミリアの二択だと思うんで」
「いや待ちたまえ!これから!これから凄いえろいから!」
「えー…本当ですか?」
正直疑わしいが、もしそれが本当なら続けてみよう。うん。
紫は炬燵の上のパソコンのキーボードを操作する。スクリーンセーバーが消え、執筆中の作品が現れた。タイトルには『天国発幻想郷行き(原作に忠実版)』と書いてあった。全然原稿は進んでないようだが。
そしてモニターを一瞥するなり、うめくように言った。
『あー原稿が進まなーい…よーしえっちいことするかー』
!!本当だった!!
紫はぺたぺたと手をつきながら畳の上を移動し、机の中から一つのバ○ブをとりだした。
『てんこちゃーん、ご指名だよぉー』
こいつ・・・!バ○ブに名前つけてやがる……!
「ちなみに他にもすいかちゃんがいるぞ」
「知りたくなかった…それは…」
いやでも、せっかくのエロシーンだからな!そう!それが見られれば…!
そして紫は…そのバ○ブのスイッチを入れ…
肩に当てたッ…!
『あー効くわー。ほんとにてんこちゃんはマッサージが上手ねぇー』
こいつ…バ○ブを肩揉み機代わりに…!釣られたっ…!期待した俺がバカだったっ…!
学べよ…!もうっ…!
『あーあなたみたいな子供が欲しかったわーそれで男の子だったら完璧ね。…そう、これが本当の孝行ムスコ、とかねっ!』
「とかねっ、じゃねーだろ!!とかねっ、じゃあ!!」
「…確かに孝行ムスコはないと思う…」
あれだけフォローに回っていたプランナーもさすがに認めてしまった。
「あの、すいません。本当にもういいんで止めてもらえませんか?あなたもお忙しいでしょうし…」
「いやいや待ちたまえ。これを聞けば気持ちが変わる!」
「…何ですか?」
「実は紫にはいい相手がいるのだ。彼女は紫のどんな命令にも文句一つ言わずに従ってくれる…そんな存在がいるのだ…!」
「…サキュバスでもいるんですか?」
「いや、違う…おっと、彼女の元へ向かうようだぞ?」
紫は押入れを開ける。
そして転がり落ちる空気嫁。しかも縄で縛られてる。
いや、予想はしてた。これかよっぽどヒドイやつかのどっちかだろうな、って思ってた。もう期待もしてなかった。
「ご紹介しよう、紫のお気に入り…れいむちゃんだ!」
「すいません、もういいんで、本当に」
俺の逃げたい衝動を無視し、画面の紫は嫁の肩に手を回す。
『ふふふ…霊夢ったらこんなに縛られてるのに嬉しそうな顔しちゃって…』
『イヤーソンナコトイワナイデー』(紫の裏声)
『ふふふ…正直にさせてあげるわ!』
そう言って紫は空気嫁の股に顔を近付k
「おい本当に止めろ」
「大丈夫だから見ておけ!大丈夫だから!」
俺の声はプランナーにも紫にも届かなかった。
『レロレロレロレロ…』
…舐め始めた。しかもレロレロレロって自分の口で言ってる。
「…さ、最悪だ…」
「ま、待ちたまえ、まだ終わりではない!」
まだひどくなるのか…?いやまさか…
そう、それは起こった…
何の前触れも無く開かれる障子戸。普段なら一声かけて紫の了承をとってから開けるのであろうが、よほど急いでいたのだろう。紫が反応する前に戸が開けられた。
『紫様!大変です!結界が…』
固まる藍。流れる沈黙。痛すぎる沈黙。止まる時間。閉まる戸。
涙する紫。涙を拭く紫。
再び舐め始める紫。
「続けるなぁ!!」
「ま、待て大丈夫まだ慌てるような事態じゃない!」
「うるさいわーい!もういいから止めろ!これ以上悪化する前に!」
「ま、待て!これから挽回するから!全米が涙する展開が!きっと!」
「きっとかよ!?」
だが、期待とは裏腹に最も望まない事態を迎えた。
『レロレロレロレロ…』
「…」
『レロレロレロレロ…』
「…」
『レロレロレロレロ…』
「…」
そのまま映像が終わったのだ。
紫は…女を模した人形を舐めてその一日を終えたのだ。
流れる沈黙。先ほどまで画面の中で紫と藍の間に流れた以上に痛い空気が流れる。
抗議の意味を込めてプランナーの方へ目をやる。相手は「なにか?」みたいな感じで少し首をかしげて俺の目を見る。
そして二人の間に流れる変な空気。正直限界だった。
「…今のところレミリアが優勢かな…」
「待て!待ちたまえ!この映像では出てきてないけどこのれいむちゃんの基になった霊夢って女が出てくるんだ!実はその子とすっごい仲良くてでもお互いに素直になるのはちょっと照れくさいからちょっとそっけない態度とっちゃうんだけどでもやっぱりなんていうか二人とも心の底では信頼しあってて、それで、あのー誕生日とか二人ともプレゼント用意してあるとかそんな百合百合な日々を送れるっていう」
「知り合いの人形作るとか最低だな…」
「分かった、特別にすごいオプションつけるから!バストサイズVぐらいまでまで大きくしてあげるから!」
「V!?EFGHでさえ未知の域なのにV!?いりませんよそんなの!!」
「じゃあお尻プリップリンにするから!!」
「要りませんって!!」
「じゃあ乳首すっごい綺麗な色にするから!!見せびらかして歩いても恥ずかしくないぐらい綺麗な色にするから!!」
「見せびらかしてる時点で十分恥ずかしいわ!」
「慌てるなっ!よく考えろ!!分かった!小陰唇を左右対称にするから!!いきなり見せてって言われても恥ずかしくないぞ!!」
「いきなり見せてくれって言われる機会なんざそんなにあるかぁ!!」
「いやそんなにって言うか普通ゼロだろう?」
「い、いきなり変なツッコミ入れないでください!そ、それよりも…」
そう。ふと疑問に思った。あまりにも紫を推しすぎじゃあないだろうか。なぜこの人はこんなにも紫を勧めるのか。
「さっきから思ってたんですが…明らかにひいきしてますよね?なんでこんなのをそんなに薦めるんですか?」
「お前…おまえ…こんなのって…おまえ…こんなのっていうなよぉ!いーうーなーよー!!」
「退行しやがった!?」
「お前…!あんまりゆかりんの悪口言うとお前の来世を秋姉妹の地味な方にするぞ!!」
「それは言い過ぎじゃねえか!?」
「…うぅ…分かった…理由をお教えしよう」
「理由あったんだ…」
「実はこの来世は…八雲紫は売れ残りなんだ」
「婚期的な意m」
「違う!!ゆかりんは少女臭なんだよ!!」
「よ、よく分かんないけど御免なさい!!」
「…この来世は今までに999人の死者に拒否されてきたんだ。そして1000人に拒否された人生は破棄される決まりなんだ…」
…無理も無い。あんなシーンを見せられたら誰だって嫌になる。
特に「孝行ムスコ」。あれはいけなかった。あの言葉は確実に死者の意欲を削いできただろう。
「…仕方ないと思いますよ?あんなシーン見せられたら、さすがに…」
「…?何故?」
「え?」
「え?何故あれを見て拒否したくなるんだ?」
「え?」
「え?」
「…あの映像に疑問を抱かないんですか?」
「…私の中ではあのシーンがゆかりんベストショットだったんだが…」
「お前のそのセンスが999人拒否させた理由だよ!!」
「え?ジャージ着てくつろいでる子って素敵じゃね?」
「くつろぐにも限度があらぁよ!!」
つい変な言葉になってしまった。喉痛い。
「…はぁ…まあいいんじゃないですか?別に。それがルールなら仕方ないんじゃないですか?」
「確かに、もし八雲紫がただの妖怪ならそれでもいいのだが…」
「違うんですか?」
「彼女は幻想郷の存在に深く関わっているのだ。もし彼女がいなくなれば…最悪の場合、幻想郷が無くなってしまう」
「え…それじゃ…」
「もし紫を選ばず、他の二人を選んでも、見せた通りの人生を送れない可能性がある。もしかしたらあの二人がさっきの紫みたいになってるかもな?」
「…その場合の人生を見ることはできないんですか?」
「ふむ。ではその場合での来世の映像を作ってこよう。また少し待っていてくれ」
再び数分後。
「待たせたな。で、結果だが…」
「どうなりました?」
「紫がいなくなった場合、幻想郷は無くなる。これは事実だ。で、その場合のチルノとレミリア…と言うか幻想郷の妖怪たち全員だが、外の世界で似たような生活を送っているよ。チルノは人間の子供とも仲良く遊んで毎日を過ごしている。レミリアの方は…すごいぞ?」
「何です?」
「途中まではトランシルヴァニアの奥地でひっそりと暮らしているが、ある日世界の腐敗を知り、それを正してやろうと思い立ち、世界征服に乗り出す」
「…世界征服ですか…」
「その後わずか1ヶ月で世界を統一」
「成功した!?しかも早い!!」
「他の妖怪達も手伝ったらしい。…そして年号をR,S元年と定め、星の名前を地球から紅魔星に改名。各国に自分のスペカの名前に由来する国名を与える」
「やりたい放題ですね…」
「その後独裁政治を行うが、これが大成功を収める」
「何故!?」
「民衆に愛されたから。従いたいと思わせた。尽くしたいと思わせた。これが成功の秘訣だ。具体的には言いたくないが…聞きたいか?」
「…なんとなく予想ができるんでいいです…」
ちなみにそのとき俺の頭の中のレミリアはヒラヒラのスカート履いてマイク持ってステージで踊ったり、ムチを持って『ひれ伏せ、平民ども!』と罵っていたりしていた。
その隣では咲夜が鼻血を拭いていた。
美鈴はレミリアに踏まれていた。
ちなみにフランとパチュリーは泣いていた。
「で、どうするんだ?」
「…レミリアにします。そして世界を救います」
「そうか。では残念だが八雲紫は破棄だな。残念ながら…」
プランナーは本当に残念そうに言った。
「では君は十月十日後、スカーレット家の長女レミリア・スカーレットとして生まれることになるが、いいな?」
「はい」
俺はきっぱりとうなずいた。
次の瞬間俺は小さな温かいものに閉じ込められていた。
ああこれは卵細胞か…俺はぼんやりと思った。ずいぶんと簡単に済んでしまったものだ。
これから俺はレミリア・スカーレットという女になっていくのだ。
そしてそれっきり、俺の意識は闇に包まれたのだった。
こうしてサンプル『八雲紫』は破棄された。この世に八雲紫が生まれることはなかった。
世界は大きく変わった。
あなたがいるその国はアジア第一区「幼きサムライロード」になり、あなたの部屋のCDラックにはアイドル『スカーレット・シスターズ』のニューシングル『れみりあとフランのねこ曜日』が山積みになっているだろう。
本棚にはレミリア・スカーレットの本やフィギュアが飾られているだろう。
ちなみにレミリア関連で18禁の作品は児ポ法の対象外となるため、堂々と所持することができるが、代わりにレミリア関連作品取り扱い免許が必要だ。15禁までなら第一種、18禁なら第二種が必要となるので、確認してもらいたい。
また、コミケではレミリア本が溢れ、レミフラかレミ咲のどちらがジャスティスかの争いで戦いが起き、自衛隊がその鎮圧にあたっているだろう。
小学校ではレミリアごっこが大流行し、高いところから跳んできたやつをデーモンロードウォークで撃ち落すという遊びが流行り、怪我をすることが問題になるだろう。PTAが学校に文句を言うが、「全てはレミリア様を愛しているが故の行いです」と学校側に返答され、じゃあ仕方ないか、となるだろう。
中学校では少女から男子への告白にバンパイアキスをすることが流行っているだろう。
「これが私の気持ちです!」
ぎゅおーーーーーーーーーーーーーー!!!ガッ!!!
「・・・僕も好きです」
ということが校庭のすみっことか放課後の教室で行われているだろう。「えぇっ!?あんなおとなしそうな娘があんなに大胆なことを!?」とか思ってはいけない。この幼きサムライロードではレミリアの真似をするということは最も大切なことなのだ。
高校では進学か就職か親衛隊に入るかで悩んだりするだろう。
大学では二股をかけた男は例外なくヤンデレと化した女にスピア・ザ・グングニルで射抜かれるだろう。というかそんな奴は死んでしまえ。
海外ではレミリアに忠誠を誓わない者(ただし人間のみ)は火あぶりにされ処刑されるが、日本…もとい幼きサムライロードではそんなことはない。
ただし小学校のころの卒業文集をニュースで紹介され、物知り顔の心理学者が『何故こいつはレミリアに忠誠を誓わないか』について長く説明してくれるだろう。
また、もしかしたらあなたは結婚しているかもしれない。相手が人間か、妖怪か、妖精かは分からないが。あるいは、もしかしたら結婚相手を探しているかもしれない。そんな人は自分と近い人間と結婚してもいいし、相性が良いと感じたら妖怪や妖精を嫁に迎えるのも悪くはない。
ただ妖怪は恐ろしいので、○○は俺の嫁などと一度言ってしまったら取り返しはつかない。それは気をつけてほしい。
あとくれぐれもレミリアは俺の嫁などとは言わないことだ。この国では最大の禁句であるため、発言者がどうなるかはわからない。言うなよ!!絶対言うなよ!!
そしてこの国の男達は、末永く、変態という名の紳士としてレミリアに蔑まれつつ愛されているだろう。
これらがもし嘘だと思うならぜひ確認していただきたい。だがもしも万が一何の変化もなかったならばご注意いただきたい。
あなたもとばっちりを受け、数秒後にはこの世界もろとも消えてしまうかもしれないからだ。
そもそも八雲紫がいないのだから、この作品を読んでいること自体が、非常に危険なことなのである。
その点はご注意いただきたい。
ただし、既に手遅れかもしれないが……
卑猥な表現があります。
キャラ崩壊(特に紫)注意です。
気に入らないという方はお引取りを。
ある時、ある場所で、ある人が死んだ。
愛され、憎まれ、その短い人生に幕を下ろした。
俺は、不思議な空間にいた。
太陽が無いのに、真昼の様に明るい。
そして、一面の青空が広がっていた。自分の上だけではない。上下前後左右全てが美しい青空だった。
そして、先も見えないほどの遠くの空から、真っ白な階段が続いている。俺はその階段の上にいた。
そんな不思議な光景を見て俺は、『ああ、死後の世界か』と結論付けた。
しかし、前世や来世などあったら面白いよな、ぐらいにしか考えていなかったが、まさか実在したとは・・・
「…すごいな…」
自然と口から言葉がこぼれた。そしてそれに、誰かが応えた。
「驚いたか?」
全くの不意打ちだったにも関わらず、不思議と驚きは少なかった。むしろ応えてくれる人がいたことへの喜びが強かった。
そこにいたのは、人だった。ただし、背中に白い羽が生えていたが。体は中性的で、顔も中性的だったが、どちらかと言えば女性よりで、そして美人で…うん。まあ要するに天使だった。
「あなたは?」
「私は、人生プランナーだ」
「人生プランナー?」
「うむ。説明させてもらうが…君は既に死んでいる」
「…やっぱり死んでましたか」
「ああ、残念ながら、な」
「残念です。それで?」
「それで、だ。我々人生プランナーは前世で君が積んできた徳に応じて人生設計をして、最高の来世を送る手助けをしているんだ」
「前世で積んだ…徳?」
「ああ。とは言っても別に難しいことではない。ただ良いことをしたらプラス、悪いことしたらマイナス、そんな感じだと思ってくれ」
「そうですか…」
「で、君の徳、つまりトクトク・ポイントだが…」
「はぁ?トクトク・ポイント?」
「う、うむ。トクトク・ポイントというのは…」
「まさか得と徳をかけた駄洒落じゃないですよね?」
「う…」
「まさかそんなくだらないことじゃないですよね?」
「…あまりいじめないでくれ…私も言うのが恥ずかしいんだ…」
…天使ってこんな適当でやってけるんだろうか?
しかし前世で積んだ徳、と言われて俺には思い当たることが無かった。特に悪さはしなかったが、良いこともしてない。そんな人生だった。
「では、君のトクトクポイントだが…324392点だ。なかなかの好成績だぞ。これならいい来世が送れるだろう」
「本当ですか!?」
「…ちっ」
「舌打ちした!?」
「まあいい…来世での希望をお聞きしよう。何かあるか?国籍、年代、性別、名前、顔等大抵の自由があるが。まあ最近は名前の自由利かせすぎて大変なことになっているがな…」
プランナーはメモ帳とペンを取り出した。
最近子供の名前がぶっ飛んでいるのはこいつらのせいか。
…しかし、人生の希望か…いざ自由にできると言われると大した考えが浮かばないものだ。
「うーん、国籍も性別も特に希望は無いですね…あ、童顔ってのは憧れますね。煙草買うときとかに一度も年齢確認求められたことがないんですよ。あとは…友人は量より質を求めますね。信頼できる親友が欲しいです。…それから…」
プランナーは俺の答えをメモ帳に書き込んでいく。
「よし、お疲れ様。とりあえずその条件にあう来世のサンプルをいくつか選んでくるから適当に時間を潰していてくれ」
数分後、とは言っても時計なんか無いから実際にはもっと短かったかもしれない。
「待たせたな」
「…どうも」
「先ほどの条件に合う来世を三つ選んできたからその中から選んでくれ」
そう言ってプランナーが手を空にかざすと、空中に画面のようなものが作り出される。SF映画によくあるテレビのようだった。
「この画面に来世を流すからそれを見て決めてくれ」
先を説明しながらプランナーは手を動かす。それが何をしているのかは俺には理解できないが、きっと映像を再生しようとしているのだろう。
「ではまず最初の来世だ。名前は『チルノ』。人間ではなく、妖精だな。氷の妖精、つまり氷精だ」
「妖精?妖精なんて…」
「存在することが普通の世界があるんだ。名を幻想郷という…っと準備できたぞ」
映像が画面に映し出された。
「これが…幻想郷…」
そこは緑豊かな世界だった。遠くには赤い屋敷が見え、その手前に大きな湖(だと思う)があった。湖の中心には氷の塊が浮かんでおり、その上に少女が眠っていた。それだけなら神秘的な光景と呼べたが、少女があまりにも無防備に寝ているため、神秘性は無かった。なんというか…薄青の髪や透明な羽などを除けば…表情などはまるっきり子供のそれである。
口元からは漫画みたいに涎を垂らしていて、それが可笑しかった。
「では氷精チルノの一日を追うぞ。目を覚ますところまで早送りする」
映像が早回しされ、彼女が目を覚ましたところでもとのスピードに戻った。
目を覚ましたチルノはすぐに飛び立った。飛行をするところを見て初めて彼女が人外だと実感した。彼女が目指したところは森だった。そこで木についていた果実をもぎとり、頬張る。果汁がこぼれることも構わずに食べるその姿は、実に幸せそうだった。
チルノはさらに果実を食べ続け、5個目に手を伸ばしたとき、後ろから声がかかった。
チルノが振り返ると、そこには同年代の少女たちがいた。皆チルノと同様に羽などがあり、人ではないと感じさせた。
「彼女達は?友達ですか?」
「ああ。手前からリグル・ナイトバグ、ルーミア、ミスティア・ローレライ、橙、大妖精だ。大妖精というのは通称だ。本名はない。みんなからはさらに縮めて大ちゃんと呼ばれ親しまれている」
画面を見る。
類は友を呼ぶ、というか…チルノの友人はみな純朴な、…一言で言うなら「いい子」そうに見えた。
画面の中のチルノがポケットから何かを取り出した。
伝家の宝刀のように取り出したそれは、小さなボールだった。
『ね、これ見て、これ!寺子屋に行ったらくれた!あたいのじんぼーのなせるワザね!』
『仇やろ仇!』
『何それ?』
『知らないのー?』
チルノが楽しそうに『仇』の説明を始める。
自分の持つ知識を楽しそうにひけらかす、ボール一つで本当に楽しそうに騒げる…
その様子はまさに子供だった。
『それじゃ行くよー!てー、んー、か!』
掛け声と共にチルノがボールを空へと放り投げる。
それを合図にゲームが始まった。
まず動いたのはリグル、次にチルノ。二人はボールを追いかける。二人はボールが落ちる場所で、手を伸ばせば顔に届く距離で三度目のバウンドを待つ。
ルーミアと橙の二人は大きく距離をとりつつボールへと近付く。だが二人は一定の距離からは近付こうとしない。…なるほど。ボールを投げられても避けやすい位置。そして避けた後にそのボールを相手に取られる事も無い。…この二人、このゲームをやりこんでいるな…!
ミスティア、大妖精はただひたすらに遠くへ逃げた。確かに距離をとればそれだけ避けやすい。だが遠くに全力で逃げる姿というのは意外と目につきやすいもので、チルノもリグルも横目で二人の位置を確認している。
そして二人の姿を確認しながら、ボールが地面に着く音を聞く。一回、二回、そして三回。
同時に二人が動く。相対している状態で同時に右手を突き出す。だが急ぎすぎた二つの手は、ボールを捕らえず、弾く。
ここで行くか退くか。一瞬の思案の後、二人の考えは分かれた。チルノは行くことを選択し、リグルは退くことを選んだ。
戦わぬものに女神は微笑むことなど決してない、などという大したことではない。ただボールが思いのほか近くに落ちた。だからリグルが逃げる時間が無かった。それだけのことである。
『リグル勝負!一歩!二歩!三歩!とぉっ!!』
『わ、ちょ待っ…!』
リグルには運が無かったのかもしれない。あまりにも早く勝負を叫ばれ、振り向こうとしてバランスを崩した。そんな相手に攻撃を待つような騎士道精神を、チルノは持ち合わせてはいなかったらしい。リグルの背中へと容赦なくボールを叩きつける。ボールはそのまま地に転がり、リグルの敗北が決定した。
転がったボールを拾おうとしたチルノは、すぐに足を止めた。さっきまで遠くにいた筈の大妖精が、すぐ傍にいたのだ。
『待って!チルノちゃん!』
『な、何?』
『あの子…』
大妖精が指差した先、木の陰に誰かがいた。
そこには木でできた桶があり、そしてその中に人がいた。…いや、人が桶の中にいるなど普通はない。つまり、それも人外の者。
『あの子、さっきからこっち見てて…一緒に遊びたいんじゃないかなー…って」
『よーしあたい呼んでくる!』
『あんまり無理言っちゃ駄目だよ?』
『分かった!よし!そこのお前こっち来い!』
『…はぁ…分かってないよ…』
突然のチルノの呼びかけに、その少女は完全に怯えてしまったようだ。
大妖精は、チルノに任せることをやめ、その少女に優しく話しかける。
『大丈夫だよ。怖がらないで…ねぇ、あなた、名前は?』
『…キスメ』
『キスメちゃん?ねぇ、一緒に遊ばない?今はボールで遊んでるんだけど、他のでもいいし…』
『いいの…?』
『うん。いいよ』
『…私…も…仇やりたい…』
『うん!じゃあこっち来て!みんなに紹介するから!』
『…うん!』
『みんなー!この子も一緒にやるけどいいよねー?』
『いいよー!』
『リグルー!天下からやり直すよー!』
『あーい!いいよー!』
地面に胡坐をかいていたリグルがチルノの元へ駆け寄る。
だが…また止める声がかかった。
『てーんーか…』
『待ちな!』
声を聞き、振り向くと、チルノの後ろに黒服の少女がいた。頭には大きな帽子、右手には箒を持ち、まるで魔女のようだった。
『楽しそうなことしてるじゃないか!私も混ぜてもらうぜ!』
『よっし、来なよ、魔理沙!てーんー…』
『待ちな!』
『あ!小町!』
『子供たちだけで遊ぶなんて危ないじゃないか!よし、仕事で忙しいけどあたいが一緒にいてやるよ!本当は仕事しなきゃいけないんだけどね!子供の安全のためじゃ仕方ないよ!』
『よーし、てーんー…』
それからも、何人もの人が参加してきたせいで、仇はなかなか始まらなかった。
『あれ、あの子たちがやってるのは早苗が教えたやつじゃない?』
『あ、本当ですねー。楽しそうで何よりです』
『よし、ここは一つ神様の力を示すとしようじゃないか!』
『椛、新聞のネタにするんでちょっと優勝してきてください』
『は、はい!頑張ります!』
『そろそろおやつ時ですがよろしいのですか、幽々子様?』
『あら妖夢。食べ物はお腹を空かせてからの方がおいしいのよ?』
『よっしゃあ輝夜ああ!!今日は仇で勝負だああああ!』
『上等よおおおおおお!』
『小町…これは少し仕置きが必要ですね…」
『ちぇぇぇぇぇぇぇん!!」
『二人とも、準備はいい?』
『体を動かすと次の日…テンションが下がる』
『それだけなら問題ないでしょ?行くよ!』
『全く…何なのよこの騒ぎは…?また私のペットが何かやらかしたのかしら?』
「…まだ増えるんですか…?」
「…少し早送りするか…」
その後。
仇は陽が落ちるまで続いた。
沈む夕日を見て、あれだけいた人の群れは一人、二人と抜けていき、最後にはチルノと友達だけになった。
『じゃあまた明日ねー!』
『バイバーイ!』
残ったメンバーも別れの言葉を残し、帰っていく。チルノは、近くの森に向かい、木に体を預け、目を閉じた。
よほど疲れていたのか、目を閉じると、すぐに寝息が聞こえてきた。夢の中でも遊んでいるのか、口元には笑みがこぼれている。
そこで映像は終わった。
「…これで終わりですか?」
「ああ。これで終わりだ。そして明日もほぼ同じ内容だ。と言うかずっとだ」
「確か俺のトクトクポイントは高いんですよね?その割には何と言うか…」
「ふむ、言いたいことは分かるぞ。高い車乗り回して酒浴びるように飲んで高いご飯食べてイイ女はべらせて焼き土下座したりとかっていう人生が望みだったんだろう?」
「焼き土下座!?」
「だが…見てみろ。このチルノの笑顔…素敵だとは思わないか?」
確かに。彼女はとても幸せそうに笑っていた。心の底から。
きっと俺はこんなに幸せそうに笑ったことなんて無いだろう。
心の底から笑うってのはどんな気持ちなのだろう?俺もあんな風に笑えば幸せになれるんだろうか?
…そう思うと、この笑顔の主になるのも悪くないかな、と思えた。
「確かに…素敵ですね」
「このロリコンめ」
「そういう意味じゃないやい!」
「まあ確かに君が考えるような幸せではないがな?だが彼女は自分が不幸だと一度も思うことなくその生涯を終える。それが不満か?」
「…いえ。とりあえず次の来世を見せてください」
「うむ、分かった。次は『レミリア・スカーレット』。彼女は吸血鬼で、紅魔館という館の主だ」
「吸血鬼ですか…」
「ああ、別にハンターに襲われるとか…そういった命の心配はないぞ?というか殺し合い上等な性格に育つんで問題ない」
それは問題ないと言うのだろうか…?
「ではレミリアの一日を見てみよう。まず起床、着替えは早送りして、朝食からだな」
画面に再び映像が映る。
大きな白いテーブル。中世ヨーロッパが舞台の映画でよく見るような貴族が使っているような、大きく立派なテーブルだった。
それに載る食器にも一つ一つに細かい装飾が施されており、価値のあることを窺わせる。
また、部屋の中には多くの使用人がいた。誰一人として口を開かず、背筋を正したまま微動だにしない。
その富の象徴とも言える豪奢な席に、少女が座って食事をしていた。一見ただの少女であるが、吸血鬼である証か、彼女の背中には蝙蝠の羽があり、時折見せる歯は牙と呼べるほどに鋭かった。
「彼女がレミリア?」
「そうだ。それと今紅茶を運んで来たのは侍女長の十六夜咲夜だ」
咲夜に注がせた紅茶を飲み終え、レミリアはすぐに席を立つ。
部屋を出た彼女は、大きな扉の前で足を止めた。
ドアノブに手を伸ばすが、結局入らずに立ち去った。
「今の部屋は?」
「階段があるだけだ。地下牢への、な」
「地下牢?」
「ああ。そこにはレミリアの妹のフランドール・スカーレットがいるよ。フランは…そうだな、簡単に言えば、強くて狂ってるから閉じ込められてしまった、と言っておこう」
「閉じ込めたのは…レミリアですか?」
「いや、二人の母親だ。レミリアを守るための苦肉の策だったようだ」
「その事を…フランは知っているんですか?」
「その事、とは?」
「母が姉を助けるために妹を犠牲にしていること・・・です」
「ああ…残念ながら、知っている。だがフランは自分がマトモじゃないせいだから仕方ない、と考えている」
「それは…悲しいですね…」
妹の犠牲の上に生きる罪の意識…それを思いながらレミリアの表情を見る。ただ優雅に振舞っているように見えた彼女がの表情が、憂いを帯びているように見えた。
レミリアは館の奥のほうへと進み、大きな扉を開けた。
薄暗くて中の様子は分かりづらいが、目を凝らすと、その部屋の中には数え切れないほどの本棚があることが分かった。その本棚には分厚い本が並んでいた。画面が本に近付き、本の題名が読めるところまで近付いたが、そこに書かれている言葉は、どこの言葉か見当のつかないものばかりだった。
「この場所は?」
「レミリアの友人のパチュリー・ノーレッジがやってる図書館だ。普通の本だけでなく魔術書のような危険なものまで数多く揃えている」
本棚からレミリアが何冊か本を取り出した。かろうじて題名が英語であることは分かるが、内容までは分からない。
『パチェ、また読ませてもらうわ』
『ご自由にどうぞ』
レミリアは本を読んでいたパチュリーに声をかける。何度も繰り返されたやりとりなのだろうか、彼女は読んでいた本から目を離しもせずに応えた。
レミリアは手近な机に本を置き、読み始めた。
ページを一枚一枚、丁寧に読み進めていく。その表情は真剣そのものである。
「何を読んでいるんです?」
「精神分析や心理学関係の書物だ」
「…妹さんのために?」
「…ああ。ここ数十年ずっと調べている。しかも他人には頼らずに、な」
運んだ本を読み終えると、本を元の位置に戻し、また新しい本を抱えて戻ってくる。
そしてそれを何度も繰り返す。
最初は表情一つ変えずに読み進めていたが、段々と表情が暗いものになっていく。
「…少し早送りしよう…」
「…」
いくら早送りしても、レミリアの動きは変わらない。
時計の長針が一回りする。二回りする。三回りする……
短針が一回りする。二回りする。三。四。五。
六回目を迎えようとした時、レミリアの手が止まった。
そして、その姿勢のまま、床へと体を落としそうになり、そこに現れた咲夜に体を支えられた。
『お嬢様、このままお続けになってはお体に障ります』
『ああ…咲夜………珈琲を淹れて頂戴…………』
『お嬢様、ご休憩をお取りください』
『………』
レミリアが意識を失った。だが直後に小さな寝息が聞こえてきた。
咲夜は少し安心した表情になり、小さく、しかしはっきりと「ご自愛を」と囁いた。
レミリアの体を抱き上げ、寝室へと連れていく。
咲夜はレミリアを着替えさせ、ベッドへと寝かせる。
レミリアの表情は安らかで、それは咲夜を安心させた。
咲夜は『お嬢様、お体はいかがですか?』と小さく声をかける。
そして返事が無いことを確認すると、レミリアを起こさないように気をつけながらベッドの傍に跪いた。
『お嬢様。無礼をお許しください・・・』
そう小声で言って、優しくレミリアの頭を撫でる咲夜。白い指が撫でる度に、レミリアの頬がゆるんでいく。
『ではお嬢様、お休みくださいませ。あとでお食事をお持ちいたします』
『…んー…』
咲夜の言葉に応えるように、レミリアが寝言を返した。咲夜はそれに驚いたが、それが寝言であることを確認すると胸をなでおろし、『お休みなさいませ、お嬢様』と挨拶を残し、部屋を後にした。
俺の目には二人が母娘に見えた。
時計の短針が一回りした頃、レミリアは目を覚ました。
目覚めを見守っていたのは、従者ではなく友人だった。
『おはよう、パチェ』
『おそよう、って挨拶がどこかの絵本にあったわね…もう夕方よ?』
『…仕方ないでしょう?ずっと起きていたんだから…』
パチュリーはレミリアの顔を見る。目の下の隅はとれていたが、表情はどこか暗い。
『…レミィ…また、フランのこと…?』
『ええ…やっぱり、あの子は私が…』
『外ではあいつ、なんて言ってるくせに』
『仕方ないでしょう?そうやって恐ろしい吸血鬼を演じないと私は…』
『舐められる、って?』
『人から恐れられて、逃げてもらわないとやっていけないのよ、吸血鬼は…』
『ふふ…』
『何?』
『恐れられないとやってけない、なんて言って、それでも妹のために自分の体を壊すなんて…そんな自己犠牲…人が聞いたら恐れるどころか親近感が沸くんじゃない?』
『まさか。自分の妹を495年閉じ込めるようなヤツに親近感なんて…人どころか妖怪にもいないでしょうよ』
『あら、そんなヤツがいたらどうするの?』
『頭掴んで床に押し倒して耳元でふざけるな、って言ってやるわ』
『あら、床はさすがにいやね。硬くて痛いもの…ベッドの上がいいわ…優しくしてね?』
『…は?』
『…ふふふ』
『……咲夜を呼んできて頂戴。お腹が空いたわ…』
『はいはい…』
パチュリーが部屋を出るとき、ふと思い出したように振り返り、
『レミィ』
『何?』
『明日からは私も手伝うわ』
『…私は良い友達を持ったわ』
レミリアは嬉しそうに笑った。
そこで映像は止まった。
「なんて言うか…吸血鬼も苦労してるんですね…」
「ああ。ちなみにフランはこのあと人間…さっきの魔理沙に、だな。出会って、そこからいろいろと変わっていくんだ。それもレミリアの望んだ通りに、な」
「…それは…」
「哀れむ必要はない。君が同じ立場になったとしたら、たとえあれだけの苦労が無駄になったとしても、誰かに同情されたくなんてないだろう?」
「…そうですね…」
「まあもしもと言っても君がこの来世を選んだらこの立場になるんだがな。では次の来世に行こう」
「さて、お待ちかね、三人目の来世。名前は『八雲紫』だ。彼女は幻想郷最強クラスの妖怪だ。そしてなんと…」
「なんと…?」
「……えろいぞ?」
「…まじっすか…?」
男としてえろいと聞いては黙っておれぬ。
べ、別にそれを基準に決めたりはしないんだからね!
「さてそれでは早速映像を再生しようか」
「是非お願いします」
期待に胸を膨らませ、映像が映るのを待つ。
部屋の中心、炬燵から上半身を出して、女が寝ている。
部屋には他にも本棚、テレビCDラックにコンポがあり、炬燵の上にはノートパソコン、その隣には酒瓶が置いてあった。
着ている服は小豆色のジャージで、所々に穴が開いていた。質素というよりは適当である。…睫毛は意外に長かった。
つい思ったことをそのまま口に出してしまう。
「部屋汚いな!」
そう、床や壁一面に物が敷き詰められ、もはや何がなんだか分からない状態だったのだ。
「何なんですかこの部屋?いくらなんでも足の踏み場もないっていうか…」
「馬鹿者!部屋ではなく本人を見ろ!それにぱっと見ゴミで満たされているように見えてもこれらは全部次の作品のための資料や士気を上げるための道具なのだ!無駄なものは何一つとして無い!全ては溢れ出る創作への情熱がなせるワザなのだ!!」
「なんでそんなに熱心にフォローするんですか!?」
だが言われてみれば、確かに部屋に散らかっているのは本やファイル、写真などで、菓子の袋などのゴミは一つも無かった。酒瓶はあったけど。
「ところで作品って言いましたけど彼女は今何を創ってるんですか?」
「今は三つの作品を同時にこなすという荒業をこなしているよ。寺子屋の…寺子屋は分かるか?」
頷く。
「ふむ。その先生から頼まれた児童向けの物語『きょうりゅうが学校にやってきた』と知り合い達で作る小説集のための作品だ」
「寺子屋の児童向け?意外ですね。子供のために働くようには見えませんけど」
「ああ。いいだろう?一見粗野だけど実は子供想い。いいだろう?フィーバーするだろう?エレクトするだろう?」
「フィーバーとエレクトが何かは分かりませんがたぶんしません」
「そうか…残念だ」
「ちなみに小説の方っていうのは?」
「知りたいかね?」
「はい」
「一つ目は巫女と触手とn」
「児童小説とハード作品を同時進行するなぁっ!」
「そしてもう一つが…」
「いやもういい黙れ」
話を中断させる。これ以上はよくない気がした。
少しでもいいところを見つけようと画面の中の紫を見る。だが見つかるのはいいところではなかった。
「ところで彼女顔色悪くないですか?食べてないんですか?それとも食べるのにも困ってるとか…」
「失礼な!今は締め切り直前で疲れてるだけなんだ!普段はもっと少女臭溢れる麗しい方なんだよ!」
なぜむきになるんだろうか?
と、疑問に思ったその時、画面に変化が起きた。紫が目を覚ましたのだ。
ゆっくりと目を開ける。そして『ぶえっくしょん!!』………でかいくしゃみをした。正直可愛くなかった。
「あの、すいません…もうこれ止めてもらえませんか?チルノとレミリアの二択だと思うんで」
「いや待ちたまえ!これから!これから凄いえろいから!」
「えー…本当ですか?」
正直疑わしいが、もしそれが本当なら続けてみよう。うん。
紫は炬燵の上のパソコンのキーボードを操作する。スクリーンセーバーが消え、執筆中の作品が現れた。タイトルには『天国発幻想郷行き(原作に忠実版)』と書いてあった。全然原稿は進んでないようだが。
そしてモニターを一瞥するなり、うめくように言った。
『あー原稿が進まなーい…よーしえっちいことするかー』
!!本当だった!!
紫はぺたぺたと手をつきながら畳の上を移動し、机の中から一つのバ○ブをとりだした。
『てんこちゃーん、ご指名だよぉー』
こいつ・・・!バ○ブに名前つけてやがる……!
「ちなみに他にもすいかちゃんがいるぞ」
「知りたくなかった…それは…」
いやでも、せっかくのエロシーンだからな!そう!それが見られれば…!
そして紫は…そのバ○ブのスイッチを入れ…
肩に当てたッ…!
『あー効くわー。ほんとにてんこちゃんはマッサージが上手ねぇー』
こいつ…バ○ブを肩揉み機代わりに…!釣られたっ…!期待した俺がバカだったっ…!
学べよ…!もうっ…!
『あーあなたみたいな子供が欲しかったわーそれで男の子だったら完璧ね。…そう、これが本当の孝行ムスコ、とかねっ!』
「とかねっ、じゃねーだろ!!とかねっ、じゃあ!!」
「…確かに孝行ムスコはないと思う…」
あれだけフォローに回っていたプランナーもさすがに認めてしまった。
「あの、すいません。本当にもういいんで止めてもらえませんか?あなたもお忙しいでしょうし…」
「いやいや待ちたまえ。これを聞けば気持ちが変わる!」
「…何ですか?」
「実は紫にはいい相手がいるのだ。彼女は紫のどんな命令にも文句一つ言わずに従ってくれる…そんな存在がいるのだ…!」
「…サキュバスでもいるんですか?」
「いや、違う…おっと、彼女の元へ向かうようだぞ?」
紫は押入れを開ける。
そして転がり落ちる空気嫁。しかも縄で縛られてる。
いや、予想はしてた。これかよっぽどヒドイやつかのどっちかだろうな、って思ってた。もう期待もしてなかった。
「ご紹介しよう、紫のお気に入り…れいむちゃんだ!」
「すいません、もういいんで、本当に」
俺の逃げたい衝動を無視し、画面の紫は嫁の肩に手を回す。
『ふふふ…霊夢ったらこんなに縛られてるのに嬉しそうな顔しちゃって…』
『イヤーソンナコトイワナイデー』(紫の裏声)
『ふふふ…正直にさせてあげるわ!』
そう言って紫は空気嫁の股に顔を近付k
「おい本当に止めろ」
「大丈夫だから見ておけ!大丈夫だから!」
俺の声はプランナーにも紫にも届かなかった。
『レロレロレロレロ…』
…舐め始めた。しかもレロレロレロって自分の口で言ってる。
「…さ、最悪だ…」
「ま、待ちたまえ、まだ終わりではない!」
まだひどくなるのか…?いやまさか…
そう、それは起こった…
何の前触れも無く開かれる障子戸。普段なら一声かけて紫の了承をとってから開けるのであろうが、よほど急いでいたのだろう。紫が反応する前に戸が開けられた。
『紫様!大変です!結界が…』
固まる藍。流れる沈黙。痛すぎる沈黙。止まる時間。閉まる戸。
涙する紫。涙を拭く紫。
再び舐め始める紫。
「続けるなぁ!!」
「ま、待て大丈夫まだ慌てるような事態じゃない!」
「うるさいわーい!もういいから止めろ!これ以上悪化する前に!」
「ま、待て!これから挽回するから!全米が涙する展開が!きっと!」
「きっとかよ!?」
だが、期待とは裏腹に最も望まない事態を迎えた。
『レロレロレロレロ…』
「…」
『レロレロレロレロ…』
「…」
『レロレロレロレロ…』
「…」
そのまま映像が終わったのだ。
紫は…女を模した人形を舐めてその一日を終えたのだ。
流れる沈黙。先ほどまで画面の中で紫と藍の間に流れた以上に痛い空気が流れる。
抗議の意味を込めてプランナーの方へ目をやる。相手は「なにか?」みたいな感じで少し首をかしげて俺の目を見る。
そして二人の間に流れる変な空気。正直限界だった。
「…今のところレミリアが優勢かな…」
「待て!待ちたまえ!この映像では出てきてないけどこのれいむちゃんの基になった霊夢って女が出てくるんだ!実はその子とすっごい仲良くてでもお互いに素直になるのはちょっと照れくさいからちょっとそっけない態度とっちゃうんだけどでもやっぱりなんていうか二人とも心の底では信頼しあってて、それで、あのー誕生日とか二人ともプレゼント用意してあるとかそんな百合百合な日々を送れるっていう」
「知り合いの人形作るとか最低だな…」
「分かった、特別にすごいオプションつけるから!バストサイズVぐらいまでまで大きくしてあげるから!」
「V!?EFGHでさえ未知の域なのにV!?いりませんよそんなの!!」
「じゃあお尻プリップリンにするから!!」
「要りませんって!!」
「じゃあ乳首すっごい綺麗な色にするから!!見せびらかして歩いても恥ずかしくないぐらい綺麗な色にするから!!」
「見せびらかしてる時点で十分恥ずかしいわ!」
「慌てるなっ!よく考えろ!!分かった!小陰唇を左右対称にするから!!いきなり見せてって言われても恥ずかしくないぞ!!」
「いきなり見せてくれって言われる機会なんざそんなにあるかぁ!!」
「いやそんなにって言うか普通ゼロだろう?」
「い、いきなり変なツッコミ入れないでください!そ、それよりも…」
そう。ふと疑問に思った。あまりにも紫を推しすぎじゃあないだろうか。なぜこの人はこんなにも紫を勧めるのか。
「さっきから思ってたんですが…明らかにひいきしてますよね?なんでこんなのをそんなに薦めるんですか?」
「お前…おまえ…こんなのって…おまえ…こんなのっていうなよぉ!いーうーなーよー!!」
「退行しやがった!?」
「お前…!あんまりゆかりんの悪口言うとお前の来世を秋姉妹の地味な方にするぞ!!」
「それは言い過ぎじゃねえか!?」
「…うぅ…分かった…理由をお教えしよう」
「理由あったんだ…」
「実はこの来世は…八雲紫は売れ残りなんだ」
「婚期的な意m」
「違う!!ゆかりんは少女臭なんだよ!!」
「よ、よく分かんないけど御免なさい!!」
「…この来世は今までに999人の死者に拒否されてきたんだ。そして1000人に拒否された人生は破棄される決まりなんだ…」
…無理も無い。あんなシーンを見せられたら誰だって嫌になる。
特に「孝行ムスコ」。あれはいけなかった。あの言葉は確実に死者の意欲を削いできただろう。
「…仕方ないと思いますよ?あんなシーン見せられたら、さすがに…」
「…?何故?」
「え?」
「え?何故あれを見て拒否したくなるんだ?」
「え?」
「え?」
「…あの映像に疑問を抱かないんですか?」
「…私の中ではあのシーンがゆかりんベストショットだったんだが…」
「お前のそのセンスが999人拒否させた理由だよ!!」
「え?ジャージ着てくつろいでる子って素敵じゃね?」
「くつろぐにも限度があらぁよ!!」
つい変な言葉になってしまった。喉痛い。
「…はぁ…まあいいんじゃないですか?別に。それがルールなら仕方ないんじゃないですか?」
「確かに、もし八雲紫がただの妖怪ならそれでもいいのだが…」
「違うんですか?」
「彼女は幻想郷の存在に深く関わっているのだ。もし彼女がいなくなれば…最悪の場合、幻想郷が無くなってしまう」
「え…それじゃ…」
「もし紫を選ばず、他の二人を選んでも、見せた通りの人生を送れない可能性がある。もしかしたらあの二人がさっきの紫みたいになってるかもな?」
「…その場合の人生を見ることはできないんですか?」
「ふむ。ではその場合での来世の映像を作ってこよう。また少し待っていてくれ」
再び数分後。
「待たせたな。で、結果だが…」
「どうなりました?」
「紫がいなくなった場合、幻想郷は無くなる。これは事実だ。で、その場合のチルノとレミリア…と言うか幻想郷の妖怪たち全員だが、外の世界で似たような生活を送っているよ。チルノは人間の子供とも仲良く遊んで毎日を過ごしている。レミリアの方は…すごいぞ?」
「何です?」
「途中まではトランシルヴァニアの奥地でひっそりと暮らしているが、ある日世界の腐敗を知り、それを正してやろうと思い立ち、世界征服に乗り出す」
「…世界征服ですか…」
「その後わずか1ヶ月で世界を統一」
「成功した!?しかも早い!!」
「他の妖怪達も手伝ったらしい。…そして年号をR,S元年と定め、星の名前を地球から紅魔星に改名。各国に自分のスペカの名前に由来する国名を与える」
「やりたい放題ですね…」
「その後独裁政治を行うが、これが大成功を収める」
「何故!?」
「民衆に愛されたから。従いたいと思わせた。尽くしたいと思わせた。これが成功の秘訣だ。具体的には言いたくないが…聞きたいか?」
「…なんとなく予想ができるんでいいです…」
ちなみにそのとき俺の頭の中のレミリアはヒラヒラのスカート履いてマイク持ってステージで踊ったり、ムチを持って『ひれ伏せ、平民ども!』と罵っていたりしていた。
その隣では咲夜が鼻血を拭いていた。
美鈴はレミリアに踏まれていた。
ちなみにフランとパチュリーは泣いていた。
「で、どうするんだ?」
「…レミリアにします。そして世界を救います」
「そうか。では残念だが八雲紫は破棄だな。残念ながら…」
プランナーは本当に残念そうに言った。
「では君は十月十日後、スカーレット家の長女レミリア・スカーレットとして生まれることになるが、いいな?」
「はい」
俺はきっぱりとうなずいた。
次の瞬間俺は小さな温かいものに閉じ込められていた。
ああこれは卵細胞か…俺はぼんやりと思った。ずいぶんと簡単に済んでしまったものだ。
これから俺はレミリア・スカーレットという女になっていくのだ。
そしてそれっきり、俺の意識は闇に包まれたのだった。
こうしてサンプル『八雲紫』は破棄された。この世に八雲紫が生まれることはなかった。
世界は大きく変わった。
あなたがいるその国はアジア第一区「幼きサムライロード」になり、あなたの部屋のCDラックにはアイドル『スカーレット・シスターズ』のニューシングル『れみりあとフランのねこ曜日』が山積みになっているだろう。
本棚にはレミリア・スカーレットの本やフィギュアが飾られているだろう。
ちなみにレミリア関連で18禁の作品は児ポ法の対象外となるため、堂々と所持することができるが、代わりにレミリア関連作品取り扱い免許が必要だ。15禁までなら第一種、18禁なら第二種が必要となるので、確認してもらいたい。
また、コミケではレミリア本が溢れ、レミフラかレミ咲のどちらがジャスティスかの争いで戦いが起き、自衛隊がその鎮圧にあたっているだろう。
小学校ではレミリアごっこが大流行し、高いところから跳んできたやつをデーモンロードウォークで撃ち落すという遊びが流行り、怪我をすることが問題になるだろう。PTAが学校に文句を言うが、「全てはレミリア様を愛しているが故の行いです」と学校側に返答され、じゃあ仕方ないか、となるだろう。
中学校では少女から男子への告白にバンパイアキスをすることが流行っているだろう。
「これが私の気持ちです!」
ぎゅおーーーーーーーーーーーーーー!!!ガッ!!!
「・・・僕も好きです」
ということが校庭のすみっことか放課後の教室で行われているだろう。「えぇっ!?あんなおとなしそうな娘があんなに大胆なことを!?」とか思ってはいけない。この幼きサムライロードではレミリアの真似をするということは最も大切なことなのだ。
高校では進学か就職か親衛隊に入るかで悩んだりするだろう。
大学では二股をかけた男は例外なくヤンデレと化した女にスピア・ザ・グングニルで射抜かれるだろう。というかそんな奴は死んでしまえ。
海外ではレミリアに忠誠を誓わない者(ただし人間のみ)は火あぶりにされ処刑されるが、日本…もとい幼きサムライロードではそんなことはない。
ただし小学校のころの卒業文集をニュースで紹介され、物知り顔の心理学者が『何故こいつはレミリアに忠誠を誓わないか』について長く説明してくれるだろう。
また、もしかしたらあなたは結婚しているかもしれない。相手が人間か、妖怪か、妖精かは分からないが。あるいは、もしかしたら結婚相手を探しているかもしれない。そんな人は自分と近い人間と結婚してもいいし、相性が良いと感じたら妖怪や妖精を嫁に迎えるのも悪くはない。
ただ妖怪は恐ろしいので、○○は俺の嫁などと一度言ってしまったら取り返しはつかない。それは気をつけてほしい。
あとくれぐれもレミリアは俺の嫁などとは言わないことだ。この国では最大の禁句であるため、発言者がどうなるかはわからない。言うなよ!!絶対言うなよ!!
そしてこの国の男達は、末永く、変態という名の紳士としてレミリアに蔑まれつつ愛されているだろう。
これらがもし嘘だと思うならぜひ確認していただきたい。だがもしも万が一何の変化もなかったならばご注意いただきたい。
あなたもとばっちりを受け、数秒後にはこの世界もろとも消えてしまうかもしれないからだ。
そもそも八雲紫がいないのだから、この作品を読んでいること自体が、非常に危険なことなのである。
その点はご注意いただきたい。
ただし、既に手遅れかもしれないが……
こうするだろうな、こう言うだろうな、に笑わせて貰ったけど、
これ、別に東方じゃなくても、他の作品のキャラに置き換えてやらせても
変わらないよね?一緒だよね?と思いました。
ぶっちゃけ東方でする必要無いんじゃないかと。これだけじゃ物足りない、と。
森奈津子+東方、それだけで終わるんじゃなくて、さらに+αが欲しいです。
作者さんの(東方キャラの言いまわし以外の部分での)+α部分が。
作品的にはそれなりに面白かった。が少なからず女性読者もいる事を考えると厳しくなりそうだ。
ちょっと小○唇は直球すぎたかな・・・
いや男の俺的にはむしろこれぐらいでもいいんだけどね・・・