「幻想郷にはお母さん分が足りない」
霧雨魔理沙は席に着くなりそう言った。
「……は?」
対して、風見幽香は疑問符を浮かべた。
幽香は決して頭は悪くない。むしろ幻想郷古参の妖怪としてそれなりの知恵もあるし、頭の回転も速い。それでも魔理沙の言葉が飲み込めないのは一重に魔理沙の言うことが突飛だからということに他ならなかった。
幽香はまた始まったかと思いつつも、仕方なく(本当に仕方なく)聞き返した。
「……どういうこと?」
「だーかーらー、お母さんだって。お母さん。いなくね? 幻想郷にお母さん」
馬鹿かいるわ普通に里行け里。
幽香はそう言いたい衝動をぐっと抑え、会話を進める。
「……もうちょっとわかりやすく言ってくれないかしら?」
「キャラクターだよキャラクター。お母さんキャラってあんまいないだろ?」
ああ、そういうこと。
幽香はようやく合点がいったように頷いた。
しかし同時に疑問も浮かぶ。
「いや、結構いるでしょう?」
「ふむ。例えば?」
「ほら、紅魔館の門番とか、寺子屋の教師とか、山の神とか、冥界の亡霊とか、竹林の医者とか……」
「おお、よく気づいたな。美鈴はまさしくお母さんキャラだ。だけど他は違う」
「どうして?」
「なあ幽香、お母さんキャラの条件ってなんだと思う?」
「え? さ、さあ?」
突然質問された幽香は素の声で答えてしまった。く、屈辱……。
「第一に胸だ。胸がでかくなきゃ話にならん。そういった意味では今幽香が挙げたやつらは合格だ。いい線いってるぞ」
「はあ……」
段々と呆れ顔になってきた幽香であったが、一応話を聞く姿勢は取っている。
以前の風見幽香からは考えられない程丸くなっている。そこに魔理沙の目論見があった。
「ちなみに幽香も合格だ」
魔理沙は幽香の胸をじっと見た。
「あ、あんまり見ないでよ」
「ナイスおっぱい」
「やめてってば!」
普段攻めることしかしていなかったから、攻められることには慣れていないのだろう。
幽香は顔を真っ赤にして胸を両手で隠した。
「まあ話を戻すぞ。第二に強烈な職業イメージがあってはならない。これによって慧音と永琳は除外される」
「何でよ? 教師や医者やってる母親なんているでしょう」
「実際はな。だがイメージは別だ。いいか、お母さんっていうのは言ってみれば職業みたいなもんだ。つまり職業とお母さんは同じ属性になるんだよ。だからコンフリクトする。しかし実際にはお母さんは職業ではないから競合したら負ける」
下らないことをよく考えるもんだと感心しながら、幽香は話を続ける。
「なるほどね。でもなんで門番は除外されないの? あれも職業でしょうよ?」
「あれはセーフだ」
「なんでよ」
「仕事をしないんだあいつは。だから門番というイメージが薄い。それに美鈴はどっちかっていうと中国ってイメージだしな」
「確かにね。でも、中国ってイメージはいいの?」
「いい質問だ。実はそれもセーフだ。国民性や性格からくるイメージはそれが当たり前の設定となるからお母さんイメージとコンフリクトしない。想像してみろ。優しいお母さんと、教師をやっている優しいお母さん。どうだ? 前者は家事をしているような光景が思い浮かぶが、後者は勉強を教えているイメージが先行するだろう。つまりはそういうことだ」
幽香は再び、下らないことをよく考えるもんだわと心の中で思った。
「下らないことをよく考えるわね」
否。口に出していた。
「褒めるなよ。大したことじゃないさ」
「褒めてないわよ」
魔理沙はごほんと軽く咳払いをし、話を続けた。
「さて、ここからが本題だ。お母さんキャラに必要な第三の条件。実はこれが一番重要になるんだが、それは――」
「そ、それは……?」
魔理沙が余りにも真剣な顔でもったいぶるので、つい幽香も気になって聞いてしまった。
「――料理だ」
「りょ、料理?」
「そう、料理」
あれだけもったいぶった割りには普通な答えが出てきて拍子抜けした幽香だった。
「料理って……そんなの誰でもできるでしょうよ」
「カアアアッ!」
ビクッ!
魔理沙の突然の大声に幽香は驚く。
「い、いきなり大声出さないでよ! びっくりするわね!」
幽香は魔理沙に文句を言うが、魔理沙は構わず続けた。
「出ましたよ、女は料理が出来なきゃ生きる価値なし発言! 最近のUSCは世の一般女性をもターゲットとするのかぁ!?」
「そ、そこまで言ってないでしょ、大げさね!」
「いいや、言った! お前は料理が出来るってことがどれだけのステータスになるのかをわかっていない。そして料理が出来ない者にとってのさっきの言葉のダメージを!」
――ハァハァハァ。
そんなか? そんなに怒るようなことを言ったか?
幽香は激昂する魔理沙に些かの(いや、かなりの)疑問を覚えながらも、肩を怒らせて熱弁を揮う様子に怯んでしまった。
「わ、わかった。撤回するってば。ええと……それで、料理よね? 大事なのは」
「――ハッ、そ、そうだな。すまない、ちょっと熱くなっちまったぜ」
ふーーと深呼吸をし魔理沙は話を続ける。
「……ちなみに私のことじゃないよ?」
「いいから」
「くぅ……。まあ、それでだな、料理が大事な理由はわかるな? 料理ができないお母さんなんていない。必須スキルなんだ。幽々子は食う専門だし、神奈子は粥しか作れん。慧音と永琳は作れるだろうが、職業イメージがあるからダメだ」
となると――
魔理沙は人差し指をぴっと立て結論を言う。
「美鈴くらいしかお母さんキャラはいないってことになるわけだ」
魔理沙はわかったかね、ワトソン君などと芝居がかった言い方をした。
なんでこいつこんなにテンション高いんだ?
「はあ……。まあ、言いたいことはわかったわ。わからないのはなんでその話を私にするかってことくらいね」
「なんだ、わからないのか?」
「わかるわけないでしょ。弾幕をするでもなしに、家に入ってきて開口一番お母さん分が足りないだなんて。足りないのはあなたの脳みそでしょ」
「しょうがない。わからないなら教えてやろう」
魔理沙がにやあと邪悪な笑みを見せる。
「巨乳、職業イメージがない、料理ができる――――あら不思議、ゆうかりん当てはまってるじゃん☆」
「はあ!?」
「頼む! 私のために料理を作ってくれ!」
「ちょ、意味がわからないんだけど!」」
「大丈夫! ゆうかりんならできるよ☆」
「わけを話しなさい! てゆーかなんださっきからその語尾の星は! やめろそれ!」
「星は私のトレードマークだぜ☆」
「なんかムカつくのよおおおおお!」
言いたいことを全て言い冷静になった魔理沙は幽香に正座をさせられていた。
「つまり、紅い悪魔にメイドや門番の自慢を散々されてうんざりしたあなたは、メイドはいないがお母さんキャラなら紅魔館の独壇場ではないと言い、じゃあ連れてきなさいと言われ引くに引けなくなった、こういうことね?」
「……うん」
「それでなんで料理対決になるわけ?」
「お母さん度を測るならやっぱり料理だろうって」
「それで私が抜擢されたわけね」
「そ、そうなんだ。……な、なあ幽香――」
「やーよ」
「そ、そこをなんとか!」
「大体なんで私なのよ。いくら条件に当てはまっているからって、お母さんとはかけ離れてるでしょう」
すっかり縮こまった魔理沙は聞こえるか聞こえないかの声でぼそぼそと言った。
「そんなことないもん……幽香は、幽香はマスタースパークの親だもん……」
「――!」
それで妙に懐いているのか。
幽香は、なるほどだったら私も立派なお母さんかと納得しかけたがが、ふるふると頭を振り一瞬頭をよぎった考えを追い出した。
「だ、だとしても私はそんな――」
「幽香!」
魔理沙はずいっと近寄り、幽香の手を取り膝をついたまま見上げる。
「……お願い」
「――ッ!」
普段人を小馬鹿にしたような態度を取っている魔理沙がなんの含みもなしに他人にお願いをした。
その姿はまるで雨に濡れた子犬のようで、その視線の直撃を受けた幽香は何やら頭が沸騰して――
「わ、わかったわ。ま、任せなさい」
――ついそんなことを言ってしまった。
対決当日、幽香は大きな風呂敷包みを持って紅魔館へ赴いた。
太陽の光を浴びた湖はきらきらとその光を反射し、まるで宝石のように輝いている。夏の暑い日だった。
程なくすると紅魔館が見えてきた。門の前で門番が手を振っている。
私(風見幽香)が来て手を振る門番ってのもどうなのよ、と苦笑をしつつ幽香は門の前に降り立つ。
「こんにちわ」
「こんにちわ! いやあ、今日も暑いですねー。……暑くないんですか? その服装」
「この傘、植物性なのよ」
「あ、それが熱を吸収してくれてるんですね」
「あら、わかってるじゃないの」
「いえ、私も簡単にですけどガーデニングをやってるんで、ちょっとは植物について知ってるんですよ」
「いいことよ。植物は心を落ち着かせてくれるわ。今度、私特性の花の苗を分けてあげるわ」
「わ、本当ですか? ありがとございます!」
二人は簡単な挨拶をしたところで、どちらからというわけでもなく、同時に溜め息を吐く。
「なんだか面倒なことになったわね」
「本当ですねえ。いやまあ、お料理を作るのは好きなんですけどね。対決というのはちょっと……本来競うようなものでもないですし」
「全くね。子供の喧嘩にしゃしゃり出てきた親のような感じが拭えないわ」
「あはは、確かに……」
口では文句を言うものの、美鈴の顔にはそれほど不満の色は見られない。理由はどうであれ、自分のことを自慢してもらえるというのは嬉しいのだろう。ましてやそれが自分の主であれば尚更のことである。
「さ、それではご案内しますよ」
「ええ、お願い」
尤も、それは幽香にもいえることで、美鈴に案内される幽香の足取りは軽いものだった。
食堂に着くと、既に他の面子は揃っていたようで、そこにはレミリア、魔理沙、咲夜、そしてなぜか霊夢がいた。
「お、来たな。待ってたぜ」
「なんで霊夢がいんのよ」
「判定してもらうんだよ。私らだとどうしても身内贔屓になる。そこで人間だろうが妖怪だろうが平等公平な霊夢様に頼んだってわけだ」
「うふ、タダ飯が食べられるんならなんでもいいわよ」
霊夢の頬が思わず緩んだ。幻想郷のお母さんキャラを争う二人の手料理をタダで食べられるのだから無理もない。
「さ、それじゃそろそろ始めるわよ。咲夜」
「はい」
咲夜は一歩前に出て、二人に向かって言う。
「それじゃルールを説明するわね。制限時間は九十分。『え、ちょ、そんなに待つの?』食材は厨房にあるものを好きに使ってちょうだい。大体の食材はあるから問題ないと思うわ。あと、作るものはこちらから指定させてもらうわね。作るものがばらばらだったら判断もしづらいでしょうし。作るものは、スープ、前菜、主菜の三品目。ちょっと少ないけど、二人分食べるんだからこれくらいでちょうどいいでしょ。『もっと食べられるー!』何か質問はある?」
咲夜は途中入った霊夢の言葉を見事に無視する。ここら辺が完全で瀟洒なメイドと呼ばれる所以であった。
咲夜の問いに幽香が手を挙げて訊ねる。
「自分が持ってきた食材を使うのは別にいいわよね?」
幽香はどん、とテーブルの上に風呂敷包みを起き、広げる。
風呂敷の中には、光沢を放つ色とりどりの野菜が溢れていた。トマトなんかは歯を立てたら、汁が飛び出しそうなほどぷりぷりとしているし、レタスは他の野菜と擦れ合いきゅっきゅっと新鮮なレタス特有の音を鳴らしている。
「はー。どれもこれも生のまま齧り付きたくなるような代物ばっかりね。『野菜好きー!』ええ、もちろん使うのはかまわないわよ」
「よかった。なら問題ないわ。いつでも開始してちょうだい」
「美鈴は? 何か質問はない?」
「大丈夫ですよー。今日は皆さんのほっぺたを落とすくらいおいしいお料理作っちゃいますからね!」
「ふふ、楽しみにしてるわ。それじゃ、いいわね? ――スタート!」
「さ、幽香さん行きましょ。厨房はこっちですよ」
「ええ、案内お願いね」
こうして、当人たちの仲が良いという、なんとも緊張感のない料理対決が始まった。
「さ! 張り切って作りますかね!」
美鈴はむんっ、と胸を張り、気合を入れる。ただでさえ豊満な胸を張るのだから、その存在感は中華一番である。咲夜がこの場にいないことが美鈴にとっての幸運だった。
「さあて、何を作りましょうかね」
対する幽香はのんびりしたものである。
「ほえ、何を作るか決めてないんですかっ?」
「そりゃあそうよ。お料理なんて、その日の気候や気分によって変えるものでしょう?」
「はあ、すごいですねえ。私なんかはきちんと決めておかないと不安ですよ」
「てゆーか、一人暮らしだとその日に思いついたものを適当に作っていく、くらいじゃないと続かないのよ」
「あはは、なるほど。そういうことですか」
「それより、時間なくなっちゃうわよ。中華って仕込みとか時間かかるんじゃない?」
「おっと! そうでした。急がなきゃですね」
ふと、美鈴は何かを思い出したように首を傾げ、幽香に訊ねる。
「ところで、なんで私が中華を作るってわかったんですか?」
「…………」
トントントン、と包丁を使う軽快なリズムが聞こえる。
幽香が使う包丁は、まるで幽香の指先のように意のままに操られ、食材はあれよあれよとその姿を変えていった。非常に手馴れた、安定した様子であった。
幽香は向日葵柄のエプロンを身に付けている。赤いチェックのベストとスカートに黄色のエプロンがよく似合っている。普段ベストによって何となく隠されていた双丘の存在が、エプロンを締めることによって際立たされていた。この姿を見たら誰もが幽香に甘えたくなる魔理沙を理解することだろう。
トントントン、ぐつぐつぐつ、という極めて一般的な、心を落ち着かせる調理の音を奏でる幽香に対して、美鈴はカカカカカ、ジュワーッ、といういかにも中華らしい、激しい調理の音を奏でていた。これはこれで聞いていて楽しいものがある。
二人は次々と調理を進めていった。
「この音、匂い……一体何の拷問よ。いっそ……いっそ殺せ!」
食堂では霊夢がピンチだった。
九十分後――
「できましたよー!」
「できたわ」
早く食べてもらいたくて仕方がないという顔の美鈴と、別にどうでもいいといった様子の幽香の二人が、それぞれ一品目のスープを持って戻ってきた。
「キター! うぅん、いいによい~♪」
霊夢は待ってましたとばかりに目を輝かせた。
美鈴が霊夢の前に、ことりとお椀を置く。昇り立つ湯気と共にふわりと食欲をそそるいい匂いが霊夢の鼻腔をくすぐった。
「私のスープは、酸辣湯(サンラータン)。鶏がらスープをベースに醤油、お酢で味付けをしたピリ辛スープです! 日本人向けに、ラー油を少なくして、代わりに胡椒で辛みを出しました」
続いて幽香が霊夢の前にスープ皿を置く。
「私はほうれん草のポタージュ。牛乳に、細かく刻んだほうれん草、生クリームを入れてじっくりコトコト煮込んだわ。まろやかに仕上がっているはずよ。ボールに氷を張って冷やしたから飲みやすくなってるわ」
対極に位置するような両者のスープ。しかしどちらのスープもとても美味しそうだ。
霊夢はどちらから飲もうか本気で悩んだが、熱いスープが冷めるのは忍びないと思い、美鈴のスープから手をつけることにした。
「いただきます!」
「はい、召し上がれ」
霊夢は、何も考えずに一気に飲み干してしまいたい衝動をぐっと抑える。腹は減っても心は豊か。幻想郷を守る博麗の巫女はいつだって余裕を持たなくてはいけないの。自分にそう言い聞かせ、霊夢はお椀の中に入っているスープをじっくりと見つめる。
――綺麗。
それがまず最初の感想だった。醤油で味付けされたスープは茶色を基調としていたが、細く刻まれた豆腐、人参、木耳、豚肉、溶き卵によって鮮やかな色彩を放っていた。
霊夢は一緒に置かれた蓮華を手に取り、スープを掬った。片栗粉……だろうか。スープにはとろみがあり、一緒に掬いあげた具が逃げない。スープと具を一緒に楽しめる嬉しい仕上がりとなっていた。
霊夢はゆっくりと蓮華を口につけた。
スープを口に含んだ瞬間、お酢の酸味が口の中いっぱいに広がる。きりっとした米酢の酸味と、まったりとした中華黒酢の酸味が霊夢の舌を二重に刺激する。続いて襲ってくるのは辛み。コンスタントにやってくる白胡椒の辛みと、潰すと、どかんとやってくる黒胡椒の辛みが、申し訳程度にぴりりと自己主張するラー油の辛みと上手くマッチして霊夢の舌を熱くする。
頬と舌に心地よい刺激を感じながら、霊夢の意識は具へと移行していった。はらりとほどける豚肉といつの間にかなくなっている豆腐、こりこりとした人参と木耳の絶妙な歯ごたえを確かめ、咀嚼、咀嚼、咀嚼…………そして、嚥下。ごくりという音が自分の喉から大きく聞こえた。
水溶き片栗粉によってとろりと仕上がったスープは、液体とは思えないほどの飲みごたえがある。
飲み込んだ瞬間、あれだけ頬と舌を刺激した辛みはふっとどこかへ行ってしまったが、醤油の味がじわじわと舌に残っている。
ほんの数秒のこと。スープを口に含み、飲み込む。それだけの行為の中に数々の出会いと別れがあった。
霊夢はそのことに感動を覚えつつ、嘘偽りなど一つもない言葉を紡ぎ出した。
「美味しい!」
その言葉を聞いた瞬間、美鈴の顔がふにゃっとほころんだ。
「ちょ、これ本当においしいわよ、いくら飲んでも飽きない! あんた天才よ! 好き! 結婚して!」
「あは、大げさですよお」
そう言った美鈴だったが、顔を真っ赤にさせ両手を頬に当て、体全体をくねくねしている。よっぽど嬉しかったのだろう。
霊夢が、味の弾幕結界やー、と叫んだところで、幽香が割り込んできた。
「ちょっと、こっちもまだ残ってるんだからね。お腹膨らまさないでよ」
霊夢はぐっと親指を立て言った。
「私の胃袋は宇宙よ」
「いや、そんな自慢気に言われても……」
「まあ、でもそろそろ幽香の方にいってみようかしら」
霊夢は、美鈴の酸辣湯との別れを惜しみつつ、視線を幽香のスープへと移した。
「あ、私このカリカリしたパン好きー」
「クルトンね。上等なフランスパンがあったから焼いてみたわ。コンソメ粉で軽く味をつけてあるからおいしいわよ」
「いただきまーす!」
「はい、召し上がれ」
こちらも同様に、まずはじっくりと観察をする。
綺麗な緑色。まるで幽香の髪の色みたい。そんなことを思った。
よほどじっくりと刻んだのだろう、ほうれん草はもはや粒にも見えない。裏漉しをしたのかもしれない。なんにせよここまで綺麗な色を出すために幽香が相当な手間暇をかけたことが伺える。
霊夢はスプーンを持ち、スープを掬い、口に運んだ。
「――ッ」
――冷たい。
先ほど幽香が冷やしたと言ってはいたが、ここまでキンキンになるまでとは。
だけど、嫌じゃない。嫌じゃないわこれ。
甘い。幽香特製の野菜だからだろうか? ほうれん草とは思えないほどの甘みと、冷やした牛乳、生クリームがピリ辛スープによって高ぶった霊夢の口の中を優しく冷ます。
まるでのどかな牧場を思わせる牛乳と生クリームの先にあるのは…………コンソメかしら? 舌に残る微かな塩っぽさがほうれん草の甘みを一層引き立てている。
クルトンの存在を思い出す。私はこれが好きなんだ。長いことスープに浸されていたのにまだまだカリカリしている。おいしい。
なぜだろう。美鈴のスープほど出会いと別れがあるわけでもない。具が沢山入っているわけでもない。なのに、この冷たいスープを飲めば飲むほど、心が暖かくなる。なぜだか優しい気持ちになれる。
ちらりと幽香の方を見ると、幽香が不安そうにこっちを見つめていた。
ああ、そういえばまだ言ってなかった。
霊夢はほつりとその言葉を零した。
「美味しい……」
幽香が安堵の表情を浮かべた――
「幽香、ありがと……」
――のも束の間、幽香はぎょっと目を見張った。
「ど、どうしたのよ急に?」
「なんとなく言いたかったの」
「おいおい、幽香のやつ、スープで人格変えちゃったぜ」
「お、恐ろしいわね」
「恐ろしさのベクトルは明後日の方向を向いてますけど……」
「幽香ぁ~」
「ひゃうんっ!?」
霊夢が抱きついてきたので、幽香は変な声を出してしまった。
恐らく、幽香の作るスープが余りにも優しくて、何となく甘えたくなってしまったのだろう。
「うーん、やわらかーい。いいにおいー」
「ちょ、やんっ、何よもうっ。美鈴、次! 次の料理持ってきて!」
「あ、は、はい!」
美鈴が二品目を持ってきたころには、幽香もなんとか霊夢を引き剥がし、息を整えているところだった。
「はい、じゃあ次の料理にいきますね。私の次の料理はこれ! 棒棒鶏(バンバンチー)。蒸し鶏に芝麻醤(ツーマージャン)と美鈴特製だれを合わせてかけました。きゅうりと一緒に食べてくださいね」
「わあ、これも美味しそう~。いただきまーす!」
「はい、どうぞ~」
料理はまず目で楽しむ。そのことを料理自体が心得ているかのように、目の前の棒棒鶏はきらきらと煌めいていた。無論、比喩ではない。
鶏の下に敷かれた、斜め切りにされたきゅうりは、これでもか、というくらいの緑を表し、細切りにされた鶏はしっかりと火が通っていて驚きの白さとなっている。そしてなにより重要なのがたれ。黄金色のたれが、緑と白を土台とし、その存在を確固たるものとしている。
「このたれ、綺麗ね。ツー……ツー?」
「ツーマージャン。練り胡麻のことですね。小麦色一歩手前くらいになるまで炒った胡麻を、粘り気が出るまで磨ってサラダ油、胡麻油で伸ばしたものです。それと、醤油、鶏がらスープ、砂糖、みりん、生姜、にんにく、ラー油、豆板醤、あと少量のお酢で作った美鈴特製だれを合わせた、究極の黄金だれです!」
美鈴は鼻をふんふんと鳴らして力説する。綺麗と言ってくれたことが嬉しくて仕方がないらしい。
霊夢は箸を持ち、きゅうりを二枚、鶏を五、六本掴み、口に放り込んだ。瞬間、胡麻の風味が口いっぱいに広がり、鼻から抜けていく。香ばしいとはこの料理のためにある言葉だ。もちろんそれだけではない。先ほど美鈴が言った食材たちが、代わる代わる霊夢の舌に幸せを運んでくる。どうやら、丁度いい具合に鶏を掴んだらしい、腿肉と胸肉がそれぞれの個性を活かし、絶妙な歯ごたえを楽しませてくれる。腿肉は筋に沿って切ったのだろう、腿のぷりぷりとした弾力を壊さず、且つ、歯を通したらぷつりと切れる歯ごたえ。逆に胸肉は筋に逆らって、横に切ったらしい。それによって、歯を通すまでもなく、舌ではらりとばらけ、しかし胸肉としての矜持を忘れるでもなく、ぎゅっとした歯ごたえも残している。
二つの鶏肉の感触を文字通り噛み締めていると、それを飽きさせないために、きゅうりがシャキシャキとした爽やかな食感を演出してくれる。にくい。
霊夢は、お口の幸せを胃にバトンタッチして、とろけるような笑みで言った。
「これも美味しい~♪」
つられて美鈴も笑顔になる。
「よかったぁ~。時間が短いから茹で加減不安だったんですよ~」
霊夢はうましうましともりもり食べる。
今回も霊夢が、きゅうりと鶏肉と胡麻だれのワルツやー、と叫んだところで幽香のストップがかかった。
「んもう、この子ったら止めないといつまでも食べ続けるんだから……。はい、お肉のあとはお野菜よ」
「はーい」
幽香は二品目の料理を霊夢の前に置いた。
「お、おーう。シンプルで良い感じ~」
霊夢の前に置かれたのは、サラダ。細く切られたレタスの上にしらすがまぶされており、トマトがいくつか添えられている。櫛切りにしたトマトを更に真ん中から半分に切り、食べやすいように配慮されている。細かいところにまで心遣いが行き渡っていて嬉しい一品だった。
「これ幽香が作った野菜なんでしょ?」
「ええ、そうよ」
「期待できるわね。ところで、何で食べるの? ドレッシングが見当たらないんだけど?」
「それは、これよ」
幽香はとん、とん、と二つの容器を霊夢の前に置いた。
「これは、塩と、胡麻油? なんか急に手抜きになったような……」
「いいから食べてみなさいって。胡麻油は多少多めでも大丈夫よ」
霊夢は塩と胡麻油をサラダの上にかけ、混ぜてみた。
霊夢はレタスに塩ってどういうことよ、と文句を垂れたが、ものは試し。箸でごそっとレタスの束を掴み、口の中に入れる。
「――ッ」
霊夢の顔に驚きの表情が広がった。
「あれ、おいしいっ。なんでなんでー?」
言われた通りに胡麻油をかなりかけたので、もしかしたら少し油っこいかもと危惧していたのだが、しゃきしゃきといい音を出すレタスの清涼感によって見事に中和されている。しかもレタスが甘い。
幽香特製の野菜は伊達ではなかった。
更には、紅魔館に来るまでの間に汗をかいたからか、塩分が驚くほど自然に体に溶け込んでいく。
知らなかった。レタスと塩が――否、レタスと塩と胡麻油の相性がここまで良いなんて……。
トマトを口に放り込んでみる。予想はしていたが、甘い。しかもただ甘いわけではなくて、甘さを引き立てる程度の酸味もしっかりと備わっている。水分を沢山含んでいて非常に美味しい。
――なるほど。食材のおいしさをフルに引き出すための、あえて飾らない味付けってわけね。
霊夢は大いに納得した。箸が進む進む。
「やだこれ、いくらでも食べられるっ」
「ふふ、ゆうかりん印のお野菜は幻想郷一よ」
「いいなーいいなー。私も早く食べたいぜ」
「全くね」
「勉強になるお料理ばかりですわ」
「あら、あなたたちの分はないわよ?」
「「「えッ!?」」」
「あはは、嘘よ。ちゃんと用意してあるわ」
無理矢理引っ張り出されたんだ。このくらいの仕返しはしてもいいだろう、という幽香のちょっとしたお茶目だった。
観客三人は心底安心したように溜め息を吐いた。
「さ、ではそろそろ私のメインディッシュといきましょうか」
美鈴がおやつを目の前にした犬のような、きらきらした表情で言った。よほど自信があるのだろう。
大きな平皿を持ってきた美鈴は胸を張って言った。美鈴はどこからか鋭い視線を感じた。
「じゃーん! メインディッシュはこれ! 什錦炒飯(シーチンチャーファン)。五目チャーハンです!」
「キャー! 素敵ー!」
「もはやこの場で長く語るは無粋というもの。さあ、召し上がってください!」
霊夢は両手を合わせて高らかに宣言する。
――挨拶「いただきます」――
まるでスペルカード宣言をした時のようなエフェクトのかかった挨拶をした霊夢は、しかし、やはりまずはじっくりと見た目から楽しむ。
砂金? いいえこれはチャーハンです。
霊夢は心の中で自分にツッコミを入れた。
「すごいわね……、卵の形が一切見えなくて、代わりにお米全部が金色に光っているわ。一体どうしたらこんな綺麗なチャーハンができるの?」
美鈴はよくぞ聞いてくれました、とばかりに胸を張った。美鈴はやっぱりどこからか鋭い視線を感じた。
「ふっふっふ、それにはちょっとした秘密があるんですよぉ。普通は卵をフライパンに入れてから、ご飯を入れるんですけど、今回私は最初に卵ご飯を作ったんです。その時によく混ぜておけば、簡単に黄金のチャーハンができちゃうんですよ」
「へえ、よく考えるもんねえ」
霊夢は感心したように頷き、視線をチャーハンに戻す。
具は、細かく刻んだエビ、チャーシュー、アスパラガス、長ネギ、貝柱、黄韮。五目チャーハンという品名なのに六目あって、お得感をくすぐられ嬉しい一品。色彩的にも、赤、白、黄色、緑と見た目から楽しめる。
霊夢はもはや我慢できぬ、と言わんばかりに蓮華でごっそりチャーハンをかきあげ、がっついた。
――お米特有のもちっとした食感がない?
幻想郷には日本米しかないはず。それをどうやってここまでパラパラのチャーハンに仕立て上げたのか……。
霊夢の驚きの表情を捉えた美鈴は、どうやら霊夢が何に驚いたのか推測できたらしく、自分から説明をしてきた。きっと尻尾があったらぶんぶんと振っているのだろう。
「お米は、普通に一対一で炊いたらチャーハンはパラっとなりません。だからチャーハンに使うお米と水は、五対三くらいがちょうどいいんです」
なるほど。美鈴はきっと、チャーハンを作るに適した炊き方を何度も何度も試行錯誤したのだろう。
霊夢はただただ美鈴の調理の腕に、料理への執念に賞賛を送る以外になかった。
エビのぷりっとした食感、チャーシューの濃厚な味わい深さ、油を中和するアスパラガスの爽やかさ、恐らくパラパラ感を醸すために一役買っているであろう刻み長ネギのにくい演出、不意に襲い来る貝柱の意外な歯ごたえ、そして黄韮の甘み……。
全ての食材が渾然一体となって霊夢の舌、頬、喉、胃、そして感情を揺さぶってくる。
食材よ、ありがとう――
感動を、ありがとう――
なんて、中華、一番――
霊夢は頬に一筋、涙を流し、言った。
「……美味しい、です!」
霊夢と美鈴は熱い抱擁を交わした。
日中関係が未来永劫約束された瞬間だった。
「ちょ、ちょっとー! 私のが残ってるってばぁ!」
「ハッ、ごめんごめん。あんまりにも美味しいもんだから、ついテンションが上がっちゃったわ」
「もう……、私のメインディッシュ食べられるんでしょうね?」
「私の胃袋は――」
「はいはい、宇宙宇宙。じゃ、持って来るわよ」
「あーい」
なんだかんだで幽香もノってきてるらしい。すっかり真剣になっていた。
戻ってきた幽香は無表情を装っていたが、やはりさすがに少し緊張しているらしい。若干だが表情が硬かった。
「はい、夏野菜の冷製トマトスパゲティ。作っておいてなんだけど、あなたセロリは大丈夫? 結構好き嫌いの分かれる食材だから……」
「夏はだめだけど、セロリは好きだったりするわよ」
「そう、それならよかったわ」
「いっただっきまーす♪」
「はい、どうぞ」
目の前に料理を置かれ、お預けを食らうのもいい加減慣れてきた。尤も、見た目を楽しむために自らしているわけだが。
トマトソースの赤をベースに(恐らくお手製だろう)、短冊切りにされたセロリ、輪切りにされた茄子、千切りにされた白髪ネギで濃淡がはっきりした綺麗なスパゲティとなっている。ところどころに散らばっているのは……カマンベールチーズってやつかしら?
非常に彩り豊かである。
ざくざくとそれぞれの具をフォークで刺してから、パスタを巻きつける。全部の食材をいっぺんに食べたいもの。(本場ではスプーンを使うのは子供だけらしいわよ)
大分大玉になってしまったが、霊夢は一口でそれを含んだ。
もごもごと一生懸命食べている霊夢は、端から見るとリスみたいでとても可愛い。
冷製スパゲティというだけあって、冷たい。それにセロリやネギの独特の風味が利いていて、あっさりしていて食べやすい。しかし、それだけではない。茄子が油とトマトソースをたっぷり吸っていて、噛むとじゅわっ、とおいしい汁が溢れてくる。それにカマンベールチーズがパスタの単調な歯ごたえに一陣の風を吹かせていた。
これは、この一品はまさしく夏が与えてくれた奇跡。
霊夢は、どうしようもない程の感動を、その言葉でしか言い表せないことにもどかしさを感じつつ、それでも精一杯の感情を込めて叫んだ。
「美味しいッ!!」
霊夢は涙ながらに言い続ける。
「うえーん、美味しいよ幽香ぁ……。んぐんぐ、とっても美味しいよぉ……んくっ」
「……もう、泣くか食べるかどっちかにしなさいよ」
自分の料理が、誰かにこんなに喜んでもらえるなんて……。
幽香はそのことに感動し、思わず滲みそうになった涙を隠すために、少し突き放した言い方をした。しかし、その声がどうしようもなく優しかったことを本人は気づいていなかった。
「……なんだか、どっちが優れてるとか、どうでもよくなってきちゃったな」
三人のドラマを眺めていた魔理沙がぽつり言った。レミリアもそれに同意する。
「そうね……。なんだか過去の自分が恥ずかしくなってきたわ」
「形だけでもさっさと勝敗決しちゃって、早くみんなで食べましょう」
柄にもなく咲夜に余裕はなかった。咲夜は霊夢に呼びかけた。
「霊夢、感極まっているところ悪いんだけど、一応これ勝負なのよね。どっちの料理がよかったか、判定してもらえるかしら? どうやらもう魔理沙とお嬢様が限界らしいのよ」
「おいてめえ!」
「咲夜! あなたが言ったんでしょう!?」
空腹のためか、姑息な一面を見せた咲夜であった。
「う……そうね、そのために呼ばれたんだものね……。うぅー……」
霊夢は上目遣いに幽香と美鈴、二人の顔をちらちらと見上げる。本気で悩んでいるらしい。
「霊夢、私たちに気を遣わなくてもいいわ。あなたがよかったと思う方を選びなさい。元々私たちは勝負とかそんなのあんまり考えてなかったし、ね?」
「そうですよ。私は霊夢さんがあんなに美味しそうに食べてくれただけでもうお腹いっぱいです」
「そ、そう? じゃあ、うぅ……選ぶわね?」
霊夢は意を決したように頷き、ごめんね、と呟くと、この対決の勝者の名前を告げた。
「……幽香、かな」
「えッ?……あ、ありが、とう……」
自分が勝つとは思っていなかったのだろうか、幽香は目をぱちくりさせていた。
「負けちゃいましたかぁ。……まだまだ修行不足ですね」
美鈴の言葉に、霊夢は慌てて付け加える。
「あ、ううん。違うの! 美鈴の料理もとっても美味しかった! 二人の料理の腕に差はないと思ってるわ。……ただ、ね。なんとなく幽香の料理の方が今日は食べやすいかなって思って……。本当にそれだけの差なの」
「――ッ!」
美鈴の脳裏に、幽香のセリフがフラッシュバックする。
――お料理なんて、その日の気候や気分によって変えるものでしょう?――
「そっか……あれはそういう意味だったんだ」
美鈴は、なるほどなー、と一人合点がいったように頷いた。
別段、ショックを受けているわけではなさそうだった。
「いや、勉強になりました。思えば最初から勝負はついていたんですね」
「そんなことないわよ。正直、中華がここまで深いものなんて思ってなかったわ。今日はたまたま運がよかっただけよ。次は負けるかもしれないわ」
美鈴は、ううん、と首を横に振った。
「食べる人のことを考えて料理を作った幽香さんには完敗です。幽香さんは本当に良い料理人――」
美鈴は何かを思いついたのか、言葉を一旦切って、言いなおした。
「――いえ、本当に良いお母さんなんですね」
幽香の顔が、ぼっ、と赤くなる。
「な、ば、何馬鹿なこと言ってるの!? や、やめてよもうっ、本当に……」
「あはは、幽香さん赤い~」
「う、うるさいわね!」
「……なんか私たち、空気ね」
「……そうだな」
幽香と美鈴が仲良くしている横で、魔理沙とレミリアは若干の切なさを感じていた。
「はい、勝者風見幽香ー。それではみんなで食べましょうー」
咲夜がちゃっちゃと場を仕切った。どうやら完全で瀟洒なメイドというのは一日は持たないらしい。
「あ……」
美鈴は思い出したように、とととっ、とレミリアの方へ近づいた。
「お嬢様……」
美鈴は俯きながら言った。
「お嬢様、ごめんなさい。せっかく期待してくださったのに、負けちゃいました。本当にごめんなさい」
美鈴は深々と頭を下げた。
それに対してレミリアは微笑みを浮かべ、優しい声で言った。
「いいのよ。あなたは紅魔館の一員として恥ずかしくない仕事をやり遂げたわ。それを誇りに思いなさい」
「お、お嬢様……」
美鈴の目尻に涙が溜まる。しかしそれを吹き飛ばすような笑顔で美鈴は応えた。
「……はいッ!」
魔理沙がもう我慢できないとばかりに叫んだ。
「よし! じゃあみんなで幽香と美鈴が作ったご馳走を食べようぜ!」
魔理沙の掛け声に全員が反応した。
「「「「「おーッ!」」」」」
「って、霊夢! お前まだ食うつもりかよ!?」
「ふふん、言ったでしょ? 私の胃袋は――」
次の瞬間、霊夢以外の全員が声を揃えて言った。
「「「「「はいはい、宇宙宇宙」」」」」
「な、何よみんな揃って! もう!」
一同は二人が作った料理に舌鼓を打った。
そして、料理を食べ終えた霊夢、魔理沙、咲夜、レミリアは口を揃え、いっせーのせ、で言った。
「「「「幽香ママ、美鈴ママ、ごちそうさまでした!」」」」
「「なッ!?」」
二人の顔は、トマトよりもラー油よりも真っ赤になったという。
――暑い暑い、夏の紅魔館での昼のことだった。
幽香りんママにおもわずハァハァしてしまいました!
『ママ』と言われて顔を赤くする二人や会話など面白いお話でした。
料理の描写も凝っていて楽しい。
妙にツボったwww
読者を空腹にしたということだ!!
この幽香はゆうかママじゃない!のうかりんだ!
危うくオレも騙されかけた…
あと神綺ママンもよろしくね。
凄く腹が減ったぞ!どうしてくれる!
東方って凄いね、こんな二次創作まで作れるとは
あ゛、なにwおs
堪えられなかったんだ…
幽香ママのイメージって何故かしっくりくるのは何故なんでしょう。
ご飯が…食べたい…です…
その一言に尽きる
だけど成功したことが無いんだぜ!
なんかカレー食べた後なのにもっと食べたくなった…
手料理いいなぁ…
ゆうかりんはお母さんでめーりんは嫁にほしいと思いました。乙。
究極加虐でないゆうかりんもいいものだね
そして腹減った…夏野菜スパの説明で腹がきゅーきゅー鳴いた
エプロンゆうかりん最高です!
飯食いたい!!!!
美味しいご飯食べたい。最高だ。
でもどうせ夏バテしたら、ゆうかりん食べたくなるんだろうけど!
てか霊夢の胃袋が宇宙なら幽々子は何になるんだ…?ww
それはそうとこんな深夜に腹が減っちまったぜ
どうしてくれるんだ
黄金チャーハンは知ってたけど米と水の比率は知りませんでした。
野菜が食べたい!!
幽香ママ、美鈴ママありがとう!!!
ともあれこれはお腹が減るお話にしていいお母さん話。素晴らしいお話をありがとうございます。
霊夢の反応がいちいち可愛すぎるw
ちょっと二人の料理作ってくる!!
個人的には幽香ママの方が良いかな、何となく食べる人のことを考えてると思う。
頼む、飯作ってぇ!!
感じてしまった………!!!!!幽香お母さん……!!
オレはセロリ嫌いだけど、幽香さんの料理なら食べれます!!!!
自分の弱点としてテンポが早すぎる、というものがありました。
それを、あっさりという言葉にできるくらいには成長できたのかなぁ。
>8
どうぞ甘えてください!
これからもあまあまゆうかりんを頑張って書いていきたいです。
>雅さん
それに関しましては長くなりそうなので、ブログの方に書こうかなって思ってます。
>煉獄さん
僕の頭で描いている微笑ましい雰囲気を上手く伝えられるか不安でしたが、そう言っていただけて安心できました。
>14
究極の評価がここにあった・・・!
>16
はい、ゆうかりんではなく、ゆうかママですw
>17
ちょうど夜食の時間ですね。文章をつまみにお酒などをどうぞ……なんて言えるほど完成されてはいません。いつかは……。
>はるのさん
自分は知っている料理だから、表現に過不足がないかよくわかりませんでした。
杞憂に終わってよかったと思っています。
>21
夢の合作ですね。僕も食べたい。
>27
ぼくのかんがえたさいきょうのすぺる!
>29
ごめんなさいと言わざるを得ない。
>32
ブログで書きますっ。
>39
100点がいっぱい! 不思議!
>44
な、なんだってー! 自分の作品に騙されるところでした。危ない危ない……。
>45
それについてもブログでっ。
>46
そ、それについても……。
>56
そうなんです。東方のおかげなんです。すなわちZUNさんのおかげなんです。
僕は素晴らしい作品にあやかっているに過ぎなかったりします。
とある有名な歌でもありますけど、そのことに感謝をしつつ、僕は自分だけの文章を書き続けたい。
そう思っています。
>57
とりあえず落ち着いてゆうかりんの笑顔を思い浮かべるんだ。
……お、落ち着けない!
>62
夕飯前にお腹膨らませないでよ! ってゆうかりんに言われたい。
ですよね?
>66
なんでですかね? プレイヤー共通の夢みたいなもんなんですかね?
>67
博麗の巫女になれば食べられますよ。
>69
あらあら向日葵太郎ったら……。って言わせたい。
ごめんなさい、わかりづらかったですね。
>71
ありがとうございます。その言葉が何よりの励み。
>72
一般の家庭の火力では難しいかも知れません。
ご飯をちょっと冷ますといいですよ。
>75
味付けはどうでしたか?
>78
わかってくださいますか。
>79
好きこそものの上手なれ。
でも、色々穴があって突っ込まれないか不安でしたw
>82
夏野菜の冷製スパゲティでもいかがでしょう?
>83
ご満足いただけて何よりです。今更になって、バジルを乗せてもよかったなーと思いました。
>84
エプロンゆうかりんいいですよね! その言葉、ちょっと覚えておいてください。
>87
だ、だめだー! こんな時間に食べたら太る!
>88
む、僕のゆうかりんに向かって幽香ちゃんなんてなれなれしいですね。
なーんて、ゆうかりんはみんなのものですよね。ごめんなさいw
>89
ゆうかりんの料理を、ではなくゆうかりんをですかっ。
>93
説明の足りないレシピですが、よろしかったらどうぞ。
>95
サンラータンは、それほどカロリー高くないですよ! おすすめ。
>98
こういう感動があるから文章書くのはやめられない……。
とはいってもまだまだ駆け出しですがw
>99
たすけてゆうかりーんと叫べばいいのです。
隣人に心配されますけど。
>101
謝謝称!
>104
あくまで目安ですので、美鈴みたいに何度も何度も作って自分のお好みのチャーハンを完成させてください。
>てるるさん
たまには生も悪くないですよね。きゅうりとか。あれにとりがこっちみてる。
>112
すっかり空気だけど、切欠を作ってくれた魔理沙とレミリアも割りとMVP。
>岩山更夜
わあ有名人! いつも綺麗なお話をありがとうございますー。
そ、それに関しましてはブログにて……(汗
>114
何事にも無関心な霊夢も有りですけど、僕は表情豊かな霊夢が好きだったりします。
>気まぐれ娘さん
スパゲティは氷水で冷やすので、普通より長くボイルした方がいいです!
>118
そうですね。僕もどっちかっていったらゆうかママがいいかな。ただ、それは美鈴が食べる人のことを考えていないのではなくて、余裕がなかったということだと思います。
テンパる美鈴、よくないですか?
>122
優しさを胸に明日を見、今日を生きる。そんな少女たち。
ゆうかりんは来年の夏に、何を期待しているのでしょうか。
>126
お母さんを独り占めしようとして成功した子供はいませんよ!
>136
夕飯時に空腹を感じてしまってるやつは本能的に長寿タイプ
>斗無さん
そこに目をつけてくださるとは……。なんというかありがとうございます。
>139
コメントを読み終えた後の充足感もたまりません。
しかしあるのはカップラーメン。
だれかボスケテ
さんをつけるの忘れてました……すいません。
>気まぐれ狼さん
娘じゃなくて狼だったー! ……すいません。
なんかだめだめだorz
>143
ありがとうございます!
これからも頑張って描写力を上げていきたいと思います。
>147
麺をフライパンで焼いて、スープに片栗粉を入れて少しでもおいしくしてやろうと頑張ってみたことがあります。
割りとイケますよ?
>たぁさん
突破したなら大丈夫w
それはさておき母性溢れるゆうかりんに、ご飯を作ってもらいたいです!
こんな時間だろうがいくらでも食べるぞーー!!
そして和みすぎてもう...もう...!
俺としては此処が見事にツボだった。そして腹が減ったどうしてくれる。
非常に良いッ!!
そしてほかの方と同じくこんな時間なのにお腹すいた……
きっと、ぶちぶちと文句を言いながら、でもきちんと色々考えて作ってくれるのでしょうね。
僕も食べてみたい。
>162
霊夢の表現など、ちょっとやりすぎかなーと思ったりもしましたが、そう言っていただけるのなら良かったです。
>164
幽香も好きだけど、魔理沙も好きなのです。
空腹については、責任を負いかねます。←言ってみたかった。
>168
ありがとうございます。皆さんのお腹をもっと空かせるために、表現力を磨いていきたいと思います。
>169
五右衛門ってパスタ屋さん、結構おいしいですよ! チャーハンは……どこだろ。
>171
シリアスやギャグが、今のところ書けないので、他の作者さんたちを羨ましく思っているのですが、そう言ってもらえるとこの路線もありなのかなーと思えたり。
水にシロップとポッカレモン入れるだけで簡単ジュース。夜中の間食は体に悪いので、水分で我慢ですっ。
チャーハンと冷製ポタージュ食べたいですー。
そうだ、明日はチャーハン作ろう
見事に料理の描写が脳内再生されました・・・美鈴と幽香が料理している姿まで
このどMどもめ!!!
このお話はいい意味で幽香の魅力に溢れてて素敵でした。
ちょっと俺もパスタ茹でて来る。
そして俺の空腹が有頂天になった!この空腹はしばらく治まることを知らない。
ちょっとルーミアと食事に行ってきますね^^
カカッ
ほんわかめーりんお母さん。
二人ともとても素敵でしたが、何より霊夢がとてもかわいい
作品だと思いました。
さぁ、このノリでほんわかめーりんお母さんを書く作業に(ry
今日は夕飯が美味しく食べれそうですw
いいですねそれ。すごい幸せ空間。
しかし理由付けが考えられない……っ。
>176
めーりんはちゃんとポニーテールにしてましたか?
そこは譲りません。
>177
これからもっともっと幽香の魅力を出せる作品を作っていきたいと思います。
>181
逆に空腹のときに読んでもらわなかったら100点もらえなかったかも。
>182
もしかして地獄行きでしょうか。
それはともかく、ルーミアに食べられないようにお気をつけて。
>184
地雷踏んだらマスパです。お気をつけて。
>185
幽香ファンとして自然なこと。変態ではありませぬ。
>196
もうちょっとリスっぽい霊夢を表現したかったですが、気に入ってもらえて何より。
いずれめーりん主役の話も書きたいですねえ。
初っ端からキュンとさせられました。
SSには色々な形ありますけども、楽しくなるSSってこういうのなんだなあって思いました。
それいいですね!
いわゆるラストスペルってやつですね。
>201
なんというありがたいお言葉。
これからも楽しく文章を書いていきたいです。
御馳走様でした!
畜生・・・自分の嗜好が憎い。
上記の理由で-10点、内容は文句あるやつは出て来いやってくらいに100点ですw
穴だらけのレシピですが、自分流にアレンジして作ってみてはいかがでしょうか?
>213
お粗末様でした。次も頑張りたいと思います。
>215
美鈴も共犯ですね。お、恐ろしい。
>216
ありがとうございます。二次設定では対極にある二人を上手く使えるか不安ですたが、気に入っていただけて何よりです。
>MOTさん
実質100点ありがとうございますっ。
僕がトマト好きだから、これからもトマト料理を出しちゃうかもです。
ご了承ください。
それはそれとして、いいもん見させて頂きました。
あえて言おう…、「ごちそうさま!」
お粗末様でした。
そのセリフ、なんで投稿する前に教えてくれなかったんですか!!(無茶な
ありがとうございます。
今後はひねりのある展開なども考えていきたいです。
この世にこれほど相性のいいものがあるだろうかッ!
カレーとライス、牛乳とあんぱんが、かろうじて太刀打ちでもるかもしれない、くらいですね。
ヤバイ、猛烈な空腹感が・・・ちょっとチャーハン作ってくる。
いつの間にか15000点超えてたんですね……。
ありがたいことです。
私も幽香さんみたいな『お母さん』になりたいものです。
それは無理か……
ありがとうございました~。
まず料理を始めるところからですね。
風呂敷を持つ姿にもお母さんを感じます。
ゆうかりん大好きです。
ゆうかりん作品をどんどん増やしていきたいですね。
おもろい
冷製スープに夏野菜、まさに暑い夏を乗り切るためのゆうかりんママの愛、思いやりでなんですね(ホロリ
霊夢がセロリ食べられなかったらゆうかりんママの好き嫌いは駄目よという説教タイムが始まっていたのでしょうかwww
SPELL BREAK
――要求「おかわり」――
素晴らしいssでした。
20000点に届くべき作品。頑張れ
葉月さんの書く料理系の話とても好き。