ギシギシ、と小さな音を立てて床が軋む寺子屋の廊下。
何年もの間子供達の声を聞き続けてきたそこを歩きながら、私はこの寺子屋の歴史を振り返っていた。
教育を始めて早五十年。かつて全学年で合同授業をやっていた当初は、こうして私が直接の指導をしなくなって校長という事実上の名誉職に就くなどとは考えてもいなかった。
人間が着々と増え始めたことにより寺子屋はどんどんと拡張され、気付けば6学年を15人1クラスずつ。当初の数倍の規模にもなった。
当然こうなっては私一人で教鞭を取ることなどできはしない。暇そうにしていた9代目御阿礼を引っ張ってきたものの、それでも全く足りはしなかった。
かつてこの寺子屋で学んだ人間に頼むことも考えたが、流石に本職を放り出して働いてくれと言うわけにもいかない。
それに学ぶ能力と教える能力は全く異なるものだ。名選手名監督に非ず、とは良く言ったものだ。
そこで私が考えたのが、阿求以上に暇を持て余している妖怪達に教鞭を執ってもらうことだった。
私の憶測としては、妖怪達の反応はそれ程悪くないだろうというものだった。自身の長すぎる生を持て余す妖怪はこの幻想郷に数多く存在する。そしてそういった妖怪達は大抵それまでの長い年月で培った知識を披露したがるものだ。
平たく言えばじーさんばーさんは自分の若い頃の話をしたがる、ということだ。八雲紫なんかは典型的な例だな。おい痛いぞ、やめろ。スキマから腕だけ出して殴るんじゃない。
とにかくそれ故に妖怪達の快諾を得るのはさして難しいことではないだろうと思っていた。もちろん報酬などの条件は詰める必要があるにしても。
だが、人間側はどうか。スペルカードルールの制定により今では直接敵対することは無いにしても、かつては敵対していた妖怪に自分の大切な子が師事するなど、親として許せないのではないだろうか。
そう危惧して朝からこっそり見守っていた私が新生寺子屋初日に見たものとは。
「俺、藍先生の生物の授業受けるんだ。もふもふ尻尾にしがみついてもいいよね、子供だから」
「メガネスーツのゆかりん先生に決まってるだろ!つまづいて抱きついても合法だな、子供だから」
「うっ、体の調子が!これは保険医えーりんさんのところ行かないといけないな。うん仕方ない、子供だから」
もちろんそんな不埒な大人達は全力で排除したわけだが、人間が増えるということはこんな困った大人達も増えるということだ。今のような笑い話になるようなものならいいが、世間はそう甘くは無い。
諍いやいざこざは昔より目に見えて多くなった。今は毎日里長や里の有力者と規律について話したり、喧嘩の仲裁をしたりと、夜には疲れ果てていることも多い。
だが、そんな毎日でもこうやってたまにこの寺子屋を訪れて廊下を歩いていれば、教室から聞こえてくる元気な声が私を奮い立たせてくれるというものだ。
今日も扉越しに聞こえてくるのは生徒達の元気な声。
「先生、答えは酸素です!」
やるじゃないか範馬。だがわかった時にはもう遅い。
「空気中に発生した1万ボルトのプラズマスパイラルを孤立波によって無限遠にまで到達させるのがギャラクティカファントムなんだよ!」
人読んでドイツのスーパーコンピューター、ヘルガもびっくりな考察だ。いいぞ木林。
「くっぱ七十二!くく八十八ィ!」
「いつ聞いても田沢の九九は心にしみるのう」
このクラスは聞かなかったことにしよう。
とにかく子供達の声は私にとってのカンフル剤なのだ。
こういった声が聞きたいからこそ私は寺子屋を始めたわけで、授業に直接関われない今の立場は正直言って寂しい。
だが、私が待ち望んでいた人口増加があったからこそ今の状況があるわけで、この気持ちは二律背反と言ったところか。
はと言えば人間の数が増えたのはそれもこれもみんな……
「せーしでーす!」
そうそう、それもこれもみんなせーしのおかげなのだからな。君達のお父さんが頑張って産めや増やせやをモットーに……ってそんなわけあるかーーーーッ!
私はすぐさま声の聞こえた教室へと飛び込むと、必殺の卍固め、通称オクトパスホールドで教師の体を絡め取った。
「だぁれが保健体育の授業をしろと言った! 今は歴史の時間だろう!」
「っちょっ、慧音さっんんんんギブ! ギバップ! ギバーーップ!」
全身の骨が立てるミシミシという音に、そろそろ頃合かと私は最近外敵もいなくて暇になった紅魔館の門番、美鈴を離した。
「で、何故歴史の授業でそんなことを教えている」
「いや、そんなことも何も一体全体何が悪かったのかすら……」
コイツめ、まだそんなことを言うか!いいだろう、それならこちらにも考えがある。
「ならばお前が先ほどまでしていた授業をお前の歴史から読み取ってやるとしよう、相当な羞恥プレイだぞこれは」
「は、はぁ……どうぞ」
観念したのか美鈴は一気に静かになった。しかし私はそんなことでは容赦はしない。
このまま歴史を読み取って……ぇー、これは……うん、あれだ。どうみても正史です。本当にありがとうございました。
「美鈴さんホントすいませんっっしたぁーーーーッ!」
渾身の土下座が老朽化した床を叩き割った。
授業の後、私は美鈴と共に近くのラーメン屋で昼食を取っていた。
他の誰かと一緒ではこんな野暮ったいところには中々来れないのだが、こう言う時相手が彼女だと気疲れしなくていい。
例えばこれが十六夜咲夜とアリス・マーガトロイドのコンビだったら、こんなところで油ギットギトのとんこつラーメン大盛り替え玉二丁に半チャーハンセットを頼んだりすることはまずないだろう。
代わりにJAZZYな音楽流れる小洒落た喫茶店でァカップォブコーフィープリーズ、とか言ってる。間違いない。
それに引き換え気を使わなくていい相手は楽なものだ。普段通りの自分そのままでいられることがどれだけ幸せか。ズルズル、と丼に残った最後の麺まですすると、私は店主に三杯目の替え玉を頼んだ。
そんくらいにしといたほうがいいっすよ、と店主は苦笑いしながら厨房へと消えていった。
こうして美鈴と食事をするのもこれで何度目だろうか。午前中の授業の終わりとともに本来の職務たる門番へと戻っていく彼女。せっかくだからその前に食事でも、と誘ったのがきっかけだった。
それ以来、このラーメン屋を始め色々と食べ歩いてきた。この店はその中でも一番の名店だ。今では二日に一回は来ている程だ。
「あ、店主チャーハンもおかわりで頼む! ……しかし美鈴、本当にすまなかった。もう一度非礼を詫びさせてくれ」
「あぁいえ、こちらこそ紛らわしくて。すいませーん。私もチャーハンお願いします」
「いや、あれは完全にこちらの一人相撲だ。歴史に携わる者がまさか正史三国志と……うん、まぁアレを勘違いするとは」
美鈴の授業の歴史を読み取ってわかったのは、彼女が正史三国志と三国志演義の差異について話しているということ。
その違いをありていに言えば、事実に基づいているもののお話として楽しむべき三国志演義、なるべく事実そのものを描いたのが正史三国志、といったところか。
とは言っても正史の方も完全に事実ばかりとは言えないのだが、当時の情報インフラを考えればそれは仕方の無いことだ。
他国の話など噂話のような形でしか伺い知ることはできないし、直接経験した人に聞いたとて個人の主観や誇張が入ってしまう。
八百騎で十万の大軍を蹴散らしたという張遼の逸話などもそういったものなのだろう。
「しかし何故急にそんな話に?」
「実は以前生徒達に私の故郷の歴史について尋ねられたことがあったんです。それで最近授業の進みもよく時間割も空いていたので、いい機会かと思いまして」
ほう。それは中々に興味深い。過去を匂わせないアダルティな女コンテスト、晴れある2位の栄冠に輝いた女性の昔話を聞けるとは生徒達も僥倖だったろう。
付き合いの長い私でもまだ詳しくは聞いたことがないというくらいだ。
ちなみに1位は八雲紫だった。匂わせないのでなく、その過去が長すぎて常人には匂いきれないのだが。今後ろの方から強烈な殺気を感じたけど気のせいだろう。
「あの、慧音さん、なんだかものすごい冷ややかな視線を背後に感じるんですけど……」
「はっはっはっ、このくらいのこと無視できなければ幻想郷では生きていけないぞ。熱々のラーメンを啜るといい。店主、替え玉もう一つ」
「あ、私もお願いします」
いつの間にか美鈴の丼からも麺がなくなっている。気持ちのいい食べっぷりだ。これだけ食べる人が隣にいれば私も遠慮せずにすむというものだ。
厨房へと向かった店主を見届け、キンキンに冷えた水を喉に流し込むと私は美鈴にさらに尋ねた。
「では美鈴はその頃の生まれなのか?」
「あー、いえ。生まれはもうちょっと前なんですけど、子供達相手だと三国志みたいな英雄譚のほうが受けがいいかなぁと」
「それなら納得だ。正史と演義の差異というのはまたどうして?」
「そうですね、それは……うーん、なんと言ったらいいか……あ、そうだ。慧音さんは人間がここまで発展したのは何故だと思いますか?」
しばし考えたのちにこちらの質問に対し質問を返す美鈴。疑問文に疑問文を返すんじゃない、と国語のテストだったら0点をつけるところだ。だが、まぁ美鈴なりの考えがあるのだろう。
そしておそらくその考えは、私が寺子屋の廊下で考えていたことと一緒のはずだ。
人間がここまで発展した理由。それは……
「人間達は過去を顧みることが出来るからだ」
人間達は己の歴史において数々の過ちを起こしてきた。差別や紛争、虐殺に復讐。それらの過ちは幾億もの同胞達の命を奪っていった。
もちろんこれは妖怪達も一緒だ。天狗や河童といった社会性のある妖怪達を除けば、皆が皆我の強い一匹狼だ。お互いに命を奪い合うことなど当然だった。
だが、そういった人間と妖怪に一線を画すある違いがあった。
人間は、それらの過ちを是としなかった。妖怪は、それらは過ちであるとすら認識しなかった。
結果、人間達は過ちを認め、互いに結託することを覚えた。時に思想や主義、立場に目的の違いで争うことももちろんあった。だがその度に人間はその過ちが後世に伝わるよう、記録としてそれらを保存した。それが歴史だ。
「私もそう思います。人間達は自身の足跡を残すことをその使命とし、数千年を歩いてきました」
やはり美鈴も私と同じ考えだったようだ。しかし、それと先程の授業がどうつながるのか、それが私にはまだわからなかった。
「慧音さん、この里において歴史を管理されているのはどなたですか?」
「ん? それはもちろん、私と阿求だが」
「慧音さんと阿求さんだけ、なんですよね?」
「ん……そうか。そういうことなんだな」
「おそらくご推察の通りです。かつて私の故国では数々の王朝が生まれ、滅んでゆきました」
殷、周、秦、漢、晋、南北朝。隋、唐、五代十国、宋、元、明。私が生まれるまでにも数々の王朝が立ち消えていった。
今生きるこの国は幸運なことに長らく一つの国家として続いているが、そんな幸運を持つ国はそうそう存在しない。
「そしてそれらの新王朝の多くは、過去の王朝の歴史を否定するところから始まりました」
例えば秦の始皇帝が行った焚書。医学、占術、農業など生活に関わるもの以外の書物を全て焼き捨てたそれを始め、程度の差こそあれ似たような事件は世界中にいくつも存在する。
「歴史を振り返ることができるから人間は発展した。ならば振り返ることができない人間はどうなるのか。ひたすらに同じことを繰り返すだけです」
政治の腐敗、民衆の蜂起、全国規模の反乱、やがて新政権の樹立。新政権は一時の平和をもたらすものの、その平和はやがて緩みへと変わり、政治は腐敗し始め、民衆はまたも圧政に苦しむ。
それは私も良く知るところである、歴史を学ぶ者にとって避けては通れない為政者のエゴが生み出すサイクルだ。
「と、まぁここまでは慧音さんもよくご存知のように人間には歴史というものが必要不可欠です。しかし、この里には」
「あぁ。歴史に携わっている人間……純粋な意味での人間は一人たりともいない」
私は半妖故に、阿求は転生というシステム故に人間に比べてはるか長い時を歩き続ける。
そしてさらに私が歴史を司る能力を持つ妖怪であるということ。それらによって里の歴史離れが起きてしまっている、ということか。
確かに考えてみれば里の人間は歴史に関することは私達二人に聞けばいい、となってしまっているのだろう。今起きている諍いも、以前起きたようなものばかりだ。今の今まで気付かなかった。
他人から聞いただけの歴史は、ただ知っているだけの知識だ。歴史とは積み重ねるもの。自身がその積み重ねの上に新たな層とならねば、過去とのつながりは消えてしまう。
一人一人がそういった意識を持たなければ、悪意を持った者に歴史を歪められてしまう。クーデターを起こした新王朝の人間が、旧王朝の足跡を掻き消していったように。
「私が今教えているのは、正史と演義の違いだけでなくもう一つ、私がこの目で見た三国志です」
「後に正当な歴史として作られた正史ですら、実際を知る美鈴にとっては歪められた歴史である、ということか」
「はい。そしてそれら歪められた歴史が人間社会にどれだけ悪影響を及ぼすか。それを子供のうちから知ることができればと思っています」
「難しいぞ、それは」
「だからこそ、最初は題材も三国志とメジャーで、かつ入門編ということで正史と演義の差異、ってわけなんですよね。チャーハンお願いします」
なるほど。いい先生じゃないか。今までずっと歴史を教えてきて、こんな大事なことに気付かなかった私なんかよりよっぽどだ。
「素晴らしい。迷惑料ということで是非ともここは私におごらせてもらおう。店主!」
あいどうも。勘定ですね?と問うた店主は、私の顔を見るなりすぐさま厨房に帰っていった。ラーメンお替わりだ。
「いえいえそんな。でも断ったらまた慧音さんが色々気に病みそうですし、それではありがたく頂きます。あ、私も替え玉もう一つお願いします!」
「ただ、だな」
「……はい?」
軽く首を傾け、不思議そうにこちらを見る美鈴。流れている汗はきっとラーメンのせいだけではない。
「いや実はこれからもう一人来ることになってだな。その人の分も奢ることになってるから、しばらくこうしていようじゃないか。今日は土曜で半ドンだしな」
「あぁなんだ、そんなことですか。てっきり……」
「てっきり?」
「あぁ、いや、なんでもありませんよ。替え玉お願いします」
「ふむ。ならいいんだがチャーハン一丁」
美鈴の内心がどうであろうと、これから彼女が来るわけだしな。
と思ったらちょうど来たようだ。歩いてくるのは、とうてい背丈の届かないのれんを呪っているのか、三つの目を三白眼にして虚空を見つめる少女。
「急用を思いつきました」
おっと逃がさんぞ美鈴。がっちりホールドしたからな。こらジタバタするな!
「それじゃあ先生、お願いします」
「『さとりさんとかマジ反則ですってぇぇぇぇぇ授業の余った時間に適当に話をしてサボってただけとかバレたらぁああああああってかさっき口走ったこととか口八丁手八丁、八丁味噌のオンパレードだしいやこれまさか読まれてないですよね、今のうちに別のことを考えて気を逸らしたい……のにしかししかししかしィ!慧音さんのおおおおおおっぱいが当たってもう他のことがあああああああ考えられない、なんという慧音の罠、こんなのは孔明だって騙されるし仲達だって手を出しちゃう、はっ!?こ、これだ!頭をおっぱいで埋め尽くそう!慧音さんのやわらかおっぱい万歳!慧音さんのおっぱいマンセーついでに李典の字も曼成!畜生全部読まれてるよ!こうなったらヤケだ店主替え玉をもう一丁!』だそうです」
「ははは、こやつめ。」
「はは、ははは……」
美鈴は乾いた笑いを浮かべたまま静止した。やはり適当な言い訳だったか。少しばかり騙されてやろうかとも思える言い分ではあったが、そういう訳にもいかん。
「さぁさとり、処分は?」
「……畜生はこっちの台詞です、自分でもそれだけの一品を持ってるくせになにがおっぱいですか……」
「さとり?」
「……どうやったらあんな……こっちはおっぱいどころか胸板だというのに……」
あの、さとりさん?そんな顔でブツブツ言ってられると怖いんですけれど。
「……もしかしてラーメンを食べると? いや、地霊殿ではわりと食べているし……まさかここの店のラーメンに何か秘訣が!?これですね、間違いない。両者ともここでよく食べているようですし」
「さとりさん?えぇと……美鈴にはどうしたら……」
「えぇいそんなもの、ここの会計全部くらいが適当です! 店主、ラーメン大盛り! あと半チャーハンも、いやまさかチャーハンに秘訣が!? やっぱりチャーハン大盛りで!」
「じゃあ私も替え玉一つとチャーハンおかわりだ」
「絶対慧音さん最初からこのつもりで注文しまくってましたよね!」
「奢ってもらうつもりで頼みまくったのはお互い様だろう?」
「ちっくしょぉぉぉぉ!」
美鈴が泣いた。泣きながらチャーハンを頼んだ。店主も泣いた。
そして翌週。
「あら、今日も時間が余っちゃいましたね。じゃあこないだの復習ですよー。赤壁で張遼の罠にかかって死んだ太史慈の死に様は正史だったでしょうか?演義だったでしょうか?」
「「「演義でーす」」」
「はいその通り、太史慈さんとか赤壁の頃には病死してますね。初っ端に兵を集めたくらいしかやってません。正直役立たずでした。皆さんは名実ともに、といかない場合は名を残すより実を残しましょう」
「「「はーい」」」
いきなりとんでもない言い草だが、今日はまぁ真面目にやっているようだ。こないだの言い訳は適当に考えたものとはいえ、ちゃんと歴史の授業ではあるわけだし。今日はこのまま次の教室へと行くとしよう。
「それじゃあ次。慧音さんはこないだの土曜日、私に無理矢理ラーメンをおごらせました、これは正史でしょうか!」
おい。
「その上替え玉を7個……7個も!ただでさえ俸給に苦しむ私だというのに!」
いやぁ、あれはうまかったな。
しかしそう言うお前も涙目で替え玉6個頼んだろうが。全くどこの口がそんなことを言うんだ。
「さらに後から来たさとりさんはあんな小さい体で3杯も!スープの方に秘訣があるのかもとかなんとか言って替え玉でなくラーメン単品を!その後吐きそうになってたし!無理して食べなくたっていいじゃないですか!」
うん、まぁ、あれは……あれは放っておいてやってくれ……あれも涙ぐましい努力の一部なんだ。
さとりのパンパンに張ったお腹と、帰り際に呟いた『これで私もAカップに……』という一言が涙を誘う。
さらにあの後そんなさとりの妹が里に新しいブラを買いに来ていたというのだから、これが悲劇でなくてなんだというのか。
そんな私の涙はさておいて、生徒達は思い思いに相談している。
「これ正史じゃないのー?」
「えー、慧音先生だぜ、そんなことするかなぁ」
「でも美鈴先生すごい真に迫ってたよ。あれは演技じゃないでしょ」
「こうなったらヘルズマジシャンと呼ばれたこの私が占ってさしあげましょう」
「誰も呼んでねーよ」
「うーん、やっぱり慧音先生だからなぁ」
「そうだよね、慧音先生だもんね」
フフ、聞くがいいこの声を。生徒達にはあまり効果がないようだぞ。
美鈴なりの仕返しのつもりだろうが、私にとっては余裕のよっちゃんイカだ。
私と生徒達の積み上げてきた歴史のおかげというわけだな!
「「「「「「正史だとおもいまーーーす」」」」」」
「大正解でーーーす!」
全然積み上がってないし。だめじゃん。
やはり校長職じゃ駄目だということか。直接指導している担任には勝てないな。
いや、違うか。これもまた、彼女が生徒達と積み上げた信頼と歴史の証明なのだな。そう考えれば、この結果も仕方ないというものだ。
私は少しばかり悔しい自分の気持ちを押し隠して、そのまま廊下を歩き続けた。
背後からはハキハキとした美鈴の声と、それに答える生徒達の声。
「それじゃあもう時間なのでオチでも着けましょうかね、昨夜慧音さんと同衾した妹紅さんの痴態はー?」
「「「「「 演技です!! 」」」」」
授業終了のチャイムの代わりに、高らかに響き渡ったのは銅鑼の音。
「ジャーンジャーンジャーン!!」
「ゲェーッ!け、慧音さぁぁぁん!?」
「妹紅はそんなことしないっ!しないと……思う……いや絶対しないッ!」
「しませんっ!その通りですっ!だからここは是非穏便にっ!」
はぁ……まったく。こういう調子に乗りやすいところが無ければ本当にいい教師であり、そしていい友人なんだが。
頭を抑え必殺の頭突きに身構える美鈴に、私は一声かけて教室を出る。
「次の給料日はラーメン奢りだぞ!」
「……!はいっ!是非奢らせていただきますっ!」
透き通るような気持ちのいい返事が校舎に響き渡った。
リズム感、キャラのいい具合のぶっ壊れ方など、うん、楽しく読ませてもらった。
でも美鈴の授業ってすげーいい先生になると思う、納得。
つーか、途中までは普通に良い話だと思ってました。
畜生・・・さすが美鈴だ・・・畜生・・・!!
楽しかったですw
太史慈好きなオレに謝れ!
寺小屋 → 寺子屋
です
慧音・美鈴ってきたから3ボス全員先生やってる姿を幻視した
3ボスは全員先生向きだと思うのは俺だけか?
それにしてもお前ら食い過ぎだろwwwwwww
チャーハン食ってけ
バスト以上にウエストがボリュームアップしてもラーメン屋は悪くないだろw
ラーメン屋の主人は泣いてもいいと思うよ。
小ネタの多さとそれをさらっと一気に読ませる流れに感動ですよ
できれば替え玉追加お願いしたいですねー
それは単に太っt…いえ、なんでもありません…
それにしても、結局やましい事教えてるじゃないか!いいぞもっとやれ!
自分の中ではヒョロい不健康児なイメージだし。
あとさとり、お兄さんはひんぬーが大好きです
何がなのかはあっちでラーメン啜っているさとりさんに聞いてください。
ポッコリおなかのさとりんかわいい!
面白いなあコノ!