~あらすじ~
三人目の四天王、因幡てゐに勝利した魂魄妖夢
しかし、妖夢の前に、既に三つ目のバッジを手にしたものがいるという
「それは誰?」
妖夢が聞き、てゐがその名を言おうとした時、一筋の閃光が二人の間に落ちて……
「ナイスファイトでした。四天王てゐ、そして、三つ目のバッジを手にした者、魂魄妖夢さん」
「何者だ!姿を表せ!!」
「これは失礼……」
っずどん!!
大気を震わすかのような轟音の後、立ち込める煙の中から出て来たその姿はまさしく天女
美しき緋の衣に包まれた、竜宮の使い
「はじめましてこんにちは。私はぷよぷ〇四天王のシークレットバッジ……"フィーバーバッジ"の守護者、永江衣玖でございます」
「貴方は……!」
「あんた、竜宮の使いと知り合いだったの?」
てゐが問う
「神社倒壊の時に」
「ああ、あの天気がおかしなことになってたやつか」
「そんなことより、貴方が最後の一人だと?」
「いかにも。先の貴方がたの試合を、特に、魂魄妖夢さん。貴方に興味を惹かれました。是非、御手合わせ願えますか?別に今すぐとはいいませんが」
「……いいえ、今すぐにで構いません」
「いいんですか?」
衣玖が目を見開く
「四天王二連戦ですよ?」
「ええ。問題ありません」
衣玖は不適に笑う
「白玉楼の庭師は伊達ではないということですか……。いいでしょう」
衣玖は紅いレンズがはめられたグラスをかけ、中指で押し上げそれを整える
「それは……?」
「私はこれをかけているほうが戦いに集中出来るのです」
衣玖はDSを構えた
「では、フィーバーをお見せしましょう。Start on the Game……」
少女通信中...
衣玖の積み方に特別なものはなかった
受け身に回っているのは解るが、何か特別な技を使っているかは解らない
(フィーバー狙いか……?)
妖夢はとりあえず守りのぷよを残して五連鎖で攻撃
やはり、片っ端から相殺で潰された
フィーバー狙いのようだ
(フィーバー同士の勝負に持ち込めば勝てる……!)
妖夢も受け身にまわり、ゲージを溜める
そして、
「「フィーバー!!」」
ほぼ同時のフィーバー
(勝った!)
だが、甘かった
「見せてあげましょう……フィーバーの真髄を!!」
衣玖もまた、ぷよを積み上げる
そのスピードは、妖夢を容易に越える……!
「馬鹿な……十二連鎖だと……!?」
フィーバーが終わる
九連鎖の妖夢では捌き切れない量
「がっ!!」
妖夢は直感する
フィーバーでは勝てない
フィーバーを撃たせない
出来るのか?
フェイントが通じるような相手ではないだろう
不可能だ!
衣玖は受け身に回っている!
なら、勝つ方法は……!!
(フィーバーで……正面から破るしかないか……!?)
彼女なら
魔理沙ならきっとそうしただろう
小細工は、最も彼女の嫌いとするもの
(私に出来るのか……?)
否、出来る出来ないではなく
やるか、やらないかだ
それが師の教えだった!
(やってみせる……!!)
妖夢は文の要領で高速でおじゃまぷよを潰す
さらに、霊夢の要領で、三つずつぷよを残す
「吹っ切れましたか?それとも諦めましたか?」
衣玖がフィーバーに突入する
十二連鎖!
妖夢が捌く、捌く!捌く!!
「フィーバー!!」
「無駄ですよ。貴方のフィーバーはまだ完全じゃない。貴方はもっとフィーバーの修業を積むべきなのです。先ほどはそういう意味で”今すぐにとはいわない”と言ったのですが」
しかし、言いながらも、衣玖は妖夢から溢れ出る力を感じ取っていた
(この力は……一体……?)
そして妖夢は十連鎖を出す
(まさか……今、この瞬間にも、彼女は著しい成長を見せているとでもいうのか……!?)
「うおぉぉぉぉっ!!」
負けられない
彼女は小細工を効かせるよりも、正面からこの土俵にあがって勝負をするつもりなのだ
(ならば尚更……!簡単には負けられません!!)
「九連鎖!!」
「十二連鎖!!」
「十連鎖!!」
「十二連鎖!!」
「十連鎖!!」
「十二連鎖!!」
「十一連鎖!!」
「十二連鎖!!」
「十二連鎖!!」
「……十二連鎖!!!」
妖夢の渾身の一撃が入る
「これで……終わりです!!」
十三連鎖!!
「十三連鎖!!」
「な!?」
驚く妖夢に、衣玖が苦しげに笑う
「簡単には……負けられませんから」
「くっ!!」
その次のフィーバーの事だ
再び十三連鎖を出した妖夢に対し、再び十三連鎖を繰り出そうとする衣玖だった が、時間が足りずに、フィーバーが出来ずに終わってしまった
そして十三連鎖を目の前にして、衣玖はあまりに無防備だった
「衣玖さん!!」
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「いい試合をさせていただきました」
「よかったんでしょうか……あんな勝ち方で」
「あのミスは貴方の実力故、結局をいえば私は貴方の力に及ばなかっただけの話です。さぁ、フィーバーバッジです」
衣玖が最後のバッジを差し出す
「これで……」
「チャンピオンに挑むことが出来ます……が、申し上げにくいのですが、実は既にバッジを四つ集めた方がいるのです」
「あいつ、もう四つ目を手に入れていたのか!?」
てゐは驚きを隠せないでいる
「一体……一体誰なのですか?」
「彼女は――――――
衣玖は、その名を告げた
妖夢は走る
森を走り続ける
チャンピオンの元へ、走る
しかし、それをよしとしない影一つ
「こんにちは妖夢。そんなに急いでどこに行くのかしら?」
「……紫様には関係ありません」
「関係あるわ。大いに関係あるわ。なぜなら私は元、チャンピオン……そう、ついさっきまで」
「……そうですか。ですが、敗者に興味はありません。そこをどいてください」
「連れないのね。ちょっと付き合ってくれたっていいじゃない」
「…………紫様とはいえど、邪魔をするなら手加減などしませんよ……!!」
妖夢はDSを構えた
「上等。私をただの敗者だと思わない事ね。貴方がチャンピオンに挑戦する資格があるか……試してあげるわ」
少女通信中...
紫の戦い方には捻りも小細工も無かった
ただ、純粋な強さがある
まさに、腕試しというわけだ
純粋だからこそ、勝つ方法は単純極まりない
そう、実力で勝つまでなのだ
「ほら、しっかり」
「ちっ!!」
紫の戦い方には余裕がある
常に手を抜いているような、紫らしい戦い方
だが、それは油断でもある
妖夢は確信する
勝てない相手ではないと
何より、"彼女"が勝てた相手に、今更勝てない等、お笑いだ
「フィーバーですっ!!」
「ふふ……」
妖夢の十三連鎖!!
「あら、やるじゃない。でも、これくらい私にも出来る」
紫の十三連鎖!!
「ただのフィーバーでは勝ち目等ないわ」
「まだだ!!」
「見せてあげるわ。紫奥義……」
「!?」
紫が高速でぷよを積み上げる
「その……積み方は!!」
「あら、知っているの?」
それは博麗霊夢の博麗弾幕結界だった
だが、打ち破る方法は知っている
真のフィーバーを身につけた今、打ち破るのは容易
「人が積むのを黙って見ているほど、私は結界を過信しないわ」
「なに!?」
紫が四連鎖を繰り出す
「この結界は自分を攻撃的に守ることが出来る。博麗弾幕結界とは違うのよ」
そう、これが紫奥義「深・弾幕結界」――――――!!
(紫様の計算力だからこそ出来る究極奥義……)
彼女は……これを破ったのか
ならば、私にも出来るはずだ
「どうしたの妖夢?四天王を打ち破った力はこんなものかしら」
「まもなくお見せしますよ!」
妖夢は防御用の三つ積みを構える
「あら、物真似で勝つつもりかしら?貴方に深・弾幕結界が出来るのかしら?」
「いえ……違います」
紫の真似ではない
「フィーバー!」
紫は霊夢と違って受け身にばかりいる訳では無い
ならば、フィーバーする事はそう難しいことではない
……私には難しい、トリッキーな攻め方も、捻りの効いた守り方も知らない、思いつかない
私にあるのは、ただ純粋な力……!
「十三連鎖!」
「無駄な事を!」
紫がフィーバーに入る
紫が積んでいる間にまた守りを固める
「十三連鎖」
「効きません!!」
妖夢もフィーバーに突入する
純粋な力のぶつかり合い
「なる程、面白いっ!!」
その攻防は、果てしなく続いた
純粋な力と力のぶつけ合い
それはまるで、黒光りする鉄の刃が鍔ぜり合いをし続けるよう
刃であれば妖夢は勝っていた
しかし、今二人が手にしているのはDS
妖夢は緑の
そして紫は怪しく光る紫のDSだった
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!」
妖夢の咆哮
同時、妖夢の中でなにかが弾けた
そして妖夢は、リミッターを――――――越えた
十 四 連 鎖 ! !
十三連鎖というハイラインバトルでは、倍率により一つの連鎖の向上が、覆し難い大ダメージとなる
それを見た紫は、画面から目を離し、妖夢を見、そして目を伏せ言った
「私の負けよ」
妖夢は言葉を失う
「紫……様……?」
あの八雲紫が自ら負けを認めた
それが妖夢には信じられなかった
「こんなギリギリの攻防では少しの差が致命傷。それこそ、待ちガ〇ルと待ちガ〇ルとの攻防と同じように。この差を覆すことは、私にはできないわ」
ばたんきゅーという声が虚しく鳴っていた
「妖夢、彼女はとても強い。もしかしたら、貴方でも相手にならないかもしれない。でも……貴方の勝利を、私には信じられる」
「紫様…………」
紫の目は、まるで高く聳える山を見上げるように
虚しい、目
「貴方なら…………貴方なら、あのお方にも、チャンピオンにも勝てるかもしれない」
「あのお方……?」
「ふふ……情けない話だけど、実は私はチャンピオンに負けたのよ」
「……大丈夫ですよ」
「妖夢……?」
「私も彼女も、そう簡単に負けるようなものではありませんから」
「そう……頑張りなさい。私は、貴方を応援させてもらうわ。願わくは、私の分まで……」
「お任せください!!」
妖夢は再び駆け出した
八雲紫がそれを見守っていた
頂上決戦は、すぐそこに……
「よぉ」
「……君か」
ここは――――香霖堂
儲けたはずなのに、相変わらず古ぼけた屋敷だった
「何の用だ?"魔理沙"」
魔理沙は不適に笑い、言った
「チャンピオンの座を貰いに来たぜ、"香霖"」
それを聞いた霖之助も笑う
「ははっこれはとんだ泥棒がやってきたもんだね」
「バッジならあるぜ」
霖之助にバッジを渡す
「おめでとう、君が第一号だ」
「祝辞の言葉は私がチャンピオンになってから貰うぜ」
「……何故僕がチャンピオンだと分かった?」
「なんで四つのバッジを手に入れた者は香霖堂に来る事になっているのか……。私はここにきたらお前から景品でも貰えるのかと思っていたんだが、四天王を束ねるチャンピオンなる奴がいるって聞いた時、そういう事か、て思ってな。つまりはあれだろ?三ヶ月前、最近は退屈だとか言ったのは……」
「御名答。幻想郷にまだぷよぷ〇ブームが来ていなかった頃のぷよぷ〇仲間、紫、レミリア、てゐ、衣玖らだ」
「早苗は違うのか?」
「早苗は代用だ。本来紫が四天王に入るはずだったんだが、紫が負けを認めることになってしまうと言って僕の下につかなかったのさ。魔理沙もここまで来たんだ、例えここで負けても、お望みなら早苗の枠に入れてやってもいいんだが?」
「断るぜ。理由は紫と一緒だ」
「だろうね。とにかく、僕は彼女らとの戦いに飽きた……いや、勝負にならなくなったんだよ。そこに君と妖夢が現れた。その時に思い付いて、幻想郷にぷよ〇よを流行らせたのさ。河童にDSを三つ複製すれば好きな物をやると言ってね。ま、殆どの河童がDSを所望したけどね」
「へっよくやるぜ」
魔理沙が苦笑する
「そして今!チャンピオンにチャレンジャーが現れた。霧雨魔理沙、君だ。紫も倒したというのなら、それなり期待も出来るね」
「上等だ。御託はいらねぇ。今すぐ勝負だぜ」
「さぁ、頂点の戦いだ!!存分に私を楽しませてくれ!!」
二人はDSを構えた
妖夢がたどり着いたのは古ぼけた屋敷だった
"香霖堂"と、書かれていた
扉を開けると、そこに"彼女"はいた
カウンターの上に座り、私を見て口の端を吊り上げて笑ってみせた
「よう、遅かったじゃないか。妖夢」
「魔理沙…………!!」
「ははっ。まぁ実をいえば、私がここのチャンピオンになって、そう時間はたっていないんだが」
「魔理沙は……あのお方について知っているのですか?」
「あのお方?こいつのことか?」
魔理沙は裏にばたんきゅーする人影を指差す
それを見た妖夢は戦慄した
「霖……之助さん……!?」
「妖夢!」
魔理沙が勢いよくカウンターから降り立つ
「私は四天王を倒し、ついさっきチャンピオンも倒してここにいる。これがどういう事か、解るか?」
「……………………」
妖夢は二の句が告げない
「…………わからねーなら教えてやる。今!この瞬間!私が、幻想郷で一番強いって事なんだよ!!」
「……そうですか」
妖夢はゆっくりと告げた
「ならば、貴方を倒せば、私はチャンピオンなのですね」
「へへっ……そうこなくっちゃな。実はお前の突然の快進撃を聞いていて思ったんだ。妖夢となら、誰よりも楽しいぷよぷよが出来るってな。さぁ、始めようぜ。幻想郷の、いや、この世界中の誰もが真似出来ない最高の戦いのワルツを!!共に奏でようぜ!!」
「これが最後です。勝負!!」
少女通信中...
「くっ……!?まさかこの積み方は……!?」
「博麗弾幕結界……霊夢にラーニングさせてもらったんだ。コツを掴めば簡単だぜ」
いや、それだけではなかった
魔理沙は十字キーを下に押し込んでいる
射命丸文の最速奥義を使った上で結界を作りあげる
もはや人のなせる技ではなかった
しかし……
「守りの技とは魔理沙さんらしくありませんね」
「守り?ウサウサウサウサ!ってか!?」
「何!?」
魔理沙が結界に着火する
すると、みるみるぷよが消えていき……!!
「九連鎖……だと!?」
成る程、これはてゐの技
魔理沙の技はラーニングだけではなかったようだ
表で積み上げていた七連鎖を捨てて
それでもおじゃまぷよは妖夢の画面の半分を埋めてしまった
これが、差
しかしその差を感じながらも、妖夢は気分を高揚させていた
相手が強ければ強いほど、実感する
これがチャンピオンなんだと
これが、頂上の戦いなんだと―――――!!
幽々子が、彼女の帰りを待っていた
彼女が、チャンピオンの名を手に入れてここに帰ってくる事を
「本当にそれだけかしら?」
紫が言った
ああ、そうだった
私にはもう一つ願いがある
彼女が、再び笑う事
修行中の時、見られなかった笑顔
辛い修行の末、たどり着いた場所
そこで、彼女はどんな顔をしているだろう
ぷよぷ〇は、所詮ゲームなのだ
ゲームをするときぐらい、彼女には笑っていてほしかった
そして妖夢は今────
「どうした妖夢?もうそんな状態じゃ話にならねえぜ?こんなもんじゃ無いはずだ」
魔理沙が笑う
しかし、上からではない
魔理沙は私の目の前で、私の力を伺っている
「ええ、今、お見せしますよ。まだまだこれからです」
妖夢は笑った
彼女とぷよぷ〇をするのが、限りなく楽しいのだ
将棋もオセロも麻雀も極めることばかりを考えて、楽しんでいなかった
今の妖夢には分かる。これが遊ぶことの楽しさ
もう自分はプライベートに自分を持て余す事等ないだろう
だが、そんなことの前に、この戦いを終わらせる
勝って、終わらせる事を考えた
魔理沙に、霖之助に、今まで戦った全てのぷよぷ〇戦士達に心の中で礼を言ってDSを握る
(いい顔になったな)
魔理沙は思った
(私は信じる……!、私なら出来ると!!)
妖夢の人生最大の幕が開く
その結末は、神にすら視えない!
三人目の四天王、因幡てゐに勝利した魂魄妖夢
しかし、妖夢の前に、既に三つ目のバッジを手にしたものがいるという
「それは誰?」
妖夢が聞き、てゐがその名を言おうとした時、一筋の閃光が二人の間に落ちて……
「ナイスファイトでした。四天王てゐ、そして、三つ目のバッジを手にした者、魂魄妖夢さん」
「何者だ!姿を表せ!!」
「これは失礼……」
っずどん!!
大気を震わすかのような轟音の後、立ち込める煙の中から出て来たその姿はまさしく天女
美しき緋の衣に包まれた、竜宮の使い
「はじめましてこんにちは。私はぷよぷ〇四天王のシークレットバッジ……"フィーバーバッジ"の守護者、永江衣玖でございます」
「貴方は……!」
「あんた、竜宮の使いと知り合いだったの?」
てゐが問う
「神社倒壊の時に」
「ああ、あの天気がおかしなことになってたやつか」
「そんなことより、貴方が最後の一人だと?」
「いかにも。先の貴方がたの試合を、特に、魂魄妖夢さん。貴方に興味を惹かれました。是非、御手合わせ願えますか?別に今すぐとはいいませんが」
「……いいえ、今すぐにで構いません」
「いいんですか?」
衣玖が目を見開く
「四天王二連戦ですよ?」
「ええ。問題ありません」
衣玖は不適に笑う
「白玉楼の庭師は伊達ではないということですか……。いいでしょう」
衣玖は紅いレンズがはめられたグラスをかけ、中指で押し上げそれを整える
「それは……?」
「私はこれをかけているほうが戦いに集中出来るのです」
衣玖はDSを構えた
「では、フィーバーをお見せしましょう。Start on the Game……」
少女通信中...
衣玖の積み方に特別なものはなかった
受け身に回っているのは解るが、何か特別な技を使っているかは解らない
(フィーバー狙いか……?)
妖夢はとりあえず守りのぷよを残して五連鎖で攻撃
やはり、片っ端から相殺で潰された
フィーバー狙いのようだ
(フィーバー同士の勝負に持ち込めば勝てる……!)
妖夢も受け身にまわり、ゲージを溜める
そして、
「「フィーバー!!」」
ほぼ同時のフィーバー
(勝った!)
だが、甘かった
「見せてあげましょう……フィーバーの真髄を!!」
衣玖もまた、ぷよを積み上げる
そのスピードは、妖夢を容易に越える……!
「馬鹿な……十二連鎖だと……!?」
フィーバーが終わる
九連鎖の妖夢では捌き切れない量
「がっ!!」
妖夢は直感する
フィーバーでは勝てない
フィーバーを撃たせない
出来るのか?
フェイントが通じるような相手ではないだろう
不可能だ!
衣玖は受け身に回っている!
なら、勝つ方法は……!!
(フィーバーで……正面から破るしかないか……!?)
彼女なら
魔理沙ならきっとそうしただろう
小細工は、最も彼女の嫌いとするもの
(私に出来るのか……?)
否、出来る出来ないではなく
やるか、やらないかだ
それが師の教えだった!
(やってみせる……!!)
妖夢は文の要領で高速でおじゃまぷよを潰す
さらに、霊夢の要領で、三つずつぷよを残す
「吹っ切れましたか?それとも諦めましたか?」
衣玖がフィーバーに突入する
十二連鎖!
妖夢が捌く、捌く!捌く!!
「フィーバー!!」
「無駄ですよ。貴方のフィーバーはまだ完全じゃない。貴方はもっとフィーバーの修業を積むべきなのです。先ほどはそういう意味で”今すぐにとはいわない”と言ったのですが」
しかし、言いながらも、衣玖は妖夢から溢れ出る力を感じ取っていた
(この力は……一体……?)
そして妖夢は十連鎖を出す
(まさか……今、この瞬間にも、彼女は著しい成長を見せているとでもいうのか……!?)
「うおぉぉぉぉっ!!」
負けられない
彼女は小細工を効かせるよりも、正面からこの土俵にあがって勝負をするつもりなのだ
(ならば尚更……!簡単には負けられません!!)
「九連鎖!!」
「十二連鎖!!」
「十連鎖!!」
「十二連鎖!!」
「十連鎖!!」
「十二連鎖!!」
「十一連鎖!!」
「十二連鎖!!」
「十二連鎖!!」
「……十二連鎖!!!」
妖夢の渾身の一撃が入る
「これで……終わりです!!」
十三連鎖!!
「十三連鎖!!」
「な!?」
驚く妖夢に、衣玖が苦しげに笑う
「簡単には……負けられませんから」
「くっ!!」
その次のフィーバーの事だ
再び十三連鎖を出した妖夢に対し、再び十三連鎖を繰り出そうとする衣玖だった が、時間が足りずに、フィーバーが出来ずに終わってしまった
そして十三連鎖を目の前にして、衣玖はあまりに無防備だった
「衣玖さん!!」
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「いい試合をさせていただきました」
「よかったんでしょうか……あんな勝ち方で」
「あのミスは貴方の実力故、結局をいえば私は貴方の力に及ばなかっただけの話です。さぁ、フィーバーバッジです」
衣玖が最後のバッジを差し出す
「これで……」
「チャンピオンに挑むことが出来ます……が、申し上げにくいのですが、実は既にバッジを四つ集めた方がいるのです」
「あいつ、もう四つ目を手に入れていたのか!?」
てゐは驚きを隠せないでいる
「一体……一体誰なのですか?」
「彼女は――――――
衣玖は、その名を告げた
妖夢は走る
森を走り続ける
チャンピオンの元へ、走る
しかし、それをよしとしない影一つ
「こんにちは妖夢。そんなに急いでどこに行くのかしら?」
「……紫様には関係ありません」
「関係あるわ。大いに関係あるわ。なぜなら私は元、チャンピオン……そう、ついさっきまで」
「……そうですか。ですが、敗者に興味はありません。そこをどいてください」
「連れないのね。ちょっと付き合ってくれたっていいじゃない」
「…………紫様とはいえど、邪魔をするなら手加減などしませんよ……!!」
妖夢はDSを構えた
「上等。私をただの敗者だと思わない事ね。貴方がチャンピオンに挑戦する資格があるか……試してあげるわ」
少女通信中...
紫の戦い方には捻りも小細工も無かった
ただ、純粋な強さがある
まさに、腕試しというわけだ
純粋だからこそ、勝つ方法は単純極まりない
そう、実力で勝つまでなのだ
「ほら、しっかり」
「ちっ!!」
紫の戦い方には余裕がある
常に手を抜いているような、紫らしい戦い方
だが、それは油断でもある
妖夢は確信する
勝てない相手ではないと
何より、"彼女"が勝てた相手に、今更勝てない等、お笑いだ
「フィーバーですっ!!」
「ふふ……」
妖夢の十三連鎖!!
「あら、やるじゃない。でも、これくらい私にも出来る」
紫の十三連鎖!!
「ただのフィーバーでは勝ち目等ないわ」
「まだだ!!」
「見せてあげるわ。紫奥義……」
「!?」
紫が高速でぷよを積み上げる
「その……積み方は!!」
「あら、知っているの?」
それは博麗霊夢の博麗弾幕結界だった
だが、打ち破る方法は知っている
真のフィーバーを身につけた今、打ち破るのは容易
「人が積むのを黙って見ているほど、私は結界を過信しないわ」
「なに!?」
紫が四連鎖を繰り出す
「この結界は自分を攻撃的に守ることが出来る。博麗弾幕結界とは違うのよ」
そう、これが紫奥義「深・弾幕結界」――――――!!
(紫様の計算力だからこそ出来る究極奥義……)
彼女は……これを破ったのか
ならば、私にも出来るはずだ
「どうしたの妖夢?四天王を打ち破った力はこんなものかしら」
「まもなくお見せしますよ!」
妖夢は防御用の三つ積みを構える
「あら、物真似で勝つつもりかしら?貴方に深・弾幕結界が出来るのかしら?」
「いえ……違います」
紫の真似ではない
「フィーバー!」
紫は霊夢と違って受け身にばかりいる訳では無い
ならば、フィーバーする事はそう難しいことではない
……私には難しい、トリッキーな攻め方も、捻りの効いた守り方も知らない、思いつかない
私にあるのは、ただ純粋な力……!
「十三連鎖!」
「無駄な事を!」
紫がフィーバーに入る
紫が積んでいる間にまた守りを固める
「十三連鎖」
「効きません!!」
妖夢もフィーバーに突入する
純粋な力のぶつかり合い
「なる程、面白いっ!!」
その攻防は、果てしなく続いた
純粋な力と力のぶつけ合い
それはまるで、黒光りする鉄の刃が鍔ぜり合いをし続けるよう
刃であれば妖夢は勝っていた
しかし、今二人が手にしているのはDS
妖夢は緑の
そして紫は怪しく光る紫のDSだった
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!」
妖夢の咆哮
同時、妖夢の中でなにかが弾けた
そして妖夢は、リミッターを――――――越えた
十 四 連 鎖 ! !
十三連鎖というハイラインバトルでは、倍率により一つの連鎖の向上が、覆し難い大ダメージとなる
それを見た紫は、画面から目を離し、妖夢を見、そして目を伏せ言った
「私の負けよ」
妖夢は言葉を失う
「紫……様……?」
あの八雲紫が自ら負けを認めた
それが妖夢には信じられなかった
「こんなギリギリの攻防では少しの差が致命傷。それこそ、待ちガ〇ルと待ちガ〇ルとの攻防と同じように。この差を覆すことは、私にはできないわ」
ばたんきゅーという声が虚しく鳴っていた
「妖夢、彼女はとても強い。もしかしたら、貴方でも相手にならないかもしれない。でも……貴方の勝利を、私には信じられる」
「紫様…………」
紫の目は、まるで高く聳える山を見上げるように
虚しい、目
「貴方なら…………貴方なら、あのお方にも、チャンピオンにも勝てるかもしれない」
「あのお方……?」
「ふふ……情けない話だけど、実は私はチャンピオンに負けたのよ」
「……大丈夫ですよ」
「妖夢……?」
「私も彼女も、そう簡単に負けるようなものではありませんから」
「そう……頑張りなさい。私は、貴方を応援させてもらうわ。願わくは、私の分まで……」
「お任せください!!」
妖夢は再び駆け出した
八雲紫がそれを見守っていた
頂上決戦は、すぐそこに……
「よぉ」
「……君か」
ここは――――香霖堂
儲けたはずなのに、相変わらず古ぼけた屋敷だった
「何の用だ?"魔理沙"」
魔理沙は不適に笑い、言った
「チャンピオンの座を貰いに来たぜ、"香霖"」
それを聞いた霖之助も笑う
「ははっこれはとんだ泥棒がやってきたもんだね」
「バッジならあるぜ」
霖之助にバッジを渡す
「おめでとう、君が第一号だ」
「祝辞の言葉は私がチャンピオンになってから貰うぜ」
「……何故僕がチャンピオンだと分かった?」
「なんで四つのバッジを手に入れた者は香霖堂に来る事になっているのか……。私はここにきたらお前から景品でも貰えるのかと思っていたんだが、四天王を束ねるチャンピオンなる奴がいるって聞いた時、そういう事か、て思ってな。つまりはあれだろ?三ヶ月前、最近は退屈だとか言ったのは……」
「御名答。幻想郷にまだぷよぷ〇ブームが来ていなかった頃のぷよぷ〇仲間、紫、レミリア、てゐ、衣玖らだ」
「早苗は違うのか?」
「早苗は代用だ。本来紫が四天王に入るはずだったんだが、紫が負けを認めることになってしまうと言って僕の下につかなかったのさ。魔理沙もここまで来たんだ、例えここで負けても、お望みなら早苗の枠に入れてやってもいいんだが?」
「断るぜ。理由は紫と一緒だ」
「だろうね。とにかく、僕は彼女らとの戦いに飽きた……いや、勝負にならなくなったんだよ。そこに君と妖夢が現れた。その時に思い付いて、幻想郷にぷよ〇よを流行らせたのさ。河童にDSを三つ複製すれば好きな物をやると言ってね。ま、殆どの河童がDSを所望したけどね」
「へっよくやるぜ」
魔理沙が苦笑する
「そして今!チャンピオンにチャレンジャーが現れた。霧雨魔理沙、君だ。紫も倒したというのなら、それなり期待も出来るね」
「上等だ。御託はいらねぇ。今すぐ勝負だぜ」
「さぁ、頂点の戦いだ!!存分に私を楽しませてくれ!!」
二人はDSを構えた
妖夢がたどり着いたのは古ぼけた屋敷だった
"香霖堂"と、書かれていた
扉を開けると、そこに"彼女"はいた
カウンターの上に座り、私を見て口の端を吊り上げて笑ってみせた
「よう、遅かったじゃないか。妖夢」
「魔理沙…………!!」
「ははっ。まぁ実をいえば、私がここのチャンピオンになって、そう時間はたっていないんだが」
「魔理沙は……あのお方について知っているのですか?」
「あのお方?こいつのことか?」
魔理沙は裏にばたんきゅーする人影を指差す
それを見た妖夢は戦慄した
「霖……之助さん……!?」
「妖夢!」
魔理沙が勢いよくカウンターから降り立つ
「私は四天王を倒し、ついさっきチャンピオンも倒してここにいる。これがどういう事か、解るか?」
「……………………」
妖夢は二の句が告げない
「…………わからねーなら教えてやる。今!この瞬間!私が、幻想郷で一番強いって事なんだよ!!」
「……そうですか」
妖夢はゆっくりと告げた
「ならば、貴方を倒せば、私はチャンピオンなのですね」
「へへっ……そうこなくっちゃな。実はお前の突然の快進撃を聞いていて思ったんだ。妖夢となら、誰よりも楽しいぷよぷよが出来るってな。さぁ、始めようぜ。幻想郷の、いや、この世界中の誰もが真似出来ない最高の戦いのワルツを!!共に奏でようぜ!!」
「これが最後です。勝負!!」
少女通信中...
「くっ……!?まさかこの積み方は……!?」
「博麗弾幕結界……霊夢にラーニングさせてもらったんだ。コツを掴めば簡単だぜ」
いや、それだけではなかった
魔理沙は十字キーを下に押し込んでいる
射命丸文の最速奥義を使った上で結界を作りあげる
もはや人のなせる技ではなかった
しかし……
「守りの技とは魔理沙さんらしくありませんね」
「守り?ウサウサウサウサ!ってか!?」
「何!?」
魔理沙が結界に着火する
すると、みるみるぷよが消えていき……!!
「九連鎖……だと!?」
成る程、これはてゐの技
魔理沙の技はラーニングだけではなかったようだ
表で積み上げていた七連鎖を捨てて
それでもおじゃまぷよは妖夢の画面の半分を埋めてしまった
これが、差
しかしその差を感じながらも、妖夢は気分を高揚させていた
相手が強ければ強いほど、実感する
これがチャンピオンなんだと
これが、頂上の戦いなんだと―――――!!
幽々子が、彼女の帰りを待っていた
彼女が、チャンピオンの名を手に入れてここに帰ってくる事を
「本当にそれだけかしら?」
紫が言った
ああ、そうだった
私にはもう一つ願いがある
彼女が、再び笑う事
修行中の時、見られなかった笑顔
辛い修行の末、たどり着いた場所
そこで、彼女はどんな顔をしているだろう
ぷよぷ〇は、所詮ゲームなのだ
ゲームをするときぐらい、彼女には笑っていてほしかった
そして妖夢は今────
「どうした妖夢?もうそんな状態じゃ話にならねえぜ?こんなもんじゃ無いはずだ」
魔理沙が笑う
しかし、上からではない
魔理沙は私の目の前で、私の力を伺っている
「ええ、今、お見せしますよ。まだまだこれからです」
妖夢は笑った
彼女とぷよぷ〇をするのが、限りなく楽しいのだ
将棋もオセロも麻雀も極めることばかりを考えて、楽しんでいなかった
今の妖夢には分かる。これが遊ぶことの楽しさ
もう自分はプライベートに自分を持て余す事等ないだろう
だが、そんなことの前に、この戦いを終わらせる
勝って、終わらせる事を考えた
魔理沙に、霖之助に、今まで戦った全てのぷよぷ〇戦士達に心の中で礼を言ってDSを握る
(いい顔になったな)
魔理沙は思った
(私は信じる……!、私なら出来ると!!)
妖夢の人生最大の幕が開く
その結末は、神にすら視えない!
衣玖や紫様とのバトル前の会話なども面白いですが、霖之助と魔理沙がどんなバトルを
繰り広げたのかというのも見てみたかった気がします。
最後は確かに打ち切りみたいな感じもしますが二人が笑いあえるほどにバトルを
楽しんでいるのは良かったです。
脱字の報告
>紫も倒したというのなら、それなり期待も出来るね」
霖之助のセリフですが『それなりに期待も』ではないでしょうか。
フィーバーでネタ切れなら通とかSUNを使えばとも思う。香霖堂にならありそうだし。
次回作期待してますよー