*星蓮船のネタバレがあります。
*プチ49の「恋焦がれるふたり」の設定を受け継いでいますが、
小傘とこいしが最近友達になったということだけ理解していただけたら大丈夫です。
「ぬえちゃん、今度いたずらしたら"めっ"しますよ」
ここは人里近くに最近できたお寺、その名は命連寺。
その境内で白蓮が新入りの妖怪、封獣ぬえと向かい合い言い聞かせるように諭す。
「はぁ~い、もういたずらしません~」
"めっ"ってなんだよ。と思いながらぬえは気だるそうに返事をする。
白蓮に怒られるのはこれで二度目である。一度目は確か三日前に雲山の顔に落書きをしたのが
バレて怒られた。そして今度は星が大切にしている毘沙門天の宝塔を勝手にいじって壊して
しまったことが原因だ。
(それにしても…)
白蓮の説教は全然迫力がない。いや、説教ともいえない。
一度目だって、「雲山が困っちゃうからもうやったらダメよ」とこれだけである。
今回だって二、三言で終わってしまった。
(やっぱり妖怪の味方ってのは嘘じゃないんだな~。怒っても全然怖くないし、こんな簡単に
許してくれるなんて聖はほーんと甘いよな。素直に謝っとくフリしておけばいいし)
クヒヒッと笑いながら、次のいたずらはどうしようかと考えを張り巡らせた。
それから三日後。。。
「うわあぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
お寺に一際大きい泣き声がこだました。
「えぐっ、返してよぅ。私の傘」
泣き声の主は多々良小傘。だが彼女の手には半身といえる唐傘は握られていない。
空の手を一生懸命伸ばし現在傘を持っている少女(ぬえ)を追いかけている。
「へっへーん、別にいいでしょ。この小汚い傘を私がかっこいい正体不明の傘に変えてあげるわ」
「うう、やめて~~~~」
この日、小傘は命蓮寺の住人を驚かせに来たのだ。入り口から中の様子を伺っていたところに
ぬえがいた。
二人は見た目が同い年くらいの姿をしていることもあってか、ぬえが命蓮寺にに住み着いてから
すぐに仲良くなることができた。そしてお互い嬉々としてお喋りに花を咲かせていたのだが、
小傘が最近できた友達の話をしているうちにぬえが不機嫌そうな顔になった。
小傘がどうしたのか疑問に思ったとき、いきなり唐傘を奪われ、傘を改造してやると言われたのだ。
何がなんだかわからなかったがぬえの急な行動に小傘は悲しくなり泣いてしまった。
そして現状に至る。
「な、なんですか今の泣き声は!?」
「何があったんだい?ムラサ船長?」
「またぬえがいたずらしたみたいですよ」
小傘の泣き声を聞きつけて星たち命蓮寺の住人が慌ててやってきた。そこにはもちろん、
「あらあら、これは何の騒ぎですか?」
「げっ!聖」
白蓮も一緒だった。
「うぇ~ん、びゃぐれん~」
小傘が白蓮に抱きつき助けを求める。
「よしよし、小傘ちゃん、なぜ泣いているの?」
問われた小傘がぐずりながら傘を奪われたことを説明する。
それを見たぬえは内心焦りながら、いいわけするように言う。
「小傘が人間を驚かす方法を最近誰かに教わってるみたいなんだけど、そんなまどろっこしいこと
しなくても私の正体不明の種を使えば簡単に驚かせるってことで親切に協力しようとしただけだよ!
そ、そう私の優しさであって決していたずらなんかじゃないよ」
「…ぬえちゃん、ちょっとこっちにいらっしゃい。」
「うっ…」
「どうしてこんないたずらしたの?いたずらしてはいけないって言ったでしょう」
「だからいたずらじゃ…」
「ぬえちゃん」
別に怒鳴られてるわけじゃない。むしろ普段より慈愛をこめるかのように白蓮が問う。
だから逆らえない、逆らうわけにはいかない。もし逆らったら白蓮は自分自身を責めるだろう。
妖怪の味方として生きてきた自分の力が足りなかったと…
こんなにも優しい人を裏切るようなことはしたくないとぬえは初めて思った。
「…ん、小傘が新しい友達の話ばっかりするから、なんか訳わかんないけど、聞いていて、
イライラして、つい、いたずらしてやろうと思ったの…ごめんなさい」
ぽつり、ぽつりと理由を話す。
話を聞いた白蓮は目を細めてニッコリ微笑み、ぬえを一度抱きしめる。そして今度は小傘と
向かい合った。
「ごめんなさいね小傘ちゃん。ぬえちゃんには悪気があった訳じゃないの、ちょっと不安になった
だけなのよ」
「えっ、不安?」
「そう。小傘ちゃんが新しくできた友達のお話ばかりだったから、自分はいらなくなっちゃったん
じゃないかって……そんなわけないのにね」
「そ、そんな!ぬえも私の大切な友達だよ!」
小傘が慌てて主張する。
「そっか、私がこいしの話に夢中になってたから不安になったんだ。ごめんね、ぬえ」
「…こっちこそいたずらしてゴメン」
小傘は友達の想いを知って謝る。
ぬえは顔を真っ赤に染めて謝る。
「そうだ!今度こいしも誘って三人で遊ぼうよ。」
「あっ、いいの?私も一緒で」
「大丈夫。きっとぬえも仲良くなれるよ!」
二人して笑いあう。それを見て白蓮も笑った。
後ろでは他の面々も微笑んでいる。感動して泣いてる者もいる。
「イイハナシダナ~」
「フフッ、友情とは美しきものなり。と雲山も言っています」
お寺にあたたかい時間が流れていく。
今日もいい日になりますね。と誰かが呟いた。
おわり
「ところでそれはそれとして」
あれ?おわ…
「今度いたずらしたら"めっ"するって言ったわよね?ぬえちゃん」
おわらない…だと……!?
「「「"めっ"!!!」」」
白蓮の言葉に星、水蜜、一輪、雲山までもが反応した。顔から血の気がだんだん引いていくのが
見て取れる。
そして、身体がガクガクブルブルと震えだした。ナズーリンと小傘だけが皆の変化に戸惑っている。
そんな謎の状況とは打って変わりこちらは真面目に白蓮が語る。
「本当はこんなことしたくはないのだけど、あなたを預かると決めた時から、この聖 白蓮!
責任を持って、立派な妖怪に育て上げようと考えているのです」
「聖……」
白蓮の決意を知ったぬえは感動していた。ここまで自分のことを考えてくれていたなんて…
昔地上にいたときも、地底に追いやられてからも自分をちゃんと見てくれる人はいなかった。
だから一回くらい叩かるのも我慢しよう思った。それでもいいと思った。
「ごめんなさい、ぬえちゃん」
白蓮が申し訳なさそうに右手を振りかざし、そしてゆっくり、ゆっくりと振り下ろす。
(お仕置きまで優しくするなんて、本当にいいひと…………
―――― 超人「聖白蓮」
……えっ!?)
「めっ!」
ぽふっ。
ぬえの額に優しく振り下ろされた手が当たる。叩くというよりも頭に乗せたという表現のほうが
いいくらいの音がなる。端から見れば……そう、端から見ればだ。
実際、小傘やナズーリンが見たのはそんな程度のものだった。
だがその時、二人の視界からぬえの姿が消えた。いや、消えたのではない。吹き飛ばされたのだ。
白蓮の手が当たった瞬間おもいっきり後ろへぬえ(らしきもの)が門を突き破り、遥か彼方へ
ブッ飛んでいく。
ピピピピピピピチュピチュピチュ――――――――――――――――――ン!!!!!!!!
そんな音が遠くへ響き消えていく。
何が起きたのか理解できなかった。できる訳がなかった。
呆然としている二人の傍で震えていた者達の口から言葉がこぼれだす。
「ああ、申し訳ありません許してください。失くし物は週五回から三回に減らしますからどうか、
どうかお許しを聖!」
星が土下座をしながら許しを請う。
「ひいぃ!も、もうカレーで船を沈めたりしませんからそれだけはご勘弁を~」
腰が抜けたのか水蜜がその場にへたり込む。
「ごめんなさい、ごめんなさい姐さん!姐さんが楽しみにしていたおやつを間違えて食べてしまった
のは謝りますから!」
一輪はごろごろ転がりながら謝り続ける。雲山は霧散した。
「い、いったい何なの~」
小傘が涙目になりながら叫ぶ。
「こ、これはまさか!?あのときの話か!」
「あのとき??」
「ああ、昔、ご主人様が珍しく酒に酔われて語ってくれたことがあったのだが…」
ナズーリンは星との会話を思い出す。
『聖を怒らせてはいけませんよ。いやあの方は優しい人だ。滅多に怒ることなんてない。
ですが三度、三度注意される事態だけは避けなさい。"めっ"だけは決してさせてはいけません』
『フッ"めっ"だなんて、なんとも可愛らしいことじゃないか。毘沙門天の弟子がそんなものを
恐れてるなんてね』
『ナズーリン!!!いいですか、これは貴方のためを思って言っているのです。ほらよく言うでしょう。
仏の顔も三度までって、"めっ"は可愛らしいものじゃない…アレは聖の最終奥義、我々はアレを
こう呼んでいます……』
「――― 曰く、"滅"」
「う、うそだよね?」
「私も最初は酔っていたから冗談だと思ったんだ。だが会話の後、
『申し訳ありません許してください。失くし物は週七回から五回に減らしますから…』
とブツブツ呟いていた」
「え、ええーーー!!」
「ねえ、小傘ちゃん、ナズちゃん」
白蓮が二人の名前を呼ぶ。そこにはいつもの優しそうな笑顔があった。だがその笑顔に二人は
戦慄する。怖い、笑顔が、白蓮が怖い。
「ふ、ふえぇぇぇぇぇ」
普段クールなナズーリンが小傘に抱きつき子供のように泣き出した。
小傘はもう声を出さずに泣いている。……………少しだけチビッた。
「あらあら、どうしたの?二人共いい子だから私は嬉しいわ。だからね………」
「フタリニハ、"イイコイイコ"シテアゲル」
スペルカード宣言はまだ終わっていない―――――――――
◇ ◇ ◇
○○月××日 文々。新聞
[正体不明の高速飛行物体現る!]
これは偶然にも筆者、射命丸文も確認することができた貴重な事件である。
14時頃、幻想郷の空を正体不明の物体が凄い速さで飛んでいくのを大勢の人、妖怪が目撃した。
正体を突き止めようと必死に追いかけたが、幻想郷最速を誇る私のスピードをもってしても
追いつくことができず、ソレは彼方へ飛び去ってしまった。
だが、最初の目撃情報から物体の飛んできた方向は人里近くの命蓮寺付近と予想されている。
この寺は先日起きた宝船事件の関係者が住んでいるとのことで、今回の事件となにかしら関連が
あると見られており、筆者はその寺で僧侶をしている聖白蓮さん(魔法使い)にインタビューを
行った。
「正体不明の飛行物体?何のことか全然わかりません」
――他の方にもお聞きしたいのですがどうされたのですか?
「ごめんなさい。今みんな熱をだして寝込んでいるの。…それよりも貴方の新聞いつも楽しく
拝読させてもらっています」
――え、それは有難うございます。
「人間と妖怪を差別せず記事を書く。貴方の平等の精神を貫く姿。誠に優秀で、甘棠之愛であるッ!」
結論:命蓮寺はとても素晴らしい所でした。
*プチ49の「恋焦がれるふたり」の設定を受け継いでいますが、
小傘とこいしが最近友達になったということだけ理解していただけたら大丈夫です。
「ぬえちゃん、今度いたずらしたら"めっ"しますよ」
ここは人里近くに最近できたお寺、その名は命連寺。
その境内で白蓮が新入りの妖怪、封獣ぬえと向かい合い言い聞かせるように諭す。
「はぁ~い、もういたずらしません~」
"めっ"ってなんだよ。と思いながらぬえは気だるそうに返事をする。
白蓮に怒られるのはこれで二度目である。一度目は確か三日前に雲山の顔に落書きをしたのが
バレて怒られた。そして今度は星が大切にしている毘沙門天の宝塔を勝手にいじって壊して
しまったことが原因だ。
(それにしても…)
白蓮の説教は全然迫力がない。いや、説教ともいえない。
一度目だって、「雲山が困っちゃうからもうやったらダメよ」とこれだけである。
今回だって二、三言で終わってしまった。
(やっぱり妖怪の味方ってのは嘘じゃないんだな~。怒っても全然怖くないし、こんな簡単に
許してくれるなんて聖はほーんと甘いよな。素直に謝っとくフリしておけばいいし)
クヒヒッと笑いながら、次のいたずらはどうしようかと考えを張り巡らせた。
それから三日後。。。
「うわあぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
お寺に一際大きい泣き声がこだました。
「えぐっ、返してよぅ。私の傘」
泣き声の主は多々良小傘。だが彼女の手には半身といえる唐傘は握られていない。
空の手を一生懸命伸ばし現在傘を持っている少女(ぬえ)を追いかけている。
「へっへーん、別にいいでしょ。この小汚い傘を私がかっこいい正体不明の傘に変えてあげるわ」
「うう、やめて~~~~」
この日、小傘は命蓮寺の住人を驚かせに来たのだ。入り口から中の様子を伺っていたところに
ぬえがいた。
二人は見た目が同い年くらいの姿をしていることもあってか、ぬえが命蓮寺にに住み着いてから
すぐに仲良くなることができた。そしてお互い嬉々としてお喋りに花を咲かせていたのだが、
小傘が最近できた友達の話をしているうちにぬえが不機嫌そうな顔になった。
小傘がどうしたのか疑問に思ったとき、いきなり唐傘を奪われ、傘を改造してやると言われたのだ。
何がなんだかわからなかったがぬえの急な行動に小傘は悲しくなり泣いてしまった。
そして現状に至る。
「な、なんですか今の泣き声は!?」
「何があったんだい?ムラサ船長?」
「またぬえがいたずらしたみたいですよ」
小傘の泣き声を聞きつけて星たち命蓮寺の住人が慌ててやってきた。そこにはもちろん、
「あらあら、これは何の騒ぎですか?」
「げっ!聖」
白蓮も一緒だった。
「うぇ~ん、びゃぐれん~」
小傘が白蓮に抱きつき助けを求める。
「よしよし、小傘ちゃん、なぜ泣いているの?」
問われた小傘がぐずりながら傘を奪われたことを説明する。
それを見たぬえは内心焦りながら、いいわけするように言う。
「小傘が人間を驚かす方法を最近誰かに教わってるみたいなんだけど、そんなまどろっこしいこと
しなくても私の正体不明の種を使えば簡単に驚かせるってことで親切に協力しようとしただけだよ!
そ、そう私の優しさであって決していたずらなんかじゃないよ」
「…ぬえちゃん、ちょっとこっちにいらっしゃい。」
「うっ…」
「どうしてこんないたずらしたの?いたずらしてはいけないって言ったでしょう」
「だからいたずらじゃ…」
「ぬえちゃん」
別に怒鳴られてるわけじゃない。むしろ普段より慈愛をこめるかのように白蓮が問う。
だから逆らえない、逆らうわけにはいかない。もし逆らったら白蓮は自分自身を責めるだろう。
妖怪の味方として生きてきた自分の力が足りなかったと…
こんなにも優しい人を裏切るようなことはしたくないとぬえは初めて思った。
「…ん、小傘が新しい友達の話ばっかりするから、なんか訳わかんないけど、聞いていて、
イライラして、つい、いたずらしてやろうと思ったの…ごめんなさい」
ぽつり、ぽつりと理由を話す。
話を聞いた白蓮は目を細めてニッコリ微笑み、ぬえを一度抱きしめる。そして今度は小傘と
向かい合った。
「ごめんなさいね小傘ちゃん。ぬえちゃんには悪気があった訳じゃないの、ちょっと不安になった
だけなのよ」
「えっ、不安?」
「そう。小傘ちゃんが新しくできた友達のお話ばかりだったから、自分はいらなくなっちゃったん
じゃないかって……そんなわけないのにね」
「そ、そんな!ぬえも私の大切な友達だよ!」
小傘が慌てて主張する。
「そっか、私がこいしの話に夢中になってたから不安になったんだ。ごめんね、ぬえ」
「…こっちこそいたずらしてゴメン」
小傘は友達の想いを知って謝る。
ぬえは顔を真っ赤に染めて謝る。
「そうだ!今度こいしも誘って三人で遊ぼうよ。」
「あっ、いいの?私も一緒で」
「大丈夫。きっとぬえも仲良くなれるよ!」
二人して笑いあう。それを見て白蓮も笑った。
後ろでは他の面々も微笑んでいる。感動して泣いてる者もいる。
「イイハナシダナ~」
「フフッ、友情とは美しきものなり。と雲山も言っています」
お寺にあたたかい時間が流れていく。
今日もいい日になりますね。と誰かが呟いた。
おわり
「ところでそれはそれとして」
あれ?おわ…
「今度いたずらしたら"めっ"するって言ったわよね?ぬえちゃん」
おわらない…だと……!?
「「「"めっ"!!!」」」
白蓮の言葉に星、水蜜、一輪、雲山までもが反応した。顔から血の気がだんだん引いていくのが
見て取れる。
そして、身体がガクガクブルブルと震えだした。ナズーリンと小傘だけが皆の変化に戸惑っている。
そんな謎の状況とは打って変わりこちらは真面目に白蓮が語る。
「本当はこんなことしたくはないのだけど、あなたを預かると決めた時から、この聖 白蓮!
責任を持って、立派な妖怪に育て上げようと考えているのです」
「聖……」
白蓮の決意を知ったぬえは感動していた。ここまで自分のことを考えてくれていたなんて…
昔地上にいたときも、地底に追いやられてからも自分をちゃんと見てくれる人はいなかった。
だから一回くらい叩かるのも我慢しよう思った。それでもいいと思った。
「ごめんなさい、ぬえちゃん」
白蓮が申し訳なさそうに右手を振りかざし、そしてゆっくり、ゆっくりと振り下ろす。
(お仕置きまで優しくするなんて、本当にいいひと…………
―――― 超人「聖白蓮」
……えっ!?)
「めっ!」
ぽふっ。
ぬえの額に優しく振り下ろされた手が当たる。叩くというよりも頭に乗せたという表現のほうが
いいくらいの音がなる。端から見れば……そう、端から見ればだ。
実際、小傘やナズーリンが見たのはそんな程度のものだった。
だがその時、二人の視界からぬえの姿が消えた。いや、消えたのではない。吹き飛ばされたのだ。
白蓮の手が当たった瞬間おもいっきり後ろへぬえ(らしきもの)が門を突き破り、遥か彼方へ
ブッ飛んでいく。
ピピピピピピピチュピチュピチュ――――――――――――――――――ン!!!!!!!!
そんな音が遠くへ響き消えていく。
何が起きたのか理解できなかった。できる訳がなかった。
呆然としている二人の傍で震えていた者達の口から言葉がこぼれだす。
「ああ、申し訳ありません許してください。失くし物は週五回から三回に減らしますからどうか、
どうかお許しを聖!」
星が土下座をしながら許しを請う。
「ひいぃ!も、もうカレーで船を沈めたりしませんからそれだけはご勘弁を~」
腰が抜けたのか水蜜がその場にへたり込む。
「ごめんなさい、ごめんなさい姐さん!姐さんが楽しみにしていたおやつを間違えて食べてしまった
のは謝りますから!」
一輪はごろごろ転がりながら謝り続ける。雲山は霧散した。
「い、いったい何なの~」
小傘が涙目になりながら叫ぶ。
「こ、これはまさか!?あのときの話か!」
「あのとき??」
「ああ、昔、ご主人様が珍しく酒に酔われて語ってくれたことがあったのだが…」
ナズーリンは星との会話を思い出す。
『聖を怒らせてはいけませんよ。いやあの方は優しい人だ。滅多に怒ることなんてない。
ですが三度、三度注意される事態だけは避けなさい。"めっ"だけは決してさせてはいけません』
『フッ"めっ"だなんて、なんとも可愛らしいことじゃないか。毘沙門天の弟子がそんなものを
恐れてるなんてね』
『ナズーリン!!!いいですか、これは貴方のためを思って言っているのです。ほらよく言うでしょう。
仏の顔も三度までって、"めっ"は可愛らしいものじゃない…アレは聖の最終奥義、我々はアレを
こう呼んでいます……』
「――― 曰く、"滅"」
「う、うそだよね?」
「私も最初は酔っていたから冗談だと思ったんだ。だが会話の後、
『申し訳ありません許してください。失くし物は週七回から五回に減らしますから…』
とブツブツ呟いていた」
「え、ええーーー!!」
「ねえ、小傘ちゃん、ナズちゃん」
白蓮が二人の名前を呼ぶ。そこにはいつもの優しそうな笑顔があった。だがその笑顔に二人は
戦慄する。怖い、笑顔が、白蓮が怖い。
「ふ、ふえぇぇぇぇぇ」
普段クールなナズーリンが小傘に抱きつき子供のように泣き出した。
小傘はもう声を出さずに泣いている。……………少しだけチビッた。
「あらあら、どうしたの?二人共いい子だから私は嬉しいわ。だからね………」
「フタリニハ、"イイコイイコ"シテアゲル」
スペルカード宣言はまだ終わっていない―――――――――
◇ ◇ ◇
○○月××日 文々。新聞
[正体不明の高速飛行物体現る!]
これは偶然にも筆者、射命丸文も確認することができた貴重な事件である。
14時頃、幻想郷の空を正体不明の物体が凄い速さで飛んでいくのを大勢の人、妖怪が目撃した。
正体を突き止めようと必死に追いかけたが、幻想郷最速を誇る私のスピードをもってしても
追いつくことができず、ソレは彼方へ飛び去ってしまった。
だが、最初の目撃情報から物体の飛んできた方向は人里近くの命蓮寺付近と予想されている。
この寺は先日起きた宝船事件の関係者が住んでいるとのことで、今回の事件となにかしら関連が
あると見られており、筆者はその寺で僧侶をしている聖白蓮さん(魔法使い)にインタビューを
行った。
「正体不明の飛行物体?何のことか全然わかりません」
――他の方にもお聞きしたいのですがどうされたのですか?
「ごめんなさい。今みんな熱をだして寝込んでいるの。…それよりも貴方の新聞いつも楽しく
拝読させてもらっています」
――え、それは有難うございます。
「人間と妖怪を差別せず記事を書く。貴方の平等の精神を貫く姿。誠に優秀で、甘棠之愛であるッ!」
結論:命蓮寺はとても素晴らしい所でした。
あぁ、○火の炎だっけ。仏の顔も三度までってやつですね。
その威力が凄いですねぇ……。
ぬえの被弾音とか三人の言葉も面白かったですし、小傘とナズーリンが
怯えて泣いている姿も良かったです。
素晴らしい命蓮寺でした!これからもじゃんじゃん書いちゃってください!
マジビビるわぁ。
てか、なんですかこの妖怪保育園はwww
そして普段クールなのに泣き出すナズーリンがかわいいすごくかわいい
それにしても紅魔館なみの大所帯・・・
これから作品が増えそうでwktk
誠に抱腹絶倒。南無三でした。
わかるわw
くっそ笑いましたwwwwwwwwww
イイコイイコシテアゲルの白蓮さんが怖すぎてわらた。
白蓮さんが壊れてるとなぜか安心しますね。