瓶である。
サイズ的にかなり大きなことを除けば、ごくごく普通で普遍的でどこにでもあるような瓶。
透明で、ガラス質。
それでいて、上部には巨大なコルクが蓋をしている。
大妖精は自分の置かれている状況が始めわからなかった。
気づくと自分は瓶の中にいて、かたわらにはチルノがすやすやと眠っており、他には誰もいない。
瓶の向こう側に見える歪んだ視座には、暗い森のような何処とも知れない場所と、星が幾重にもまたたく夜空があった。
「ど、ど、ど……」
どうしてという言葉が出てこない。
もしかして監禁というやつだろうか。
監禁されて、とても子どもには見せられないような、あられもないことをされちゃうのだろうか。グリム童話の原作とかを読んだこともある大妖精である。あの世にも恐ろしい物語に触れたこともある者なら、自分がいかに異常性のなかに生きているのか、理解できる。認識できる。てか、妖精がグロかったり。
そもそも日常とは異化の連続であるからして――
まあわかりにくくなったが、要するに大妖精の妄想力はたくましいということだ。他の妖精には類を見ない力である。
たとえばこんなことを考えた。
ステップ1
服をひん剥かれます。
ステップ2
かたくり粉をまぶされます。
ステップ3
からっと狐色になるまで揚げられます。
ステップ4
おいしくいただかれます。
ステップ5
ぴちゅーん。
大妖精はガクガクと震えだす。
あるいは、あるいは――
監禁ならぬ換金か。
どこかのお金もちにドナドナの牛のように売られていくのだろうか。そういえば、ドナドナの歌詞がよくわからず、子牛のことを孔子のことだと思って、確か孔子って偉い人なのに売られちゃうこともあるんだなぁ、と子ども心に思ったものである。まぁ、妖精なんて、ずっと子どもなわけであるが。
そんなことはどうでもよいことではあった。
ともかく現状の異常が問題である。
瓶詰めの妖精。これが意味するところはいったい、なんなのだろう。
やはり一番想像しやすいのは。
【新鮮でピチピチな妖精さんあります。疲労回復、肩こり、腰痛、筋肉痛に効用あり。】
とか、帯つけられて売られちゃうんじゃ!?
大妖精はパニック寸前である。チルノの体を地震のようにガクガクと揺らす。
「チルノちゃんおきておきて」
「ん。大ちゃん。どったのさ」
「なんだか私たち瓶に詰められているみたい」
「瓶?」
「瓶だよ。瓶」
大きさは大妖精がぎっしり詰まって三十人分といったところだろうか。
外の世界ふうに言うのなら、満員電車ほどではないが、エレベーターに閉じ込められているような逼迫した感覚がある。
チルノは、やおら立ちあがった。
「あん? なにこれ」
「なにって瓶じゃないかなぁ」
すでに大妖精の声は涙が混じっている。
「そうじゃなくて、どうしてこんなところにいるんだろ」
「そりゃ……」
そりゃあ、大妖精だって聞きたかった。
自分がどうしてこんな瓶に詰められているのか。
お持ち帰りか?
お持ち帰りされようとしているのか?
大妖精の目尻には涙がたまり、いまにも泣き出しそうな感じである。
「大丈夫だよ。大ちゃん。あたいがこんなの凍らせてやるから」
チルノが瓶の一部分を凍らせようとする。
手のひらに力をこめて、小さななツララをつくり、壁にあたる部分に何度もたたきつけた。
しかし、瓶の厚みはチルノの能力を超えていた。いくらチルノががんばったところで、瓶の内側表面はツルリとした光沢を放っており、まったく瑕は見られない。
「あー。むかつくなーっ!」
チルノが悔しそうに地団太踏んだ。
「あ、あの、チルノちゃん」
「んー?」
「ちょっと、その、チルノちゃんの能力、寒くて」
「あ、ごめん……」
チルノは氷精だから良いが、大妖精はちょっと大きなサイズの妖精に過ぎない。寒さに対する耐性はなく、チルノの先ほどの能力行使によって、震えていた。
チルノ自身の体温が冷たいということも理由の一因である。
小さな氷の塊が同じ密室のなかにあると考えてもらえればわかりやすい。
「でもどうしてこんなところにいるのかな」
チルノが言った。
そして、何かを思いついたときのように、ポンと手を打った。
「思い出した。もしかして昨日のリグルたちとやった弾幕ごっこのせいかもしれない」
「弾幕ごっこ?」
「そう。それで、大ちゃんとあたい、いっしょに弾に当たって、ぴちゅーんってなったじゃない」
「なったかも」
「だから――、復活したのが偶然この瓶だったんじゃない?」
「そんなことがありえるの? ふたりいっしょにだよ。ひとりならまだわかるけど、どうしてふたりとも同じ場所に復活してるの」
「そんなの知らない」チルノはほっぺたをプクっと膨らました。「どういうふうにして復活するかなんて知らないし」
「そりゃ、そうだけど……」
「あー、しっかし、こんな小さな瓶ひとつ壊せないなんて、むっかつくなー!」
「ごめんね。私が同じ瓶に入ってるから、チルノちゃんが能力を百パーセント発揮できないんだよね」
「大ちゃんのせいじゃないよ。あたいがピンポイントに集中することができないだけ」
「でも、ずっとこの瓶のなかで暮らすことになっちゃうかもしれないんだよ」
「大丈夫だって、誰かが助けてくれるよ。明日朝になれば――」
言い忘れていたが、季節は夏だった。
しかも真夏日だった。
炎天下。
障害物も何もない地面の上。
熱伝導率はわりと高めなガラスの性質。
これらのことから導かれる答えは、さすがに幻想郷一頭の働きの鈍い妖精でもわかろうというものだ。
朝になり、昼になり、太陽の日差しが容赦なく瓶の表面を暖める。
すでに瓶のなかはうだるような暑さで、さすがに妖精であっても死にそうな気分だった。
もちろん妖精は死なないし、食べなくてもいいのだが――
精神的な苦しさは確かに存在する。
チルノの場合は暑さというのが、ことさら耐え難いのだろう。瓶の底につっぷして、のっぺりとしている。
一般の妖精にあたる大妖精も、瓶の中の暑さに眩暈がするような気分に襲われていた。
視界は歪み、よろめいて手のひらを瓶の表面につけると、熱せられたガラスから飛び上がるような熱さが伝わり、大妖精はウキャモニョペルと絶叫した。
「大ちゃん……、大丈夫?」
「う、うん……チルノちゃんは?」
「ちょっときつい……あたいったら溶けちゃうね」
「溶けちゃらめぇぇぇぇぇぇぇぇ」
「溶けてるのは大ちゃんだ」
「がんばって、チルノちゃん。寝たら死んじゃう」
「あたいは死んだ。死んだから寝せてぇ」
嫌がるチルノの頬をペシペシと叩き、むりやり叱咤激励する大妖精。
もはや意味不明なテンションである。
それにしても最悪な配置ではないだろうか。
太陽光線はやたらと降り注ぐ場所で、しかも、よく見ると草むらがすぐ近くにあって、高高度から見つかりにくい。どうやら妖怪の山と人里の境界あたりのようで、人も妖怪もどちらも寄り付かない場所のようだった。こうなるともう、どこにでもいるような妖精が見つけてくれるのを待つばかりであるが、残念ながら力の弱い妖精一般では、大妖精たちを見つけたとしてもどうしようもないのが現状だろう。人を呼べる知能があるかも、運次第である。
さて、そうしたところで、夜になる。
妖精はタフである。
基本的に食事が必要ないから、瓶に詰められたところで死ぬことはない。
ふたりは息もたえだえな様子ではあったものの、まだちゃんと生きていた。
夜になれば、瓶の中身も冷えてきて、チルノはいつもの元気を取り戻し始める。
「昼があんなにきついなんて思わなかった」
「きつかったね」
「あ、そうだ。大ちゃん」
「ん。なあに」
「よかったら、あたいにもっと近づきなよ」
「へ。え? えええええっ」
大妖精はうろたえておろおろするばかり。
「あたい体温低いから、涼しいよ。ほら来なよ」
チルノが両の手を広げ、カムヒアする。大妖精は顔を紅くして、その場から動く気配がなかった。チルノはやれやれしかたないなもしかして動く気力もないのかななどと言いつつ、大妖精と体を密着させた。ありていな言い方をすれば、抱きしめている状態である。
大妖精は目をぐるぐるさせて、もしかしてこのままイケナイ関係になってしまうのかな、そりゃチルノちゃんのことは嫌いじゃないし、むしろ好きだし、かわいいし、イケナイ関係になってもいいし、むしろなりたいけれど――などと思っていた。
チルノの細い手が背中に触れると、そこからひんやりとした涼しさが伝わってくる。
蒼いつぶらな瞳が目と鼻の先にあって、大妖精はドキドキするのを感じた。
「あれれ? なんだか大ちゃんの体温がZUNZUN上昇しているような……」
「チルノちゃん、繁殖しちゃうっ!」
残った理性のわずかなところで、大妖精はトンと軽くチルノの体を押した。
「ん。ヤだった?」
「嫌じゃないよ。でも、チルノちゃんは妖精がどうやって増えるのか知ってる?」
「え? さぁ、知らないけど」
「き、き、キスしたら増えるんじゃないかなぁ?」
「ほえ? そうなの。聞いたことないけど」
「そうなの。だから不用意に近づいて唇が触れ合ったら増えちゃうかもしれないんだよ。危ないんだよ」
「べつに増えてもあたい困らないけど」
「な、な、な……」
チルノちゃんとの子どもができちゃう。
と、大妖精はなかば混乱気味である。むろん、大妖精もあやふやな知識を言ってみただけで、本当のところ妖精がどうやって増えるかを知っているわけでもない。
ただ、ありそうかなぁ程度には考えていた。
その程度の知識しかないのである。
「駄目だよ。チルノちゃん。私たち女の子どうしなんだから、キスとかしたらいけないんだよ」
「どうして?」
「どうしてって……、えーっとどうしてだろう」
「どうしてかわからないんだったら、たいした理由じゃないんだよ」
「あ、思い出した。確か、百合とかいって、忌み嫌われているんだった、はず」
「百合って花の名前だよね。どうして百合なの?」
「えーっと……、どうしてかなぁ。でも、ともかく女の子どうしは駄目なんだよ」
「ふぅん。大ちゃんが嫌ならべつにいいけど」
チルノは再び、瓶を破壊しようとがんばっていた。
「あー、暑いなぁ。ええい。服脱いじゃえ」
チルノが人目もはばからず服を脱ぎだした。
「え、ええええ! チルノちゃん。お洋服脱いだらダメだよ」
「だって、暑いじゃん」
「人前で裸になったらダメなんだよ」
「裸になって何が悪いのよ」
「女の子なんだからダメー!」
「大ちゃんのケチ」
チルノは妥協したのか、完全に裸にはならずに下着だけの状態になった。
真っ白いレース。
フリルつき。
袖のない下着で、そこからチルノの細く穢れのない腕がのぞいた。
大妖精の息が荒くなる。
「チルノちゃん、かわいすぎる」
「え、なにか言った?」
「え、ううん。なにも言ってないよ」
「しかし、ダメだなー。あたいの力だとここから脱出するのは無理みたいだよ」
「誰かが助けてくれるまで待つしかないよ」
「そうだね」
チルノが下着姿もまま、ごろりと横になる。ダウザーの棒のように腕をおりたたみ、身を小さくして、接触面積を減らしているようだ。
その姿態。
無垢なからだに、無垢な精神。大人のような色香はないものの、不安定な少女特有の妖香が、小さな吐息とともに吐き出されていって、瓶のなかに充満する。
閉鎖系であるから、欲動の圧力が高まっているのだろうか。
大妖精は寝ているチルノをあますところなく視界に入れて、自分の心臓の音が、妙に耳に響いているのを感じていた。
妖精にしては大きな胸に手を添えて確認してみると、どくんどくんと大きな音が鳴っている。
「ア……ツ」
小さく折りたたまれた細い腕、そして肢。白の下着から覗く、これまたお餅のように白い華奢な体躯が、大妖精のイケナイ神経系を刺激する。
抱きしめたいという思いをこらえるのに必死だ。
「か、かわゆす……」
「はん?」
「あ、こ、氷。そう氷だしたらどうかな」
「え、でも大ちゃんが寒いんじゃ?」
「これだけ熱いんだったら、氷だしても大丈夫だよ」
「そうだね。じゃあ、少し氷を――」
チルノはあぐらをかいて、その場に座り、手のひらに力をこめはじめる。
しかし、なにも反応がなかった。
「あれれ? おかしいな」
「どうしたの。チルノちゃん」
「もしかすると、氷出せなくなっちゃったかも」
「え? どうして」
「あたいの力は冷気だから、冷気が周りにないと、パワーが弱まっちゃうんだよ」
「そっか。じゃあしょうがないね」
「大ちゃん。あたいが死んでも早まらないでね」
「何を言ってるの、チルノちゃん」
いきなりのチルノの悲哀を帯びた声に、大妖精は混乱気味である。すでに泣きそうだ。
「あたい、今度はもうだめかもしれない。冷気がまったくないこんな瓶のなかじゃ、本当に溶けちゃう……」
「しっかりしてチルノちゃん。もう少しで助けが来るよ。絶対」
「なぐさめはいいよ。ここはどうやら誰にも省みられなくなった場所みたい。あたい……みたいな、みんなに嫌われてる妖精は、ここで一回休みになったほうがいいんだよ」
チルノの声が薄くなる。
チルノは嫌われ者だった。それはチルノのちょっと強気な精神も理由のひとつには数えられたが、おおかたのところ、暖気が好きな妖精においては、チルノのうすら寒い体温ならびに周りに吐き出される冷気が、耐え難いものだったからだ。
「大ちゃん、ありがとうね。こんなあたいにつきあってくれて……」
「チルノちゃんだめぇ」
大妖精はチルノの身体を抱き上げて、力なく揺さぶる。
チルノは弱々しく腕を伸ばし、大妖精の顔に触れる。
「大ちゃんのほっぺたあったかい……や……」
ガク。
と力つきるチルノ。
「チルノちゃぁぁぁぁぁぁん!」
大妖精は、瓶のなかに響くような声で絶叫した。チルノの小さな身体はいつものようにひんやりとはしていなかった。
なんというか――
生ぬるい?
もちろん妖精はこの程度で死んだりはしない。
ただ、ちょっぴり元気がないチルノを見ていると、大妖精はかなしくなってくるのである。
「すんすん……」
「大ちゃん泣かないでよ。たぶん夜になれば元に戻るから」
「うん」
それから六ヶ月経過した。
冬である。
冬になると、チルノの力は完全に元の調子を取り戻している。寒さのせいか大妖精はこごえそうではあるが、チルノのひんやり体温のほうがまだガラス瓶よりも冷たくなく、大妖精とチルノはぴったりと身体をくっつけていた。
「もっと、くっついたほうが寒くないよ。大ちゃん」
チルノが屈託なく笑う。
まるで猫のような自由な笑いである。聖性を帯びた子どもの笑いだった。
対する大妖精の顔は暗い。寒さに打ちひしがれているせいではない。チルノの体温は確かに寒くはあるものの、最近は大妖精にあわせて冷気を撒き散らすことをやめた。氷精にとっては本能を抑えるようなものであるから、なみなみならぬ努力があったのだろう。
チルノのからだは暖かい。
しかし、その暖かさが大妖精には耐え難いものに思われた。
このままでは、明らかに繁殖してしまいそうなのである。つまり、つい衝動的にキスしてしまいそうなのである。
「ち、チルノちゃん、あまりくっつきすぎないで」
「うん……」
チルノも、大妖精が避けている理由がなんとなくだがわかりはじめているようだった。
百合はダメなんだという言葉の意味を理解できたわけではないものの、大妖精がそう思っていることと、そういう観念があるらしいということは認識している。
ここに極小の地獄があるといってもよかった。
世界は瓶の中にしかなく、それでいて、ちゅっちゅするのは罪なのである。
大妖精は横目にチルノを見る。
あいもかわらずチルノは愛らしい。六ヶ月もの間、飲食もせず、お風呂にも入っていないのだが、どういう具合か、洋服もぼろぼろにはなっていないし、ミルクっぽい甘い匂いをただよわせている。さすがは妖精といったところであろう。もちろん大妖精も同じく。
チルノは体育座りをしていた。
さすがに妖精といえども、退屈には殺されそうになっている。もしも、ひとりっきりで瓶の中に詰められていたらと思うと、ぞっとする。
大妖精が本当に恐れていたのは、変わらない関係が崩壊することだったのかもしれない。
そして、五年の月日が流れた。
チルノはわずかばかり大人びて、大妖精を見ると妖艶のまなざしで見てくるようになった。何もすることがないなら、本能的な遊びをしてしまおうという心持ちなのかもしれない。大妖精はずっと前に読んだ本に百合がイケナイことだと書いてあったことを覚えている。
どうしてだかはわからないし、理由は覚えていないが、確かに女の子どうしがキスしているのはなんとなく背徳感を覚えてしまうものだ。
チルノが、指をからめてきた。
「大ちゃん、もうずっとこのままなのかな。私たち」
「そうかもしれないね」
「だったら、もう何も考えなくていいんじゃないかな」
「な、な、なにがでしょう」
「世の中のしがらみってやつ?」
「しがらみでございますか」
「そうそう。百合?」「百合でございますか」「大ちゃん百合ってダメって言ってたけど、あたいよくわかんないし」「女の子どうしでキスしたり、誰もしてなかったよ、チルノちゃん」「でもそれって、人がいっぱいいるところではしないって意味かも」「そうなのかな」「そうだよ」「そうなの?」「そうだよ」「でも怖い」「あたいは退屈なほうが嫌かな」「退屈をまぎらわすために?」「そういうわけじゃないけど、なにかここらでイベントがあってもいいかな、なんて」「イベント……」「そ、イベント」
けれどもし、偶然キスしているところを射命丸文あたりに見られたらどうなるだろうか。大妖精はそういったことを考えただけで憂鬱な心になる。そうでなくても――、自分の心のなかに生じた罪跡を消し去ることはできない。
いつのまにか大妖精の心のなかには百合はダメダメという強迫観念ができあがってしまっていた。普段からずっと意識しつづけたせいか、大妖精の骨肉にまでしみこんでいたのだ。
理由――
そんなものは始めから不要だったのかもしれない。
地獄とはこだわりから生ずる。百合がダメだと思い、その観念にこだわりを持てば、そこに地獄が生ずるというわけである。
チルノも大妖精も、大自然の恩恵を一身に受けて、その身は穢れひとつなく、少女としての特質を備えたままであった。日ごとに少女としてのあまったるさが増していく。
少女の濃度が瓶のなかに満ちる。それと同時に、地獄の濃度もまた増していく。
それからわずかあとに、チルノと大妖精は瓶を脱出することに成功した。
簡単なことだった。大妖精とチルノが互いに弾幕をだしあって、ぴちゅりあったのだ。
かくして、ふたりの少女は極小の世界から、限りなく広い青空のもとへと帰っていった。
瓶はまだ、どことも知れない場所にある。
その中には、小さな青い髪をした妖精と、小さな緑色の髪をした妖精が、不安そうな面持ちで瓶の外を見つめていた。
「あん? なにこれ」
「なにって瓶じゃないかなぁ」
「ぴちゅりあった」ってのがなんかエロい感じがしてギルティーなのかノットギルティーなのかわかりませんのですじゃ
次も期待しています。
良かったです。