この話は作者の過去作品の設定を引き継いでおります。
独自設定などが盛り込まれておりますのでご注意ください。
パチュリー・ノーレッジは目を覚ました。
重い瞼をこすり、緩慢な動作でベッドから身を起こす。
部屋は薄暗く明かりはついていない。故に見回してもあまり良く見えない。
ほぼ無意識に指を鳴らす、すると部屋に備え付けられた魔力式の照明が光を放った。
「んぅ……」
明かりに反応したのか、傍で声が漏れる。
傍に視線を移すと綺麗な紅い髪が見えた。
髪からはみ出た、一対の小さな蝙蝠の羽根がゆっくりと羽ばたくように動いている。
小悪魔だ。昨日、本契約の為に契ったのだ。
これでパチュリーと小悪魔は正式な主従となった。
なぜか自然と笑みが漏れてきて、そのままパチュリーは彼女の頭を撫でる。
無防備な寝顔を眺めて、髪を梳きその感触を楽しんだ。
「悲願は果たされた」
魔女が不意に言った。五十年の悲願。
あの日、小悪魔に拒まれてからずっと、心のわだかまりとなっていた。
それが今、ようやく終わりを告げたのだ。
まあ、当時は小悪魔なりにパチュリーの事を考えて拒んだらしいのだが……。
「五十年は長かったわ……」
拒まれた事をごまかすように興味の無い、無関心な振りを続けて。
仮契約ゆえにいつ小悪魔が他人に取られてしまうかもしれないと怯えて。
それが今、終わった。
パチュリーは長い息を吐いた。
どれほどそれが、心の重りになっていたのかなど色々語りたい事がある。
が、今はいい。
これからは安心して過ごせる無限の時間があるのだから。
今はこの心地良い雰囲気を存分に楽しむとしよう。
再びベッドに体を倒し瞳を閉じる。
すぐに意識が重くなっていく。
ああ、そうそう。貴方にも感謝しなくてはね。
自分に少しだけ踏み出す勇気をくれた、あの小さな悪魔の妹の事を思い浮かべ……
パチュリーは意識を手放した。
☆☆☆
パチュリーは本を読んでいた。
「うむむ……」
が、内容など頭にぜんぜん入ってこなかった。
「うむむ……」
それは何故か?
それは簡単だ。気になるのだ。
「うむむ……」
何が気になるって? それは……
「あの、パチュリー様?」
「なにかしら、小悪魔」
「紅茶、お口に合いませんでしたか?」
「どうして?」
「先ほどから苦い顔で唸ってばかりで……」
「ああ、気にしないで、これは唸ってみたい年頃なだけなのだから」
「はあ……」
パタパタと足音を立てて小悪魔が遠ざかっていく。
いつもどおりに図書館の整備の仕事を行うつもりなのだ。
その背中に視線を向けてパチュリーはため息。
気になるのは他でもない。
先日本契約を結んだ小悪魔の事だ。
だが、パチュリーとうって変わって、小悪魔の方は変わった様子は無い。
彼女にとっては仕事上の事だと割りきりができているのだろうか?
結んだ契約は魂。
小悪魔はパチュリーの忠実な僕になる事で、主人の死後その魂を手にする事ができる。
まあ、仕事といえば仕事だ。
再び視線を本に向けてぼそりと呟いた。
「いったいなんなのかしらね、この気持ちは」
気になって仕方が無い。
ならどうしたいのか?
触りたい? 話したい? 傍にいて欲しい?
何が気になっているのかがよく分からない。
なぜなら百年生きて、初めて生まれた感情なのだから。
どの本を読んでみても類似する症状は一つだけ。
すなわち恋。
馬鹿な、とパチュリーは思った。
あれは異性同士で発生する感情であるはずで、小悪魔とは同性だ。
契ったのだって、契約の為であってその感情の元ではない。
そこで不意にパチュリーは思い出す。
その様子。
小悪魔の嬌声と白い裸体。
「う……」
パチュリーは本を置いて額に手をやった。
もう一度見たいと、そう思った。
瞳を閉じて、自分を落ち着かせるように息を数度吐く。
よし、落ち着いた。
もう一度見たいと思うのはきっと知的好奇心だ。
これまで、相手が居ない故にまったく進んでいなかった性魔術への知的欲求が鎌首をもたげてきたのだと。
パチュリーは机の引き出しを開く。
そこには一冊のノートがしまってあった。
ピンクの装丁の可愛らしい装飾の付いた本。
交換日記とそう、書かれていた。
それを見てパチュリーはまたため息。
何でこんなものを買ってしまったのだろうか?
どうせ役になど立たないというのに。
私は小悪魔と恋をしたいのではなくて主従でありたいのだから。
性魔術を研究したいのであればそう伝えればよい。
本契約を結んだ小悪魔にはもう拒む手段は無いのだから。
だが、無理に行なって嫌われたら?
これからの生活は居心地の悪いものになるのだろう。
だから、嫌われないように少しずつ距離を縮めて……その為に交換日記を……
そこまで考えてパチュリーは再び額に手をやった。
だから恋をしたいのではなくて主従でありたいのだと。
これではまるで恋人同士のやり方ではないか……それに距離といえばもう十分に詰まっているだろう。
なんせ色々すっ飛ばして契った仲だ。
いまさらなのである、だが気軽にそういうことを頼めない、今悩んでいる事を考えると実は詰まったと考えているのはパチュリーだけで……
「駄目だわ……」
思考の堂々巡りだ。
これ以上考えても仕方がないとパチュリーは考える。
「そうね」
誰かに相談しようとパチュリーは思った。
一人で悩んでいてもどうにもならないときは誰かに意見を貰うのも有用だ。
さっそく小悪魔に誰かを呼ばせよう。
パチュリーはそれまで読んでいた「良い子の性魔術 入門編 調教について」を引き出しにしまうと呼び鈴を鳴らした。
☆☆☆
「それは恋ねえ」
心底愉快そうに笑みを浮かべてパチュリーの親友は言った。
「レミィ、真面目に答えて頂戴」
「いいや、私は真面目だよ? パチェの話を聞いているとどうもその単語しか思い浮かばない」
そこでレミリアは傍らに控える従者に視線を移す。
「なあ、咲夜。 お前もそう思うだろう?」
「はぁ……」
従者の方は少々困惑顔だ。
それもそうだろうとパチュリーは思う。
「恋とは、異性同士で抱くものでしょう? 私と小悪魔は同性なのよ」
言葉に、レミリアはわざとらしくため息をついた。
「それは本からの知識かしら?」
「……そうよ。どの本を読んでもそう書いてあったから」
「じゃあ教えてあげるわ、世の中には同性愛というものもあるのよ?」
パチュリーが眉を潜め、咲夜が驚いた顔をしている。
「男同士、女同士で好きあう事も別に可笑しい訳ではないわ。現に私は何度も見てきたし……」
ふふっとレミリアは瞳を閉じて静かに笑みを浮かべる。
「今も見ているしね、咲夜?……美鈴との関係は良好かしら」
「え、えと……」
困惑する咲夜の反応を眺めてレミリアは満足そうだ。
「何度も見てきた、ね。ならばレミィは随分と経験が豊富なのでしょうね」
「え?」
問いに、レミリアはきょとんと声を漏らした。
パチュリーはその反応を見て内心笑みを漏らす。
「この気持ちを仮に恋だとして、参考にしたいから聞かせて欲しいわ」
「むぅ……」
きっと無いのだろうと。
パチュリーだけが恋と断定されてからかいの種にされたのは少々不平等だ。
ならばレミリアからも種を貰わねばならない。
「………」
「さあ、レミィ?」
黙りこくってしまったレミリアをしたり顔でパチュリーが促す。
心なしか傍に控える従者も聞きたそうだ。
「……あったよ。何度も……」
言葉にパチュリーは少々驚いた。
恋愛の経験があったことではなく、その言葉の響きに。
それはあまりにも重く、悲哀と絶望に満ちていたからだ。
「私だって女だ。そのな、外で逃亡生活をしているときに出会った何人かにな……」
諦めと諦観がレミリアから漂っていた。
「優しくしてくれる近所のお兄さんとか、気があった友達とかな、ああロマンスグレイな紳士も居たな」
どこか遠くを眺めるような視線をパチュリーに向ける。
「でもそれらは皆、傍にいる美鈴目当てで私はその妹としてしか見られていなかったに過ぎなかった」
ただ、思い出は淡々と語られる。
「将に対する馬でしかなかったのだ、このレミリア・スカーレットが!!」
やがて眉に皺を寄せそれまでの思いを吐き出すように声を荒げた。
「残された私によってくるのは変態と言う名の紳士ばかり……」
両手を握り締め、歯を食いしばりレミリアは必死に何かを堪えていた。
ああ思いだす。忌まわしき奴らの事を。
お兄ちゃんでちゅよーとか言いながら寄って来る醜悪な怪物共を。
「分かっているさ、私はこの外見だ。どうせ恋愛対象になどならないだろうさ、私など……」
「もういいわ、レミィ!!」
それがあまりに悲痛であった故に思わずパチュリーは言葉を遮った。
「ごめんなさい……貴方がそんな辛い思いをしていたなんて……」
「いや、いいのよ。取り乱したわ……」
息を整え、恥じるようにレミリアは苦笑した。
「少し休むわ。おいとまさせてもらうわねパチェ」
「ええ、ありがとう。レミィ」
レミリアが咲夜を伴って出て行く。
パチュリーはため息をついた。
「パチュリー様」
声に振り向くと去ったはずの咲夜が居た。
「お互い、がんばりましょうね?」
「いや、だからね……」
その姿はすぐに消えてしまう。
結局有用な話は聞けずにレミリアのトラウマを抉ってしまっただけのようだ。
ため息をついて、答えを得ていない事に気が付いて次の誰かを呼ぼうと思った。
気配を探ると小悪魔はまだ図書館に居た。
この時間はではとっくに仕事を終えて自分の時間を過ごしているはずなのに残務でも残っていたのだろうか?
まあいいと、パチュリーは再び呼び鈴に手を伸ばした。
☆☆☆
「それはね、恋じゃないかな?」
パチュリーは頭を抱えた。
「フラン、貴方まで……」
「違うの?」
不思議そうにフランドールが首を傾げた。
「でも気になって仕方ないんでしょう? それで苦しいのでしょう? 恋だよ」
「……フランは恋をした事があるの?」
「ないよ、でもね、本で読んだものとそっくりだよ?」
「ああ、私もそう思ったのだけれど……」
二人に同じ事を言われてしまった。
となるとこれは恋なのだろうか?
パチュリーは再びため息をついた。
先ほど、レミリアに言われた同性愛という言葉が頭をちらついた。
「素敵な事だと思うよ?」
「そうかしら」
「私もね、パチュリーと同じだったから分かるよ?」
どういうことだろうか?
パチュリーが疑問の表情を浮かべる。
「お姉さまの事をずっと思っていたの。
遊びたいって、傍にいたい、触れて居たいって気になって仕方が無かった」
「………フラン」
「それで、それが叶わなくてとても苦しかった」
今でこそフランドールとレミリアはとても仲の良い姉妹だ。
だが、最初からそうであったわけではない。
むしろフランドールが引きこもりをやめてからしばらくはレミリアがフランドールを避けていた。
フランドールはそのことを寂しがり、それでも溝は埋まらずに年月だけが過ぎて……
「でも、お姉さまは変わってくれたの。
私はもう、仕方が無いと諦めていたのに、勇気を出して私に手を差し伸べてくれた」
嬉しそうにフランドールが笑う。
「ねえ、パチュリー。
貴方の想いが小悪魔に対する恋なのかどうかはわからないけれど、実際気になっているのでしょう?」
その笑顔は無邪気であって、でも随分と大人びていた。
「だったら行動しなくちゃ。遊びたくて、触れたくて、傍にいて欲しくて、その想いがまだ確かなうちに。
月日の流れに色褪せて、それがあたり前になってしまう前に」
ぴっとパチュリーに人差し指を突きつける。
「貴方が行動しなければ何も変わらないの。私とお姉さまがそうであったように」
「フラン……」
確かにそうだと、パチュリーは思った。
自分から行動せねば何も起きない。
自分は、できるだけリスクは避ける性格だ。
慎重で、臆病で、何も無ければそれでよいと思ってしまう。
平和であれば問題が残っていても現状維持で誤魔化してしまう。
だから、あのとき拒まれてから再び小悪魔と本契約を結ぶまで五十年も待ったのだ。
ずっと、待っていただけであった。
そうだ、今回も恐らく、フランドールに言われなければ悩むだけ悩んで自分は何もしなかったのかもしれない。
何が気になっていたのだろうか?
ああそうだ。小悪魔が自分をどう思っているかが気になっていた。
フランドールがレミリアを気になっていたように、レミリアがフランドールを気にしていたように。
小悪魔が自分の事を、単に仕事としての主人としか見ていないかもしれないということが怖かった。
もしもこの感情が恋で、小悪魔への想いを抱いた後、それが肯定される事が怖かった。
小悪魔の気持ちを知るのが怖かった。
気持ちというものは難解な計算の様で解読に悩んでいるときは苦しい。
また、答えが必ず本人の望むものであるという事もない。
契った後のいつもと変わらない様子の小悪魔を見て、不安に駆られて……
小悪魔は自分の事をなんとも思っていないのでは無いかと考えて……
でも行動しなくてははじまらないのだ。
望む答えを手に入れるためには前に進まなくてはならない。
「フラン、ありがとう」
言葉に、フランドールが首を傾げた。
「貴方はいつも私に勇気をくれるわ。私は貴方のその前向きさがいつもうらやましい」
「そんな事ないよ」
フランドールはやや照れたような様子で言い募る。
「私が過去のトラウマを克服できたのは皆が助けてくれたから、だよ。
姉妹で仲良くできるようになったのはお姉さまが勇気を出してくれたから」
私一人の力じゃないと彼女は言う。
でも、その姿は誇らしげでとても眩しかった。
「ありがとう、フラン」
そんなフランドールを見てパチュリーは再び呟いた。
もう、やることは決まった。
だけどあと一人くらい意見を聞いても良いだろう。
彼女もまた、人生経験が豊富なのだから。
☆☆☆
「愛とは!ためらわない事さ!」
「ありがとう、戻っていいわ」
「嘘ですごめんなさい!」
目の前で悲しそうな美鈴を見て少しだけ笑みがこぼれる。
「あれ?」
「なにかしら?」
「パチュリー様が笑うなんて珍しいですね」
「そうかしら」
私は普段、そんなに笑っていなかったのだろうか?
「別に呆れたわけではないわ。ためらわない事、参考になったのよ」
「そうですか? 色々話があったのですが……猥談とか」
「それは後で聞かせて頂戴ね、必ず」
「はい」
美鈴が門番に戻る為に図書館を出て行くのを視線で追って、去ったのを確認するとパチュリーはは机の引き出しから一冊の本を取り出した。
そのまま席を立つと、やることをやるべく小悪魔の元へと歩を進め始めた。
☆☆☆
魔女は歩を進めていた。
一段一段、確かな足取りで階段を下って行く。
彼女の手にしたカンテラの明かりだけが闇を照らす。
炎が揺れるたびに光と影がゆれ、普段は静かな地下階段に僅かな変化を与えていた。
やがて彼女はたどり着いた。
紅魔館の地下の一室。
ここは元、フランドールの部屋だった。
現在は彼女の部屋は紅魔館の主である姉の横に割り当てられている。
故にこの場所は使われていないはずであった、だが……
パチュリーがドアを開けると部屋を覆っていた闇が光に追い散らされる。
部屋の内装と共に浮かび上がったのは一人の少女であった。
赤い髪に二対の蝙蝠の翼。
ただ、いつもの司書服ではなく薄手のワンピースを着せられていた。
そして、その腕と足には呪力の篭った枷がはめられていた。
「小悪魔」
魔女が呼びかけると俯いていた小悪魔は視線を上げた。
その瞳は虚ろでもう何も写してはいない。目の前の魔女ですらも。
「食事の時間よ」
「はい……」
自ら服に手を掛け、小悪魔は裸身を晒した。
魔女は満足そうにそれを眺め言葉をつむぐ。
「随分と素直になったわね」
小悪魔は答えない。
ここへと小悪魔を監禁してから苦労のしっぱなしだった。
初めは裏切られたような表情で抵抗して逃げ出そうとした。
抱こうとするたびに泣き喚いて、そのたびに折檻をせざるを得なかった。
心が何度も痛んだ。
でもこれは小悪魔のためだと言い聞かせたのだ。
そう、これは小悪魔の気持ちを自分に向けて固定する為の儀式。
その甲斐があってか最近は素直に従ってくれるようになった。
フランドールの言葉通りに行動して本当に良かったと思う。
「私のことが好きかしら?」
「はい、私は、パチュリー様の事を心から愛しています」
返事に満足する。
今日の食事は奮発しよう。
小悪魔は基本、魔力さえあれば生きていける。
だかこうして交わりを通して魔力を供給してやれば死ぬ事はない。
今日はいつもより長く愛そう。
幸せだった。両想いの幸せ。
魔女は小悪魔を押し倒して体を貪った。
「ああ、こんなパチュリー様もいい!」
両手で自らの体を抱いて小悪魔は身悶えした。
脳内メモリー内で映像を加工し、自動書記で書き写した書物。
通称「小悪魔めもりぃず」を読みながら彼女はご満悦だった。
が、そこで少々気まずそうに顔をしかめた。
「現実はこうも行きませんけどねえ……」
先日、小悪魔はパチュリーと契った。
まあ、多少の手違いがあったとはいえ小悪魔も嫌ではなかったので問題は無かった。
無事に本契約は結ばれて名実共に彼女の僕となった。
だが、その後はどうだ?
パチュリーの態度に変化はない。
何も変わらない、相変わらず本を読んでいるだけだ。
「そりゃあ、あくまで主従ですからねー」
恋人というわけではない。
だが契約の為とはいえ仮にも初めてを捧げたのだ、だからもう、そのね……
「小悪魔」
そんな思いに耽っている彼女に声が掛けられた。
「あや、パチュリー様」
パチュリーが小悪魔の元へと足を運ぶなどとても珍しい。
しまった、物思いに耽って呼び鈴を聞き逃したかと小悪魔は焦った。
と、同時に不満も巻き起こってきた。
先ほどはレミリアを、その次はフランドールを、そして美鈴を呼んできたのだ。
「何か御用ですか?」
小悪魔が、仕事が終わっても図書館に残っていたのは残務があったからではないのだ。
パチュリーに構って欲しかったから、もしかしたら気にして声を掛けてくれると思ったからだ。
だが、実際は誰かを呼んで来いとそればかり。
健気に待機している自分を差し置いて、皆と談笑に耽っているばかり。
「次は誰を……あの白黒でも呼んできましょうか?」
つい言葉が刺々しくなってしまう。
「いいえ、その、貴方と話をしたくて」
言葉に、小悪魔は目をしばたたいた。
「正直、契約を結んだ日から小悪魔のことが気になっていたのよ、だからね……」
言葉を理解するまで僅かに時間が必要だった。
理解が、じわりじわりと体を通して広がっていく。
「これを、貴方としてみたいの、少しずつお互いを知っていきたいかなと」
パチュリーが手にした一冊の本を小悪魔に差し出した。
震える手で受けとって、小悪魔はそれを胸に抱える。
嬉しい!
一瞬後、小悪魔の顔に浮かんだのは笑みだ。
満面でも、うっとりでも無く、照れたようなはにかんだ笑みだった。
何でもしよう。
パチュリー様が望むのなら何でもしようと小悪魔は思った。
「はい!パチュリー様!」
「毎日続けましょう。楽しみにしているわ」
そう言って、照れた様に足早にパチュリーは去っていった。
小悪魔は動悸の治まらぬ胸に抱えた本を見る。
言い回しから言って交換日記だろうか。
「どれどれ?」
幸せそうな顔で眺めた本の表紙にはこう書いてあった。
「良い子の性魔術 入門編 調教について」と。
-終-
パチェこあでもこあパチェでもウェルカムだぜ?
>読んできましょうか
呼んできましょうか
美 鈴 の 猥 談 は ま だ で す か
攻めて攻めて攻め倒して主従が逆になるくらい攻めるのだ!小悪魔!
少し混乱しました。
やられたwwww
だって、やっと俺の求めるパチェこあに出会えたんだからな。
ところでおぜう様、あなたに忠誠を誓うので俺も門番にして下さい。
前作でもそうでしたが、設定を引き継いで書くなら最初に注意書をお願いします。
オチ…これは…手違いなのか、素なのか気になるところだwww
なんてアグレッシブなパッチェさんなんだ……