「なぁ、輝夜」
「ん、こんな時に何よ?」
双方弾幕を避け、再び弾幕を放つ
今宵も輝夜と妹紅は、毎度毎度の殺し合いをしていた
だが、今日はいつもと比べて妹紅の様子がおかしい
弾幕っている途中に話しかけてくるなんて珍しいな
妹紅は頭を掻きながら、何とも言えない表情で言う
「なんで私等、こんなことしてんだ?」
「・・・・へ?」
唐突かつ馬鹿げた質問に拍子抜けしていた私のの顔面に、弾幕が被弾する
「―――っ!?」
不意に受けた弾幕は意外と強く、私はそのまま落下し、地面に叩きつけられた
リザレクションしたのか、痛みは無い
「妹紅ったらずるい!質問しておきながらそのまま不意打ちだなん―――」
「答えてよ」
「なっ」
妹紅は私の言葉を遮ぎり、起き上がろうとした私をそのまま押し倒した
妹紅と私の距離は、自然と近くなる
「なんで私等は毎日こんなことしてるんだ?」
「なんでってそれはっ・・・」
・ ・・あれ
なんでなんだろう
改めて考えてみると、これといった理由が見つからない
初めはちゃんとした理由があった
私が地上に落とされたときに世話をしてくれたお爺様、お婆様を妹紅は殺した
それがとても許せなかった
しかしながら人は忘れゆく生き物である
その時その場での感情も、永遠を生きる私にとっては有って無かったもの
だからうまく答えることができなかった
妹紅は視線を逸らさない
それが私を焦らせた
「そ、そんなの決まってるじゃない!あんたの事が嫌いなだけ、それだけよ!」
「・・・・っ」
後々思い返せば、私はとても酷いことを言ったのではないだろうか
妹紅は顔を顰め、伏せた
不意に気づく。妹紅、震えてる?
目の前に居る見慣れた人物の、いつもは見せない姿がそこにあった
ねぇ妹紅、なんでそんな悲しそうな顔をしているの?
「・・・そうかい」
妹紅は私を解放してくれた
それと同時に、よたよたと歩き出す
「ま、待ちなさいよ!」
「何だよ」
妹紅の声、まるで覇気がない
「まだ殺し合い、終わってないわよ」
舌打ちした妹紅は唾でも吐き捨てるかの様に
低い声で言う
「うるさい」
「あ、ちょっ、待ちなさいよ!」
私の声に振り向くこともなく、そのまま去ってしまった
走り去っていく妹紅の背中は、なんだかとても小さく、弱々しかった
―――――――――――――――――――――――――――――
「はぁ・・・」
昼間は人間達が迷ってしまう迷宮のような竹林も
夜中では妖怪の巣と化してしまう
そんな竹林で、私は一人焚き火をしていた
「ったく、輝夜の奴、あんなにはっきり言うことないだろ・・・」
正直、私は輝夜のことは嫌いじゃない
あいつも私と同じ蓬莱人、私と同じ宿命の中生きている
私に似ているあいつに、好意さえ覚えてしまうこともあるのだ
「・・・はぁ」
止めどなく出てくる溜息に、私の気分は更に沈んでゆく
いくら蓬莱人と言っても、心の傷までは治せない
「あんなこと聞いた私が馬鹿だったのかなぁ・・・」
私が何も言っていなければ、今のこの様な事態にはなっていなかっただろう
いつも通り殺し合いをして、いつも通りのお別れをする
そうして今日も終わるはずだったのに
「・・・はぁ」
私は今一度、大きなため息をついた後、膝へと顔を埋めた
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「永琳、永琳いる?」
ここは永遠亭
月の民が住んでいる、幻想郷唯一の居場所である
「あれ、永琳いないの?」
返事がない
いつもならここにいる筈なのだが
「永琳、入るわよ――」
実験室に永琳の姿はなかった
せっかく相談にのってもらおうと思っていたのに
「もう、何でこんなときに・・・・あら?」
いつも薬の調合や、様々な実験をしている割には
綺麗な机の上に置き手紙が1枚
『慧音とイチャついてきますね by永琳』
「・・・・・・」
『PS.今日中には帰ることはできないので、家事は御自分でなさってください♪』
手紙には、いつもの冷静で尚且つ、仕事のできる従者の面影は一つも残っていなかった
「な、なっなんなのよこれは!!!」
手紙を剥ぎ取り、ビリビリと裂く
なんなの?嫌がらせなの?
決して自分の事ではないのに、ひどく赤面しているのが自分でもわかる
怒りと何かよく分からない感情がこみ上がってくる
自分一人しかいない永遠亭は、静かなものだった
ふと、妹紅の姿が脳内を過る
「も、もう!なんでこんなときに妹紅のことなんかっ・・・」
地団駄を踏んで、嫌がる素振りをする
しかし
本当はもう、気付いているのだ
私の妹紅に対する想いも、素直になれない自分がいることも
ついさっきの出来事が良い例である
あれだけ嫌いだと言いきっておきながら
一人になって寂しくなると、すぐに浮かぶのは妹紅の顔
「・・・謝らなきゃ」
今すぐにでも、謝らなきゃ
このままなんて、辛すぎる・・・
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
パチパチと薪が音を立てて燃えている
ゆらゆら揺れる炎は、今の私によく似ていた
「このままで・・・良いのかな」
まてまて、良いはずがない
ずっとこのままなんて、いろいろまずいことになる
毎日の殺し合いなんてどうなる?
互いに遠慮し合ってする殺し合いなんて、殺し合いじゃない
迷い人を送り届ける度に、変な空気になってしまってはおかしな噂も流れ兼ねない
それに・・・・
「好きなんだよな、輝夜のこと」
私はもう、それに気付いている
そしてそれを、否定することもしていない
だってそれが本心だから
でも・・・
「振られちゃった・・・か」
自分の体をきゅっと抱く
――嫌いなだけ、それだけよ
輝夜の一言が、私の頭を幾度となく駆け巡る
あぁ、本当に振られたんだ
「ちょっと、寂しいな」
本当に、ちょっとだけだけど
しかし、溢れ出るものは止まってくれなかった
妹紅は頬を伝うそれを腕で拭う
あぁ私、泣いてるんだ・・・
続く
「ん、こんな時に何よ?」
双方弾幕を避け、再び弾幕を放つ
今宵も輝夜と妹紅は、毎度毎度の殺し合いをしていた
だが、今日はいつもと比べて妹紅の様子がおかしい
弾幕っている途中に話しかけてくるなんて珍しいな
妹紅は頭を掻きながら、何とも言えない表情で言う
「なんで私等、こんなことしてんだ?」
「・・・・へ?」
唐突かつ馬鹿げた質問に拍子抜けしていた私のの顔面に、弾幕が被弾する
「―――っ!?」
不意に受けた弾幕は意外と強く、私はそのまま落下し、地面に叩きつけられた
リザレクションしたのか、痛みは無い
「妹紅ったらずるい!質問しておきながらそのまま不意打ちだなん―――」
「答えてよ」
「なっ」
妹紅は私の言葉を遮ぎり、起き上がろうとした私をそのまま押し倒した
妹紅と私の距離は、自然と近くなる
「なんで私等は毎日こんなことしてるんだ?」
「なんでってそれはっ・・・」
・ ・・あれ
なんでなんだろう
改めて考えてみると、これといった理由が見つからない
初めはちゃんとした理由があった
私が地上に落とされたときに世話をしてくれたお爺様、お婆様を妹紅は殺した
それがとても許せなかった
しかしながら人は忘れゆく生き物である
その時その場での感情も、永遠を生きる私にとっては有って無かったもの
だからうまく答えることができなかった
妹紅は視線を逸らさない
それが私を焦らせた
「そ、そんなの決まってるじゃない!あんたの事が嫌いなだけ、それだけよ!」
「・・・・っ」
後々思い返せば、私はとても酷いことを言ったのではないだろうか
妹紅は顔を顰め、伏せた
不意に気づく。妹紅、震えてる?
目の前に居る見慣れた人物の、いつもは見せない姿がそこにあった
ねぇ妹紅、なんでそんな悲しそうな顔をしているの?
「・・・そうかい」
妹紅は私を解放してくれた
それと同時に、よたよたと歩き出す
「ま、待ちなさいよ!」
「何だよ」
妹紅の声、まるで覇気がない
「まだ殺し合い、終わってないわよ」
舌打ちした妹紅は唾でも吐き捨てるかの様に
低い声で言う
「うるさい」
「あ、ちょっ、待ちなさいよ!」
私の声に振り向くこともなく、そのまま去ってしまった
走り去っていく妹紅の背中は、なんだかとても小さく、弱々しかった
―――――――――――――――――――――――――――――
「はぁ・・・」
昼間は人間達が迷ってしまう迷宮のような竹林も
夜中では妖怪の巣と化してしまう
そんな竹林で、私は一人焚き火をしていた
「ったく、輝夜の奴、あんなにはっきり言うことないだろ・・・」
正直、私は輝夜のことは嫌いじゃない
あいつも私と同じ蓬莱人、私と同じ宿命の中生きている
私に似ているあいつに、好意さえ覚えてしまうこともあるのだ
「・・・はぁ」
止めどなく出てくる溜息に、私の気分は更に沈んでゆく
いくら蓬莱人と言っても、心の傷までは治せない
「あんなこと聞いた私が馬鹿だったのかなぁ・・・」
私が何も言っていなければ、今のこの様な事態にはなっていなかっただろう
いつも通り殺し合いをして、いつも通りのお別れをする
そうして今日も終わるはずだったのに
「・・・はぁ」
私は今一度、大きなため息をついた後、膝へと顔を埋めた
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「永琳、永琳いる?」
ここは永遠亭
月の民が住んでいる、幻想郷唯一の居場所である
「あれ、永琳いないの?」
返事がない
いつもならここにいる筈なのだが
「永琳、入るわよ――」
実験室に永琳の姿はなかった
せっかく相談にのってもらおうと思っていたのに
「もう、何でこんなときに・・・・あら?」
いつも薬の調合や、様々な実験をしている割には
綺麗な机の上に置き手紙が1枚
『慧音とイチャついてきますね by永琳』
「・・・・・・」
『PS.今日中には帰ることはできないので、家事は御自分でなさってください♪』
手紙には、いつもの冷静で尚且つ、仕事のできる従者の面影は一つも残っていなかった
「な、なっなんなのよこれは!!!」
手紙を剥ぎ取り、ビリビリと裂く
なんなの?嫌がらせなの?
決して自分の事ではないのに、ひどく赤面しているのが自分でもわかる
怒りと何かよく分からない感情がこみ上がってくる
自分一人しかいない永遠亭は、静かなものだった
ふと、妹紅の姿が脳内を過る
「も、もう!なんでこんなときに妹紅のことなんかっ・・・」
地団駄を踏んで、嫌がる素振りをする
しかし
本当はもう、気付いているのだ
私の妹紅に対する想いも、素直になれない自分がいることも
ついさっきの出来事が良い例である
あれだけ嫌いだと言いきっておきながら
一人になって寂しくなると、すぐに浮かぶのは妹紅の顔
「・・・謝らなきゃ」
今すぐにでも、謝らなきゃ
このままなんて、辛すぎる・・・
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
パチパチと薪が音を立てて燃えている
ゆらゆら揺れる炎は、今の私によく似ていた
「このままで・・・良いのかな」
まてまて、良いはずがない
ずっとこのままなんて、いろいろまずいことになる
毎日の殺し合いなんてどうなる?
互いに遠慮し合ってする殺し合いなんて、殺し合いじゃない
迷い人を送り届ける度に、変な空気になってしまってはおかしな噂も流れ兼ねない
それに・・・・
「好きなんだよな、輝夜のこと」
私はもう、それに気付いている
そしてそれを、否定することもしていない
だってそれが本心だから
でも・・・
「振られちゃった・・・か」
自分の体をきゅっと抱く
――嫌いなだけ、それだけよ
輝夜の一言が、私の頭を幾度となく駆け巡る
あぁ、本当に振られたんだ
「ちょっと、寂しいな」
本当に、ちょっとだけだけど
しかし、溢れ出るものは止まってくれなかった
妹紅は頬を伝うそれを腕で拭う
あぁ私、泣いてるんだ・・・
続く
の が一個多いです
続きに激しく期待
えーけねの方も気にありますが