Coolier - 新生・東方創想話

停電クロック

2009/09/11 20:08:56
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 カチ、カチと音が続く。続く。
 蓄光塗料が塗られた長針が六十を一度数える間にカチリと動き、六十を数えている間に秒針、……短が時間で、長が分なのはわかるけど、秒を刻む針は、秒針でいいのかな。呼び方、わからないし。
 ……まあ、とりあえず。五十八回ぐらい回ったのだ。早過ぎたかな数えるの。
「珍しいわね、停電なんて」
 横から感じる呼吸音とそんな言葉。
 自分から生まれる呼吸音と無駄な熱量。
 暑いんだもの、今日。そんな中でカロリーを消費して熱に変換するなんて無駄でしかないってね。
「たしかに。かなり久々」
「予備電力とかに切り替わらないのかしら」
「変わらないんじゃない?外もまっくらだし」
 まあ、病院なんかは自家発電施設があるらしいし、今も明るいんだろうけど。
「……暑いわね」
「そりゃあ、夏だし。というか、くっつくな」
「だって暗いんだもの」
「蹴るわよ」
 ああ、もう。シャツがベタベタする。というか肌が。
 冷房も止まってるし、窓開けるかなぁ。
 面倒だけど。
「ねえ」
「なに?」
「窓開けてきてよ」
「やぁよ。暗いもの」
 お前は子供か。いや、まあ面倒だから人に頼む私も子供みたいなものだけど。
「大丈夫。もう少ししたら停電も直って、部屋も冷えるから」
「直らないに10マッカ」
「直るに100えすぴー」
「えすぴー?」
「古いゲームの通貨」
 始めて聞いた。
「ハードディスク、何個お釈迦にしたか。あれ、読み取りが多いから」
「読み取り、ね」
 む、むむ。わからない話を聞くのって意外ともやもやする。
「ゲームの魔法みたいに、窓が勝手に開いて、明かりもついて、そんな風にいけばいいのにね」
「今の人間じゃ、そんなの無理でしょ」
 人間は、そんな不思議を遠くに置いてきたんだから。
 そして、まだ残る不思議も横に追いやって、何も知らないフリをして生きている。結界に境界、その存在を知ってるのに、なにもしないのが一つの例だ。
「夢がないわね、ほんと」
「夢見る少女じゃいられないわけよ」
「まあ、そうね。確かに少女じゃないもの」
「……喧嘩なら買うけど?」
 いや、やっぱり買わないけど。暑いのにそんなのやってられないし。
「シャワーでも浴びたら涼しくなるんじゃないかしら」
「給湯機、動かないから」
「水を浴びるとか」
「私に死ねと」
 せめてぬるま湯じゃないと風邪引くから。それで単位がいろいろと。
「だらしなくなったわねぇ、人間も」
「やあ、人間」
「なにかしら、人間」
 本当馬鹿みたいな会話。頭、暑さで飴になったのかも。
「ん、ほら。外見てみなさいよ」
「え?外?」
 隣りの人間が指差した方へ向き直る。後ろから抱き付かれて胸を触られた。
 簡単に肘を食らわせとく。ごつん。
「いひゃい……」
「自業自得。で、なによ?」
「いやね、ほら、電気」
「電気?」
 改めて指の先――窓の方――を見る。
「ああ」
 窓の外は、燦々と輝く、とはいかないけど、それなりに明かりがついていた。
「私の勝ちよ」
「そ、そうね」
 後ろの声に応える。
 ん。あれ?でも、
「なんで、この部屋はつかないんだろ、電気」
「え?」
 がばりと、後ろのが起き上がる。そんな簡単に起き上がれるなら、窓開けてくれたらよかったのに。
「ちょっと待って。今試してみるから」
 そう言うと、奴……、まどろっこしい、メリーは立ち上がって、スイッチの方へ向かって行った。
 カチ、カチとボタンを押してるけど、一向に電気はつかない。部屋自体は涼しくなってるんだけど。
「……壊れたかしら」
「さあ?」
「さあって、蓮子」
「だって、メリーの部屋だもん。人事よ、実際問題」
 私は暗くても寝れるし。暑いのが問題だっただけで。
「寝たら、起きた時には明るいわよ?きっと」
「明日から困るじゃないの……」
「明日っていうか今日だけどね」
 まあ、いいや。今のうちに寝よう。マッカの手に入れ方もわからないし。
「おやすみ、メリー」
「ちょっと蓮子、寝な、寝るなー!」
「すやすや」
「どこに、寝息を口に出す人がいるのよ、馬鹿ぁ!」
 おやすみなさい。
 暗い時には寝るに限る。えっと今が二時だから、六時間は寝れるかな。
こういう唐突な終わりってのは実際どうなんだろう
日常を切り出すと、なくもないわけだけど、話のオチとして考えると
停電の怖さは、家の前を通る車の音が、大きく感じるとこだと思う
◆ilkT4kpmRM
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コメント



0.750簡易評価
4.100名前が無い程度の能力削除
ほのぼの秘封はいいものだ…
蓮子はぺったんだから触ってもうわきさまなにをするやめ……
12.100名前が無い程度の能力削除
これはよい秘封倶楽部
いい距離でべたついてる二人はなんと楽しそうなんだろう

非常によい日常でした
17.70名前が無い程度の能力削除
どっちがどのセリフを喋ってるのか分かりにくいのは仕様なんだろうか
日常の話は好きだけど何故かキリが悪い気もしたのでこの点数で