~あらすじ~
レミリア、妖夢、萃香、四季映姫、諏訪子の五人は、それぞれの隣人の策略により、『第一回幻想郷ロリコングランプリ』なるものに参加させられてしまう。その中で、シードはレミリア。第一回戦、諏訪子VS萃香。第二回戦、四季映姫VS妖夢となる。
そして、いよいよ第一回戦が始まるのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『さぁ、とうとう第一回戦が始まります! 選手も準備が出来たようですね! それでは、競技説明を十六夜 咲夜さん。お願いします』
「はい。えぇ、先程『巨乳5』の中に私が入るのはおかしいのではないかと言われた、十六夜 咲夜です。ちなみに、おかしくないです。生乳です。これは天然なのです。なので、決しておかしくありません。えぇ、パッドではありませんよ。私のこれはあくまでも自然物です。ナチュラルです。きちんと巨乳です。そこら辺はご了解のほどを。――えぇ、こほんこほん。だいぶ話は逸れましたが、それでは競技説明に入っていきたいと思います。この競技の趣旨は、PRです。選手が競技の内容に沿って、自分が一番魅力が出る形でPRし、オーディエンスが判断を下していただきます。すなわち、この二つの賽銭箱の内、最もロリの魅力が出ていた選手の賽銭箱にお金を入れて下さい。もちろん、百円以上で。金のうるさい巫女の条件なので、従ってくださ――へぶっ!」
どこからか飛んできた複数の座布団のような黄色い結界が咲夜の頭に直撃する。
「えぇ、失礼しました。あ、伝え忘れるところでしたが、今回は金額に上限を設けません。つまり、ポイントは百の位が一ポイントなので、最低一ポイント、一万円なら百ポイント、枚数によってはそれ以上――になります。ついでに会場提供者の伝言によると、『一万円を入れた方は、今なら一枚に付き、博霊神社特製の避弾幕御札をプレゼントします』とのことです。まぁ、効果の程は定かでは――ごめんなさい。効きます。効きますよ、これは。効くってことは十分承知しているので、その御札は投げないで下さい。投げて当たると痛いんです。お願いします。……はい、ありがとうございました。えぇ、と、これで以上です。それでは、競技内容はすでに審議が済んでいるので、対戦前に発表していきます。それでは、第一回戦。競技内容は、これです!」
上からオンバシラが二つ、上下セットで降ってきて、咲夜が上のほうを空中で止める。ライトアップされたオンバシラとオンバシラの間には幕が張っており、それにはこう書かれていた。
『ロリっ娘コスプレ対決』
「ロリっ娘コスプレ対決ーー!」
咲夜が競技内容を叫び、それにつれて観客は大いに盛り上がる。
「さて、競技内容ですが、これもいたってシンプルです。ただコスプレを着て、それをオーディエンスの方が判断してもらうだけです。コスプレの方は、参加者が選ぶのは難しいでしょうから、それぞれの審査員が選びます。萃香選手、諏訪子選手、それでよろしいですか?」
『好きにしろよ』
「はい。選手もやる気に満ち溢れているところで、早速着替えてもらいましょう。勇儀審査員、神奈子審査員、衣装選びは終わりましたか?」
「おう」
「バッチリだね」
「それでは、着替えてください」
「はいはい」
「着替えればいいんだろ、着替えれば」
萃香と諏訪子がログハウスまで移動しようとすると、咲夜から呼びかけが掛かった。
「あぁ、ちょっと待ってください」
「んあ?」
「何?」
「着替える場所はステージ上なので、戻って来てください」
『……は?』
「いや、だから。着替えはステージで行ってください」
『……はぁっ!?』
萃香と諏訪子にまるで余命を宣告されたような衝撃が走る。
「何で!? 何でステージ上なの!?」
「いや、着替えるシーンもきっちりとオーディエンスの審査対象に入りますので。出来るだけ肢体が強調されるような着替えをすると、ポイントが高いですよ」
咲夜がさも当然のごとくアドバイスを送る。萃香と諏訪子はもちろん憤然と抗議する。
「ふざけんなっ! 神を舐めてるのか!」
「第一、諸々規定に引っかかるだろうが! そんなにこの作品を潰したいのか!?」
「萃香選手が言ってることはよく分かりませんが、ともかく、あそこの幕の中で早く着替えてください。夜が明けてしまいますよ?」
咲夜が指差した方向には、後ろから強烈にライトアップされた幕が張ってあった。そこで着替えたら、確かに生身は見えないものの、シルエットなら完璧に見えてしまうだろう。萃香と諏訪子はうーうー唸る。結局埒が明かないので、屈辱に耐えながら着替えることにした。
二人が服を脱ぐシーンがシルエットとなり映し出される。観客のテンションは高い。脱ぎ終わったところで、咲夜が合図を出した。
「ここからは着る服が分かってしまうので、ライトを消します」
(もっと早く消して欲しかった……)
光が消えた幕の中で、二人は同時に思う。が、二人はすでに恥も外聞もなく、何か大切なものを失くしたような虚無感が心を支配するだけだった。
ぶっちゃけ、二人はもうやけになっている。
『それではっ! 準備が出来たようなので、いよいよ選手の登場です!』
観客、もといオーディエンスが熱狂の坩堝へと入る。冷めた目で見ているのは、もはや当の参加する本人達だけである。
「あーかこぉなぁー。伊吹ぃぃぃぃ、萃香ぁぁぁぁ!」
「しーろこぉなぁー。洩矢ぁぁぁぁ、諏訪子ぉぉぉぉ!」
萃香と諏訪子が人生のどん底に突き落とされたような面持ちでしぶしぶ歩いてくる。二人はボクサーが試合前によく着る、体が丸々収まってしまう程大きいマントを身に着けていて、どうやら、あれでコスプレを隠しているらしい。
『さて、選手が登場しましたが、二人の衣装は審査員でも知らないんですよね? 咲夜さん』
「えぇ。知っているのは、服を選んだ二人と、今服を着ている二人だけですね。どんなコスプレが出てくるのか、楽しみです。ちなみに、私は職業がそうなので、お二人の一方はメイド服を着ていると予想します」
『ほほう。メイドですか。確かにずいぶんと可愛らしいメイドが出来ますね。いろいろと奉仕してもらいたいものです』
こいつが言うと変態の言葉にしか聞こえない。レミリアはグングニルを変態に突き刺してやりたい衝動に襲われるが、霊夢の視線を感じて断念せざるを得なかった。
『他の審査員に聞いて見ましょう。幽々子さんはどんな衣装が出てくると思いますか?』
「そうですねぇ~。私はストレートにお姫様みたいな格好が可愛いと思うよ。こうフリルがたくさん付いてて~、踊るとスカートがひらひら舞って~、煌びやかだけど、どこか大人しそうな清純な女の子、みたいな?」
『お姫様ですか。いいですねぇ~。そういうのは手を繋げて夜の世界へ駆け落ちしたくなりますねぇ』
やっぱ刺す! あいつぶっ刺す! そのふざけた口に何十本も貫き刺して、そこら辺の荒地に晒してやるっ!
レミリアが勢い良く席から立とうとすると、隣の四季映姫が首を振りながらレミリアの腕を掴んだ。
視線の先に霊夢がいるのを見て、レミリアは舌打ちをして席に着くしかなかった。
『さて、それでは追加説明をしてもらいましょう。咲夜さん』
「はい。今から競技を行うのですが、一斉に行いはしません。それではオーディエンスが混乱してしまいますからね。よって、まずはくじ引きで順番を決めて、そこから競技を開始します。もう一度言いますが、オーディエンスの方々はよりロリの魅力が出ていたほうに百円以上を入れてください。それでは、くじを引きます」
咲夜がごそごそと箱を探り、目星を付けて、ピッと引く。その色は――白だった。
「はい。決まりました。初戦は諏訪子選手です。それでは、諏訪子選手、よろしくお願いします」
諏訪子はのろのろと前に出た。
『それでは、諏訪子さん。何かコメントはありますか?』
諏訪子はぷるぷると震えている。
参加者は皆、『あるわけねーだろ』と口をそろえて言う。が、
「はーい! こんばんわー! 洩矢 諏訪子でーす!」
『んなっ!?』
「えっと~、諏訪子は~、そこにいる神奈子おばさんに~」
「おばっ!?」
「『勝てば信仰獲得のチャンスだ!』とか言われて、出ちゃったんだけど~、諏訪子は見事にだまされちゃいました~。てへっ、諏訪子のお馬鹿さんっ」
諏訪子の豹変に観客はギャップ効果も相まって一気にヒートする。諏訪子は両の手をぐーにして、顎の下まで運んで、ぶりっこポーズをウィンクもセットにして取った。通常の少女なら引かれてしまうだろうそのポージングは、外見が幼い諏訪子がやると効果は覿面で、はっきり言ってしまえば萌えっ! を思わず感じてしまうの代物であった。
霜之助がタイミングを見計らい、司会を進行させる。
『うぉぉーー! な~んてかわいいんだぁ~! これにコスプレを加えるを一体どうなってしまうのでしょうか!? それでは、諏訪子選手。お願いします!』
諏訪子が顔を紅潮させて、するするとマントを脱ぐ。そこには――
『おおっとぉ! こ、これは……。す、スクール水着だぁーー!!』
諏訪子が両手を後ろに回して水着を、特に胸の辺りを強調させる。それは、至って普通のスクール水着だ。だが、諏訪子の幼く平たい胴体が、その手のマニアの本能を燻らせ、さらに胸のところにある名前を書くための白い生地には、わざわざ大きく、平仮名で『すわこ』と書かれている。マニアにはそれがトリガーになり、いよいよ本能は天を焦がす程の劫火となって胸を熱く、灰になるまで焦がし尽くした。
『それでは、神奈子さん。解説をお願いします』
神奈子が不敵な笑顔で笑い、マイクを手にして説明をし始めた。
「諏訪子がようやく本気を出してくれて、私は嬉しく思う。さて……今回、諸君は色々な衣装を想像したことだろう。セーラー服から、恐らくこの場では言えないものまでな。はっきり言ってしまえばこの人数だ。どんな衣装が出たって、裏をかけないだろう。だから私は王道で勝負することにしたのだ。諏訪子と言えば蛙。蛙と言えば、水。水と言えばスクール水着だ。どうだろうか? どうやら戦略は間違っていなかったようだな」
…………う、ウオオオオォォォォォーーーーーー!
『こ、これは深い! まさかここまで深くオーディエンスの心を読んでいたとは! さすがは神です! この戦略に、あの兵器。もうこれは諏訪子選手の勝利確定か!?』
「ちょっと、待った!」
司会の発言に割り込みが入る。司会も観衆もその声を辿ると、そこにはもう一方の審査員がいた。
「ちょっと、ちょっと。なんだい? 今の発言は? 『勝利確定か!?』だと? ふざけてんじゃないよ! まだ勝負は終わっちゃいねぇ。勝負は……これからだろうが」
ニッと、やはり不敵な笑みを湛えて勇儀は言った。司会者が自分の失言に気付き、慌てる。
「す、すみません! 私の失言でした。それでは、お次に萃香選手。お願いします!」
萃香がとぼとぼと前に出る。そこに神奈子の野次が入った。
「ふん。勇儀さんよ。もう辞めといたらいいんじゃないの? 大差つけられて、大恥を掻くだけだと思うけどねぇ」
「はん。神様さんよ。あんたの言うことは確かに正しかったよ。ただ、詰めが甘かったね」
「何?」
「ヒヤヒヤしたよ。同じもんが被ると、こっちが不利になるからね。いやぁ、どうやら私の勝ちみたいだわ」
「ふ、ふん。負け惜しみもたいがいにしとくんだねぇ」
「負け惜しみかどうか、この試合が終わったら分かるさ」
神奈子と勇儀は互いに視線を交わし、そこには見えない火花が散っている。霜之助は終わったのを確認し、司会を進めた。
「それでは、萃香さん。何かコメントはありますか?」
聞いたところで、萃香の様子がおかしいことに気付く。明らかに前の知っている萃香ではなかった。顔を赤くし、もじもじととしている。そこで、霜之助は萃香が何かをしゃべっていることに気付き、マイクを近づけた。
「……えっと、その……あの……うーん、と……あの…………が、がんばり……ます……」
マイクでもやっと拾えるくらいの小さい声で、萃香はぼそぼそと喋った後、すぐに柱の後ろに回り込んでしまった。チラッと、赤らんだ顔を覗かせて。
『……………………』
辺りはしばらく静寂に包まれる。レミリアたちの場合だと、あまりの変わり様に、口が開いて塞がらないようだ。
しかし、それは嵐の前の静けさだった。
それを裏付けるように、まるで地震が起こったかのように地が、神社が、空気が震えた。
『かっ、かっ、かわえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええええっ!』
観衆が爆発した。
『やばいです! これはやばいです! なんっという破壊力でしょう! 私はこんなに可愛い萃香選手を見たのは初めてです!』
「くそ……これが勇儀の切り札ってわけか……! 一体どうやったらあんなことを!? 教えてくれ!」
神奈子にそう聞かれた勇儀は、頬に一筋の汗を流した。
「いや……これは私の演出ではない……。くそ……なんて、なんて可愛いんだぁ! 萃香ぁ!」
「何だと!? これは勇儀の演出ではない……!? じゃあ、これは、これは一体何だと言うんだ!?」
「防衛機制……ですね」
四季映姫がぼそりと呟いた。レミリアはその言葉に反応する。
「防衛機制?」
「心にとてつもない負担が掛かった時に、ある行動を起こしてその負担から逃れようとする心の機能のことです。抑圧、合理化、同一視……その行動は様々なものですが、この場合は『退行』ですね」
「退行……ですか?」
「はい。退行とは、行動や言動が幼くなること。あの二人はこの大会から逃げたい、けれど逃げられないというジレンマが耐え切れなくなり、退行を起こしてしまったのです」
諏訪子の突然変わった幼い言動。萃香のまるでシャイな女の子のような行動。思い返せば、全て四季映姫が言ったことに当てはまる。レミリアは舌打ちをした。
「くそっ。それじゃあ、あの二人は苦しみながら、あそこに立っているのか」
「そうですね。その通りだと思います」
「そんな……ひどいです。そんなこと……」
妖夢が少し涙目になりながら、呟く。彼女の心には二人に対する心配と悲しみが支配していた。あの二人は大丈夫なのだろうか、苦しみでおかしくならないのだろうか、と。
四季映姫は妖夢のその様子を見て、そっと、妖夢に微笑みかけた。
「大丈夫ですよ。あの二人は神に鬼。心の強さだってそれ相応にあります。きっとあなたが思っていることにはなりませんから、心配しなくても大丈夫ですよ」
妖夢はその微笑みに言葉に、どこか安心感を覚える。まるで母親から頭を撫でてもらうみたいに、温かい気持ちが妖夢の心に染み渡ってくる。
「あ、競技がもうそろそろ始まる」
羨ましそうな顔をしていたレミリアがそう呟いた途端、司会が大声を張り上げた。
『それでは、萃香選手、お願いします!』
萃香は慌てながら自分を包み込んでいたマントを外す。そこにあったものをみて、司会者は言葉に詰まった。
『お、おぉっとぉ? こ、これは……ジャージ……ですか?』
観客にどよめきが起こる。司会者の言う通り、萃香が着ていたのは、何の色気もない、ジャージだった。萃香は恥ずかしそうに、もじもじしていて可愛いのだが、やはりそれでも諏訪子には及ばなかった。
辺りに高笑いが響く。
「勇儀。これがお前の切り札か? たいした切り札だよ。おかげでオーディエンスからどよめきが収まらない。どよめき勝負なら、お前の勝ちだろうがね。生憎、これはよりロリをアピールした者が勝つ勝負だ。これで、私の勝ちは確定だな」
神奈子は笑みを浮かべ、自分の勝利を確信する。ジャージでは話にならない。そう思っている。
だが、勇儀は尚のこと不敵な笑顔を崩さなかった。
「そうだな。確かにジャージでは話にならないだろう。だがしかし、誰がジャージで終わらせると言った? そもそも、ジャージはいつも、どういうシチュエーションで着ている?」
「何……? ――! まさか……」
神奈子の顔が一瞬で青ざめる。
「さぁ、萃香よ! その真価を発揮せよ!」
勇儀が指を鳴らす。まるで、最終兵器を呼び出すかのように。高らかに、自信満ち溢れた声だった。
萃香がジャージの上を脱ぎ始める。そこには、神奈子の予想通りの服があった。
『これは! 体操着です! ジャージの下から体操着が現れました!』
胸にきちんと『すいか』と書かれた体操着。しかし、それだけではまだ足りない。諏訪子にはまだ若干及ばない。だが、まだ萃香には、下のジャージが残っていた。
萃香が下のジャージを脱ぐ。
『! これは! ぶ、ぶ、ブルマです! 噂によると、外の世界ではすでに絶滅してしまった、ブルマです! 今夜、萃香選手と共に、不死鳥のごとく復活を遂げました!』
ウオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォーーーーーーーーーー!
諏訪子をはるかに超える歓声が上がる。勇儀は見事、最終兵器によって、神奈子を撃沈したのだ。
「……っふ、負けたよ」
神奈子は笑みを浮かべた。それは、先程浮かべた過信の笑顔ではなく、負けを認めた、潔い笑顔だった。
神奈子と勇儀はがっちりと固い握手を交わす。二人の顔には、互いの健闘を称え合う笑顔。そして、神奈子から勇儀へ、次なる試合へのエールも込められていた。
最初に拍手が一回。
次に拍手が数回。
その後、怒涛の拍手が博麗神社全体を覆い、二人の激戦を心の底から称えた。
投票が行われた結果は、言うまでもない。
一方、萃香と諏訪子がレミリア達がいるログハウスへと戻ってきた。
「……」
「……」
二人とも顔を俯き、一言も言葉を発する気配がない。
ログハウス内には重苦しい空気が肌を付きまとい、空気の重さに釣られて、レミリア達まで口を閉ざし、憂鬱な気分が心を支配している。
しばらくすると、四季映姫がすくっと立ち上がった。
「諏訪子さん。萃香さん」
二人が同時に顔を上げる。四季映姫は温かく、慈愛の篭った笑顔で彼女達に優しく言った。
「お疲れ様です」
その言葉を聞いた瞬間、二人の顔がくしゃくしゃに歪んで、四季映姫の胸に飛び込んだ。
四季映姫はしっかりと二人を抱擁し、母親のように頭を撫でる。
「大丈夫。大丈夫。二人ともよく頑張りましたね。私の胸でよろしかったら、存分にお貸しします。だから――気が済むまでな泣いて下さいな」
「ううっ……」
「うえっ、うぇぇぇえええん!」
その後、二人は気が済むまで四季映姫の腕の中で泣き、試合の疲れか、泣き疲れか。そのまま四季映姫の懐で、安心しきったようにすやすやと、安らかな顔で眠ってしまった。
四季映姫は、眠っている二人を優しく床に降ろし、リンッとした表情で、妖夢に話しかける。
「妖夢さん」
「はっ、はい!」
「次は私達の出番ですね」
「……はい」
妖夢に暗い影が差す。やはり、二人の試合を見て、自分がどうなるのか想像をしていたのだろう。一体自分は、どんな目に遭うのか、妖夢は不安でたまらなかった。
四季映姫はそんな妖夢を見て、柔らかな笑顔を浮かべる。
「妖夢さん。この先、一体どんな酷いことが起こるか分かりません。けれども……私達は立ち向かって行かなければなりません。例え、この身が滅びようとも」
「閻魔様……?」
「お願いするのは、憚りますが…………私と一緒に、地獄まで付いてきてくれませんか?」
「……はい!」
妖夢は四季映姫の柔らかな笑顔見て、覚悟を決めた。
一見柔らかな表情をしているが、実際は覚悟を決めたのだ。敵に立ち向かって行く覚悟を。例え、霊夢に倒されたとしても、この大会を止めるつもりなのだ。
私も、戦おう。
妖夢は四季映姫と共に抵抗することを、再度決意したのだった。
『それでは~、第二試合! 妖夢選手、四季映姫選手、入場をお願いします!』
アナウンスが入り、妖夢と四季映姫は互いに顔を合わせる。互いに笑い掛けて、そして――舞台の上へと身を躍らせた。
レミリア、妖夢、萃香、四季映姫、諏訪子の五人は、それぞれの隣人の策略により、『第一回幻想郷ロリコングランプリ』なるものに参加させられてしまう。その中で、シードはレミリア。第一回戦、諏訪子VS萃香。第二回戦、四季映姫VS妖夢となる。
そして、いよいよ第一回戦が始まるのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『さぁ、とうとう第一回戦が始まります! 選手も準備が出来たようですね! それでは、競技説明を十六夜 咲夜さん。お願いします』
「はい。えぇ、先程『巨乳5』の中に私が入るのはおかしいのではないかと言われた、十六夜 咲夜です。ちなみに、おかしくないです。生乳です。これは天然なのです。なので、決しておかしくありません。えぇ、パッドではありませんよ。私のこれはあくまでも自然物です。ナチュラルです。きちんと巨乳です。そこら辺はご了解のほどを。――えぇ、こほんこほん。だいぶ話は逸れましたが、それでは競技説明に入っていきたいと思います。この競技の趣旨は、PRです。選手が競技の内容に沿って、自分が一番魅力が出る形でPRし、オーディエンスが判断を下していただきます。すなわち、この二つの賽銭箱の内、最もロリの魅力が出ていた選手の賽銭箱にお金を入れて下さい。もちろん、百円以上で。金のうるさい巫女の条件なので、従ってくださ――へぶっ!」
どこからか飛んできた複数の座布団のような黄色い結界が咲夜の頭に直撃する。
「えぇ、失礼しました。あ、伝え忘れるところでしたが、今回は金額に上限を設けません。つまり、ポイントは百の位が一ポイントなので、最低一ポイント、一万円なら百ポイント、枚数によってはそれ以上――になります。ついでに会場提供者の伝言によると、『一万円を入れた方は、今なら一枚に付き、博霊神社特製の避弾幕御札をプレゼントします』とのことです。まぁ、効果の程は定かでは――ごめんなさい。効きます。効きますよ、これは。効くってことは十分承知しているので、その御札は投げないで下さい。投げて当たると痛いんです。お願いします。……はい、ありがとうございました。えぇ、と、これで以上です。それでは、競技内容はすでに審議が済んでいるので、対戦前に発表していきます。それでは、第一回戦。競技内容は、これです!」
上からオンバシラが二つ、上下セットで降ってきて、咲夜が上のほうを空中で止める。ライトアップされたオンバシラとオンバシラの間には幕が張っており、それにはこう書かれていた。
『ロリっ娘コスプレ対決』
「ロリっ娘コスプレ対決ーー!」
咲夜が競技内容を叫び、それにつれて観客は大いに盛り上がる。
「さて、競技内容ですが、これもいたってシンプルです。ただコスプレを着て、それをオーディエンスの方が判断してもらうだけです。コスプレの方は、参加者が選ぶのは難しいでしょうから、それぞれの審査員が選びます。萃香選手、諏訪子選手、それでよろしいですか?」
『好きにしろよ』
「はい。選手もやる気に満ち溢れているところで、早速着替えてもらいましょう。勇儀審査員、神奈子審査員、衣装選びは終わりましたか?」
「おう」
「バッチリだね」
「それでは、着替えてください」
「はいはい」
「着替えればいいんだろ、着替えれば」
萃香と諏訪子がログハウスまで移動しようとすると、咲夜から呼びかけが掛かった。
「あぁ、ちょっと待ってください」
「んあ?」
「何?」
「着替える場所はステージ上なので、戻って来てください」
『……は?』
「いや、だから。着替えはステージで行ってください」
『……はぁっ!?』
萃香と諏訪子にまるで余命を宣告されたような衝撃が走る。
「何で!? 何でステージ上なの!?」
「いや、着替えるシーンもきっちりとオーディエンスの審査対象に入りますので。出来るだけ肢体が強調されるような着替えをすると、ポイントが高いですよ」
咲夜がさも当然のごとくアドバイスを送る。萃香と諏訪子はもちろん憤然と抗議する。
「ふざけんなっ! 神を舐めてるのか!」
「第一、諸々規定に引っかかるだろうが! そんなにこの作品を潰したいのか!?」
「萃香選手が言ってることはよく分かりませんが、ともかく、あそこの幕の中で早く着替えてください。夜が明けてしまいますよ?」
咲夜が指差した方向には、後ろから強烈にライトアップされた幕が張ってあった。そこで着替えたら、確かに生身は見えないものの、シルエットなら完璧に見えてしまうだろう。萃香と諏訪子はうーうー唸る。結局埒が明かないので、屈辱に耐えながら着替えることにした。
二人が服を脱ぐシーンがシルエットとなり映し出される。観客のテンションは高い。脱ぎ終わったところで、咲夜が合図を出した。
「ここからは着る服が分かってしまうので、ライトを消します」
(もっと早く消して欲しかった……)
光が消えた幕の中で、二人は同時に思う。が、二人はすでに恥も外聞もなく、何か大切なものを失くしたような虚無感が心を支配するだけだった。
ぶっちゃけ、二人はもうやけになっている。
『それではっ! 準備が出来たようなので、いよいよ選手の登場です!』
観客、もといオーディエンスが熱狂の坩堝へと入る。冷めた目で見ているのは、もはや当の参加する本人達だけである。
「あーかこぉなぁー。伊吹ぃぃぃぃ、萃香ぁぁぁぁ!」
「しーろこぉなぁー。洩矢ぁぁぁぁ、諏訪子ぉぉぉぉ!」
萃香と諏訪子が人生のどん底に突き落とされたような面持ちでしぶしぶ歩いてくる。二人はボクサーが試合前によく着る、体が丸々収まってしまう程大きいマントを身に着けていて、どうやら、あれでコスプレを隠しているらしい。
『さて、選手が登場しましたが、二人の衣装は審査員でも知らないんですよね? 咲夜さん』
「えぇ。知っているのは、服を選んだ二人と、今服を着ている二人だけですね。どんなコスプレが出てくるのか、楽しみです。ちなみに、私は職業がそうなので、お二人の一方はメイド服を着ていると予想します」
『ほほう。メイドですか。確かにずいぶんと可愛らしいメイドが出来ますね。いろいろと奉仕してもらいたいものです』
こいつが言うと変態の言葉にしか聞こえない。レミリアはグングニルを変態に突き刺してやりたい衝動に襲われるが、霊夢の視線を感じて断念せざるを得なかった。
『他の審査員に聞いて見ましょう。幽々子さんはどんな衣装が出てくると思いますか?』
「そうですねぇ~。私はストレートにお姫様みたいな格好が可愛いと思うよ。こうフリルがたくさん付いてて~、踊るとスカートがひらひら舞って~、煌びやかだけど、どこか大人しそうな清純な女の子、みたいな?」
『お姫様ですか。いいですねぇ~。そういうのは手を繋げて夜の世界へ駆け落ちしたくなりますねぇ』
やっぱ刺す! あいつぶっ刺す! そのふざけた口に何十本も貫き刺して、そこら辺の荒地に晒してやるっ!
レミリアが勢い良く席から立とうとすると、隣の四季映姫が首を振りながらレミリアの腕を掴んだ。
視線の先に霊夢がいるのを見て、レミリアは舌打ちをして席に着くしかなかった。
『さて、それでは追加説明をしてもらいましょう。咲夜さん』
「はい。今から競技を行うのですが、一斉に行いはしません。それではオーディエンスが混乱してしまいますからね。よって、まずはくじ引きで順番を決めて、そこから競技を開始します。もう一度言いますが、オーディエンスの方々はよりロリの魅力が出ていたほうに百円以上を入れてください。それでは、くじを引きます」
咲夜がごそごそと箱を探り、目星を付けて、ピッと引く。その色は――白だった。
「はい。決まりました。初戦は諏訪子選手です。それでは、諏訪子選手、よろしくお願いします」
諏訪子はのろのろと前に出た。
『それでは、諏訪子さん。何かコメントはありますか?』
諏訪子はぷるぷると震えている。
参加者は皆、『あるわけねーだろ』と口をそろえて言う。が、
「はーい! こんばんわー! 洩矢 諏訪子でーす!」
『んなっ!?』
「えっと~、諏訪子は~、そこにいる神奈子おばさんに~」
「おばっ!?」
「『勝てば信仰獲得のチャンスだ!』とか言われて、出ちゃったんだけど~、諏訪子は見事にだまされちゃいました~。てへっ、諏訪子のお馬鹿さんっ」
諏訪子の豹変に観客はギャップ効果も相まって一気にヒートする。諏訪子は両の手をぐーにして、顎の下まで運んで、ぶりっこポーズをウィンクもセットにして取った。通常の少女なら引かれてしまうだろうそのポージングは、外見が幼い諏訪子がやると効果は覿面で、はっきり言ってしまえば萌えっ! を思わず感じてしまうの代物であった。
霜之助がタイミングを見計らい、司会を進行させる。
『うぉぉーー! な~んてかわいいんだぁ~! これにコスプレを加えるを一体どうなってしまうのでしょうか!? それでは、諏訪子選手。お願いします!』
諏訪子が顔を紅潮させて、するするとマントを脱ぐ。そこには――
『おおっとぉ! こ、これは……。す、スクール水着だぁーー!!』
諏訪子が両手を後ろに回して水着を、特に胸の辺りを強調させる。それは、至って普通のスクール水着だ。だが、諏訪子の幼く平たい胴体が、その手のマニアの本能を燻らせ、さらに胸のところにある名前を書くための白い生地には、わざわざ大きく、平仮名で『すわこ』と書かれている。マニアにはそれがトリガーになり、いよいよ本能は天を焦がす程の劫火となって胸を熱く、灰になるまで焦がし尽くした。
『それでは、神奈子さん。解説をお願いします』
神奈子が不敵な笑顔で笑い、マイクを手にして説明をし始めた。
「諏訪子がようやく本気を出してくれて、私は嬉しく思う。さて……今回、諸君は色々な衣装を想像したことだろう。セーラー服から、恐らくこの場では言えないものまでな。はっきり言ってしまえばこの人数だ。どんな衣装が出たって、裏をかけないだろう。だから私は王道で勝負することにしたのだ。諏訪子と言えば蛙。蛙と言えば、水。水と言えばスクール水着だ。どうだろうか? どうやら戦略は間違っていなかったようだな」
…………う、ウオオオオォォォォォーーーーーー!
『こ、これは深い! まさかここまで深くオーディエンスの心を読んでいたとは! さすがは神です! この戦略に、あの兵器。もうこれは諏訪子選手の勝利確定か!?』
「ちょっと、待った!」
司会の発言に割り込みが入る。司会も観衆もその声を辿ると、そこにはもう一方の審査員がいた。
「ちょっと、ちょっと。なんだい? 今の発言は? 『勝利確定か!?』だと? ふざけてんじゃないよ! まだ勝負は終わっちゃいねぇ。勝負は……これからだろうが」
ニッと、やはり不敵な笑みを湛えて勇儀は言った。司会者が自分の失言に気付き、慌てる。
「す、すみません! 私の失言でした。それでは、お次に萃香選手。お願いします!」
萃香がとぼとぼと前に出る。そこに神奈子の野次が入った。
「ふん。勇儀さんよ。もう辞めといたらいいんじゃないの? 大差つけられて、大恥を掻くだけだと思うけどねぇ」
「はん。神様さんよ。あんたの言うことは確かに正しかったよ。ただ、詰めが甘かったね」
「何?」
「ヒヤヒヤしたよ。同じもんが被ると、こっちが不利になるからね。いやぁ、どうやら私の勝ちみたいだわ」
「ふ、ふん。負け惜しみもたいがいにしとくんだねぇ」
「負け惜しみかどうか、この試合が終わったら分かるさ」
神奈子と勇儀は互いに視線を交わし、そこには見えない火花が散っている。霜之助は終わったのを確認し、司会を進めた。
「それでは、萃香さん。何かコメントはありますか?」
聞いたところで、萃香の様子がおかしいことに気付く。明らかに前の知っている萃香ではなかった。顔を赤くし、もじもじととしている。そこで、霜之助は萃香が何かをしゃべっていることに気付き、マイクを近づけた。
「……えっと、その……あの……うーん、と……あの…………が、がんばり……ます……」
マイクでもやっと拾えるくらいの小さい声で、萃香はぼそぼそと喋った後、すぐに柱の後ろに回り込んでしまった。チラッと、赤らんだ顔を覗かせて。
『……………………』
辺りはしばらく静寂に包まれる。レミリアたちの場合だと、あまりの変わり様に、口が開いて塞がらないようだ。
しかし、それは嵐の前の静けさだった。
それを裏付けるように、まるで地震が起こったかのように地が、神社が、空気が震えた。
『かっ、かっ、かわえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええええっ!』
観衆が爆発した。
『やばいです! これはやばいです! なんっという破壊力でしょう! 私はこんなに可愛い萃香選手を見たのは初めてです!』
「くそ……これが勇儀の切り札ってわけか……! 一体どうやったらあんなことを!? 教えてくれ!」
神奈子にそう聞かれた勇儀は、頬に一筋の汗を流した。
「いや……これは私の演出ではない……。くそ……なんて、なんて可愛いんだぁ! 萃香ぁ!」
「何だと!? これは勇儀の演出ではない……!? じゃあ、これは、これは一体何だと言うんだ!?」
「防衛機制……ですね」
四季映姫がぼそりと呟いた。レミリアはその言葉に反応する。
「防衛機制?」
「心にとてつもない負担が掛かった時に、ある行動を起こしてその負担から逃れようとする心の機能のことです。抑圧、合理化、同一視……その行動は様々なものですが、この場合は『退行』ですね」
「退行……ですか?」
「はい。退行とは、行動や言動が幼くなること。あの二人はこの大会から逃げたい、けれど逃げられないというジレンマが耐え切れなくなり、退行を起こしてしまったのです」
諏訪子の突然変わった幼い言動。萃香のまるでシャイな女の子のような行動。思い返せば、全て四季映姫が言ったことに当てはまる。レミリアは舌打ちをした。
「くそっ。それじゃあ、あの二人は苦しみながら、あそこに立っているのか」
「そうですね。その通りだと思います」
「そんな……ひどいです。そんなこと……」
妖夢が少し涙目になりながら、呟く。彼女の心には二人に対する心配と悲しみが支配していた。あの二人は大丈夫なのだろうか、苦しみでおかしくならないのだろうか、と。
四季映姫は妖夢のその様子を見て、そっと、妖夢に微笑みかけた。
「大丈夫ですよ。あの二人は神に鬼。心の強さだってそれ相応にあります。きっとあなたが思っていることにはなりませんから、心配しなくても大丈夫ですよ」
妖夢はその微笑みに言葉に、どこか安心感を覚える。まるで母親から頭を撫でてもらうみたいに、温かい気持ちが妖夢の心に染み渡ってくる。
「あ、競技がもうそろそろ始まる」
羨ましそうな顔をしていたレミリアがそう呟いた途端、司会が大声を張り上げた。
『それでは、萃香選手、お願いします!』
萃香は慌てながら自分を包み込んでいたマントを外す。そこにあったものをみて、司会者は言葉に詰まった。
『お、おぉっとぉ? こ、これは……ジャージ……ですか?』
観客にどよめきが起こる。司会者の言う通り、萃香が着ていたのは、何の色気もない、ジャージだった。萃香は恥ずかしそうに、もじもじしていて可愛いのだが、やはりそれでも諏訪子には及ばなかった。
辺りに高笑いが響く。
「勇儀。これがお前の切り札か? たいした切り札だよ。おかげでオーディエンスからどよめきが収まらない。どよめき勝負なら、お前の勝ちだろうがね。生憎、これはよりロリをアピールした者が勝つ勝負だ。これで、私の勝ちは確定だな」
神奈子は笑みを浮かべ、自分の勝利を確信する。ジャージでは話にならない。そう思っている。
だが、勇儀は尚のこと不敵な笑顔を崩さなかった。
「そうだな。確かにジャージでは話にならないだろう。だがしかし、誰がジャージで終わらせると言った? そもそも、ジャージはいつも、どういうシチュエーションで着ている?」
「何……? ――! まさか……」
神奈子の顔が一瞬で青ざめる。
「さぁ、萃香よ! その真価を発揮せよ!」
勇儀が指を鳴らす。まるで、最終兵器を呼び出すかのように。高らかに、自信満ち溢れた声だった。
萃香がジャージの上を脱ぎ始める。そこには、神奈子の予想通りの服があった。
『これは! 体操着です! ジャージの下から体操着が現れました!』
胸にきちんと『すいか』と書かれた体操着。しかし、それだけではまだ足りない。諏訪子にはまだ若干及ばない。だが、まだ萃香には、下のジャージが残っていた。
萃香が下のジャージを脱ぐ。
『! これは! ぶ、ぶ、ブルマです! 噂によると、外の世界ではすでに絶滅してしまった、ブルマです! 今夜、萃香選手と共に、不死鳥のごとく復活を遂げました!』
ウオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォーーーーーーーーーー!
諏訪子をはるかに超える歓声が上がる。勇儀は見事、最終兵器によって、神奈子を撃沈したのだ。
「……っふ、負けたよ」
神奈子は笑みを浮かべた。それは、先程浮かべた過信の笑顔ではなく、負けを認めた、潔い笑顔だった。
神奈子と勇儀はがっちりと固い握手を交わす。二人の顔には、互いの健闘を称え合う笑顔。そして、神奈子から勇儀へ、次なる試合へのエールも込められていた。
最初に拍手が一回。
次に拍手が数回。
その後、怒涛の拍手が博麗神社全体を覆い、二人の激戦を心の底から称えた。
投票が行われた結果は、言うまでもない。
一方、萃香と諏訪子がレミリア達がいるログハウスへと戻ってきた。
「……」
「……」
二人とも顔を俯き、一言も言葉を発する気配がない。
ログハウス内には重苦しい空気が肌を付きまとい、空気の重さに釣られて、レミリア達まで口を閉ざし、憂鬱な気分が心を支配している。
しばらくすると、四季映姫がすくっと立ち上がった。
「諏訪子さん。萃香さん」
二人が同時に顔を上げる。四季映姫は温かく、慈愛の篭った笑顔で彼女達に優しく言った。
「お疲れ様です」
その言葉を聞いた瞬間、二人の顔がくしゃくしゃに歪んで、四季映姫の胸に飛び込んだ。
四季映姫はしっかりと二人を抱擁し、母親のように頭を撫でる。
「大丈夫。大丈夫。二人ともよく頑張りましたね。私の胸でよろしかったら、存分にお貸しします。だから――気が済むまでな泣いて下さいな」
「ううっ……」
「うえっ、うぇぇぇえええん!」
その後、二人は気が済むまで四季映姫の腕の中で泣き、試合の疲れか、泣き疲れか。そのまま四季映姫の懐で、安心しきったようにすやすやと、安らかな顔で眠ってしまった。
四季映姫は、眠っている二人を優しく床に降ろし、リンッとした表情で、妖夢に話しかける。
「妖夢さん」
「はっ、はい!」
「次は私達の出番ですね」
「……はい」
妖夢に暗い影が差す。やはり、二人の試合を見て、自分がどうなるのか想像をしていたのだろう。一体自分は、どんな目に遭うのか、妖夢は不安でたまらなかった。
四季映姫はそんな妖夢を見て、柔らかな笑顔を浮かべる。
「妖夢さん。この先、一体どんな酷いことが起こるか分かりません。けれども……私達は立ち向かって行かなければなりません。例え、この身が滅びようとも」
「閻魔様……?」
「お願いするのは、憚りますが…………私と一緒に、地獄まで付いてきてくれませんか?」
「……はい!」
妖夢は四季映姫の柔らかな笑顔見て、覚悟を決めた。
一見柔らかな表情をしているが、実際は覚悟を決めたのだ。敵に立ち向かって行く覚悟を。例え、霊夢に倒されたとしても、この大会を止めるつもりなのだ。
私も、戦おう。
妖夢は四季映姫と共に抵抗することを、再度決意したのだった。
『それでは~、第二試合! 妖夢選手、四季映姫選手、入場をお願いします!』
アナウンスが入り、妖夢と四季映姫は互いに顔を合わせる。互いに笑い掛けて、そして――舞台の上へと身を躍らせた。
どれだけ悲壮な覚悟を決めてるんだwww
あと、個人的な趣味を言わせて貰うと、ジャージはぶかぶかサイズに限ると思う。袖で指の第一関節位まで隠れる位に。色は赤で。そして何より、ファスナーが一番上まで完全に閉めてある事。
そういう描写が欲しかったな(シルカ。
これは可愛いロリ
ふぅ…
2様。ありがとうございます。精一杯、書き抜こうと決心しました。
3様。そこまでの覚悟がないと金に目が眩んだ霊夢と変態共に立ち向かっていけなかったのです よ。
9様。そうですね。私が間違ってました。想像しただけで萌えました。くそっ、修行不足 だ……。
10様。お二人の健闘に拍手!(していいのか?)
11様。ありがとうございます。そして、そうですよねー。
13様。変態とロリっ娘の生き様です。