「咲夜……早く、春が来ると良いわね」
満月の夜、レミリアは物憂げに咲夜に呟いた。
「春が来たら、桜の下でお茶会を開こう。静かな場所で、お前と過ごしたい」
いつもより遅い春。原因は分からない。咲夜はこの異変を解決できない自分に苛立っていた。そしてレミリアのこの言葉だ。異変の解決を催促されているに違いない。背筋を冷たいものが走った。咲夜は咄嗟の判断で、主のためにある提案をする。
「お嬢様、私に良い考えがありますわ」
咲夜は町内会の福引券をぐっと握り締めた。
◇ ◇ ◇
これは自分に対する懲罰に違いない、と。一向に春を取り戻せない自分に嫌気がさしたのだ。現にレミリア・スカーレットは2人だけで話がしたいと言う。自分を睨みつける朱の瞳は深淵。レミリアの意を窺い知ることはできなかった。最悪、解雇も在り得る。咲夜は決意した。十六夜咲夜の全てはレミリア・スカーレットのためにあるのだ。だからこそせめて、主に少しでも満足してもらえるように素晴らしいシチュエーションを準備する。それが従者としての務めに違いない、と咲夜は確信していた。
春が来れば確かにレミリアは喜ぶに違いない。しかし、咲夜はレミリアに仕えることを許されたただ1人の人間。忠実に主の命に従うだけではレミリアの傍に居ることは叶わない。咲夜の忠誠心がうっかり一つの答えを導き出した。春が来ればレミリアは喜ぶ。ならば、さらに一足先の夏が来ればレミリアは狂喜乱舞するはずである。
◇ ◇ ◇
ココはマイアミビーチ。輝く太陽と煌く砂浜の照り返しがレミリアの白い柔肌をコンガリと焼いていた。
「吸血鬼は日光に弱いって、誰が決めたのかしらねぇ」
「ホントに、誰でしょうね」
レミリアの機嫌は上々。ビーチでバカンスという、いかにもセレブが好みそうなシチュエーションがレミリアのハートを捉えて離さなかった。咲夜の判断が正しかったのだ。レミリアは砂浜に砂紅魔館を築き上げ、途中休憩を入れている最中だ。サングラスをかけ、トップレスでうつ伏せになり、気持ちよさそうに太陽の光を背中に浴びていた。日焼け止めクリームを塗布するという栄誉は咲夜のものだった。灰になるかと思われたレミリアは根性とガッツで乗り切っている。人生はだいたいガッツと根性でどうにかなるものだ、と咲夜は感心した。
「咲夜、アレを」
「はい、お嬢様。ポプコーンとコークでございます。いえ、お嬢様、popcornとcokeですわ」
「うむ。ご苦労。thx! というか咲夜」
「なんですか、お嬢様」
「私は、静かな場所でお前と過ごしたいと言ったんだけど」
「ええ」
「yeah! hi! Remilia! uh!」
「wow! It's charisma!! hi!」
「Uh! Uhhhhhhh!」
「なんだこいつ等」
「有象無象にございます」
「ふうん」
つまらなそうに視線を投げやり、グングニルを海へ投げるとラテン系の黒人男性(35歳)やアングロサクソン系の白人男性(88歳)は歓声を上げ、追いかけて海へざぶざぶ。ついでに妙にテンションの高い女の子(495歳)も後を追う。やれやれとため息をつくレミリアだった。
「パチェはどうした、咲夜?」
「ミスコンテストの会場ですわ、お嬢様」
「へぇ。アイツがミスコンなんてどういう風の吹き回しかしら。いや、無駄に体型が良いからひょっとしたらひょっとするかも」
「いえ、パチュリー様はミスコンテストではなく、前座のホットドッグ大食いコンテストにエントリーしています」
「……」
ざざん、ざざんという波の音にむきゅーという断末魔が彩りを加える。レミリアと咲夜は顔を見合わせ、しばらくの沈黙の後、無かったことにした。
さらば、パチュリー・ノーレッジ。さらば、動かない大図書館。アクティブな行動は、必ずしも良い結果に結びつくとは限らないのだ。うら若き紅魔館の当主は友の犠牲を糧に、後ろ向きの類の何か重要なことを学んだのだった。
◇ ◇ ◇
紅魔館の誇る最強にして唯一無二の門番、紅美鈴。徒手空拳から得物を使った武術まで幅広く扱う彼女は、まさに鉄壁。彼女こそがスカーレットデビルであるといった噂も流れるほどだ。その紅美鈴は今、自慢の紅色の髪を靡かせ、バッターボックスで仁王立ちをしている。本日の得物はバット。最近鬱ぎこみがちのレミリアがホームランを所望している。咲夜から聞いた美鈴は、少しでも元気になれば、と試合に乱入した。
美鈴の決意は固い。燃える闘志を瞳に湛え、遥か天空にバットをかざす。
伝説の、予告ホームラン。
野球王ベーブルースの姿が美鈴に重なる。
約束のホームランを、レミリアお嬢様のために!
◇ ◇ ◇
「咲夜、夏も悪くないわ。日焼け止めクリームもあるから日光だってへっちゃらだし」
「ありがたきお言葉ですわ」
「明日は少し涼しいところに行きたい」
「御意に」
レミリアは立ち上がり、シャベルを片手にニヤリと笑う。咲夜はスコップ二刀流で後に続く。
「さて……続きをやるわよ、咲夜」
「お嬢様、胸は隠しましょう」
直後、レミリアと咲夜の間を一陣の風が通り抜けた。あっ、と咲夜が小さな悲鳴を上げる。
ホームランボールと砂紅魔館が異例のコラボレーションをし、レミリアは深い悲しみに包まれた。
-終-
タイトルで既に秀逸な予感がしていましたが読んで納得。
妙にテンションの高い女の子(495歳)が可愛すぎるのですがどうしましょう。
とりあえず Spear The GungniUhhhhhhh!
……なんだこれはww
もう、突っ込み所を過積載し過ぎです。とりあえず後書きが反則!それ女性として死活問題じゃ。
真夜中に爆笑を有難う御座いましたw
なんぞこれw
あなたは
あたまが
わるいな!(ほめことば
Uhhhhhhhhhhhhh!!!!
>妙にテンションの高い女の子(495歳)
フランちゃん……!?
本文はもとよりあとがきによるオチの秀逸さがたまりません。
そして相変わらずのオチww
なんだこれ
なんだよこれwwwwwwwwwww
ん?待てよ、おっぱい釘打ち…つまりめーりんはトップレスまたは全裸…
大爆笑しましたwwwwwww
バナナ扱いときましたかw
フランもはっちゃけすぎだw
ちょとsYレならんしょこれは・・?
全裸の日焼けお嬢様だと?!
どんなテンションだwww
なんかもうヤバいwww作者は凄い天才か凄いバカにちがいないwww
何者ですかあなたは?
トップレスなおぜう。
だがどう考えても喘息持ちには無理ゲーだw
ひたすら笑わせてもらいましたw
(一発ネタに点数を入れるのは忍びないのでフリーで)
お嬢様のカリスマは海をも超えるのか……!
お前らフロリダで何やっているんだw
俺もフロリダへ行かねばならないようだ。
uhhhhhhh!
凄くおもしろかったです。