「ね。ね。村紗」
「なによ、ぬえ。もう寝る時間よ」
「今日は何回ぐらいHした?」
「あのね。それは人に言いふらすことじゃないって教えたでしょう」
「でも気になるし。それに村紗とは友達じゃない。人とはいっても赤の他人じゃないでしょ」
「友達だからって、私と比べることでもないでしょう」
聖が自室へ戻ろうとしていると、小さな声が聞こえてきた。
ぬえと村紗がなにやら話している。
元から仲が良いというのもあったが、なにより馬があうところがあるようで、いま命蓮寺で、彼女たちは同じ部屋に寝泊りしているのだ。
当然寝るときはお布団をひいて、隣あって寝ている。さすがに同じ布団ではないが、修学旅行のときの仲の良い友達がよくするように、気安い話をしてしまうようだ。
着ているものが、ゆったりとした寝巻きであるのもその一因だろうか。
ぬえは黒っぽいパジャマ。村紗のほうは船員らしくタンクトップである。
今は夜で、妖怪には珍しいが寝る時間である。ぬえにとっても村紗にとってもたいして睡眠など必要ではないし、むしろ夜のほうが活動的になれるのだが、寺の生活にあわせると自然と夜に寝る習慣が身についてしまったようだ。
聖はちょっとだけ気になって足を止めた。
特に聞き耳を立てたわけではないが、障子ごしだけに音はよく通り、ふたりの会話がよく聞こえてくるのだ。
ふたりの秘密の話を傍受しようという意図はない。
ただ部屋を割り当てたものとして、ふたりが仲良くしているかどうかは気になるところである。
それになにより、ふたりともかわいい妹のような感覚があって、どうにも構いたくなってしまうのだ。
「ねぇ。ねぇ。村紗。教えてよぉ~」
「三回かな」
「三回も? 同じ人にヤッたのは、一回ってカウントするんだよ」
「当然でしょう」
「じゃあ、どんなことしたのか言ってみ?」
「あのねぇ。そんなことを聞いてどうなるのよ」
「村紗が不正にHしてないかを監督するの」
「こういうのは心からしたいって思わなきゃ、意味がないでしょう」
「いいから言ってみ」
影絵のようなぬえがポフンという音を立てて横になった。
ぬえは布団にねっころがりながら、自分の尻尾のような羽のような正体不明の物体を触っている。
うねうねうねうね。
蛇のようだ。
それに、蛇のようにしつこいのがぬえである。
「まずは、そうね。人里に行ったら、乱暴者がいたわ」
「お。乱暴者。ときどきいるよね。よわっちぃくせに乱暴働く狼藉者。でも時折妖怪よりも強いやつがでてくるから人間って不思議だよねぇ」
「もともと人間から妖怪が生まれることもあるからね」村紗はこともなげに言った。「まあそれはそれとして」
「それからどったの」
「それから、そいつを押し倒してやったわ」
「はぁ。押し倒したんだ。過激だねぇ」
「それから服をひんむいてやったわ」
「ははん。服をひんむいて。なんだって。もしかして無理やりですかーッ!?」
「無理やりよ。当然じゃない。わざわざ北風と太陽みたいに、水でぬらして相手が服を脱ぐのを待つとか、そんな迂遠なことはしない。脱がせたかったら実力行使。それで足りるわ」
なにしろ、村紗の腕力は人力の比ではない。
魔力補正なるものもあるが、あの数十トンの錨をぶん投げることができるほどの腕力である。
ほっそりした色白の腕には、底知れぬ力が秘められている。
乱暴者のその男はなすすべもなかっただろう。
「でも、それってHの作法と違わなくない?」
「乱暴を働く狼藉者だから、それでいいのよ。周りの人の迷惑も減るし、その人も少しは反省したでしょう」
「恥ずかしかっただろうね。そんな衆人環視のところで」
「最後には聖直伝の、スーパーなでなでタイムをしてあげたから大丈夫よ。アフターケアもばっちり」
「ふぅん。そんなんでもHしたって言えるんだ。変なの」
「ぬえにはまだちょっと早かったかな」
村紗が勝ち誇ったように、「うふふ」と笑っているのが聖の耳に届いた。
そして、枕が空を切る音。
ぽふんと何かに当たる音。
「バカにするなー。船がない船長のくせに」
「うぐぐ。言ってはならないことを」
「セーラー服なんて何番煎じだよ。顔だけは――まぁかわいい方だけど」
顔はぬえによく似ているのである。
「錨の鉄槌をその身に受けなさい」
「正体不明の私を捉えきれると思ってるの!?」
「問答無用ですッ!」
「へんなのー。そのセリフ聖っぽい~」
ブーンという船の汽笛のような音が聞こえた。
ドフドフという畳やら床やらが素敵なことになっていそうな音が聞こえてきた。障子から変などす黒い霧のようなものもあふれ出してきている。
これはこれは――
「本当に仲良しねぇ。あのふたり」
聖はまったくもって場違いな軽い声をだして、ふわりふわりと廊下を渡り、寅丸星のもとへと向かった。
「わたしって世事に疎いのよね。おばあちゃんになっちゃった気分」
聖はぽんやりとした声をだした。
星は聖にとっては信仰の対象であり、いちおう星のほうが偉いということになるのだろうが、つきあってきた年月が長いせいか、すでに家族のような気安さがある。
どちらかといえば、命蓮寺の中心人物は聖白蓮であるから、そこに実際の地位と家族的な役割との逆転現象が生じている。
聖は、屋台骨。言ってみれば家長である。
それゆえに、星はまた『聖お姐さんが妙なことを言い出した』というような心境で聞いていた。
「どうしたのですか。聖」
「ぬえと村紗が言っている会話の内容がよくわからなくて哀しいというか、おいてきぼりをくった気分なの。最近の若い子はずいぶんハイカラな言葉を使うようになったのね」
「はぁ、横文字とかのことですね。確かに聖が封印されている間に、ずいぶんこの世界も和洋折衷の混沌とした世界になってきましたからね。わからない言葉があっても、当然といえば当然です」
聖は魔界の奥深くに封印されていて、幻想郷の外の世界にいたのだ。
他方、ぬえや村紗は地底といっていちおう幻想郷のなかに含まれる世界に封印されていた。
そこに時間的な感覚の違いがある。
つまりは、聖は超ど田舎に左遷されていたようなものであり、そこでは時の流れを感じることもままならなかったのだろう。
「あの子たちは私にとっては妹のような感じなの。だから、あの子たちが何を考えて何をしようとしているのかは知っておきたいのよ」
もはや溺愛の領域である。
だが、愛は愛。溺れるほどの量ではあっても、仏の教えに背いているというわけではあるまい。
星は仏のような薄目で、聖を見た。
「誠に深く、重厚篤実ですね。私が知っていることなら教えましょう」
「ありがとう。実は――、えっと、なんだったかしら。最近もの覚えが悪くて困るわ」
「ぼけるような年でもないでしょう」
それではお姐さんというよりおばあちゃんである。
「あ、そうそう。あの子たち、Hした回数を競っていたわ」
「は……?」
「確か、ぬえのほうが村紗にHした回数は何回か教えてってすごくかわいくおねだりしてて、村紗のほうがなんだかちょっと恥ずかしそうな感じでこれまた抱きしめたいほどにかわいらしく、そんなことは人に言うものではないとかいうことを言ってたような。でね。でね。そのあとぬえが友達だから教えてって言うの。村紗のほうはしかたがないなぁって感じで渋々ながらも答えるのよ。ああもう、ほんと……、誠にかわいらしく、感慨無量であるッ! 南無三ーッ!」
勝手に涅槃の境地に至る聖。
「はぁ、なるほど、そーですか」
対して、星の声は棒読みの領域に近くなっている。
なぜか額からは汗が噴出し、どこかに状況を打開してくれるもの、具体的にはナズーリンとかナズーリンとかナズーリンとかがいないか探した。たすけてナズえもん。
残念ながらナズーリンはただいま買出しに出かけている。
不思議な宝塔とかをどこからともなく取り出して、なんとかしてくれそうな気配はなかった。
「つまりは、Hの意味がよくわからないのよね」
「ええと、そのつまり、一種の隠語なのでしょうね」
ハァ、ハァと息荒く、なぜか滝のようにこぼれる汗を右手でぬぐって星が答えた。
そんな星の異常事態にもまったく気づくことなく、指を口元にあてて、天井近くをぽやんと見つめる聖。
「そう、おそらく隠語でしょうね。たぶん、なにかの頭文字なのかなと思ったのですけど」
「頭文字らしいですね……」
星は狂乱の彼方から弥勒が到来することを願った。いやもうなんでもいいから誰か助けてほしい気分である。
だが、仏の代理は自分であり、周りには援軍はいない。
孤軍奮闘。
聖のふんわりとした雰囲気も、逆に罠ではないかと思えてくる不思議。
「あ、そう――そうだ。なにかの勘違いかもしれない。そのあとはどういう話の流れだったのですか」
起死回生を狙って逆に質問をしてみる。
聖は性格におっとりしているのと、人の話を聞かないところがあるから聞き間違いということもありえた。
「ん。そうねえ。確か、里に乱暴者がいて、村紗がその人の服を無理やり脱がせてHしたとかなんとか」
「あふ、アブソリュートジャスティス!」
絶対正義を唱えて精神の平衡をなんとか保つ星。
しかし、聖の言葉は止まらない。
「どうやらその他にも、最低でもふたりに対してHしたらしいのよね」
「ごふッ!」
「あらどうしたの」
「あ、咳こんだだけです。気にしないでください」
「あらそう。ともかく、そんな感じで三回っていうのは結構多いほうだったらしいのか誇らしげな感じだったわね。ぬえはちょっと悔しがってたみたいだけど、そこもまたかわいいの。それでふたりして枕投げとか錨投げとかして遊んでいたわ」
「はあ、そうですか」
錨投げ。これは修繕費用がかかりそうだなと思う星である。
幸いにも檀家が増えたおかげで資金的には潤沢であるが、あとでふたりには問いただす必要がありそうだ。
「どう。こんな感じなのだけれど、Hが何かなんて、今の若い娘たちはすぐにわかっちゃうのかしら」
「私はそんなに若い方ではないですが……、おそらくはすぐにわかっちゃうのではないかと」
「そうなの? ごめんなさいね。古臭いおばあちゃんで」
「聖はいまでもかわいらしいですよ」
「あら、ありがとう。ところで、Hについて教えてもらえるかしら」
「あ、あは、あはは……そうでしたね。そういう話でしたね」
「もしかして、言いにくいことなの?」
聖が儚げな視線になる。うるんだ瞳。薄紅色の唇。ついでに正座を少し崩したぺったんこ座り。
星はなぜかわからないがドキドキした。
「あ、あの、Hについては神妙な、極意がありまして、だから、その、人から、聞くようなことではないと思いますですよ」
「ふうん。そうなの?」
「そうなのです。人から伝えられると、神妙さが崩されてしまう。そういう脆い概念なのです」
「なるほど、だから隠語になってるわけね。わかったわ。そういうことならあの子たちの行動を逐一観察して、Hとは何かという極意を掴むわね」
「そ、そういうふうにがんばらなくても良いのでは……」
「何を言っているのよ。若い子たちが何かはわからないけれどがんばってるのよ。誇らしげに少しはにかみながら村紗は三回ヤッたと言ってたの。どういう意味かはわからないけれど、たぶん素晴らしいことなのよ。だから、私もあの子たちに負けないようにHしなくてはならないわ」
「年甲斐というのもありますし……、なんと言えばよいか、若い子たちの特権のようなものかもしれませんよ」
「だめよ。そんな消極的なことじゃ仏の教えは貫徹できませんッ!」
「聖、お願いですから私の話を聞いてください」
星はすでに涙目である。しかし聖の心はすでにここにはなかった。
聖は村紗たちと崇高なHをするという夢想に戯れているらしく、星の話をまったくといっていいほど聞いちゃいなかったのである。
「まずは、Hとは何かを知らなくてはッ、南無三」
「聞いて……」
聖はスキップしながら出て行った。
星はがっくりと肩を落とした。しかし、落ちこんでばかりもいられない。Hを三回おこなったという聖の話が本当だとすると、そういうことが星の耳に届いたということは、人里ではさらに話が広まっている可能性がある。
Hな話をしまくる寺。
ぞっとするどころの話ではない。命蓮寺の危機だった。星は力をいれて、キッと前を向いた。
とりあえず全力でナズーリンを待つ。
星は買出しから帰ってきたナズリーンをさっそく呼び寄せた。骨の髄まで賢将生活が身についている星である。ナズーリンがいなければ何もできないとも言う。
ともあれ、ナズーリンが目の前にちょこんと座っていると、限りない安心が広がった。
星は幾分落ち着きを取り戻して、憂いを帯びた声をあげる。
「ナズーリン。私はとてもよくない噂を耳にしました」
「よくない噂? なんです」
「……ふにゅう」
星は顔を真っ赤にして、もじもじそわそわとしながら、蓮の葉型の御座の上に座っている。
ナズーリンはいぶかしんだ。
「なにか言いにくいことで?」
「わが寺にとっての恥になるかもしれないのです」
「恥、ですか」
「恥です」
「それは、この寺の真ん中を通れば良いといったような類の話で?」
それは端だ。
「いえいえ、そういうとんちめいた話ではなく、誠にゆゆしく、阿鼻叫喚です。南無三……」
最後は本当に消え入りそうな声だった。
ナズーリンのほうがむしろ動じていない。事態をよく把握していないということもあるが、もともと星よりもずっと老成しているところがあるのだ。
もちろん見た目年齢は明らかにナズーリンのほうが幼いのであるが。
「はっきりと言ってくれないと困るな。ご主人様」
「実は……、その……、聖が偶然聞いたのですがね、村紗とぬえがHの回数について競い合っていたらしいのです」
「Hについて競い合っていた。H、ですか。ははぁ、Hについてですね」
ナズーリンは、みなまで言うこともなく委細承知してくれた。理解が早く、頭のめぐりが良いところがナズーリンの最大の強みである。
「さすがナズーリンですね。私が一を述べただけで十を理解してくれる。本当に助かります」
「いえいえ。というより、ご主人様。実はHという言葉を使うように助言したのは私なんですよ」
「ほぉ…・・・それはそれは、って、ええッ!?」
「あ、正確な表現ではなかったな。Hという言葉を実際に使い始めたのはおそらく彼女たちの知恵です。私はあくまでHについて人に秘しておこなうべきであると述べただけです。すぐにピンとくるような言葉を使うところはまだまだ船長もぬえも甘いというべきですが、直接的な言葉を使わない慎み深さはあると見るべきでしょうかね」
「慎み深さ、ですか……」
隠語を使っていようが、同じようなものではないかと思う星である。
しかし、ナズーリンはいやいやと頭を振った。
「だってそうでしょう。本来Hとは人に知られぬようにおこなうべきものであり、あけっぴろげにするようなものではありませんからね」
「そうですね。Hを公知のものとするなど、禽獣にも劣る恥ずべき行為です」
「ご主人様……、まあ確かにそうかもしれないが、さすがにそれは村紗やぬえにとって酷薄な評価ではないでしょうかね」
「どういうことですかッ」
「私はHそのものはそんなに悪いことではないと思っているし、時にはHしたことを仲の良い人に報告したくなることもあるだろうと思うわけです」
「わ、わ、私はそんなこと認めません!」
ポッポーと汽笛でもないのに、よくわからない音を頭から出しつつ、完全に真っ赤な顔になる星。
目をぎゅっとつむって。いわゆる「><」状態である。
「さすがは仏の代理であらせられる。Hについての厳格さは類を見ない。確かに彼女たちは軽率な点もありますね。Hについて人に話すということはHの聖性を穢す行為でもあると言えますし、そもそも彼女たちも人の寿命の何十倍も生きているのですから、そろそろ分別をわきまえても良い年頃ともいえますか」
「あたりまえです。そもそもHの回数を競う人がいますか」
「聖が偶然聞いたということは、この寺のなかでのことでしょう。特に問題はないのでは?」
「どこだろうとダメなものはダメです。他の人に偶然聞かれでもしたら、わが寺の存亡にかかわります」
「なるほど、存亡……。自らの存在意義を失う可能性があるか。卓見ですね。ご主人様」
「わかってもらえれば良いのです。ともかく、村紗とぬえには厳重に注意をしなければなりません。けれど私が直接言うのも何かと角が立つでしょう。ナズーリン。あなたにお願いできますか」
「かまいませんよ。だが、果たして彼女達の口を完全に閉ざすことができるのでしょうかね。もちろん、村紗たちのことを信頼しないわけではないのですが、人としてみれば十分に生きている彼女たちも、妖怪としてみればまだまだ幼いところがあります。特にぬえはあまり人と接してこなかったせいもあり、仏門に入ったのも最近ですから、Hについて沈黙のうちにおこなう妙味を理解できないのかもしれません」
「理解させるのです。ナズーリン。なんとかしなさい」
「とりあえず説得はしてみます」
「よろしく頼みますよ」
星は疲れた声をだした。今日だけでげっそりやつれた気分である。
「ご主人様」
「どうでしたか。ナズーリン」
「少しまずいことになりました」
「なんですと!?」
「村紗のほうは納得してくれたのですが、ぬえのほうが立ち聞きされたことに怒ったのです。もちろん私のほうもそこらへんは噂として広がってるというふうにぼかしていたのですが、ぬえのほうもHについては部屋の中だけでしか言ってないとのことで、咎められたことに反発してしまったようなんですね」
「それで、どうしたのです」
「ぬえが外に飛び出していきました。今は私の子鼠を船長に同行させ、後をおっていますが……、もしかすると寺を出て行くつもりなのかもしれません」
ナズーリンの声はあまり沈んではいなかった。
事務的な淡々とした口調である。
探偵としての職業がそうさせるのであろう。
「いかがいたしますか。ご主人様」
「ぬえはわが寺の一門です。もはや家族同然。見捨てるわけにもいかないでしょう」
「さすがはご主人様。私ならぬえを切り捨てても問題ないかなーとか、チラっと思ってしまったよ」
「こら、ナズーリン。だめでしょう。そういうことを言っては、聖が怒りますよ」
「怒るのを他人任せにするからそういうことになるんです」
「う、う。反省してます」星はしゅんとなった。「ともかく、ぬえについては私が説得しましょう」
「ご主人様だけじゃ不安だな。聖にも頼んだほうが良いでしょう」
「いったいどっちなんですかッ」
いらない子なのか。
いらない子なのか、私は。
「ご主人様の気質はどちらかといえば、受けなので、その気質に沿った指針を提示したまでですよ」
「うう、そうですね。頼みましたよ。ナズーリン」
「了解」
村紗とぬえは人里の近くのあぜ道で口論をしていた。
「わけわかんないよ。Hしたことを人に言っただけで怒られるなんて割りにあわない。おかしいじゃんッ!」
「ぬえ。Hは人に知られたらいけないことなの。前から言ってたでしょう」
「ちょっとはHするのも気持ちいいかなーとか思ってたよ。Hしたあとに人間にありがとうとか言われるのも、なんだか嬉しかったんだ」
「わかるよ。うん。その気持ちわかる」
村紗はことさら優しげな声をだした。
ぬえは拗ねた声、うるんだ瞳で、村紗をにらんでいる。怒られたことがよっぽどショックだったのだろう。
「仏の教えってやっぱり理解できないよ。だいたいなんで人に話してはいけないの」
「私もよくわからないのよね。実は」
「へぇ。村紗も知らないんだ」
「そもそも私は仏門に入ってるかどうかも曖昧だったしね。役割としては船長だったわけだし。聖のことは好きだけどそんなに仏の教えにこだわってるわけではなかったのよ」
「そんな感じだもんね」
「ええ、だからよく理解できないまま、鵜呑みにしていたこともあったわ。でも――」
村紗はぬえときっちり眼差しをあわせた。
「自分なりの答えなんだけど、Hをしたことが人に知られると、人は自分にはどうしてHしてくれないのかとか思っちゃうものなんじゃないかな」
「嫉妬じゃん、それって」
「そう。嫉妬。私がわかるのはそういう負の側面だけ。もともとそういう妖怪だからね。でも一理あるでしょう」
「どうかなぁ。だってHはすればするほどいいんじゃないの? 人から求められれば、その人にもしてあげればいいじゃない」
「ぬえは優しいね」
「え、なんで、私は優しくなんかないよ」
「私はそういうふうにやっていると、けっこう人間の裏側の感情が見えちゃうかなぁ。この人はHされるとき何考えてるんだろうとか思っちゃう」
「ふぅん……」
「もしかすると自分のためかもね。謙虚さを失わないための方法なのかも」
「よくわからないな」
「だったらあとで、聖に聞いてみましょうよ。きっと聖ならきちんと教えてくれるはず」
「それもいいかもね」
「あ、でも、その前にせっかくここまで来たんだからHしていかない?」
「いいよ。今度は誰にも悟られないように、ね」
「そうそう。こっそりとね」
きゃっきゃうふふと笑うふたり。
それから、ぬえと村紗は人里のほうへと向かった。
ぬえは、まだ少し納得できない部分もあったが、友人の村紗も村紗なりに悩んでいることがわかり、少し胸のつかえが取れたようである。
かようにして、ぬえの脱退の危機は星とナズーリンの預かり知らぬところですでに解消されていた。
一方、そのころ。
星はついに寺を抜け出し、ふたりの後を追うことを決断していた。
そわそわ感が半端なく、もうどうしようもない感じが全身からたちのぼっていた。
仏っぽさは欠片もない。
「ナズーリン。ナズーリンはどこです? 人里に行きますよ」
「はいはい。ここですよ。聖を探したのですが、どうやら寺のなかにはいないようですね。もしかすると人里のほうへと行ってるのかもしれません。ところで、ご主人様。いま、なんとおっしゃられましたか」
「私も人里に向かいます」
「仮にも仏様が人里にご降臨なされると、いろいろと問題が生じませんかね。神様がこんちはーとか言ってフランクに手を振って歩いていたらみんな引きますよ。それと同じことです」
「すべては私の失策が招いたことです。私自身が責任をとらなくてはいけません」
「ご主人様らしいといえば、らしいか……」
「大丈夫。ちゃんと変装していきますから」
シャキーンという効果音とともに取り出したるは、口元をすっぽり覆う立体マスク。それとまっくろいサングラスである。
二つを装備すれば、ほらこのとおり、完全無欠の不審者のできあがりである。
金髪で着ている物が普通人のそれとは異なるところも怪しさを大爆発させている。
ナズーリンは正直呆れるしかなかったが、指摘すればまた星が泣くのはわかりきっていたから、面倒くさくなって何も言わないでいた。
もうどうにでもなれ、という心境である。
「行きますよ。ナズーリン」
「はいはい……、わかりました。まあ狭い狭い幻想郷ではどうせ人目にはつくか」
星はともかくわが寺の一大事との想いから、ナズーリンが肩をすくめているのに気づいていない。
随行するときは、ナズーリンは後ろであり、星は前を歩く。
ほとんどの場合は星の提案というかお願いで、ナズーリンが先行することが多いのであるが、今回ばかりは愛すべき信徒と寺の外聞の一大事ということで、星も足早に歩いていた。
道すがら、人とすれ違う。
そのたびに、ぎょっとした表情になっているのだが、星はまったく気づいていない。
『お母さんあれなにー?』『しっ、見ちゃいけません』的な伝説のやりとりがなされていることも星の耳には届いていなかった。
随行しているナズーリンは乾いた笑いを浮かべるのみだ。
「それにしてもナズーリン。人の暮らしはなかなか大変そうですね」
「幻想郷では人間よりも妖怪のほうが優勢のようですからね」
「人の世だった外の世界とは違い、法の力が弱い世界ともいえますか」
「いやそれなりのバランスはあるようですけど」
「仏の力は弱いように思います。ですからこのようなことで、仏の教えが崩落することは避けなければなりません。Hの回数を公言してはばからないなど……、そんな破廉恥は許されません」
ぷるぷるぷる。
星の身体が小刻みに震えた。
「悪意はないのですから、彼女たちを叱るのはそこそこにしたほうがいいですよ」
「わかっています。村紗もぬえもとても良い子たちですからね。ああ、でも日に三回もHをするなんて……」
「さすが船長、ですか?」
「な、ナズーリン。冗談ではないのですよ!?」
「でも、村紗船長の人あたりの良さとも言えるわけですよね。言ってみれば長所ですよ」
「Hの回数と人あたりの良さは違いますよ。誤解してはいけません」
「Hを気兼ねなくおこなえるのは、人柄のように思いますがね。それと、Hは人としての交わりを感じさせてくれます」
「ま、交わりですか……、うう、そうですね。確かにHが独我論の特効薬というような表現はよく聞きます。孤独を解消させてくれるお薬という考えですね。そういう考え方は確かに人には必要なのかもしれません。けれどつながりを求めるあまり、Hを自分のためだけに行うようになってしまっている場合も多い。それは堕落です。わかりますか、ナズーリン」
「ええ、そうですね。そう思いますよ」
すべて小声での会話である。
少しH、Hと連呼していることに慣れを感じ、そんな自分に恐ろしさを感じてしまう星だった。
そんなこんなで、人里に到着。
周りは喧騒と活気に包まれていて、異形の者たちの姿も多い。ここでは星の奇抜な格好も多少は緩和されているようである。
しかし、これでは逆にぬえと村紗の場所もよくわからない。
「どこにいるのかわかりますか」
「大丈夫ですよ。私の子鼠たちがすでに場所を特定しています。どうやら、ふたりとも同じ場所にいるようですね」
「早く行きましょう。ふたりが心配です」
「ふたりがいっしょにいる時点であまり心配する必要はないような気がしますよ。それよりも遠目に様子を見たほうが良いのでは?」
「う、うーん。少し心配ですが、ナズーリンの言うことも誠にもっともですね。そうしますか」
「あ、ちょっと待ってください」
ナズーリンが急に大きな声を出して、星を呼び止めた。
「どうしたのです」
「私の子鼠が報告に帰ってきたので」
見ると、小さな手のひらサイズの子鼠が、地面をハイスピードで駆けてきていた。この喧騒のなかを踏み潰されることもなく走ることができるのは鼠ならではの業である。
ナズーリンはその場でかがみこんで、子鼠を回収した。
「ふむ……、ふむ。なるほどなるほど、どうやらご主人様、村紗たちは今まさにHをしようとしている最中みたいですよ」
「な、なんですって!?」
「しかも、多人数に対してです。ふむん。人知れずというわけにはいかないかもしれませんね。いかがいたしましょう」
「いかがも何もありません。今すぐに行って止めるのです」
「いや、彼女たちには彼女たちの考えがあるのかもしれませんし、事が終わってからそれとなく諭すのが良いと思いますがね」
「事が終わってからでは遅いでしょう。妖怪と人とではいろいろと異なる部分も多く、そんなに簡単には成果が結実するとも思えませんが……、しかし万が一ということもありえます」
「成果が結実。なるほどそうですね。でも、そうだとしたらなおさら放っておくほうが良いのでは? Hの最中に水をさすことになりかねませんし」
「そんなことを言っている場合ではないでしょう! Hはしかるべき手順でおこなうべきです。多人数に対して考えもなしにおこなうべきではありません」
「なにを焦っておられるのかわからないが、ご主人様、もう少し落ち着いてください」
「落ち着いていられません。私も聖ほどではないにしろ、村紗やぬえをかわいい娘のように思っているのですよ。その子たちがまちがった道に進もうとしているのなら引きとめて、正しい方向へと導くべき務めがあります」
「さすがは仏の権化たるご主人様。さきほどは浅慮な言葉でした。御許しを」
「わかればいいのです。ともかく、急ぎますよ」
「ンー。はいはい」
ナズーリンがちょっと疑問顔になっているのだが、星はすでに前しか見ていなかった。
ぬえと村紗がいる場所は、人里の中心部からは少しはずれたところだった。
裏寂れた寂しい場所。
霊や妖怪が出没しそうな、そんな気配がどこからともなく漂ってくる。
「空気が澱んでいますね……」
「瘴気の森が近いせいでしょう」
「こんなところに人がいるのですか」
「人間はわりとどこでも住めますからね。いるんでしょうよ。私の子鼠の報告はまちがいないですから」
「ふむ。しかし人の姿を見かけませんね……」
星は胸中に暗い想像がおりた。もしかすると、もう村紗とぬえは――。
そのとき。
少女の苦しそうな艶っぽい声が聞こえてきた。使われなくなった古い木造建物の裏手から聞こえてくるようだ。
「あ……ああっ……これ、ちょっと大きい」
村紗の声である。
「重い重い。重いってば。乗っけてこないでくださいぃ」
「嬢ちゃんなら大丈夫だよ。もう一本いってみるかい」
あまり若そうではない中年ぐらいの男の声だ。複数いるようで笑い声が聞こえてくる。
「だめ。絶対無理。だめだめぇ」
泣きそうな声だった。
星は血の気が引く思いをしながら、虎のような俊敏な動きでそこへと向かう。最悪の状況をいやでも想像してしまう。
駆け出した足から力が抜けていく。
徐々にスピードが落ちていく。
最後は歩くようにゆっくりと。
目には力をめいっぱい入れて、ぎゅっと瞑り、
そして精一杯の声で叫んだ。
「村紗。ぬえ。大丈夫ですか!」
よく通るすんだ星の声があたりに響いた。
そこにいた人間も村紗も、そしてぬえもあまりの声の大きさに、驚き手をとめて星の方を見ている。
「あれ~。星じゃん。こんなところまでどうしたの?」
ぬえの緊張感の無い声が聞こえてくる。
それで、ようやく星はつむっていた瞳をおそるおそる開けていった。
なんのことはない平凡な情景。
村紗は四角い切り口の建築用木材を何本も手に持っており、ぬえは丸太を椅子代わりにして休憩していた。
人間たちはおのおの大工用具を片手になにやら仕事をしていたようだ。
「あ、あれ? あれれ?」
星は目を点にしてしばし固まる。
「これは、えっと、どういうことなのですか」
「どういうことなのって、こっちが聞きたいよ。なにしにきたの。もしかしてわざわざこんなところまで叱りにきたの?」
ぬえがむっとした様子で腰に手をあてている。
「いえそうではなく、あなたたちのことが心配で……」
「心配? あー、ちゃんとHしてるか心配だったってことだね」
「H……、なのですか。これが?」
「そうじゃないって言いたいの?」
ますます険悪な顔になるぬえ。
星は手を前にだして、焦ったような声をだす。
「い、いえ、あの」
「人助けするのが、仏の教えなんでしょ?」
ぬえの言葉がよくわからない。大粒の汗が星の額に浮かぶ。しかしこの場合、頼みのナズーリンに聞くわけにもいかなかった。いろいろと勘違いしていたことがバレてしまう。今日このときばかりは、自分の力でなんとか解決しなければならない。
「こらッ! ぬえ。ことさら自分でHだって主張しちゃだめじゃない。さっき約束したでしょ」
と、村紗はたしなめるように言った。
「う、そうだった」
「でも、ぬえも私も本当はよくわかっていないのかもしれません。教えてくださいHの極意を」
「聖に教えてもらおうかなーって思ってたけど、星でもいいや。教えてよ」
「あ、あの、その……」
星は言葉につまる。じりじりと迫る村紗とぬえ。
星もつられてじりじりと後退する。
(誠にヤバく、絶体絶命であるーッ! 南無三!)
「施しとは――」
後ろから仏がかった声が聞こえてきた。
星が振り向くと、ナズーリンの姿。
ちらっと星を見ると、なぜかウインク。
施し――HODOKOSI――ああ、法の力が世界に満ちるようだ。
「施しとは、人知れず行うものだよ。ふたりには言ったとおりだ」
「うーん、それはわかるんだけどね。でも人に知られないでおこなう意味がよくわからないんだよね。そんなの意味ないじゃんって思っちゃうっていうか」
「ご主人様。そういうことらしいですよ」
「あ、うん。そうなのですね」
ぬえの言葉の意味もつぶさに理解できた。
星はナズーリンをいますぐ抱きしめて、すりすりしたい気分だった。
まさに仏心である。
「私もどうして秘しておこなわなければならないのかよくわかりません」村紗も声を重ねた。「どうしても善行を評価してしまうからかなとは思うんですけど」
「もちろん善行は善行です。惜しんでいようと善は善。だから、それはそれで評価されるべきでしょう。人知れずおこなったほうが良いというのは、絶対であるべき善に、他の価値を混入させないようにするためです」
「難しいなぁ」「そうだね」
と、ぬえと村紗は諦めたような声をだした。
かわいらしい娘のようなふたりである。
「いいんですよ。まずは惜しんでもよいから善行を積みなさい。それから少しずつ惜しむ心をなくしていけばいいのです。ふたりがふたりなりに考えて行動しているのを知って、私はとても嬉しいです」
聖直伝のスーパーなでなでタイム。
星は村紗とぬえの頭を優しく撫でた。
村紗とぬえはふたりして、はにかみながら手をあわせた。
それから村紗とぬえに星とナズーリンをくわえた四名は、人間の仕事の手伝いをすることになった。村紗やナズーリンは星が自らからだを動かすことに難色を示していたようだが、自ら規範となるように動くことには、やぶさかではない星である。
仕事とは、言ってみれば大工仕事。
さきほど星が見た光景は、大工仕事の最中だったのだ。
使われなくなった廃屋を村紗が錨で叩き壊し、代わりに木材を運んで新しい家を建て、ぬえが正体不明の種を植えつける。最後の行為にどんな意味があるのかはわからない。
そういった次第で、彼女達の未熟ながらも尊い施しは一応の完成を見た。
二十分後。
しばらくの間、心地よい疲労に身を委ねていた。
「そろそろ帰りますか。寺をあまり空けておくわけにもいきません」
星が施しの成果に頷き、それから皆に対して話しかけた。
「そうですね。そろそろ日が暮れますからね」
「あー、今日は疲れた。でもまあ悪くはなかったかな。こうやって自分に満足してしまってるとダメなんだろうけど」
「そういや、ご主人様……」
最後に声をあげたのはナズーリンである。
星は足を止めた。
「なんですか?」
「聖はどこに行ってるんでしょうね。子鼠もノーマークだったから、場所わかりませんけど」
「聖はおそらく――そう、Hの深遠な意味について考えているはずですよ」
遠くあさっての方向を向いて、なぜか儚げに星は答えた。
星達が人里の中心部まで戻ると、なぜか人だかり。
と、その人だかりの中心には聖がいる。
「かくして私は愛する妹のようなふたりと同じようにHをすることを心に誓ったのです。みんなまだHについてはよくわからないと思うの。私も世の中のことがよくわからない世間知らずなところがあって、Hのことはまだよくわからないのだけど、でも、絶対にHについて理解を深めて、体力の続く限り、心を尽くして、身を尽くして、Hしまくることを誓うわ。仏の教えはかくも偉大なり。みんな力を貸してちょうだいね。それとも、こんなおばあさんじゃ、ダメかな?」
「ダメじゃないです」「ひじりんさいこー」「靴下吸わせてー!」「ヒャッハー。聖は重篤だ」「優しく撫で撫でされたいでござる」「お布施します。全財産お布施します。だからHしてください」「Hなお姐さん。Hなお姐さん。Hなお姐さん!」
「みんなー。ありがとうー。これからも命蓮寺の聖白蓮をよろしくねーッ♪」
「仏の教えが……仏の教えが……」
「施しです。マイマスター」
星はまた引きこもりに戻ったそうな。
補足をしておこう。
今日、最もHした回数が多かったのは、実のところ村紗やぬえでもなく、星やナズーリンでもなく、当然うろうろしていただけの聖でもなかった。
一輪と雲山である。
なにしろたったふたりで、お留守番をし、船と同じくらいの大きさのある命蓮寺の掃除をし、それから訪れた檀家の人たちへの応対とともに、ありがたい経文を読み聞かせ、仏の教えを厳かに広めたのである。
かようにHとは、秘すべきものであり、人知れずおこなわれるべきものなのである。
南無三。
それはともかくHなお姐さんっていいですよね
そういえば比丘尼って言葉もあるか。
とりあえず吹いた。
しかしこのオチは予想できなかった。いや、参りました。
……でもこれだけHってでてくると逆にうっとうしいかもしれないwww
星さんの振り回されっぷりが大好きだ。
弄られキャラと化した星さんはとても愛らしい。
実にお茶目で、為虎添翼である!いざ、南無三~~ッ☆
ここで負けましたwww駄目だこの虎www
……おっと、私としたことがついはっちゃけてしまったようだ。
星のへたれっぷりが癖になりそうな味わいでした。ごちそうさま。
と、wktkしながら読むことができました。
おもしろかったです。
色々とおもしろかったですわ
それはともかく聖姐さん最高。
ちょっと待てコラ
やはり私の推理は間違っていなかった……
と勘違いしてましたwwwww
誠に浅く、寡廉鮮恥である!南無三ー!!
賢将生活wwwこの寅もうダメだwww
ああもう!間をとってアートだ!芸術だ!
↑吹き出した!!
もうみんな可愛すぎだろこれぇぇぇ!!wwww
もうダメ猫の寅。
だがそれがいい。
始終吹きっぱなしでした。
こんなテンション高いSS書きてえ!
……「ホの字」とか?
てか押し倒されて裸に剥かれて撫で撫でという施しならHじゃなくても受けたいです
>とりあえず全力でナズーリンを待つ。
>骨の髄まで賢将生活が身についている星である。
ダメだこの虎、なんとかしないと…
そして、聖☆お姐さん自重w
これ俺じゃんw っていうか俺も俺も!