Coolier - 新生・東方創想話

秋終:恋色マスタースパーク!

2004/11/23 19:12:33
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 今日もいつも通り本を読み漁る一日。
 ふと我が家の柱時計に目をやると両方の針が真上を向いていた。なんだ、気が付いたら今日ももう終わりか。
「もうこんな時間か? 相変わらず本読んでると時間過ぎるのが速いぜ」
 いい加減眠いんで本を閉じたが、その時にふと、ある事に気がついた。
「そういえばチルノの奴、今日も来なかったな」
 来ない日が3日も続いたのは初めてじゃなかったか? と、そこまで考えて、昼過ぎにも夕刻にもついつい時間を確認していたのを思い出す。
 今日一日、チルノを無意識のうちに待ってた自分にいまさらだが気がついた。いい加減涼しくもなっては来たんだが……なんでだかな。
「あー、とりあえず寝るか」
 理由を無理矢理棚上げして、寝巻きに着替えて布団にもぐる。まあどうせ明日には来て、やかましくなるんだろうと思いつつ。

 それから一週間経ってもチルノの奴は来なかったが、まあ相手はチルノだしな……。単に気まぐれで来てたのが来なくなっただけだろうくらいに私は軽く思ってた。
 しかし、一番最初に異変に気が付いたのは……意外な事に霊夢の奴だったりする。チルノが来なくなってから半月後くらいに霊夢を冷やかしに行った時だったか。



「魔理沙、もしかしてあんた何かしたの?」
「おいおい、来ていきなり訳の分からん挨拶だな霊夢」
 神社に着いて霊夢と顔を合わせて開口一番、霊夢が口にした言葉がこれだ。主語を抜かして話をするなよ、内容がさっぱり分からんぜ。
「で、何の話だ?」
 こっちとしても面白いリアクションの取り方が浮かばないんで、とりあえず無難に返す。
「チルノの事よ。ここ最近全然見かけないから、何か魔理沙とあったのかと思ったんだけど」
 ぽりぽりと頭を掻きながら、霊夢が尋ねてくる。
 ……っておい。
「あのな霊夢。一つ聞きたいんだが……チルノを見かけなくなった原因をどうして私に聞くわけだ?」
 霊夢に極めて単純な疑問をぶつけてみる。
 そこはかとなく嫌な予感はするが。
「どうしてって……魔理沙とチルノって恋人同士でしょ。チルノがいなくなるなんて魔理沙が何かした以外考えられないと思ったんだけど。喧嘩でもしたの?」
 こっちの質問に霊夢はさらっと答えてくる。しかも思いっきり真顔で。
 この時私は初めてある事を知った。アリスみたいに冷やかしとか、からかい半分の答えならまだマシだってことだ。
 こいつの反応を見てたら分かるぜ。霊夢の奴……本気で頭っから信じこんでやがる!
「待て――! チルノがこっちをどう思ってるかはさておくとしても、私は普通だ! そんな変な趣味は無い! 大体喧嘩なんかするか、チルノが何で最近うちに来なくなったのかなんて私が知りたいくらい……」
 反論と一緒についいらん事まで口走ってしまって、慌てて口を押さえるがもう遅い。遅すぎだ。
「え? チルノって魔理沙の家にも来てたの!? ……あー、そ、そうなんだ。……べ、別に私は魔理沙の趣味をどうこう言ったりしないけどさ、うん」
 ……とか言いつつ、かなり不自然に霊夢の目が寄ってるのは気のせいか? 
 話の方向性が果てしなくやばい気がするぜ。
「あー、でチルノがどうしたって?」
 当面の説得を諦めて、かなり強引に話の方向性を変えてみる。
「あ……。うん、そうね」
 霊夢の方も流石に良くない話題と思ったのか、あっさりと乗ってくるが……あまり嬉しくないぜ。
「うーんと、あのさ。チルノって大抵週に一回くらいは神社の近くを飛んでたり、どっかで見かけたりするでしょ。ただ最近は全然見かけないからちょっと気になって。私だけならまだしも、うちにちょくちょく来る連中も見かけてないっていうし」
 紫とか咲夜引き連れたレミリアとかー、と霊夢が付け加える。その時、不意にチルノの奴が最後にうちに来た時に言った言葉が浮かんだ。
 


『もし私が来なくなったらさ、魔理沙は寂しい?』



 はっはっは。
 …………まさかな。ただの偶然だろうさ。
「ただの偶然だろ霊夢。それにしてもどうしたんだ、お前さんがそんなに気になるなんて珍しいじゃないか」
「……ん。なんていうか、ちょっとだけ胸騒ぎがするのよ。平たく言ったら勘なんだけどね」
 頬を掻きながら霊夢は言う。巫女の勘って奴だろうが、こいつの勘は結構当たる。ただそういうのを聞いていきなり頭から信じるのは、私も流石に抵抗があるけどな。
「勘とはなぁ。随分と非科学的だぜ霊夢」
「非科学的って……あんただって魔法使いでしょうが。非科学そのものでしょ」
「科学なんて邪道だぜ。大体地味だしな」
「言ってる事がさっきと違うってば」
 そうして適当に霊夢と話し込んで、博麗神社から帰る。……別にチルノの事が気になったわけじゃないが、帰り道に散歩代わりに湖に寄って見たけれどチルノの姿はどこにも無かった。



 そして霊夢のとこでチルノの事を聞いてから、あっという間にさらに半月が経った。
 つまりチルノの奴が最後に来てから今日で丁度1ヶ月だ。
 ……この際だからはっきり言っておくとだ。私は自他共に認めるひねくれものだぜ。どんな邪魔に思う物だって、いざそれが無くなったら気に食わない人間だ。ただ、それでいてあんまり物事を引きずらない人間だとも思ってる。
 ……だってのに。チルノが来ないだけで、何だってこんな気になるんだ私は?
「あー、ダメだ。読む気がおきないぜ」
 ここ数日、全っ然やる気が無い中それでも新魔法研究の為に目を通していた魔道書をとうとう放り投げてベットに倒れこんだ。
 チルノが来たのは8月の最後だってのに今日はもう10月。
 その間一度も見かけなかったら幾ら何でも心配にはなるぜ。……まあ顔見知りとして、だけどな。
「……とりあえず読み終わった本、返しに行くか」
 そうして、パチェの書庫から借りた本を数冊抱えて紅魔館に向かう事にした。……期限はまだどれも半分くらい残ってるんだが。



「おーい、パチェー。いるか~?」
 紅魔館に着いて、パチェに聞こえそうなくらいの大声を出す。もし体調不良だったら帰るしかないんだが……そろそろ喘息の調子も良くなっていて欲しいもんだ。
「あら。どうしたの魔理沙、何か用かしら……?」
 少しの間をおいて、少し離れた書架からふよふよとパチェが飛んでくる。
 どうやらもう動いても大丈夫な状況らしいな、安心したぜ。
「本を返しに来たぜ。いやー、重い本何冊も抱えて飛ぶと安定しないな」
 ドサドサと本を机に置く。
 しかしパチェは一瞬訝しげな顔をした後、返した本のタイトルをじーっと眺めている。あー、やっぱパチェの奴気がついたか?
「で、今日は一体何の用で来たの?」
 ……即バレか、これは。まあ借りてもギリギリまで本返さないのが私の習慣だし、パチェにはバレない方がおかしいんだが。
「ちょっと長い話なんだが良いか?」
 口にして自分でも少し不思議に感じた。話なんて、それこそ幾ら長くても『話したい事があるから、暇なら付き合えよ』ってのが私のスタンスだってのに。……なんかここ最近調子がおかしいぜ。
 こっちの言葉に、パチェは一瞬考え込む。
「ん……まあ暇だし別に良いけれど」 
 パチェがそう言った直後、司書の小悪魔がひょこっと後ろの方から顔を出した。
「パチュリー様ー。魔道書の分類は私だけじゃ良く分からないのでちょっと来……あ」
「……! て、てきとーで良いからあなたの方でやっておいて!!」
 パチェは顔を真っ赤にして、しっしっと手で小悪魔を追い払った。
 っておいおい、魔道書の区分けはてきとーじゃまずいだろパチェ。反発するもの同士を隣に並べたりしたら本の魔力暴走するぞ。というか暇じゃなかったのか?
 そんなこっちの気持ちを理解したかのように、パチェは首をぶんぶんと横に振る。
「あ……うん。そろそろあの子も魔道書の区分け位一人でやれるように、って思って。それにそろそろ休憩もしようと思ってたのよ、ええ」
 頬を赤く染めたままで、紫色の髪をくるくると指で回しながら一気にまくしたてるパチェ。……まあパチェがそう言ってくれてるんだから、この際その言葉に甘えておこうか。
「おほん。早速なんだが……妖精について何か知らないか? 特別な事とか、行動とか」
 こっちの問いに、パチェは面食らったような表情になる。
 まあ、普通予想できないよなこんな漠然としまくった質問なんか。
「妖精? 特別な事って、本能とか生態とかかしら……ごめんなさい私も詳しくは知らないわ。ただその手の本なら確かあったと思うけど……ちょっと待ってて」
 首を傾げながらだが、パチェは席を立って書庫に行くとすぐ、一冊の本を手に戻ってきた。
「やっぱりパチェに任せると速いな」
「本の場所を調べる魔法があるから。で、これがそうだけど……何でこんな事知りたいの?」
 まあ当然聞いてくるよな……。
 理由言わないで済ませるのは流石に礼儀知らずだ。ただパチェにチルノの事話して過剰に反応しなきゃ良いんだが……。いや、遠まわしに言うのは私の性には合わないぜ。
 大体変にパチェに隠さなきゃならん理由も無い。
「いやまあ。チルノの姿が最近見えない上にその理由も分からんから、妖精について調べたら理由の一端でも分かるかと思ってな……」
 その言葉にパチェは一瞬眉を寄せる。
「妖精なんてぼかして言わないで、最初からチルノの事が気になるって言えば良いのに。あの子は氷精よね……えーっと」
 が、すぐに何事も無かったように座り直した。
 あー、まあ杞憂だったか。
 本を開いてパラパラとめくっていくパチェ、で私は隣から覗きこむ。
「……この本によれば秋の半分位は、本能的に冬を起こす準備の為に自ら好んで姿を消すって書いてるわね。力の強い氷精の場合は冬を運んだ後に普通に戻って来て真夏でも平気で存在していられるって」
 まあチルノの奴はまさにそれだよな。結構バカっぽい奴だが、妖精の中ではあれでも無茶苦茶に強い部類だし。
 何てことはない、ただリリーよろしく春ならぬ冬を運びにいっただけか。あー、気にして損したな……。
 と。そこまで読んで、下の一文が私の目に入った。
「しかし力の弱い氷精は、冬を起こすのに魔力を使い切ってしまうと自らも雪の結晶となる、か」
 一瞬その文が気になったが……チルノと普通の妖精の力の差なんて、それこそ天と地だ。こんな話はあいつの場合は程遠いぜ……と、そう思いながら読み進め。
 そしてある個所で、周囲の空気が凍った。


●妖精の羽について

 妖精の羽は、言うならば力のバロメーターであり魔力の象徴である。
 物理的・魔力的に強い負荷がかかり仮に羽を折ってしまった場合、再び新しい羽は生えてくるが、魔力・体力の両面で一時的にではあるが大きく低下する事になるだろう。
 それこそ力の弱い妖精ならば、羽を折っただけで消滅してしまう程である。
 なお新しい羽には細かいヒビのような模様が浮き出している為、一目でそれと見分けがつく。

 
 ……待て。
 何なんだこの説明は。なんの冗談だ?
「魔理沙、これって……」
 すぐにパチェも気がついたらしい。
 気がつくとパチェが既に本から顔を上げて、不安げにこっちを見ていた。
 そうだ。あいつは私を助ける為に派手に羽を折ったばかりじゃないか、それも一枚だけじゃなくて何枚も。
「……魔理沙。これってもしかして相当にまずいんじゃ……」
「……いや、まあ大丈夫だろ。あの後にもすぐチルノの奴はうちに顔出してたし、そんな調子が悪いような様子も無かったぜ」
 パチェの言葉に、私は最大限可能な限り普段通りを装って答えた。
 ……もちろん大嘘だ。
 あいつは言ってたじゃないか、最近ちょっと疲れてるって。ましてや、あれだけ妙にご熱心だったチルノが考えてみたら何で1日おきとか2日おきに来てたんだ? ……どうして『毎日』じゃなかった?


 チルノは来なかったんじゃなくて、来れなかっただけじゃないのか!?


 やばいぜ。これ以上考えれば考えるほどやばい方向にしか考えがいかない。せめてパチェがこっちの言葉に嘘でもいいから同意でもしてくれれば良いんだが、パチェは顔を曇らせたままだ。
 ……誰でもいいぜ。この際何でもいいから出てきて、この嫌な思考の流れを吹っ飛ばしてくれ。
 そう思ったのが通じたのかどうかは知らんが、図書館のドアが派手な音を立てて吹っ飛んだ。
「魔理沙が来てる――!」
「い、妹様!?」
 やって来たのはフランだった。
「魔理沙、あそぼあそぼーっ♪ 最近、魔理沙とあそんでなくて運動不足~」
 笑顔でこっちに抱きついてくるフラン。
 ああ、こいつの相手をしていたら、しばらくは余計な事考えなくて済みそうだぜ。
「おぉ良いぜ。久しぶりだしな、幾らでも付き合ってやる。負けたからって泣くなよー」
「……むー。泣かないもん! 今日は終わりの方で新しい技があるし、魔理沙をびっくりさせる!」
 そうしてフランに手を引っ張られるままに席を立つ。
「魔理沙、何も今そんな……」
「だから大丈夫だって言ってるだろ。それに小悪魔一人で魔道書の整理なんかやらせてるんだし、そろそろ何か起こるんじゃないか?」
 言ってる側から、丁度いいタイミングで書庫の方から爆発が起こる。パチェはこっちと爆発の先を交互に見ながら、仕方が無いとばかりに向こうに飛んでいった。


 フランとの遊びはいつも通りの弾幕ごっこ。とはいえ威力がやたらとでかいから、気を抜くとフランの場合は結構やばいし相当に痛いんで、こっちも最初からそれなりに本気だ。
「じゃあ最初はいつも通り、ちょっと甘酸っぱい罠から抜けてみよ。パターンちょっと変えたからきついよ魔理沙~♪」
「おお言ったなフラン。でもパターン変えたせいで、密度薄い所結構あるぞ。これじゃあただの甘い罠だぜ」
「あ――!」
 ちょこちょこ遊んでいる内にノッてきたのか、フランの攻撃も段々と激しくなってくる。
「やっぱ魔理沙強いってばー。次は大迷路だけど……魔理沙に効かないんだよなぁ、これ」
 そして来たのはちょっと見ただけでは一発で迷いそうな、一面の極密弾幕迷路。
 とはいえ、これは結構見慣れてるからな。迷路の抜け方なんて一度覚えてさえしまえば……。
 そう思った時だった。おいおいおい……この迷路、こんなに抜けるの難しかったか!? そう思いながらぐるぐる回ってる内に、ついには自分の場所まで混乱しだした。目前には弾。
 うぉダメだ避けられん!


 
「あれ? 魔理沙、当たっちゃったの?」
「いや……久しぶりなんでな、ちょっと迷ったっぽいぜ」
 床に座り込みながら、ずり落ちた自分の帽子をかぶりなおす。しかし我ながら、随分とあっさり墜ちたもんだ。……いくら気になる事があるからとはいえ、だぜ。
 以前までは簡単に避けられていたってのに、今回まるで避けられる気がしなかったのは何でだ? 首を捻っている内にフランの奴も下に降りてくる。
「そういえばこの迷路って、パチュリーも急に避けらんなくなったのよね。なんでだろ、やっぱりスペルの名前が恋の迷路だからかな? ……あ。魔理沙、もしかして誰かに恋しちゃった?」
 ぶ――っ!
 とんでもないフランの言葉に思わず噴いた。
「ば、バカ。そんな奴いないぜ!」
「魔理沙、それって私? 私ーっ?」
 私の言葉に構わずフランが抱きついてくる。
 くそ。フランの奴、こっちの言う事てんで聞いちゃいないし。そんな相手なんか別にいる訳が……

『……魔理沙のかわいい寝顔を、一番近くで見たかったから、かな……』

 ……待て私。なぜここでチルノの顔が浮かぶ。
 そんな事を考えている時に、パチェが文字通り飛んできた。
「魔理沙、大丈夫!?」
「あんまり大丈夫じゃないぜ、何とかしてくれ」
 べったりくっついているフランを引き離しつつ、パチェに言う。
 しばらくパチェは興奮したフランの奴を宥めていたが、少ししてこっちに来る。
「魔理沙……あなた、やっぱり帰った方が良いわよ。こう言ったらなんだけど……なんだか凄く空元気に見えるもの」
 パチェの言葉は、そのものズバリだった。実際問題、フランとの弾幕ごっこであんなあっさり墜ちるくらいだ、私が自覚してた以上に動揺してるのは間違いないんだろう。
「空元気でも元気は元気だぜ?」
 だからかもしれんが、軽くパチェの言葉に返すつもりが思いっきり本音が出た。
 フランは目を丸くするし、パチェの奴は盛大に溜息をつく。
「妹様、魔理沙はちょっと調子が悪いようですし、今日はもう帰した方が良いと思いますわ」
「えー! 少しいつもと違うみたいだけど、でもせっかく遊んでるのに――!」
 ごねるフランに、今日は代わりに私がお相手をしますからとパチェが宥める。
「……悪いなフラン。またすぐ来るから、続きはその時にな」
「ぶー。絶対だからねー!」
 頬を思いっきり膨らませながらだが、それでも納得はしてくれたらしい。……それだけ私の様子がフランの目から見ても変だって事でもあるんだろうぜ。
 そうして後をパチェに任せて紅魔館を出るが、家に直行する気には全然ならん。
 仕方が無いんで適当に飛んで、見晴らしの良い広場で降りる。時期柄か紅葉や銀杏の葉がはらはらと舞い散っていた。とりあえず地面に座り込んで落ちる葉を眺めて見る。
 ……私には相当似合わない気がしてならないが、今はそういう事をしたい気分だぜ。


「…………」
 考えを整理するとして。チルノの奴の状況は分かった。ただ……それでどうするんだ?
 あいつは誰かに無理矢理連れて行かれたんなら、そいつぶっ飛ばしてチルノ連れて帰って来るさ。ただこれはそういう訳じゃないぜ、あいつは自分の意志で好きで行ってる。
「それを私がどうこうするのはそもそも筋違いだろ。チルノとは『ただの知り合い』だってのに」
 あえて口に出して言ってみた。
 ……が、自分の言葉だってのに全然自分の台詞に聞こえない。まるで全てが嘘のように。
 って何が嘘だ? 全部事実の事だろうが。そもそもチルノがどこにいるかも分からんのに、どうやって探しに行く!? 
 その時、後ろで何かが枯葉を踏む音がした。しかも音からしてすぐ側っぽい。
 考え事してて全然気がつかなかったぜ、変な妖怪だったら吹っ飛ばす! そう思って詠唱しつつ振りかえる。
 ……ってなんだ、七色馬鹿か。
 まあ【物凄く】変な妖怪だから打つのはよすか。弾幕ごっこやる気分でもないしな。
「よぉ、アリス」
 軽く挨拶をするが、案の定アリスの奴はこっちを見て怪訝そうな顔をする。
 いつも通りの、嫌なのに会ったとでも言わんばかりの表情だ。
「嫌なのに会ったわ。多分今日は悪い事が起きそうね」
 ……って今言ったんだな、実際に。
「随分とご挨拶だなあアリス。そういうお前さんこそ、何の用だ?」
「何って。この時期の紅葉の中には魔力の回復丹になる物があるでしょ、その材料を取りに来たのよ。ちなみに、魔理沙のお尻が今ふんずけてるのもそうね」
 そう言ってアリスが人の尻を指さす。
 ああ、そういえばそうだったな……。そう思い下を見ると、いい感じに落ち葉が潰れていた。
「ほれ。使うか?」
「いらないわよ。魔理沙のお尻で潰された葉なんか使ったら回復どころか魔力暴走しそうだし」
 おお今日も中々酷い言われ様だぜ。
 まあ仮にアリスに『こんにちは魔理沙。今日もいい天気ね』なんて挨拶されたら鳥肌もんだがな。
「で。採集に来たんじゃないんなら、何だってこんな所にいる訳よ?」
 当然のように質問が来る。やっぱ不思議か、私がこんな所に座りこんで黄昏てたら。
「そうだな。散りゆく紅葉を眺めながら物思いに耽っていた……ってのはどうだ?」
「やめてよ冗談。魔理沙には絶望的に似合わないわ、そんなの」
「そうか?」
 冗談抜きに実は本当にそうなんだけどな。
「でも物思いに耽るかどうかはさておき、実際綺麗だとは思うけどね。春は桜、秋は落葉。あんたと一緒じゃなきゃもっと綺麗に見えるでしょうけどね」
「ほー。でもそれだと差し詰め冬は雪か? 実際初雪は私も綺麗だと思うぜ、少ししたらすぐに寒くてうんざりするのが玉にきずだがな」
 冬のロマンぶち壊しよ、という言葉がアリスから返って来た。
 その時、さっき読んだ本の一説が浮かぶ。

【弱った氷精は力を使い切ると雪の結晶となる】

 ……目の前で落ちる銀杏の葉を見て、さっきまで気軽に眺めていたのが嘘のように全身に悪寒が走った。
「まあ頑張って葉っぱ拾いしてくれアリス。私はいい加減帰るぜ」
 箒を持って立ち上がる。そしてさっさと飛んでいこうとする私の後から『誰か』の声がした。
「魔理沙はそれでいいの?」
 突然の言葉。私の後ろにいるのはアリスだけだが、こんな事をあいつが私に言う訳無いからな。だからこれは、アリスの言葉じゃないんだろうぜ。
「……私も良く分からんぜ」
 だからこっちも答えてやる。振り返らずに、だがな。



 そして。気が付いたらもう11月。
 あの夏の暑さが嘘みたいに、最近は正直かなり寒くなってきたな。くそやかましい蝉の声も、今では懐かしく感じるぜ。
 ……後は懐かしく思うものが……もう一つあるか。
 ちらっと我が家を見渡すと、まあ良くもこれだけ乱雑になったもんだと感心するくらい色々とヤバイ事になっている。部屋をこうした犯人は無論私だが。
 考えてみたら、あの頃はチルノが部屋を掃除してたんだな。おかげで、それなりに足の踏み場もあった気がする。

 …………この部屋を見てたら、それがまるで遠い昔のように思えてくるから……不思議だぜ。
「……そろそろ暖房用の石炭でも買いに行くか」
 玄関横に立てかけてある箒を持って、外に出た。
(別にもう夕刻なんだし、石炭なんか明日でも良いんじゃないか?)
 そんな自分の中のもう一人の声は無視する。小さく息を吐くと、白い息が目の前に広がって。
 そして当然なんだが。
 すぐに、ぱっと消えた。



 里に出て石炭袋を買って、袋を箒の先に吊るしながらの帰り道。
 ここを右に曲がれば湖。直進すれば我が家だな。
「…………」
 って何で私は湖に向かってる? 用なんか何もないくせに。
 いや……別にただ散歩したくなっただけだ。それだけの事だぜ。
(ほー。くそ重い石炭袋吊るして飛んでるのに、この寒い中散歩か。変わった趣味だな)
「ええい黙れ! 私が散歩したいといったらするんだ、黙ってろ」
 思わず自分に怒鳴ってしまって、すぐ気が付く。おいおい……何やってんだ私は。
 程なく湖には着いたが当然のように何も無い。ただただ色々と寒いだけだ。
「しかし散歩に来たんだからな。意地でも散歩してやるぜ」
 そして、くそ重い袋を放り投げて箒を片手に無理矢理湖の周りをぐるぐると歩き回る。
 にしても……本気でバカみたいだぜ。
 と思った時、不意に背筋にびりっとした強い冷気を感じた。こいつは風じゃない。だとすると。
「チルノかっ!?」




 しかし思わず振り返った先にいたのは、チルノじゃなく。
 いつぞや見かけた自称黒幕が目を丸くしていた。
「……あー、なんだお前か。そっか、いい加減冬だし湧いて出て来てもおかしくないな」 
 思いっきり期待はずれだぜ。 
 そんな気持ちが、意識しなくても勝手に力一杯こめられた台詞になる。
「湧いて、ってねぇ。まあ確かにそんなもんだけど」
 別段表情も変えずに、ぽりぽりと頬を掻く。無駄に熱いチルノと違って、冬の妖怪らしいっていうかクールではあるな。……まあ、これはチルノが特殊なだけか。
 ……しかし待てよ。こいつだったらチルノの事、知ってるかもしれん。
「あー。すまんが二つほど聞きたいんだが良いか?」
「別に良いわよ。年齢とスリーサイズ以外なら」
 これまた表情を変えないで言って来る。って、誰がそんなもん聞きたがるか。私は女だぜ。
「お前さんたち、冬の妖精や妖怪が秋頃冬を運ぶ準備してるって話を聞いた事があるんだが……本当の事なのか? だとするとご苦労な事だがな」
 単なる興味本位……を装って聞いてみる。できればここの時点で否定してくれたなら、相当にありがたいんだが。
「あら。どこで調べたか知らないけど、本当の事よ。別に皆、仕事とかじゃなくて好きでやってるだけだけれど、いる連中は毎年必ず来るわね」
 しかし物凄くあっさりと肯定された。
 仕方が無い、こうなったら怪しまれようがどう思われようが核心を聞くしかないぜ。
「じゃあもう一つだが。…………今年そこにチルノがいなかったか?」
「いたわよ。かなり弱ってるように見えたけど『さあ今年も気合入れて冬にするぞー!』って随分息巻いてたわね。だからチルノのやりたいようにやらせたけど」



 ……おい待て。
 今、なんていった!?
「バカ! 弱ってんのが分かってるならどうして止めなかった!? 相当危険な状態だったんだろ!」
 何ていうか。一気に頭に血がのぼった。気がつくと、反射的にレティの胸倉引っつかんでいた位に。
 そんな事した私自身も驚いたが、一瞬レティの奴さえ呆気に取られていた。
 が、すぐに手をバッと払いのけられる。
「別に。本人がやりたいって来てるんだから、それを私がどうこう止める筋合いでも無いでしょ」
「お前とチルノは友人じゃなかったのかよ!?」
 文字通り冷ややかなレティを、私はさらに問い詰める。
 ああダメだ、もう止まらん。止めようが無いぜ。
「友人って。そんな物じゃないわよ。ただ良く私にくっついてくるから相手してただけ。というか冬の妖怪な私に友人なんてそんな妙に似合わない気持ち、あると思う?」
 こっちを射抜くようにきっぱりと言い切られて、私はこれ以上何も言う事が無くなった。
「聞きたい事がそれだけなら私は行くけど?」
「……ああ。お前には随分つまらん事聞いて悪かったな」
 私の言葉に、そう、とだけ呟いてレティの奴は去って行くが、その時急に振り返った。
「こっちからも一つ質問いいかしら。私はあなたって、もうちょっとクールな方かと思ったけど意外とかなり熱いのね」
「質問なら疑問系で尋ねろよ。前も言ったが私は普通だぜ、色々とな」
 私の言葉に満足したのかどうかは知らんが、レティはそれだけ聞くと今度こそ本当に振り返らずに遠ざかっていく。
「…………こっちも帰るか」
 誰一人いない状況で、いつまでもここにいたって仕方が無いしな。散歩は終わりだ。
 自分のトレードマークの帽子を深く被り直して箒にまたがる。帰り道、箒の先にくくりつけている石炭袋の重みはさっき以上に増した気がした。



 家に帰って真っ先に私はくそ重い石炭袋を屋外の倉庫に放りこむ。
 そんな事をしながら、レティの言葉がざっくりと心に刺さっている気がしてならかった。あのレティの言葉を罵る気にならなかったのは何故だ? 言っても無駄だと思ったからか? そんなのは違うぜ。

 あいつの言ってた事は……どれもこれも、私にも言える事ばかりだろうが!!
 チルノの調子が悪いかどうかくらい、ちょっと考えれば分かる事だったはずだ。それっぽいサインは幾らでも見ようと思えば見えた。なのに、大して気に止めようともしなかった。
 パチェの所であいつの異変に明確に気がついても、探しに行こうとしなかったのはどうしてだ?
 誰かに連れて行かれたんじゃないからって、あいつが自分で好きで行ったのを止める気がしなかったのは私もだろ!
 けどな。あいつは私の友人だったんじゃないのか? 確かにしょっちゅうくっついて来て、鬱陶しいと思ったことはそりゃ結構あったぜ。でも、大事な奴じゃなかったのか!? 
 何でここ3ヶ月ずっとチルノの事をまともに考える事から逃げてたんだ、霧雨魔理沙さんよ!
「……はっ」
 不思議と笑いがこぼれる。と言っても、笑いったって自嘲以外の何でもない。チルノの事をバカだバカだと言ってたが、一番のバカは私だろ。
 こうなるまでこんな当たり前の事にも気がつかないんじゃ。
 そうして欠片も整理の出来てない倉庫から這い出す。すると。

 ちらちらと、今年最初の雪が降ってきていた。
「……初雪だな」
 つい空を見上げると、ぱらぱらと小さく舞い落ちる雪。
 ……冬を起こすのに魔力を使い切った妖精は自らも雪の結晶となる……か。

 私は。
 ずっと、空を見上げたまま顔を下ろせなかった。
 あー……目に雪が入ったか? 視界がぼやけて仕方が無いぜ……。
 不意に、最後にチルノが言っていた言葉が浮かぶ。
『あ、魔理沙に一つしつもーん。もし私が来なくなったらさ、魔理沙は寂しい?』
 あの時はそらっとぼけて流したんだよな、チルノのこの質問。
 今だったら何てあいつに言うか。決まってる。
「……そうだな。かなり、寂しいぜ……」
 気がつくと視界はとことんまでぼやけて、もう何も見えなくなっていた。








『……さー』
 だから。それが聞こえた時、最初は幻聴か何かだと思った。
『…りさー』
 しかし、幻聴にしては随分しつこい。なんだ、ついに耳までおかしくなったか?
 そう思って袖口で目をこすり、幻聴の聞こえる先を見上げる。
「まりさ――!!」

 
 青で統一された妖精の姿が、そこにはあった。……っておい、もしかしてこっちに突っ込んできてないか!?
「わ、わわわ、止まらない――!?」
 それからすぐ、ズゴーンという派手な音を立てて墜落。……このバカっぷり間違いない、チルノだ!
「おいチルノ! チルノだろ!?」
 大声で呼びながら墜落したほうに向かっていく。飛ぶのも忘れて全力で走った。
 そしてその先に。
「えへへ、失敗。魔理沙が見えたからさ、感動の再会ーって飛び込もうと思ったんだけど勢いつきすぎちゃって」
 3ヶ月ぶりに見る、チルノの姿だった。
「……しばらく見なかったのに、相変わらずバカなまんまだな」
 おいおい、私よ。違うだろ最初に言う言葉は。
「あー、魔理沙それちょっと酷い。せっかく久しぶりに会ったのに」
 チルノが拗ねた。まあ当然だよな。
「じゃあそうだな……。ここはやっぱり『おかえり』か」
「……うん。ただいま、魔理沙」
 小さく笑ってチルノがこっちに走り寄ってくる。そして、チルノが飛び込んできた。
 雪の降るなかにチルノを抱き留めるなんて、寒さの極みだとは思ったが……避けようという気は全く無かった。
「バカ。いきなり来なくなるから、本気で帰り道忘れたかと思ったぜ。しかも色々と色々と隠して勝手に出かけやがって」
「えっと……あはは。もしかして全部ばれてる?」
「全部ばれたのは丁度ついさっきだな」
 こっちの言葉にチルノはごめんと言って、小さく舌を出す。
 ……本当はもっと問い詰めてやろうと思ったが、こいつの顔見てるとどうでも良くなって来るから不思議だぜ。
 とはいえ、だ。チルノが何考えてたかはさておくとしても、気になることは山ほどある。
「で……見た所やたら元気に見えるんだが、大丈夫なのか?」
 ちらっとチルノの羽を見てみたが、あの傷は綺麗さっぱり無くなってるっぽい。何があったんだ?
「えぇっと。体の方はもう大丈夫。ごめん魔理沙、内緒にしてて」
「まあ別にいいぜ。帰ってこなかったら許さなかったけどな」
「……えっ?」
 うぉっとお、本音が出ちまった。
 ただこっちの一言で何となく察したのか、チルノがちらちらとこっちを見ながら顔をほんのり赤くさせている。
 ……だから、いきなりそういう強力な攻撃はやめろって!
「えっと。冬にするのは、私は今年結局出来なくて……さ。やる気まんまんだったのにレティにいきなり張っ倒されて気絶しちゃって」
 何だって? おいおいおい。あいつから聞いてたのと全然話が違うぜ。
「うんそう。で、目が覚めたら準備全部終わってたの。レティ、弱ってて危ない時に無茶するなって言ってた」



『私はあなたって、もうちょっとクールな方かと思ったけど意外とかなり熱いのね』
 何だ。お前も一見クールに見えるが、実際かなり普通じゃないか。しかも実は照れ屋か? 
 ……ありがとな。
 面と向かって言う気はせんので、心の中だけで言っておく。
「あーあ。今年もやりたかったのに……」
「安心しろよ。来年以降こんなヤバイ事があったら、今度は私が真っ先にお前を張り倒してやるぜ」
 チルノに、思いっきりここだけははっきり言っておく。どんなに恥ずかしくてもだ。
「……うん。それでさ。空の方が寒くて治りが早いってレティが言うから、向こうで1ヶ月くらい休んでたんだけど、その間にレティに魔理沙の事話したら……」
 

 ビシ。
 待て。凄く待てチルノ。あいつにも言ったのか、お前?
 つか、どこまで話したんだ!? 絶対誇張とか入ってるだろ!
「レティが『それはあと一月くらいここにいた方が良いわね、絶対』って随分言ったんだ。それまで魔理沙の顔が見られないのはやだって言ったんだけど、もっと近くで魔理沙の顔が見られるようになる、って言うから我慢できるまで我慢してたんだけど……魔理沙?」

 あんの黒幕が――!! 
 ああ、チルノに罪は無いぜ。何も知らん事もある意味罪な気がするが……ええいくそ。どうしてくれよう。とりあえずさっきの感謝の言葉は全力で撤回だ、後であいつ全力でぶっ飛ばしてやる。
 そんな時だった。チルノの奴が、すっと。
 私の目の前に来ていた。
「もう私……我慢できないよ。だから……さ。私、魔理沙の顔、もっと近くで見たい」
 とんでもない事を言いやがった。しかも涙目っていうおまけつきと来てやがる。
 本気で某メイドでも出てきたかと言わんばかりに、時間が止まった。いや、チルノだけに凍ったか? ってそんなどうでも良い事を考えてる場合じゃないぜ、どうするんだ私――っ!?
「魔理沙……」
 ああ、チルノよ。その青い目でこっちをじーっと見るんじゃない。放っておけなくなるだろうが。
 弾幕は弱いのに、どーしてこっち方面はこんなやばい攻撃を平気で撃てるんだお前は!
 ……ええい、こうなったら恥ずかしいが仕方が無い。逃げるのは性に合わん、この霧雨魔理沙受けて立ってやるぜ!


 
 で? やったかって? やったさ。
 ……一応誤解の無いように言っておくが唇じゃないぞ。親しい友人として、おでこにな。
「…………」
 一瞬ポカンとしてたチルノ。ただ、その直後に私はさらに飛んでもない物を見る羽目になる。
「むー……!」
 眉を寄せて不機嫌そうな顔をした後、さらに顔を近づけてきやがった。
 やり直し? やり直しなのかっ!?
 いやちょっと待てチルノ。私にそういう趣味は無いと何度も言ったぞ。いやまあ……確かにキスした事無い訳じゃないが、これまでのはどっちも冗談と言うか気まぐれというか、そういうもんで……。
 つーかここでチルノとキスしたら、私はもう霊夢の奴にも違うと言えなくなるだろうが!
 しかし混乱してる私に対しても、チルノの奴は全然容赦が無かった。
「魔理沙……私とキスするの、いや……かな?」
 少しだけ顔を離した後、薄く涙を浮かべたまま小さく俯いて、よりにもよって安地の存在しない攻撃をして来やがった。
 うおおお! ボム無しで避けろって言うのかこれを! どうやって!? 
 こんなもん避けられるか――!!
「そんな事、無いぜ」 
 もうどうにもならん。
 そっとチルノの肩に手をおいて、チルノとの距離が縮まっていく。

 20cm。15cm。10cm。

 待て私。ここから先は本気で、やったら戻り道がなくなるぞ。いいのか私! 私は普通なんだろ!?
(むしろこの流れでキスしない方が普通じゃないぜ。大体、私だって好きだろチルノの事)
 女同士だぞ! 大体、好きとキスは別物だー!
(似たようなもんだぜ。文字入れ替えたら同じになるしな)
 自分の中の自分とせめぎあっている内にさらに距離が縮まっていく。……ダメだ、止まらん。こうなったら覚悟するしか……無い。

 8cm、5cm、3cm、2cm……そして今まさにという時だった。


「魔理沙―――っ、魔理沙どこ! ……って、ああ――っ!!」
 魔法の森にフランの声が木霊した。
 そうして、はたと我に返ってどちらとも無く体を離す私とチルノ。うおお、間一髪だぜ。
「お姉様から話聞いて飛んで来たけど、魔理沙なにやってんのよそんなのとー!」
「むか! そんなのとは何よそんなのって! 大体いきなり出てきて、良い所だったのに……。他人の恋路を邪魔する奴は牛に蹴られて死んじゃえって言葉知らないの!?」
「魔理沙は私の! それから牛じゃなくて馬よ、バカじゃないの?」
「バカって言うな――!!」
 おいおい、落ちつけよ二人とも……とは言ってみるが、両方ともてんで聞いちゃいない。
 さっきまでの雰囲気は、もうどこかに消えていた。ほっとはしたが……まあ少しだが、がっかりでもあるな。
 そんな事を思っている内に、向こうからパチェが飛んでくる。
「魔理沙、妹様こっちに来……いえ、見たら分かるわ」
「ご覧の通りだぜ」
 こっちの言葉を先取りしたようにパチェが遠い目をしてフランの方を見る。ああ、また始まった……と、口じゃ言わんが目でバリバリ語ってるな。
「お嬢様たら、ずっと魔理沙の件は妹様には黙っててって言っておいたのに……。今日になって急に教えたらしいのよ。そうしたら妹様、お付きのメイド全員叩き伏せて飛び出しちゃって」
 あーあーあ。
 ……いや、もういいぜ。いい加減バレるのも慣れたさ。大体、フランが飛び込んできたのはある意味で最高のタイミングだからな。
「でもチルノ戻ってきたのね」
 今だ言い争いの真っ只中な二人を眺めつつ、チルノの方に視線をやったパチェ。
「相変わらずバカなままだがな。でもまあ何にせよ良かったぜ。あんなんで消えられたら寝覚め悪いなんてもんじゃないしなぁ……って、なんで笑うんだよ」
 パチェは何とも言えないような笑いを浮かべていた。おいおい、何かそんなおかしな事言ったか?
「別に。ただね、魔理沙元気になったなと思って」
「な……。おほん。前も言ったろ、私はいつだって元気だぜ」
 パチェに図星を指される。適当にごまかしたが……どうせバレバレなんだろうぜ。顔が真っ赤なの、鏡見なくても何となく想像がつくぐらいだし。
 そうこうしている内にチルノとフランの奴がこっちにやって来る。

「魔理沙ぁ。あいつ信じてくれない、私と魔理沙の関係……」
 ブ――ッ!!
 思いっきり噴いた。ああ、噴いたとも。
「魔理沙、なんか勘違いしてるこいつに言ってやってよ! こんなちんちくりん、なんとも思いませんってー!」
 頬をパンパンに膨らませてフランが抗議してくる。……あー。説明するったって説明できんし、大体説明する気が全く無い。
 となると、やる事は一つだな。つまり……逃げる!

「まあ……ちょっとだけ普通より親しい友達ってところ……だな!」
「きゃあ!」
 それだけ言って、チルノの手を引っつかんで箒にまたがる。フランが『あー! ちょっと待って!』と突進してくるがわずかにこっちが早い。
 二度目って事もあってか、チルノも今度はわたわたしながらではあるが後ろに座る。
「今日は鬼ごっこといくかフラン。知りたかったら私を捕まえてみろよ、はっはっは」
 今日だけは捕まるつもりは全くないがな。
「絶対捕まえる! そして、もう魔理沙逃がさな――い!」
 そう叫んで飛んで追っかけてくるフラン。
 何やらさらっと凄い事言われた気もするが……チルノの攻撃でいくらか耐性もついたな、私も。他人を冷やかすのは楽しいが、自分が冷やかされるのは相当に恥ずかしい。今回の一連の教訓だ。
「うわ。魔理沙、あいつも結構早いよ、このままじゃ捕まっちゃう」
 流石はフラン音速も早いな。しかし、策無しでこんな事もちかける私じゃない。
「問題無しだぜ。チルノ、ちょっとだけ箒支えててくれ。……さて。本邦初公開といくか、魔砲にはこういう使い方もあるんだぜ。……いくぜ、マスタースパーク!!」
 そうして、箒の飛行方向と逆側に魔砲を全力発射。 
 と言っても撃墜させる目標は無いけどな。霧雨式ロケットエンジン点火だ!
「うわそれ反則よー! 待て魔理沙――!!」
 叫ぶフランの声も少しづつ遠くなっていく。
「どうだチルノ! ……ん? おい、そこどうした?」
 チルノの方を振り返った時、羽の1枚に僅かに小さな傷がまだ残っているのに気がついた。
 まさか、まだどこか悪いのか!?
 私が指さす方向を振り返って、チルノは小さく言った。
「あは。実はこの傷ね、ちゃんと全部消せたけど、これだけわざと残したんだ。……だってさ、魔理沙の為に頑張った、私の勲章だもん」
「ば、ばば、バカ!」
 ……悪いのはこいつの頭だな。恥ずかしすぎるぜ……。
 不意に思った。何で私がチルノの事を追いかけようとしなかったのか。私は認めるのが恥ずかしかったんだぜ、きっと。……こいつの事が好きなのが。

 初雪の舞い散る中で、チルノと一緒にフランから鬼ごっこする私。ロケットエンジン代わりのマスタースパークの色は、いつもの白光とは少し違って何故かほんのりと赤みがかっていた。


         ■          ■           ■

「軽くて丈夫なロケットエンジン……比喩じゃなくてそのまんまね」
 魔理沙達の飛んで行く方向を眺めながら、はぁ……と小さく息を吐く私。
「初めて魔理沙と出会ったときに、持ってかないで、ってあれほど言ったのに……」
 全く。魔理沙が蒐集家なのは知っていたけれど、本やアイテムだけじゃなくてこんな物まで蒐集癖があるとは知らなかった。
 しかも魔理沙本人は、集めてる気が全然ないみたいだし。
 ……私の心持っていくだけじゃ飽き足らないのかしら。
「はぁ……」
「悩める女心って奴かしら、パチェ?」
 いきなり声がした。良く知ってる人間……じゃないけど友人の声。
「レミィ!? ちょっと、いきなり後ろから声かけないで心臓止まるじゃない」
 私の友人で紅魔館の当主。他人の前ではお嬢様と呼んでるが、紅魔館や二人きりの時は愛称で呼ぶのが既に習慣になっている。初めて会った時、レミィが愛称で呼ぶように要求したから。
「あら、ごめんなさい。でも随分面白い事になってるわね」
 クスクスと、口元に手をやって小さく笑う。
 ああもう。レミィったら、絶対に私の気持ち知ってるわね……。そりゃあ、隠すの下手だけれど。
「レミィ、なんだって妹様に魔理沙の事ばらしたのよ。言わない方が良いって頼んでおいたのに」
「うふふ。ごめんなさいね。でも感謝もしてもらいけどね。魔理沙の運命、まだ決まらない方が良いでしょ?」
 ……え?
「そんな驚く事かしら? 運命の糸が見えるのは知ってるでしょ、私が。魔理沙の指には赤い糸が一杯ね、今はっきり見えるだけで3本。あと素直じゃない虹色の糸が1本あるのかしら。そのうちの1本が他の糸一気に弾きそうだったから今回だけ妹と友人の手助けしたのよ、こっそりね」
「あ……」
 バレてるなんて物じゃない。全部お見通しらしい。というかレミィ、せっかく糸って比喩使ってるのに、そんなすぐにばらしたら意味無いじゃないの。
 ……いや、これはレミィの性格だ。
「他人の恋路を邪魔すると馬に蹴られるわよ? ……ただ、まあその……ありがと」
 レミィに感謝しつつ、つい髪をくるくるといじってしまう。照れ隠しの時の癖、直さなきゃとは思ってるけどなかなか直らないのは困ったもの。
「流石に二度も三度もこんな事しないわよ、私も馬に蹴られたくないし。運命はこんがらがってる方が面白いけどね。ただ1本凄く引っ付いてるのは事実だし、頑張った方がいいわよ。友人としての忠告」
 それは当然私も分かっている……けれど。でも、勇気を出すのは恥ずかしい。
 大体、私と魔理沙はその……女同士なんだし。
「持ってかれたら後悔するわよー、きっと。ほらほら、追っかけなさいな」
「随分楽しそうね……」
「楽しいもの」
 即答された。ああ、もう困ったお嬢様だ。
「じゃあ私はそろそろ帰るわね。咲夜にも言わずに出てきたから、そろそろ心配しそうだし」
 そう言って後ろ手を振って帰っていった。
 おせっかいな友人だけど……さあどうしよう。このままだったらかなり危ないとは言ってたし、自覚もしてる。
 魔理沙がチルノの事を私に聞きに来た時に感じた、あの胸の痛みはもう私だって嫌だもの。
 大分遅くなったけど、そろそろ追いかけよう。あくまで私らしくだけど。

 そして私は魔理沙の飛んでいった東の空へと追いかけた。鬼ごっこに参加しに。

【秋終:恋色マスタースパーク!】   完
~あとがき~

 5KB以上の大量削除5回。全書き直し1回。
 ずばり言います。今回、本気で書くの大変でした。既存プロットはあったのに、です。
 魔理沙のシリアス描写が全体の半数を占めるわけですが……滅茶苦茶に難しい。
 それこそ料理のように
「ダメだ、これじゃ良く気持ち出てない! だぁ、これじゃあ魔理沙じゃない、やりすぎだー!」
 と何度できた話をちゃぶ台返しよろしくひっくり返したことか(汗)
 さらにこの話はリアルタイムでの季節感を物凄く大事にしているので
「だああ、東京に初雪降った後だと凄く間抜けだ、急げ――!!」
 というもう一つの悩みも。

 ……両方を解決させて、さらにラブ要素を最終話らしく一気に上げる。なんか物凄いバカ高いハードルだった気がします(汗)
 しかし! とりあえず自分では満足行くレベルまで仕上げました! この最終話は現在私の持てる力で撃てる最大にして最強の恋魔法です。
 でも……良かった。途中どーしても上手くかけなくて、チルノが帰ってこないストーリーだと綺麗に進みそうに感じてプロット書き直そうとか、そっちに心が流れそうになった事、実は一度や二度じゃありません(汗)その度に
「そんなもんは私の書く作品じゃねーっ!! レベルはさておくとしても、書きあがった原稿に自信を持って『はね~~』の印を押せないような話書くくらいなら、死んだ方がましだ――!」
 と心を奮い立たせ。中途でテンション落ちたりした事もありましたが……いつも以上に限界まで話に愛をこめられて、本当に良かった……(感涙)

 魔理沙×チルノの二人はどうだったでしょうか? 可愛いといって下さればこれに勝る喜びはございません。
 それから大量に張りまくった伏線、中には伏線と思われなかった物も多かった事でしょうw(パチュリーの髪をいじる仕草とか、それの代表例ですが)
 今回はほぼ全て明確にしましたが私の書く文章には昔っから、こんな感じでこっそりと何らかの意味を込めたお遊びを隠して入れている事がかなり多いです(笑)
(※ちなみに、実は明かしていないお遊びが2箇所あったりするんですがw)
 後、スペルカードについてですが。やっぱり最後のマスタースパークだけは、叫ばないと格好つきませんですw 賛否両論あるとは思いますが、この方が魔理沙らしいなぁ……と。
 それから今回特に力を入れたのが、自分の弱点である地の文描写の総強化。……それでもここまでしか出来ないんですけどねー(泣)
 ちなみに萌え文章はほっといても勝手に、実にスラスラと書きあがりましたが(大爆笑)


 では。総容量、なんと100KB以上(原稿用紙160枚分……うわぉ過去最長です)となりました夏の日シリーズですが、ついにこれにて完結でございます!!
 最後までお読み頂いた方、そして応援してくださった皆様、誠にありがとうございました――!! 

はね~~

追記
 作者だってのに、私自分の書いたチルノに惚れました(笑)チルノ、愛してるよーw
 今年の初雪、空を見上げながらチルノ降ってこないかしらって……絶対やるだろうなぁ……(ぉ)
はね~~
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コメント



0.9360簡易評価
3.100名前が無い程度の能力削除
最初から読んでましたが、無事完結おめでとうございます
もう他に言うことないです。素晴らしい!
特に魔理沙周りの人間関係がうまく書けていたと思います

そしてチルノをなんとも思ってなかった僕にも彼女の魅力が伝わりました
次回作にも期待してます
7.100SETH削除
おつかれさまでした!一悶えニ悶え三悶絶しながら読ませていただきました
私もチルノはそんなにだったんですが、萌えちゃいました
こんないい作品をありがとうございましたー!

そして何気にすごいこといってるパチュが最高ですw
11.80いち読者削除
 やってくれるぜ黒幕!!

 ……っと、完結、お疲れ様です。
 いやぁ、直球勝負のラブコメ、堪能しましたしました。チルノも無事帰ってきてくれたし、ヨカッタヨカッタ。
 夏の日のちょっとした冗談から始まってしまったこの物語、魔理沙の迷走(?)っぷりがとにかく面白い。けど最後には、自分の気持ちに対して少しは素直になれたようで。
 そして何より、チルノ可愛い。ストレート過ぎなところとか、自分の想いが魔理沙やその周囲をこれでもかってほどに引っ掻き回してるのに本人はこれっぽっちも気付いてないところとか。要するにド天然なところが(笑)。

 この作品と作者様に対して一言で賛辞の言葉を送るならば、
『ご馳走様でしたッ!』
 これに尽きます。
15.100電脳の狭間に生きる者削除
げほっげほっ…!(食べていたパンを喉に詰まらせる{リアルでもw
展開もさながらそこまで苦労したのならなおさらGJ!

しかし予想外なカップリングを作りましたね。
そろそろネチョスレがこのネタに乗りますよw
17.100みっくす削除
ついに完結しましたね。はね~~さん、お疲れ様でした。
この作品は私のチルノに対する見方を根本から覆しました。
チルノかわいいよ、かわいいよチルノ。
私以外にもチルノ株急上昇した人がいると思います。えぇ、きっと。多分。
魔理沙を巡る争いは、そのうち虹色の糸も交えつつさらに加速していくんでしょうね。

書きたいことは他にもたくさんあるんですが、全部書いてると収拾つかなくなりそうなのでこの辺でw

最後に気になった箇所を。
>まあ【物凄く】変な妖怪だから打つのはよすか。
ここでは「打つ」より「撃つ」の方がしっくりくる気がします。
18.100名前が無い程度の能力削除
この手のラブコメはいわゆる『くさい』ものが多いので、2球目でさらっとホームランで返してゆっくりと累を回るつもりで読み始めましたが……
直球ストレート三振を、それも9回連続で取られちゃっよ!!
脇役の筈のレティにも熱い漢らしさ(?)が自称黒幕が伊達じゃないと思い知らされましたし、メインの連中は言わずもがな。
チルノ!かわいいよぉ!チルノ!
20.100読書の秋削除
紅魔郷でチルノ倒せなくなった(´・ω・`)
いい作品を有り難うございました
24.90凡用人型兵器削除
長編お疲れ様でした。
最初から最後までニヤニヤしながら読むことが出来ました。
かなり意外なカップリングでありながら、読み終わってみれば
かなり前からチルノ×魔理沙であったような気がしてなりません。
いい作品をありがとうございました。
38.100名前が無い程度の能力削除
完結おめでとうございます&お疲れ様でした。
もう本当にご馳走さまという感じで……ありがとうございました!(*ノノ)
45.100てーる削除
完結ご苦労様です。
あの魔理沙とチルノがこんな展開に陥ろうとは・・・
パチュとアリスってのは良く聞きますがこの三つ巴(?)の戦いは
この後どうなることやら・・wチルノの新たな魅力発見ですね。
(個人的にはフランがんばれ~とw)

長編お疲れ様でした、次回作も頑張ってください。
54.80名も無き名無しさん削除
チルノ~(*´д`*)
……失礼w完結お疲れ様です。予想とはちょっと外れたけど、大円団で何よりです。
自分もどっちかというとあまりチルノに関心は無かった方ですが、もう完全に転がってしまいましたよ。
魔理沙はまったく本当にうらやm…いえ、憎い奴ですねぇw

アリススキーとして是非次回作h(愛し繰るフォール
57.80MUI削除
後書きには作家としての葛藤がうかがえるのですが、完結までお疲れ様です。
魔理沙×チルノ…ちょっと考えてみると意外すぎる組み合わせですよね。でも、華やかに、かつ鮮やかに描かれる二人は、すごく自然体でずっと昔からいい関係だったような風に思わせます。
割と”直球”と評されているようですが、私は最後の今作まで(少なくとも当人達にとっては)曖昧なまま引っ張ってきたように感じました。まあ、その曖昧さ加減の絶妙っぷりときたら、こっちまでくすぐったくなってしまうほどで、ええもう、そりゃもう(笑)。
最近萌え足りない私なのですが、おかげで補給できました。

しかし、周りのみんなを否応なく巻き込んでいく魔理沙のパワーというか、恋のパワーというか、いやー、若いっていいですね(笑)。
62.100ななし削除
凄い。これは凄い。何の文句も出てこないです。
チルノの可愛さと一途さが100マイル豪速球ばりに伝わってきました。
素晴らしきかな恋の魔砲。
68.100C削除
嗚呼この胸の甘酸っぱさをどうしてくれるのか!
ブラボー!
79.100紫音削除
えー、『すごい』の一言に尽きます。
この一言で一気に『チルノ×魔理沙』が定着しそうですな(笑) 個人的には『パチェ×魔理沙』派の私もとっても楽しく読ませていただきました。
個人的には頭っから信じきってる霊夢と、いかにも『黒幕』らしいレティが気に入りました。この辺の脇のキャラまで巧みに活かしているあたり、素敵です。

次回作も期待しておりますよ。
82.90MSC削除
完結お疲れ様です。
ああ、何て言うか、チルノ・・・・萌えw
魔理沙×チルノがここまでつぼにはまるとは。
リアルで鼻血吹きかけましたw
チルノ可愛い~~~!!
91.100名前が無い程度の能力削除
恋色マジック・・・!
チルノと魔理沙の組み合わせに驚き&惚れ込みました
そして二人を取り巻く人間関係がとても面白かったです
いけいけマスタースパーク!!
99.90全くの名無し削除
・・イイ。実際かなり良かったと思います。

魔理沙のセリフは勿論の事、アリス・パチェ・レミィらも自分のイメージ通りのキャラか、もしくはそれ以上に好感を持てるセリフでした。

実際には97点ぐらいで。次回作あれば期待しています。
何はともあれ大変にお疲れ様でした。
101.無評価はね~~削除

 採点数なんと100本! おおおおお、感激ですありがとうございます~!
 完結から数日後、無理した反動でまたしても体調崩して轟沈してましたがー(汗)そんな訳でレスなのです。

・名前が無い程度の能力さん(一人目)

 ああ、ありがとうございます(照)11月の頭頃はこれ完結しないんじゃないかと、本気で心配してたんですよ自分でも。本当に何度書いても気にいらなくって。
 魔理沙周りの人間関係は、数度に渡る書き直しの末ですがそれでも納得の行く物が書けました。お褒め頂きまして凄く嬉しいです。
 そして……チルノ可愛いですよね、ねっ♪ 次回作の構想も色々と構想だけは山のよーにありますので、書けましたらまたご覧頂けますと幸いです、ありがとうございましたっ。

・SETHさん

 正直に言うと書き始めた時は私自身もチルノはそんなに……だったんですよ。
 が、自分の書いたチルノで心底チルノに惚れこむという、私の創作史上初の出来事が起こりました(爆笑)ちなみに私も書きながら何度となく悶絶して転がりましたよw 推敲してて
「うおお! これ書いたの誰よ!? って私――っ!!」
 とまあ、あまりの恥ずかしさにゴロゴロと。最後までお読み頂きありがとうございました~。

>すごいこといってるパチュ
 カリオストロの城の「いえ! 奴は最も重要な物を盗んでいきました! あなたの心です!」
 これが本気でパチュリーに似合うと思い、第3話の時点であのパチェの心情は書くのが決まっていました(笑)ああ、気がついて頂きありがとうございます。書いてて気合入れまくりでした、あの台詞w

・いち読者さん

 あなたにそこまでおっしゃって頂けると、私としては
「ああ……良かった。妥協しないで書ききって本っ当に良かった……」
 と心底思いますです。

 ええ、最初は本当に夏の日のちょっとした冗談だったんですよ。魔理沙も、そして私も(笑)魔理沙は粘りに粘っていましたが最後の最後でついにKOw 
 チルノは……自然な上で可愛く書こう~~と、トリップしながら書いてたら出来上がりました(笑)シリーズ通して色んな所で書いてて詰まったりしましたが……実は
『チルノの描写に関しては全話通してただの一度も悩んだ事がない!』のです(爆笑)
 ではでは……最後までチルノと魔理沙の恋符話にお付きあいくださりありがとうございましたっ!

・電脳の狭間に生きる者さん

 いやー、お食事中にすんごいシーンを読まれたようでどうもすいません(苦笑)
 しかし苦労した分、こうやって数多くの方からの感想を頂けると辛さなんか吹っ飛びます~。

>予想外のカップル、ネチョスレ
 魔理沙×パチュリーも大好きではありますが、私はこのカップリング生みの親として魔理沙×チルノを推進いたします(笑)いやー、ネタに乗ってくださるならばもうぜひw
(ほぼ全ジャンルを書いてきた私ですが……エロだけは全く書けないです。ど下手くそで……) 

・みっくすさん

 完結しました――! どうもありがとうございます、そしてチルノ可愛いですよね、ねっ(笑)
 そして……いや、やっぱりばれましたね『虹色の糸』の部分w 初稿ではここ『七色の糸』だったんですが、バレバレなんで変えたんですよ。秘密の作者お遊びの1つでしたー。
 チルノの事が好きになった~、という方が大勢いらっしゃって嬉しい限りです。が、恐らくチルノ株が最も上昇したのは、きっと誰あろう作者である私な気が(笑)
 次作でもまたこうしてご覧頂けましたら幸いです。それまでまた、ですー。

>撃つ
 ああああ、またやっちゃった……。完璧に誤字です、すいませーん(滝汗)

・名前が無い程度の能力さん(二人目)

 か、完全試合――っ!?(何)
 おほん。ただ実際、今回の登板ではシリーズ通してまさに腕がちぎれんばかりに、話数を進めるごとに速度を上げて行きましたからねー。最終話、作者自身も玉の速さと重さに驚いたりw

 なおレティは、最終話のおいしい所を半分くらい一人で持っていってます。くろまく~、と自分で言う時は黒幕じゃありませんが、真の黒幕はやはりバレないように黒幕を張るのですよ(笑)
 お読み頂きありがとうございました。皆さんでチルノを愛でましょ―w
 ではここでこっそり、私に代わってレティさんから最後に一言。
「私も、自分はもうちょっとクールだと思ってたけどね……」

・読書の秋さん

 実は恋符限定で、魔理沙がチルノに一発も撃たずに時間切れまで粘ると、惚れたチルノがオプションで魔理沙についてくるという裏技が紅魔郷には……(大嘘)
 いえいえ、こちらこそありがとうございます。次の話でも頑張りますー。

・凡用人型兵器さん

 わ、初めまして。どうも感想ありがとうございますー。
 実際第1話をご覧になった時、私もコミで皆さん相当に意外に感じたはずです。でも……終わったらこの魔理沙とチルノの二人の様子がたまらなく大好きです、私。
 自分で自分の書いたキャラを好きになる……というのは作者冥利につきますね。
 いえいえ、こちらこそ凡用さんの次作を期待しております。ではでは。

・名前が無い程度の能力さん(三人目)

 いえー、えへへ(照)こちらこそ、感想どうもありがとうございましたー!

・てーるさん

 魔理沙を巡る多角関係、さてどうなるのやら。
 作中にも書きましたが魔理沙×チルノの仲は現在相当に接近してますので、このまま順当に行くと恐らくはチルノとくっつきます。というか、もー半ば以上くっついてます(笑)
 ただ、敢えてラストはああしました。パチェやフランの反撃を皆さんも想像してみてくださいー。
 次回作も頑張ります。……あー、でもプレッシャーがぁ(汗)最終話書き終わったら多少は緩和するかと思ったら、プレッシャーむしろ増えました(汗)

・名も無き名無しさん

 魔理沙ってば、どーしてこうまで羨ましいのやらっ(挨拶)
 えと、感想どうもありがとうございます。どんな予想をされてたのかな? やっぱりチルノが消えるお話を……とかですかね(汗)
(ここだけの話ですが、とことんまで悲しい話の脳内プロットもありました。ただ、恐らく書いていて私の頭が耐え切れなかったでしょうけど……)

>アリス
 えーっと。アリスでのネタも、あるにはあるんですよ。
 ジャンルは幻想、ある本の中にアリスが取りこまれその中で話が展開する
「不思議と幻想の国のアリス」という話です。主役はアリスですが、登場キャラは何と全員。
 が……プロットだけで20KBというとんでもない量で、恐らく完結したらこれだけで本が一冊できそうな大長編(夏の日シリーズの3倍くらい)になりそうなんで、現在プロットごと封印中です(汗)

・MUIさん

 MUIさんいらっしゃいませー。
 ちなみに後書きのあれは、本気で私の葛藤そのまんまです。かなり今回せめぎ合いがありました。最終的に心の中の魔物には完全勝利いたしましたが、途中までかなりやばかったのです(苦笑)
 ああ、でもそうやってMUIさんにおっしゃられると、嬉しいと同時に……物凄くこっ恥ずかしい気も……(汗)
 でも本当に若いっていいですよね♪ ちなみに私は普段から頭が春です。主に萌えでw
 
>直球
 ええ、MUIさんがおっしゃる通りです。もう、とことんまで曖昧なままで引っ張って来ました。
 ただまあラブストーリーのある種王道の進みではあるんで、そういう点から言えばやはり直球なのでしょう。というか、私にはどこまでやっても変化球って似合わなくって……(苦笑)
 それから匙加減はかなり苦労しました。両手で数え切れない位の失敗料理ができあがりましたしw
(ちょっとでも油断すると、すーぐ砂糖入り過ぎて甘すぎになったんですよ、あはは……)

・ななしさん

 うあ、照れますー(汗)
 恋と恋を合わせた最大の恋魔砲、気にいってくださりありがとうございます。
 ああでもチルノの可愛さ、皆さん惚れて下さったようで。……降ってきませんかねー、チルノ(ぉ)
 
・Cさん

 ブラボー!(何)
 わー、でも本当に嬉しいです。これだけの方に喜んでもらえる物を書けて。とりあえず、その甘酸っぱさは、チルノを可愛がる事で昇華させるのを全力でお奨めいたしますw

・紫音さん

 実際、魔理沙×パチュリー派の皆さんにどこまで受け入れて貰えるか……書き始めた時は結構怖かったんですよねー。(魔理×パチュ全盛時代ですし)
 でも書いてよかった。今後の発展性なども多少残しておりますので、もし仮に魔理沙×チルノが定着すれば、私としては望外の喜びです(実は、この組み合わせの開拓が最大の目標でもありました~)
 
>頭から信じきってる霊夢
 ああ、嬉しいー。霊夢は脇キャラの中で一番苦労したんですよ……。どうもありがとうございます。

・MSCさん

 ぎゅーっとしたくなりますよね~、チルノ。はぅ、おもちかえり~!(ひぐらし)
 なお『恋符と恋娘な二人が恋をしたら……』とか『そんな恋の二重奏を書いたらどうなるだろう』とか『おてんば恋娘の曲らしい、一途なチルノを書こう』とか、そういう深い事を考え出したのは、実は2話目からです(汗)第1話は、本気でただの思いつきというか冗談半分でした(滝汗)

 書いてた私も3話目あたりから「うおお、ここまでツボに嵌るとは思わんかったー!」という感じでしたよ。てへへ。


・名前が無い程度の能力さん(五人目)

 魔理沙とチルノだけでなく、周囲の人間関係にまでちゃんと注目してくださっている方が多く、作者として大変嬉しいです。ああ、ありがとうございますー。
 ちなみに、第1話は恋色マジック的ですが(第1話がそうなったのはただの偶然です。あはは)最終話はタイトルもそうですがまさに恋色マスタースパーク。

 これからも魔理沙とチルノの二人を愛してあげてくださいー。ありがとうございましたっ。

・全くの名無しさん

 わわ。キャラを崩さないよう、最大限注意して書いておりましたが、そこまでおっしゃって頂けるとは。ありがとうございます。
 実際霊夢とは違う意味で苦労したのがレミリアでした。紅魔郷と永夜抄で、私の中のイメージが全然違うんですもん。結局紅魔郷ベースにし、永夜のレミリアを軽く混ぜる感じ……という、何とも微妙な匙加減の上でのレミリア描写でしたw
 後3点分、次では頂けるように頑張ります~!

 レスは以上となります。ああ、本当に凄く嬉しい……。
 感想・採点をして下さった皆さま、お読み頂いた皆さまにこの場を借りてもう一度。本当に、本当にありがとうございました――!!

※でも次回作何にしよう、次はちょっと軽い物にしたいけど。はぅあ、またしてもプレッシャー……。
102.80rem削除
素直にいいと思える作品
これからもがんばってください。
103.100悪仏削除
何度でも読み返したくなる内容ですね
魔理沙自身の心の葛藤が伝わってきます・・・
123.100名前が無い程度の能力削除
最高です!
125.100名前が無い程度の能力削除
萌えるのもあったけど、燃えた。
139.100名前が無い程度の能力削除
うん、好き。
158.100名前が無い程度の能力削除
簡易点数評価の50点では足りません!
チルノが可愛すぎます、他のキャラもいい味出しすぎです。
永久保存することにしました。
本当に素晴らしい作品をありがとうございました。
178.100自転車で流鏑馬削除
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
いじらしい知流乃がいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃっぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっぃっぃぃぃぃぃぃいぃ

っぷぁぁあ。あー、萌えたぁ。
181.100名前が無い程度の能力削除
こ、ここにもスケコマシ魔理沙の毒牙にかかった恋娘がッ(違

いやまあ、それはそれとして。
チルノが好きです。大好きになります。これは、ほんと。
そして最初『冬妖怪だからってそれは冷たいよ!』とか思った黒幕さんが本当に黒幕さんで良いところに落ち着きすぎてて素敵です(^^;

いやぁ、ごちそうさまでした。
185.100時空や空間を翔る程度の能力削除
意外な展開でしたが
快く読めました。

グット。
187.100daiLv4削除
珍しいカップリングでしたけど、 
とても感動しました。
全米が泣いた。
190.100名前が無い程度の能力削除
なんてかわいいチルノ。この一言に尽きます
魔理沙とチルノって意外といい組み合わせだなぁ
192.100名前が無い程度の能力を持った猫削除
確かに彼女は黒幕だった(あとお嬢様も)



この組み合わせは初めて見ました

チルノ可愛いなぁチルノ

モテモテ魔理沙の心理描写に泣いた



虹色の糸さんはここに加わる日が来るのでしょうか?w
196.100名前が無い程度の能力削除
まさかチルノがこんなにかわいいだなんて!!
素直じゃない魔理沙もすごくよかった
っていうか、マリチル(チルマリ?)っていいわ
また新たな世界を開けました、ありがとうございます
200.100名前が無い程度の能力削除
チルの見方が変わりました~
202.80名前が無い程度の能力削除
久しぶりに時間ができたんで読み返してみましたが、
やはり何度読んでもニヤニヤが止まりませんでした。
思えば私のジャスティスはここが原点だったのかもしれない。
素晴らしい作品をありがとう。
203.90名前が無い程度の能力削除
ヤバイ、チルノ可愛い


黒幕さん、ナイス
212.90名前が無い程度の能力削除
レティ姐さん、ふとましいなんて言ってすんません!
217.100名前が無い程度の能力削除
おお、なんとういうチルマリ……
全5作見てきましたがチルノのセリフや、魔理沙の反応にニヤニヤさせられっぱなしでした
223.100名前が無い程度の能力削除
これはよかった
心底良かった
チルノ超かわいいよチルノ
232.100名前が無い程度の能力削除
やべぇ…このチルノ超可愛い…。